業界 ENERGY 課題 • IT インフラのリソース可視化 リソース効率性の向上と運用負荷の軽減 ビジネスニーズへの迅速な対応 ソリューション 従来から取り組んできたサーバー仮想化に加え、 VMware NSXによるネットワーク仮想化を展開し、 IT インフラを柔軟性と迅速性に優れたプライベー トクラウドへと進化。 VMware vRealize Operations によってリソースの可視化を実現し、稼働率100 をめざすとともに、 VMware vRealize Log Insight を組み合わせて予兆検知を可能にすることで、運 用の負荷軽減だけでなく高度化まで実現。 導入効果 サーバーに加え、ネットワークを含めたIT イン フラの構築 • IT インフラを統合管理し、 ITリソースを可視化 パブリッククラウドと同等の利便性とスピード 感を実現 導入環境 • VMware NSX® • VMware vRealize® Operations™ • VMware vRealize® Log Insight™ プロフェッショナルサービス • View 設計支援 • vSphere 設計支援 • View 運用項目検討支援 • V4H 運用方法検討支援 詳細設計支援 • View自動化支援 • View 構築支援 テクニカルアカウントマネージャーサービス(TAM) クリティカルサポートマネージャーサービス(CSM) 九州電力では、従来から仮想化技術を採用して IT インフラを運用していましたがブ ラックボックス化が顕著になり、リソースの効率性が悪化していることが問題視さ れていました。 IT コストの削減が強く求められる中、 VMware の手厚いサポートを 活用しながら、より効率的で運用性の高い IT インフラへの進化を積極的に展開し、 プライベートクラウドを実現させました。インフラの可視化によってリソースの最適 化を推進するとともに、拡張や変更も計画的に行えるようになりました。自動化技 術によって実作業も大幅に削減され、リソースを的確かつ迅速に提供できるように なりました。 電力事業者の新しい ビジネスを支えるIT 九州電力は1951 年に設立され、九州全域に電力 を供給する事業者です。近年の「電力自由化」は、 九州電力にとっても大きな影響力のあるもので、 主力である九州での電力事業以外にもビジネス の柱を設ける必要があると考えられていました。 そこで同社は、 2001 年から海外 IPP を開始し、メ キシコやフィリピンなどで事業を展開しています。 またグループ企業を通じて、関東での電力販売を 開始。再生可能エネルギー発電プロジェクトなど も積極的に進めています。 「私たちは、エネルギー事業に加え新たな収益源 として、 ICT ビジネスにも注力したいと考えていま す。仮想化技術をはじめとした先進的なIT インフ ラを構築しつつ、技術やノウハウを吸収すること により、将来的なICT ビジネスの強化に活用して いけると考えています」と、テクニカルソリュー ション統括本部 情報通信本部 システム企画部 長の山口浩史氏は述べています。 ガスなどの新しい商品の取り扱いや、九州以外の エリアでの販売、海外事業の展開など、新しいビ ジネスを強力に支えているのもIT です。 同・情報通信本部 情報技術グループ グループ長 を務める岩村俊秀氏は、「当社では、早い段階か ら仮想化技術を活用し、システムの効率化を進め てきました。これからはIT の見える化を図り、クラ ウド活用と先進技術の活用をいっそう推進してい きたいと思っています」と説明します。 効率性と迅速性に優れた プライベートクラウドをめざして 九州電力では、 2009 年ごろからサーバー仮想化 を進め、近年ではIT インフラ化を果たして統合的 な仮想化環境として運用していました。旧来の物 理環境と比べれば、はるかに安価なコストと高い 可用性を実現し、数か月もかかっていたサーバー プロビジョニングは1 週間から数日程度まで短縮 できるようになっていました。 しかし、既存の IT インフラの活用が進むにつれ、 利用状況や運用状況のブラックボックス化が顕 著になっていました。共通仮想化インフラとは言っ ても、設計・設定は手作業で行う必要があり、必 要なリソースも推量しにくいことから、要求に対し てオーバースペックにせざるを得ません。その結 果、使用頻度の低いシステムのために過剰なリソー スを確保していたり、余剰リソースを活用できな かったりする状況が続いていました。より効率よ く運用するためには、まずインフラ全体を可視化 しなければなりません。 また、加速するビジネス環境の変化に対して、ス ピーディなIT を実現することも課題の1つでした。 ここでポイントになったのがネットワークです。 従来のIT インフラでは、システムの準備や変更の たびにネットワークを手作業で設定する必要があっ たため、手間も時間もかかります。物理ネットワー クのままではとても運用しきれない状況でした。 「世の中には、さまざまなパブリッククラウドサー ビスが登場しています。私たちは、それらよりも効 率的で安定的な IT インフラを構築したいと考え ていました。従来から活用してきたVMware SDDC 技術を採用し、プライベートクラウドを構築 九州電力株式会社 テクニカルソリューション 統括本部 情報通信本部  システム企画部長 山口 浩史 効率性と運用性を追求し ITインフラがプライベートクラウドへ進化 インフラ計画から実行までVMware が強力にサポート CUSTOMER CASE STUDY

