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嘉手納飛行場周辺まちづくり構想(案) 概要版 2019年2月 嘉手納町 パブリックコメント 閲覧用

嘉手納飛行場周辺まちづくり構想(案) 概要版 - Kadena...― 嘉手納野球場編 ― 3 第2 章 基本構想 1.リニューアルに向けた課題の整理

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Page 1: 嘉手納飛行場周辺まちづくり構想(案) 概要版 - Kadena...― 嘉手納野球場編 ― 3 第2 章 基本構想 1.リニューアルに向けた課題の整理

嘉手納飛行場周辺まちづくり構想(案)

概要版

2019年2月

嘉手納町

パブリックコメント

閲覧用

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嘉手納飛行場周辺まちづくり構想 概要版 目次

基本編 ···························································································· 1

嘉手納野球場編 ················································································ 2

第 1 章 基礎情報 ______________________________________________________ 2

第 2 章 基本構想 ______________________________________________________ 3

第 3 章 基本計画 ______________________________________________________ 7

第 4 章 施設整備計画 _________________________________________________ 18

第 5 章 事業計画 _____________________________________________________ 21

第 6 章 管理運営計画 _________________________________________________ 22

第 7 章 今後の課題 ___________________________________________________ 26

屋良城跡公園編 ·············································································· 28

第 1 章 基礎情報 _____________________________________________________ 28

第 2 章 基本構想 _____________________________________________________ 30

第 3 章 基本計画 _____________________________________________________ 32

第 4 章 施設整備計画 _________________________________________________ 35

第 5 章 事業計画 _____________________________________________________ 45

第 6 章 管理運営計画 _________________________________________________ 46

第 7 章 今後の課題 ___________________________________________________ 51

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― 基本編 ―

1

基本編 1.計画策定の沿革

嘉手納町では、町域面積の 82%を占める嘉手納飛行場に隣接する形で市街地が形成さ

れて、その飛行場周辺地域では、航空機の頻繁な離発着による騒音問題等が負担となっ

ている。

また、限られた市街地の中で、計画的な公共施設等の整備、配置が難しいなどのまち

づくりを進める上でも重荷になっている。

そうした中、嘉手納飛行場に近接する屋良城跡公園並びに嘉手納野球場ついては、老

朽化等の状況もあり、リニューアルが求められ、対策が急務となっており、その方向性

を示す必要があることから、嘉手納飛行場周辺まちづくり構想(以下、「本計画」という。)

を策定する。

2.計画の目的

本計画では、これまでの嘉手納野球場機能拡充基本構想、屋良城跡公園基本計画・基

本設計等の調査及び検討を精査し、地域の歴史、文化やスポーツ振興を図るための施設

整備の方針、方法等を示す。

また、地域住民の嘉手納野球場及び屋良城跡公園での活動を通し、健康増進やスポー

ツの技術向上、在沖米軍関係者、観光客との交流施設、地域振興及び観光振興の促進、

又は交流人口の増加に繋げることを目的とする。

3.対象地と検討内容

本計画の対象地は、嘉手納野球場及び屋良城跡公園の 2 箇所である。(位置図参照)

嘉手納野球場及び屋良城跡公園とも、当初整備より数十年経過し、施設の老朽等がみ

られる。また、今後の町民ニーズ並びに観光客等のニーズに対応できるよう、各施設に

求められる施設機能の向上・充実と合わせて総合的な再整備を検討する。

施設位置図

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― 嘉手納野球場編 ―

2

嘉手納野球場編

第 1 章 基礎情報

立地条件

嘉手納町屋良に位置する嘉手納野球場は、1987 年(昭和 62 年)に開催された海邦国

体において「ソフトボール競技の会場」として整備された。また、本球場は、小、中、

高等学校の野球やソフトボール大会等の会場として運用され、近年はプロ野球のキャン

プ施設としても利用されている。しかし、竣工から相当の期間が経過し施設機能の老朽

や敷地の狭隘等から、今後も町民や青少年育成並びに観光活性化に寄与する施設として

活用するには、当該施設に求められる機能拡充・充実の抜本的な整備が求められる。

項目 規模 備考

野球場規模 17,864㎡ 一塁・三塁延長 91.5m、センター延長 120m

収容人員 7,500人 内野 6,000人、外野 1,500人

付帯施設 ●放送室、更衣室、スコアボード、バックスクリーン、屋外ブルペン等

●ナイター施設完備

嘉手納野球場

陸上競技場

嘉手納

スポーツドーム

163台 ・普通車 159台 ・大型車 4台

143台 ・普通車 135台 ・大型車 3台 ・身障用 5台

103台 ・普通車 91台 ・バイク 12台

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― 嘉手納野球場編 ―

3

第 2 章 基本構想

1.リニューアルに向けた課題の整理

1)野球場グラウンドについて

両翼は 91.5m と野球場の公認野球場としては短く、プロ野球の公式戦、オープ

ン戦等は行えない。

プロ野球ファームのキャンプ地として使用されている。

プロ野球ファームが練習するにあたり、両翼が短いため、外野を守る選手が、感

覚がつかめない等の問題もみられる。(外野手は歩数でフェンスまでの距離を認

識するなど、一定の感覚持っている)

プロ野球選手の長距離バッターになると、場外の住宅地までボールが飛ぶこと

がある。

高校野球のシード校クラスになると、ファウル問題と併せて、現グラウンドの広

さでは、大会を実施することができない。(1 年生大会等は実施している)

2)スタンド等について

スタンドが埋まるようなことはほとんどない。

7,500 人収容(内野 6,000 人、外野 1,500 人)

バックスクリーンの老朽化、表示変更等への対応が必要。(ボールカウント

(BSO)表示への変更、電光掲示板の検討等)

