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物数 I.問 1.1
[問 1]
右図に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2 である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 C, D は直方体の頂点であり,点 Bは辺の中点,点 Aは辺上の点とする.
A
BC
D
4
2
O
x
y
z
2 E
(1) ベクトル−→BCと
−→BD を成分で表しなさい.
(2) ベクトル−→BD と向きが逆で大きさが 1 のベクトル ~u の x,y,z成分をそれぞれ求めなさい.
(3) 原点 O を始点とし,点 F を終点とするベクトル−→OFが次の式
−→OF = −−→
OB + 2−→OC + t
(2−→OB − 2
−→OC
), −∞ < t < ∞ (p1.1.1)
で表される時,点 F の集合は x-y 平面上の直線となる.この直線を図示しなさい.
点 Aを辺の上で動かすと,あるところで線分 ACと線分 BDが交わった.このときの交点 Eを以下の手順で求めよう.
(4) 点 Aの位置はまだわからないので,その z 座標を未知数 a とする.このときベクトル−→OAとベクトル
−→ACを成分で表しなさい.
(5) 図より,−→BEと
−→BDは同じ向きを向いているので,未知数 b を用いて
−→BE = b
−→BD (p1.1.2)
と表せる.同様に,−→AEと
−→ACは同じ向きを向いているので,未知数 c を用いて
−→AE = c
−→AC (p1.1.3)
と表せる.ベクトル−→OE は
−→OB +
−→BE とも表せるし,
−→OA +
−→AE とも表せるので,等式
−→OB +
−→BE =
−→OA +
−→AE (p1.1.4)
が成り立つ.等式 (p1.1.4)から a , b , cを求めなさい.
(6) 点 Eの座標を求めなさい.
物数 I.問 1.2
[答 1]
各点の座標は
A : (2, 0, a) , B : (2, 2, 0) , C : (0, 4, 0) , D : (0, 0, 2) (p1.2.1)
となる.
(1)
−→BC = (0, 4, 0) − (2, 2, 0) = (−2, 2, 0) , (p1.2.2)−→BD = (0, 0, 2) − (2, 2, 0) = (−2,−2, 2) . (p1.2.3)
(2)−→BDと向きが逆で,同じ大きさのベクトル ~aは ~a = −
−→BD = (2, 2,−2) となる.~aの大きさは
|~a| =√
22 + 22 + (−2)2 = 2√
3 なので,
~u =1|~a|
~a =1
2√
3(2, 2,−2) =
( 1√3
,1√3
, − 1√3
)(p1.2.4)
となる.以上より ~uの x成分は1√3,y成分は
1√3,z成分は − 1√
3となる.
(3)
−−→OB + 2
−→OC = (−2, 6, 0),2
−→OB − 2
−→OC = (4,−4, 0)) より
−→OF = (−2 + 4t , 6 − 4t , 0) (p1.2.5)
となる.点 F の座標を (x, y, z)とすると
x = −2 + 4t , y = 6 − 4t , z = 0 (p1.2.6)
となる.この直線は点 (4, 0, 0)と点 (0, 4, 0)を通り,下図のようになる.
x
y
-1 1 2 3 4 5
-1
1
2
3
4
5
尚, t を消去した x と y の関係式は
y = 4 − x (p1.2.7)
となる.
物数 I.問 1.3
(4)
−→OA = (2, 0, a) , (p1.3.1)−→AC = (0, 4, 0) − (2, 0, a) = (−2, 4,−a) . (p1.3.2)
(5)
−→OB +
−→BE =
−→OB + b
−→BE = (2, 2, 0) + b(−2,−2, 2) = (2 − 2b , 2 − 2b , 2b) , (p1.3.3)
−→OA +
−→AE =
−→OA + c
−→AC = (2, 0, a) + c(−2, 4,−a) = (2 − 2c , 4c , a − ac) (p1.3.4)
なので,等式 (p1.1.4)より連立方程式
2 − 2b = 2 − 2c , (p1.3.5)
2 − 2b = 4c , (p1.3.6)
2b = a − ac (p1.3.7)
が得られる.この連立方程式から未知数 a, b, cを求める.
(p1.3.5)から,b = cが得られる.これを (p1.3.6)に代入して b = c = 1/3が得られる.これを (p1.3.7)に代入して a = 1が得られる.以上より
a = 1 , b =13
, c =13
. (p1.3.8)
となる.
(5) (p1.3.3)あるいは (p1.3.4)に (p1.3.8)を代入して,点 Eの座標は(43
,43
,23
)(p1.3.9)
であることがわかる.
【注】1つの等式 (p1.1.4)から 3つの未知数 a , b , c が求まるのは奇妙に感じるかもしれないが,(p1.1.4)はベクトルの間の等式なので,実際にはベクトルの各成分が等しいという 3つの等式をまとめて表していることになる.
物数 I.問 2.1
[問 2]
図 2-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2 である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 B は辺の中点であり,点 A の座標を (1, 1, 1)とする.ただし ( , , ) の中の数値は点の座標を示す.このとき,次の問に答えなさい.
(1)線分 AC と 線分 AB の間の角度を θ1,線分 AC と 線分 ADの間の角度を θ2,とするとき,cos(θ1) と cos(θ2) をそれぞれ求めなさい.また,θ1 と θ2 はどちらが大きいかを答えなさい.
(2)−→AC ×−→
ABと−→AD ×−→
AC を計算しなさい.
D
C
42
2 AO
B
図 2-1
(3)3角形 ACDの面積を求めなさい.
(4)点 A, B, C を含む平面の方程式を求めなさい.
(5)図 2-1の点 A, B, C を含む平面によって,空間は 2つの領域に区切られる.次の 4点
E : (8, 1, 4) , F : (−1, 13, 2), G : (−2, 5, 7), H : (−5, −6, −7) .
について,それぞれ,点 Dと同じ領域に入っているか,点 Dと違う領域に入っているか,あるいは,ちょうどこの平面上にあるかを判定しなさい.
物数 I.問 2.2
[答 2]
この座標系について各点の座標は
B : (0, 4, 1),C : (2, 4, 2) , D : (0, 0, 2) , (p2.2.1)
となる.
(1)−→AB = (−1, 3, 0) ,
−→AC = (1, 3, 1) ,
−→AD = (−1, −1, 1) (p2.2.2)
より,以下を得る:
−→AB · −→AC = −1 × 1 + 3 × 3 + 0 × 1 = 8 ,−→AC ·
−→AD = 1 × (−1) + 3 × (−1) + 1 × 1 = −3 , (p2.2.3)
|−→AB| =
√(−1)2 + 32 + 02 =
√10 , |
−→AC| =
√12 + 32 + 12 =
√11 ,
|−→AD| =
√(−1)2 + (−1)2 + 12 =
√3 . (p2.2.4)
これより
cos(θ1) =−→AB ·
−→AC
|−→AB||
−→AC|
=8√110
, cos(θ2) =−→AC ·
−→AD
|−→AC||
−→AD|
= − 3√33
(p2.2.5)
が得られる.cos(θ2) < 0 < cos(θ1)よりθ1 <
π
2< θ2 . (p2.2.6)
従って,θ2 の方が大きい.
(2)−→AC ×
−→AB = (−3, −1, 6) ,
−→AD ×
−→AC = (−4, 2, −2) . (p2.2.7)
(3)
4ACDの面積 =12|−→AD ×
−→AC| =
12
√(−4)2 + 22 + (−2)2 =
12
√24 =
√6 . (p2.2.8)
(4)−→AC ×
−→AB = (−3, −1, 6) は点 A, B, C を含む平面に直交するベクトルとなる. 平面上の任意の点 Pの座
標を (x, y, z)とすると−→APと
−→AC ×
−→AB は直交するので
0 =−→AP ·
(−→AC ×
−→AB
)= (x − 1, y − 1, z − 1) · (−3, −1, 6) = −3x − y + 6z − 2 (p2.2.9)
が成り立つ.従って平面の方程式は
3x + y − 6z = −2 (p2.2.10)
となる.(式 (p2.2.10)を定数倍した式でも構いません.)
【注】平面の方程式は一般に
ax + by + cz = d (p2.2.11)
と書けるの.点 A,B,Cの座標を式 (p2.2.11)に代入した方程式
a + b + c = d (p2.2.12)
4b + c = d (p2.2.13)
2a + 4b + 2c = d (p2.2.14)
を満たすように未知数 a, b, c, dを決めてもよい.
物数 I.問 2.3
(5)
−→AD = (−1 , −1 , 1) ,
−→AE = (7 , 0 , 3) ,
−→AF = (−2 , 12 , 1) ,
−→AG = (−3 , 4 , 6) ,
−→AH = (−6 , −7 , −8) (p2.3.1)
より
−→AD ·
(−→AC ×−→
AB)
= 10 ,−→AE ·
(−→AC ×−→
AB)
= −3 ,−→AF ·
(−→AC ×−→
AB)
= 0 ,
−→AG ·
(−→AC ×
−→AB
)= 41 ,
−→AH ·
(−→AC ×
−→AB
)= −23 (p2.3.2)
となる.これより点Gが平面に対して点 D同じ側,点 Eと Hが逆側に位置することがわかる.また,点 Fはちょうど平面上にある.
【注】点 D,E,F,G,Hの座標を式 (p2.2.9)の右辺に代入して,その値の正負から判断してもよい.
f(x, y, z) = −3x − y + 6z − 2 (p2.3.3)
とすると
f(0, 0, 2) = 10 , f(8, 1, 4) = −3 , f(−1, 13, 2) = 0 ,
f(−2, 5, 7) = 41 , f(−5,−6,−7) = −23 (p2.3.4)
より,点Gは点 Dと同じ領域に属し,点 Eと Hは違う領域に属することがわかる.また点 Fはちょうど平面上にある.
