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標準化教育プログラム [個別技術分野編ー電気電子分野] 改訂日:2009年2月23日 制作日:2007年2月13日 古角 尚之 (標準講義時間 90分) 本資料は,経済産業省委託事業で ある「平成19年度基準認証研究開発 事業(標準化に関する研修・教育プロ グラムの開発)」の成果である。 第6章 テレビと標準化

第6章テレビと標準化 - jsa.or.jp · 標準化教育プログラム[個別技術分野編ー電気電子分野] ... テレビと標準化 2 1テレビの歴史と方式の違いを理解する。

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Page 1: 第6章テレビと標準化 - jsa.or.jp · 標準化教育プログラム[個別技術分野編ー電気電子分野] ... テレビと標準化 2 1テレビの歴史と方式の違いを理解する。

標準化教育プログラム [個別技術分野編ー電気電子分野]

改訂日:2009年2月23日制作日:2007年2月13日

古角 尚之(標準講義時間 90分)

本資料は,経済産業省委託事業である「平成19年度基準認証研究開発事業(標準化に関する研修・教育プログラムの開発)」の成果である。

第6章 テレビと標準化

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テレビと標準化 2

1 テレビの歴史と方式の違いを理解する。

2 デジタル放送の意味と必要性を理解する。

3 テレビ受信機を取り巻く標準について学ぶ。

4 テレビ受信機の主な標準を理解する。

5 標準の提案から発行までの手順を理解する。

6 何故国際標準が必要か理解する。

7 現在活動中のテレビ関連標準化団体を知る。

学習のねらい ・・・・・ 第6章 テレビと標準化

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テレビと標準化 3

1 テレビの歴史と方式

2 デジタルテレビ放送

3 テレビを取り巻く標準

4 テレビ受信機の主な標準

5 IECにおける標準の提案から発行まで

6 国際標準の必要性

7 テレビ関連標準化団体

目 次 ・・・・・ 第6章 テレビと標準化

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テレビと標準化 4

1926年 高柳健次郎 機械・電子折衷式テレビの開発

1927年 世界初の全電子式テレビ発明

1929年 イギリスのBBC実験放送開始

1935年 ドイツで定期放送開始

1939年 NHK技研公開実験放送

1954年 アメリカNBC NTSC方式のカラー放送開始

1956年 NHKカラー実験放送開始

1967年 PAL方式カラー放送開始,SECAM方式開発

1995年 アメリカ,ATSC地上デジタルテレビ方式規格化

1997年 欧州DVB地上デジタルテレビ方式規格化

1999年 日本,ISDB-T地上デジタルテレビ方式規格化

2003年 日本地上デジタル放送開始

2011年 7月24日を以って日本のアナログ放送終了予定

1 テレビの歴史と方式 -テレビの歴史-

◆ 解 説

1926年12月浜松高等工業学校の高柳健次郎が日本で初めて「イ」の字を表示させることに成功。

1927年アメリカのファンズワースが電子式の映像撮影に成功。

1953年NHKがテレビ放送開始。

1956年NHKカラー実験放送開始。

1958年東京タワーからの放送開始。

1960年日本のカラー本放送開始。

1991年ハイビジョン試験放送開始。

2000年BSデジタル放送開始。

2003年日本の地上デジタル放送開始。

2006年ワンセグ放送開始。

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テレビと標準化 5

アナログカラーテレビ方式 (大きく分けて以下の3方式がある)

・NTSC (National Television System Committee)方式

アメリカで開発され,アメリカ,カナダ,日本,台湾,韓国などで採用。

・PAL (Phase Alternating by Line) ドイツで開発され1967放送開始。

水平走査線毎に色信号の位相を反転。

フランスを除く欧州各国初めオーストラリア,南アフリカ,インドなどで広く

採用されている。

・SECAM (Séquentiel couleur à mémoire)

フランスで開発された色信号情報を周波数変調して多重する方式。

フランス,旧フランス領土,ロシア,中東などで採用。

1 テレビの歴史と方式 -テレビの方式(アナログ方式)-

◆ 解 説

NTSC方式

フィールド周波数60(正確には59.94)Hzで飛び越し走査を行い,垂直走査線数525本(垂直解像度480本),帯域幅は6MHz。色の再現性において妨害を受け易く色バランスを合わせるつまみを持つことから”Never The Same Color”などという冷やかしもある。