スタンド立ち上がりが白っぽく見え、ボールが見えづらい。

バックネットも白っぽく見え、ボールが見えづらい。

スタンドに屋根が設置されていないため、夏場の熱中症等の対策が必要。

ナイター設備の照度が足りず、夜間利用時にボールを見失うことがある

3)球場内諸室等について

選手用の更衣室が無く、廊下を更衣室の代わりに利用している。

キャンプ時には、食堂も必要となるが、専用の部屋はなく、会議室等を臨時の食

堂等に使用している。

キャンプ時には、監督専用の部屋をはじめ、各種部屋が必要になることから、部

屋の確保には、苦慮する部分があるとの課題がある。

マスコミが訪れる際は、グラウンド内のベンチをマスコミ席にするなど対応し

ている。

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― 嘉手納野球場編 ―

4

■嘉手納野球場案内図

4)周辺環境について

野球場周辺に久得牧原線及び町道 5 号線が通っており、野球場グラウンドとの距

離がさほど離れていないため、ファウルボールが防球ネットを超えて道路に届く

ケースもみられる。

プロ野球キャンプの練習時に、ファウルボールが場外に出て、駐車している車両

に当たるなどのケースがみられる。

プロ野球キャンプの集客に最も寄与する練習試合等が容易にできない状況があ

り、実際にキャンプ地として使用している横浜 DeNA ベイスターズ 2 軍の練習試

合等は、宜野湾(1 軍キャンプ地)にて行っている。

野球場のファウル問題については、球団側も重要な課題として位置付けており、

早急な対策が望まれている。

周辺住民から、球場からの粉じんに対する対応が求められている。

野球場利用の状況(プロ野球キャンプや高校野球大会など)によってはサブグラ

ウンドが必要となる場合がある。

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― 嘉手納野球場編 ―

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2.リニューアルに向けた検討

1)機能拡充における前提条件の整理

野球場の機能拡充(導入施設)については、下記のとおり大きく4つの方向性(手

法)が想定される。

■機能拡充の手法

手 法 概 要

建替え 全て取り壊し、現位置で建替える。

増 築 既存施設に大きく影響を及ぼすことなく、増築により機能

を拡充する。

改 修 既存施設に直接手を加え(改修し)機能を拡充する。

非現地建替え 現位置の野球場は取り壊し、新たな場所で建設する。

「建替え」「増築」「改修」「非現地建替え」の方向性については、それぞれ、メリ

ット、デメリットがあるが、改修については、施設建物は昭和57年に建築確認済証を受

けており、これを改修することは、現在の建築関係法令(建築基準法、消防法、バリア

フリー法等)を満たす必要がある。そのためには多大な調査及び工事費が膨大となり、

費用対効果が見込めないため、改修の可能性は極めて低いと考える。

非現地建替えについても、町域の約8割を米軍基地に接収され、限られた土地で市街

地が形成されている本町において、野球場建設に必要な広大な土地の確保は困難である

ため、非現地建替えの可能性も極めて低いと考える。

嘉手納野球場リニューアルは公認野球場規模を想定するとともに、リニューアルに向

けた必要とする改善点をクリアしていく必要があることから、増築の可能性は極めて低

いと考える。

よって、嘉手納野球場リニューアルは「建替え」が妥当であると考え、「建替え」の

手法を前提条件として、機能拡充を検討するものとする。

<許可申請等の手続>

建物を建替え、増築する場合は以下の申請手続きが必要となる。

○都市公園法第5条 許可申請

○都市計画施設の許可申請

・都市計画法 第65条第1項及び同法第79条 許可申請

○用途地域上の許可申請

・建築基準法第48条ただし書き許可申請

○建築確認申請 等

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― 嘉手納野球場編 ―

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3.リニューアルに向けた必要とする主な改善点

嘉手納野球場リニューアルに向けた課題の整理より、主な改善点を下記のとおりとす

る。

対象施設 主な現況・課題 主な改善点

野球場全体 ・ 施設全体の老朽化 野球場のリニューアル

グラウンド ・ 様々な大会等が行えない広さ

・ 周辺住宅への粉じんの課題

公認野球場の規模

芝等による対応

スタンド等 ・ スタンドの暑さ対策

・ バックスクリーンの老朽化

・ ナイター設備の照度が足りない

屋根の設置

バックスクリーンのリニュー

アル

ナイター設備のリニューアル

防球ネット ・ 現状の防球ネットが低い

・ ファウルボールが周辺の道路に

飛び出す

・ 駐車場に停めている車に当たる

防球ネットの再整備

諸室や動線 ・ 更衣室がない

・ トイレが少ない

・ 倉庫不足

・ 球場内の導線が悪い

会議室や控室など利用者が利

用しやすい諸室の整備

行き来しやすい導線の確保

※上記以外の機能拡充についても、検討を踏まえ可能なものは実施する。

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― 嘉手納野球場編 ―

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第 3 章 基本計画

1.嘉手納野球場リニューアルに向けた基本方針

本施設は、町民の利用促進と各種野球大会の開催等を通じて幅広く活用され、近接す

る基地内の人々と交流を持つ機会を得ることなどを目的に、基本理念を「スポーツ活動

を通じた交流拠点の形成」とし、以下の4つの基本方針を基に、嘉手納野球場リニュー

アルに向けた整備の方向性を示す。

基本理念 基本方針

スポーツ活動を通じた交流拠点の形成

基本方針1:町民並びに施設利用者から親しまれる野球場

〇町民並びに施設利用者から親しまれる野球場となるよう、各種

ニーズを踏まえた機能拡充を検討するものとする。

〇プロ野球のキャンプ地としての利点を活かして、「するスポー

ツ」の拠点であるとともに、観光振興を踏まえた「見るスポー

ツ」としの機能を有するスポーツコンベンションへの展開に資

する施設とする。

基本方針2:安全で質の高いプレー環境の確保

〇高校野球大会やプロ野球の競技レベルに対応したグラウンドの

広さ、仕上げ等、利用実態を考慮した質の向上を図る。

〇小中高校生や一般、プロの選手が安全にプレーできる環境を整

えるため、安全で質の高いプレー環境の確保を図る。

基本方針3:快適な利用環境、観戦環境の創出

〇選手や関係者が快適に利用できるよう、各種諸室やブルペン、

ダッグアウト等利用環境の機能拡充を図る。

〇誰もが観戦できるよう施設のバリアフリー化や試合の迫力が直

接伝わる臨場感、雨や暑さから守られた快適性等を創出する環

境づくりを図る。

基本方針4:スポーツを通じた交流機会の創出

〇在沖米軍関係者との相互理解を深めるよう、スポーツを通じた

交流機会の創出を図る。

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― 嘉手納野球場編 ―

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2.導入機能の検討

■必要とする機能拡充(導入機能)の検討

前提条件、利用形態別必要機能、想定される機能拡充を踏まえて、必要とする機能拡

充(最低限拡充する機能)を下記のとおりとする。

①施設の老朽化

②球場規模の拡充(硬式野球公認球場)

③球場利用に対応する諸室や導線

(各種運営上諸室の不足や、大会等の運営安全を考慮した導線計画)

④利用実態に合わせた観客席数の検討

⑤粉じん対策(グラウンド内の仕上げ)

⑥暑さ対策(グラウンド・観客席)

⑦ファウルボール対策(防球ネット)

⑧バックスクリーンのリニューアル

⑨ナイター設備のリニューアル

⑩サブグラウンドの検討 等

※上記以外の機能拡充についても、検討を踏まえ可能なものは実施する。

■検討フロー

仕上げ

案①

仕上げ

案②

仕上げ

案③

仕上げ

案④

仕上げ

案⑤

内野 土舗装 天然芝 土舗装 土舗装 人工芝

外野 土舗装 天然芝 天然芝 人工芝 人工芝

小中学生(練習・試合)

嘉手納野球場 現状利用

一般利用(練習・試合)

高校野球(練習・試合)

プロ野球練習

プロ野球公式戦

<公認野球場以上>

両翼 98m センター122m

球場周囲全面

防球ネット 30~45m

〇住宅側:防球ネット 30~45m

〇公道には天井ネットを掛ける

グラウンド規模

グラウンド仕上げ

(粉じん対策・

暑さ対策)

利用目的と諸室

観客席の規模

(野球場諸室・

ブルペンなど)

ファウルボール

対策

サブグラウンドなし サブグラウンドあり サブグラウンド

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― 嘉手納野球場編 ―

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1)野球場グラウンドの規模

<諸条件の考え方>

① 現状では、プロ野球の公式戦や高校野球地方予選決勝を行うには規模が小さい。

② 公認球場(センター122m以上、両翼 98m以上)であれば、高校野球地方予選大会

が行える。

<球場規模の比較>

参考:伊江村野球場 公認野球場規模

両翼 100m

センター 122m

両翼 98m

センター 122m

現状 公認野球場

条件 右左翼 91.5m 98m

センター 120m 122m

利用

〇高校野球練習 〇 〇

〇高野連中部地区大会 〇 〇

〇高校野球予選大会 △ 〇

〇社会人チーム練習 〇 〇

〇プロ野球練習 〇 〇

〇プロ野球公式戦※ × 〇

※野球場規模としては公式戦を行うことは可能だが、客席数やダッグアウト等の諸室の

与条件あり。

■整備のあり方

町民利用を基本とし、現在の利用状況を踏まえ公認野球場以上とする。

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― 嘉手納野球場編 ―

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2)野球場グラウンド舗装

<諸条件の考え方>

① 周辺へ球場内の粉じんが飛散し、対応が求められている。

② 人工芝の場合、土の飛散は対処できるが、天然芝に比べて熱を持ちやすい。(暑さ対

策の対応が必要であるため、散水設備によって暑さ対策を行う)

③ 人工芝は、維持管理、安全面、粉じん対策の面から外野のみの使用はあまり得策で

はない。

④ 少年野球などの利用の際には、内野規模を小さくするために、移動可能なベースを

人工芝上に設置し利用。プレーに大きな影響はない。

現状 仕上案① 仕上案② 仕上案③ 仕上案④ 仕上案⑤

内野 土舗装 土舗装 天然芝 土舗装 土舗装 人工芝

外野 天然芝 土舗装 天然芝 天然芝 人工芝 人工芝

粉じん × × ○ × × ○

暑さ ○ ○ ○ ○ △ △

水はけ △ × △ △ △ ○

イニシャル

コスト -

約 11,120

万円

約 8,340

万円

約 9,028

万円

約 33,400

万円

約 40,727

万円

ランニング

コスト

※ 約 1,350

万円

約 1,693

万円

約 2,555

万円

約 2,342

万円

約 1,191

万円

約 1,026

万円

※現状のランニングコストについては、管理業務等も含めて総額

(複数施設あるため按分にて算出)

