20
人工知能 特集 2016 APRIL4 Case Study ジーシーシー AP8800E 岩国市 ADWORLD 戸籍総合システム Frontier Report リボルバー はいたっく 2016 年 4 月号 本印刷物は、 Adobe Acrobat により作成した PDFです。 All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

  • Upload
    others

  • View
    5

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

写真家 富井 義夫■Facebook 随時更新中 http://photo1.jp/facebook/

表紙写真「壁紙プレゼント」「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。詳しくは目次のページをご覧ください。

小笠原諸島は、東京から南南東へ約1,000km離れた太平洋上に位置する外海の島。2011年6月に世界自然遺産に登録された。この小笠原の海に12月から5月にかけて、無数のザトウクジラが集まる。出産し、子育てをするためだ。春先には、その年に生まれたこどもを連れた群れが見られるようになるが、この頃から子クジラは潜りや「ブリーチング」と呼ばれるジャンプの練習を始める。クジラのこどもは筋力が発達していないため、上手に跳ぶことができず、最初はあどけないかわいいジャンプだ。小笠原の海で、幼いクジラは生きる知恵や方法を母親から学ぶ。そして5月中旬には、北の海へと戻っていく。

表紙のことばザトウクジラのこども(小笠原諸島)

人工知能特集

2016APRIL4

Case Study

ジーシーシーAP8800E

岩国市ADWORLD 戸籍総合システムFrontier Report

リボルバーはいたっく2016年4月号本印刷物は、Adobe社Acrobatにより作成した PDFです。All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 2: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

4

2016年4月1日 通巻587号株式会社日立製作所ICT事業統括本部 コーポレートコミュニケーション本部 TEL(03)5471-8900(ダイヤルイン)〒140-8572 東京都品川区南大井六丁目27番18号      日立大森第二別館株式会社日立ドキュメントソリューションズ

発 行 日発  行/お問い合わせ

印 刷

1 はいたっく 2016.4

2016 APRIL

C O N T E N T S

日立の取り組み2 人と協調し、社会を変革していく人工知能

Case Study日立メインフレームと他社製オープンプリンタの連携を見据えた取り組み株式会社ジーシーシー

11

使いやすさと充実したサポートで選ばれ続ける「ADWORLD 戸籍総合システム」岩国市

13 Case Study

特集:人工知能

Solution7 人工知能を既存システムに組み込み物流業務の生産性を8%向上

9ソーシャル連携で、インターネットによる情報発信の可能性を広げる

株式会社リボルバー

フロンティアレポート Vol.27

http://www.hitachi.co.jp/hitac-magazine/

本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しています。

「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。ダウンロード後、下記パスワードにて解凍してお楽しみくださいパスワード:hitacweb

表紙写真「壁紙プレゼント」

はいたっく誌情報提供サイト

エンドユーザー視点で、金融機関に新たなサービスを提供日立のFinTech関連サービス

15 Solution

18 ニュースリリースダイジェスト/Information

 平素より弊社に対して格別のお引き立てを賜り、心より厚く御礼を申し上げます。

 弊社はこの4月より、従来のカンパニー制から、フロント機能を強化した12のフロントビジネスユニット(BU)とサービス&プラットフォームBUなどに再編しました。これにより、日立グループが推進してきた社会イノベーション事業を深化させ、その強みを生かすことをめざしてまいります。 なお、情報・通信システム部門は、ICT事業統括本部をはじめとした体制となり、今後もITを核として、金融、公共、産業・流通を含む全フロントBUと連携し、その事業を支えてまいります。

 新しい体制で、マーケットインをさらに徹底し、お客さまと社会の課題を解決する価値あるイノベーションを創出してまいります。 なにとぞこれからも、日立グループならびに日立の情報・通信システム事業をよろしくお願い申し上げます。

株式会社日立製作所 執行役専務システム&サービスビジネス統括責任者

兼 ICT事業統括本部長

塩塚 啓一スマートフォンやタブレット端末にも対応「はいたっくWeb」のご紹介

17 Topics

新年度のごあいさつ

制 作 スタッフ  編集長:稲見 浩 編集:広報部、竹内 文典子 デザイン:井澤 秀幸、岡村 尚之         ライター:白井 和夫、山田 一郎 カメラマン:千名原 敏男、井澤 広幸 校閲:萩原 明子

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 3: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

2はいたっく 2016.4

特 集

人工知能

人工知能(AI※1)とビッグデータが社会を変える原動力として認識されつつあります。すでにAIはビジネスや生活のさまざまなシーンで適用され、新たな価値を創造しています。データから最適な解を導き出すAI技術で世界トップクラスを走る日立は、“道具”としてのAI技術と関連ソリューションをそろえ、人々の夢と幸福をかなえていきます。

人工知能(AI※1)とビッグデータが社会を変える原動力として認識されつ

人と協調し、社会を変革していく人工知能

※1 Artificial Intelligence

人と協調して成果を引き出すAI

「人工知能」という言葉から人々が抱くイメージはさまざまです。「囲碁や将棋で名人を打ち負かすコンピュータ?」「人と会話できるロボットかな」「仕事をとられたりしないか心配」-なんとなく“人を超える”“人と対抗する”存在ととらえられがちなAIですが、便利で快適な暮らしの実現を支えている技術の一つとして、すでに私たちの生活に欠かせない製品などに適用されているのです。例えば、スマートフォンに問いかければ

すばやくアドバイスやコンテンツを表示してくれる「パーソナルアシスタント」、文字を入力する際によく使う言葉を提示する「予測変換」、ネット通販の「リコメンド」機

能、そしていま注目されているクルマの「自動運転」-そのバックグラウンドで働いているのは、すべてAIの技術です。遠い未来の技術と考えられていたAIは、自ら学んで能力を向上する「機械学習」の進化とIoT※2/ビッグデータ技術の進展により、その成長・発展を飛躍的に加速させています。「AIは人間と比較される存在ではありません。便利な“道具”の一つであり、一緒に知恵を絞ってくれる“相棒”と呼ぶべきでしょう。人が馬より速く走るために自動車や飛行機を使っているのと同様、AIは人に代わって膨大なデータを解き明かし、人が設定した課題にいつでも健気に答えてくれる。常に人と協調して成果を引き出すのがAIなのです」そう話すのは、日立のビッグデータとAI

の研究開発をけん引してきた株式会社日立製作所 研究開発グループ 技師長の矢野 和男です。矢野は、まだ世の中にビッグデータやIoTという言葉がなかった2000年代初めから、センサーネットワークやウェアラブルデバイスで人間活動をデータ化して自動収集する研究を開始。そこから得られたビッグデータを解析することで、ビジネスや社会生活を効果的に活性化させる数多くの知見を発見してきました。「従来のデータ分析システムは規定のプログラムの中でデータを処理しますから、どのような観点でデータを読むかの“仮説”を最初に作り、関係すると思われるデータを選んで分析する手法をとっていました。ところがデータが大量になればなるほど全体像が見えにくくなり、仮説を

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 4: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

3 はいたっく 2016.4

日立の取り組み

立てる糸口や、どのデータが関係してくるのかさえ掴めなくなってくる。そこで悩んだ末に“人間ではなくコンピュータに仮説を作らせたらどうだろう”と気づいたのです」(矢野)※2 Internet of Things