PAL方式

ドイツ・テレフンケンのヴァルター・ブルッフにより開発された走査線毎に色信号の位相を反転させる方式。NTSCに比べて色信号の自動補正が出来ることからNTSCに対し”Peace at Last”などと自画自賛する言葉もある。

SECAM方式

フランスで開発されたカラー方式。色信号情報を周波数変調して多重。

フランス語の意味は「順次式カラーメモリ」方式。

モノクロ受信機では解像度の高い部分に妨害が出ることがあり,SECAM方式を”System Essentially Contrary to the American Method”などと皮肉る言葉もある。

PAL及びSECAM両方式はフィールド周波数が50Hzであり,NTSCに比べると画面での

フリッカー(ちらつき)が目立ち易い。

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テレビと標準化 6

実際には様々な事情で走査線数と色信号処理の組み合わせや部分的に変更を加えたものが

数多くあり世界中で20を超えるバリエーションがある。

アナログ方式の主なバリエーション

PALのマルチシステム

・PAL-M(ブラジル) 垂直は525本,30フレーム

・PAL-N(パラグァイ,ウルグァイ) 色副搬送波3.58MHz

・PAL-I(イギリス,アイルランド)

SECAMのマルチシステム

・SECAM-L(フランスと旧フランス植民地)

・SECAM-B/G(中東諸国,ギリシャ)

・SECAM D/K(ロシア,東ヨーロッパ)

1 テレビの歴史と方式 -アナログのマルチシステム-

◆ 解 説

夫々の国の政治的事情,サービスの追加による技術開発などにより色々なバリエーションが生じた。

例えば,1国だけ周囲と異なる方式にすることで他国の放送を受信不可能とすることも出来,その逆も可能に出来る。

ブラジルのPAL-M方式は1カ国だけの独自方式でソフトの互換性もなくデジタルではそれを避けようという動きもあったが結局独自の方式になりつつある。

SECAM-B/GをMESECAMと呼ぶこともあるが,これは記録システムで使われる言葉で正しくはSECAM-B/Gである。

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ハイビジョン NHKが開発した高品位テレビ方式

現行アナログテレビの2倍以上の走査線数(1125本)を持ち臨場感溢れる高品位

な映像を目指したもの。

NTSC1波の帯域で放送するために圧縮技術を用い,6MHzに入れるアナログの

MUSE (Multiple Sub-Nyquist-Sampling Encoding system) を開発し実験放送を経

て実用化した。

当初はこのMUSE方式の愛称を High Definition Television から取りハイビジョンと

していたが,その後のデジタルへの移行に伴いHD放送全般をハイビジョンと呼ぶよう

になった。

アナログのハイビジョン放送は現在BSで行われているが受信機の普及も番組放送

も少なく,放送のアナログからデジタルへの移行に伴い2007年9月30日を以ってBS

アナログハイビジョン放送は終了した。

1 テレビの歴史と方式 -テレビの方式(ハイビジョン方式)-

◆ 解 説

NHK技研が1964年から開発に着手,1974年にCCIR (Comite ConsuitatifInternational Rdiophonique)ー国際無線通信諮問委員会に提案した。

ハイビジョン方式の垂直走査線総数は1125本で有効本数は1035本。

その後デジタル放送における国際規格では垂直走査線総数は1125本

だが有効本数は1080と決められた。

この1125本の垂直走査線数を記念して郵政省とNHKは11月25日をハイビジョンの日と決めた。

一方ハイビジョンのアスペクト比(画面の縦横比)が従来の3:4から9:16に

なったことから通産省は9月16日をハイビジョンの日としている。

BSでのアナログハイビジョン放送終了は対応受信機の普及率が低いとはいえ,そのままではデジタルハイビジョン放送は受けられず新たなチューナ

または受信機が必要となりユーザに負担を強いることになる。

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テレビと標準化 8

デジタルテレビ方式 (大きく分けて以下の3方式がある)