■整備のあり方

課題である粉じん対策、ランニングコスト面の対策は、仕上案⑤が有効である。

人工芝の場合、暑さ対策の検討が引き続き必要である。

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― 嘉手納野球場編 ―

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3)野球場所室・設備

<諸条件の考え方>

① 現状の利用実態を把握し、検討を行う。

② 各種利用団体へのヒアリング内容を踏まえ、諸室を設定する。

③ 各諸室の規模や数については、具体的な配置計画を検証し、決定する。

④ ナイター設備、観客席の屋根については一般利用が主であるため、利用実態と合

わせて検討する。

<利用状況のまとめ>

現在の利用形態は一般利用が主であり、次いで高校野球の各種大会や小中学生の

練習の利用が多い。

横浜 DeNA ベイスターズ 2 軍キャンプ地としての利用がある。

<各種団体要望>

■嘉手納スポーツ推進委員

嘉手納町民利用、一般利用を主として検討してほしい。

大会や練習時には、現状の諸室の中で利用はしているが、施設の導線や更衣室が

ないなどの不便な面がある。

一般の利用は夜間利用が多くナイター設備を利用している。照度が足りず、ボー

ルを見失うことがある。

■高校野球連盟

高校野球大会などで活用しているが、会議室などの諸室の数が足りない。

■横浜 DeNA ベイスターズ

安全面を考慮し、一般客と選手の導線計画を検討してほしい。

各諸室の状況は練習に支障は出ていないが、防犯面を考慮し更衣室などがあると

よい。

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― 嘉手納野球場編 ―

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<利用者及び求められる諸室>

現状 一般 高校野球

予選

プロ野球

練習

プロ野球

公式戦

放送室 〇 - 〇 - 〇

記者室 〇 - 〇 △ 〇

器具庫 〇 〇 〇 〇 〇

更衣室 〇 〇 〇 〇 〇

トイレ 選手観客

共同

選手・

客別

選手・

客別

選手・

客別

選手・

客別

会議室 1室 ※ 複数 複数 複数

医務室 〇 〇 〇 〇 〇

ダッグ

アウト

両翼

2か所

両翼

2か所※

両翼

2か所

両翼

2か所

両翼

2か所

ブルペン 場内 - ※

両翼

2~3人 -

両翼

2~3人

場外 4人 ※ 4人 4人 4人

シャワー室 〇 - - - △

ナイター 〇 〇 - - △

※利用者によって異なる。

■整備のあり方

現状の利用を踏まえ、高校野球大会、プロ野球練習への対応を推奨する。

〇各諸室の規模、観客席の数については、具体的な配置などを検討していきながら

規模や諸室の数を決めていく。

〇場内ブルペン及び場外ブルペンは設置するとし、具体の規模は、敷地内の球場の

配置計画と合わせて検討する。

〇ナイター設備の明るさや基数、観客席の屋根の構造については、利用実態と合わ

せて検討する。

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― 嘉手納野球場編 ―

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4)観客席の規模

<諸条件の考え方>

① 現在の球場の利用実態を考慮する。

② 周辺市町村に高校野球各種大会の決勝などが行える球場が増えてきたため、周辺

球場との役割の住み分けを考慮する。

③ 諸室建屋の上にスタンド席を設けることを前提とする。

④ 観客席の数は、配置計画や諸室の規模と合わせて検討する。

<嘉手納野球場観客席の状況>

嘉手納球場建設当初は周辺市町村に野球場がなく、海邦国体のソフトボール会場

として建設された野球場であったため、7,500 人収容の球場として整備された。

国体後は大規模な大会等での利用は無く、一般利用を主に活用され、多くの観客

を集客する利用形態はみられない。

現在では、高校野球夏季大会の決勝が行える球場(周辺から見えず、7,000 人ほど

収容可能)が周辺市町村に増えてきた。

現状の利用実態として、高校野球の各種大会等で観客席が埋まることはほとんど

ない。

<各種団体の利用状況>

■少年野球

少年野球大会開会式で、父母、選手併せて 1,000~2,000 人。

■高校野球連盟

夏季高校野球大会決勝を行う場合は、興行を打つため、球場周辺から見えないこ

とが理想。

各種大会の 1~2 回戦では、観客は多くて 1,000~2,000 人。

■横浜 DeNA ベイスターズ

キャンプ期間中スタンドに座って観覧している人はほとんどいない。

選手がいるところに集まり、より近くで見れるようお客さんも移動する。

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― 嘉手納野球場編 ―

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<参考球場の観客席数と利用状況>

在 野球場名

観客席の数 高校

野球

大会

プロ

野球

キャンプ 合計 内野 外野

沖縄市野球場

(コザ信金

スタジアム)

約 15,000人

メイン

7260人

バックスタンド

8000人

スタンド ◎ 〇

北谷公園

野球場 約 11,000人 4,400

スタンド

6600

〇 〇

かりゆしホテル

ズボールパーク

宜野座

約 7,700人 ベンチ 芝

スタンド 〇 〇

読谷

平和の森球場 約 5,800人 3,000

スタンド

2800

△ 〇

金武町

ベースボール

スタジアム

約 1,000人 1,000人 芝

スタンド △ 〇

伊江村

青少年旅行村

野球場

約 500人 メイン:500人

芝スタンド - - -

高校野球大会:◎(各種大会決勝まで)、〇(1年生、春季、秋季大会)、△(予選)

■整備のあり方

周辺市町村の野球場及び高校野球大会予選への対応を考慮し、

スタンド席数を 1,000~2,000 人規模とする。

〇諸室建屋の規模を考慮して観客席の数を決定する。

〇野球大会時の運営面の向上を考慮し、球場内ブルペンを設け、両翼の内野席を

減らす。

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― 嘉手納野球場編 ―

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5)ファウルボール対策

<諸条件の考え方>

① 公道へファウルボールが飛び課題となっている。

② 高い防球ネットは台風時等の強風対策が必要。(自動昇降機など)

③ 防球ネットの高さに対して、景観面などの課題がある。

④ 伊江村野球場では、県内野球場を参考に防球ネットの高さを平均値とした。(9~14m)

<図面による防球ネットの検証>

現状 防球対策案① 防球対策案②

条 件

〇防球ネット 〇高さ:約 16.5m

〇防球ネット 30~45m 〇球場敷地周囲

〇住宅側 高さ 30~45mネット

〇公 道 覆うようにネットを掛ける

メリット - 〇現在の課題である場外への飛球対策が可能

〇高い防球ネットが少なくメンテナンスや台風時の安全面でメリットあり

課 題

〇ファウルボールが、公道や周辺住宅へ飛球

〇メンテナンスの課題あり

〇台風時などの安全面へ考慮(防球ネットの保護)

〇景観の課題あり

〇メンテナンスの課題あり 〇台風時などの安全面へ考慮(防球ネットの保護)

〇景観の課題あり 〇公道と球場間の公園敷地内の防球対策ができず、球場外の敷地内歩行者への防球対策の検討が必要

〇公道への工作物設置許可が必要

■整備のあり方

球場周辺の歩行者への防球対策などの周辺環境の安全面を考慮し、

防球対策案①とする。

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― 嘉手納野球場編 ―

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6)サブグラウンドの検討

<諸条件の考え方>

① 中学校野球大会や高校野球大会、プロ野球の内野練習において、サブグラウンド

のニーズがある。

② 嘉手納野球場敷地内においてサブグラウンド規模のスペース(40m×40m)の敷

地スペースを確保することが困難である。

③ 嘉手納運動公園内でのサブグラウンド規模のスペース(40m×40m)の敷地確保

が可能な場所の検討を行う。

■サブグラウンド規模の比較

① 陸上競技場内

② 陸上競技場駐車場

③ 嘉手納スポーツドーム駐車場

④ 嘉手納野球場駐車場

■整備のあり方

嘉手納野球場利用者からのニーズはあるが、駐車場数の確保、陸上競技場利用者と

の協議などの課題があるため、今後も周辺施設との連携も併せて検討を続ける。

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― 嘉手納野球場編 ―

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3.設備整備の基本方針

■検討フローの結果

仕上げ案

仕上げ案

仕上げ案

仕上げ案

仕上げ案

内野 土舗装 天然芝 土舗装 土舗装 人工芝

外野 土舗装 天然芝 天然芝 人工芝 人工芝

小中学生(練習・試合)

嘉手納球場

現状利用

一般利用(練習・試合)

高校野球(練習・試合)

プロ野球練習

プロ野球公式戦

<公認野球場以上>

両翼 98m センター122m

球場周囲全面

防球ネット 30~45m

〇住宅側:防球ネット 30~45m

〇公道:覆うようにネットを掛ける

公認球場への対応

(グラウンド規模)

グラウンドの仕上げ

(粉じん対策・

暑さ対策)

利用目的と諸室

観客席の規模

(野球場諸室・

ブルペンなど)

ファウルボール

対策

サブグラウンド サブグラウンドについては、今後も継続して検討を行う

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第 4 章 施設整備計画

1.嘉手納野球場施設整備方針

本施設は、町民の利用促進と各種野球大会の開催等を通して幅広く活用され、近接す

る基地内の人々と交流をもつ機会を得る事等を目的に、施設整備の方向性を下記のよう

に設定する。

■施設整備の基本方針

・利用者、町民ニーズに基づき、日常的な野球等の町民利用促進に対応した施設

・中学及び高校野球大会の開催に対応した施設

・米軍基地周辺に隣接している施設としての交流機能を有した施設

・適正な管理運営が可能な機能・規模の構築

2.施設導入機能

施設整備方針に基づき、抽出された導入機能を下記に示す。

■導入機能

・硬式の公認野球場と同等なグラウンド施設

・高校野球等の大会運営に必要な付帯施設(諸室や観覧席等)を有した施設

・利用促進や交流機能を有した利便性の高い施設

・周辺環境に配慮した安全・安心な施設

現 状 リニューアル案

球場規模 両翼 91.5m、

センター120m

両翼 98m、

センター122m

収容人数 内野 6,000人、

外野 1,500人

1,000~2,000人

※建屋規模と合わせて検討

駐車台数

嘉手納野球場:163台

嘉手納陸上競技場:91台

嘉手納スポーツドーム:143台

現状の駐車台数を維持する。

放送室 〇 〇

記者室 〇 〇

器具庫 〇 〇

更衣室 〇 〇

トイレ 選手観客共同 選手・客別

会議室 1室 複数※

医務室 〇 〇

ダッグアウト 両翼 2か所 両翼 2か所

ブルペン 場内 - 両翼 2か所(2人投球)

場外 1か所 1か所※配置計画と併せて検討

ナイター 〇 〇

シャワー室 〇 -

※会議室などの諸室の数および規模は、配置計画の検討と併せて行う。

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3.整備計画図

1)計画平面図

2 階~3階(メインスタンド)

1 階(諸室)

2 階(コンコース)

諸室及びメインスタンドの計画

1 階 約 900 ㎡

(屋内面積)

2 階 約 250 ㎡

(屋内面積)

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2)配置図

3)イメージ鳥瞰パース

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第 5 章 事業計画

1.事業スケジュール

事業スケジュールについては、本実施計画を策定後、下記のとおり、設計及び工事は約

4 年間を想定する。

2.事業費概算

事業費概算については、類似施設の実績やメーカー見積等を踏まえて、下記のとおり

想定する。

■嘉手納野球場事業スケジュール(案)

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目

実施計画調査(本調査)

基本設計

実施設計

撤去工事

造成工事

野球場工事

外構工事

供用開始

野球場スタンド 802,420千円

スコアボード 210,000千円

擁壁(外野スタンド) 321,180千円

照明塔 575,580千円

防球ネット35~45m 450,000千円

グランド舗装 407,270千円

造成 18,020千円

建築 112,000千円

土木 50,000千円

測量 10,000千円

土質調査 7,000千円

項 目 金 額

新設費

撤去費 既設野球場

303,237千円

3,335,607千円

設計監理費 162,000千円

工事費

17,000千円

消費税10%

調査費

68,900千円

小 計

2,784,470千円

合 計

3,032,370千円

■嘉手納野球場事業スケジュール(案)

■嘉手納野球場概算事業費

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第 6 章 管理運営計画

1.管理運営の基本的な考え方

現利用者をはじめ、今後さらなる増加が見込まれる利用者の方々が安全で快適に活用

できるよう、適正なグラウンド環境の管理、各種機器、機材等のメンテナンスも含め質

の高い状況を保つ必要がある。

一方で、施設の仕様や機能の向上により、増大する管理コストについても、施設機能

の維持・向上を図るとともに、縮減に配慮した運営体制の構築を図る。

2.管理運営体制の検討

現在の嘉手納野球場の管理状況については、指定管理者制度を活用し、民間により管

理運営を行っている。

施設リニューアルにより、利用者増並びに各種大会、イベントの開催が見込まれる中

で、管理運営のあり方を再考する必要がある。

管理体制として、大きく「自主管理(町管理)」「PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)

