7
3 4ものづくりの基盤を支える教育・研究開発 第3節   産業力強化のための研究開発の推進 1. ものづくりに関する基盤技術の研究開発 「ものづくり技術」は、製品、プロセス等に新たな価 値を付加し、産業の国際競争力の強化のほか、生活水準 の向上や安全・安心などの国民生活の課題解決に貢献す るものである。第3期科学技術基本計画(2006年3月 28日閣議決定)においては、国の存立にとって基盤的 であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題を 重視して研究開発を推進する「推進4分野」の1つとし て位置付けられ、これまで重点的に推進されてきた。ま た、2010年に総合科学技術会議において決定された第 4期科学技術基本計画へとつながる「科学技術に関する 基本政策について」の中でも産業競争力の強化へ向け、 「ものづくり技術」の共通基盤の構築の必要性が求めら れている。今後も引き続き、ものづくりを基盤としたイ ノベーション創出に向け、最先端の計測分析技術・機器、 高精度シミュレーション技術の研究開発並びに最先端の 大規模研究開発基盤の着実な整備及び共用を通じて、我 が国独自の価値創造型ものづくり基盤技術の研究開発に 取り組むことが重要である。 (1)ものづくりのフロンティアを開拓する最先端の計 測分析技術・機器の研究開発 ①ものづくりのニーズに応える新しい計測分析技術・機 器や精密加工技術の研究開発 計測分析技術・機器は、世界最先端の独創的な研究開 発成果の創出を支える共通的な基盤であるとともに、そ の研究開発の成果がノーベル賞の受賞につながることも 多く、科学技術の進展に不可欠なキーテクノロジーであ る。このため、「研究成果展開事業(先端計測分析技術・ 機器開発プログラム)」((独)科学技術振興機構)を通じ、 世界最先端の研究者やものづくり現場のニーズに応えら れる、我が国発のオンリーワン・ナンバーワンの計測分 析技術・機器の開発と、その実用化・企業化等を推進し ている。 2011年度には、グリーンイノベーションへの貢献と して、燃料電池、蓄電池等の飛躍的な性能向上と低コス ト化を目指す優れた研究開発成果の創出を図る上でボト ルネックとなっている計測分析技術・機器の開発に着手 した。また、開発された最先端のプロトタイプ機を研究 現場に投入し、多くのユーザーによる利用を通じて得ら れる様々な知見を開発にフィードバックさせ、機器の更 なる高度化、普及に向けた活動を行うための取組も開始 した。なお、2011年度末の時点において、開発された プロトタイプ機が製品化に至った事例は20件を超える 状況となっている。 ②スーパー・アナライザー開発テクノロジー研究 (独)理化学研究所では、独自の鏡面加工技術を高度 化し、ナノレベルの表面精度を持ち、高硬質かつ脆性を 有するレーザー結晶と、このレーザー結晶に集光する大 口径光学素子の加工技術を確立した。今後は、「観察する」 「加工する」「解析する」クリティカルコンポーネント(心 臓部品)をオンデマンドで開発するプラットフォーム構 築を目指していくとともに、特に光研究領域に必須とな る先端機器開発の高度化のために、物質の形と粗さを同 時に制御できるブロードバンド加工システムへと発展さ せていく。 (2)イノベーション創出の基盤となるシミュレーショ ンソフトウェアの研究開発 ものづくりに必要となる高性能・精緻化した最先端の 複雑・大規模シミュレーションソフトウェアの研究開発 を緊密な産学連携体制の下で推進した(イノベーション 創出の基盤となるシミュレーションソフトウェアの研究 開発事業)。本事業で開発したソフトウェアは、フリー ソフトウェアとして広く一般に公開している。2011 年度は、中小企業を含む産業界のニーズを踏まえたシミ ュレーションソフトウェアの実用化に向けた評価・試験 を実施した。また、更なる産業界への利用拡大を図るた めに、数値解析に対して専門的な知識を持たない産業界 ユーザーでも、シミュレーションが容易に実現できるよ うなユーザーインターフェースを研究開発した。これに より、開発したソフトウェアの産業界における普及が更 に加速されることが期待される。 (3)最先端の大規模研究開発基盤の整備・活用の推進 ① X線自由電子レーザー施設(SACLA)の整備・共用 SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)は、波がそろっており、短パルスの 光である「レーザー」と、原子を見分けることのできる 高い空間分解能を持った輝度の高い光である「放射光」 の両者の特徴を併せ持つ光である「X線自由電子レーザ ー」を利用できる世界最高性能の研究基盤施設である。 この光を用いることで、例えば、原子レベルの超微細構 造、化学反応の超高速動態・変化を瞬時に計測・分析す ることが可能になる。第3期科学技術基本計画における 国家基幹技術として、2006年度より国内の300以上の 203

