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平成24年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業報告 福祉用具の適正給付へのネットワークづくりと効果の評価、 人材育成に関する調査研究 ―高齢者の骨粗鬆症による骨折を中心に― 平成25年3月 神戸市企画調整局医療産業都市推進本部

福祉用具の適正給付へのネットワークづくりと効果の評価、 …...1-2 検討委員会及びワーキング組織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

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平成24年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業報告

福祉用具の適正給付へのネットワークづくりと効果の評価、

人材育成に関する調査研究

―高齢者の骨粗鬆症による骨折を中心に―

平成25年3月

神戸市企画調整局医療産業都市推進本部

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目 次

1.事業概要 1-1 調査研究の背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-2 検討委員会及びワーキング組織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1-3 検討委員会及びワーキングの開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2.アンケート調査について

2-1 アンケート調査の送付について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2-2 調査方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2-3 調査対象数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2-4 調査期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

3.調査結果

3-1 アンケート調査返送結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3-2 調査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

4.考察及び今後の方向性

4-1 全体の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

4-2 施設に関する考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

4-3 職種別考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

4-4 居宅に関する考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

4-5 福祉用具専門相談員に関する考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

5.福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けて

5-1 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた検討 ・・・・・・・・・・・・・37

5-2 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた説明と意見交換会状況 ・・・・・37

6.終わりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

7.参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

参考資料

1 アンケート帳票

2 アンケート結果

3 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けて(資料)

4 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた説明及び意見交換会アンケート用紙

5 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた説明及び意見交換会アンケート結果

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1.事業概要および目的

1-1 調査研究の背景

わが国は世界でも例をみない急速な少子高齢化が進展しており、当市においても介護

保険制度開始当初の平成12年度の高齢化率は16.8%であったが、平成22年の国

勢調査においては、23.1%と確実に高齢化が進行している。一方、要介護等認定者

数は平成12年4月末に26,040人であったが、平成24年3月末現在では

72,409人と約2.8倍となっており、要介護認定者数は年々増加している。さら

に在宅サービス利用者数の推移においても、平成12年4月には13,767人であっ

たものが、平成23年3月末には47,571人と約3.5倍増加していることから、

要介護状態となることを予防するとともに、要介護状態になった場合においてもリハビ

リテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することによ

り、機能の維持向上を図る必要性がある。

平成23年度の「骨粗鬆症による骨折のリハビリテーションにおける福祉用具の適正

な利用の促進に関する調査研究」において、神戸市内の介護関係施設・事業者・関係職

種などを対象に、骨粗鬆症による骨折後の実態や福祉用具の利用の実態について調査を

行った。その結果、福祉用具に関する知識(定義、分類、適応、リスク、保守、制度等)

が不十分であり、福祉用具の選択基準等(使用目的、考慮点、評価項目、判断基準等)

に曖昧さがみられ、市域関係医療職および福祉介護職ともにばらつきのある対応が大き

な課題であるという実態が浮き彫りになり、福祉用具の適正な利用を促進する必要性が

あることが明らかになった。

平成24年度は、昨年度の調査研究で明確になった課題を当市として総括的に解決す

るため、「福祉用具の適正利用するための具体的な調査研究」や、「神戸市ならではのネ

ットワークづくり」の基礎をつくりあげることとし、用具を適正に利用するための基礎

となる福祉用具に関する共通言語の作成と普及を図ることや、適正利用の共通データ、

連携のあり方の検討に取り組むこととなった。市域全域で統一しにくい大都市でありな

がら、医師会、病院、リハビリテーション病院、ケアマネジャー連絡会、シルバーサー

ビス連絡会(介護サービス、福祉用具専門業者)、看護部門、リハビリセラピスト、在

神大学(神戸大、神戸学院大)、日本福祉用具評価センターと、福祉用具の選定から供

給、評価、訓練、住居改善までの神戸市ならではの専門メンバーの参加と関係諸団体の

協力のもと、福祉用具適正ガイドライン検討会を設置し検討することが可能となった。

また、この検討会に介護保険担当部門のオブザーバー参加も加わり、神戸市域での福

祉用具の適正化促進の基礎作りの調査研究の促進が図られる背景が整ったことも、次な

るステップアップに繋がるものであった。

このような背景の中で、福祉用具の適正な利用を、関係する職種群が共通した言語・

ツールを駆使して互いに連携し、利用者側に視点を置くことにより実現しようとの認識

のもと、介護保険制度の円滑な運営に寄与することを目的に調査研究を行った。

- 1 -

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1-2 検討委員会及びワーキング組織

1.平成 24年度福祉用具適正ガイドライン検討会委員

敬称略 50音順

氏 名 所 属

座 長 澤村 誠志 兵庫県社会福祉事業団顧問

兵庫県立総合リハビリテーションセンター名誉院長

委 員 伊藤 健三 日本福祉用具評価センター理事

〃 糟谷 佐紀 神戸学院大学リハビリテーション学部准教授

〃 川那辺 圭一 神戸市立医療センター中央市民病院整形外科部長

〃 栄 健一郎 適寿リハビリテーション病院理事・リハビリセンター科長

〃 三田 純子 神戸市ケアマネジャー連絡会常任理事 新長田あんしんすこやかセンター

〃 鈴木 寿郎 日本福祉用具評価センター長

〃 中村 春基 兵庫県立総合リハビリテーションセンター部長

〃 藤井 芳夫 神戸市医師会理事(介護保険部担当)

〃 槇村 博之 神戸市医師会副会長

〃 正木 健一 神戸市シルバーサービス事業者連絡会代表(㈱ひまわり住環境研究室室長)

〃 保田 淳子 日本ノーリフト協会代表

〃 羅 志偉 神戸大学大学院システム情報学研究科教授

オブザーバー 土井 義和 神戸市保健福祉局高齢福祉部長

〃 阿辻 覚 神戸市保健福祉局健康部地域保健課長

〃 上田 智也 神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課長

〃 原 秀樹 神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課介護予防担当課長

〃 川崎 圭子 神戸市西区保健福祉部健康福祉課あんしんすこやか係成老人担当係長

事務局 谷真行・國枝卓・石野竜一郎・野々村久実枝・

武田卓・出口幸治

企画調整局医療産業都市推進本部調査課

- 2 -

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2.平成 24年度福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキング委員

敬称略 50音順

氏 名 所 属

座 長 中村 春基 兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院

委 員 伊藤 健三 日本福祉用具評価センター

〃 沖山 努 神戸リハビリテーション病院

〃 栄 健一郎 適寿リハビリテーション病院

〃 河合 秀彦 兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院

〃 鈴木 寿郎 日本福祉用具評価センター

〃 三田 純子 神戸市ケアマネジャー連絡会常任理事 新長田あんしんすこやかセンター

〃 藤井 芳夫 神戸市医師会理事(介護保険部担当)

〃 槇村 博之 神戸市医師会副会長

〃 正木 健一 神戸市シルバーサービス事業者連絡会(㈱ひまわり住環境研究室室長)