(指定管理者制度、PFI、P-PFI 等)」が想定されるが、野球場は特殊施設であり、管理

における様々なノウハウが必要であり、リニューアルに伴い特にフィールド仕様が高質

化になることから、自主管理による管理運営は難しいと想定され、これまで同様、指定

管理者制度による管理体制を基本とするが、リニューアルに伴い利用者増が期待される

ので、公園内施設を活用し飲食店等の展開等を踏まえて、P-PFI についても民間の動向

等を踏まえて併せて検討する。

■管理体制の種類

管理体制 概 要

自主管理 公園管理者が自ら管理する。

(町直営)

PPP

(パブリック・

プライベート・パ

ートナーシップ)

指定管理者制度

(地方自治法 公の施設)

民間事業者を含む幅広い団体が、

議会の議決を経て指定管理者として

公の施設の管理を行うことができ

る。

PFI 方式

(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)

(PFI 法)

民間の資金・技術力・経営力を導

入、活用し設計・建設・管理運営まで

を一括で民間に委ねる。

P-PFI‹Park-PFI›

(都市公園法第5条の2-第5条

の 9)

飲食店、売店等の公募対象公園施

設の設置又は管理と、その周辺の園

路、広場等の特定公園施設の整備、改

修等を一体的に行う者を、公募によ

り選定する制度。

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3.収支計画

1)収入の算定

1-1)利用料金の設定

利用料金については、近隣市町村や県内の類似の野球場の利用料金を踏まえて、同等

程度となるよう検討した結果、現状の利用料金とほぼ同等の設定となった。

なお、他地域との差別化(全面人工芝等)による利用形態の変化や更なるニーズ等を

踏まえて、新しい利用パッケージの構築など、整備後の利用実態を分析し料金設定の見

直し等も検討してく。

1-2)野球場の利用者数算定

現野球場の H25~29 の直近 5 年間の利用実態は以下の通りである。

利用回数:一般利用が最も多く年間 100~160 回(平均 125 回)の利用。

利用者数:高校生の利用並びに高校野球の大会で多い時に年間 4,000~5,000 人。

利用総数:利用回数が年間 350 回前後、利用者が年間 15,000 人前後の利用。

利用者数の算定については、過去 5 年間(H25~29)の利用実績を踏まえて、利用

形態別に最も活発に利用された時期の状況等が今後継続していくことを想定。

利用形態については、基本的に現在の利用形態をベースとして、基本方針でも示し

た通り、利用者の更なる充実を目指すことから既存利用形態をベースとし、高校野

球の地方予選会場としての利用増や新たな取り組みとしては、在沖米軍関係者と

の交流イベント等を定着化させることを想定。

1-3)野球場利用料(収入)の算定

利用料金設定並びに利用者数算定結果により、これまでの利用団体や利用形態等より

利用日数や照明の利用率、利用時間等を想定し、野球場利用料を算出した。

利用料は、トータル約 340万円弱の利用料(収入)を見込んでいる。

・町内の利用料約 35万円

・町外の利用料約 300万円

全体で約 36,000人を想定する。

・利用者数については、約 20,000人強

・観客数は、約 16,000人、

引き続き、今後も現状の利用料金とする。

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2)支出の算定

2-1)維持管理費の算定

維持管理費については、既存野球場の維持管理費を基本に算定した。

今回計画では、フィールドを人工芝、照明を LED 化することで、コスト縮減に繋が

るものと想定している。

■維持管理費の算定

項 目 内 容 金額(税込)

管理業務 約 180万円

巡回警備業務 約 100万円

グラウンド維持管理

(清掃等)

・ゴミ拾い

・ブラッシング作業

・充填材の補充と攪拌

約 73万円

保守管理業務

自家発電用電気工作物保安管理業務 約 17万円

夜間照明設備点検 約 13万円

消防設備保守点検業務 約 8万円

修繕費 約 54万円

電力代 約 345万円

エレベータ維持管理 約 65万円

水道料 約 66万円

消耗品費 約 25万円

燃料費 約 7万円

租税公課費 約 2万円

一般管理費 約 70万円

合 計 約 1,025万円

3)収支計画

前項で嘉手納野球場の収入と収支を算定した結果、収支は下記のとおりとなる。

項 目 金 額 ※参考(現状直近 5 年間)

収 入 約 340 万円 約 170~300 万円

支 出 約 1,025 万円 約 1,350 万円

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4.利用促進計画

1)嘉手納野球場の利用形態

野球場リニューアルに伴い、基本方針等に即しながら、下記の利用形態を基本に運用

を行う。

■利用形態

利用形態 主な利用状況

町民(一般利用) 練習、練習試合

小・中学校野球 練習試合、大会

高校野球 新人大会、地方予選(準決勝以上を除く)

大学野球 練習試合、キャンプ

社会人野球 練習、練習試合、キャンプ

プロ野球

DeNA 横浜ベイスターズ 2 軍キャンプ(2 月) (試合形式は紅白試合程度。オープン戦、対外的な練習試合は無し) ※海外(アジア圏)プロ野球キャンプ ※イレギュラーで他球団、選手(個人)が短期使用

