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オオオオ オオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオ オオオオ 2012.8.19. CC Japan オオオオオオオオ

Cc license evolution

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オープン・ライセンスの互換性と

イノベーションをめぐる課題渡辺智暁

2012.8.19. CC Japan ライセンス勉強会

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メニューと注意書き

・ライセンスの変更に関する一般的議論 (変更の功罪、必要性と弊害)・ CCライセンスを対象とした、パブリックライセンスの変遷とその理由の検討・オープンライセンスの課題についての概論(今後どのような変化を検討する必要があるか)ご注意:個人の見解です。 CCJPの正式見解などではありません。

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・ライセンスの変更に関する一般的議論 (変更の功罪、必要性と弊害)

・ CCライセンスを対象とした、パブリックライセンスの変遷とその理由の検討

・オープンライセンスの課題についての概論(今後どのような変化を検討する必要があるか)

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一般論

意識すべきトレードオフ・多様性と共通性・変化への対応と不変性・汎用性と専用性・グローバルな訴求力と、ローカルな訴求力

※同一の主題の変奏のようなところもある

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ライセンスをやたらと変更してはいけない。

・互換性が損なわれる。 →変更前後のライセンス間のコンテンツの組み合わせが煩雑または不可能になる。(特に CCライセンスの場合。 BY-SAは OK)

 →「コモンズ」の分断・ライセンスの種類(バージョン)が増えると、利用者にとっては学習コストが上昇する。(たくさんのライセンスを知る必要が出てくる。)

 →コンテンツをオープン化しても利用が起こりにくくなる。・ライセンスは CCという組織のためにあるのではなく、利用者(ライセンサー、ライセンシー)のためにある。「やたらと」変更してはいけない。

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ライセンスは変化する必要がある。

・技術などの環境が変わる・現行バージョンに不具合が見つかる・ライセンスの利用者層が変わる・ライセンスの利用者、コンテンツの利用者もみんな模索・学習している

・もっとわかりやすい、もっと厳密な書き方がある・他

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ライセンスは多過ぎても少な過ぎてもダメ。

・多過ぎると、コンテンツの利用者がたくさんのライセンスを読んで、理解する必要がある。(共通ライセンスが全く存在しない、テイラーメードの世界が極端な例) コモンズは分断され、リミックスは困難・不可能になる。・少な過ぎると、クリエイター・権利者の要望に応えるライセンスがない可能性がある。

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汎用ツールは、専用ツールより使いづらい。

・ CCは世界中で使えるツール(たろうとしている)・ CCはどのような作品にも使える 音楽、文学、絵画、写真、映画、… (ソフトウェアは非推奨)・様々なコミュニティ、プラットフォームを横断する汎用ツールたろうとしている→どのコミュニティも、自分たちにとっての最適を追及すると独自ライセンスに至る。→どのクリエイターも、自分にとっての最適を追求すると独自ライセンスに至る。

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例:

・日本の「個人ウェブページ用フリー素材」界隈の典型的なライセンスは、以下の 2 点を含む

- リンクバックを要求- 多数の素材の再配布やミラーサイトの作成は NG

・リンクバックは、ウェブ以外の用途では満たしづらい要件・多数の再配布を禁じるライセンスを作ると、 NC、 ND、 SAとの組み合わせなどでライセンスの総数が倍程度になるので、慎重になる。

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成長ポテンシャルと利用者層

・既存の利用者層が固定化すると、ライセンスを変更する理由は少し減る →  CCは保守化する可能性もある・(ニッチ層に応えるものであろうと、マジョリティに応えるものであろうと、同じことは起こりうる)

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CCとステークホルダー

・グローバルな推計では、ライセンス利用件数の成長は鈍化しつつあるとの説がある。→先発国では、すでに届くべき人には届き、使われているのではないか、とも考えられる。・この層の要望が固定化し、 CCライセンスの変化も鈍ることは、よいことか ?・より広い層/別の層に訴求するライセンスが構

想しうるか ?→既存の利用者層との対話からは必ずしも答えが見えてこないかも。

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・ライセンスの変更に関する一般的議論 (変更の功罪、必要性と弊害)

・ CCライセンスを対象とした、パブリックライセンスの変遷とその理由の検討

・オープンライセンスの課題についての概論(今後どのような変化を検討する必要があるか)