〃 保田 淳子 日本ノーリフト協会

〃 羅 志偉 神戸大学大学院システム情報学研究科教授

オブザーバー 上田 智也 神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課長

〃 川崎 圭子 神戸市西区保健福祉部健康福祉課あんしんすこやか係成老人担当係長

〃 西山 順子 神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課認定係長

〃 松田 真理 神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課介護予防担当係長

事務局 石野竜一郎・野々村久実枝・武田卓・出口幸治 企画調整局医療産業都市推進本部調査課

- 3 -

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1-3 福祉用具適正ガイドライン検討会及びワーキングの開催

1.福祉用具適正ガイドライン検討会の開催状況

1)第 1回福祉用具適正ガイドライン検討会

開催日:平成24年8月30日(木)

会場:神戸国際会館703号会議室

議題:(1)委員紹介

(2)平成23年度調査研究結果及び24年度申請内容について

(3)平成24年度の方向性(案)について

①平成24年度の調査研究の目標

②ワーキングの開催について

③今後のスケジュールについて

2)第2回福祉用具適正ガイドライン検討会

開催日:平成25年1月31日(木)

会場:神戸東急イン3階「ローズ」

議題:(1)委員紹介

(2)ワーキング及び実務者会の開催状況及び検討内容について(報告)

①アンケート調査の実施について

②福祉用具適正ガイドライン及び効果の評価指標(案)の作成について

③福祉用具適正ガイドライン及び効果の評価指標(案)の意見交換会の開

催について

④平成24年度報告書の作成について

⑤その他

3)第3回福祉用具適正ガイドライン検討会

開催日:平成25年2月21日(木)

会場:神戸東急イン3階「ローズ」

議題:(1)委員紹介

(2)福祉用具適正ガイドライン及び効果の評価指標(案)の作成について

①福祉用具適正ガイドライン(案)の説明及び意見交換会の開催報告

②福祉用具適正ガイドライン(案)の説明及び意見交換会を受けた検討

(3)平成24年度報告書の作成について

(4)その他

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2.福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキングの開催状況

1)第1回福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキング

開催日:平成24年9月12日(水)

会場:神戸国際会館804会議室

議題:(1)第1回福祉用具適正ガイドライン検討会議事要約(報告)

(2)福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキングスケジュールについて

(3)福祉用具適正ガイドライン(案)の作成について

①ガイドラインのイメージの共有化

②ガイドラインの項目及び検討を加える点について

③アンケート調査について

④福祉用具の効果の評価基準について

(4)その他

2)第2回福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキング

開催日:平成24年11月22日(木)

会場:神戸国際会館703会議室

議題:(1)アンケート調査について(報告)

(2)討議

①福祉用具適正ガイドライン(案)の作成について

②福祉用具の効果の評価基準について

③聞き取り調査について

④研修会の開催について

(3)その他

3)第3回福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキング

開催日:平成24年12月13日(木)

会場:神戸国際会館703会議室

議題:(1)アンケート調査結果の中間報告

(2)福祉用具適正ガイドライン(案)及び効果の評価基準の作成について

(3)研修会に開催について

(4)今後のスケジュールについて

(5)その他

- 5 -

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3.実務者会の開催

福祉用具適正ガイドライン検討会ワーキングの実務を行うため実務者会を開催

(計5回開催)

①第1回実務者会 平成24年9月27日

②第2回実務者会 平成24年10月24日

③第3回実務者会 平成24年11月16日

④第4回実務者会 平成24年12月10日

⑤第5回実務者会 平成25年3月13日

- 6 -

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2.アンケート調査について

2-1 アンケート調査の送付について

2-2 調査方法

郵送方式

2-3 調査対象数

2-1のとおり 合計1,059施設・事業所

2-4 調査期間

平成24年11月26日~12月10日

調査対象施設・事業所 送付アンケート様式 対象数

神戸市老人福祉施設連盟加入施設 様式1・様式2 103

神戸市内老人保健施設 様式1・様式2 51

神戸市内グループホーム 様式1・様式2 88

神戸市内あんしんすこやかセンター

(地域包括支援センター)