仮説を自動生成し、使うほど賢くなるAI

データから学習し、状況にあわせ自ら成長しつつ結果を出すシステムでは、以下の3原則に従うと、矢野は考えます。 原則1 アウトカム(目的)と入出力は人 間が定義する 原則2 ドメインや問題特有のロジック は入力不要である 原則3 既存システムに追加することで 動作できるこの3原則を満たすシステムとして、

日立はインプットされたデータから100万

個を超える大量の仮説を自動生成し、それから重要な要因を自動抽出、さらにそれを組み合わせて、どんな条件が整うとアウトカムが高まるかを特定、これらにより最適な判断を行う人工知能を開発しました。それがHitachi AI Technology/H(以下、H)です。「これまでのAIは、すべて特定目的で使うために作り込まれた“専用AI”です。それに対してHは、どのような用途にも使える“汎用AI”であることが大きな特長です。人が到達すべき目標と入出力データを定義するだけで使えます。いちいち仮説を立てる必要はありません」(矢野)最初に組まれたプログラムどおりに動く既存のAIは、パラメータの変更や機械学習で、ある程度は対応力を変化させることができます。しかしプログラムそのものを書き換えない以上、おのずと限界が出てきます。一方Hは、人間が定義したアウトカムとデータから学習し、状況に応じて自ら成長しつつ結果を導き出すことができます。具体的には、現場から上がってくる

データを分析し、利益、売り上げ、コストといったアウトカムに最適な結果を導き出すための解法(仮説を実装したプログラム)を、自動生成していくのです。

「さまざまな環境変化に対し、まだ見えない未来をどう作っていくか。私たちはそれをお客さまと一緒に考えていきたいと思っています。その際に重要なのは、ダイナミックな変化にどう向き合うかです。需要も供給も価格も、お客さまの好みも、人

や場所のタイミング、気候などによってどんどん変わっていきます。それを人間の経験や勘だけで判断し、迅速なシステム改善にまでつなげていくのは現実的には不可能です。ならば、データから日々 の環境変化をリアルタイムにくみ取り、状況に合わせて業務システムのプログラムを書き換え、発注量や要員配置、商品配置といった適切なアクションにつなげていく、あるいは施策の提示を行うのが、これからのAIの重要な役割になると考えています。さまざまな変化に対応し、使うほど賢くなるのが日立の人工知能なのです」(矢野)

ロボットが、わずか5分で “ブランコの達人”に

到達すべき目標と入出力データを定義するだけでHは本当に賢くなるのでしょうか。日立はAIの働きをわかりやすく理解してもらうために、Hをロボットの最適制御に適用した実験装置を作りました。テーマは「ロボットにブランコをこがせる」というユニークなもの。人が定義するアウトカムは「ブランコの振れ幅の最大化」、入出力データは、ロボットの動きをとらえるセンサーデータと、駆動装置となるアクチュエータの制御データとなります。ブランコに乗せられたロボットは、当初

ブランコのこぎ方をまったく知りません。Hはどう動けばいいのか試行錯誤し始めますが、最初はやみくもに動くためほとんど揺れない状態です。しかし少しでも

株式会社日立製作所 研究開発グループ 技師長兼 テクノロジーイノベーション統括本部人工知能ラボラトリ長博士(工学)矢野 和男

はんよう

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 5: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

4はいたっく 2016.4

人工知能

揺れた動作を学習し、いわゆる「こぐ」動作となり、その次にヒザを曲げて重心を動かす二重伸縮と呼ばれる技を生み出し、最後は普通の人を超えるこぎ方を獲得していきます。「この例からもわかるように、Hは過去の実績をフィードバックして進化し、賢くなっていきます。しかも学習スピードが非常に速い。やみくもに動いてから普通の人を超えるこぎ方まで、わずか5分程度。状況変化にいかに速く対応できるかがわかります。一般的な機械学習やディープラーニングと呼ばれる手法では、これほど短時間で結果を出すのは難しいでしょう。さらにHは“このような根拠があるので、こう判断しました”という定量的な数値も提示できます」(矢野)

データの奥底に眠る新たな可能性を見いだす

Hは、どのような業種においても適用することが可能です。これが“汎用”たる所以です。ある物流企業の倉庫管理

システムと組み合わせた実証実験では、作業の順番を入れ替えるだけで総作業時間を入れ替え前と比べて約8%短縮することに成功。また、あるホームセンターでは「顧客単価の向上」をアウトカムとして、POSデータや店舗スタッフのシフト情報、店舗設備の配置などのデータを収集し、お客さまの買い回り動線とともに分析した結果、「店内の高感度スポットに店員を重点配備する」という施策によって顧客単価平均約15%アップを実現しました。さらに大規模プラントにおいても、運転ログの分析から機器操作に関する人の工夫を学習し、高効率な運転による運用コストの最適化に貢献しています。これらHが考えた施策は、それぞれの業務分野の専門家でさえ発想できなかった仮説に基づいたもので、いかにAIという存在が、膨大なデータの奥底に眠っている新たな可能性を見いだす力を持っているか、が証明されたものと言えるでしょう。

またHは、現場担当者の経験則による

工夫や改善が加わって生まれた結果を、再び取り込んで解析することで、より高い効果を生み出す結果を選び出し、次の業務指示に反映していくこともできます。人とHが相互に協力し合うこの繰り返しが、業務効率を継続的に高めていく重要なポイントとなるのです。現在この継続的な改善はまだ研究段階ではありますが、大きなポテンシャルを秘めています。Hを適用して企業の経営課題解決

を目的としたコンサルティング後に「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を利用することで幅広い業種で多くの実績を上げ始めています。「今後のビジネスイノベーションの世界で“人”が勝負する相手は“AI”ではありません。自分の経験や勘だけに頼る人と、AI+ビッグデータを活用する人という“人と人”との勝負になるのです」(矢野)

人間が幸せになることが基本要件

「アウトカムを的確に定義することが重ゆえん

ブランコをこぐロボット

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 6: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

5 はいたっく 2016.4

日立の取り組み

要です。AIはこのアウトカムに基づき判断することになりますので、人が持てる力を発揮し、活性化している状態では、幸福感が高まります。逆に、せっかく持っている力を出しきれない不活性な状態では、人に不全感が残ります」(矢野)組織全体として活性化した状態を創

ることは、生産性の高い組織づくりには欠かせません。日立は、名札型ウェアラブルセンサーによる身体運動のデータを活用して集団の幸福感(ハピネス)を計測する技術を開発し、これによって計測した指標を「組織活性度」と呼んでいます。これをAIに入力することによって、どんなコミュニケーションのとり方や時間の使い方をすれば、自分と周りの活性度を上げ、自分もハッピーになれるかをAIが教えてくれます。あるコールセンターでは、ウェアラブル

センサーからのデータも含めたAI活用で

業績向上に成功しています。具体的には 、名札型のウェアラブルセンサーを従業員につけてもらい、どのようなコミュニケーション状況や時間の使い方が、従業員の幸福感を高めるかをAIに日々解析させました。その結果、スーパーバイザーが誰に声かけをするのか、AIがデータに基づき日々 アドバイスすることで、組織活性度が増し、受注率が約27%も増加したことが確認されました。同様の事例は、三菱東京UFJ銀行や