・DVB (Digital Video Broadcasting)方式

欧州各国の専門家が集まって作ったDVB Projectにより開発された。

伝送媒体によりDVB-C (Cable), DVB-S (Satellite), DVB-T (Terrestrial),

DVB-H (Handhelds)などの種類がある。DVB-Tは欧州全域,オーストラリア,

アフリカ,中東,ロシアなど多くの国で採用されている。

・ATSC (Advanced Television Systems Committee)方式

アメリカで開発され,アメリカ,カナダ,韓国、メキシコなどで採用。

・ISDB (Integrated Services Digital Broadcasting) 方式

日本で開発され,S(衛星),T(地上),C(ケーブル)の種類がある。

ブラジルが2006年ISDB-Tの基礎部分を採用することを決定し、2007年12月

放送開始。

その他中国も2008年独自の方式で放送を始めている。

1 テレビの歴史と方式 -テレビの方式(デジタル方式)-

◆ 解 説

DVB Projectは欧州各国300の団体が参加したコンソーシアム。地上のデジタル放送は1998年イギリスから始まり,2003年にはドイツが

アナログ地上放送を打ち切っている。DVBは開発が早かったことと欧州の

国の数,及び積極的なプロモーションにより採用国,システム数を大きく伸ばしている。

ATSCは1982年にアメリカのデジタル放送規格策定のために設立されたがそこで開発されたシステムも一般的にATSCと呼んでいる。

変調方式はDVBやISDBがOFDMであるのに対しに8VSBを採用しており移動体での受信性能において他の方式より劣る。

ISDBは6MHzの帯域を13のセグメントに分け,HD,SDは元より移動体や携帯向けに使用するセグメントを分け,更にそのセグメント毎に伝送パラメータを設定出来るという特徴を持つ。今携帯で話題の1セグはこの13セグメントの1つを使った携帯向けの配送サービスである。

結局デジタルテレビにおいても複数の方式が存在することになる。

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テレビと標準化 9

・高品質

デジタル信号はアナログ信号よりノイズの処理や対策が容易であり弱電解

でもゴーストやノイズの無い安定した高品質映像が得られる。

・セキュリティの強化

デジタル信号は暗号化や特殊信号の付加が出来るためセキュリティを強

化し録画制限なども可能となる。

・データ放送

様々なデータを付加することが出来るため映像と同時に番組情報,補足説

明,静止画,他画面,商品紹介など幅広いサービスが行える。

・移動体受信

自動車など移動体での受信でも安定した映像が得られる。

・映像の加工や編集が容易

海外番組の中継で必要となる方式変換なども画質劣化を伴わずリアルタイ

ムで行うことが出来る。

2 デジタルテレビ放送 -デジタル放送のメリット-

◆ 解 説

高品質:OFDM変調の採用で現在車載のテレビで頻繁に生じる電波状態による映りの悪さ,酷い場合は音声だけで画面はノイズだけといったことがなくなり常に状態の良い画面が得られる。また,ビルなどの影響によるゴーストも解消される。

セキュリティ:キーを送ることで番組毎の受信を可能としたり録画の制限,著作権の保護など役立つ機能を持たすことが出来る。

映像の加工・編集:大きなメリットとして方式変換が挙げられる。現在のアナログ放送では,PALやSECAMの映像を日本で見るためには映像信号から輝度信号と色信号を分離し,フレームメモリを用いて走査線を625本から525本に変換し最後にNTSC信号に変調して出すという煩わしさがあり,画質の劣化にもつながっていた。これがデジタル放送では元々デジタル信号なので変換が容易となり,時間やコストの削減が達成出来る。

放送局がデジタル化に積極的なのは素材を共用化出来るというメリットがあるからである。

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テレビと標準化 10

・市場の活性化

テレビは白黒放送がカラー放送になった時に大きな転換期を迎え需要も

大幅に増えた。日本においてはその後音声多重放送や文字多重放送など

サービスの拡大を図ったがカラー化のようなインパクトは無かった。

欧米においても買い替えしか期待出来ない低調な市場を拡大したいとの

願望が強い上にデジタルを機に日本を突き放したいという機運があった。

・帯域の有効活用

日本ではテレビ放送にVHF帯だけでなくUHF帯も使用されている。

一方,携帯電話や車載などのモバイル機器は益々増える傾向にありそれ

らに対応したサービスも必要となるが逼迫した現在の電波状態では新規の

放送サービスは難しい。テレビ放送が完全にデジタルに以降した後は現在

のVHF帯をこうした新サービスに割り当てることが出来る。

2 デジタルテレビ放送 -何故デジタルなのか ① -

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テレビと標準化 11

・サービスの多様化

デジタル化に伴い,EPG( Electronic Program Guide),番組関連の各種

データ付加,静止画,多画面,商品紹介など様々なサービスが行える。

また,課金システムの導入により希望の番組だけを見るPPV( Pay per

View),VOD( Video on Demand)なども可能となる。

大幅に圧縮出来るので1波を使って 大3つのSD( Standard Definition)