第3節 産業力強化のための研究開発の推進 - METI第 3節 産業力強化のための研究開発の推進 第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

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  • 第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    第3節   産業力強化のための研究開発の推進

    1. ものづくりに関する基盤技術の研究開発「ものづくり技術」は、製品、プロセス等に新たな価値を付加し、産業の国際競争力の強化のほか、生活水準の向上や安全・安心などの国民生活の課題解決に貢献するものである。第3期科学技術基本計画(2006年3月28日閣議決定)においては、国の存立にとって基盤的であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題を重視して研究開発を推進する「推進4分野」の1つとして位置付けられ、これまで重点的に推進されてきた。また、2010年に総合科学技術会議において決定された第4期科学技術基本計画へとつながる「科学技術に関する基本政策について」の中でも産業競争力の強化へ向け、「ものづくり技術」の共通基盤の構築の必要性が求められている。今後も引き続き、ものづくりを基盤としたイノベーション創出に向け、最先端の計測分析技術・機器、高精度シミュレーション技術の研究開発並びに最先端の大規模研究開発基盤の着実な整備及び共用を通じて、我が国独自の価値創造型ものづくり基盤技術の研究開発に取り組むことが重要である。

    (1)ものづくりのフロンティアを開拓する最先端の計測分析技術・機器の研究開発

    ①ものづくりのニーズに応える新しい計測分析技術・機器や精密加工技術の研究開発計測分析技術・機器は、世界最先端の独創的な研究開

    発成果の創出を支える共通的な基盤であるとともに、その研究開発の成果がノーベル賞の受賞につながることも多く、科学技術の進展に不可欠なキーテクノロジーである。このため、「研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)」((独)科学技術振興機構)を通じ、世界最先端の研究者やものづくり現場のニーズに応えられる、我が国発のオンリーワン・ナンバーワンの計測分析技術・機器の開発と、その実用化・企業化等を推進している。2011年度には、グリーンイノベーションへの貢献として、燃料電池、蓄電池等の飛躍的な性能向上と低コスト化を目指す優れた研究開発成果の創出を図る上でボトルネックとなっている計測分析技術・機器の開発に着手した。また、開発された最先端のプロトタイプ機を研究現場に投入し、多くのユーザーによる利用を通じて得られる様々な知見を開発にフィードバックさせ、機器の更なる高度化、普及に向けた活動を行うための取組も開始した。なお、2011年度末の時点において、開発された

    プロトタイプ機が製品化に至った事例は20件を超える状況となっている。

    ②スーパー・アナライザー開発テクノロジー研究(独)理化学研究所では、独自の鏡面加工技術を高度化し、ナノレベルの表面精度を持ち、高硬質かつ脆性を有するレーザー結晶と、このレーザー結晶に集光する大口径光学素子の加工技術を確立した。今後は、「観察する」「加工する」「解析する」クリティカルコンポーネント(心臓部品)をオンデマンドで開発するプラットフォーム構築を目指していくとともに、特に光研究領域に必須となる先端機器開発の高度化のために、物質の形と粗さを同時に制御できるブロードバンド加工システムへと発展させていく。

    (2)イノベーション創出の基盤となるシミュレーションソフトウェアの研究開発ものづくりに必要となる高性能・精緻化した最先端の

    複雑・大規模シミュレーションソフトウェアの研究開発を緊密な産学連携体制の下で推進した(イノベーション創出の基盤となるシミュレーションソフトウェアの研究開発事業)。本事業で開発したソフトウェアは、フリーソフトウェアとして広く一般に公開している。2011 年度は、中小企業を含む産業界のニーズを踏まえたシミュレーションソフトウェアの実用化に向けた評価・試験を実施した。また、更なる産業界への利用拡大を図るために、数値解析に対して専門的な知識を持たない産業界ユーザーでも、シミュレーションが容易に実現できるようなユーザーインターフェースを研究開発した。これにより、開発したソフトウェアの産業界における普及が更に加速されることが期待される。