物数 I.問 3.1
[問 3]
図 3-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの
軸に 3辺をそろえて置かれている.点 C, D, E は直方体の頂点であり,点 B は辺の中央にある.また,点 A の座標を (1, 1, 1)とする.ただし ( , , )の中の数値は点の座標を示す.このとき,次の問に
答えなさい.
(1)線分 AB, AC, AD を 3辺とする平行 6面体の体積を求めなさい.
D
C
42
2AO
B
E
図 3-1
(2) 一定の速度で運動している点 P が図の点 D を時刻 t = 0 に通過し,時刻 t = 2 に点 E を通過した.任意の時刻 t の点 P の位置ベクトル ~rP(t) =
(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)を求めなさい.
(3) 点Pが 3点 A,B,Cを含む平面を横切る時刻を求めなさい.(平面を表す方程式は [問 2]の (4)で求めました.)
(4) 点 P が 点 A に最も近づく時刻を求めなさい.
次に,図 3-2に示すように,点 A,B,C を頂点とする 3角形の板の後方にある点 S : (0, 0, 4)に点光源を置くと,地面に板の影 FGHができた.ただし,地面は手前が低くなるように少し傾いていて,次式
z = −x + 2y
10(p3.1)
で表される.つまり,(x , y , z)が地面上にある点の座標である場合,x,y と z の間には (p3.1)という関係がある.
(5) 点 G の座標を求めなさい.
FG
C
S
A
O H
B
図 3-2
物数 I.問 3.2
[答 3]
この座標系について各点の座標は
B : (0, 4, 1),C : (2, 4, 2) , D : (0, 0, 2) , E : (2, 4, 0) , (p3.2)
となる.
(1)−→AB = (−1, 3, 0) ,
−→AC = (1, 3, 1) ,
−→AD = (−1, −1, 1) (p3.3)
より,平行 6面体の体積は∣∣∣−→AD ·(−→AC ×−→
AB)∣∣∣ = |(−1 , −1 , 1) · (−3, −1, 6)| = |10| = 10 , (p3.4)
あるいは ∣∣∣−→AB ·(−→AD ×−→
AC)∣∣∣ = |(−1 , 3 , 0) · (−4, 2, −2)| = |10| = 10 , (p3.5)
などより,10となる.
(2) 一定の速度で動く点の位置ベクトルは,~a,~bを定数のベクトルとして
~r(t) = t~a +~b (p3.6)
と表される.(線形代数・演習 Iの資料 §2.4 を参照.パラメータ t を時刻と考える.) 問題の条件,
−→OD = ~r(0) = ~b ,
−→OE = ~r(2) = 2~a +~b , (p3.7)
より
~a =12
(−→OE −
−→OD
)= (1 , 2 , −1) , ~b =
−→OD = (0 , 0 , 2) (p3.8)
が得られるので,時刻 t での点 Pの位置ベクトルは
~rP(t) = (t , 2t , 2 − t) (p3.9)
と表される.
(3) 平面を表す方程式は [問 2-4]より次式となる:
3x + y − 6z + 2 = 0 . (p3.10)
時刻 t = t1 に点 Pが平面を横切るとすると,(p3.9)を (p3.10)に代入して
0 = 3xP(t1) + yP(t1) − 6zP(t1) + 2 = 3t1 + 2t1 − 6(2 − t1) + 2 = 11t1 − 10 (p3.11)
より,点 Pが平面を横切る時刻 t1 は t1 =1011となる.
(参考)平面上の任意の点を表す位置ベクトル ~r を 2 つのパラメータ q,s を用いて
~r =−→OA + q
−→AB + s
−→AC = (1 − q + s , 1 + 3q + 3s , 1 + s) (p3.12)
と表すこともできる.点 P が時刻 t = t1 に平面を横切るという条件 ~rP(t1) = (1 − q + s , 1 + 3q + 3s , 1 + s) すなわち
t1 = 1 − q + s (p3.13)
2t1 = 1 + 3q + 3s (p3.14)
2 − t1 = 1 + s (p3.15)
を q, s, t1 についての連立方程式と考えて t1 = 10/11 を求めてもよい.(このとき,q = 2/11,s = 1/11 となります.)
物数 I.問 3.3
(4)−→AP = (xP(t) − 1 , yP(t) − 1 , zP(t) − 1) = (t − 1 , 2t − 1 , 1 − t) (p3.16)
なので,点 Pと点 Aの間の距離の 2乗∣∣∣~rP(t) −−→OA
∣∣∣2 = (t − 1)2 + (2t − 1)2 + (1 − t)2 = 6t2 − 8t + 3 = 6(
t − 23
)2
+13
(p3.17)
を t の関数と考えて,最小値を与える t を求めればよい.関数が最小となる時刻を t2 とすると t = t2 で微
分係数が 0 となるので,式 (p3.17)を t で微分して
0 = 12t2 − 8 (p3.18)
より,時刻 t2 =23で点 Pは点 Aに最も近づくことがわかる.
(参考) ~rP(t) −−→OA と
−→DE が直交するという条件から最も近づく時刻を求めてもよい;
“
~rP(t2) −−→OA
”
·−→DE = 12t2 − 8 = 0 → t2 =
2
3.
上の条件と˛
˛
˛
~rP(t) −−→OA
˛
˛
˛
2の t についての微分が 0 という条件が一致するのは以下のようにわかる:
0 =d
dt
˛
˛
˛
~rP(t) −−→OA
˛
˛
˛
2=
d
dt
““
~rP(t) −−→OA
”
·“
~rP(t) −−→OA
””
=d
“
~rP(t) −−→OA
”
dt·
“
~rP(t) −−→OA
”
+“
~rP(t) −−→OA
”
·d
“
~rP(t) −−→OA
”
dt
= 2d
“
~rP(t) −−→OA
”
dt·
“
~rP(t) −−→OA
”
= 2~a ·“
~rP(t) −−→OA
”
=−→DE ·
“
~rP(t) −−→OA
”
. (p3.19)
(5)−→SC = (2 , 4 , −2) (p3.20)
であり,−→SC と
−→CG は同じ向きなので,αを正の実数の未知数として
−→CG = α
−→SC = (2α , 4α , −2α) (p3.21)
と書ける.αの値は点 Gが地面上にあるという条件から決める.点 Gの座標は
−−→OG =
−→OC +
−→CG = (2 + 2α , 4 + 4α , 2 − 2α) (p3.22)
なので,(p3.1)より
2 − 2α = −2 + 2α + 2(4 + 4α)10
(p3.23)
が成り立っている必要がある.この条件から α = 3 となる.従って点 Gの座標は
G : (8 , 16 , −4) (p3.24)
となる.
なお,点 F,Hの座標も同様に求めることができ
F :(
4027
,4027
, −49
), H :
(0 ,
8011
, −1611
)(p3.25)
となる.
物数 I.問 4.1
.
[問 4-1]
(1) 4つの力 ~F1 = (2 , 3 , 1),~F2 = (−1 , −1 , 2),~F3 = (0 , 1 , 2)と ~F4 が物体に働いてつりあっている.~F4 を求めよう.大きさが最大の力と最小の力はそれぞれどれ?
(2) 図 4-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 O,B,C.D は直方体の頂点,点 A は x = 2 にある面の中央にある.また,点 Eの座標を (1, 3, 1)とする.ただし ( , , ) の中の数値は点の座標を示す.このとき,次の問に答えなさい.
(2-1)点 Eから点 A,B,C,D,Oに向かう単位ベクトル ~uA,~uB,
~uC,~uD,~uO をそれぞれ求めなさい.
(2-2)点 E にある物体に,点O に向かって大きさ 2√
11 N の力 ~FO が働いているとき,~FO を成分で表しなさい.
D
C
42
2A
OB
E
図 4-1
(2-3) 点 E にある物体を点 A に向かって大きさ fA [N] の力 ~FA で引っ張る.さらに点 B に向けて大きさfB [N] の力 ~FBで,点 Cにむけて大きさ fC [N] の力 ~FCで,点Dにむけて大きさ
√11 N の力 ~FDで,
点Oにむけて大きさ 2√
11 N の力 ~FOで引っ張る.力がつりあって物体が静止する場合に fA,fB,fC
を求めなさい.
[問 4-2]
なめらかな平面 ACと BCからなる三角柱形の斜面が水平面上に固定されている.図 4-2に示すように,質量 m1 とm2 の物体を糸で
つないで斜面 ACと BC上に置くとつりあって静止した.このとき,斜面の長さの比,AC/BC を以下の手順で求めよう.
(1)斜面 AC 上にある物体には,鉛直下向きの重力 ~w1,糸の方
向の 張力 ~F1,斜面から物体にはたらく斜面に垂直な向き
の 垂直抗力 ~N1 がはたらく (図 4-3).一般には斜面に平行
な 摩擦力 もはたらくが,ここでは面がなめらかで摩擦はない
とする。y 軸を水平方向に,z 軸を鉛直上向きにとり,2つの物体が y-z平面内にあるように座標系をとる.(x軸は紙面に垂直上向きとなる.) 重力を成分で表すと
~w1 = (0 , 0 , −m1g) (p4.1)
となる.斜面ACと水平面との角度を θとする.また,張力の大
きさを f1,垂直抗力の大きさを n1 とするとき,~F1 と ~N1 を成
分で表しなさい.
(2)力のつりあいの条件 ~w1 + ~F1 + ~N1 = ~0を用いて,f1 と n1 を θ
とm1gで表しなさい.
(3)同様に,斜面 BC上にある物体にはたらく,重力 ~w2,糸の張力~F2,斜面からの垂直抗力 ~N2 を成分で表しなさい (図 4-4).ただし,斜面 BCと水平面との角度を φとする.また,張力の大きさ
を f2,垂直抗力の大きさを n2 とする.
1m 2
m
A B
C
D
図 4-2
1m
A
C
θ
1Fr
1Nr
1wr y
z
図 4-3
y
2m
B
C
2wr
2Fr
2Nr
φz
図 4-4
(4) 力のつりあいの条件 ~w2 + ~F2 + ~N2 = ~0を用いて,f2 と n2 を求めなさい.