日本航空でも実施されており、今後は組織活性度をもとにした生産性の向上施策に生かされていく予定です。

デジタルトランスフォーメーションをトータルに支援する日立

いま世の中では、SNSやIoT、ウェアラブルデバイスなどから集められた情報を

ビッグデータとして、AIなども活用した高度なアナリティクスにより、新しいビジネスモデルの創造や組織パフォーマンスの最大化、マーケティングの高度化などにつなげていく「デジタルトランスフォーメーション」への期待が高まっています。そのイノベーションを後押しする重要な役割を果たすのが、AIとビッグデータ、お客さま個別の業務課題とデータの相関性を読み解くアナリティクスの知見や技術です。もちろん、お客さまの経営課題にはさまざまなパターンがあり、解決法もそれに合わせて選ぶ必要があります。例えば、いまだ顕在化していないニーズや課題を明確にしつつ価値創造を図りたいという場合には、人間の暗黙知の見える化やプロジェクトの推進に向けた関係者の合意形成を行う価値協創手法「Exアプローチ」などの人間系手法が有効です。

また、多種多様なビッグデータを、一定の仮説のもと多様な切り口から分析したい場合には、データ統合から活用までを短いサイクルで実現するデータ統合・分析基盤「Pentahoソフトウェア」などが役立ちます。一方、仮説の想定が難しい課題にこ

そ人工知能が適しています。Hは一見無関係にも思える膨大なデータの中から最適解を見つけ、人の経験からでは見いだせなかった思いも寄らない関係性を仮説設定なしに発見することができるからです。将来的には、日々 変化する経営環境に合わせて柔軟にシステムを成長させることができるようにもなるでしょう。

人工知能の処理の流れ

アウトカム・利益、生産性・売り上げ、コスト

流通・店員配置最適化

物流・倉庫作業最適化

プラント・運用コスト最適化

行動・来店・取り引き ・購買

運営・従業員 ・作業・能力

業務環境・レイアウト ・商品配置

入力データ 人工知能 最適化施策

自動解釈

数十万の特徴量

方程式:アウトカム=f(x)

施策

入力データの自動解釈と、組み合わせ生成

アウトカムに関連する特徴量の絞り込みと、関係式の導出

目 的

特 長

アウトカムと、アウトカムに関連するお客さま、運営、業務環境などのビッグデータの関係を自動的に算出する入力データを組み合わせ、データに埋もれた特徴を顕在化させる

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 7: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

6はいたっく 2016.4

人工知能

(株)日立製作所 研究開発グループhttps://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp

■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/rd/

お問い合わせ先

「企業は固有の歴史や文化を背景に、業界内の立ち位置に応じた独自の強さ、利益を生み出せる場所というものを必ず持っています。経営環境が変化するなか、経営者たちは、その場所を探し出すため日夜努力しているわけですが、世の中や業務を映し出す大量のデータの中に必ず答えは潜んでいます。私たちはそうしたお客さまの未来の可能性を一緒

に探し出し、実現していくパートナーとなるために、これからもHの機能強化と適用シーンの拡大に力を注いでいきます」(矢野)企業や社会のイノベーションを支える

デジタルトランスフォーメーションでは、現実世界とデジタル世界(現実世界を投影したデータで解析・シミュレーションを行う世界)の相互循環が、ビジネスの成

長と競争優位を支える価値を生み出していくと考えられています。日立は双方の世界に対し、幅広い事業ドメインで培った業務ノウハウとビッグデータの蓄積・活用、AIやアナリティクス、それを支えるITプラットフォームのトータルソリューションで、お客さまのビジネス変革を力強くサポートしていきます。

日立が開発した人工知能 Hitachi AI Technology は、これからどのような価値を生み出していくのか、その具体的な事例や将来に向けた新技術などをピックアップしました。

三菱東京UFJ銀行で生産性向上に向けた取り組みを支援(2015年9月25発表)

さまざまな現場活用 進化し くさまざまな現場活用で進化していくAI

国内の金融機関では、新しい商品・サービスの迅速な提供やお客さま対応業務の品質向上、行員のワークスタイル改革に向けて、人工知能技術など最先端クラスのICTの金融業務への適用が検討されています。日立は、三菱東京UFJ銀行において、業務中に装着した名札型のウェアラブルセンサーから、体の動きに関するデータを収集し、組織の生産性との相関性が高い「組織活性度」を算出。同時に、行員のコミュニケーションとその頻度、業務の継続時間などに関する

データも計測し、職位や年齢などの属性、懇親会などの行事の有無と関連づけた分析を行い、組織活性度に与える影響が大きい要素と、その影響度を定量的に算出しました。今回活用した人工知能技術は、さまざまな種類のビッグ

データをもとに、業務の生産性や業績の向上といった組織の大きな目的と関連する事象や条件の組み合わせを自動的に抽出するもので、目的の達成につながる具体的な仮説と改善施策の立案に貢献します。

人とコンピュータの論理的な対話を実現するAI技術(2015年7月22日発表)

賛否が分かれる議題について、人と人工知能は対話できるのか-その難しいテーマに応えるため、日立は東北大学大学院情報科学研究科の乾・岡崎研究室の協力のもと、大量のテキストデータを解析し、賛否の根拠や理由を提示する技術を開発しました。具体的には、定評のある英文のディベート・データベース

から、人やコミュニティが賛否を判断する基準にしている健康や経済、治安などの「価値」をリスト化。それぞれの価値と深い関連がある単語を自動抽出し、その価値に対してポジティブか、ネガティブかを振り分けた「価値体系辞書」を作成しま

した。例えば「健康」という価値に対し、「運動」という単語はポジティブ、「肥満」はネガティブに振り分けます。そしてこの辞書をもとに、ニュース記事のテキストを解析し、より確実性の高い根拠や理由を抽出。複数の価値を基準とすることで、一つの視点に偏ることのない根拠や理由を提示します。これは人と論理的に対話できるAIの実現に向けた基礎技術となるもので、将来的には企業が持つ文書や公開されているレポート、病院の電子カルテなどを解析し、業務を支援するデータや意見を生成するシステムへの応用が期待されています。

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 8: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 これからの業務システムは、人工知能(AI※1)という革新的なツールと連携することで、今までにない柔軟性とスピードを手にすることができます。その端緒をひらいていくのが、日立の人工知能Hです。 ここで、一般的な業務システムとはどのようなものなのかを改めて考えてみましょう。多くの業務システムは、あらかじめ業務に合わせて設計されたプログラムに従って動作しています。構築時には、事前に想定した繁忙期や閑散期など季節要因による需要変動などを取り込んで設計されますが、短期的な天候不良や突発的な需要増加などには対応することができません。また、現場の作業者の工夫や改善活動をシステムに反映するにはプログラムの書き換えが必要なため、頻繁な更新は難しいのが実情です。 しかし経営環境の変化に即応し、コスト最適化や効率改善への取り組みを今以上に強化していかなければ、厳し

い競争を勝ち抜いていくことはできません。そうした限界を打ち破る可能性を秘めているのが、日々システムに蓄積されている業務ログや業務実績などのビッグデータと、その分析力を競争優位に変換できるAIの活用です。 「Hは、人が定義した目的とデータから、仮説レスですばやく適切な業務指示を導き出します。また、その結果を自ら取り込み学習することで、日々継続的に進化していきます。既存の業務システムと連携すれば、指示に対して現場の作業者が独自に行った工夫や改善も業務ログや実績データからきちんと理解しますし、メディアに露出して急に注目が集まった商品などの需要変動にも、プログラムを自動で書き換えて迅速に対処することができます。この柔軟性とスピードが、既存施策の限界を乗り越え、さらなる利益向上や時間短縮を実現していくのです」と語るのは、Hの開発に携わった株式会社日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ プロジェクトリーダ 主任研究員の嶺 竜治です。 Hと業務システムとの連携が、実際の業務でどのような効果を生み出せるのか。日立はある物流企業の倉庫管理システムにHをアドオンし、集品(ピッキング)作業の効率化を図る実証実験を行いました。