在沖米軍関係者交流 試合、大会、イベント等

2)利用促進計画

嘉手納野球場の円滑な活用並びに利用促進に向けて、前項で示したリニューアル後の

利用者数算定結果を踏まえて、下記の方針で推進していく。

2-1)町民の野球人口、人気拡大による利用者増

近年、嘉手納高校の甲子園出場や嘉手納町出身のプロ野球球団への入団など、野

球人気が高まりつつある。嘉手納町は、横浜 DeNA ベイスターズ 2 軍のキャンプ地

でもあり、更なる野球人気の高まりが期待されるため、プロ野球選手を招いた野球

教室等協力を頂き、利用促進を図る。

利用促進に向けては、リニューアルに併せて野球場のパンフレットを作成するな

ど、ソフト面でも対応も検討し、野球人口、人気の拡大を図る。

2-2)県内で数少ない人工芝球場をアピール

現在(H31.1 現在)、全面人工芝の野球場は、県内に伊江村野球場(整備中)のみ

であり、県内で数少ない人工芝球場の優位性をアピールし、利用促進を図る。

人工芝の速乾性を活かして、雨天による試合や練習等の中止が無い野球場として

アピールし、大会等のスムーズな進行を強みとする。

また、人工芝球場にて試合を行う県外での各種全国大会等の対策が可能となる球

場として広く周知し、県内全域からの利用者増を図る。

2-3)野球を通じた県内外・在沖米軍関係者との交流による利用者誘致

県内で数少ない人工芝球場として町外からの利用者増が期待される中、在沖米軍

関係者の方の積極的な利用を促し、また各種イベントを検討し、交流試合を行うな

ど、他球場、他地域との差別化を図り、利用者増を図る。

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第 7 章 今後の課題

1.各種機能の整備について

1)ブルペンについて

現野球場では、三塁側に 4 人が投球練習できる屋外ブルペンを配置し利用してい

るが、リニューアルに伴い屋内ブルペンを一塁側、三塁側それぞれに 2~3 人が投球

練習できるブルペンを配置予定である。プロ野球等のキャンプ時には分散したブル

ペンでは管理並びに指導が難しい状況もあるため、公園内において屋外ブルペンの

配置を検討するが、常設で整備するのか、若しくは仮設で必要時に配置するなどの

対応が可能なのか、利用者の意向等も踏まえながら、運用面について検討する必要

がある。

2)サブグラウンドについて

現野球場では、サブグラウンドは整備されておらず、キャンプ時や大会時に不便

となっているケースもみられる。リニューアルに併せて、サブグラウンドの検討も

行っているが、限られた敷地の中で新たに整備が可能なのか、また、既存施設を活

用しサブグラウンド機能を持たせることが可能なのか等、引き続き検討する必要が

ある。

3)未利用地の活用について

野球場周辺には、民地(住宅地等)とのバッファーも兼ねた緑地帯等があり、そ

の中に墓地等が複数立地している。

引き続きバッファーとして緑地を残すとともに、限られた土地を有効利用するた

めに墓地の適正な移転等を進め、運動公園としての機能向上を図るため、未利用地

の活用についても引き続き検討する必要がある。

また、公園内に残る一部民有地については、野球場リニューアルに併せて公園内

全体の有効活用等の観点からも用地買収等も踏まえて今度の対応を引き続き検討す

る必要がある。

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― 嘉手納野球場編 ―

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2.円滑な施設整備に向けて

1)利用者の意向を踏まえた施設整備

本事業結果を受けて、今後、基本設計、実施設計を経て整備に着手していくが、その

過程では、フィールドの芝の種類、諸室の仕様、バリアフリーのあり方等細かな具体の

内容を検討していくため、利用者目線に立ち、利用者がより快適に活用できるよう、意

見を踏まえて進めていく必要がある。

2)利用者への影響の軽減

工事に着手にあたり、長期間利用できなくなるため、各種団体のキャンプ利用や各種

大会、練習等の利用実態を踏まえて、利用制限期間をできる限り軽減できるよう整備ス

ケジュール等を検討する必要がある。

3)景観等への配慮

野球場整備にあたっては、ファウルボール対策等安全性の面から 35~45m級の防球ネ

ットを野球場周辺に張り巡らすこととなる。そのため、施設本体の景観的観点、さらに

は、周辺景観への影響等も踏まえながら、支柱やネットのカラーなどにより圧迫感等を

軽減する対策等を講じる必要がある。

3.適正な管理運営に向けて

1)管理委託方式の検討

本野球場の管理運営については、これまで通り指定管理者制度を活用し運用予定であ

るが、従来の委託側(町)があらかじめ使用を決めて発注する仕様発注方式以外に、行

政は必要とされるサービスの水準(要求水準)のみを民間事業者に提示し、具体的な工

法や実施手順については、民間事業者の提案に委ねる性能発注方式を検討するなど、よ

り適正な管理運営が図られるよう委託方式についても検討する必要がある。

2)町民並びに在沖米軍関係者利用促進

野球場のリニューアルに伴い、県内に数少ない人工芝として町外からの利用も更なる

増加、また、キャンプ・合宿地として各種団体の利用も想定されるため、野球場の稼働

率が上がるとともに、町民や在沖米軍関係者の利用への影響も想定されるため、キャン

プ・合宿期間の夜間は町民並びに在沖米軍関係者優先に利用させるなど利用形態につい

ても検討する必要がある。

3)利用料金について

近隣市町村や類似野球場等の利用料金を踏まえて、本事業では、現行の利用料金をそ

のまま継続するとしているが、今後の利用実態を踏まえながら、利用料金の改定等につ

いても検討する必要がある。

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― 屋良城跡公園編 ―

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屋良城跡公園編

第 1 章 基礎情報

立地条件

屋良城跡公園は沖縄県嘉手納町字屋良に位置しており、昭和 50 年 10 月に地区公園と

して都市計画決定(4.50ha)された公園である。

■屋良城跡公園位置図

■屋良城跡公園の概要(出典:公園台帳)

区分 備考

公園名称 屋良城跡公園

所在地 嘉手納町字屋良 656 番地

公園の種類 一般公園

設置者 嘉手納町

管理主体 嘉手納町役場

設置年月日

(開園年月日)

S54.3.31

設置面積 46,648.80 ㎡ 嘉手納町 29,057.80 ㎡

私有地 17,591.00 ㎡

都市計画決定

(地区公園)

当初決定:S50.10.2 4.50ha

供用開始:S60.3.30 4.50ha

名称変更:H16.3.24

名称変更

当初:5・4 屋良城跡公園

変更:4・4 嘉 1 号屋良城跡公園

沿革特徴

(公園台帳抜粋)

この地域は、嘉手納町の北側河畔に位置し、比謝川の水辺の

空間と一体となって機能する公園緑地として、昭和 50 年度よ

り建設省都市局所管の補助事業として建設整備に着手し、昭和

54 年度までの 5 ヵ年計画で整備され、町民の安らぎと憩いの

場、レクリエーションの場として広く利用されている。

この地域は以前に屋良城跡という伝えもあり、歴史的にも地

域を保全していく必要がある。また、同地域は地形的な変化に

も富み、緑地には在来種の樹木等が豊富に残されており、今後

とも緑地として保全したい。

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― 屋良城跡公園編 ―

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屋良城跡公園現況図

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― 屋良城跡公園編 ―

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第 2 章 基本構想

施設整備の考え方(再整備の 6 つの視点)