(5) 糸にはたらく張力の大きさが同じであること f1 = f2 と,関係式
CD = ACsin(θ) = BC sin(φ) (p4.2)
から AC/BC をm1 とm2 で表しなさい.
物数 I.問 4.2
[答 4-1]
(1)~F4 = −~F1 − ~F2 − ~F3 =
(− 1 , −3 , −5
). (p4.3)
|~F1| =√
14 , |~F2| =√
6 , |~F3| =√
5 , |~F4| =√
35 (p4.4)
なので,大きさが最大の力は ~F4,最小の力は ~F3 となる.
(2) この座標系について各点の座標は A:(2, 2, 1),B:(0, 4, 0),C:(2, 4, 2),D:(0, 0, 2),E:(1, 3, 1),となる.
(2-1)
−→EA =
(1 , −1 , 0
),
−→EB =
(− 1 , 1 , −1
),
−→EC =
(1 , 1 , 1
),
−→ED =
(− 1 , −3 , 1
),
−→EO =
(− 1 , −3 , −1
)(p4.5)
となる.点 Eから点 A,B,C,D および Oに向かう単位ベクトル ~uA,~uB,~uC, ~uD, ~uO, はそれぞれ
~uA =−→EA
|−→EA|
=1√2
(1 , −1 , 0
), ~uB =
−→EB
|−→EB|
=1√3
(− 1 , 1 , −1
),
~uC =−→EC
|−→EC|
=1√3
(1 , 1 , 1
), ~uD =
−→ED
|−→ED|
=1√11
(− 1 , −3 , 1
),
~uO =−→EO
|−→EO|
=1√11
(− 1 , −3 , −1
)(p4.6)
となる.
(2-2)~FO = 2
√11 ~uO =
(− 2 , −6 , −2
). (p4.7)
(2-3) 点 Eから点 A,B,C,D および Oに向かう力をそれぞれ ~FA,~FB,~FC,~FD および ~FO とすると
~FA = fA ~uA =fA√
2
(1 , −1 , 0
), ~FB = fB ~uB =
fB√3
(− 1 , 1 , −1
),
~FC = fC ~uC =fC√
3
(1 , 1 , 1
), ~FD =
√11 ~uD =
(− 1 , −3 , 1
)~FO = 2
√11 ~uO =
(− 2 , −6 , −2
)(p4.8)
となる.力のつりあいの条件
~FA + ~FB + ~FC + ~FD + ~FO =
−3 + fA√2
+ fC−fB√3
−9 − fA√2
+ fC+fB√3
−1 + fC−fB√3
=
0
0
0
(p4.9)
より,fA,fC,fD についての連立方程式
fA√2
+fC − fB√
3= 3 , − fA√
2+
fC + fB√3
= 9 ,fC − fB√
3= 1 (p4.10)
が得られる.
物数 I.問 4.3
これを解いて
fA = 2√
2 , fB = 5√
3 , fC = 6√
3 (p4.11)
となる.
【注】(p4.10)を解くのに変数 fA, fB, fCのかわりに f̃A =fA√
2,f̃B =
fB√3,f̃C =
fC√3を用いてもよい.
[答 4-2]
(1)~F1 =
(0 , f1 cos(θ) , f1 sin(θ)
), ~N1 =
(0 , −n1 sin(θ) , n1 cos(θ)
)(p4.12)
(2) 力のつりあいの条件 ~w1 + ~F1 + ~N1 = ~0 より
f1 cos(θ) − n1 sin(θ) = 0 (p4.13)
−m1g + f1 sin(θ) + n1 cos(θ) = 0 (p4.14)
が得られる.f1,n1を未知数とする連立方程式なので,まず,n1を消去する:cos(θ)×(p4.13)+sin(θ)×(p4.14)より
−m1g sin(θ) + f1
(cos2(θ) + sin2(θ)
)= 0 (p4.15)
が得られる.
同様に cos(θ) × (p4.14) − sin(θ) × (p4.13) より f1 を消去して
−m1g cos(θ) + n1
(cos2(θ) + sin2(θ)
)= 0 (p4.16)
が得られる.以上から以下が得られる:
f1 = m1g sin(θ) , n1 = m1g cos(θ) . (p4.17)
【注】斜辺の長さが m1g,他の 2辺の長さが f1 と n1 の直角3角形 (図4-5)を考えて (p4.17)を求めてもよい.
1Fr1
Nr
1wr
. 図 4-5
(3)~F2 =
(0 , −f2 cos(φ) , f2 sin(φ)
), ~N2 =
(0 , n2 sin(φ) , n2 cos(φ)
)(p4.18)
(4) 力のつりあいの条件 ~w2 + ~F2 + ~N2 = ~0 より
−f2 cos(φ) + n2 sin(φ) = 0 (p4.19)
−m2g + f2 sin(φ) + n2 cos(φ) = 0 (p4.20)
が得られる.これらの式から以下が得られる:
f2 = m2g sin(φ) , n2 = m2g cos(φ) . (p4.21)
(5) f1 = f2 より
m1 sin(θ) = m2 sin(φ) . (p4.22)
また,ACsin(θ) = BC sin(φ) なのでACBC
=sin(φ)sin(θ)
=m1
m2(p4.23)
が得られる.
物数 I.問 5.1
.
sin“π
6
”
=1
2, cos
“π
6
”
=
√3
2
[問 5-1]
図 5-1に示すような,長さ 2Lと L の棒を,棒の中心で直角に組み
合わせた物体を考える.この物体を棒の中心を原点として y-z 平面内に置き,x 軸を回転軸として,そのまわりに自由に回転できるよ
うにする.長さ 2L の棒が y 軸から θ = π/6 だけ傾いているとき,点 B に力 ~FB =
(0 , 2 , 3
)を加え,点 C に力 ~FC =
(0 , 2 , −2
)を
加えた.
(1)力 ~FB がこの物体に及ぼす,原点の回りの力のモーメント ~NBを
求めなさい.
(2)力 ~FC がこの物体に及ぼす,原点の回りの力のモーメント ~NCを
求めなさい.
θ
A
B
C
z
yO
2L
L
D
図 5-1
(3) この物体に力 ~FBと ~FC を加えた場合,この棒は x 軸のまわりに,時計回りに回り始めるか,反時計回りに
回り始めるか,あるいは静止したままかを答えなさい.
(4) 点 D に力 ~FD =(0 , 0 , Fz
)をさらに加えて回転軸のまわりに回転しないようにした.Fz を求めなさい.
[問 5-2]
図 5-2のような,ゆがんだやじろべえを考える.やじろべえは y-z平面内にあり,x軸のまわりにのみ,回転でき
るとする.点 Aに質量 m1 のおもりをつけ,点 Bに質量 m2 のおもりをつけると,やじろべえはつりあって静止
した.このときの点Aの座標を (0 , 2 , −1),点 Bの座標を (0 , −4 , 1) とする.重力加速度の大きさを g とし,次
の問いに答えなさい.
(1) 点 Aの位置のおもりにはたらく重力 ~FA による原点の回りの力のモーメント ~NA を求めなさい.
(2) 点 Bの位置のおもりにはたらく重力 ~FB による原点の回りの力のモーメント ~NB を求めなさい.
(3)m1
m2を求めなさい.
z
yO
1m
2m
A
B
図 5-2
z
yO 1
m2m
A
B
′
′
θ
図 5-3
(4) 次に,やじろべえを θだけ傾けて放した (図 5-3).このとき,やじろべえは x 軸のまわりに,時計回りに回
り始めるか,反時計回りに回り始めるか,あるいは静止したままかを答えなさい.やじろべえを,少し反時
計回りに回転させて傾ける場合 (θ > 0)と,少し時計回りに回転させて傾ける場合 (θ < 0)のそれぞれについて答えなさい.ただし,傾ける角度は小さい (|θ| ¿ 1) として,以下の近似式が成り立つとする:
sin(θ) ≈ θ , cos(θ) ≈ 1 . (p5.1)
また,座標 (0 , y , z)にある点を x 軸のまわりに θだけ回転させた点の座標 (0 , y′ , z′) は以下のようになる(線形代数・演習 I 資料 §3.3):(
y′
z′
)=
(cos(θ) − sin(θ)sin(θ) cos(θ)
)(y
z
)=
(cos(θ)y − sin(θ)zsin(θ)y + cos(θ)z
)≈
(y − θz
z + θy
). (p5.2)
物数 I.問 5.2
[答 5-1]
(1) ~rB = L(0 cos(θ) , sin(θ)
)なので
~NB = ~rB × ~FB = L(0 cos(θ) , sin(θ)
)×
(0 , 2 , 3
)= L
(3 cos(θ) − 2 sin(θ) , 0 , 0
)=
(L
3√
3 − 22
, 0 , 0)
(p5.3)
となる.
(2) ~rC =L
2
(0 − sin(θ) , cos(θ)
)なので
~NC = ~rC × ~FC =L
2
(0 − sin(θ) , cos(θ)
)×
(0 , 2 , −2
)=
L
2
(2 sin(θ) − 2 cos(θ) , 0 , 0
)=
(L
1 −√
32
, 0 , 0)
(p5.4)
となる.
(3) 力 ~FB と力 ~FC が働く場合の原点の回りの力のモーメント ~N は
~N = ~rB × ~FB + ~rC × ~FC+ =(L
2√
3 − 12
, 0 , 0)
(p5.5)
となる. ~N は x 軸の正の向きを向いているので,棒は x 軸の回りに 反時計回りに回転を始める.
(4) 力 ~FD による力のモーメント ~ND は ~rD =L
2
(0 sin(θ) , − cos(θ)
)なので
~ND = ~rD × ~FD =L
2
(0 sin(θ) , − cos(θ)
)×
(0 , 0 , Fz
)=
L
2
(Fzsin(θ) , 0 , 0
)=
(L
Fz
4, 0 , 0
)(p5.6)
となる.物体が回転しないのは ~N + ~ND = ~0となる場合なので
L2√
3 − 12
+ LFz
4= 0 (p5.7)
より
Fz = 2 − 4√
3 (p5.8)
となる.