    (3)最先端の大規模研究開発基盤の整備・活用の推進①X線自由電子レーザー施設(SACLA)の整備・共用SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)は、波がそろっており、短パルスの光である「レーザー」と、原子を見分けることのできる高い空間分解能を持った輝度の高い光である「放射光」の両者の特徴を併せ持つ光である「X線自由電子レーザー」を利用できる世界最高性能の研究基盤施設である。この光を用いることで、例えば、原子レベルの超微細構造、化学反応の超高速動態・変化を瞬時に計測・分析することが可能になる。第3期科学技術基本計画における国家基幹技術として、2006年度より国内の300以上の

    203

  • 注1 一秒間に一京回の計算機能(一京:一兆の一万倍)注2 米国計算機学会(ACM)が、毎年ハードウェアとアプリケーションの開発において最高の成文に付与する賞。このうち実行性能部門の最高性能賞は最も栄誉ある賞と

    されている注3 「京」を中核としたHPCIを最大限利用して画期的な成果を創出し、社会的・学術的に大きなブレークスルーが期待できる分野として、以下の5つの分野が設定されている。   分野1:予測する生命科学・医療及び創薬基盤   分野2:新物質・エネルギー創成   分野3:防災・減災に資する地球変動予測   分野4:次世代ものづくり   分野5:物質と宇宙の起源と構造

    企業の技術を結集しつつ開発・整備を進め、2011年6月に世界最短波長の光の発振に成功、2012年3月に広く研究者等への共用を開始した。今後、医薬品や燃料電池の開発、光合成のメカニズムの解明など、幅広い研究分野で革新的な成果が生まれることが期待される。

    ②革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・イ

    ンフラ(HPCI)は、世界最高水準の計算性能を有する京速コンピュータ「京」を中核とし、多様な利用者のニーズに応える革新的な計算環境を実現するものである。「京」は2011年11月に性能目標である10ペタフロップス注1を達成し、2012年6月までのシステム完成、同年秋の共用開始を目指し、開発・整備している。また、2011年6月及び11月のスーパーコンピュータ性能ランキング TOP500において世界1位を獲得するとともに、同年11月に試験利用により実施された『「京」によるシリコン・ナノワイヤの第一原理計算』が、ゴードン・ベル賞注2の最高性能賞を受賞するなど、「京」を利用した成果創出に向けた取組が着実に進捗している。また、「次世代ものづくり」を含む戦略分野注3における研究開発や我が国の計算科学技術体制の整備を行う「HPCI戦略プログラム」を実施した。2011年度からの本格実施にお

    いて各分野5~6の研究開発課題に取り組むとともに、計算科学技術推進体制の構築のため研究支援体制整備、HPCI資源の効率的マネジメント、人材育成等を実施した。

    (4)その他のものづくり基盤技術開発(独)物質・材料研究機構においては、幅広い分野に波及する、計測分析基盤技術やナノ構造創製制御技術等のナノテクノロジー共通基盤技術の研究開発を推進するとともに、次世代を担う革新的シーズを創製するナノスケール新物質創製・組織制御研究や、社会的ニーズに応える材料研究開発を実施している。

    ①新物質・新材料の創製に向けたブレークスルーを目指す横断的先端研究開発の推進我が国が幅広い分野で最先端の科学技術を生み出して

    いくためには、多様な科学技術分野の土台となる基盤的な科学技術の発展が必要条件である。そのため本項目においては、計測技術、シミュレーション技術、材料の設計手法や新規な作製プロセスの開拓、物質の無機、有機の垣根を越えた、ナノスケール特有の現象・機能の探索など、新物質・新材料の創製に向けたブレークスルーを目指す物質・材料の基礎研究及び基盤的研究開発を行っている。

    204

    写真:SACLAの鳥瞰図(兵庫県佐用郡佐用町)