様式3 75

神戸市内居宅介護支援事業所 様式3 470

神戸市内有料老人ホーム 様式1・様式2 69

神戸市内医療機関(病院) 様式1・様式2 107

シルバーサービス事業者連絡会加入事業所 専用様式3セット 96

合計 1,059

- 7 -

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3.調査結果

3-1 アンケート調査送付及び返送結果

Ⅰ.調査票集計について

1)調査用紙送付内容について

下記の調査用紙を送付している。

①様式―1 転倒予防に関する福祉用具について、施設での取り組みに関する調査

用紙

②様式―2 転倒予防に関する福祉用具選択について、各個人での直近、3ヶ月間

の取り組みに関する調査用紙

③様式―3 あんしんすこやかセンター及び居宅介護支援事業所における、杖・歩

行補助車・車いすの取扱いについて、直近 1事例の調査用紙

④専用様式3セット 福祉用具専門相談員ケース別(車いす、歩行器・車、杖)ア

ンケート

2)回収結果について

様式毎の回収結果は下記の通りである。

様式1 103 38 36.89%

様式2 103 44 42.72%

様式1 51 25 49.02%

様式2 51 42 82.35%

様式1 88 23 26.14%

様式2 88 23 26.14%

神戸市内あんしんすこやかセンター 様式3 75 60 80.00%

神戸市内居宅介護支援事業所 様式3 469 199 42.43%

様式1 69 23 33.33%

様式2 69 30 43.48%

様式1 107 29 27.10%

様式2 107 66 61.68%

神戸市内福祉用具貸与事業所専用様式3セット

92 29 31.52%

1472 631 42.87%合計

返答数

神戸市内医療機関

送付先 送付調査票 送付数 回答率

神戸市老人福祉施設連盟

神戸市内老人保健施設

神戸市内グループホーム

神戸市内有料老人ホーム

※対象数1,059のうち宛先不明で返送があった5件については送付数より差引いている。

※様式によっては 1 つの施設で複数人の回答結果が来ている為、様式毎で異なる返答数にな

っている。

※返答数は複数回答を含むものであり、返信数ではない。

3-2 調査結果

調査結果のまとめについては、8.参考資料2を参照

- 8 -

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4.考察及び今後の方向性

4-1 全体の結果

○車いす、杖、歩行器・車について、医療、介護保険施設において、量の不足、個別

対応が出来ない、知識不足、介護保険施設では、介護での福祉用具貸与制度が利用

出来ないなどの実態が明らかになった。連携においては、連絡は行われているが、

その内容についての更なる調査の必要性が明らかになった。人材育成については各

職種共通と個別の研修プログラムの必要性は明らかとなった。

○「福祉用具の適正な利用のためのガイドライン」の必要性が明らかになった。また、

神戸市全体での取り組みの必要性が確認された。

○医師をはじめとした、多職種連携によるシステム構築の必要性が確認された。

4-2 施設に関する結果と考察

1.施設の種類と管理者の有無について

調査対象は、神戸市の急性期病院、回復期病院、療養型病院、老人保健施設、特別

養護老人ホーム、ケアハウス、有料老人ホーム、グループホーム等の全施設587施

設にアンケートを送付し、227施設(回収率39%)から回答を得た。

その内訳は、病院が33%、老人保健施設20%、特別養護老人ホーム等21%、

有料老人ホーム14%等である。その中で、福祉用具担当の管理者を置いている施設

は51%であり、組織的な管理がなされていない実態が明らかになった。

図‐1施設の種類

- 9 -

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2.退院・退所後の使用状況・生活状況の確認

43%の施設で確認はなされていなかった。確認を行った職種をみると、介護支援

専門37件、理学療法士25件、作業療法士の順に多かった。確認方法は、電話33%、

訪問31%、担当者会議12%であった。また、期間をみると、1週間以内31%、

1~2週間が34%、2~4週間が24%であった。ただ、病院、施設からの確認は

少なかった。

図‐2確認を行っている職種 図‐3確認を行う時期

3.福祉用具についての施設での課題について

全体では139施設、うち、介護保険施設等112施設、急性期医療17施設、回

復期医療10施設のデータである。なお、表の番号の内容は以下の通りである。

1.新しい福祉用具が購入できない

2.メンテナンスができない

3.介護保険制度の福祉用具貸与が利用できない

4.購入の希望が通らない

5.用具の量が不足している

6.用具の種類が不足している

7.在宅で使う福祉用具と違う

8.個別的な対応ができない

9.福祉用具に対する職員の知識不足

10.福祉用具に関する研修等がない

11.福祉用具に対する職員の意識が低い

12.適応できる職種(人?)がいない

13.継続的な連携ができない

- 10 -

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1)介護保険施設等での課題

3の「介護保険制度の福祉用具貸与が利用できない」が26%、8の「個別的な対応

ができない」が16%、1の「新しい福祉用具が購入できない」が12%、5の「用具

の量が不足している」と9の「福祉用具に対する職員の知識不足」が各10%、8の「個

別の対応ができない」8%の順であった。制度、用具の量と種類、人材育成等、多くの

課題が明らかになった。

図‐4 全体の結果 図‐5 介護保険施設等での課題

2)急性期医療、回復期医療での課題

急性期医療においては、量と種類の不足で約5割を占め、その他、「新規購入」「在

宅で使う福祉用具と違う」がそれぞれ15%を占めていた。

回復期医療では、用具の量と「介護保険制度の福祉用具貸与が利用できない」で約6

割を占め、新規購入、用具の種類、新規購入、職員の意識等が各14%であった。

図‐6 急性期医療での課題 図‐7 回復期医療での課題

- 11 -

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4.福祉用具の量、種類、取扱等について 杖、車いす、歩行器・車等、シルバーカ、リフト、高さ調整機能付ベッド、離床セ

ンサー、ヒッププロテクター等の量、種類、備品対応かレンタルでの取扱等について

調査した。結果を以下に示す。 1)車いすについて

①車いす(標準型、モジュラー式、ティルト・リクライニング機能付き、電動車いす)

平均台数について

急性期医療施設において、モジュラー式及びティルト・リクライニング機能付の車

いすの少なさが明らかになった。

表-1 車いすの種類別平均台数

車いす (平均台数)

車いすの種類 急性期医療 回復期医療 介護保険施設等

標準形 39.82 58.11 28.21

モジュラー式 3.36 15.75 9.11

ティルト・リクライニング機能付 3.64 4.50 6.39

電動車いす 0.00 0.29 0.06

(台数は、記載のあった平均にて算出) ②車いすの充足度について 標準型車いすの充足度は高かった。その他の車いすは2割から4割程度の充足度で

あった。また、回復期医療施設では、量的には他の施設群より多いが、充足に関す

る問いでは、全体的に低い傾向が見られた。

表―2 車いす 充足度

(%は充足割合)

車いすの種類 急性期医療 回復期医療 介護保険施設等

標準形 70.6% 50.0% 79.5%

モジュラー式 41.2% 20.0% 35.7%

ティルト・リクライニング機能付 35.3% 40.0% 41.1%

電動車いす 23.4% 30.0% 29.5%

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図―8車いすの充足度

③車いすの備品扱について

標準型は備品対応が取られていた。モジュラー式、ティルト・リクライニング機能

付については、急性期医療施設及び介護保険施設等で回復期医療施設より低く、電

動車いすにおいては、急性期医療施設及び介護保険施設等では殆どの施設で備品と

して整備されていない。

(未回答を除き算出 単位は%)

表―3 車いす 備品対応状況

車いすの種類 急性期医療 回復期医療 介護保険施設等

標準形 90.9 100 89.9

モジュラー式 66.7 85.7 69.7

ティルト・リクライニング機能付 70.0 85.7 78.3

電動車いす 14.3 50.0 3.3

- 13 -

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④個人でのレンタル利用の状況 施設部品での適正な車いすがない場合、レンタルあるいは個人購入となる。そこで、

個人レンタルの制度を導入している施設を調査した。結果は以下の通り、いずれの

品目でも、個人レンタルを取っている施設は少なかった。

表―4 個人レンタル可能な施設の割合

車いすの種類 急性期医療 回復期医療 介護保険施設等

標準形 12.5 14.3 23.0

モジュラー式 14.3 14.3 26.5

ティルト・リクライニング機能付 14.3 14.3 30.6

電動車いす 16.7 16.7 10.9

(未回答を除き算出 単位は%)

⑤施設でのレンタル利用の状況

施設がレンタル業者を活用している割合を示す。回復期医療施設で取り入れている

施設が見られた。その中でも、電動車いすの割合は少なかった。

表―5 施設でのレンタル利用の割合

車いすの種類 急性期医療 回復期医療 介護保険施設等

標準形 0 33.3 10.5

モジュラー式 0 42.7 8.2

ティルト・リクライニング機能付 0 42.9 10.4

電動車いす 0 14.3 1.8

- 14 -

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2)杖について 杖については、一本杖、エルボークラッチ、多脚杖、松葉杖について、整備状況、備

品扱い、レンタルの利用について調査した。以下に結果を示す。 ①各杖の整備状況

松葉杖、一本杖の整備は充実しており、多脚杖、エルボークラッチは少なかった。

また、いずれの種類でも、回復期医療施設で整備されていた。なお、単位は平均台

数である。

図-9 杖の整備状況 図-10 杖の施設別整備状況

②各杖の充足度 いずれの品目、施設において充足度は高かった。

図-11 各杖の充足度(未回答は除き処理)

③各杖の備品及びレンタル状況 急性期医療施設、回復期医療施設では、殆どが備品として整備されていた。介護保

険施設等においては、一本杖(59.8%)、エルボークラッチ(23.8%)、多

脚杖(42.4%)、松葉杖(20.4%)の割合で備品として整備されていた。

なお、レンタルは施設、個人ともに、利用はごくわずかであった。

- 15 -

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3)歩行器・車の整備状況及び充足感、備品、レンタルについて 回復期医療施設で整備されていた。充足感については、介護保険施設等では高かっ

た。なお、備品での整備は、歩行器は急性期医療施設で高く、歩行車は回復期医療施

設で高かった。レンタルは施設、個人ともに、利用はごくわずかであった。

図‐12 歩行器・車の整備状況 図-13 充足感

図-14 備品での整備状況

- 16 -

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4)シルバーカの整備状況及び充足感、備品での対応、レンタルの利用について 回復期医療施設及び介護保険施設等で整備されていた。また、充足感については、