物数 I.問 5.3
[答 5-2]
(1) ~FA = (0 , 0 , −m1g)なので
~NA = ~rA × ~FA =(0 , 2 , −1
)×
(0 , 0 , −m1g
)=
(− 2m1g , 0 , 0
). (p5.9)
(2) ~FB = (0 , 0 , −m2g)なので
~NB = ~rB × ~FB =(0 , −4 , 1
)×
(0 , 0 , −m2g
)=
(4m2g , 0 , 0
). (p5.10)
(3) 力のモーメントの和が 0ベクトルになるという条件:
~NA + ~NB =(− 2m1g + 4m2g , 0 , 0
)= (0 , 0 , 0) (p5.11)
よりm1
m2= 2 (p5.12)
となる.
(4) やじろべえが θ 傾いたときのおもりの位置は (p5.2)より
A′ :(0 , 2 + θ , −1 + 2θ
), B′ :
(0 , −4 − θ , 1 − 4θ
)(p5.13)
となる.おもりにはたらく重力は変わらないので,この場合の力のモーメントは
~NA′ = ~rA′ × ~FA ≈(0 , 2 + θ , −1 + 2θ
)×
(0 , 0 , −m1g
)=
(− 2m1g − θm1g , 0 , 0
),
~NB′ = ~rB′ × ~FB ≈(0 , −4 − θ , 1 − 4θ
)×
(0 , 0 , −m2g
)=
(4m2g + θm2g , 0 , 0
),
~NA′ + ~NB′ =(− 2m1g + 4m2g − θm1g + θm2g , 0 , 0
)m1=2m2=
(− θm2g , 0 , 0
)(p5.14)
となる.これより, やじろべえを{少し反時計回りに回転 ; θ > 0 ; Nx < 0 ; 棒は時計回りに回り始める少し時計回りに回転 ; θ < 0 ; Nx > 0 ; 棒は反時計回りに回り始める
(p5.15)
となることがわかる.
やじろべえはつりあいの配置 (θ = 0)からの微小な変化に対して,元の配置に戻ろうとするので,この場合,つりあいの状態は 安定 となる.
物数 I.問 6.1
[問 6-1]
図 6-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2 である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 C, D, E は直方体の頂点であり,点 B は辺の中央にある.また,点 A の座標を (1, 1, 1)とする.ただし ( , , ) の中の数値は点の座標を示す.点 P が一定の加速度
~a0 = (0 , 0 , −6) (p6.1)
で運動しているとする.次の問に答えなさい.
D
C
A
O
B
E4
2
2
図 6-1
(1) 点 P が図の点D を時刻 t = 1 に通過した.また,時刻 t = 2 に点 E を通過した.任意の時刻 t の点 Pの位置ベクトル ~rP(t) =
(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)を求めなさい.
(2) 点 Pが点 Dから点 Eまで動く間に,3点 A,B,C を含む平面を横切る時刻を求めなさい.(平面を表す方程式は [問 2]の (4)で求めました.)
[問 6-2]
なめらかな水平面上を 2人の人 A, C が運動している.それぞれの位置ベクトルは,水平面上の x-y 座標によって
~rA(t) =(− t2 + 6t − 10 , t − 3
), ~rC(t) =
(t − 2 , 2t − 8
)(p6.2)
と表されている.(z 成分はともに 0.)
Aが手に持っていたボールを水平面上で静かに放し,その後,ボールは等速度運動を行うとする.Cがこのボールをうまく受け取れるためには,Aがいつボールを放せばよいかを以下の手順で求めよう.
(1) Aがボールを放す時刻を t = t1 とする.時刻 t = t1 での A の速度ベクトル ~v1 を t1 で表しなさい.
(2) 時刻 t = t1 に A が手に持っていた ボールを水平面上で静かに放した.ボールと水平面の間には摩擦は働かないとすると,ボールは時刻 t = t1 に ~rA(t1) を通り,速度 ~v1 の等速度運動を行う.t ≥ t1 で
のボールの運動を表す位置ベクトル ~rB(t) を書き表しなさい.
(3) このボールを C が時刻 t = t2 に受け取った.(つまり,~rB(t2)= ~rC(t2) となった.)時刻 t1 と t2 を求
めなさい.
A
C
B
-6 -4 -2 2 4
-4
-2
2
4
x
y
図 6- 2
物数 I.問 6.2
[答 6-1]
この座標系について各点の座標は
B : (0, 4, 1),C : (2, 4, 2) , D : (0, 0, 2) , E : (2, 4, 0) , (p6.3)
となる.
(1) プリントの式 (24.4)より, 一定の加速度 ~a0 で運動する物体が時刻 t = t0 に位置 ~r0 を通り,その時の速度
が ~v0 である場合の位置ベクトルは
~r(t) = ~r0 + (t − t0) ~v0 +(t − t0)2
2~a0 (p6.4)
となる.点 Pは時刻 t = 1に点 Dを通るので,t0 = 1 , ~r0 =−→ODとすると,点 Pの位置ベクトルは
~rP(t) =(t − 1)2
2~a0 + (t − 1) ~v0 +
−→OD (p6.5)
と表される.問題の条件より
~rP(2) =12
~a0 + ~v0 +−→OD =
−→OE (p6.6)
なので,
~v0 =−→OE −
−→OD − 1
2~a0 =
(2 , 4 , 0
)−
(0 , 0 , 2
)+
(0 , 0 , 3
)=
(2 , 4 , 1
)(p6.7)
が得られる.(p6.7)を (p6.5)に代入して,時刻 t の点 P の位置ベクトルは以下で与えられる;
~rP(t) =(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)=
(2t − 2 , 4t − 4 , −3t2 + 7t − 2
). (p6.8)
(2) 平面を表す方程式は [問 2-4]より次式となる:
3x + y − 6z + 2 = 0 . (p6.9)
時刻 t = t1 に点 Pが平面を横切るとすると,(p6.8)を (p6.9)に代入して,t1 に対する条件,
0 = 3xP(t1) + yP(t1) − 6zP(t1) + 2 = 18t21 − 32t1 + 4 = 2(9t21 − 16t2 + 2) (p6.10)
が得られる.この方程式の解は
t1 =8 ±
√46
9(p6.11)
となるが,1 < t1 < 2なので,点 Pが平面を横切る時刻は t1 =8 +
√46
9となる.
物数 I.問 6.3
[答 6-2]
(1) A の速度ベクトル ~vA(t) は A の位置ベクトルの時間 t についての微分で得られる;~vA(t) =d~rA(t)
dt.
ベクトルの微分は各成分を微分すればよいので
~vA(t) =ddt
(− t2 + 6t − 10 , t − 3
)=
(− 2 t + 6 , 1
)(p6.12)
となる.時刻 t1 での速度ベクトルは上の式に t = t1 を代入して得られる;
~v1 =(− 2 t1 + 6 , 1
)(p6.13)
(2) ボール B は時刻 t1 に位置 ~rA(t1) にあり,速度 ~v1 で等速度運動 (等速直線運動)を行う.B の位置の変化は単位時間あたり ~v1 なので,時刻 t1 から時刻 t の間には (t− t1) ~v1 だけ位置が変化する.(プリントの式 (24.1)も参照.) 従って
~rB(t) = ~rA(t1) + (t − t1) ~v1 =((6 − 2t1) t + t21 − 10 , t − 3
)(p6.14)
となる.
(3) 条件 ~rB(t2)= ~rC(t2) は両辺のベクトルの各成分が等しいことを意味する;
(6 − 2t1) t2 + t21 − 10 = t2 − 2 , (p6.15)
t2 − 3 = 2t2 − 8 . (p6.16)
この 2式から t1 , t2 を求める.式 (p6.16)より
t2 = 5 (p6.17)
が得られる.これを式 (p6.15)に代入して t1 が満たすべき条件
t21 − 10 t1 + 17 = 0 (p6.18)
が得られる.この 2次方程式の解は 5 ± 2√
2 であるが,
t1(A がボールを放した時刻) < t2 = 5 (B がボールを受け取った時刻)
なので,Aは時刻t1 = 5 − 2
√2 (p6.19)
にボールを静かに放せばよいことがわかる.
物数 I.問 7.1
.
exp(f(t)) = ef(t) θ(シータ)
[問 7-1] これは微分の練習問題です.次の関数を変数 t について微分して,導関数を求めなさい. また,x 軸上を
運動する物体の時刻 t の x座標が x = f(t)で表される場合,時刻 t = 1 で物体は,x 軸の正の向きに動くか,負
の向きに動くか,それとも (一瞬)静止するかをそれぞれについて述べなさい.
(1) f(t) =√
t2 + 8 (2) f(t) = sin(π
3
√t2 + 8
)(3) f(t) = exp
(3 −
√t2 + 8
)(4) f(t) = sin
(π
3
√t2 + 8
)exp
(3 −
√t2 + 8
)(5) f(t) = cos
(3π
2e3−
√t2+8
)
(6) f(t) = log(√
t2 + 8 − 2)
(7) f(t) = F(sin
(π
3
√t2 + 8
)),ただし F (x) =
2√π
∫ x
0
e−s2ds, つまり F (x)は,導関数が
dF (x)dx
=
2√π
e−x2であり,F (0) = 0となる関数.
【注】 (7) でdf(t)
dt6= dF (u)
du
˛
˛
˛
˛
u=sin“
π3
√t2+8
”
=2√π
e−u2˛
˛
˛
˛
u=sin“
π3
√t2+8
”
=2√π
e−
h
sin“
π3
√t2+8
”i2
(p7.1)
であることに注意.F の導関数dF (u)
duに u = sin
“π
3
p
t2 + 8”
を代入するのではなく,F (u) に u =
sin“π
3
p
t2 + 8”
を代入した後に,t で微分する.
