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海綿骨欠損内部の骨梁パターン形成と Scaffoldを用いた骨再生の生体力学シミュレーション 安達 泰治, 坪田 健一*, 鍋島 弘樹 本間 義規, 冨田 佳宏 神戸大学大学院自然科学研究科機械システム科学専攻 理化学研究所 *東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻 理研シンポジウム「生体力学シミュレーション研究」 2004.3.24-25

海綿骨欠損内部の骨梁パターン形成と Scaffoldを用いた骨再 …...海綿骨欠損内部の骨梁パターン形成と Scaffoldを用いた骨再生の生体力学シミュレーション

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海綿骨欠損内部の骨梁パターン形成とScaffoldを用いた骨再生の生体力学シミュレーション

安達 泰治, 坪田 健一*, 鍋島 弘樹

本間 義規, 冨田 佳宏神戸大学大学院自然科学研究科機械システム科学専攻

理化学研究所

*東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻

理研シンポジウム「生体力学シミュレーション研究」 2004.3.24-25

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骨の階層構造骨の階層構造

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骨梁表面の再構築サイクル

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大腿骨骨頭部骨梁分布

2317 N

24703 N

28

1000µm

1

2

H1 = 714µm

ΘH = 19H2 = 713µm

(i) 4 mm 4 mm

(ii)

A B

ΘH

1000µm

Lat. Med.

10 mm

(a) 4th step

Region 1Region 2

Region 3

(b) 12th step

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脊椎補強とねじ部の骨再生による形態変化のシミュレーション脊椎補強とねじ部の骨再生による形態変化のシミュレーション

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海綿骨欠損部内の

骨梁形態形成シミュレーション

~反応拡散系によるモデル化~

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骨梁パターン形成モデル

vDvugtv

uDvuftu

v

u

2

2

),(

),(

∇+=∂∂

∇+=∂∂

vu DD , 拡散係数

活性因子活性因子 uu

抑制因子抑制因子 vv

→→ 骨形成因子骨形成因子

→→ 骨吸収因子骨吸収因子

)(σF+

)(σR+

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EndEnd

シミュレーション手順

((22)骨形成因子)骨形成因子u u をランダムに与え、をランダムに与え、骨の見かけの密度骨の見かけの密度ρρを求めるを求める

looploop((77)設定した)設定したStepStep数に達したら終了数に達したら終了

((33)) voxelvoxel要素のヤング率要素のヤング率 E E を求めるを求める

((44))EBE/PCGEBE/PCG法を用いた有限要素解析法を用いた有限要素解析を行い、応力を求めるを行い、応力を求める

((55)差分法を用いて,骨梁のパターン形成)差分法を用いて,骨梁のパターン形成モデルを解くモデルを解く

((66)得られた)得られた u u を基に,骨密度を基に,骨密度ρρを求めるを求める差分格子点差分格子点 voxelvoxel要素要素

成熟骨・・・成熟骨・・・EE00 = 20GPa= 20GPa

nn = 3= 3

((11)初期形状,各パラメータを設定する)初期形状,各パラメータを設定する

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シミュレーションモデル

一辺一辺2.52.5mmmmの立方体領域の立方体領域

分割数分割数 : 50: 50××5050××5050

1要素の辺長1要素の辺長 : 50: 50μμmm

○骨欠損部領域○骨欠損部領域

円柱形状:直径、高さ円柱形状:直径、高さ2.32.3mmmm

○海綿骨を想定した領域○海綿骨を想定した領域

ヤング率ヤング率EE==2.0GPa2.0GPa

主応力方向θ・・・0°,30°

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骨梁形成過程

骨密度骨密度ρρ = = 0.60.6 以上の時,新生骨が石灰化以上の時,新生骨が石灰化

(a) (a) θθ = 0= 0°° (b) (b) θθ = 30= 30°°

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今後の展開

本シミュレーションモデルで作成した骨梁構造本シミュレーションモデルで作成した骨梁構造⇒円孔状の欠損⇒円孔状の欠損

欠損部周囲の骨梁構造の影響欠損部周囲の骨梁構造の影響

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Scaffold Scaffold の内部構造寸法がの内部構造寸法が

再生骨梁構造に与える影響再生骨梁構造に与える影響

~骨再生シミュレーションによる検討骨再生シミュレーションによる検討~

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計算機シミュレーションにより骨再生過程を再現

Defected

Bone

Scaffold

OsteoblastGrowth factor

Replaced

再生骨梁構造に与える影響再生骨梁構造に与える影響

Scaffold内部構造の最適な設計は重要な課題

Scaffoldの内部構造寸法

骨梁特徴量により評価

背景と目的

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シミュレーションモデル

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D : 空孔径L : 中心間距離

設計変数

D,Lの2つの設計変数の値を定めることにより初期構造を決定

(Vf : 体積分率)

120×120 elements

Scaffoldの内部構造寸法

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初期⇒空孔内部表面より

骨が形成されている.120 days ⇒ Scaffold は完全

に吸収されて,欠損領域に骨梁構造が形成.

Scaffoldを用いた骨再生過程

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Vf = 0.36Vf = 0.93

Vf = 0.84Vf = 0.98

240 µm 320 µm 480 µm

800 µm

960 µm

1200 µm

L\D 400 µm 560 µm 640 µm 720 µm

1600 µm

Scaffoldの初期構造

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240 µm 480 µm

800 µm

960 µm

L\D 720 µm

1600 µm

海綿骨およびScaffoldの形態変化 (120 days)

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骨梁の平均体積分率 単位面積あたりの連結数骨梁の平均厚さ

(D, L) = (240 µm, 960 µm) (D, L) = (720 µm, 800 µm) (D, L) = (240 µm, 1600 µm)

再生された骨梁構造の評価

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End