効率性と運用性を追求し IT インフラ計画から実行までVMware...ハイブリッドクラウドフェーズ パブリッククラウドとの連携 運用自動化

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Page 1: 効率性と運用性を追求し IT インフラ計画から実行までVMware...ハイブリッドクラウドフェーズ パブリッククラウドとの連携 運用自動化

業界ENERGY

課題• ITインフラのリソース可視化• リソース効率性の向上と運用負荷の軽減• ビジネスニーズへの迅速な対応

ソリューション従来から取り組んできたサーバー仮想化に加え、VMware NSXによるネットワーク仮想化を展開し、ITインフラを柔軟性と迅速性に優れたプライベートクラウドへと進化。VMware vRealize Operationsによってリソースの可視化を実現し、稼働率100%をめざすとともに、VMware vRealize Log Insightを組み合わせて予兆検知を可能にすることで、運用の負荷軽減だけでなく高度化まで実現。

導入効果• サーバーに加え、ネットワークを含めた ITインフラの構築

• ITインフラを統合管理し、ITリソースを可視化• パブリッククラウドと同等の利便性とスピード感を実現

導入環境• VMware NSX®

• VMware vRealize® Operations™

• VMware vRealize® Log Insight™

プロフェッショナルサービス• View設計支援• vSphere 設計支援• View運用項目検討支援• V4H運用方法検討支援• 詳細設計支援• View自動化支援• View構築支援• テクニカルアカウントマネージャーサービス(TAM)

• クリティカルサポートマネージャーサービス(CSM)

九州電力では、従来から仮想化技術を採用して ITインフラを運用していましたがブラックボックス化が顕著になり、リソースの効率性が悪化していることが問題視されていました。ITコストの削減が強く求められる中、VMwareの手厚いサポートを活用しながら、より効率的で運用性の高い ITインフラへの進化を積極的に展開し、プライベートクラウドを実現させました。インフラの可視化によってリソースの最適化を推進するとともに、拡張や変更も計画的に行えるようになりました。自動化技術によって実作業も大幅に削減され、リソースを的確かつ迅速に提供できるようになりました。

電力事業者の新しい ビジネスを支える IT

九州電力は1951年に設立され、九州全域に電力を供給する事業者です。近年の「電力自由化」は、九州電力にとっても大きな影響力のあるもので、主力である九州での電力事業以外にもビジネスの柱を設ける必要があると考えられていました。そこで同社は、2001年から海外 IPPを開始し、メキシコやフィリピンなどで事業を展開しています。またグループ企業を通じて、関東での電力販売を開始。再生可能エネルギー発電プロジェクトなども積極的に進めています。

「私たちは、エネルギー事業に加え新たな収益源として、ICTビジネスにも注力したいと考えています。仮想化技術をはじめとした先進的な ITインフラを構築しつつ、技術やノウハウを吸収することにより、将来的な ICTビジネスの強化に活用していけると考えています」と、テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 システム企画部長の山口浩史氏は述べています。