(参考) F (x)は 誤差関数 と呼ばれ,erf(x) などと書かれる.
[問 7-2] x-y 平面上で物体が曲線 y = cosh(x) 上を一定の速さ (速度の大きさ) |~v(t)| = 3 で左から右に動いている.物体が,点 A (0 , 1)を通る時の速度ベクトル ~v1 と加速度ベクトル ~a1,を求めたい.以下の手順に従って考
えよう.ただし
sinh(θ) =eθ − e−θ
2, cosh(θ) =
eθ + e−θ
2(p7.2)
は 双曲線関数 と呼ばれる関数で
cosh2(θ) − sinh2(θ) = 1 , (p7.3)
d sinh(θ)dθ
= cosh(θ) ,d cosh(θ)
dθ= sinh(θ) (p7.4)
などの関係式を満たす.§̈ ¥¦香中 p.29 §̈ ¥¦和達 p.18,p.232
(1) 時刻 t の物体の x 座標を x(t) と書くと,時刻 t の物体の y 座標は
y(t) = cosh(x(t)) と x(t) で表せる.この関係を用いて時刻 t での物体の
速度ベクトル ~v(t) を x(t) とdx(t)
dtを用いて表そう.
(2) 時刻 t での物体の加速度ベクトル ~a(t) を x(t),dx(t)
dtと
d2x(t)dt2
を用いて
表そう.
(3) 物体が速さ (速度の大きさ) |~v(t)| = 3 で左から右に動いている.(つまり
dx(t)/dt > 0 となっている.) このときdx(t)
dtと
d2x(t)dt2
を x(t) を用いて表そう.
(4) 物体が点 A を通る時刻を t = t1 とする.(つまり,x(t1) = 0となる.)t = t1 でのの速度と加速度をそれぞれ求めよう.
� � ����� � ��� ����� � ���� � ���� �
����
�
���
�
� ��
x
y
A
vr
物数 I.問 7.2
.
多少,複雑な関数の微分には合成関数の微分の式を何回か用いる.既に求めた結果を用いると計算が楽になる:
(1)df(t)dt
=d
dt
√t2 + 8 =
du1/2
du
∣∣∣∣u=t2+8
d(t2 + 8)dt
=12u−1/2 2t =
t√t2 + 8
. (p7.5)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=13
> 0 (p7.6)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
(2)
df(t)dt
=d
dtsin
(π
3
√t2 + 8
)=
d sin(u)du
∣∣∣∣u= π
3
√t2+8
π
3d
dt
√t2 + 8
(1)= cos(u)
π
3t√
t2 + 8
=πt
3√
t2 + 8cos
(π
3
√t2 + 8
). (p7.7)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=π
9cos(π) = −π
9< 0 (p7.8)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
(3)
df(t)dt
=d
dtexp
(3 −
√t2 + 8
)=
deu
du
∣∣∣∣u=3−
√t2+8
d(3 −√
t2 + 8)dt
= −eu d√
t2 + 8dt
(1)= − t√
t2 + 8e3−
√t2+8 . (p7.9)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
= −13
e0 = −13
< 0 (p7.10)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
(4)
df(t)dt
=d
dt
{sin
(π
3
√t2 + 8
)exp
(3 −
√t2 + 8
)}=
d sin(
π3
√t2 + 8
)dt
e3−√
t2+8 + sin(π
3
√t2 + 8
) de3−√
t2+8
dt(2,3)=
πt
3√
t2 + 8cos
(π
3
√t2 + 8
)e3−
√t2+8 − sin
(π
3
√t2 + 8
) t√t2 + 8
e3−√
t2+8
=t√
t2 + 8e3−
√t2+8
{π
3cos
(π
3
√t2 + 8
)− sin
(π
3
√t2 + 8
)}. (p7.11)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=13
e0{π
3cos(π) − sin(π)
}= −π
9< 0 (p7.12)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
(5)
df(t)dt
=d
dtcos
(3π
2e3−
√t2+8
)=
d cos(u)du
∣∣∣∣u= 3π
2 e3−√
t2+8
3π
2d
dt
(e3−
√t2+8
)(3)=
3π
2sin(u)
t√t2 + 8
e3−√
t2+8 =3πt
2√
t2 + 8sin
(3π
2e3−
√t2+8
)e3−
√t2+8 . (p7.13)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=π
2sin
(3π
2e0
)e0 = −π
2< 0 (p7.14)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
物数 I.問 7.3
(6)
df(t)dt
=d log(
√t2 + 8 − 2)dt
=log(u)
du
∣∣∣∣u=
√t2+8−2
d(√
t2 + 8 − 2)dt
(1)=
1u
t√t2 + 8
=t
(√
t2 + 8 − 2)√
t2 + 8. (p7.15)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=13
> 0 (p7.16)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
(7)
df(t)dt
=dF
(sin
(π3
√t2 + 8
))dt
=dF (u)
du
∣∣∣∣u=sin(π
3
√t2+8)
d
dtsin
(π
3
√t2 + 8
)(2)=
2√π
e−u2∣∣∣∣u=sin(π
3
√t2+8)
πt
3√
t2 + 8cos
(π
3
√t2 + 8
)=
2√
π t
3√
t2 + 8cos
(π
3
√t2 + 8
)e−[sin(π
3
√t2+8)]2 . (p7.17)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=2√
π
9cos (π) e−[sin(π)]2 = −2
√π
9e0 = −2
√π
9< 0 (p7.18)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
[答 7-2]
(1) 物体の位置ベクトルは~r(t) =
(x(t) , cosh(x(t))
)(p7.19)
と書き表すことができる.速度ベクトルは
~v(t) =d~r(t)dt
=(
dx(t)dt
,d cosh(x(t))
dt
)=
(dx(t)
dt,
d cosh(θ)dθ
∣∣∣∣θ=x(t)
dx(t)dt
)
=(
dx(t)dt
, sinh(θ)|θ=x(t)
dx(t)dt
)=
dx(t)dt
(1 , sinh(x(t))
)(p7.20)
となる.
(2) 加速度ベクトルは
~a(t) =d~v(t)dt
=d
dt
{dx(t)
dt
(1 , sinh(x(t))
)}=
d2x(t)dt2
(1 , sinh(x(t))
)+
dx(t)dt
d
dt
(1 , sinh(x(t))
)=
d2x(t)dt2
(1 , sinh(x(t))
)+
dx(t)dt
(0 ,
d sinh(θ)dθ
∣∣∣∣θ=x(t)
dx(t)dt
)=
d2x(t)dt2
(1 , sinh(x(t))
)+
(dx(t)
dt
)2 (0 , cosh(x(t))
)=
(d2x(t)
dt2,
d2x(t)dt2
sinh(x(t)) +(
dx(t)dt
)2
cosh(x(t))
)(p7.21)
となる.
物数 I.問 7.4
(3) 物体が一定の速さ 3 で運動しているという条件から
3 = |~v(t)| =∣∣∣∣dx(t)
dt
∣∣∣∣ ∣∣∣(1 , sinh(x(t)))∣∣∣ =
∣∣∣∣dx(t)dt
∣∣∣∣ √1 + (sinh(x(t))2 =
∣∣∣∣dx(t)dt
∣∣∣∣ √(cosh(x(t))2
=∣∣∣∣dx(t)
dt
∣∣∣∣ cosh(x(t)) (p7.22)
が得られる.dx(t)/dt > 0 なので dx(t)/dt は x(t) と次の関係
dx(t)dt
=3
cosh(x(t))(p7.23)
があることがわかる.次に,d2x(t)/dt2 は (p7.23)を t でもう一度微分して
d2x(t)dt2
= 3d
dt
(cosh(x(t))
)−1
= 3du−1
du
∣∣∣∣u=cosh(x(t))
d cosh(x(t))dt
= −3u−2 d cosh(θ)dθ
∣∣∣∣θ=x(t)
dx(t)dt
= −3sinh(x(t))(cosh(x(t))
)2
dx(t)dt
(p7.24)
が得られるが,この式の右辺に (p7.23)を代入して
d2x(t)dt2
= −9sinh(x(t))(cosh(x(t))
)3 (p7.25)
となる.
(4) (p7.23)と (p7.25)から t = t1 で
dx(t)dt
∣∣∣∣t=t1
=3
cosh(x(t1))=
3cosh(0)
= 3 , (p7.26)
d2x(t)dt2
∣∣∣∣t=t1
= −9sinh(x(t1))(cosh(x(t1))
)3 = −9sinh(0)(cosh(0)
)3 = 0 (p7.27)
となる.上の値を (p7.20)と (p7.21)に代入して点 Aでの速度と加速度は
~v1 = ~v(t1) =dx(t)
dt
∣∣∣∣t=t1
(1 , sinh(x(t1))
)= 3
(1 , sinh(0)
)= (3 , 0) , (p7.28)
~a1 = ~a(t1) =
d2x(t)dt2
∣∣∣∣t=t1
,d2x(t)
dt2
∣∣∣∣t=t1
sinh(x(t1)) +
(dx(t)
dt
∣∣∣∣t=t1
)2
cosh(x(t1))
=
(0 , (3)2 cosh(0))
)= (0 , 9) (p7.29)
となる.
物数 I.問 8.1
.
sin(α) cos(β) =1
2
“
sin(α − β) + sin(α + β)”
cos(α) cos(β) =1
2
“
cos(α − β) + cos(α + β)”
, sin(α) sin(β) =1
2
“
cos(α − β) − cos(α + β)”
cos(0) = 1 , sin(0) = 0 ea+b = ea eb d log |t + a|dt
=1
t + a, log(1) = 0
[問 8] 積分の練習問題
次の関数 f(t) が x 軸上を運動する物体の時刻 t の速度 (の x成分),vx(t),であるとする.x(0) = 5 である場合に,任意の時刻 t での物体の x座標,x(t),を求めなさい.