屋良城跡公園の特徴として、公園東側(城跡)は、丘陵地となっており、その地形を

活かした施設が整備され、文化財も点在している。公園西側については、隣接する比謝

川緑地と一体となった園路や展望台が整備され、比謝川への親水性も高く、芝生の広場

が広がった場所となっている。

公園の特徴、上位関連計画、問題・課題等を踏まえ、屋良城跡公園のリニューアルに

向けて 6 つの視点を整理する。

視点①既存施設のリニューアル、新たな施設の整備

屋良城跡公園は設置から 35 年が経過し、公園施設の劣化が進んでいる。

新規施設の整備や施設をリニューアルする際には、比謝川及び周辺の自然環境に

配慮し、自然エネルギーを活用した施設の整備を検討するとともに、併せて、屋

良城跡の歴史・文化の保全等が必要である。

当公園の豊かな自然を活かし、誰もが楽しく遊べる自然体験施設を整備すること

で、町内外の利用者が増加すると考えられる。

ぶらんこやすべり台などの遊具は、子供たちにとって魅力的な施設である。県内

各地の公園の例を見ても、遊具を充実させることが、子供や子育て家族の利用が

増え、公園の賑わいを創出することが考えられる。

視点②町民及び在沖米軍関係者との交流

比謝川を活用した交流イベントを検討するとともに、環境学習の場として充実を

図ります。

町民及び在沖米軍関係者等との交流施設として位置づけ、定期的なイベントを展

開する。

視点③ユニバーサルデザインへの配慮

誰でも安心して使いやすいユニバーサルデザインに配慮した施設が求められる。

屋良城跡公園は比謝川沿いにあり、豊かな自然を感じることができるが、起伏し

た地形に園路や休憩施設などの施設が配置されていることから、高齢者や障がい

者が利用しづらい状況にある。

再整備にあたっては、公園の東側と西側の特徴に合わせ、可能な限りユニバーサ

ルデザインに配慮した施設の整備が求められる。

出入口からメインエリアへは、車両で進入することを可能とし、エリア内ではト

イレや駐車場などが容易に利用できるような配置に配慮する必要がある。

子供たちが遊ぶ遊具については、安心・安全で、誰もが楽しめる施設を導入する

ことが望しい。

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― 屋良城跡公園編 ―

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視点④自然・歴史資源の活用

屋良城跡公園は、屋良城跡と比謝川を一体的に整備した自然と歴史・文化を同時

に体感できる嘉手納町の重要な資源の一つである。

「比謝川沿いの自然と公園内の動植物の観察ができる園路」、「樹林地の地形や樹

木を活用した自然体験ができる場所」を整備することで、観光施設としても魅力

ある公園になることが考えられる。

「比謝川利活用計画」において、屋良ムルチから河口部まで、比謝川沿いの遊歩

道を活用した、ウッドデッキの整備が検討されている。

公園内に点在する歴史・文化資源の保全を図りつつ、その周辺の園路や学習の場

としての整備を検討する必要がある。

視点⑤安心・安全で人が集まる明るい雰囲気づくり

屋良城跡公園内に整備されている公園施設の一部は、奥まった場所に位置し、周

辺から目が届きにくい状況となっていることから、不安を感じる印象を与えてい

る。また、利用者が少なく、樹木のうっそうとした状況が公園のイメージダウン

の原因と考えられる。

再整備の際には、公園施設として魅力のある施設の導入や植栽の適切な管理が求

められる。更に、日常的なパトロールを実施し、常に安心・安全で明るい公園で

あることが求められる。

当公園は一時避難場所となっていることから、すべての人が利用しやすいようユ

ニバ―サルデザインに配慮した施設を可能な限り取り入れることが望ましい。

視点⑥観光拠点との連携

屋良城跡公園は、町内での認知度はあるものの、公園利用が少ない状況にある。

今後は、比謝川一帯での自然体験や、歴史文化の学習の場として、嘉手納町の新

たな観光拠点としての魅力を発信していく必要がある。

町内の観光拠点である「屋良ムル

チ」や「道の駅かでな」などの主要

施設と連携し、「屋良ムルチ」から

比謝川の河口までネットワークを

図ることで、当公園の魅力向上に

つながると考えられる。

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― 屋良城跡公園編 ―

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第 3 章 基本計画

第 3 章 基本計画では、前章の基本構想で検討した、基本理念及び方針、公園機能に基

づき、より詳細に精査・再整理を行う。

1.基本的な方針

基本的な方針は、前段の基本構想で設定された基本理念、基本方針を踏襲する。

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― 屋良城跡公園編 ―

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2.エリアとテーマの考え方

前段までの内容を踏まえエリア及びテーマの考え方を整理する。

エリア名 考え方

エントランス

エリア

町道沿いの比較的平坦な場所に公園入口広場、メイン駐車場と比謝

川沿いの交流広場へのアクセスとなる、管理用道路入口を配置し、エ

ントランスエリアとする。

公園利用者は、町道 11 号線から駐車場に車を乗り入れ、公園入口

広場で集合し、ここを起点として各施設を利用する。公園入口広場に

は、各施設の説明板を設置し、トイレ等の管理施設を配置する。

また、メイン駐車場の西側には、大型バスも対応できるよう整備す

る。公園入口広場に近い位置に高齢者や身障者が優先的に利用できる

優先駐車場を整備する。

アスレチック

遊具エリア

公園中央付近に位置し、アスレチック遊具を配置する。計画地の地

形を活かして、高台から斜面地緑の中を蛇行しながら滑降する大型す

べり台を整備する。

また、公園東側の地形を活かし、ゆるやかな斜面に大型の複合遊具

を配置し、園路を挟んだ平坦地には、健康遊具を配置する。

花と緑が潤う

歴史・文化

エリア

公園内の最も海抜が高い場所に、展望広場を設ける。

また、周辺は屋良城跡地として保存活用する場所である。公園内の

文化財への説明サインを設置するとともに、公園の賑わい、屋良城跡

の歴史・文化を感じるデザインのモニュメントを配置する。

親水と憩いの

広場エリア

公園西側にあたる比謝川沿いの平坦地では、交流広場として面的な

広がりのある、フラットな敷地として芝生を植栽する。

交流広場には屋根付きのミニステージを配置し、平常時には日よ

け・雨よけの場所として利用する。芝生広場は、ミニステージに向か

って緩やかな斜面にて芝生スタンドとして整備する。

比謝川沿いには、子供たちが気軽に比謝川と触れ合えることができ

る、泉(ヌルガー)を活用した親水施設を配置する。

自然体験学習

エリア

比謝川周辺の親水スペースを活用し、比謝川及び川岸を自然体験ス

ペースとして活用する。

また、「比謝川利活用計画」と連携したデザインのウッドデッキを

比謝川沿いに配置する。比謝川沿いおよび園路沿いに自然に関する説

明サインを配置する。

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― 屋良城跡公園編 ―

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― 屋良城跡公園編 ―

35

第 4 章 施設整備計画

1.動線計画

当公園は、地区公園と歴史・観光地としての両面を有している。したがって、動線計

画においては、地域利用動線、観光客動線、公園管理動線、身障者動線について設定す

るものとする。

2.造成計画

公園区域内の屋良城跡とその南側の緑地は、嘉手納町を代表する景観資源であり、嘉

手納町のシンボル景観として位置づけられていることや、屋良城跡及び周辺の文化財な

どへの影響に配慮した造成計画とする。

東側斜面地におけるアスレチック遊具等の施設整備にあたっては、繁茂する樹林を整

理し、可能な限り自然林を保全する造成計画とする。

比謝川沿いの交流広場では、大雨時に浸水災害が発生する状況のため、比謝川の HWL

を踏まえ、凹凸な地形を出来るだけ平坦に保つよう、切盛造成を行う。盛土材は、公園

内(親水と憩いの広場エリア)から発生する土砂を流用するものとする。

3.植栽計画

①安心・安全を感じる植栽配置

日常的に公園に立ち寄り、休憩や散策、交流が図れる身近な公園づくりを目指す。誰

もが安心・安全を感じるよう、周辺から見通しのきく植栽配置を行う。

②花と緑に溢れた魅力ある散策路

日差しを取り込みやすい傾斜地には花木(低木)を配置し、華やかで彩りに溢れた散策

路の修景を行う。

③明るく開放的な空間づくり

遊具施設周辺や交流広場等の“賑わいの空間”では、明るい開放的な芝空間を整備す

る。また、利用者が快適に過ごせるよう要所に緑陰樹を配置し、利便性の向上を図る。

④自然環境の保全と活用

既存の自然植生は、なるべく保全するとともに、自然、歴史、文化を感じる公園づく

りを図るため、歴史資源周辺の巨木等は、出来る限り保全する。

⑤樹種規格と植栽手法

使用する樹木及び植栽方法については、それぞれの植栽地の利用目的や環境条件等を

踏まえた樹種規格の設定と植栽手法を用いる。

⑥適切な植栽管理を行う

地域への愛着を育む身近な公園となるよう、明るく安全で利用しやすい空間づくりを

行うためには適切な植栽管理の必要がとなる。供用開始後の管理のしやすさを考慮した

樹種選定と配置に留意する。

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― 屋良城跡公園編 ―

36

4.園路計画

1)園路計画

園路は、園内の主要施設を結び、移動・散策の便宜を図るとともに、安全性、快適

性、景観性を兼ね備えたものとして整備する。

管理用園路は、施設の保守管理や緊急時の対応を考慮して配置し、車両の通行に耐

えうる舗装構成とする。

園路は、施設の利用形態と動線計画を考慮し、利用者が快適に通行できるように配

置する。

園路は、ユニバーサルデザインに配慮し、誰もが歩きやすい園路計画とする。

散策路内で、地形的に急な箇所や既存樹林の保全が必要な箇所については、ウッド

デッキ(桟橋)による造成規模の縮小を図る。

2)階段計画

階段は、園路と連続した施設であることから、機能や形態等について、前後の園路

との整合性を図る。

階段は、添景施設となりうるため、修景を考慮した意匠とする。

3)吊り橋

橋梁形状および構造は、町内外からの集客を見込む新たなスポットとなるシンボル

性の高い吊り橋形状とする。

吊り橋は、散策園路に架設され、交流広場とアスレチック広場を結ぶ人道専用動線

を確保するために計画する。

吊り橋は、散策者が快適に移動できるよう、安全性の高い施設とする。

展望階段は、アプローチ道路を架空により横断し、交流広場に接続することから、

比謝川の周辺斜面や景観に調和する意匠とする。

【吊り橋のイメージ(坂田ヶ池総合公園)】

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― 屋良城跡公園編 ―

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5.広場計画

広場の規模は、利用形態や対象人員から、それに適した規模を算出し、一応の目安

にするが、敷地の特性、歴史性、周辺の施設、自然環境等の全体的な景観バランス

を考慮して設定する。

広場の利用には多様な形態があり、計画にあたっては本公園の性格や規模等を踏ま

えて、どのような利用形態が想定されるかを検討する。

広場はある程度まとまった空間を必要とするため、地形や既存樹林の他敷地特性を

考慮する必要がある。したがって、配置にあたっては形状や勾配等が合理的かつ機

能的でなければならない。

6.休養施設計画

施設 計画方針 配置計画

ベンチ・

野外卓

ベンチ・野外卓は、直接人体に接す

る施設であるため、安全性、快適性

を考慮する。

設置場所に適した形態を考慮す

る。

素材は、耐久性や美観を考慮して

選定する。

誰でもが利用できる園路沿

いに通行の妨げにならない

よう配置する。

車いす利用者が近づける水

平面を確保し、平坦な芝生

広場の緑陰下に配置する。

東屋や緑陰樹の下に配置す

る。

展望施設 展望施設まで車いすやベビーカー

で利用できるよう、安全性・快適性

と意匠に留意し、周辺の景観に調

和する素材(木製品、沖縄産赤瓦葺

き等)を用いた施設とする。

公園内の最も海抜が高い場

所である、展望広場に展望

施設として展望東屋を設け

る。

東屋 東屋は、一時的な休息機能、日除け

などの避難機能、点景物としての

景観機能を持つ施設として整備す

る。

東屋は、景色を眺めて憩う

空間であるとともに、遊具

や施設で遊ぶ子供たちを親

が見守る場所として、親水

広場や遊具広場に配置す

る。

ミニ

ステージ

ミニステージは交流広場で開催さ

れる多彩なイベントに柔軟に対応

するため、開放的な屋根付きのス

テージとして計画する。

非イベント時には公園利用者に快

適な日陰の休憩場所を提供する屋

根を設け、川沿いの良好な景観を

阻害しないような外観とする。

ミニステージは、交流広場

内に配置する。

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― 屋良城跡公園編 ―

38

7.遊戯施設計画

遊戯施設は、公園の種類、規模、性格を踏まえ、利用者に適した施設を敷地の環境

および特性にあわせて計画する。

遊戯施設は、レクリエーションの動向や、利用者の需要にこたえる内容のものを考

慮するものとし、公園周辺に住居する人々の意向にも配慮する。

遊戯施設は、子供の成長過程での心理的、社会的な発育を促す基本的な空間である

という、意義を踏まえつつ、子供の年齢や性別による遊びの変化に対応する、適切

な施設内容と規模のものを検討する。

公園施設としての公共性、経済性について考慮するとともに、施設の安全性、快適

性、管理性についても十分検討を行う。

遊戯施設の選定については、(仮称)遊具選定委員会を設置、各遊具メーカーからの

提案を踏まえ検討する。

■アスレチック遊具(左)、健康遊具(右)イメージ

■複合遊具イメージ

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― 屋良城跡公園編 ―

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8.運動施設計画

施設 整備方法

広場 軽スポーツ・レクリエーションが楽しめる広場を整備する。

交流広場の多目的広場で行うことが出来る軽スポーツとしては、芝生

の上で競技ができる、バレーボール、ミニサッカー、グランドゴルフ、

バドミントン等が考えられる。

園路 公園内の園路をジョギングコースとして活用するものとし、延長によ

ってコースを選択できるようにする。

ジョギングコースは、幅員 2.5m 以上の園路を設定する。

スタート地点となる広場にコースの設定表示を行う。

9.教養施設計画

教養施設前に説明版を設置し、屋良城跡の由来や文化財関連の学習の場として、保

全整備を図る。

公園内に生育する主な植物に樹名板を設置し、観察学習の場とする。

公園内および比謝川に生息する小動物、魚介類の説明版を設置し、観察学習の場と

する。

10.修景施設計画

修景施設としては、親水施設やモニュメントを位置づける。

施設 整備方法

親水施設 屋良城跡公園は比謝川への親水機能の向上が求められており、河

川整備と連携した公園再整備に努める。

また、雨天時や増水により比謝川に進入することができない時の

代替施設として親水施設を整備する。水深を出来るだけ浅くし、

小さな子供でも安心・安全に水と触れ合える施設整備とし、交流

広場と一体となった親水空間を演出する。

親水施設については、泉(ヌルーガー)を活用し、安心・安全に

利用できるよう、水質には十分に配慮する。

モニュメント

(人工滝)

メイン駐車場に訪れた人々の目を引き付ける演出として、人工滝

のモニュメントを整備する。

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― 屋良城跡公園編 ―

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11.駐車場計画

駐車場は、緑陰樹を多く植栽した緑陰駐車場とし、駐車帯には芝ブロックを用いて、

雨水を地下に浸透させ、地下涵養と照り返しを防ぎ快適性を高める。

身障者用の駐車桝を設ける。

駐車場と隣接施設間には、修景可能な植栽帯を確保する。

イベント時などピーク利用時には、臨時駐車場で対応する。

イベント時の主催者関連の駐車場を別途確保する。

1-2)必要台数の算定

必要台数は、全国公園実態調査(H26)等を基に下表の通り算定する。

項目 数量 単位 備考

A 1ha あたりの休日利用者数平均

(地区公園) 393 人

H26 年公園利用実態調査報告

B 屋良城跡公園面積 4.5 ha

C ピーク日利用者数想定(目標値) 1,769 人/日 A×B

D 平均滞在時間(地区公園) 1.15 時間 H26 年公園利用実態調査報告

E 回転率 28.6 % 造園ハンドブック(滞在時間

1.15≒1 時間は回転率 1/3.5)