番組を送ることも出来る。

・インフラへの対応

パソコンを初め,携帯電話,デジタルカメラ,記録機器のデジタル化は非

常な勢いで進んでおり,それらを接続するためのインターフェイスの開発も

盛んである。メモリの高密度化やHDDの利用なども増え,近い将来にはホー

ムサーバーなどの利用も検討されている。これら各種のデジタル機器のインフラに対

応するためにもデジタル化は必須であった。

2 デジタルテレビ放送 -何故デジタルなのか ② -

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海外駐在に関して時々受ける質問

日本のテレビを外国に持って行って使えますか?

海外で買ったテレビを日本に持ち帰ったら映りますか?

残念ながら答えはノーである。

理由・・・国,地域で存在する様々な標準の違いによる。

・電源電圧の違いー多くの場合日本と海外では電源電圧が異なる。

・放送方式の違いー後述するように各国で採用されているテレビの

放送方式は異なる。

・その他の違いーチューナやテレビ内部の周波数が国により異なる。

3 テレビを取り巻く標準 ①

◆ 解 説

一番大きな要因は放送方式の違いである。

信号の帯域や走査線数( NTSCでは525本,PAL,SECAMでは625本)

など根本的な違いがある。

放送方式の違いに加えて国により地上,衛生,ケーブルなどメディアの事情が異なるため対応が出来ない。

デジタルテレビではこのような問題を無くしたいという願望はあったものの実際は国や地域で方式が異なる上アナログ方式の分布とデジタル方式の勢力分布が一致していないことから更に複雑になる。

チューナ;国により使用する帯域が異なるため,電源電圧がほとんど同じ出方式も同じNTSCのアメリカでもそのままでは受けることが出来ない。

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テレビと標準化 13

放送方式

(ITU-R) ICなど半導体

(IEC/TC 47)

コンデンサ,抵抗など

(IEC/TC 40)

機構部品

(IEC/TC 48)

液晶パネル

(IEC/TC 110)

安全性

(IEC/TC 108)

環境

(IEC/TC 111)

受信機

(IEC/TC 100)

3 テレビを取り巻く標準 ②

◆ 解 説

テレビ受信機は様々な部品で構成されていることを図示したが,ここでは個々の部品については取り上げず放送方式と方式に関わる受信機について標準の現状と策定について解説する。

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テレビと標準化 14

ITU (International Telecommunication Union ) 国際電気通信連合

国連の下にあり,スイスのジュネーブに本部を持つ電気通信の標準を策定を目的と

する国際団体

ITU-R (International Telecommunication Union – Radiocommunication

Bureau) 国際電気通信連合;無線通信部門

テレビ放送,移動体通信,衛星通信などにおける周波数割り当てや無線通信規則

及び技術・運用に関する研究や勧告を扱う。

ITU-T (International Telecommunication Union – Telecommunication

Standardization Sector) 国際電気通信連合;電気通信標準化部門

情報通信に関する技術,運用に関する研究や勧告を扱う。

ITU-D (International Telecommunication Union – Telecommunication

Development Sector) 国際電気通信連合;開発部門

3 テレビを取り巻く標準 -放送方式 ① -

◆ 解 説

1865年20カ国の参加でITU( International Telegraph Union)としてスタートした。その後メディアとその応用の拡大に対応し1934年に現在のInternational Telecommunication Unionと名前も変えた。

電話関連はITU-T,テレビ関連の審議はITU-Rが担当。

1999年から2006年末まで日本の内海善雄氏が事務局長を務めた。

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テレビと標準化 15

ITU-R (International Telecommunication Union – Radiocommunication

Sector) 国際電気通信連合;無線通信部門

SG 1からSG 7までのStudy Group(SG)を持つ。

SG 1;周波数管理

SG 3;電波伝搬

SG 4;固定衛星業務

SG 5:地上放送業務

SG 6;放送業務

SG 7;科学業務

3 テレビを取り巻く標準 -放送方式 ② -

◆ 解 説

SG 1( Spectrum management)にはAからCまで3つのWP( Working Party)と2つのTG( Task Group)があり周波数の技術,経済戦略や監視に携わる。