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CCライセンスのバージョンver. リリース時期 主な変更点

1.0 2002.12. (最初のリリース)

2.0 2004.05 (Glenn)

2-1.BY要素がないライセンスを廃止2-2.URLをクレジット表示の一部に2-3.音楽と映像の同期は改変にあたると明記2-4.音楽作品のロイヤルティの扱いに関する規定2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性確立(管轄の扱い)2-6. 保証の提供を廃止

2.5 2005.06 (Mia) 2.5-1.クレジットをWiki、スポンサー等の主体にも付与可能に

3.0 2007.02 (Mia) 3-1.クレジット付与は支持表明のように使えない事を明記3-2.( Parallel Distribution 条項の議論→不採用)3-3.GFDLとの互換性確立準備3-4. 国際化:人格権の扱いを明記3-5. 国際化:音楽作品のロイヤルティの扱い

4.0 2012.10-12* (Diane)

4-1.クレジットなどの条件簡素化 ?4-2. 管轄別ライセンス廃止 ?4-3. データベース権対応

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CCライセンスのバージョンver.

分類 分類 主な変更点

1.0 (最初のリリース)

2.0 採用者採用者

採用者

廃止加除明記明記加除加除

2-1.BY要素がないライセンスを廃止2-2.URLをクレジット表示の一部に2-3.音楽と映像の同期は改変にあたると明記2-4.音楽作品のロイヤルティの扱いを明記2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性確立(管轄の扱い)2-6. 保証の提供を廃止

2.5 採・利 加除 2.5-1.クレジットをWiki、スポンサー等の主体にも付与可能に

3.0 採用者採・利採・利内発内発

明記加除加除明記明記

3-1.クレジット付与は支持表明のように使えない事を明記3-2.( Parallel Distribution 条項の議論→不採用)3-3.GFDLとの互換性確立準備条項3-4. 国際化:人格権の扱いを明記3-5. 国際化:音楽作品の法定ロイヤルティの扱い

4.0 採用者内発採用者

加除廃止加除

4-1.(クレジットなどの条件簡素化 ?)4-2.(管轄別ライセンス廃止 ?)4-3. データベース権対応

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CCライセンスのバージョン(補遺)

2.1 - 移植の際のミスを修正する為のもの。(スペイン、オーストラリア、日本)3.01 ー 未完に終わる。文言修正が主だが、

データベース権の議論もある。( 2007.10-)3.5 - 未完に終わる。 GFDLとの互換性、メ

ディアの埋め込みの扱いなど。( 2007.12-)

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資料

• CCライセンスの過去のバージョン更新についての情報は、

http://wiki.creativecommons.org/License_Versions

• 4.0 は現在開発中。詳細は http://wiki.creativecommons.org/4.0 に

• CCのブログやメーリングリストには更に詳細な議論、途中のドラフトなどもある。

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2-1.BY要素がないライセンスを廃止

CCのコアライセンスは、現在 6種CC-BYCC-BY-NC CC-BY-ND CC-BY-SACC-BY-NC-ND CC-BY-NC-SA( CC-BY-ND-SAは論理的に矛盾を孕む為、不在)当初、 CC ライセンス ver.1.0 では BYを含まないライセンスも 5種類あった。→利用率が総計 2-3%と著しく低いため、廃止。

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ver. 1.0 ライセンス体系BY 表示 NC 非営利 ND 同一 SA 条件継

CC BY O

CC BY NC O O

CC BY ND O O

CC BY SA O O

CC BY NC ND O O O

CC BY NC SA O O O

CC NC O

CC ND O

CC SA O

CC NC ND O O

CC NC SA O O下半分は 2.0で廃止された。

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2-2 . URLをクレジット要素の一部に

・作品に関連した URL(厳密には URLを含む URI)を、クレジットの一部として表示する義務。

a)特定されている場合、かつ、b) URLにあるリソースが作品の著作権表示かライセンス情

報を含んでいる場合※作品の著作者やライセンスに関係のない URLは、クレジットとして表示する必要はない。

 →スパムなどへの対策ハイパーリンクを要求していない =オフラインでも URL

表示の義務はある。他、参考: http://creativecommons.org/weblog/entry/3636

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2-3.音楽と映像の同期

・音楽と映像を同期させる利用が、派生作品の作成にあたると明記

議論のきっかけ、主な意見などについて解説が付されていない改訂項目のひとつ。

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2-3.音楽と映像の同期

・ CCライセンスでは、二次的著作物(派生作品、翻案物)の作成・利用と、現作品の複製・利用とで、従うべき条件が異なってくる。例: ND要素のついているライセンスは、そもそも二次的著作物の利用は許諾されていない。例: BYライセンスでは、複製の場合はライセンス・ノーティスをそのまま継承する必要があるが、二次的著作物についてはその必要はない。