(1) f(t) = 6t2 + 2t + 3 (2) f(t) = sin(2t
)(3) f(t) = 5 cos
(3t
)
(4) f(t) = 2 sin2(5t
)(5) f(t) = 5 cos2
(2t
)(6) f(t) = 4 sin
(2t
)cos
(3t
)
(7) f(t) = 4 sin(2t
)sin
(4t
)(8) f(t) = 4 cos
(3t
)cos
(4t
)(9) f(t) = 10 exp(−5t + 3)
(10) f(t) =
0 ; t < 4
2 − 4t−2 ; 4 ≤ t
t < 4 と 4 ≤ t のそれぞれの場合の x(t) を求めてください.
(11) f(t) =
0 ; t < 2
4 − 4(t−1)2 ; 2 ≤ t < 3
3 ; 3 ≤ t
t < 2,2 ≤ t < 3,3 ≤ t のそれぞれの場合の x(t) を求めてください.
【注】exp(f(t)) = ef(t),sin2(α) =(
sin(α))2
,cos2(α) =(
cos(α))2
物数 I.問 8.2
.
[答 8]
時刻 t での物体の位置 x(t) は
x(t) = x(0) +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 5 +∫ t
0
vx(t′) dt′ (p8.1)
より求まる.
(1)
x(t) = 5 +∫ t
0
(6(t′)2 + 2t′ + 3
)dt′ = 5 +
[2(t′)3 + (t′)2 + 3t′
]t′=t
t′=0= 2t3 + t2 + 3t + 5 . (p8.2)
なお,vx(t) の不定積分
x(t) =∫ (
6t2 + 2t + 3)
dt = 2t3 + t2 + 3t + C (p8.3)
より,初期条件 x(0) = 5 から積分定数 C = 5を決めてもよい.(以下の問についても同様.)
(2)
x(t) = 5 +∫ t
0
sin(2t′)dt′ = 5 +[−1
2cos(2t′)
]t′=t
t′=0
= 5 − 12
cos(2t) +12
= −12
cos(2t) +112
. (p8.4)
(3)
x(t) = 5 +∫ t
0
5 cos(3t′)dt′ = 5 +[53
sin(3t′)]t′=t
t′=0
= 5 +53
sin(3t) . (p8.5)
(4)
sin2(α) =12
(1 − cos(2α)
)(p8.6)
を用いる.
x(t) = 5 + 2∫ t
0
sin2(5t′)dt′ = 5 +∫ t
0
(1 − cos(10t′)
)dt′ = 5 +
[t′ − 1
10sin(10t′)
]t′=t
t′=0
= 5 + t − 110
sin(10t) . (p8.7)
(5)
cos2(α) =12
(1 + cos(2α)
)(p8.8)
を用いる.
x(t) = 5 + 5∫ t
0
cos2(2t′)dt′ = 5 +52
∫ t
0
(1 + cos(4t′)
)dt′ = 5 +
52
[t′ +
14
sin(4t′)]t′=t
t′=0
= 5 +52t +
58
sin(4t) . (p8.9)
(6)
sin(2t) cos(3t) =12
(sin(5t) − sin(t)
)(p8.10)
を用いる.
x(t) = 5 + 4∫ t
0
sin(2t′) cos(3t′)dt′ = 5 +42
∫ t
0
(sin(5t′) − sin(t′)
)dt′ = 5 + 2
[−1
5cos(5t′) + cos(t′)
]t′=t
t′=0
= 5 + 2(− 1
5cos(5t) + cos(t) +
15− 1
)= −2
5cos(5t) + 2 cos(t) +
175
. (p8.11)
物数 I.問 8.3
(7)
sin(2t) sin(4t) =12
(cos(2t) − cos(6t)
)(p8.12)
を用いる.
x(t) = 5 + 4∫ t
0
sin(2t′) sin(4t′)dt′ = 5 +42
∫ t
0
(cos(2t′) − cos(6t′)
)dt′ = 5 + 2
[12
sin(2t′) − 16
sin(6t′)]t′=t
t′=0
= 5 + 2(1
2sin(2t) − 1
6sin(6t)
)= sin(2t) − 1
3sin(6t) + 5 . (p8.13)
(8)
cos(3t) cos(4t) =12
(cos(t) + cos(7t)
)(p8.14)
を用いる.
x(t) = 5 + 4∫ t
0
cos(3t′) cos(4t′)dt′ = 5 +42
∫ t
0
(cos(t′) + cos(7t′)
)dt′ = 5 + 2
[sin(t′) +
17
sin(7t′)]t′=t
t′=0
= 5 + 2 sin(t) +27
sin(7t) . (p8.15)
(9) exp(−5t + 3) = e3 e−5t なので
x(t) = 5 + 10 e3
∫ t
0
e−5t′dt′ = 5 + 10 e3
[−1
5e−5t′
]t′=t
t′=0
= 5 − 2e3(e−5t − 1
)= 5 + 2e3 − 2e−5t+3 . (p8.16)
(10) t < 4 の場合と 4 ≤ tの場合について別々に考える.
t < 4 の場合 x(t) = 5 +∫ t
0
0 dt′ = 5 , (p8.17)
4 ≤ t の場合 x(t) = 5 +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 5 +∫ 4
0
vx(t′) dt′ +∫ t
4
vx(t′) dt′ = 5 + 2∫ t
4
(1 − 2
t′ − 2
)dt′
= 5 + 2[t′ − 2 log |t′ − 2|
]t′=t
t′=4= 5 + 2
(t − 2 log(t − 2) − 4 + 2 log(2)
)= 2t − 4 log(t − 2) + 4 log(2) − 3
(= 2t + 4 log
(2
t − 2
)− 3
). (p8.18)
(11) t < 2,2 ≤ t < 3と 3 ≤ t の場合について別々に考える.
t < 2 の場合 x(t) = 5 +∫ t
0
0 dt′ = 5 , (p8.19)
2 ≤ t < 3 の場合 x(t) = 5 +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 5 +∫ 2
0
vx(t′) dt′ +∫ t
2
vx(t′) dt′
= 5 + 4∫ t
2
(1 − (t′ − 1)−2
)dt′ = 5 + 4
[t′ + (t′ − 1)−1
]t′=t
t′=2= 5 + 4
(t +
1t − 1
− 2 − 1)
= 4t +4
t − 1− 7
(=
4t2 − 11t + 11t − 1
), (p8.20)
3 ≤ t の場合 x(t) = 5 +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 5 +∫ 2
0
vx(t′) dt′ +∫ 3
2
vx(t′) dt′ +∫ t
3
vx(t′) dt′
= 5 + 4∫ 3
2
(1 − (t′ − 1)−2
)dt′ + 3
∫ t
3
dt′(p8.20) に t = 3 を代入
= 7 + 3(t − 3)
= 3t − 2 . (p8.21)
物数 I.問 9.1
[問 9-1]
質量 m の物体に力 ~F を加えると,加速度 ~a =1m
~F を生じる.
時刻 t = 0 に原点 x = 0 で静止していた質量 m の物体が,力 ~F (t) = (Fx(t) , 0 , 0);
Fx(t) =
0 ; t ≤ 0
F0
(1 − cos
(2π t
T
)); 0 < t ≤ T
0 ; T < t
(p9.1)
を受けて x 軸上を運動する.
(1) 0 < t ≤ T での物体の位置 x(t) を求めなさい.
(2) T < tでの物体の位置 x(t) を求めなさい.
[問 9-2]
滑らかな水平面 (x-y平面)上を運動する質量 m = 1 の物体を考える.時刻 t = 0 で物体は ~r(0) = (0 , 3) の位置にあり,速度 ~v0 = (1 , 0) を持つ.この物体に,時刻 t = t1( > 0 ) から t = t1 + 1 まで力
~F (t) =
~0 ; t < t1(
1 − cos(2π(t − t1)))
~F0 ; t1 ≤ t < t1 + 1~0 ; t1 + 1 ≤ t
(p9.2)
を加える.ここで,~F0 = (−2,−3) (p9.3)
は定ベクトルを表す.力を加えて物体の軌道を変えて,物体が原点を通るようにしたい.力を加え始める時刻,t1,
を以下の手順で求めよう:
(1) 時刻 t > t1 + 1 では物体は等速度運動を行う:
~r(t) = ~r(t1 + 1) + ~v(t1 + 1)(t − t1 − 1) . (p9.4)
~r(t1 + 1)と ~v(t1 + 1)を t1 を用いて表しなさい.
(2) この質点が t1 + 1 以降の時刻 t2 で原点を通るという条件
~r(t1 + 1) + ~v(t1 + 1)(t2 − t1 − 1) = ~0 (p9.5)
から t1 と t2 を求めなさい.
物数 I.問 9.2
[答 9-1]
(1) 0 < t ≤ T での物体の加速度の x 成分,ax は
ax(t) =1m
Fx(t) =F0
m
(1 − cos
(2π
t
T
))(p9.6)
となるので,
vx(t) = vx(0) +∫ t′=t
t′=0
ax(t′)dt′ =F0
m
∫ t′=t
t′=0
(1 − cos
(2π
Tt′))
dt′
=F0
m
[t′ − T
2πsin
(2π
Tt′)]t′=t
t′=0
=F0
m
(t − T
2πsin
(2π
Tt
))(p9.7)
となる.次に,vx(t)を積分する:
x(t) = x(0) +∫ t′=t
t′=0
vx(t′)dt′ =F0
m
∫ t′=t
t′=0
(t′ − T
2πsin
(2π
Tt′))
dt′
=F0
m
[(t′)2
2+
T 2
4π2cos
(2π
Tt′)]t′=t
t′=0
=F0
m
(t2
2+
T 2
4π2cos
(2π
Tt
)− T 2
4π2
). (p9.8)
(2) T < t では加速度が 0なので,物体は等速度運動を行う.従って
x(t) = x(T ) + vx(T )(t − T ) (p9.9)
となる.(p9.7)より vx(T ) =F0T
m,(p9.8)より x(T ) =
F0T2
2mなので,以下を得る:
x(t) =F0T
2
2m+
F0T
m(t − T ) =
F0T
m
(t − T
2
). (p9.10)
[答 9-2]
(1) 時刻 t1 ≤ t < t1 + 1 での速度ベクトルは
~v(t) = ~v(0) +∫ t′=t
t′=0
~a(t′)dt′ = ~v(0) +∫ t′=t
t′=t1
~a(t′)dt′ = ~v(0) + ~F0
∫ t′=t
t′=t1
{1 − cos (2π(t′ − t1))} dt′
= ~v(0) + ~F0
[t′ − 1
2πsin (2π(t′ − t1))
]t′=t
t′=t1
= ~v(0) + (t − t1)~F0 −~F0
2πsin (2π(t − t1)) (p9.11)
となる.これより
~v(t1 + 1) = ~v(0) + ~F0 =(− 1 , −3
)(p9.12)
が得られる.