SG 3(Radiowave propagation)は4つのWPを持ち対地域や対ポイントなどの電波伝搬に関する分野を扱う。

SG 4( Fixed-satellite service)では3つのWPで固定衛星及び固定衛星同士の業務に関して審議を行う。

SG 5( Terrestrial services)は4つのWPで地上放送の業務を担当している。

SG 6( Broadcasting services)には7つのWGと1つのTGがあり,映像,音声,マルチメディア,データ放送を含む地上及び衛星の放送に関する技術を扱っている。テレビに関することはほとんどこのSG6に含まれる。

SG 7( Science services)には4つのWPがあり基準周波数,時報,宇宙観測,地球探査衛星,気象衛星はここに含まれる。

SG 8( Mobile, radiodetermination, amateur and related satellite services)、SG 9( Fixed service)は廃止された。

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テレビと標準化 16

HD放送規格の審議

NHK技研が世界に先駆けて開発したハイビジョン方式を1972年CCITT (Comite

Consultatif International Telegragraphique et Telephonique)

(国際電信電話諮問委員会ー 1993年にITUの下部組織となった)に提案し,

HD放送規格の審議が始まった。

しかし日本提案の方式は世界標準にはならなかった。

日本が提案したMUSE方式はデジタルを志向した欧米と異なりアナログ方式であった。

テレビの大きな市場を日本に席巻されることを恐れた欧米が独自の開発を進めた。

理由

3 テレビを取り巻く標準 -放送方式 ③ -

◆ 解 説

国際標準は必ずしも先んじた者や優れた技術が勝つとは限らない。

産業界だけでなく国の経済や威信に懸ける意気込みや駆け引きによって大きく左右され政治的色彩を帯びることもある。

日本の高品位テレビの開発は世界に先駆けていたが,後発の欧州勢やアメリカの思惑で同意を得られず国際規格にはならなかった。

また,日本にはアナログながら1チャンネルの帯域で高画質を実現するハイビジョン(MUSE)があり実用化もされていたためにデジタルの開発で欧米に遅れを取る結果となった。

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テレビと標準化 17

3 テレビを取り巻く標準 -受信機関連標準ーIEC-

セクターボード(Sector Board)

SB1:送電および配電

SB3:産業オートメーションシステム

SB4:通信ネットワークのインフラストラクチャ

運営諮問委員会(MAC: Management Advisory

Committees)

評議会 (Council Board) 中央事務局(Central Office)

技術諮問委員会(Technical Advisory

Committees)

安全諮問委員会(ACOS)

電磁両立性諮問委員会

(ACEC)環境諮問委員会

(ACEA)

標準管理評議会(SMB: Standardization Management Board)

総会 (Council)

専門委員会 (TC)Technical Committees

作業グループ (WG)Working Group

プロジェクトチーム(PT)メンテナンスチーム(MT)

適合性評価評議会(CAB: Conformity Assessment Board)-電子部品品質認証制度(IECQ-CECC)

-電気機器適合性試験認証制度(IECEE)-防爆電気機器規格適合試験制度(IECEx)

分科委員会 (SC)Subcommittees(TC100ではTA)

会員72ヶ国(2008/11現在)正会員:55準会員:17予備会員:83

http://www.iec.ch

市場戦略評議会(MSB: Market Strategy Board)

2008年発足

◆ 解 説

IEC (International Electrotechnical Commission) 国際電気標準会議スイスのジュネーブに本部を置く電気関連の国際標準化団体。

2008年11月現在正会員55,準会員17からなり会員は各国を代表する国内委員会。

標準管理評議会(SMB; Standardization Management Board)の下に実質的に

規格を策定する専門委員会(TC; Technical Committee)が94あり,TCの下に

分科委員会(SC; Subcommittee)が79ある。

各TC/SCの下には合計で516の作業グループ(WG; Working Group),211のプロジェクトチーム(PT; Project Team),371のメンテナンスチーム(MT; Maintenance Team)があり専門毎に策定作業を行っている。