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2-4.音楽作品のロイヤルティ

音楽著作権の管理団体が徴収するロイヤルティは、 CC楽曲についてはどうなっているのか ? 明確化。(合理的な解釈によるもので、内容の変更ではない。)→・ NC要素のついている(非営利限定系)ライセンスの場合、権利者が徴収する権利を保持・営利利用を許諾しているライセンスでは、徴収する権利を放棄

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2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性

・ BY-SA 2.0 JPと  BY-SA 2.0 Genericなどの間に互換性を持たせた例: BY-SA 2.0 Genericの派生作品を、 BY-SA 2.1 JPでリリースしてよい。

派生作品は、バージョンが同じか、後のライセンスで提供可能。管轄の異なるものでも OK。ただし、原作品のライセンスは、 BY-SA 2.0のまま、といった形になるため、作品は複数ライセンスに制約されるキメラ状態になる。(後述)

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2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性

・当初は世界中で CCの移植需要があることを想定していなかったと思われる。

a) Warsaw世界会議での発言(最初の CC iSummitへの海外からの出席者に驚愕した)

b) ver. 1.0 のライセンスは、管轄がついていないが、米国法を強く意識した書きぶり。ベルヌ条約の語法ベースになったのは 3.0から。 (“Nomenclature (for unported licenses)”の節 @

http://wiki.creativecommons.org/License_Versions )バージョン 非移植版名 二次的著作物の呼称 米国版

1.0 なし Derivative Works( 米 ) なし

2.0 Generic Derivative Works( 米 ) なし

3.0 Unported Adaptation (ベルヌ ) あり

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2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性

・ CC-BY-SA 2.0 Generic -> CC-BY-SA 3.0 Unportedや・ CC-BY-SA 2.0 Generic -> CC-BY-SA 2.0 JP といった形で原作品と違うライセンスを二次的

著作物につけることができるようになった。

※二次的著作物全体をそのライセンスの下におけるわけではなく、元の作品にある創作的表現の部分は、元の作品のライセンスのままにとどまる。

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2.6 保証の提供を廃止・バージョン 1.0では、作品の利用に必要な権利をきちんと処理する合理的な努力を払った、という保証がついていた。

・第三者のプライバシー侵害、名誉毀損、著作権侵害などにもなっていないという保証があった。

・ 2.0以降は無保証に。

※CCやフリーカルチャーのサポーターからの批判。(無償利用を許諾しているのに何故保証まで提供しなければならないのか ? 匿名の著作者・ライセンサーからの保証は意味があるのか ? ブロガーなどはこれを知らずに使っているだろうが、それでよいのか、 など) 

※保証が欲しければ有料で提供する、というモデルがありうるという着想が決めてとなり、保証は廃止。

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2.5-1.クレジットをWiki、スポンサーなどの主体にも付与可能

に・これまでは著作者にクレジット付与・それだと、ウィキペディアのようなプロジェクトではクレジットが長大になる。( 100 名以上の著者がいる場合もあるため)→著作者にも、それ以外の対象にも、クレジット付与を義務付けられるようになった。 (義務付けるのは、ライセンサー)

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2.5.-1

・当初 CC-BY Wiki という実験的なライセンスをリリース。これは CC-BYと内容は同じだが、分ランディングを変えた、と説明。

・ウィキへの Attributionを可能に。

・ウィキ 「又は」 著作者 へのクレジット付与、という相互排他的なクレジット付与対象の選択がWikiライセンスの内容だった。→ 2.5では、両方への Attributionも可能に。

・オープンアクセス(学術論文などをオープンライセンスつきで無償公開するような運動)の界隈でも、クレジット付与対象として著作者ではなくジャーナルや資金助成を行った団体を指定できる必要があった。→ 2.5で対応。