 物流倉庫には発注にともなう出荷

オーダーが日々大量に寄せられます。特にネット通販全盛の今は多頻度、多品目、小口化が進み、対象となる商品を棚からピッキングしてカートに積み、箱詰め・出荷するまでには多大な手間と時間がかかります。今回の事例では、めまぐるしい需要変動に対応しながら、このピッキングにかかる総作業時間をいかに短縮できるかが大きなテーマとなりました。 「既存の業務システムでは、その日のオーダーに合わせた作業内容を記した集品指示書がプリントアウトされ、作業員はそれに従って倉庫内で作業します。この倉庫内の作業時間を短縮するため、Hに、アウトカム(目的)である“総作業時間の短縮”に業務実績データが、どのようにどの程度影響を与えるのかを分析させました。その結果、ある特定の時間帯における、ある特定の場所での作業指示が増えると、総作業時間が増えることが分かったのです。これは、指示通りに動くと、同じ場所にカートが集中して混雑を招く非効率な状態が頻発していると理解することができます。そこで、作業する順番を入れ替えてカートの混雑をなくすという非常にシンプルな解が導き出されたのです」(嶺) 例えば、3番目と8番目のカート作業の順番を入れ替えるとトータルの作業時間はどうなるか、4番目と6番目を入れ替えればどうかといったシミュレーションをHはひたすら繰り返します。至近の業務データだけでは偏りが出てしまうため、

7 はいたっく 2016.4

日立が開発した人工知能 Hitachi AI Technology/H(以下、H)は、既存システムに組み込むことにより、企業の業務システムに日々蓄積されるビッグデータから需要変動や業務現場の改善活動を理解し、適切かつ柔軟な業務指示を行うことができるポテンシャルを秘めています。その特長と効果を、物流業務に適用した先行事例をもとに、開発者が詳しくご紹介します。

人の工夫を理解して業務指示に反映

分析力を競争優位に変換できるAI

※1 Artificial Intelligence

嶺 竜治

株式会社日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ プロジェクトリーダ 主任研究員

Solution

人工知能を既存システムに組み込み物流業務の生産性を8%向上

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 9: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

存の業務プロセスを変えることなく、システム変更などの追加投資も必要ありませんでした。 「もちろんHが提示する改善施策は、倉庫の広さやレイアウト、扱う商品の違い、作業員の数やスキルなどの環境によっても変わってきます。そうであったとしても業務システムにAIを組み込み、膨大なデータの中に潜む複雑な関係性を発見することで、今まで思いつかなかった新たな施策が出てくるのは間違いありません」(嶺) Hがさまざまな形式のビッグデータを迅速な分析に生かすため、日立はこれまで専門家による仕分けが必要だったデータ種別(数値、文字、記号など)を自動判別して、人の手を介さずすばやく取り込み、タイムリーに業務指示へ反映させる機能も新たに開発しています。これにより、さまざまな業務システムと柔軟に連携し、早期に効果を生み出すことができる見込みです。

 また、お客さまの業務システムとHを連携し、最適な業務プロセスを実現していくには、業務分野ごとのAI適用のベストプラクティスや、システム内容・規模に応じたエンジニアリング力などが必要となります。 「その点、日立は幅広い事業ドメインを持っているため、事前検証の場が豊富にありますし、AIと連携した業務システムの構築、情報を集めるIoT※2/ビッグデータ関連技術もトータルに提供することができます。他社にはないこの強みを生かして、金融、交通、製造、ヘルスケア、公共などのお客さまに対しても、人とAIがともに成長し合えるシステム環境を提供していきたいと思います」(嶺) 日立は、今後も人工知能を活用したお客さまの新たな価値創出を支援していきます。

お問い合わせ先

(株)日立製作所 研究開発グループhttps://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/rd/

8はいたっく 2016.4

物流倉庫作業への適用

過去数か月分の業務データも使い、どの時間帯に作業員が集中するかをマクロに考察。さらに天候不良や突発的な需要変動があった場合には、似通った業務状態の過去データを選択・学習しながら、業務システムのプログラムを逐次更新。さまざまな環境変化を考慮して、常に適切な業務指示が出せる状態をキープしていきます。 「現場では、複数の作業をひとまとめに行った方が効率がいいとか、目的地別のトラックに積み込む時間を考慮して作業の順番を入れ替えようなど、各人がそれぞれ創意工夫した改善施策が行われています。Hはこうした人の工夫も取り込み、より適切な業務指示へと反映していきます。これを繰り返すことで、1日平均8%もの作業効率改善を確認しました」(嶺)

 今回Hが導き出した改善施策は、既

人とAIがともに成長し合えるシステム環境

※2 Internet of Things

集品指示書

物流倉庫内の集品作業

カート投入順序を人工知能で最適化して集品指示書を発行

物流倉庫での集品作業において、人工知能を投入/作業時間が何%短縮することができるか実証

入 力/集品作業指示データ、集品作業実績    データ出 力/集品作業効率は、特定の作業時間帯に    おける特定の場所の棚の混雑度と高    い相関を持つ最適化/導出した作業効率モデルをカート    割り当て業務システムに組み込み、    カート投入順序の最適化を実施結 果/人工知能を使わない場合に比べ、    8%の作業効率改善を確認

人工知能

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 10: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 株式会社リボルバー(以下、リボルバー)は、インターネットによるコミュニティ運営や情報発信するための「メディアプラットフォーム」を個人や企業・団体向けに提供するベンチャー企業として、2012年に設立されました。 リボルバーは、月間1,000万PVある自社メディアを持っているなど、サイト運営だけでなく情報発信についても

熟知している、日本では珍しい「プラテシャー」※カンパニーです。 現在、個人・企業を問わず簡単にオリジナルブランドのメディアやコミュニティを構築できるソーシャルネットワークプラットフォーム「Revolver.jp」、モバイルとソーシャル拡散に最適化されたオウンドメディアを容易に運営できるプラットフォーム「dino」を提供しています。

9 はいたっく 2016.4

東京都渋谷区

今回の訪問先

株式会社リボルバー

ソーシャル連携で、インターネットによる情報発信の可能性を広げる

リボルバーの社名は、シンプルかつ堅ろうな構造で壊れにくい回転式銃にあやかったもの。弾の入っていないロゴには、コンテンツを作成するお客さまが弾をこめ、同社がその発信(発射)をお手伝いするという意味がこめられています

リボルバーがオフィスを構える東京都渋谷区広尾の事務所ビル

リボルバーの提供するソーシャルコンテンツネットワーク「dino」は、モバイルでも快適に閲覧できる「レスポンシブWeb」デザインを採用、さまざまな企業・個人がオウンドメディアとして活用しています

27

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 11: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 リボルバーが力を入れているのが、2015年からサービスを提供しているオウンドメディア・プラットフォーム「dino」。オウンドメディアとは、自らが所有するメディアを意味する言葉で、自社所有のWebサイトやブログ、自社発行の広報誌などがそれにあたります。また近年、消費者とダイレクトな関係を築くことができるメリットが注目され、オウンドメディアをマーケティングに積極的に活用する企業が増えています。リボルバーが提供する「dino」は、ごく短期間かつ低価格でマルチデバイス対応