    写真:スーパーコンピュータ「京」(兵庫県神戸市)

    写真:スーパーコンピュータ性能ランキングTOP500で1位を獲得(授賞式の様子)写真:SACLAを視察す

    る平野文部科学大臣提供:(独)理化学研究所

    提供:(独)理化学研究所

  • レアメタルを使わない大電気容量の有機物二次電池の開発……………………………………

    ハイブリッド自動車や電気自動車のモーターには、高性能な二次電池が用いられている。これらには、高価なコバルトや資源調達上のリスクが懸念されるリチウムが用いられている。大阪大学を中心とした共同研究グループは、「有機分子を活物質に用いた二次電池の高性能化と充放電機構の解明」を推進しており、これまでコバルト等の元素が必要であった電極材料等について、それらの希少な元素を用いず、炭素や水素等の豊富な元素のみで構成した、新しい電池を提案した。更に反応速度を制御することで、従来のリチウムイオン電池の1.3倍となる電気容量(約200Ah/ kg)を得ることに成功した。昨年以降、資源国による輸出枠の大幅削減によりレアアース等の希少資源の価格が高騰しており、その解決に向けた技術開発に、国内外の産業界がしのぎを削る中で、本研究成果は、二次電池の研究開発に関する課題の解決に大きな指針を与える成果として注目されている。※本研究は、文部科学省による「元素戦略プロジェクト<産学官連携型>」の「有機分子を活物質に用いた二次電池の高性能化と充放電機構の解明」の一環として大阪大学、大阪市立大学及び日本電子株式会社の共同で行われた。「元素戦略プロジェクト<産学官連携型>」では、上記のような先端技術産業において極めて重要なレアメタル等について、材料の特性に寄与するメカニズムを原理的に解明することにより、豊富で無害な元素で代替する革新的な材料の研究開発を推進しており、これらの研究成果が、将来の日本の産業競争力強化に貢献することが期待される。

    コラム

    第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    ②社会的ニーズに応える材料の高度化のための研究開発の推進環境・エネルギー・資源問題の解決や安心・安全な社

    会基盤の構築という人類共通の課題に対応し、環境・エネルギー材料の高度化、高信頼性・高安全性を確保する材料の研究開発を推進している。高温の燃焼ガスにさら

    される発電タービン・ジェットエンジンに活用可能な超耐熱合金や、高効率で耐久性に優れた次世代の白色LED照明用材料、次世代太陽電池材料等の研究開発を行うとともに、構造材料の信頼性や安全性を確保するための研究開発を実施している。

    2. 産学官連携を活用した研究開発の推進(1)大学等と企業等の共同研究、技術移転のための研究開発、成果の活用促進ものづくり基盤技術の高度化や新事業・新製品の開拓

    につながる多様な先端的・独創的研究成果を生み出す「知」の拠点である大学等と企業の効果的な協力関係の構築は、我が国のものづくりの効率化や高付加価値化に資するものである。こうした産学官連携活動は、2004年4月の国立大学

    法人化などに伴い着実に実績を挙げている。大学等と民間企業との共同研究数は、リーマンショック後の世界的な経済不況の影響もあり(景気動向指数が2009年3月に過去最大規模の下降率を記録)、2009年度は前年度に比べて若干落ち込んだが、2010年度は1万5,544件と増加している(図432-1)。また、大学等における民間企業からの受託研究数は、2010年度において6,056件が実施されており、大学発ベンチャー数は2009年度

    末で累計2,027社を数えている。(独)科学技術振興機構においては、このような産学連携により大学等の研究成果の実用化を促進するため、知的財産を活用した産学による共同研究開発(研究成果最適展開支援プログラム)や世界最先端の計測分析機器開発(先端計測分析技術・機器開発プログラム)、基礎研究の成果を基にした大規模かつ長期的な研究開発(戦略的イノベーション創出推進プログラム)、産業界に共通する技術的課題の解決に資する基盤研究(産学共創基礎基盤研究プログラム)を研究成果展開事業として実施している。また、大学等の外国特許出願への支援や大学等の研究者から企業への新技術の説明等を行う場の提供等により、大学等の知的財産活動を専門的に支援する「知財活用支援事業」を実施している。さらに、共同研究などを通じた試験研究を促進するた