介護保険施設等で高かった。備品での扱いは、回復期医療施設で高かった。なお、レ

ンタルの利用はごくわずかであった。

図-15シルバーカの整備状況 図-16 シルバーカの充足感

図-17 シルバーカの備品対応状況

5)リフトの設置状況、充足感、備品、レンタルの取扱いについて 回復期医療施設において設置されていた。また、急性期では殆ど設置がなく、介護

保険施設等では、回復期より少なかった。充足感は各施設、各機種において、6割前

後の結果であったが、急性期医療施設において移動式が47%と低かった。 なお、備品での取扱い状況は、回復期医療施設で高く、介護保険施設等で低く、急

性期医療施設では0であった。レンタルは施設、個人共にごくわずかであった。

種 類 急性期医

療施設

回復期医

療施設

介護保施

設等

設置式 0.10 0.38 0.21

移動式 0.00 1.75 0.36

レール

走行式 0.09 3.75 0.55

表-6 リフトの設置状況(平均台数) 表-7 リフトの備品の取扱状況

種 類 急性期医

療施設

回復期医

療施設

介護保施

設等

設置式 0 33.3 13.8

移動式 0 50 24.2

レール

走行式 0 33.3 15.4

- 17 -

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6)高さ調節機能付ベッドの整備状況、充足感、備品、レンタルの取扱いについて 各施設において、整備されていた。充足感では、介護保険施設等が高く、次いで、急

性期医療機関、回復期医療機関の順であった。 表-8 高さ調節付ベッドの整備状況 表-9 高さ調節機能付きベッドの充足度

7)離床センサーの整備状況、充足感、備品、レンタルの取扱いについて 急性期医療施設、回復期医療施設、介護保険施設等の順で、設置されていた。充足

度では、介護保険施設等が高かった。回復期医療施設では充足度は低かった、 備品での対応は、介護保険施設等で73.3%、回復期医療施設で66.7%、急

性期医療施設で62.5%であった。レンタルの利用は、ごく少ない利用であった。 表-10 離床センサーの設置状況 表-11 離床センサーの充足度

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

離床センサー 16.90 12.13 7.00 離床センサー 41.7 22.2 58

8)ヒッププロテクターの整備状況、充足感、備品、レンタルの取扱いについて

ヒッププロテクターの整はいずれの施設でも低かった。

表-12 ヒッププロテクターの設置状況 表-13 ヒッププロテクタ-の充足度

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

ヒッププロテ

クター 0.11 0.50 0.16

ヒッププロテ

クター 55.60 25.00 54.90

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

種 類

急性期

医療施

回復期

医療施

介護保

険施設

高さ調節機能

付ベッド 144.33 126.44 61.32

高さ調節機能

付ベッド 73.30 66.70 85.60

- 18 -

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5.施設に関する結果のまとめ ○福祉用具の管理者の配置は51%、連携有の施設は53%、連携した職種は介護支

援専門員が多く、方法は、電話、訪問で6割、期間としては4週間で約9割を占め

ていた。 ○介護保険施設等では、「制度が利用できない」「個別の対応が困難」「購入が困難」

「用具の量と種類が不足」等の課題が明らかになった。また、医療施設においては、

量的不足と種類、制度の活用、人材育成等の課題が明らかとなった。 ○車いすでは、標準形が多く、モジュラー式、ティルト・リクライニング機能付きが

少なかった。適正な適合と利用を考慮すると、種類の見直し、レンタルの活用など

と取り組みが必要である。 ○杖に関しては、各種杖とも充足度は高く、特に、松葉杖の設置は高い。 ○歩行器・車は、回復期医療施設で整備されており、備品での対応が5割を越えてい

た。 ○シルバーカは、回復期医療施設と介護保険施設等で整備され、備品扱の割合は5割

前後であった。 ○リフトの設置は、いずれの施設でも低く、その中でも多かった回復期医療施設にお

いても、備品での取扱いは3割程度であった。今後、対象者の重度化、看護職、介

護職等の腰痛予防、適切な早期からの移乗方法の経験を考慮すると、早期の普及、

啓発が必要である。 ○高さ調節付ベッドは、多く整備されていたが、回復期医療施設での充足度は他の施

設と比べ低かった ○離床センサーの整備は急性期医療施設、回復期医療施設、介護保険施設等の順で整

備され、充足度は回復期医療施設が低かった。 ○ヒップ・プロテクターは、大腿骨頸部骨折に有効であるが、いずれの施設でも整備

は極めて低かった。 6.施設に関する今後の方向性 ○福祉用具の適正利用を図るために、管理責任者の育成、施設での配置を促進する。 ○医療と介護、施設と在宅の連携について、様式、ネットワーク、活用方法等につい

て細部を検討し、神戸連携モデルを検討する。また、「福祉用具の適正な利用のた

めのガイドライン」を完成させ、モデル的に運用し、本格的運用について検討する。 ○福祉用具の整備には各施設間で差があり、適正整備に関する相談機関の設置を検討 する。

○神戸市の施設全体の底上げが必要であり、行政施策での対応を検討する。

- 19 -

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4-3 職種別考察

転倒予防に関する福祉用具について、各個人での直近3ヶ月間の取り組みに関する調

査用紙 (205件)

記入者情報

1.杖・歩行器・歩行車・車いすの入院・入所時の用具の選択にあたってお答え下さい。

(1)入院(所)者に対する福祉用具の選択に関わっている職種をお答え下さい。

【全体】

【急性期医療機関】 【回復期医療機関】

- 20 -

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【老人保健施設】 【特別養護老人ホーム】

【有料老人ホーム】 【グループホーム】

1位 2位 3位 4位 5位

急性期医療機関 PT 看護師 本人 OT 家族・医師

回復期医療機関 PT OT 看護師 看護師とリハ職

の協議

本人

老人保健施設 PT OT 介護職員 ケアマネジャー 家族(4位)

特別養護老人ホーム 介護職員 本人 家族 ケアマネジャー 看護師

有料老人ホーム ケアマネジャー 介護職員 本人 家族 看護師

グループホーム 介護職員 家族 本人 ケアマネジャー 福祉用具専門相

談員

(2)入院・入所時の時点で入所者の状態像に合った福祉用具の選択が出来ていますか。

【選択肢】

1.ほぼ全ての入院・入所者について、状態像に合った選択ができている

2.特定状態像の入院・入所者を除いて、状態像に合った選択ができている

3.状態像に合った選択ができている入院(所)者は少ない

4.状態像に合わせた福祉用具の選択はあまり考えていない

- 21 -

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結果(職種別) ※医師については、有効回答数3件の為、削除

(3)入院・入所時の杖、車いす、歩行器、歩行車等の選択の際の考慮点について、用

具別に優先順位の高い順に記入して下さい。

- 22 -

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(1)

●福祉用具の選択について、急性期医療機関・回復期医療機関・老人保健施設ではPTが最

も関わっている。一方で特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホームではセラ

ピストの関わりは少なく、介護職員・ケアマネジャーが最も関わっており、本人や家族の

関わりも医療機関に比べ多い傾向にある。

●「看護師とリハ職による協議」で選択するとの回答は回復期医療機関で16件と最も多く、

次いで急性期医療機関・老人保健施設がそれぞれ5件、そのほかはさらに少ない件数であ

り、回復期医療機関では多職種協働での福祉用具選択が行われていることがうかがえる。

(2)