のオウンドメディアを立ち上げることが可能で、ソーシャルメディアで拡散・検索されやすい構造的なコンテンツを作成できるのが特長です。 リボルバーは、Webマガジンの創刊など、メディアビジネス事業にも乗り出しました。「dino」を基盤に、企業のオウンドメディアとして運営するスポンサードメディア、提携企業と共同で運営するコラボレーティブメディア、リボルバーのブランドとして運営するセルフメディアの3種類を展開中です。コラボレーティブメディアではオートバイとファッ

ションをテーマとし「LAWRENCE(ロレンス)」を運営しているほか、スポンサードメディアでは本誌「はいたっく」のWeb版も2016年3月からdino上で運営されています。 独創的なソーシャルテクノロジーを強みに、今後はアジア進出も視野に入れているというリボルバー。利便性の高いメディアプラットフォームの開発・運営を通じて、Webメディアの世界をさらに私たちの身近なものにしてくれるはずです。

10はいたっく 2016.4

株式会社リボルバー所 在 地設 立事業内容

東京都渋谷区広尾5-8-112012年7月オウンドメディア・プラットフォームの開発と運営/メディアビジネス事業

東京都渋谷区

拠点DATA

「モバイルファーストをモットーに、人と人とがよりつながりやすいメディア環境の実現に挑んでいきます」

さん

27

http://www.revolver.co.jp/

CEO

小川 浩 さん代表取締役CEO

 当社の目と鼻の先ほどの場所に広尾公園があります。昭和44年まで都電の車庫があったそうです。普段は、遊具やキャッチボール広場、ベンチなどの施設があるごく普通の公園。しかし、春の訪れとともに桜が咲き誇り、花見にぴったりの場所に変身します。8階のオフィスから見える広尾公園と通りの桜は、モニターばかり見ていることが多い私たちをなごませてくれます。

事業の拡大に伴い、リボルバーのメンバーは2014年より広尾のオフィスに集結し、クリエイティブな環境の下で働いています

2015年、東京ビッグサイトで開催されたコンテンツマーケティングEXPOでは、オウンドメディア・プラットフォーム「dino」を出展・紹介しました

自社メディアの制作など、メディアビジネス事業にも活用するため、オフィスには撮影スタジオを設置しています

コラボレーティブメディアのひとつ「LAWRENCE(ロレンス)」は、20代から40代の男性をターゲットにしたWebマガジンです。すでに月間200万PVに達しています。

私たちの職場周辺はこんなところです!

プラットフォームビジネス事業部 エグゼクティブスタッフ

国府田 安輝子

スマートフォンやタブレット端末など、デジタルデバイスが普及するに伴

い、従来のようなコンテンツの見せ方では消費者に受け入れられにくくなっています。また、ソーシャルメディアが広がり、その存在は無視できません。当社ではこうした状況を踏まえ、マルチデバイス対応や多言語サポートをはじめ、消費者が望むメディアプラットフォームの運営・開発に取り組んでいます。誰もがスマートフォンで情報収集をする時代、「モバイルファースト」がますます重要になってくるはずです。個人と個人はもちろん、消費者と企業をつなぐため、誰もが満足する「モバイルファースト」なメディアプラットフォームの実現をめざしていきます。

静かで穴場のお花見スポットなんですよ! す」」

※ プラットフォームとパブリッシャーを合わせた造語

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 12: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 1965年、「地方公共団体の行政効率向上による地域社会への貢献」という事業目的を掲げ、北関東初の情報処理専門企業として誕生した株式会社ジーシーシー(以下、ジーシーシー)。自治体業務に特化した多様な情報サービスを50年以上にわたり提供し続けてきたジーシーシーは、その豊富な経験と実績、変わらぬクオリティによって、首都圏を中心とした全国の自治体から高い評価を得ています。 「近年は、地方自治体の多様な業務に対応する自社開発の『自治体ERPパッケージシステム e-SUITE』が好評です。高いセキュリティとファシリティを備えたデータセンターを基盤に、e-SUITEサーバのホスティングやハウジング、さらには自治体業務のデータ入力から印刷、封入封かんまでを一括で担う受託処理サービスなどを展開しています。その受託処理の中核システムとして長年にわたって活用しているのが日立のメインフレームです」と語るのは、データセンター 部長の堀江 啓一氏です。納税・保険・医療費などの通知、投票所入場券といった大量印刷のバッチ処理は、まさにメイ

ンフレームが得意とする分野。「納期遅れや印刷品質が厳しく問われる自治体向け業務では、日立メインフレームの信頼性と可用性が欠かせません」と、データセンター運用1G 担当課長の飯塚 隆氏は付け加えます。 しかし、近年の受託印刷の傾向について「既存のプリンタが対応する一般的な用紙に加え、薄手のプラスチックカードやシーラー(圧着紙)など特殊用紙への印刷や、ロットの少ない小規模印刷の注文が増えてきたのです。自治体では地元の業者さんから用紙を調達するケースが多く、当社側で紙を選べない状況が少なくありません。そのため、熱が発生するヒートロール定着型だけでなく、常温で多様な用紙に印刷できるフラッシュ定着型や、複写帳票に対応するインパクト型プリンタの導入が必要となりました」と変化が現れてきたことを堀江氏は語ります。

 この課題に対して日立は、レンタル方式で提供していたエンタープライズサーバ「AP8000」から「AP8800E(VOS3/US)」への定期リプレースに合わせ、将来的にはキヤノンのオープン中速プリンタ(フラッシュ

定着型)と日立オープンラインプリンタ(インパクト型)をメインフレームと連携させる新たなシステム構成を提案。まずはAP8800Eの帳票データをオープンプリンタ向けに変換するミドルウェア「PRINT DATA EXCHANGE」と、その基盤となる統合サービスプラットフォーム「BladeSymphonyBS500」、印刷スプールの容量拡大に向けたストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform」(以下、VSP)を新たに導入し、AP8800EとBS500の双方から各種オープンプリンタとストレージ、テープライブラリ装置(LTO※1)などを共有できる新環境を構築しました。 「特殊用紙に対応したキヤノンの中速プリンタが導入できたため、受託印刷の適用範囲が大きく広がりました。一般帳票への大量印刷は従来どおりメインフレームとつないだチャネル高速プリンタ、オープンシステムであるe-SUITEからの印刷はオープン高速プリンタやオープンラインプリンタ、そして特殊用紙や小規模印刷はキヤノンの中速プリンタというすみ分けです」と語るのは、データセンター運用1Gの福田 靖也氏です。またデータセンター運用1G 課長代理の長谷川 浩一氏も、「課税明細書など複