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3-1.「支持表明」禁止条項

・原作品の著作者などを明記する(クレジットを付与する)義務

→ その際に、著作者などから(改変作品への)支持表明があるかのように扱わない、という義務づけ

※MITなど著名機関の懸念に応えたとされる

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3-2.Parallel Distribution 条項・ DRMの発達・普及 ( PS2 等)・ DRMの回避の違法化→CCライセンスに Parallel Distribution 条項を入れるべきか ?・具体的に困っているという例が乏しかった・ DRMは廃れるという予想があった・ Debianがあまりこの点にこだわらない様子も見せた→その後も DRMは普及し、日本のデジタル放送にも適用されている。(いわゆるダビング 10)

→4.0では Parallel Distribution 条項の再論に

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3-3.GFDLとの互換性準備GFDLと CC-BY-SAはライセンスとして類似しているが、 GFDLの文書( e.g.ウィキペディア)と CC-BY-SAの画像を組み合わせてよいかは不明。

( FSFスタッフが否定的にコメントしたことも)

ウィキメディア財団からのよびかけ( CCライセンスへの乗換え希望者も)

→CC 側の対応として他のライセンスとの互換性確立の手続きを制定した。

(結局互換性確立は実現されていない / ウィキメディア・プロジェクトのライセンスの「乗換え」もできなかった)

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3-4. 国際化:人格権の扱いを明記

・日本でいう同一性保持権と名誉声望権の扱いが問題。

・基本的に名誉声望権は保持。・ライセンスの許諾内容( = 改変行為)上必要な分は、法律上可能な限り、破棄または不行使の約束を行う。

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3-4

・人格権の放棄がカナダでは可能だった。・日本は基本的に「意に反した改変」が同一性保持権侵害になる。多くの国ではこれはない。・米国には著作権法上は規定がほとんどないことから、 1.0では触れていない。・各国・管轄地への移植を経て、統合的アプローチが見えた。

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3-5. 国際化:音楽作品のロイヤルティの扱い

権利管理団体によるロイヤルティ徴収:・自主的な契約に基づく国(米国) →ライセンスの許諾範囲内の利用については徴

収権を放棄・法的に定められている国 – 権利を放棄可能な国とそうでない国がある  →許諾範囲内の利用に対する徴収権は、 放棄できる分については、放棄。 放棄出来ない場合は、権利は保持。

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3 -5

2.0で導入した条項を、各国・管轄地に移植する際に変更した。それを再統合したのが 3.0の当該条項

人格権をめぐる明記と、似たパターンになっている。

※4.0の段階で登場した、移植自体をなくすという案も、 3.0で国際化の作業がかなり進んだからではないか。

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4-1.クレジットなど条件簡素化

クレジットは「合理的であればよい」という方向に全てを統一(従来は「ライセンスに言及する注意書き」、「免責事項に言及する注意書き」、「著作権表示」はそのまま表示する必要があり、合理的であればよい、という基準が適用されていなかった。)作品のタイトルは不要に多くの著作者名をどこかのウェブページに掲載、そこへのリンクで済ますことも OK、と明記

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4-2. 管轄ライセンス廃止 ?

・まだ本格的な議論になっていない。・ワルシャワの CCサミットで発表。・ 4.0の議論全体を停滞させないように、議論を分けて、先送りして来た。・グローバルに通用するライセンスを開発 各国・管轄地チームは現地語への翻訳をする

・ GPLはこのアプローチ

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4-3. データベース権対応

案・データベース権は、ライセンスの許諾内

容に必要な分は許諾。・必要ない部分は保持。案・データベース権は、一括放棄。

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4-3.・欧州ではデータベース権が設定される自分が開発したデータベースの実質的な部分を、無断で利用されない権利。(著作権的な独占権)

データの取捨選択や配列に創作性がゼロでも発生する。→データベースのオープン化にも、ライセンスが必要になる。

CCライセンスはデータベース権に対応していなかった(当初)→3.0では、一部の国でデータベース権は放棄する、という扱い。→放棄はしないが、非商用利用はライセンスの種類に関わらず

許諾、というライセンスもあった。→3.0Unportedは言及がなかったが、これは英国政府が Open

Government Licenseの開発に踏み切った理由のひとつ

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CCライセンスのバージョンver.