●「状態像に合った選択ができている入院(所)者は少ない」と答えた割合は、作業療法士

で最も高く24%、次いで理学療法士22%、介護職員10%、ケアマネジャー7%の順で

高い結果であった。看護師・指導員・ケースワーカーは同質問に0%であった。

- 23 -

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2.福祉用具の連携について

以下の分類にて同じ質問を回答している。なお、情報提供を「している」と回答し

た者は、さらにその実施割合にも回答している。

【急性期病院】

(2-1)急性期病院から回復期リハ病院等医療施設及び老人保健施設への情報提供について

(2-2)急性期病院から安心健やかセンターへの福祉用具に関する情報提供について

【回復期病院】

(2-3)回復期病院から療養型・介護保険施設への福祉用具に関する情報提供について

(2-4)回復期病院から安心健やかセンター、ケアマネジャーへの福祉用具に関する情報提

供について

【介護保険施設等】

(2-5)介護保険施設から医療機関への福祉用具に関する情報提供について

(2-6)介護保険施設から安心すこやかセンター、ケアマネジャーへの福祉用具に関する情

報提供について

以降に集計結果を、同質問ごとに、上記番号分けにて掲載する。

※平均実施割合とは、実施割合の平均値である。

平均実施割合:52.22%

平均実施割合:75.00% 平均実施割合:83.60%

平均実施割合:79.74%

平均実施割合:58.00%

平均実施割合:79.82%

- 24 -

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(2)福祉用具に対する情報提供を主に行っている職種をお答え下さい。

- 25 -

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(3)福祉用具に関する情報はどのような方法で提供していますか。

(4)(3)の情報提供に関して、どのような内容を提供していますか。

【選択肢】

1.施設内での使用状況・経過

2.今後、どのような物を使ったほうがいいか?(今後の見通し等)

3.身体状況・ADL

4.安全に使用するための情報

5.転倒等のリスク管理

6.利用上の注意点

7.どれくらいの介助量か?自立か?見守りか?など

8.福祉用具(種類、サイズ、利用方法等)

- 26 -

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(1)情報提供は回復期医療機関が最も多く提供しており、次いで急性期医療機関、介護保険施

設の順である。またいずれの場合においても、医療機関や施設への情報提供よりあんしんす

こやかセンターやケアマネジャーへの情報提供が少ない傾向であった。 (2)情報提供を行っている職種として、急性期ではケースワーカー、PT、OTが多く、回復

期ではPT、OTが多くなっている。一方介護保険施設から医療機関への情報は看護師が

多く、あんしんすこやかセンター・ケアマネジャーへの情報はケアマネジャーからが多い。 (3)情報提供の方法では、急性期医療機関では担当者会議が、回復期医療機関では担当者会議

と郵送が、介護保険施設では電話がそれぞれ最も多かった。 (4)情報提供内容はすべての機関に共通して「身体状況・ADL」に関する内容が最も多い結

果となった。

- 27 -

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3.前病院・施設及びあんしんすこやかセンター、ケアマネジャーからどのような情報

が欲しいですか。重要と考える順に3つ選んで下さい。

【選択肢】

1.使用している福祉用具の種類

2.利用状況、よく使っている、時々使っている、使われていない等

3.福祉用具使用上の問題点

4.申し送りは役に立ったか

5.生活状況、生活の変化

6.身体状況の変化

7.生活環境の変化

8.その他

4.福祉用具についての現状と課題について、優先順位の高い順に 5つ選んで下さい。

【選択肢】

1.新しい福祉用具が購入できない

2.メンテナンスができない

3.備品でない物をレンタル等で補うことができない

4.購入希望が通らない

5.用具の量が不足している

6.在宅で使う福祉用具と違う

7.個別的な対応ができない

8.福祉用具に対する知識が不足

9.福祉用具に関する研修等が少ない

10.福祉用具に対する職場の意識が低い

11.使い方の研修を受ける機会が少ない

12.相談できる機関が近くにない

13.試しに使ってみることができない

- 28 -

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14.医療的な知識が不足している

15.効果の予測が難しい

16.最新の情報が入りにくい

17.担当者会議への出席の機会が少ない

18.施設の経済的理由で購入できない

19.患者・利用者の経済的理由で購入できない

20.介護保険での福祉用具貸与制度を利用できない

21.その他

※基アンケートの20は18と内容が重複している為、削除し繰り上げ

- 29 -

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●課題として多い順に「用具の量が不足」、「個別的な対応ができない」、「福祉用具に対する