日本は高柳元会長,藤澤副会長兼CAB議長、評議会(CB; Council Board), SMBなど主要な委員会で地位を確保し積極的に活動している。

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テレビと標準化 18

IECの中でテレビ受信機に関連するTC/SC

TC 40;電子機器用コンデンサ及び抵抗器

TC 47;半導体デバイス

SC 47A;集積回路

SC 47D;半導体パッケージ

SC 47E;個別半導体

TC 48;電子機器用機構部品

TC 91;表面実装

TC 100;オーディオ,ビデオ,マルチメディアシステム及び機器

TA 1;放送用エンドユーザ機器

TA 5;ケーブルテレビ

TA 9;マルチメディア機器のネットワーク接続

TA 11.AVマルチメディアシステムの品質

TC 108;オーディオ・ビデオ及び情報技術機器の安全性

TC 110;フラットパネルディスプレイ

TC 111;環境

3 テレビを取り巻く標準 -受信機関連のTC/SC-

◆ 解 説

p.13に示したようにテレビは多くの部品から出来ている。

その中でIECのTCまたはSCとして標準化を進めている関連部品はコンデンサ,抵抗,半導体,機構部品,フラットパネルディスプレイがある。

また,部品そのものではないが非常に関連がある技術として表面実装が挙げられる。

テレビ受信機としては主にTC 100のTA 1が扱っているが関連するものとして同じくTC 100のケーブルテレビの技術を扱うTA 5があり,デジタル機器を接続するインターフェィスを扱うTA 9、更に新設されたマルチメディアシステムの品質に関するTA 11なども強い関わりがある。

更に後述するように考慮すべきものとして安全性を扱うTC 108や環境のTC 111がある。

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テレビと標準化 19

IEC/TC 100 (Audio ,video and multimedia systems and equipment)

IECの中で唯一SC (Sub Committee) ではなくTA (Technical Area)を持つTC

現在TA 1からTA 11まで10(TA3は廃止)のTAがある。

TA 1;Terminals for audio, video and data services

SC 12A→SC 100A →TA 1と組織は変わったがテレビやラジオ受信機の

標準を扱っている。

TA 5;Cable networks for television signals, sound signals and interactive services

ケーブルシステムを扱うTAだがSTB (Set Top Box) などテレビ受信機と関連

する技術がある。

TA 9;Audio, video and multimedia applications for end-user network

テレビを含むデジタル機器接続の標準を扱う。

4 テレビ受信機の主な標準 -関連TC/SC -

◆ 解 説

廃止になっても番号は残るので2009年1月現在、TC 1からTC 116までの中で活動しているTCは約90である。多くのTCはその下にSCを持つがTC 100だけがSCではなくTAを持ち独自のルールが認められている。

その理由は動きの早いマルチメディア機器では次々と新しい規格が提案され商品も出ており,標準策定に何年も掛かっていては役に立たないことから出来るだけ早い標準化を目指して2000年から新しい組織を試験的にスタートさせたものである。

中でもTA 1が受信機に関わる標準化に携わっている。

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テレビと標準化 20

近の主なテレビ受信機関連標準

・IEC 62002-1,2; DVB-T/Hの受信機仕様

・IEC 62028; デジタルテレビ受信機の測定法

・IEC 62087; テレビ及び関連機器の消費電力測定法,

・IEC 62104; DAB (Digital Audio Broadcasting)受信機の特性

・IEC 62106; デジタル音声放送におけるデータシステムの仕様

・IEC 62216-1; DVB-T受信機の基本仕様

・IEC 62298-1-4; 欧州TeleWebシステムの仕様

・IEC 62360; ISDB受信機の基本仕様

IEC 62087は元々欧州の基準をIEC標準にしようと提案されたものだが,テレビ方式

の違いなど日本から条件を追加した。更に測定条件に関して日本から

動画像を用いた測定の新たな提案をすべく現在国内で審議中。

4 テレビ受信機の主な標準 ー 近の主な標準ー

◆ 解 説

ここではIEC/TC 100/TA 1が扱ったものを挙げた。

IEC 62216-1はデジタルテレビの欧州方式,DVBの地上放送に準拠した受信機の基本仕様を規格としたものである。

これに続いてIEC 62360で日本のISDB受信機の基本仕様を決めたが,地上放送と衛星放送でほとんど違いが無いため両方を含んでいる。

更にIEC 62028ではデジタルテレビの受信機として必要となる測定法に関して概要を定めたが,更に細目に分けて決める必要がある。

TA 1の前身であるTC 100/SC 100Aではアンテナやラジオ受信機などに関する規格も多かったがこれ等は既に実用化されており新しい展開も無いことからメンテナンスの項目がほとんどである。

代わって最近の提案はデジタル化に伴う受信機やサービスに関するものが大半を占めている。

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テレビと標準化 21

新規に提案しCDで規格案を審議するのでISまでに数年を要する。

NP (New Work Item Proposal)CD (Committee Draft)案CDV (Committee Draft for Vote)FDIS (Final Draft International Standard)IS (International Standard)