11 はいたっく 2016.4

課題

受託サービスの適用範囲を拡大するため、他社製オープンプリンタを導入する必要があった

解決

日立の協力のもと、特殊用紙に対応したキヤノンのオープンプリンタを導入。多様な印刷ニーズに対応する環境を整備した

効果

メインフレームとオープンサーバでプリンタや周辺機器を共有。JP1による運用自動化も含め、ITコストの最適化と運用性の向上を実現した

株式会社ジーシーシー http://www.gcc.co.jp/

受託サ ビスの適用範囲 日立の協力のもと 特殊用紙に メインフレ ムとオ プンサ バでプ

日立メインフレームと他社製オープンプリンタの連携を見据えた取り組み

地方自治体の情報化をリードして50年

キヤノンのオープン中速プリンタを導入して日立プリンタと一元管理

Case Study

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 13: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 仮想MTLやLTOへのアクセス処理をAP8800Eのアクセラレートプロセッサで実行することで処理時間を短縮。結果としてプリント業務のパフォーマンスもこれまでより向上する効果が生まれました。 さらに改善策となったのが、統合システム運用管理「JP1」の製品を組み合わせた「統合コンソール」の導入です。統合コンソールはAP8800Eのコンソールメッセージとオープンサーバの稼働監視を1台のPCで行える仕組みで、ジョブの異常終了やシステムトラブル時にはパトランプやメールで通報が行われます。これにより1人のオペレーターでも負担がかからないメッセージの監視が強化できました。

 一連のシステム構築をサポートした日立に対して堀江氏は「長いおつきあいですの

で、日立さんは当社の業務内容を熟知されています。今回のシステム提案も当社が考えるビジネス拡大の核心に迫ったもので、非常に満足しています」と評価。また、「経験豊富なVOS3専門部隊の方々に支援していただき本当に助かりました。今後も他社製のプリンタやシステムの導入を検討していますので、引き続きスムーズな連携ソリューションの提案をお願いしたいですね」と笑顔を見せます。 「今後はより多様性を持ったプリンタ環境が求められてくると思います。また自治体のお客さまもマイナンバー制度の施行などで、より強固なセキュリティへの関心も高くなっています。既存サービスの安定稼働に加え、それらの新たな取り組みについても日立さんの支援やアドバイスが必要となるでしょう」と堀江氏は語ります。 その期待に応えるため、これからも日立はジーシーシーのビジネス拡大とさらなる信頼性の向上に向け、システム基盤の強化と

連携ソリューションの提案を積極的に行っていきます。

数ページにまたがる印刷をチャネル高速プリンタで行うと1ページごとに切り替え停止が発生しますが、PRINT DATA EXCHANGEで変換してオープン高速プリンタで印刷すると切り替えが発生せず、より高速に印刷できます。適材適所でプリンタを選べる、ムダのない環境が実現しました」と喜びます。 日立は、自社製品だけでなくキヤノンプリンタも含めたトータルな保守サポートを提供。これも「キヤノンプリンタの導入を後押しした大きなポイントだった」と福田氏は語ります。「サポート窓口が一元化されているのは非常に助かります。問い合わせのレスポンスも早いし、保守員の方も常駐してくださるので万一のトラブルで納品が遅れるという心配がない。今回もトラブルによるシステム停止もなく移行できたのは本当に心強い限りです」と飯塚氏は評価します。

 より高い処理能力を備えたAP8800Eへリプレースしたタイミングで、さまざまな運用機能の改善も図りました。その一つが、CMT※2による磁気テープ業務をVSPによる仮想MTL※3とLTOへ移行したことによる業務効率の向上です。 「仮想MTLとLTOは前回のシステムでも適用しており、段階的に業務への適用範囲を広げてきました。中間ファイルやバックアップ、ダンプ出力などの用途に使っていたCMTは今回すべて仮想MTLとLTOに移行し、お客さまとのデータ交換で使っていたCMTもファイル転送やDVDなどで代替することで、ようやく全廃できるめどがつきました。I/Oやテープ媒体マウント時間の削減によるバッチジョブの高速化に加え、5,600巻ほどあったCMTがLTO 60巻へと削減でき、磁気テープライブラリ装置のスペース削減にも貢献しています」と長谷川氏は語ります。

お問い合わせ先

HCAセンタ 0120-2580-12受付時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く)

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/AP/

所 在 地設 立資 本 金従 業員数事 業 内 容

群馬県前橋市天川大島町11251965年12月27日9,000万円590名(2016年2月現在)市区町村向けおよび県・公共団体向けソリューションの提供など

株式会社ジーシーシー

12はいたっく 2016.4

システム性能の強化と運用改善も実現

※1 Linear Tape-Open

※2 Cartridge Magnetic Tape※3 Magnetic Tape Library

ビジネス拡大にフィットした提案を高く評価

長谷川 浩一 氏 福田 靖也 氏堀江 啓一 氏 飯塚 隆 氏株式会社ジーシーシー

ジーシーシーの業務を支えるAP8800E

新たに導入されたプリンタ

ジーシーシーに導入されたシステムの概要

エンタープライズサーバ

エンタープライズサーバ「AP8800E」

アクセラレートプロセッサ搭載VOS3/US

FIBARC

ディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform」

仮想MTL

統合サービスプラットフォーム「BladeSymphonyBS500」

キヤノンのオープン中速プリンタ

テープライブラリ装置(LTO)

チャネル高速プリンタ

オープンラインプリンタ

JP1

オープン高速プリンタ

PRINT DATA EXCHANGE

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 14: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

 日本三名橋の一つとして知られる錦帯橋や、江戸時代の面影を残す岩国城など、美しい歴史的建造物を有する山口県岩国市。これまで100万人以上の利用客を迎えてきた空の玄関口・岩国錦帯橋空港は、2016年3月から羽田線の増便に加え、沖縄(那覇)線も就航するなど、観光やビジネスにますます便利になったことで注目を集めています。 その行政を担う岩国市役所は、2001年から、日立の「ADWORLD 戸籍総合システム」を使い続けてきました。 「戸籍という、非常にプライバシー性が高い個人情報を管理するシステムには、何よりも高い信頼性と、職員が戸惑うことなく使える操作性の高さが重要です。日立のシステムはその要件を満たしており、法改正に対する確実な対応はもちろん、リプレースのたびに機能強化と改善が図られていることにも大きな安心感を抱いています」と語るのは、情報統計課 電算班長の岡田 淳氏です。2006年3月に行われた8市町村

の合併の際にも、日立は旧市町村のデータを確実に統合し、岩国市の安定した戸籍業務の運用を支え続けてきました。 戸籍業務の現場で特に高く評価されているのが、見やすくわかりやすい画面デザインです。 「画面が届書と同じレイアウトになっているので、そのまま素直に入力できるのが便利ですね。初めて使った際も、操作に迷うことがほとんどありませんでしたし、色づかいも目に優しいと感じます。また相続人検索機能を使うと、相続に関する複雑な申請などにもスムーズに対応できます。さらに本籍人が管内で異動する場合に、身分事項を自動的に移記してくれる機能もあり、入力ミスの防止に役立っています」と市民課 記録班の水谷 倫子氏は評価します。

 「2015年8月のシステムリプレースでクライアントをWindows® 8.1に移行したのですが、OSに搭載された文字フォントも変更になったため、正しく漢字を表示させる操作に迷ったことがありました。そのときも日立戸籍アンサーセンタに問い合わせたところ、すばやく対応方法を教えていただけたのがうれしかったですね。高度な問題の解決ばかりでなく、操作方法がまだよく

13 はいたっく 2016.4

課題

リプレースにあたり、高い信頼性、拡張性と手厚いサポートで、確実な戸籍業務を継続したかった

解決

法改正への対応や「日立戸籍アンサーセンタ」のサポートが充実した「ADWORLD 戸籍総合システム」を継続利用

効果

従来の安心感はそのままに、リプレースに合わせ指静脈認証システムを導入し、セキュリティをさらに強化

岩国市 http://www.city.iwakuni.lg.jp/

「 従 心感

使いやすさと充実したサポートで選ばれ続ける「ADWORLD 戸籍総合システム」

信頼性と使いやすさで戸籍業務を支援

「日立戸籍アンサーセンタ」が手厚いサポート

指静脈認証による「ADWORLD 戸籍総合システム」へのログイン

Case Study

*PCの画面ははめ込み合成です

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 15: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