知識不足」、「介護保険での福祉用具貸与制度が利用できない」、「メンテナンスができない」

となった。 ●機関別の課題では、急性期・回復期の医療機関および介護保険施設すべてで福祉用具の量

が不足しているとの回答が多い結果となった。 ●介護保険施設では、介護保険での福祉用具貸与制度が利用できないことを課題とする回答

が最も多い結果となった。

- 30 -

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4-4 居宅に関する考察

1.アンケート結果

・ 回答者数は259件 内居宅が199件(77%)地域包括60件(23%)。

・ 該当の車椅子の種類では、標準型が一番多く、次いで電動、ティルトリクライニン

グ、モジュラーとなる。

・ 居宅と地域包括の比較では、居宅ではモジュラー・ティルトリクライニングが多く、

地域包括ではモジュラーはなかった。

・ 杖の種類では、多脚杖が多く、次いで、一本杖、エルボークラッチ、松葉杖の順で

ある。

・ 歩行器・歩行車・シルバーカでは、歩行器、シルバーカ、歩行車の順である。

・ 医療介護施設等からの情報提供について、情報提供ありは77%。その方法は、担

当者会議が最も多く、次いでFAX、電話、郵送となる。情報提供の職種は、PT

が一番多く、看護師、ケースワーカー、OT、医師の順となる。

・ 情報提供で有効であった内容は、多い順で、身体状況ADL、今後の見通し、転倒

などのリスク管理、施設内での使用状況であった。

・ 退院退所時、福祉用具について専門職との相談はOT、ケースワーカー、医師、介

護職。

・ 相談内容は、用具の種類、使用上の注意点、リスク管理、介助方法。

・ 退院退所時に福祉用具選択について専門職との相談はしなかった理由は、家族本人

の希望に沿って選択したが最も多く、次いで、自分で判断できたから、福祉用具事

業者に一任した。

・ 前の病院・施設からの福祉用具に関する問合せは、あり83%。その内容は、用具

の種類、利用状況、身体状況、生活環境、生活状況や生活の変化であった。

・ 情報提供で役立つものは、身体状況ADL、今後の見通し、施設内での使用状況経

過である。

・ モニタリングについて困っていることは、用具の選択、メンテナンスの方法、リス

ク管理、使用目的に合っているか、であった。

・ 今年度、福祉用具に関する研修を受講しているのは18%。

・ 今後受けたい研修ついては、福祉用具の使用や選択方法(メリットデメリット等含

む)38%、新しい福祉用具の紹介(情報提供含む)21%、事例を踏まえた内容

(事故事例・成功事例等)10%、特定の疾病にあった福祉用具等9%、福祉用具

の使用体験6%、住環境(住宅改修等)5%であった。

- 31 -

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2.考察

福祉用具に関して、退院退所時の情報提供等の連携は概ね実施されている。方法は、

担当者会議が多く、介護保険制度上にも退院退所時連携が位置づけられており報酬加算

もあることで連携もしやすくなっていると考えられる。また、FAXや電話も有効な連

携手段となっている。

情報提供で有効なものは、身体状況に応じた福祉用具の選択ができる事がわかる。ま

た転倒などリスク管理も踏まえて、今後の見通しがたち、安全に使用できる情報提供が

望まれる。

相談した職種では、PTについで福祉用具事業者が多い。ケアマネジャーからはPT

は頼りにしている存在であることがわかる。また、福祉用具事業者は、相談しやすい立

場であることと専門職としての期待がみえる。反対に相談をしなかった理由としては、

家族本人の希望の沿った選択との回答が多かった。ケアマネジャーとしての十分はアセ

スメントと見通しが求められる事になる。

情報提供で役立ったものの結果からは、身体状況を十分に把握して今後の見通しを立

てて、実際の介護状況を踏まえて、リスク管理も検討の上、用具の選択を行うことが求

められる。

モニタリングで困っている事からは、生活状況の変化に伴い用具の選択が妥当かどう

か、不安に思っている傾向がうかがえる。退院後、リハビリ通院やデイケア・訪問リハ

ビリの継続がなければ、PTとの接点はほとんどなくなる。ここで、専門職(PTなど)

への相談がしやすい環境(システム)が整うこと(コンサルテーションなど)で、より適

切な対応ができ、利用者にとっても有益になると考える。

研修体系については、福祉用具についての研修の機会はまだまだ少ない。ケアマネジ

ャーは、福祉用具について、用具について適切な知識を得たいと思っており、新しい用

具の情報提供の機会を求めている。また、事例を踏まえた内容に関心があり、利用者の

自立支援(QOLの向上)のために、よりよいケアマネジメントをしたいと考えている。

PTや福祉用具事業者など関係者との事例検討会は、まさに質を高めるより良い場とな

り、お互いの理解の場ともなり、包括的ケア体制の一助にもなると考えられる。

用具が中心ではなく、人が中心であり、利用者のより良い暮らし望む暮らしの実現の

ために、身体状況や生活状況に応じて、関係者も連携して用具の活用が上手くできれば

と考える。

- 32 -

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4-5 福祉用具専門相談員に関する考察

1.貸与事業所ケース別アンケート調査結果

・返信数:29通(内未回答5通) ・アンケート総数:144件

用具種別割合は、車いす39%、歩行器・車37%、歩行補助杖24%であった。

1)病院・施設からの退院退所ケースですか?

(ア)はい →病院・施設からの情報提供はありましたか?(あった・なかった)

(イ)いいえ

56%が病院・施設からの退院退所ケースでそのうち62%が情報提供があった。

2)用具を選ぶうえで必要な情報はどのように得ましたか?

(ア)自分で利用者をアセスメントした (ウ)退院・退所施設から情報を得た

(イ)ケアマネジャーから情報 (エ)その他( )

「(イ)ケアマネジャーから情報を得た」が58%、「(ア)自分で利用者をアセ

スメントした」が25%、「(ウ)退院・退所施設から情報を得た」が13%、「(エ)

その他」が4%であった。

3)何を基準に選んでいますか?優先順位の高いものから3つ数字を記入して下さい。

1( )年齢 8 ( )高次脳機能 15( )服薬状況

2( )身長 9 ( )認知症 16( )既往歴

3( )体重 10( )痛み 17( )寝たきり度

4( )座位能力 11( )転倒歴 18( )要介護度

5( )立位能力 12( )本人の好み 19( )使用経験

6( )歩行能力 13( )環境 20( )その他(

) 7( )ADL 14( )聴覚・視覚

全体では歩行能力、ADL、環境の順であった。

車いすではADL、環境、ほぼ同率で歩行能力・座位能力であった。

歩行器では歩行能力、ADL、ほぼ同率で環境・立位能力であった。

歩行補助杖では歩行能力、ADL、立位能力であった。

4)参考としているADL評価法はありますか?

(ア)ある→FIM・BI・老健式活動能力指標・その他( )

(イ)ない

9%があると回答しているが具体的な回答は無かった。一部フェイスシートを利

用しているという意見もあった。

- 33 -

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5)担当者会議に参加しましたか?

(ア)はい

(イ)いいえ →参加していない理由は?(当てはまるものすべてに○)

①スケジュールが合わなかった(業務多忙など) ③呼ばれていない

②参加する必要がないと考えた ④その他( )

87%が担当者会議に参加しており、参加していない理由は14件が呼ばれず、

4件がスケジュールによるものであった。

6)このケースに用具を選ぶうえで困ったことはありましたか?

(ア)利用者の身体機能等のアセスメントができなかったので困った

(イ)利用者の予後がわからないので困った

(ウ)自分は違う用具がよいと思ったが価格の折り合いがつかなかった

(エ)ケアマネジャーからの情報が足りなかった

(オ)退院・退所施設からの情報が足りなかった

(カ)利用者の身体機能等に応じた適切な福祉用具を提供できなかった

(キ)その他( )

45%が困ったと回答し、多い順に予後がわからない、身体機能のアセスメント、

ケアマネジャーからの情報不足などであった。その他の意見として本人家族との

コミュニケーションがとりにくい、理解や同意を得ることが困難、など同意形成

に問題があった。

7)モニタリングを実施していますか?(当てはまるものに○)

①頻度(1・2・3・6・12)ヶ月に1回 その他( )形態(電話・訪問)

で対応

②内容(フィッティング・メンテナンス・ADLへの効果・満足度)

③その結果はいかがでしたか?( )