ガスなどの新しい商品の取り扱いや、九州以外のエリアでの販売、海外事業の展開など、新しいビジネスを強力に支えているのもITです。

同・情報通信本部 情報技術グループ グループ長を務める岩村俊秀氏は、「当社では、早い段階から仮想化技術を活用し、システムの効率化を進めてきました。これからは ITの見える化を図り、クラウド活用と先進技術の活用をいっそう推進していきたいと思っています」と説明します。

効率性と迅速性に優れた プライベートクラウドをめざして九州電力では、2009年ごろからサーバー仮想化を進め、近年では ITインフラ化を果たして統合的な仮想化環境として運用していました。旧来の物

理環境と比べれば、はるかに安価なコストと高い可用性を実現し、数か月もかかっていたサーバープロビジョニングは1週間から数日程度まで短縮できるようになっていました。

しかし、既存の ITインフラの活用が進むにつれ、利用状況や運用状況のブラックボックス化が顕著になっていました。共通仮想化インフラとは言っても、設計・設定は手作業で行う必要があり、必要なリソースも推量しにくいことから、要求に対してオーバースペックにせざるを得ません。その結果、使用頻度の低いシステムのために過剰なリソースを確保していたり、余剰リソースを活用できなかったりする状況が続いていました。より効率よく運用するためには、まずインフラ全体を可視化しなければなりません。

また、加速するビジネス環境の変化に対して、スピーディな ITを実現することも課題の1つでした。ここでポイントになったのがネットワークです。

従来の ITインフラでは、システムの準備や変更のたびにネットワークを手作業で設定する必要があったため、手間も時間もかかります。物理ネットワークのままではとても運用しきれない状況でした。

「世の中には、さまざまなパブリッククラウドサービスが登場しています。私たちは、それらよりも効率的で安定的な ITインフラを構築したいと考えていました。従来から活用してきたVMwareのSDDC技術を採用し、プライベートクラウドを構築

九州電力株式会社テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 システム企画部長山口 浩史 氏

効率性と運用性を追求しITインフラがプライベートクラウドへ進化インフラ計画から実行までVMwareが強力にサポート

CUSTOM ER CAS E STUDY

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ヴイエムウェア株式会社 〒105-0013 東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア13F URL:www.vmware.com/jpCopyright © 2018 VMware, Inc. All rights reserved. Protected by U.S. and international copyright and intellectual property laws. VMwareおよびVMwareロゴはVMware, Inc.の商標です。他のすべての社名および製品名はそれぞれの企業の商標です。 Item No. CS_kyuden_JPQ218 6/18

ハイブリッドクラウドフェーズ

パブリッククラウドとの連携

運用自動化/ 見える化

ネットワーク仮想化

共通仮想インフラ化

サーバ仮想化

VM VM VM VM VM

VMware vSphere

VMware NSX

VM VM VM VM VM VM VM VM

VMware vSphere

VMware NSXVM VM VM VM VM

VMware vSphere

2018~ 将来

運用負荷を大幅に軽減

利用状況の可視化でリソース最適化

障害等の予兆検知が可能に

加速するビジネス環境に対応

プライベートクラウドフェーズ

運用自動化/ 見える化

ネットワーク仮想化

共通仮想インフラ化

サーバ仮想化

2009~

サーバー仮想化フェーズ

運用自動化/ 見える化

共通仮想インフラ化

サーバ仮想化

図:VMwareテクノロジーとともに進化しつづける九州電力の ITインフラ

することが最短の道だったのです」と、テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 情報技術グループ 課長 成松伸之氏は述べています。

インフラ計画から実行まで VMwareが強力にサポートプライベートクラウド戦略の遂行にあたっては、「VMware Technical Account Manager(TAM)」が仮想化ゴールの設定・計画から関わり、エンジニアのトレーニング計画まで幅広く支援しました。企画や構築の段階では、NSXのような新しい技術の導入が必要となるため、「コンサルタント」が検証や適用検討、実装にいたるまでを支援しています。実装や運用のフェーズで発生した課題や問題は、「プロフェッショナルサービス」の支援を受けて迅速な解決を図りました。