分類 分類 主な変更案

1.0 (最初のリリース)

2.0 採用者採用者

採用者

廃止加除明記明記加除加除

2-1.BY要素がないライセンスを廃止2-2.URLをクレジット表示の一部に2-3.音楽と映像の同期は改変にあたると明記2-4.音楽作品のロイヤルティの扱いを明記2-5.BY-SA間 , BY-NC-SA 間の互換性確立(管轄の扱い)2-6. 保証の提供を廃止

2.5 採・利 加除 2.5-1.クレジットをWiki、スポンサー等の主体にも付与可能に

3.0 採用者採・利採・利内発内発

明記加除加除明記明記

3-1.クレジット付与は支持表明のように使えない事を明記3-2.( Parallel Distribution 条項の議論→不採用)3-3.GFDLとの互換性確立準備条項3-4. 国際化:人格権の扱いを明記3-5. 国際化:音楽作品の法定ロイヤルティの扱い

4.0 採用者内発採用者

加除廃止加除

4-1.(クレジットなどの条件簡素化 ?)4-2.(管轄別ライセンス廃止 ?)4-3. データベース権対応

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補足: CCライセンスの廃止例

・ Sampling・ DevNations

・ BY要素のついていないライセンス群( 2.0)・ NCライセンス廃止案( 4.0)

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廃止された個別 CCライセンス

・ DevNations:途上国地域に限定した CC-BY→オープンアクセスの隆盛に鑑みて、地域

限定ライセンスは不適当と判断、廃止

・ Sampling:リミックス利用のみの許諾→FSFなどから CCのライセンスに共通の中核的「自由」が存在しないことに批判があったことに対応。全ライセンスで非商用の複製は OK,というベースラインを設定した。

Page 43: Cc license evolution

「 CCは無節操」説

・商業利用や改変を禁止するライセンスをサポートしている。・逆に、「改変しなければ利用できない」という Samplingライセンスも提供していた。・「 CCライセンスで提供されています」というロゴは、そうすると、「何かに使えます」という以上の意味を持たない。・オープン化の推進者から見ると、かなり無

節操で危険なアプローチともとれる。

Page 44: Cc license evolution

オープン性の定義 Definition of Free Cultural Works (Wikimedia 系 ) http://freedomdefined.org/Definition 使用、研究、複製と配布、改変とその配布(クレジット付与、条件継承、ソースコード提供、オープンフォーマット利用、 DRM 等による制約をしないこと、の義務付けは OK)

※CCは、 2008.4. “CC Attribution-ShareAlike Intent” でこの定義に準拠する意志を表明している。 2007年 12月にウィキメディア・コミュニティから出た提案によるもの。

(http://creativecommons.org/weblog/entry/8186 )

Open Definition (OKF 系 ) http://opendefinition.org/ 利用・再利用・再配布 (クレジット付与、条件継承、の義務付けは OK)

Page 45: Cc license evolution

オープン性の定義 The Free Software Definition (FSF) http://www.gnu.org/philosophy/free-swプログラムの使用、研究、複製物の配布、改変物の配布(条件継承、改変の場合の作品名の変更 *、改変の場合の著者名など変更、配布する場合の特定の配布方法の採用、の義務付けは OK)

*プログラム名の改変が他プログラムからの呼び出しに差し支える場合は、作品名変更を義務付けるのは NG

他の定義・解説例http://opensource.org/docs/definition.html (OSI) http://www.debian.org/social_contract#guidelines (debian)

Page 46: Cc license evolution

NC 系ライセンスの廃止論

・「オープン」ではない・非商用の定義が曖昧。(トラブルの元とも考えられる。)・せめて CCライセンスとして扱うのはやめつつ、ライセンスのメンテをしてはどうか ?という案も。(ブランド、ミッションの定義問題)・ NC 系だけでなく、 ND 系(改変禁止)ライセンスも、 CCライセンスのラインナップから外すという論がある。( ver 4.0の議論)

Page 47: Cc license evolution

・ライセンスの変更に関する一般的議論 (変更の功罪、必要性と弊害)

・ CCライセンスを対象とした、パブリックライセンスの変遷とその理由の検討

・オープンライセンスの課題についての概論(今後どのような変化を検討する必要があるか)