物数 I.問 9.3
時刻 t1 ≤ t < t1 + 1 での位置ベクトルは
~r(t) = ~r(0) +∫ t′=t
t′=0
~v(t′)dt′ = ~r(0) +∫ t′=t1
t′=0
~v(t′)dt′ +∫ t′=t
t′=t1
~v(t′)dt′ = ~r(0) + t1~v(0) +∫ t′=t
t′=t1
~v(t′)dt′
= ~r(0) + t1~v(0) +∫ t′=t
t′=t1
{~v(0) + ~F0
(t′ − t1 −
12π
sin (2π(t′ − t1)))}
dt′
= ~r(0) + t1~v(0) + (t − t1)~v(0) + ~F0
[(t′ − t1)2
2+
14π2
cos (2π(t′ − t1))]t′=t
t′=t1
= ~r(0) + t~v(0) + ~F0
{(t − t1)2
2+
14π2
cos (2π(t − t1)) −1
4π2
}(p9.13)
となる.これより
~r(t1 + 1) = ~r(0) + (t1 + 1)~v(0) +~F0
2=
(t1 + 1 − 1 , 3 − 3
2
)=
(t1 ,
32
)(p9.14)
が得られる.
(2)
(0 , 0) = ~r(t1 + 1) + ~v(t1 + 1)(t2 − t1 − 1) =(
t1 ,32
)+ (t2 − t1 − 1)
(− 1 , −3
)=
(t1 − t2 + t1 + 1 ,
32− 3t2 + 3t1 + 3
)=
(2t1 − t2 + 1 ,
92− 3t2 + 3t1
)(p9.15)
より,連立方程式
2t1 − t2 + 1 = 0 ,92− 3t2 + 3t1 = 0 (p9.16)
を解いて
t1 =12
, t2 = 2 (p9.17)
が得られる.
� � ����� � ���� � � �� � ����
� �
�
�
x
y112
t =
いくつかの t1 の値に対する ~r(t)
物数 I.問 10.1
[問 10-1]
(1) x 軸上を正の向きに速さ v0 で運動している物体に,大きさ一定の力を x 軸の負の向きに加えて停止させた.
力を加え始めてから物体が止まるまでにかかる時間が t1,力を加え始めてから止まるまでに物体が進んだ距
離が `0であるとき,v0を t1と `0で表しなさい。また,この力により物体に生じる加速度の大きさ a0を t1
と `0 で表しなさい。
(2) ある速さで走っている車にブレーキをかける.車はブレーキをかけ始めてから 2 s で止まり,止まるまでに10m 進んだ.このとき車は時速何キロで走っていたかを求めなさい.ただし,ブレーキをかけている間,車には一定の加速度が生じるとする.単位に注意して計算すること.
[問 10-2]
滑らかな水平面 (x-y平面)上を運動する質量 m = 3 の物体を考える.この物体に,時刻 t = 1 から t = 2 まで力
~F (t) =
~0 ; t < 1
π2 sin (πt) ~F0 ; 1 ≤ t < 2
~0 ; 2 ≤ t
(p10.1)
を加える.時刻 t = 0 での物体の位置を ~r(0) = ~r0,速度を ~v(0) = ~v0 としたとき,以下に答えなさい.ただし,~F0,~r0,~v0 は定ベクトルを表す.
(1) 時刻 0 ≤ t < 1 での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(2) 時刻 1 ≤ t < 2 での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(3) 時刻 2 ≤ t での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(4) ~r0 = (0, 3),~v0 = (1, 0) の場合に,この物体が時刻 t = 3 に原点を通るように,~F0 を定めなさい.
物数 I.問 10.2
.
[答 10-1]
(1) 物体に加わる力による物体の加速度の x 成分は ax(t) = −a0 となる.物体に力を加え始める時刻を t = 0,そのときの物体の x 座標を x(0) = 0 とする.物体が停止する時刻は t = t1 なので.t = 0 から t = t1 まで
のあいだの時刻では物体の速度は
vx(t) = vx(0) +∫ t
0
ax(t′)dt′ = v0 − a0
∫ t
0
dt′ = v0 − a0t , 0 ≤ t ≤ t1 (p10.2)
となる.また,物体の位置は
x(t) = x(0) +∫ t
0
vx(t′)dt′ =∫ t
0
(v0 − a0t
′)dt′ =
[v0t
′ − a0(t′)2
2
]t′=t
t′=0
= v0t − a0t2
2, 0 ≤ t ≤ t1 (p10.3)
となる.条件 vx(t1) = 0と x(t1) = `0 より
0 = v0 − a0t1 , `0 = v0t1 − a0t212
(p10.4)
が得られる.これらを v0 と a0 についての連立方程式と考えて
v0 =2`0t1
, a0 =2`0t21
(p10.5)
が得られる.
(2) 式 (p10.5)を用いる.`0 = 10 m,t1 = 2 s なので,
v0 = 10 m/s (p10.6)
となる.次に v0 の単位を [km/時] に変換する.速さ 10 m/sの車は 1時間つまり 60 × 60 s に
10 × 60 × 60 m = 3.6 × 104 m = 36 km (p10.7)
進むので,車は時速 36 km/時 で進んでいたことになる.
[答 10-2]
物体の加速度は ~a(t) =1m
~F (t) より
~a(t) =
~0 ; t < 1
π6 sin (πt) ~F0 ; 1 ≤ t < 2
~0 ; 2 ≤ t
(p10.8)
となる.
物数 I.問 10.3
(1)
~v(t) = ~v0 +∫ t
0
~a(t′)dt′ = ~v0 , t < 1 (p10.9)
より
~r(t) = ~r0 +∫ t
0
~v(t′)dt′ = ~r0 + ~v0 t , t < 1 (p10.10)
となる.0 ≤ t < 1 では物体は等速度運動をすることから,直接,上の式を導いても構わない.
(2)
~v(t) = ~v(1) +∫ t
1
~a(t′)dt′ = ~v0 +π
6~F0
∫ t
1
sin(πt′)dt′ = ~v0 +π
6~F0
[− 1
πcos(πt′)
]t′=t
t′=1
= ~v0 −~F0
6(1 + cos(πt)) , 1 ≤ t < 2 (p10.11)
より
~r(t) = ~r(1) +∫ t
1
~v(t′)dt′ = ~r0 + ~v0 +∫ t
1
{~v0 −
~F0
6(1 + cos(πt′))
}dt′
= ~r0 + ~v0 +
[~v0t
′ −~F0
6
(t′ +
1π
sin(πt′))]t′=t
t′=1
= ~r0 + ~v0 + ~v0(t − 1) −~F0
6
(t − 1 +
1π
sin(πt))
= ~r0 + ~v0t −~F0
6
(t − 1 +
1π
sin(πt))
, 1 ≤ t < 2 (p10.12)
となる.
(3)
~v(t) = ~v(2) +∫ t
2
~a(t′)dt′ = ~v(2) = ~v0 −~F0
6(1 + cos(2π)) = ~v0 −
~F0
3, 2 ≤ t (p10.13)
より
~r(t) = ~r(2) +∫ t
2
~v(t′)dt′ = ~r(2) + ~v(2)(t − 2) = ~r0 + 2~v0 −~F0
6
(1 +
1π
sin(2π))
+ (t − 2)
(~v0 −
~F0
3
)
= ~r0 + t~v0 −~F0
6(2t − 3) , 2 ≤ t (p10.14)
となる.
(4) 条件
~0 = ~r(3) = ~r0 + 3~v0 −~F0
2(p10.15)
より~F0 = 2~r0 + 6~v0 = (6 , 6) (p10.16)
となる.
物数 I.問 11.1
[問 11-1]
質量mのボールを水平面上の点 Oから,初速度の大きさ v0 は一定
で,水平面との角度 θをいろいろ変えて上方に向かって投げる.点O
から距離v20
2gだけ離れた水平面上の点 Aにボールが落下するために
はどの角度にボールを投げればよいか? tan(θ)を求めなさい.ただし,重力加速度の大きさを g とし,空気の抵抗が無視できるとする.
��� � ���� ���� ���� ����
��� �
����
����
����
����
O
A
2
0
g
vz
2
0
g
vx
図 11-1
[問 11-2]
質量 m のボールを丘の斜面上の点 Oから,初速度の大きさ v0,水平面と θ = π/4 の角度 で上方に投げる.図11-2に示すように,z 軸を鉛直上向きにとり,ボールが x-z 平面内を運動するように x 軸を水平にとる.丘の表
面は
z =12x
(1 − x
2L
)(p11.1)
で表わされるとする.重力加速度の大きさを g とし,空気の抵抗が無視できるとする.以下の問に答えなさい.
(1) ボールを投げてから丘の表面ににぶつかるまでの時間 t1 とぶつかる点 A の x 座標 x1 と を求めなさい。
(2) ボールが丘の向こう側にとどく (x1 > L)ための v0 の条件を求めなさい.