6ヶ月ごとに訪問して行うことが最も多く、内容は全ての項目を確認することが

多かった。結果メンテナンスが必要であったケースもあるが、概ね良好な利用状

況であった。身体機能が向上し、利用終了となるケースもあった。

- 34 -

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【選定重要度評価スケール】

車いす独自項目である座位姿勢、移乗性、駆動性ではほぼ同様の傾向で、「考慮し

た」(33~37%)「非常に重要視した」(21~25%)「やや重要視した」(19

~21%)の順位であった。

歩行器・車、歩行補助杖共通項目において、二群間では同様の傾向を見せ、重要視

した項目は歩行姿勢、歩行速度、歩行距離の順であった。

全品目共通項目である移動自立度では歩行補助杖、歩行器・車ではかなり重要視さ

れており、車いすでは「全く」及び「あまり考慮しなかった」が34%を占めた。活

動(ADL)の効果では移動自立度にくらべより重要視されており、特に車いすで顕著

であった。本人の満足度では歩行補助杖では「非常に重要視した」と「やや重要視し

た」を合わせて83%を占め、歩行器・車では75%、車いすでは67%と低下して

おり、歩行補助杖や歩行器・車と比較し、本人の満足度よりも活動(ADL)の効果を

優先しているようだ。

1 2 3 4 5

全く考慮しな

かった

あまり考慮し

なかった 考慮した

やや重要視し

非常に重要視

した

- 35 -

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2.福祉用具専門相談員に関する考察

昨年度神戸市における骨粗鬆症による転倒骨折のリハビリテーションにおける

福祉用具の適正な利用の促進に関する調査研究では、福祉用具専門相談員のみでは

適切な福祉用具の導入は不十分であり、多くは不安を抱えていると報告した。

今年度の調査においても、福祉用具専門相談員は病院や施設からの情報提供やケ

アマネジャー等との連携を図り、目的とする生活機能の向上を達成するために福祉

用具の選定、導入を行っていることがわかった。

しかし実際には、福祉用具の選定において、予後予測が困難、身体機能のアセス

メントが不十分、ケアマネジャーからの情報不足などの理由で45%が困ったと回

答している。

今回の調査では、ケース別アンケートに加え、そのケースの福祉用具サービス計

画書の提出を依頼した。本来福祉用具サービス計画書は、現状の評価(問題点の抽

出)、利用目標(あるべき生活像を設定する)、どんな福祉用具を活用することでそ

の目標を達成するのか、及びその留意点で構成される。提出いただいた福祉用具サ

ービス計画書の中身は、上記項目が理路整然と記載されているものもあれば、問題

点が不明確、目標は利用者の満足、選定理由は画一的なものといった、抽象的な一

般論が記載されているものまで様々であった。

ここで、二つの解決方法を提案したい。一つは自らのレベルアップ。もう一つは

適切な情報供給である。

自らのレベルアップでは、福祉用具サービス計画書の書き方を通して、現状の評

価(問題点の抽出)を適切に行い、その評価をもとに利用目標(あるべき生活像)

を具体的に設定し、どんな福祉用具を活用することでその目標を達成するのか、の

3ステップを確実なものとすることである。

適切な情報供給とは、福祉用具専門相談員に伝わる内容の情報を提供することで

ある。

福祉用具は生活行為を達成するモノ、動作を助けるモノである。動作の可否は精

神面も含めた身体機能によるが、身体機能から動作を予測する、使える福祉用具を

予測するというのはかなり難しいことである。医療機関や施設において、実際使用

するであろう福祉用具を、現物での評価を行い、結果を福祉用具専門相談員やケア

マネジャーへ伝えることがあるべき連携ではなかろうか。そのためには情報提供側

も福祉用具や使用環境についての見識を高め、必要とされる(本当に役に立つ)情

報を提供することが必要である。

- 36 -

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5.福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けて

5-1 福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた検討

昨年度の調査では、転倒・骨折後やその予防を目的に利用される福祉用具は、専門職

においても選択に対する認識に差があり、使用用語の統一もなされておらず、明確な基

準に基づいた選択がなされていないという現状があった。また、サービス担当者会議へ

の医療職の参加は少なく、福祉用具に関わる関係者の連携は十分とは言えず、利用者の

機能を評価し、家族の状況、家屋の状態を把握した、福祉用具の選択や住宅改修がなさ

れていないのが現状であった。 このことより本調査研究では、福祉用具の利用に対する基準を明確にするためのガイ

ドラインや効果の評価について検討し、このガイドラインを活用した福祉用具を適正に

利用するための関係者ネットワークの構築に向けて議論を重ねた。 議論を基に福祉用具適正ガイドライン(案)の作成に向けた資料を作成し、平成25

年2月に、この資料について関係者を集めた説明と意見交換会を開催した。 今回作成した資料については、意見交換会でだされた意見も踏まえ、さらに精査を加

えていく必要がある。 今後は、神戸市版ガイドラインとして完成させ、市内の関係機関・関係職種に活用し

ていただけるよう検討を加えていきたい。

- 37 -

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5-2福祉用具適正ガイドライン(案)作成に向けた説明と意見交換会状況

1.日時:平成25年2月8日(金)13:30~17:00(意見交換会16:00

~16:50)

2.会場:TKP三宮会議室 会議室3

3.参加状況:参加申込み数162名・参加受付数130名・当日参加者数:125名

4.説明資料:福祉用具適正ガイドライン(案)に向けた資料・パワーポイント資料

5.当日スケジュール

時間 研修内容 講師

13:00~13:30 受付

13:30~13:40 あいさつ・研修オリエンテーション 事務局

13:40~13:50 策定経緯、福祉用具の概念及び安全性に

ついて

伊藤 健三(日本福祉用具評価センター)

13:50~14:35 福祉用具の適正な利用のためのガイドラ

インについて

①ガイドライン策定の経緯と活用方法

中村 春基(兵庫県立リハビリテーションセンター)

②移動用具の上手な選び方

栄 健一郎(適寿リハビリテーション病院)

③移動用具を安全に上手に使うためのポイント

正木 健一(神戸市シルバーサービス事業者連絡会)

14:35~14:45 休憩

14:45~15:50 福祉用具の適正な利用のためのガイドラ

インについて

④移動用具とは

鈴木 寿郎(日本福祉用具評価センター)

⑤効果の評価について

羅 志偉(神戸大学大学院システム情報学研究科

⑥連携とサービス担当者会議

三田 純子(神戸市ケアマネジャー連絡会)

⑦介護者側からの評価

保田 淳子(日本ノーリフト協会)

⑧用具の入手方法と保守及び製品開発について

伊藤 健三(日本福祉用具評価センター)

15:50~16:00 休憩

16:00~16:45 意見交換

・ガイドライン活用に向けた意見

・現場における問題点について

・福祉用具の安全な利用について

・福祉用具を通じた連携について 等

司会進行

中村 春基(兵庫県立リハビリテーションセンター)

意見交換 各講師

16:45~16:50 アンケート記入

16:50 終了あいさつ 事務局

17:00 終了

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5.福祉用具適正ガイドライン(案)に向けた説明会と意見交換会における討議議事

意見交換会内容

Ⅰ.司会進行:兵庫県立リハビリテーションセンター 中村 春基

Ⅱ.コメント者:

①日本福祉用具評価センター 伊藤 健三

②適寿リハビリテーション病院 栄 健一郎

③神戸市ケアマネジャー連絡会 三田 純子

④日本福祉用具評価センター 鈴木 寿郎

⑤兵庫県立リハビリテーションセンター 中村 春基

⑥神戸市シルバーサービス連絡会 正木 健一

⑦日本ノーリフト協会 保田 淳子

⑧神戸大学大学院システム情報学研究科 羅 志偉

Ⅲ.意見交換会の形式:着席の前後で5名程度のグループをつくり、グループワーク形

式で意見交換を行う。

Ⅳ.意見交換の内容報告とコメント

グループ討議結果(グループ報告は時間の都合で代表グループのみ)

①Aグループ

(グループの特徴)グループのメンバーは福祉用具関係の事業者が多い。

●半年に1度訪問を実施している。車いすのタイヤの空気が抜けているなどの連絡は

ケアマネジャーからがほとんど で、ヘルパー等他の職種からの連絡はほとんどな

い 。途中で確認している職種もいるはずなのに、ケアマネジャーのみ。連携が上

手く取れるようなガイドラインを作成してほしい。

○(三田)きっとこのようなケースは、ヘルパー等がケアマネジャーに連絡してケアマ

ネジャーが事業所に連絡するという流れになっていたのではないか。

○(中村)6ヶ月に1回の訪問はいかがか?