Page 48: Cc license evolution

オープン・ライセンスの未来

・オープン・コンテンツのレポジトリ・オープン・コンテンツの検索エンジン・ CGMプラットフォームへの対応・(「パブリック」ではない)ソーシャル・ライセンス・課金システムとの連携・ DRMとライセンスの融合・連携・改変禁止、クレジット付与などの自動処理

Page 49: Cc license evolution

(補論)オープン・ライセンス作成の際の考えどころ

Page 50: Cc license evolution

文言をめぐる困難

・普通の人が読んでわかる  (権利者も、利用者も)・法律的に狙った通りの効力を持つ

+汎用性がある(専用ライセンスの乱立→コモンズの分断になるのを防ぐため)

Page 51: Cc license evolution

文言の困難

・柔軟で汎用性が高い。→曖昧でリスクが残る。(具体的な利用の場面にどう適用するのか、解釈の余地が大きい)。抜け穴もある。・堅牢で抜け穴がない。→想定している文脈が限定されていて、汎用性が低い。 or 煩雑でわかりにくい。

柔軟性 厳密性・明確性

汎用性

Page 52: Cc license evolution

概念の形成をめぐる宿命

・限定された文脈で、長期的に安定した慣行や制度があれば、厳密・明確な概念が形成されやすい。・汎用ライセンスは常に難しいだろう・変化がある領域・時代にはライセンスは書きづらくなる

→ CCライセンスは、ネットという汎用技術の可能性を引き出すツールなので、難しさからは当面逃れられない。

Page 53: Cc license evolution

概念形成の欠如例:

「非商用利用」、「二次的著作物」などは厳密な定義がないが、 CCライセンス内で定義することはかなり難しい。・広く共有されている概念、丁寧に考え抜かれ定義された概念がない場合、ライセンスの文言でどうにかすることは容易ではない。

Page 54: Cc license evolution

考えどころ 2: 合意の実態

・ CCライセンスの利用者は、著作権についてよくわかっていない人かも知れない。・ CCライセンスの利用者は、ライセンスをしっかり読まずに済ませたい人かも知れない。→表面的な印象が誤解、トラブルにならないようにする必要がある。

= 広く共有されている概念だけを使ってライセンスを組み立てる、など。

Page 55: Cc license evolution

合意の実態

・当事者双方が、 ・ライセンスを読んで、 ・理解し、 ・互いに理解が一致し、 ・権利許諾と許諾された作品の利用が起こるというのが理想。当事者がライセンスを読まない場合にも、トラブルが起こりにくいようにする。(予想外の条項が含まれていない、など)

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例:「権利者/ライセンシー」問題

・「権利者/ライセンシー」問題誰がライセンシーで、誰が権利者か ?ライセンスで許諾の対象とされている権利は誰の、どの権利か ?楽曲の場合は、作詞・作曲・レコード製作者の権利など全て許諾されているべきか ?(この点の誤解は、権利侵害につながりやすい)→どういう設定にしておけば、回避しやすいか ?

Page 57: Cc license evolution

合意の自動化案

・何が出来るか・できないか・どういう Attributionを表示する必要があるかなどをプログラムで処理できるようにしてしまえばよいのではないか ?

技術的には実行可能なことが拡大している領域でもある。

DRMと類似の発想なので批判もある。

Page 58: Cc license evolution

考えどころ 3

・コモンズの保守や拡大をどの程度重視するか ?

- 改変をするたびに、作品のタイトルを変更するように義務付けるか ? (GFDL)

- DRMを禁止するか ? - Viral 条項を設定するか。どの程度強くするか。( Collectionへの波及など)

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本発表資料のライセンスこの発表資料を 2種類のライセンスで提供し、利用者が選べるようにするために、利用許諾に関する注意書きを以下に記します。

・ この発表資料は、 CC-BY 2.1 JP (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ )でライセンスされています。

・ この発表資料は、 CC-BY-SA 2.1 JP (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/ )でライセンスされています。

参考までに、本作品のタイトルは「オープン・ライセンスの互換性とイノベーションをめぐる課題」で、原著作者は渡辺智暁です。本作品に係る著作権表示はなく、許諾者が本作品に添付するよう指定した URIもありません。