10
91 の被害となった。 2011 年タイ洪水の直接の原因となった のは,5 月から 7 月までに 5 つの台風が通過しの降雨で, チャオプラヤ川流域内のダムの貯水量が例年を上回る量 となり,その後も降雨量が平年を上回ったことである。 2011 年の降雨量は過去 50 年間で最大のものであったが, 同程度の規模の降雨はタイばかりではなく他の地域でも 今後起こる可能性があり,どのように洪水への対策を 行っていくかがタイのみならず世界各国での課題となっ ている。 これまでの洪水に関する一般的な研究としては,モデ 1 .はじめに 近年,世界中で洪水,鉄砲水,都市型降雨といった水 害による被害件数が増加している。中でも東南アジア地 域の各国では洪水による人的,経済的な被害が増大して いる。 タイでは,雨季に中央平原地域内でほぼ毎年チャオプ ラヤ川の洪水氾濫による被害を受けている。特に 2011 年に起きた洪水 (以下「タイ 2011 年洪水」) は中央平原 の南北約 500 km の範囲で洪水氾濫が発生し,過去最大 田島 朋樹 ・中山 裕則 ** Since the difficulty of field survey arises in grasp of the whole flood area spreading in the wide area, many of the investigations are carried out using the remote sensing data such aerial photographs and satellite images. Moreover, most former researches are only investigations of the spread of flooding, and the example which calculated the volume of flood water is few. This reason is based on the necessity for exact estimation of the water depth distribution within flooding area in calculation of the water amount of flood. In this study, the investigation of progress of the flood situation and estimation of flooding water volume for the Thailand 2011 Flood were carried out through the analysis of time series satellite data and DEM data. In actual analysis, flooding area distribution from August to December was first extracted by using time series Terra-Aqua/MODIS data and GMTED2010 data. Next, based on the extraction result of flood area distribution, the water volume of flooding in October 27 which showed the largest area was estimated. The estimated result of the water volume showed 0.240x10 11 m 3 , and the validity was verified by comparison with the calculation result derived from hydrological equation and flow observation data. From these viewpoints, the validity of the estimation method of the water volume of flooding developed and applied in this study was verified. Finally, based on analysis of the relation between estimated water volume of flooding and the cumulative precipitation of the rainy season, the estimated results of water volume at the time of precipitation increases 1.5 and 2.0 times which exceeded the 2011 flood indicated 1.414x10 11 m3 and 2.588x10 11 m 3 respectively. Keywords : flood, MODIS, DEM, water volume, hydrological equation, cumulative precipitation, verification 時系列衛星データによるタイ 2011 年の洪水氾濫分析 A Study on Investigation of Thailand 2011 Flood by Multi-temporal Satellite Data Tomoki TAJIMA and Yasunori NAKAYAMA ** Accepted November 11, 2015日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.51 2016pp.91 100 15 Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan Current affiliation: Kokusai Kogyo Co.. Ltd.** Department of Geosystem Science, College of Humanities and Sciences, Nihon University3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan 日本大学大学院総合基礎科学研究科平成26 3 月修了: 156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 (現国際航業株式会社) ** 日本大学文理学部地球システム科学科: 156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析...A Study on Investigation of Thailand 2011 Flood by Multi-temporal Satellite Data Tomoki TAJIMA* and Yasunori

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Page 1: 時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析...A Study on Investigation of Thailand 2011 Flood by Multi-temporal Satellite Data Tomoki TAJIMA* and Yasunori

─ ─91 ( )