F ピーク時利用者数 505 人 C×E

G 駐車場利用率 34.9 %

H26 年公園利用実態調査報告

書(徒歩・自転車利用率

65.1%より設定)

H 1 台あたりの同乗者数 2.7 人

H27 年国勢調査:嘉手納町総

人口 13,865 人/世帯数 5,069

I 必要駐車場台数 65 台 F×G÷H

J 臨時駐車場 35 台 交流イベントやピーク時への

対応

K 駐車場合計 100 台 I+J

算定の結果 65 台の駐車場が必要となるが、在沖米軍関係者との交流を含むイベント

や県内公園事例を考慮し、100 台程度が妥当と考える。

県内公園の駐車場台数の事例(大型遊具が察知され利用者で賑わう公園の事例)

浦添大公園(浦添市)130 台、中城公園(中城村)200 台、海軍豪公園(豊見城市)

100 台、平和祈念公園 こどもひろば公園(糸満市)125 台

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― 屋良城跡公園編 ―

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12.便益施設計画

便益施設としては、当概公園利用者の利便に供する施設として、便所、水飲み場を位

置づける。

施設 計画方針 配置計画

便所 便所の換気方式は原則として、自然換気

を前提とする。

当概公園にふさわしい、自然と風と光を

積極的に取り込み、利用者が使用しやす

い清潔な便所を整備する。

便所の意匠は、「沖縄らしさ」に配慮し、

地場の素材(花ブロック、琉球石灰岩等)

を用いる。

便所廻りは日陰の開放的なピロティー

とし、公園利用者のための休憩施設とし

ても活用できる計画とする。

便所はルーバーや半透明ガラス等を活

用し、プライバシーと防犯性を確保した

計画とする。

雨水をトイレの水に使用するなど雨水

の有効利用を図るため、雨水貯水槽を設

ける。

屋外便所は、主要施設

から容易に利用できる

範囲として、エントラ

ンス広場、交流広場の

2ヶ所に配置する

水飲み場 水源は上水を利用する。

水飲み器の大きさや構造、意匠は周辺環

境に調和したものを用いる。

障害者に対応した水飲み器を計画する。

東屋及びトイレの近辺

に水飲み場を配置す

る。

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― 屋良城跡公園編 ―

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13.管理施設計画

本公園の管理施設としては、管理棟、標識・案内板、柵、車止め等があり、公園の機

能を維持するために設けるものとする。

施設 計画方針 配置計画

管理棟 屋良城跡公園再整備後では、観光客や河川を

活用した公園施設の管理のノウハウが必要

であるため、町単独の管理運営は難しいと想

定されているが、現在の町公園管理担当課に

よるパトロールや維持管理を想定し、公園の

管理機能を備えた管理棟とする。

公園管理機能として、管理事務所、便所を備

える。

管理棟は園路から川沿いに広がる良好な景

観への視界を確保するため、敷地の高低差を

利用した半地下の建物を計画する。

管理棟の屋上は公園と一体化した屋上緑化

のテラスとし、交流広場を見渡すことができ

る展望台として機能する計画とする。

屋根の一部に、太陽光パネルを設置し、エコ

エネルギーの積極的な活用を図る。

車の出入りが可能

で、来園者のため便

利で分かりやすい位

置とする。

一般に主たる入口付

近に設けられるが、

屋良城跡公園のシン

ボルとなり、イベン

ト時に多くの利用

者、観光客が集約す

る交流広場の付近に

設置する。

標識・

案内板

標識・案内板は、公園全体の景観と比謝川沿

いの自然植生に調和する統一のとれた意匠

とする。

目的に応じた見えすい大きさ、形態、色彩と

し、特に遠方から注意を引く必要があるとき

は色彩に注意する。

破損しにくく、維持管理が容易な構造とす

る。

標識類は、利用者を

目的の施設まで案内

し、誘導するもので

あることから、利用

者から見やすい適切

な位置に配置する。

設置箇所は、出入り

口付近、分岐点、そ

の他必要な箇所で通

行の障害にならない

位置とする。

柵・

車止め

公園の管理、危険防止、立入禁止等の機能を

充足する柵を設ける。

柵を設置する場合は、出来るだけ前面に植栽

し修景する。

柵の素材は、塩害に耐えられるものとする。

車止めは、維持管理上一般車両の乗り入れを

防止する目的で設置する。

柵は、境界沿いや園

路沿いに設ける。

車止めは、設置目的

を考慮して出入り口

付近に設ける。

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― 屋良城跡公園編 ―

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14.完成予想図及びイメージパース

完成予想図

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― 屋良城跡公園編 ―

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イメージパース

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― 屋良城跡公園編 ―

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第 5 章 事業計画

1.事業スケジュール

事業スケジュールを以下に示す。

2.事業費概算

事事業費概算を以下に示す。

※1:埋蔵文化財調査業務費については、試掘調査の概算費用となっており、嘉手納町内資料を基に

屋良城跡公園の埋蔵文化財発掘が必要な区域の面積で案分し作成。

埋蔵文化財調査については、文化庁の補助事業も視野に入れ検討する。

※2:墳墓移転補償費については、H26 に実施した「屋良城跡公園総合再整備墳墓調査委託業務報告

書」による所有者が把握できている 9 基の移転補償費を計上した。

3.維持管理費(概算)

自主管理を想定した年間維持管理費(概算)を以下に示す。

エントランスエリア

アスレチック遊具エリア

花と緑が潤う歴史・文化エリア

親水と憩いの広場エリア

比謝川周辺の自然体験学習エリア

建築施設の基本設計

建築施設の実施設計

エントランスエリア

アスレチック遊具エリア

花と緑が潤う歴史・文化エリア

親水と憩いの広場エリア

比謝川周辺の自然体験学習エリア

ミニステージ

東屋・トイレ

管理棟

4 8 12 3

文化財調査

測量及び土質調査

設計関連

土 木

建築

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

4 8 12 3 4 8 12 3 4 8 12 3 4 8 12 3

工事関連

土 木

建築

◇概算工事費 1,748,200千円◇設計費 68,700千円

①土木設計業務費(実施) 36,400千円②建築設計業務費(基本・実施) 32,300千円

◇調査費 28,650千円①埋蔵文化財調査業務費※1 20,250千円②測量業務費 1,600千円③土質調査業務費 6,800千円

◇墳墓移転補償費(9基)※2 25,000千円◆工事費+設計費+調査費+移転補償費 1,870,550千円◆消費税(10%) 187,055千円■事業費概算 2,057,605千円

◇植栽管理 27,050千円◇遊具類点検補修など 360千円◇吊り橋点検補修など 400千円◇電気代 2,100千円◇水道代 1,000千円◇その他(トイレ清掃など) 300千円◆合計 31,210千円◆消費税(10%) 3,121千円■維持管理費(概算) 34,331千円

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― 屋良城跡公園編 ―

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第 6 章 管理運営計画

1.管理運営の基本的な考え方

本計画では、子供たちにとって魅力のある遊具が充実した公園、明るくて安心・安全

な公園に向けたリニューアル整備を目指している。

リニューアル後は、多くの町民や県民、さらに在沖米軍関係者や観光客が、充実した

施設や公園サービスを目的に来園することが想定されることから、従来の管理体制(自

主管理)では十分な管理運営が難しいことが予想される。

質の高い公園管理や利用者サービスの展開に向け、経験豊富な民間企業や財団等に管

理運営を委託することを視野に入れ、管理運営体制について検討する。

2.管理運営体制の検討

これまで、屋良城跡公園については、自主管理(町直営)により維持管理されてきた

が、リニューアル後は、公園施設の維持管理及び新たな公園の利活用、また利用者への

サービス向上を図るため、PPP<Public・Private・Partnership>(指定管理制度や PFI

等)の活用を検討する。

当公園は、新たに管理棟を整備予定であり、管理棟を中心として飲食店等の新たな施

設展開も期待されるため、PPP の活用も視野に入れることができる。

そのため、質の高い維持管理、利用者サービスの向上を図ることから、他施設で実績

のある「指定管理者制度」による管理体制を基本とするが、管理棟など施設を利用した

飲食店等の新たな展開等への期待を含めて、P-PFI の導入も併せて検討する。

■PPP の特徴

制度名 特徴

指定管理制度

(地方自治法)

民間事業者等の人的資源やノウハウを活用した施設の管理

運営の効率化(サービスの向上、コストの縮減)が主な目的。

一般的には施設整備を伴わず、都市公園全体の運営維持管理

を実施。

設置管理許可制度

(都市公園法第 5 条)

公園管理者以外の者に対し、都市公園内における公園施設の

設置、管理を許可できる制度。

民間事業者が売店やレストラン等を設置し、管理できる根拠

となる規定。

PFI 事業

(PFI 法)

民間の資金、経営能力等を活用した効率的かつ効果的な社会

資本の整備、低廉かつ良好なサービスの提供が主な目的。

都市公園ではプールや水族館等大規模な施設での活用が進

んでいる。

P-PFI‹Park-PFI›

(都市公園法第 5

条の 2-第 5 条の 9)