構築・運用を担当する九電ビジネスソリューションズ カスタマサポート本部 テクニカルサポート部 第2システムテクニカルグループの藤川和己氏は、「VM wareのコンサルタントやエンジニアは、煩雑な検証や設定なども一緒にやってくれました。計画の実現に向けて、私たちは1つのチームになれたと感じています。ここまで親身になってくれるベンダーは本当に希少で、大事な存在です」と述べています。

パブリッククラウドに負けない サービスの実現へプライベートクラウドの実現によって、九州電力はさまざまな効果・メリットを獲得しています。

運用/自動化の効果として、九電ビジネスソリューションズ カスタマサポート本部 テクニカルサポート部 第4システムテクニカルグループの福澤亮二氏は、「煩雑な作業から解放され、体感ではおよそ10分の1程度に軽減されたと思います。NSXのおかげで、ロードバランサやファイアウォールなどの工事作業はもちろん、装置の調達も不要になり

ました。またvRealize Log Insightを活用してそれらのログ管理を行うことにより、従来は事後のメッセージ監視がせいぜいだったものが予兆検知まで可能になりました。運用の概念が根底から変わるものだと感じています」と評価しています。

また可視化について、テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 情報技術グループの副島健一郎氏は、vRealize Operationsの能力を高く評価しています。

「事業部門に提供したリソースがどのように利用されているのか、これまではまったくわかりませんでした。見えていなかったものが見えるようになり、ようやく最適化を図るためのスタート地点に立てたと思っています。今後、利用者が増えて増強や調達が必要になっても、効率よく確実に計画を進めることができるでしょう」(副島氏)

九州電力では、こうした効率化・運用性の向上によって、一般的なパブリッククラウドサービスよりも、安価かつ安定的なサービスを提供できると試算しています。実際、社内での関心も高く、利用者は増加傾向にあります。

その一方で同社は、「VMware Cloud on AWS」にも注目しており、将来的にはパブリッククラウドも積極的に活用したいと考えています。例えば、常用/非常用サーバーを使い分ける、効率的にBCP環境を構築するなど、より柔軟な活用方法を模索しているのです。「このような最先端技術の効果を最大化するためには、VMwareのサポートが欠かせません。今後も、これまで同様に高品質なサービスを提供して欲しいと思います」と成松氏は期待を寄せています。

九州電力グループは、仮想化技術・クラウド技術を最大限に活用して、ITとビジネスを進化させていくことを選びました。これからもVMwareの技術とサービスが、九州電力・九電ビジネスソリューションズとともに、その発展を支えていくことでしょう。

カスタマープロフィール福岡市中央区に本拠を構え、九州地方7県に電力を供給する電力会社。従来の発電所に加え、再生可能エネルギーにも積極的に取り組んでおり、水力・地熱・風力・メガソーラー発電所を運営している。電力自由化に伴い、九電グループ全体で新たな事業展開を進めており、関東での電力販売を開始したほか、海外事業の推進や ICTビジネスなどにも積極的に取り組んでいる。

「プライベートクラウドへの進化は、九州電力にとって大きな IT戦略の1つです。中長期的な戦略立案から細やかな技術支援まで、VMwareによる幅広く手厚いサポートがあったからこそ実現できたと実感しています」

九州電力株式会社 山口 浩史 氏

九州電力株式会社テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 情報技術グループ長岩村 俊秀 氏

九州電力株式会社テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 情報技術グループ 課長成松 伸之 氏

九州電力株式会社テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部 情報技術グループ副島 健一郎 氏

九電ビジネスソリューションズ株式会社カスタマサポート本部 テクニカルサポート部 第2システムテクニカルグループ藤川 和己 氏

九電ビジネスソリューションズ株式会社カスタマサポート本部テクニカルサポート部 第4システムテクニカルグループ福澤 亮二 氏

効率性と運用性を追求しITインフラがプライベートクラウドへ進化

インフラ計画から実行までVMwareが強力にサポート