通常の提案

NP (New Work Item Proposal)CDV (Committee Draft for Vote)

反対が無ければIS (International Standard)

迅速法( 短の場合)

1年未満での発行が可能。

5 IECにおける標準の提案から発行まで ①

◆ 解 説

TC,SCのメンバーまたはリエゾン団体から新規の提案を出すことが出来る。

なお,IECにおいてメンバーとは国(国内委員会)であり会議に参加し議論に加わるPメンバー(Participant member)とオブザーバー参加のOメンバー(Observer member)に分かれ投票権に違いがある。

NP提案は投票にかけられPメンバーの単純過半数の賛成で承認されると実際に規格策定作業を行うプロジェクトが発足する。

プロジェクトのメンバー(Expert)により規格案(CD)を作りPメンバーによる投票(CDV)を経て必要に応じて修正し最終案の投票(FDIS)となる。

FDIS投票で賛成が得られてIS( International Standard)の発行となる。

NPからISまでの目標として3年以内となっているが何度もCD段階を繰り返して何年も掛かるケースもある。

迅速法(Fast Truck)はISまでの時間短縮を目的として作られた手法で,

完成度が高ければ途中段階を省略出来るものである。

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テレビと標準化 22

NP提案と同時にCDVに掛けることも可能であり反対が無ければFDISもパスして ISに出来る。

従って内容,書き方など非常に完成度を要求される。

特に開発が盛んで動きの早いマルチメディアの世界ではISまでに何年も掛かっては標準化の意味が薄れる。

迅速法について

迅速法でのテレビ関連具体例

IEC 82216-1 欧州デジタルテレビDVBの受信機基本仕様IEC 62360 日本のISDB-SとTを纏めた受信機基本仕様

これ等はほぼ出来上がっていたものを標準化提案した例である。

5 IECにおける標準の提案から発行まで ②

◆ 解 説

ここに挙げた2つの例では既に出来上がって実用化も始まっていたデジタル放送対応受信機の基本仕様を規定したものである。

DVB,ISDB共に放送方式としてはほぼ固まっていたためそれを実現する受信機の仕様もほぼ決まっていた。

それらの仕様を英訳しIECのフォーマットに合わせて提案したためプロジェクトでの審議にほとんど時間を要することなくIS発行が可能となった。

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テレビと標準化 23

企業や国にとってグローバルな市場は非常に魅力がある。一方,ユーザの立場からは国や地域による違いという煩わしさから

開放される。

しかし,デジタルテレビにおいてもアナログテレビとの互換性や国益など様々な理由で複数の標準が存在している。

理想の標準

世界中どこへ行っても唯一無二の標準が理想

出来るだけ共通化,単純化を図る努力が必要

6 国際標準の必要性 ①

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テレビと標準化 24

・携帯電話は本来の電話機能にカメラ,動画録画,テレビ受信など様々な機能が付加されつつある。

・歩きながら,車の中で,外出先でと情報を取り込む場所も多様化している。・更に海外でもそのまま使いたいという要求が増えている。

これらの市場要求からデジタル機器の融合化と多様化は益々盛んになりサービスも含めて大きな市場が期待されている。

進歩が早く融合化が進むデジタル機器

製品が普及してからでは遅い

他の動向や状況も踏まえて共通化出来る部分は可能な限り取り入れ,標準化に先手を打つ必要がある。

6 国際標準の必要性 ②

◆ 解 説

製品が普及してから,またはサービスが始まってからの標準化作業には危険が伴う。標準化しようとする作業の途中で色々な意見が出た場合それを取り入れることによって既に商品化されたものと違う結果になることも考えられ,消費者の不満を招くこともあり得る。

しかし余り先走った独走は国際標準において周囲の理解を得られないばかりか敵を作り兼ねない。

従って,他国や他社の動向や状況を良く踏まえて他の意見も出来る限り取り入れて進める必要がある。

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テレビと標準化 25

製品には常に低価格,利便性,機能性が要求される。しかし多種多様な複合商品が益々増えるこれからの製品には安全性や環境にも充分配慮する必要がある。

安全,環境への配慮

IEC/TC 108 PT 62075

Development of requirements covering environmental aspects of equipment in the fields of audio/video, IT and communications equipment.