○(鈴木)ガイドライン(案)に向けた資料のP.46~47の用具の点検項目のところ

を参考に。

使用に関わる全ての人がやってほしい項目と専門職に相談しなければ危険な項目

とがある。タイヤの空気が抜けていたら自転車の空気入れで入れることは、ヘルパ

ーでも実施できる項目である。

○ (保田)このような事例において、施設、デイなどにおいてはどう連携を取ってい

るのかの状況も知りたい。施設やデイなどにおいてどう連携するか、神戸市での

連携のあり方がいるのではないか。

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②Bグループ

(グループの特徴)特別養護老人ホームの職員が多いグループ

●施設では車いすは備品となる 。退居者が置いていったものや備品の車いすを入居

者にあてはめて使用する現状がある。市からは購入は認められないといわれてい

る。入居者にあった車いすを購入できるように配慮してほしい。

○(中村)ガイドラインにおいては、既存のものをどのように使うかについても記載す

る。

制度を変えよというのは簡単だが・・・。アンケート調査結果においても、新しい

ものを購入できないという意見が多くあった。神戸市もシステムを検討する必要は

あるが、市も国の基準にあわせてやっている。今回の調査研究は、国からの補助を

受け実施しているものなので、結果は国に提言していく。

○(正木)現場からもこういうものが足りないという意見をあげていくことも必要 で

はないか。

○(栄)私は病院に所属しているが、病院ではレンタルできない。在宅では分厚い資料

の中から選択できるのにと思う。ただ、適寿リハビリテーション病院では、ティル

トリクライニングの車いすは、全てレンタルで対応するという試みを行っている。

(費用負担は病院)なぜティルトかというと、①新製品に変わっていっている②メ

ンテナンスが必要③機能面から使いまわしによる感染源となる可能性が高い車い

すである といった点からレンタル対応はトータルで考えた時に費用面でやすく

なるという点を 経営側に説得して試みを行ってきている。

○(三田)試してみないと使用状況はわからない 。在宅ではそれが可能であるが、施

設では不可能。施設でも可能になるようなシステムができるとよい。

③Cグループ

(グループの特徴)ケアマネジャー・あんしんすこやかセンター職員の多いグループ

●このガイドラインをどこまで配布するのか、誰が活用するのかにもよるが、図が多

く入っているとわかりやすい。市民にもわかりやすいものにしてほしい 。そのた

めに字数は少なくしてほしい。

○(中村)我々もガイドラインとするには、字数が多い かなと思っている。

④Dグループ

●福祉用具専門相談員以外の誰が見ても評価できるガイドラインとしてほしい。例え

ば フローチャートや図を多くするなどの工夫を 。字数が多いと理解がしにくい。

○(鈴木)ワーキングでもそのような意見はでている。ただ、このガイドラインの図表

だけが独り歩きしてほしくない。字数を少なくするなど圧縮はするが、機能がこう

だからこの表ができたということを理解して使ってもらえるように工夫したい。

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⑤Eグループ

●車いすはクッションと一体、クッションについても、介護予防、褥瘡予防の観点か

ら記載をしてほしい。また、杖などは量販店や100均でも販売されており、事故

も多い。事故事例も掲載してほしい。

●用具の統一はこれでできると感じる。P.39~44は使いやすい。

●福祉用具法があること自体初めて知った。

【職種からの意見】

①看護師

●今回の説明会で 福祉用具の安全な選び方、使い方の部分は参考になった。

●プラン立案の際、福祉用具は業者任せ の選定になりがちである。

②理学療法士

●理学療法士は機能の回復には熱心だが、福祉用具についてあまり知識がないという

病院もあれば、そうでない病院もあり、福祉用具に対する対応はまちまち である。

③ケアマネジャー

●車いすへの移乗動作も人によって千差万別 、そういうところで福祉用具を選ぶ難

しさがある。そのようなことについても記載してもらえたら。

○(保田)海外には福祉用具を使うためのガイドラインといったものはない。その人に

あったガイドラインというものはあるが。基本をつくりながら、具体事例を入れて

いくのがよいかと思う。

○(伊藤)事故の問題はP.76に記載されているように、福祉用具に関連する重大な

事故は、消費生活用製品安全法により報告義務 がある。これは、生活の中で使わ

れているガスストーブ、湯沸かし器などが入っているが、全体として事故の状況が

わかる。ただし、1ヶ月以上の入院又は死亡事例しか報告がない。その他、ベット

柵による死亡事例などは、消費者庁からも報告が出ている。JASPECには福祉

用具のみをまとめてものがあるので、またチェックしてほしい。事故が起きた場合

どこが責任を負うかというと、メーカー側が丸々かぶっている。実際はどこに問題

があるかというと使う側にも問題がある。

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Ⅵ.まとめ

○(伊藤)サービスする上での福祉用具に注目してほしい

○(鈴木)保田さんの説明にあったリフトの写真(リフト使用において脇を吊り下げら

れているような体勢での使用例)を見て、みんなが「えー」っといえるようになっ

ていきたい。

連携は気づいた人から発信することが重要。

移動のところはわかりやすく記載したい、そこから展開できるとよいと思っている。

○(正木)みんなが気づくことが大切。全体で精度を高めていく必要 がある。

○(羅)高齢化が刻々と進んでいる。このガイドライン(案)を基に神戸市の中で連携に

ついて話ができる機会ができるとよいと感じている。

○(中村)今後も継続して取組んでいきたい

(調査研究にとどまらず)神戸市本体の事業に組込んで、神戸市のブランドになる

よう取組みを進めていきたい。

今後ともご協力をお願いしたい。

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6.終わりに

各委員は本事業への取り組みを高く評価している。昨年の実態調査で明確になった課

題に対してさらに取り組みを進めるという作業であったが、委員会、ワーキンググルー

プでの質疑は、毎回、刺激的であり、多職種での取り組みの有意義さを感じさせた。 本年度の取り組みの特筆すべき点の第1は、車いす、杖、歩行器・車について、神戸

市の全ての病院、介護保険施設等を調査対象とした点にある。このような調査は恐らく

日本で初めての事あり、結果は国の施策にも反映できるものである。第2に、関係する

全ての職種に関して、その取り組み状況・課題を明らかにした、第3に「あんしんすこ

やかセンター」「介護支援専門員」の福祉用具に取り組みの実態、課題を明らかにした

点である。 委員会では、上記調査と並行して、昨年度調査で必要性が明らかになった「福祉用具

の適正な利用のためのガイドライン」の作成作業も行った。結果、そのたたき台が作成

され、内容の精緻化を図るための説明会を開催した。125名という多くの参加者があ

り、改めて「福祉用具の適正な利用のためのガイドライン」の必要性が確認された。ま

た、説明会では多くの課題が明らかになり、さらなる検討と改変作業の継続を行うこと

となった。 本取り組みは、2年間、企画調整局の主管で行ったが、委員会の意思は、神戸市民に

適切な福祉用具が選択、活用されるシステムの構築と運用にある。その意味で、本事業

は道半ばであり、引き続きの取り組みを望むとともに、この取り組みが、地域包括ケア

システム構築の一助となることを願っている。 最後に調査にご協力いただいた施設、各専門職の方々に、心より感謝申し上げる。

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7.参考文献

1.一般財団法人 長寿社会開発センター

「五訂 介護支援専門員 実務研修テキスト」 24年12月発行

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