ICカードも候補に挙がりましたが、ログイン時にカードリーダーにかざすなどの一手間がかかるほか、自宅への置き忘れや盗難・紛失の可能性がないとはいえません。その点、指静脈は生体情報ですから忘れたり偽造されたりする心配がなく、装置に指をかざすだけでスピーディーに認証できるため、利便性も損なわない。セキュリティと業務効率向上を両立させる最良の選択だったと思います」と岡田氏は語ります。

 「住民サービスの向上を図るため、将来的にはマイナンバー制度を活用したコンビニエンスストアでの戸籍証明書の交付なども検討していきたい」と、情報統計課 電算班の穐本 憲一氏は語ります。「住民の皆さまのニーズがますます多様

化するなかで、自治体は常にその期待に応え、環境を整備していく責任があります。そのためには当然、戸籍情報システムや周辺システムの安定稼働と、より高度なセキュリティ対策、ネットワーク構成の見直しなども求められてくるでしょう。そうしたシステム面でのサポートに加え、自治体を取り巻く国の動向などの情報提供についても、官公庁や全国の自治体をユーザーとされている日立さんのノウハウとご協力が欠かせないと考えています」と岡田氏は期待を寄せます。 その期待に応えるため、これからも日立は全国の自治体の声を反映し、より使いやすくADWORLD 戸籍総合システムを進化させながら、自治体の将来にわたる住民サービスの拡充をしっかりとサポートしていきます。

わからない初任者に対してのサポートも充実していますので、トレーニング期間の短縮にも効果を上げています」と語るのは、市民課 記録班長の松井 美穂氏です。 操作方法や運用方法に関する問い合わせに専任スタッフが対応する日立戸籍アンサーセンタでは、お客さまからの質問内容をシステムで管理することで、スムーズな対応を行うほか、頻度の高い問い合わせ事例を「戸籍アンサーセンタ便り」で毎月お知らせするなど、きめ細かなサポートを展開。システムに問題が発生した場合は、担当SEが短時間で駆けつけられるよう、全国各地のサポート拠点に戸籍専門のSEを配置している点も、お客さまからの高い安心感につながっています。

 岩国市ではこれまでも、戸籍情報システム端末のセキュリティ対策として、ID/パスワードによるログイン認証に加え、ADWORLD 戸籍総合システムが備える「操作履歴ログ管理」によって、セキュリティモラルの向上と情報漏えいの防止に努めてきました。そして最新のシステムリプレースに合わせて導入されたのが、日立の「指静脈認証システム」です。 「戸籍は個人情報を扱う中でも最重要のシステムですから、以前からクライアント側のセキュリティを、より強化したいという思いが強くありました。そこで今回、日立の指静脈認証を導入しました。当初は

お問い合わせ先

(株)日立製作所 公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタhttp://www.hitachi.co.jp/pchannel-inq/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/app/adworld_koseki/

所 在 地人 口世 帯 数職 員 数

山口県岩国市今津町1-14-51139,671人(2016年3月1日現在)66,288世帯(2016年3月1日現在)1,065名(2015年12月15日現在)

岩国市

14はいたっく 2016.4

指静脈認証で戸籍情報システム端末のセキュリティを強化

住民サービスの向上を支える機能拡張も検討

水谷 倫子 氏 穐本 憲一 氏岡田 淳 氏 松井 美穂 氏岩国市

自治体システム

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 16: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

15 はいたっく 2016.4

エンドユーザー視点で、金融機関に新たなサービスを提供

日立のFinTech関連サービス最先端クラスのITを駆使した革新的な金融サービスを提供するFinTechが注目を集めています。日立はFinTech関連サービスの提供を通して、金融機関であるお客さまとの価値協創と、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいきます。

対象ユーザー

特 長

日立は、技術やシステムの提供にとどまらず、金融機関へ新たなビジネスモデルを含めたFinTech関連サービスを提案。独自技術の活用に加え、FinTech企業とのアライアンスを推進し、セキュリティや既存システムとの整合性を踏まえた高信頼なサービスを提供。

FinTechへの対応で、エンドユーザー指向の新しいサービスを検討されている金融機関。

なっています。

 日立はFinTechの本質を「金融機関に対して、エンドユーザー指向で新たな金融サービスを提供すること」だととらえています。つまり、技術やシステムの提供にとどまらず、金融機関へ新たなビジネスモデルを含めたサービスを提案することが、重要なポイントだと考えています。 さらに、日立は、独自技術の活用に加え、国内外のFinTech企業と積極的なアライアンスを推進しながら、セキュリ

ティや既存システムとの整合性を踏まえて、高信頼なFinTech関連サービスを提供していきます。

 日立は、FinTech関連サービスを次の4領域で提供し、これらのサービスを通して、金融機関であるお客さまとの価値協創と、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいきます(図1)。①インタフェース モバイル機器のユーザーインタフェース活用や、企業間でのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)※2連携による新サービスの提供②ビッグデータ 人工知能やロボットの活用による新

 最先端クラスのITと金融サービスを融合させるFinTech※1が国内外で大きな注目を集めています。FinTechとして提供されるサービスは、電子マネーなどを利用した「決済」、ネット経由で資金調達を行う「クラウド・ファンディング」、人工知能を活用した「投資支援」など多岐にわたっています。これまで金融機関自らが担っていたサービスに対して、異業種事業者やベンチャー企業が新たな価値を付加したサービスとして提供しているのが特長です。 特に決済領域では、個人の消費プロセスや企業活動において、多くのFinTech関連サービスが登場しており、金融機関にとっては、サービス競争の激化や、ビジネス機会の損失も含めた大きな脅威となりつつあります。こうした状況を踏まえ、金融庁も銀行法の改正による規制緩和を検討しており、金融機関にとっては「攻めの経営」に向けたFinTechへの対応準備と、利用者に新たな利便性や価値をもたらすことが急務と

FinTechへの対応が金融機関の課題に

日立のFinTechへの取り組み

※1 Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。最先端クラスのITを駆使した革新的な金融サービスやそれらを創出するための活動

図1 FinTech関連サービスを4領域で提供

金融機関

③ 金融インフラ

④ セキュリティ

エンドユーザー

日立

FinTech企業群

預金・融資・為替

株・投信

他社サービス 流通、公共…

投資支援

個人資産管理

決済

決済

運用

信用

ビッグデータ

保険

インタフェース

Solution

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 17: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

16はいたっく 2016.4

が期待できます。 なお、モバイル型キャッシュカードの情報はスマートフォン内の安全性の高い領域※5で管理し、不正なアプリケーションによる情報の搾取を防止するなど、高いセキュリティを確保していますので、安全な利用が可能です(図2)。

 これからも日立は、豊富なシステム構築ノウハウと独自技術の活用、国内外のFinTech企業とのアライアンス推進などにより、金融機関のお客さまとの価値協創と、新たなビジネスモデルの創造を支援し、事業の拡大に貢献していきます。