IEC/TC 111

Environmental standardization for electrical and electronic products and systems

安全性

環 境

6 国際標準の必要性 ③

◆ 解 説

これからは単に機能やコストを追及するだけでなく安全や環境にも充分

配慮した標準化が必要である。

その観点から2004年にIEC/TC 111が環境に関する標準化のTCとして

SMBの承認を受けてスタートした。

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テレビと標準化 26

・JEITA(電子情報技術産業協会) 専門毎に部会が構成されており、部会の傘下に関連委員会を持つ。

テレビ受信機関連 TC 100, TA 1, TA 5, TA 9電子機器用コンデンサ及び抵抗器 TC 40半導体関連 TC 47, SC 47A, SC 47D, SC 47E, SC 47F*

電子機器用機構部品 TC 48, SC 48B, SC 48D表面実装技術 TC 91フラットパネル TC 110 *SC 47Fの国内審議団体はマイクロマシンセンター環境 TC 111

・JBMIA(ビジネス機器・情報システム産業協会)オーディオ・ビデオ及び情報技術機器の安全性 TC 108

・総務省通信基盤局電波部電波環境課IT機器,マルチメディア機器及び受信機のEMC CISPR/I

IEC標準国内審議団体

7 テレビ関連標準化団体

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テレビと標準化 27

・テレビのアナログ放送には大きく分けて3つの方式がある。

・デジタル放送も大きく分けて3方式となっている。

・テレビのデジタル放送は時代の趨勢である。

・放送方式はITU,受信機に関する標準はIECで作られる。

・早くから着手・提案しても世界標準に出来るとは限らない。

・テレビ受信機の主な標準は,受信機の仕様に関わるものと製品の特性や

測定法に大別される。

・標準の作成に当たり,動きが早く出来るだけ速やかな対応が求められる

場合,完成度は要求されるが迅速法という手段がある。

・標準作成には出来るだけ幅広く取り込むことが重要である。

・これからの標準には安全や環境への配慮が必要である。

・テレビ関連の国内審議は主にJEITA(電子情報技術産業協会)で行われている。

ま と め ・・・・・ 第6章 テレビと標準化

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テレビと標準化 28

・大きく分けて世界にはアナログテレビ方式は ① つ,デジタルテレビ方式は

② つある。

・テレビのデジタル放送は世界的趨勢であり,日本では ③ 年7月24日を以って

アナログ放送は終了する予定である。

・テレビの放送方式を扱う国際機関は ④ で,受信機に関する標準作成に当た

る国際機関は ⑤ である。

・進化が早いマルチメディア機器における標準開発の期間を短縮する有効な手段に

⑥ と呼ばれる方法がある。

・理想の国際標準は, ⑦ や ⑧ による違いが無い唯一無二の標準

である。

・テレビ関連の主な国内審議団体は ⑨ である。

・これからの標準は安全や ⑩ に対する配慮が重要である。

練習問題A ・・・・・ 第6章 テレビと標準化

◆ 解 答

①3

②3

③2011

④ITU

⑤IEC

⑥迅速法(Fast Track)

⑦国

⑧地域

⑨JEITA

⑩環境

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テレビと標準化 29

以下の設問からどれか1つを選んで論じなさい。

1 放送方式の国際標準において必要な範囲をどう考えるか。

2 放送方式決定における主要なステークホルダーを挙げ,それらがどのような

利害関係にあって 終的に決まるか。

3 デジタル時代におけるこれからのテレビでどのような標準化が必要と思うか。

4 標準が無いまま製品化が進んだときどのような問題が生じ得るか。

練習問題B ・・・・・ 第6章 テレビと標準化

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テレビと標準化 30

各組織URL 1) IEC http://www.iec.ch/

2) Directives http://www.iec.ch/tiss/directives.htm/

3) IEC/TC 100 http://tc100.iec.ch/

4) ITU http://www.itu.int

5) ITU-R http://www.itu.int/ITU-R/

6) JEITA(電子情報技術産業協会) http://www.jeita.or.jp/

7) JBMIA(ビジネス機器・情報システム産業協会) http://www.jbmia.or.jp/

8) 総務省 http://www.soumu.go.jp/

9) 日本工業標準調査会(JISC) http://www.jisc.go.jp/

10) 日本規格協会(JSA) http://www.jsa.or.jp/

文 献 11) Wikipedia http://ia.wikipedia.org/

12) ISO/IEC Directives Part1,2:2004

13) ISO/IEC Directives, IEC Supplement:2004

14) TC 100 Guidelines and Procedures

参考資料 ・・・・・ 第6章 テレビと標準化