    め、民間企業等が大学等と行う試験研究のために支出した研究費の一定割合を、法人税や所得税から控除することができる税制上の特例措置を設けている。

    205

  • 素材の摩耗を防ぎ、長寿命化が期待される人工股関節の開発に成功…………………………

    日本メディカルマテリアル(株)は、東京大学の研究成果を基に、関節部分の表面をナノスケール(ナノは10億分の1)の生体適合性に優れたMPCポリマーの膜で覆うことにより関節面に生体擬似膜を形成し、良好な耐摩耗性を持つ人工股関節の開発に成功し、2011年4月に医療機器の製造販売承認を取得した(研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムA-STEP(旧委託開発)の成果)。高齢者人口の増加に伴い、関節の機能に支障をきたし、運動不全

    となる人口も増加しており、人工股関節に置き換える手術が国内で年間4万件以上行われている。しかしながら、この人工股関節置換術は、関節面がこすれることにより生じる摩耗粉などによる深刻な合併症を回避するために再置換手術の必要があるなどの問題がある。本技術の活用により、摩耗粉が少なくなり、再置換手術に至るリ

    スクの低減が期待され、その結果、患者の長期にわたるQOL(生活の質)の維持・向上に貢献すると考えられる。

    コラム

    耐摩耗性を持つ人工股関節(A-STEPの成果例)

    図432-1 国公私立大学等と民間企業との共同研究件数

    民間企業との 民間企業との

    平成22年8月6日現在

    特許権実施等件数及び特許出願件数

    2011年11月30日現在

    民間 業共同研究実績

    民間企業との受託研究実績 特許実施料収入

    特許出願件数

    (件) (百万円)(件)(百万円) (件)(億円) (件)

    1,3301,808 2,987 2,455

    2,002 2,185

    6 000

    7,000

    8,000

    9,000

    10,000

    11,000

    国内出願件数(下段) 外国出願件数(上段)

    (件) (百万円)

    8,5279,090

    9,869 9,4358,801

    (件)

    15,54414,779

    14,97413,790

    12,489

    11,054

    300

    400

    500

    9 000

    12,000

    15,000

    18,000受入金額 件数

    6,292 6,179 6,005 5,9456,185 6,0568,000

    10,000

    12,000

    14,000

    7,000

    8,000

    9,000

    10,000

    受入金額 件数

    8,675

    986

    1,4464,234

    4,968

    4,527

    3,5324,000

    5,000

    6,000

    1,200

    1,400

    1,600

    1,800

    2,000特許権実施料収入 特許権実施等件数

    7,197 7,282 6,882 6,980 6,799 6,490

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

    314295339311286249

    0

    100

    200

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度0

    3,000

    6,000

    9,000

    12,289 11,706 11,528 11,329 11,227 9,765

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    639801 774

    986891

    1,103

    2,409

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    民間企業との共同研究受入額 民間企業との受託研究受入額 特許権実施料収入特許出願件数

    (件)

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

    ※赤字は合計金額※赤字は合計件数

    (百万円) (百万円)

    H17 H20 H21 H22

    国立大学等 20,927 27,857 24,070 25,468

    H17 H20 H21 H22

    国立大学等 3,970 4,299 4,623 3,793

    H17 H20 H21 H22

    国立大学等 6,255 7,032 6,652 6,373

    (件)

    H17 H20 H21 H22

    国立大学等 437 770 638 1,135

    (百万円)

    公立大学等 888 1,585 1,383 1,446

    私立大学等 3,042 4,464 3,998 4,493

    総計 24,857 33,907 29,451 31,407

    公立大学等 749 692 885 622

    私立大学等 7,570 6,338 5,719 5,349

    総計 12,289 11,329 11,227 9,765

    公立大学等 285 575 539 578

    私立大学等 1,987 1,828 1,610 1,724

    総計 8,527 9,435 8,801 8,675

    公立大学等 2 21 39 38

    私立大学等 200 195 214 272

    総計 639 986 891 1,446

    資料:文部科学省「平成22年度 大学等における産学連携等実施状況について」URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1313463.htm