情報を、NFC※4対応のスマートフォン(AndroidTM 搭載端末)に格納し、モバイル型キャッシュカードとして利用できるようにするものです。 利用者は、金融機関が提供するスマートフォンアプリを使用して、現金の引き出しなど、希望する取引内容を事前に登録。営業店窓口やATMに設置された読み取り端末にかざすことで、取引を完了できます。これにより、キャッシュカードの携帯や、窓口取引での伝票記入・印鑑使用が不要となるほか、金融サービスの利用開始手続きが簡素化されるなど、利便性を向上することができます。 また金融機関にとっても、本サービスの普及によって物理的なキャッシュカードの発行・運用コストの低減に加え、伝票・印鑑レスによるペーパーレス化と照合作業の負担軽減、デビットカードの使用頻度向上といった、さまざまなメリット

サービスの提供③金融インフラ ブロックチェーン技術※3などを活用した新たな金融インフラの提供④セキュリティ 生体認証やサイバーセキュリティを活用した新サービスの提供

 FinTech関連サービスの第一弾として、新たな金融取引のスタイルを実現する「日立モバイル型キャッシュカードサービス」を提供します。 本サービスは、通常はキャッシュカード内に保管されている口座番号などの

■ 情報提供サイト   http://www.hitachi.co.jp/mobiliy-cashcard/

お問い合わせ先

図2 日立モバイル型キャッシュカードサービス全体像

(株)日立製作所 金融システム営業統括本部 事業企画本部 金融イノベーション推進センタhttp://www.hitachi.co.jp/finance-inq/

※2 コンピュータプログラムの機能や管理データなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約

※3 分散型台帳技術。複数拠点に分散されたサーバなどの通信機器に、それぞれ同一の記録を同期させて一つの台帳を維持する仕組み

新たな金融取引のスタイルを提供する「日立モバイル型キャッシュカードサービス」

※4 Near Field Communication:ISO(International Organization for Standardization/国際標準化機構)で規定された近距離無線通信の国際標準規格

※5 暗号化によってデータを保護し、耐タンパ性(解析や改ざんに対する耐性)を有する領域全般を指す。スマートフォン等に内蔵されているUICC(Universal Integrated Circuit)や、HCE(Host-based Card Emulation)を用いたクラウド上の領域などがある

容易な発行申請  NFC対応のスマートフォン(AndroidTM)

スマートフォンで 店頭で

モバイル型キャッシュカードの発行申請

金融機関

本人確認

発行処理

モバイル型キャッシュカード発行システム

モバイル型キャッシュカード

セキュア領域

NFC

発行(書き込み)

インターネット

アクセス許可

キャッシュカー

即時発行

さまざまな活用シーン

ATM混雑緩和

カード携帯不要

営業店印鑑レス

伝票記入レス

インターネット申込手続き不要

即時利用

インターネット

専用スマートフォン

アプリ

NFC

NFC

FinTech

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 18: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

17 はいたっく 2016.4

Topics

お問い合わせ先

(株)日立製作所 ICT事業統括本部 コーポレートコミュニケーション本部https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/general/jp/form.jsp

スマートフォンやタブレット端末にも対応

「はいたっくWeb」のご紹介

 このたび新しく「はいたっく」のWebサイトを公開しました。 PCだけではなく、スマートフォンやタブレット端末からでも最適な表示となる「レスポンシブデザイン」に対応。気になる記事のブックマーク、ソーシャルネットワークサービス(SNS)への投稿などがしやすい「ソーシャル連携」も特長の一つです。 ぜひ「お気に入り」に追加してご覧ください。 なお、従来の「はいたっく」サイトによるPDF掲載も引き続き行いますのであわせてご利用ください。

PCでの表示例

スマートフォンでの表示例

はいたっくWeb

http://www.hitac-magazine.ext.hitachi.co.jp/

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 19: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

18はいたっく 2016.4

ソフトバンクグループのPSソリューションズの農業IoTソリューション「e-kakashi」が、開発・製造パートナーである日立とともに、世界的に権威あるデザイン賞「iF DESIGN AWARD 2016」を受賞

慶應義塾大学と日立は、高度化・大規模化するサイバー攻撃に対するセキュリティ運用管理や個人情報の安全性に関連する技術の開発など共同研究を開始

慶應義塾大学と日立が「超スマート社会」の実現に向けたサイバーセキュリティ分野の共同研究を開始(2/29発表)

高精度に顧客の嗜好を推定できる独自の新技術を活用し、顧客の嗜好と実際に購入される商品の関係性を的確かつ継続的に捉え、その中から企業の施策立案で考慮すべきポイントを明確化し、レポートにまとめて提供

顧客の嗜好を分析・可視化し、商品企画や販売施策立案に貢献する「顧客インサイト分析サービス」を提供開始(3/3発表)

●本誌記載の内容について社外からの寄稿や発言は、必ずしも当社の見解を示しているわけではありません。画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります。

●本誌記載の他社登録商標※ Windows 8は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。※ Androidは、Google Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。※ SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。

※ その他本誌記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

Information

2016/2/11 ~ 2016/3/10の中から

ニュースリリースの一覧はこちらからご覧いただけますhttp://www.hitachi.co.jp/products/it/portal/news/

日立も参画する研究開発プロジェクト「Open Innovation over Network Platform」の成果として、広域ネットワーク上の資源を動的に確保するSDNの基盤技術を世界で初めて確立し、実際の広域な環境での検証も実施

世界初、広域ネットワークで安定した通信環境を提供するSDNの基盤技術を確立・検証(3/10発表)

農業IoT「e-kakashi®」がiF DESIGN AWARD 2016を受賞(2/22発表)

「SAP AWARD OF EXCELLENCE 2016」日立製作所が2部門で受賞しました 2016年3月10日、SAPⓇパートナー向けのコンベンション「2016 SAP Partners Summit Day」において、「SAP AWARD OF EXCELLENCE 2016」の受賞式が行われました。 1998年に創設された「SAP AWARD OF EXCELLENCE」は、SAPビジネスへの貢献度、先進的な取り組み、ならびにお客さま満足度などにおいて、極めて高く評価されたパートナー企業に授与される賞です。 日立製作所は、<プロジェクトアワード>で「優秀賞」と<SAP戦略ソリューション部門>で「Co-Innovationドライブ・アワード」を受賞しました。

http://www.hitachi.co.jp/sap/ht587/

詳しくはこちら

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.

Page 20: 人工知能 - Hitachi€¦ · 人工知能 ※1 Artificial Intelligence 人と協調して 成果を引き出すAI 「人工知能」という言葉から人々が抱 くイメージはさまざまです。

写真家 富井 義夫■Facebook 随時更新中 http://photo1.jp/facebook/

表紙写真「壁紙プレゼント」「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。詳しくは目次のページをご覧ください。

小笠原諸島は、東京から南南東へ約1,000km離れた太平洋上に位置する外海の島。2011年6月に世界自然遺産に登録された。この小笠原の海に12月から5月にかけて、無数のザトウクジラが集まる。出産し、子育てをするためだ。春先には、その年に生まれたこどもを連れた群れが見られるようになるが、この頃から子クジラは潜りや「ブリーチング」と呼ばれるジャンプの練習を始める。クジラのこどもは筋力が発達していないため、上手に跳ぶことができず、最初はあどけないかわいいジャンプだ。小笠原の海で、幼いクジラは生きる知恵や方法を母親から学ぶ。そして5月中旬には、北の海へと戻っていく。

表紙のことばザトウクジラのこども(小笠原諸島)

All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.