� � �
����� �
���� �
���
���
���
1
Lx
1
Lz
O A
A
図 11-2
物数 I.問 11.2
[答 11-1]
点Oを原点とし,z 軸を鉛直上向きにとり,ボールが x-z 平面内を運動するように x 軸を水平にとる.時刻 t = 0にボールを投射したとする.初期条件は
~r(0) = (0 , 0 , 0) , ~v(0) =(v0 cos(θ) , 0 , v0 sin(θ)
)(p11.2)
となり,点 Aに落下するまでのボールの位置ベクトル ~r(t) =(x(t) , y(t) , z(t)
)は
x(t) = v0 cos(θ) t , y(t) = 0 , z(t) = −12gt2 + v0 sin(θ) t (p11.3)
と表される.
ボールが点 Aに到達する時刻を t1 とすると,条件より
v20
2g= v0 cos(θ)t1 , 0 = −g
2t21 + v0 sin(θ) t1 (p11.4)
が成り立つ.最初の式より得られる t1 =v0
2g cos(θ)を 2番目の式に代入して t1 を消去すると
0 = − v20
8g cos2(θ)+
v20
2g
sin(θ)cos(θ)
(p11.5)
が得られる.1
cos2(θ)= 1 + tan2(θ) なので,tan(θ)についての方程式
0 = tan2(θ) − 4 tan(θ) + 1 (p11.6)
が得られる.これより
tan(θ) = 2 ±√
3 (p11.7)
となる.
【注】
軌道の式
z = − g
2v20
x2
cos2(θ)+ tan(θ)x (p11.8)
に,x =v20
2g,z = 0を代入して (p11.6)を求めてもよい.あるいは,z = 0を因数分解すると
0 = − g
2v20 cos 2(θ)
x
(x − v2
0 sin(2θ)g
)(p11.9)
となるが,関係するのは x =v20 sin(2θ)
gなので,
v20
2g=
v20 sin(2θ)
g(p11.10)
より
sin(2θ) =12
(p11.11)
から,
θ =π
12, θ =
5π
12(p11.12)
となる.これから tan(θ) = 2 ±√
3を出してもよい。
物数 I.問 11.3
(参考)初速度の速さ v0を固定して,角度 θをいろいろ変えた場合に,物体が到達できる範囲を考える。物体が位置 (x0 , z0)に到達できるとすると,軌道の式 (p11.8)より
z0 = −gx20
2v20
(1 + tan2(θ)
)+ tan(θ)x0 (p11.13)
が得られる.この式を tan(θ)についての 2次式
tan2(θ) − 2v20
gx0tan(θ) +
2v20z0
gx20
+ 1 = 0 (p11.14)
と考えて,tan(θ)が実解を持つための条件 (v20
gx0
)2
− 2v20z0
gx20
− 1 ≥ 0 (p11.15)
より,
z0 ≤ v20
2g− g
2v20
x2 (p11.16)
が得られる。(下図の破線の下の領域)
物数 I.問 11.4
[答 11-2]
時刻 t = 0 にボールを投射したとする.初期条件は
~r(0) = (0 , 0 , 0) , ~v(0) =( v0√
2, 0 ,
v0√2
)(p11.17)
となり,点 Aに落下するまでのボールの位置ベクトル ~r(t) =(x(t) , y(t) , z(t)
)は
x(t) =v0√2
t , y(t) = 0 , z(t) = −12gt2 +
v0√2
t (p11.18)
と表される.
(1) ボールが点 Aに到達する時刻を t1 とすると,条件より
z(t1) = − 14L
x(t1)2 +12x(t1) (p11.19)
となっている.(p11.18)を代入して得られる t1 に対する方程式
−g
2t21 +
v0√2
t1 = − v20
8Lt21 +
v0
2√
2t1 (p11.20)
より
t1 =v0
2√
2
g2 − v2
08L
=L
v0
2√
24gLv20
− 1(p11.21)
また,x1 =v0√2t1 より
x1 =2L
4gLv20
− 1(p11.22)
が得られる.
【注】v0 ≥ 2√
gLの速さでボールを投げると,ボールの軌道 (放物線)が,丘の表面より緩やかに減少することになるので,(もし丘が無限に続くとすると)ボールは丘の表面に永久にぶつからずに落下していく。
(2) x1 > Lより v0 についての条件 √43gL < v0
(< 2
√gL
)(p11.23)
が得られる.
物数 I.問 12.1
[問 12-1]
空気の抵抗が無視できる場合の質量 m のボールの運動を考える.図 12-1に示すように,点 O から 水平に 2L 離
れた位置に高さ L の垂直な崖がある.点 O を座標系の原点にとり,z 軸を鉛直上向きにとる.また, x 軸を点 Oから崖に向かって水平にとる.点 O から,初速度の大きさ v0 で水平面と θ =
π
3の角度にボールを投げる.ボー
ルが崖の上に届くために必要な v0 の最小値 vmin 求めなさい.ただし,崖の上の地面は水平とする.また,重力
加速度の大きさを g とする.
O
L
x2L
図 12-1
[問 12-2]
(1) −3 ≤ t ≤ 3 の範囲で
x(t) = 3 sin(2π
3t − π
6
)(p12.1)
のグラフの概形を描きなさい.山や谷,横軸を横切る点の t の値を書きなさい.
(2) x 軸上で原点を中心に単振動を行う物体を考える.時刻 t = 0 の物体の x 座標が x(0) = 5,速度の x 成
分が vx(0) = 2であった.この物体が,次に同じ位置と速度になる時刻を t = π とする.つまり,x(π) =5 , vx(π) = 2.このとき,この物体の任意の時刻 t での x 座標 x(t) を書きなさい.また,振幅を求めなさい.
物数 I.問 12.2
.
[答 12-1]
時刻 t = 0 にボールを投げるとすると,ボールの運動は地面に衝突するまでは
x(t) = v0 cos(θ) t =v0
2t , z(t) = v0 sin(θ) t − g
2t2 =
√3v0
2t − g
2t2 (p12.2)
と表される.ボールの x 座標が 2L となった時刻 t1 でのボールの z 座標が L 以上であればよい:
x(t1) = 2L , z(t1) ≥ L . (p12.3)
(p12.3)の最初の方程式より得られる t1 =4L
v0を 2番目の不等式に代入して
√3v0
24L
v0− g
216L2
v20
≥ L (p12.4)
より v0 に対する条件は
v0 ≥
√8gL
2√
3 − 1(p12.5)
となる.つまり,ボールを崖の上に届かせるために必要な v0 の最小値 vmin は
vmin = 2
√2gL
2√
3 − 1
= 2
√2(2
√3 + 1)gL
11
(p12.6)
となる.
【注】
ボールの z 座標が L となった時刻 t2 でのボールの x 座標が 2L 以上という条件
z(t2) = L , x(t2) ≥ 2L (p12.7)
を用いてもよい.(p12.7)の最初の方程式 √3v0
2t2 −
g
2t22 = L (p12.8)
の解は,v20 ≥ 8gL
3の場合,t =
√3v0
2g
(1 ±
√1 − 8gL
3v20
)となるが,ボールが落ちてくる場合の時刻を選ぶ必要が
あるので
t2 =√
3v0
2g
(1 +
√1 − 8gL
3v20
)(p12.9)
が得られる.t2 を (p12.7)の 2番目の不等式に代入して
√3v2
0
4g
(1 +
√1 − 8gL
3v20
)≥ 2L より
√1 − 8gL
3v20
≥ 8gL√3v2
0
− 1 (p12.10)
が得られる.8gL√3v2
0
> 1,つまり v20 <
8gL√3の場合は,不等式の両辺を 2乗して
1 − 8gL
3v20
≥ 1 − 16gL√3v2
0
+64g2L2
3v40
(p12.11)
より,条件8gL
2√
3 − 1≤ v2
0
(<
8gL√3
)(p12.12)
を得る.また,8gL√3v2
0
− 1 ≤ 0,つまり v20 ≥ 8gL√
3の場合は,(p12.10)は自動的に成り立つ.以上から,v2
0 に対す
る条件は
v20 ≥ 8gL
2√
3 − 1(p12.13)
となる.
物数 I.問 12.3
.
sin(α + β) = sin(α) cos(β) + cos(α) sin(β) , cos(α + β) = cos(α) cos(β) − sin(α) sin(β)
[答 12-2]
(1)
� � ��� ��� � � �
� �
���
���
�
�
� ( )x t
t
山の位置は2π
3t − π
6=
π
2+ 2πn より t = 3n + 1 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (p12.14)
を満たす t となる.従って,t = −2 , 1 となる.
谷の位置は
2π
3t − π
6= −π
2+ 2πn より t = 3n − 1
2= 3n − 0.5 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (p12.15)
を満たす t となる.従って,t = −0.5 , 2.5 となる.
x(t) = 0となるのは
2π
3t − π
6= πn より t =
32n +
14
= 1.5n + 0.25 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (p12.16)
を満たす t となる.従って,t = −2.75 , −1.25 , 0.25 , 1.75 となる.
(2)x(t) = A cos(ωt) + B sin(ωt) (p12.17)
とおいて,A , B , ωを求める.
x(0) = A = 5 , vx(0) = ωB = 2 . (p12.18)
また,問題の条件より,単振動の周期は T = πなので,ω = 2π/T = 2.従って A = 5 , B = 1 , ω = 2より
x(t) = 5 cos (2t) + sin (2t) (p12.19)
となる.単振動の振幅 R は
R =√
A2 + B2 =√
26 (p12.20)
となる.
【注】
x(t) = R cos(ωt + φ
)(p12.21)
という式から出発してもよい.条件
x(0) = R cos(φ) = 5 , vx(0) = −ωR sin(φ) = 2 , ω = 2 (p12.22)
より
R =
√x(0)2 +
(vx(0)
ω
)2
=√
25 + 1 =√
26 (p12.23)
が得られる.初期位相 φ は
cos(φ) =5√26
, sin(φ) = − 1√26
, 0 ≤ φ < 2π (p12.24)
より定まる.