    ※百万円未満の金額は四捨五入しているため、「総計」と「国公私立大学等の小計の合計」は、一致しない場合がある。※大学等とは大学、短期大学、高等専門学校、大学共同利用機関法人を含む。

    ※国公私立大学等を対象。

    ※特許権実施等件数は、実施許諾または譲渡した特許権(「受ける権利」の段階のものも含む)の数を指す。

    ※特許権実施等件数については、集計方法を精査した結果、集計値の一部に変更が生じたため、前年度以前の数値も含め修正している。

    第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    206

  • 注4 大学等の研究成果に基づく特許権等について企業に実施許諾を与え、その対価として企業から実施料収入を受け取り、大学等や研究者(発明者)に研究資金として還元することなどを事業内容とする機関。

    第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    (2)大学等における研究成果の戦略的な創出・管理・活用のための体制整備大学等の優れた研究成果を活かすためには、成果を統

    合発展させ、国際競争力のある製品・サービスとするための産業界との協力の推進が不可欠であり、これはものづくり産業の活性化にも資するものである。そのため、大学等において、研究成果の民間企業への移転を促進し、それらを効果的にイノベーションに結びつける観点から、戦略的な産学官連携機能の強化を図っている。1998年に制定された「大学等における技術に関する

    研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」(大学等技術移転促進法)は、上記のような研究成果移転の促進により、我が国の産業の技術の向上と大学等における研究活動の活性化を図ることを目的とした法律である。本法に基づき実施計画を承認されたTLO(Technology Licensing Organization)注4は、2011年4月1日現在で42機関に上る。2010年度における特許実施許諾件

    数は2,733 件となっており、近年は、国立大学法人において法人内部型 TLOの設立や、承認 TLOへの国立大学法人からの出資など大学と TLOの連携強化に向けた取組が見られている。文部科学省では、大学等の研究成果を効果的に社会に

    つないでいくため、国際的な産学官連携や大学間の連携等による特色ある産学官連携活動の強化(52機関:2011年度)(図432-2)、産学官連携コーディネーター配置(49名:2011年度)(図432-3)等の支援を行い、大学等が持続的な産学官連携活動を実施できる環境の整備を図る「大学等産学官連携自立化促進プログラム」を実施している。本取組により、各大学等において、産学官連携部門と知財管理部門を一元化し、副学長等をトップに据えた全学的・横断的な体制の整備、知的財産ポリシーをはじめとする基本ルールの策定など、大学等における基盤的な体制整備が進展し、産学官連携活動が活性化している。

    図432-2 大学等産学官連携自立化促進プログラム【機能強化支援型】実施機関地域分布図

    資料:文部科学省調べ

    207

  • (3)産業力強化のための地域科学技術振興地域における科学技術の振興は、地域産業の活性化や

    地域住民の生活の質の向上に貢献するものであり、ひいては我が国全体の科学技術の高度化・多様化につながるものとして、国として積極的に推進している。また、都道府県等においても科学技術振興策を審議す

    る審議会等を設置するとともに、独自の科学技術政策大綱や指針等を策定するなど科学技術振興への積極的な取組がなされている。文部科学省、経済産業省及び農林水産省では、地域イ

    ノベーションの創出に向けた地域の産学官に加えて新たに金融機関が加わり連携した主体的かつ優れた構想に対

    図432-3 大学等産学官連携自立化促進プログラム【コーディネーター支援型】配置先一覧

    して、「地域イノベーション戦略推進地域」として共同で選定を行っている。選定された地域のうち、特に優れた戦略を有する地域に対しては、関係府省の施策を総動員して、大学における基礎研究から企業における事業化までを切れ目なく支援していくこととしている。文部科学省では、当該選定地域のうち、地域イノベー

    ション戦略の実現に大きく貢献すると認められる地域に対し、研究者の集積、知的財産の形成、人材育成等のソフト・ヒューマンを重視した取組を支援する「地域イノベーション戦略支援プログラム」を実施している(図432-4)。

    資料:文部科学省調べ

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  • 第3節

    産業力強化のための研究開発の推進

    第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発

    図432-4 地域イノベーション戦略支援プログラム

    資料:文部科学省調べ

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