飲食店、売店等の公募対象公園施設の設置又は管理と、その

周辺の園路、広場等の特定公園施設の整備、改修等を一体的

に行う者を、公募により選定する制度。

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― 屋良城跡公園編 ―

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■管理体制の比較検討

管理体制 管理

期間 メリット デメリット 評価

自主管理 ― 管理委託を伴わないた

め、安価である。

これまでの屋良城跡公

園の管理手法である。

公園管理のノウハウ、人

材の確保が必要。

単発的な管理となるた

め予算事情に左右される。

指定管理

者制度

3-5 年

程度

公園管理のノウハウを

活用することが出来る。ま

た、利用者サービスの向上

に期待できる。指定管理者

は、自ら施設を設け、運営

することも可能。

当公園の整備構想は基

本的に無料施設として検

討しており、運営次第で

は、管理者に利益が生じな

い場合がある。

設置許可 10 年

*更新可

公園管理者以外の者に

公園施設の一部を管理さ

せることができる。

また、公園の機能の増進

に資すると認められる施

設については、自ら施設

(コーヒーショップ等)を

設け、運営することも可

能。

公園の一部のみの管理

となるため、一括管理が難

しい。該当施設以外の公園

管理は自主管理となる。

PFI 10-30年

程度

民間資本により公園整

備することにより公共投

資が抑えられる。

質の高いサービス、採算

性の高い管理運営が期待

される。

利益を目的とした民間

業者による管理運営とな

るため、地域密着型になり

にくい可能性がある。

○ P-PFI 20 年

以内

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― 屋良城跡公園編 ―

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3.性能発注の検討

これまの管理業務は、除草回数や施肥回数、便所等の清掃回数を示した仕様発注(業

務委託)を基本としており、利用者サービスの向上には至らない現状がある。

リニューアル後は、管理者のノウハウを活かし、公園の魅力やサービス向上、自由度

の高い管理運営、業務の効率化を図ることを目的に性能発注により、指定管理者を選定

し、屋良城跡公園の管理運営に取り組む。

民間事業者のノウハウを生かしたサービスの質の向上

指定管理者制度の場合、行政は必要とされるサービスの水準(要求水準)のみを民

間事業者に提示し、具体的な工法や実施手順については民間事業者の提案に委ねると

いう方法(いわゆる「性能発注」)が可能となる。

このため、民間の発想を生かした経営効率化の手法の導入や利用者に対する接客や

サービス提供のノウハウの発揮等により、民間事業者の能力を最大限に引き出し、公

共サービスの質の向上が期待できる。

仕様発注

性能 (要求水準)

仕 様

実 施

性能発注

性能 (要求水準)

間 実 施

仕 様

仕様(性能達成の

具体的な方法)の

検討主体が民間

へ移転

仕様は発注者(行政)が作成 仕様は受注者(民間)が提案

出展:官民連携による都市公園魅力向上ガイドライン(国土交通省)

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― 屋良城跡公園編 ―

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4.利用促進計画

今後のリニューアルについては、「誰もが楽しめる、自然と歴史・文化の体験型公園づ

くり」を目標に、遊具や広場などの公園施設の充実を図るとともに、安心で安全な公園

整備に取り組み、町民及び県民、在沖米軍関係者、観光客等が集い交流する公園づくり

を実施する。

このことから、当公園の利用者数(交流人口)を想定し、交流や自然環境、観光、プ

ロモーションの視点から利用促進計画を検討する。

1)利用者(交流人口)の想定

利用促進計画検討にあたり、リニューアル後の利用者数を以下のとおり想定する。

但し、当公園については、これまで利用者数のカウント等の実態調査がされていない

ため、全国公園実態調査(H26)等を基に、目標値として利用者数は設定する。

尚、以下の目標値には町民及び県民、在沖米軍関係者、観光客も含むこととする。

項目 全国平均

(1ha あたり)

利用者数想定

(交流人口目標値)

(公園面積 4.5ha)

地区公園の平日の利用者数 310.0 人 1,395.0 人

地区公園の休日の利用者数 393.0 人 1,768.5 人

週平均の利用者数((A*5)+(B*2))/7 333.7 人 1,501.7 人

年間利用者数 C×365 日 121,801 人 548,120.5 人

*第 4 章 施設整備計画 11.駐車場計画に整合

2)交流促進

町民及び在沖米軍関係者の交流を促進するため、定期的なイベント開催し、屋良城跡

公園の利用者及び魅力向上に努める。

また、屋良城跡公園を町民と在沖米軍関係者と協働で維持管理することを目標に、年

に 4 回、公園の清掃活動や緑化イベントを実施し、両者の交流の場を創出する。

以下に交流促進のため、季節ごとのイベントスケジュール案を示す。

月 季節 イベント案 対象

3 月~5 月 春 屋良城跡公園お花見まつり

公園清掃・緑化イベント

町、県、米、観

町、米

6 月~8 月 夏 比謝川まつり

公園清掃・緑化イベント

町、県、米、観

町、米

9 月~11 月 秋 ミュージックフェスティバル

公園清掃・緑化イベント

町、県、米、観

町、米

12 月~2 月 冬 日米交流マラソン大会

公園清掃・緑化イベント

町、県、米、観

町、米

対象/町:町民、県:県民、米、在沖米軍関係者、観:観光客

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― 屋良城跡公園編 ―

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3)自然環境利用促進

屋良城跡公園を含む比謝川沿いの豊かな自然環境は、沖縄本島中南部の中でも優れた

自然環境の一つであり、これら自然環境を活用した自然体験ができる場所としての整備

に努め、県内外の来園者の増加を目指す。

屋良城跡公園の側を流れる比謝川は 2 級河川であり、沖縄県の管理となるが、比謝川

と一体となった整備が望まれるため、沖縄県との連携や河川に関するアドバイザーを活

用した公園整備を目指す。

屋良城跡公園が嘉手納町の自然体験の拠点の一つとなるよう、町商工会や庁内及び県

内外の観光関連企業と連携を図り、屋良城跡公園を含む比謝川周辺の自然環境利用促進

を検討する。

3)観光ガイド利用促進

屋良城跡公園内には、歴史的資源が点在し、地域自治体による維持管理や行事等が行

われている。これら歴史的資源を活用した体験学習は嘉手納町の歴史を広く知らせるた

めの要因になることから、地域自治体と連携した観光ガイドの活用を検討する。

また、嘉手納町が計画している「まちまーい(観光ガイド)」と連携し、嘉手納町の重

要な地域資源として、住民、観光客などの参加者に屋良城跡公園の PR に努める。

4)新たなイベント等の展開

リニューアルに伴い、利用者増につながるとともに、各種施設、機能を活かした新た

なイベント等の展開も期待される。そのために、計画的なイベント実施を図るために、

町主催、民間主催、各種団体主催等イベント主催の明確化並びに、各種組織の連携体制

を構築する。

5)プロモーションの促進

屋良城跡公園の魅力創出と掘り起こしを行い、関連団体等との連携やその魅力を町内

外に向けて様々な広告ツールを活用した情報発信を展開することにより、屋良城跡公園

のポテンシャル・イメージ・認知度の向上を推進し、交流人口の増加をはじめとした嘉

手納町全体の活性化を図る。

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― 屋良城跡公園編 ―

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第 7 章 今後の課題

1.文化財調査

屋良城跡公園の東側は歴史的資源が残されている可能性がある区域であり、また、殆

どが埋蔵文化財包蔵地に指定されている。

前回の埋蔵文化財調査では、公園の一部で試掘調査及び本調査が行われているが、屋

良グスクとされる埋蔵文化財包蔵地全域の調査は実施されていない。

今回の再整備に際し、未調査の包蔵地部分と、その背後地の埋蔵文化財調査が必要と

なる。

埋蔵文化財調査については、実施設計を踏まえて実施することとし、仮に埋蔵文化財

が発見された際には、遺構に与える影響を考慮し、設計変更を行う。

■埋蔵文化財包蔵地及び調査予定箇所

■想定される埋蔵文化財への対応

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― 屋良城跡公園編 ―

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2.歴史的背景の確認

屋良城跡公園は、大川按司の居城があった場所と言われている歴史的価値の高い公園

であり、阿麻和利の生誕したグスクとの説もある。

阿麻和利は、琉球史上でも有名な歴史的人物であることから、この様な歴史的背景を

調査することが望まれる。

3.鳥獣保護区特別保護地区、森林地域及び保安林

公園全域は鳥獣保護区特別保護地区、森林地域及び保安林に指定されており、建築物

その他工作物の新築・改築・増築、水面の埋め立て・干拓、木竹の伐採等については県

知事の許可が必要となる。

屋良城跡公園リニューアル計画では、樹木の伐採及び地形の変更も多少検討している

ことから、沖縄県との調整が必要となる。

4.適切な公園管理

質の高い維持管理、利用者サービスの向上を図ることから、他施設で実績のある「指

定管理者制度」による管理体制を基本とするが、管理棟など施設を利用した飲食店等の

新たな展開等への期待を含めて、P-PFI の導入も併せて検討する。

また、現状で当公園の駐車場は無料開放され、周辺地域住民の車庫(車置場)として

利用されており、公園利用者が利用できない場合が発生している。

公園利用性の向上、適切な駐車場運営のために駐車場有料化も検討する必要がある。

5.各種団体との連携

屋良城跡公園の活用に比謝川は重要な自然環境であることから、公園の再整備を行う

際には、比謝川周辺の安全性に関する整備も検討を図る必要がある。しかし、比謝川は

2級河川となっており、管理が沖縄県となっていることから、沖縄県との連携を図り、

比謝川の安全性に関する整備を促進する必要がある。

屋良城跡公園を広く町内外に PR するためには、町のみならず地域や事業所等との連

携を図る必要がある。

6.墓地の整理

屋良城跡公園は「暗くて怖い」などのイメージがあり、公園内に点在している墓地も

その要因の一つとなっている。

今後、整備を行う際には、「明るくて楽しい」イメージをもたせることが重要であるこ

とから、公園内に点在する墓地については、「嘉手納町墓地整備基本計画」に基づき移設

をする必要がある。