の被害となった。2011年タイ洪水の直接の原因となった

のは,5月から 7月までに 5つの台風が通過しの降雨で,

チャオプラヤ川流域内のダムの貯水量が例年を上回る量

となり,その後も降雨量が平年を上回ったことである。

2011年の降雨量は過去50年間で最大のものであったが,

同程度の規模の降雨はタイばかりではなく他の地域でも

今後起こる可能性があり,どのように洪水への対策を

行っていくかがタイのみならず世界各国での課題となっ

ている。

これまでの洪水に関する一般的な研究としては,モデ

1.はじめに

近年,世界中で洪水,鉄砲水,都市型降雨といった水

害による被害件数が増加している。中でも東南アジア地

域の各国では洪水による人的,経済的な被害が増大して

いる。

タイでは,雨季に中央平原地域内でほぼ毎年チャオプ

ラヤ川の洪水氾濫による被害を受けている。特に2011

年に起きた洪水 (以下「タイ2011年洪水」) は中央平原

の南北約500 kmの範囲で洪水氾濫が発生し,過去最大

田島 朋樹*・中山 裕則**

Since the difficulty of field survey arises in grasp of the whole flood area spreading in the wide area, many of the investigations are carried out using the remote sensing data such aerial photographs and satellite images. Moreover, most former researches are only investigations of the spread of flooding, and the example which calculated the volume of flood water is few. This reason is based on the necessity for exact estimation of the water depth distribution within flooding area in calculation of the water amount of flood.

In this study, the investigation of progress of the flood situation and estimation of flooding water volume for the Thailand 2011 Flood were carried out through the analysis of time series satellite data and DEM data. In actual analysis, flooding area distribution from August to December was first extracted by using time series Terra-Aqua/MODIS data and GMTED2010 data. Next, based on the extraction result of flood area distribution, the water volume of flooding in October 27 which showed the largest area was estimated. The estimated result of the water volume showed 0.240x1011 m3, and the validity was verified by comparison with the calculation result derived from hydrological equation and flow observation data. From these viewpoints, the validity of the estimation method of the water volume of flooding developed and applied in this study was verified. Finally, based on analysis of the relation between estimated water volume of flooding and the cumulative precipitation of the rainy season, the estimated results of water volume at the time of precipitation increases 1.5 and 2.0 times which exceeded the 2011 flood indicated 1.414x1011 m3 and 2.588x1011 m3 respectively.

Keywords : flood, MODIS, DEM, water volume, hydrological equation, cumulative precipitation, verification

時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析

A Study on Investigation of Thailand 2011 Flood by Multi-temporal Satellite Data

Tomoki TAJIMA* and Yasunori NAKAYAMA**

(Accepted November 11, 2015)

日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要

No.51 (2016) pp.91-100

15

* Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan

(Current affiliation: Kokusai Kogyo Co.. Ltd.) ** Department of Geosystem Science, College of Humanities and Sciences,

Nihon University:3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan

* 日本大学大学院総合基礎科学研究科平成26年 3月修了: 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 (現国際航業株式会社) ** 日本大学文理学部地球システム科学科: 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

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田島 朋樹・中山 裕則

─ ─92( )16

ルによる氾濫域の予測結果と,現地調査記録および航空

写真や衛星画像データを比較した検証が多く行われてき

た。また,これら研究の中で,リモートセングを適用し

た研究事例は比較的多いが,このうち洪水氾濫時におけ

る氾濫水量を検討した研究事例は少ない。実際の防災対

策では,洪水氾濫域の面積と,その氾濫水量を把握し,

ダムの放水量の調整や都市の排水機能の向上を検討しな

ければならない。なお,タイ2011年の洪水は主に河川

水の増水による外水氾濫であるため,本論では特に「洪

水氾濫」と統一して記述する。

氾濫水量を算出するためには洪水氾濫域の面積と水深

の情報が必要となる。タイ国内では各地に河川の水文観

測所があり,河川水位の変動を記録しているが,洪水発

生時における氾濫域の水深の空間的分布を記録している

わけではない。また後述の過去の研究事例では,標高

データを用いて水深を算出したものがあるが,いずれも

現地の観測データを用いる必要があり,現地調査が困難

な広域を対象とし水深を算出したものはない。

本研究では時系列の衛星データとDEM (数値標高モ

デル) データを用いることで洪水氾濫域の水深を算出

し,洪水氾濫水量を推定することを試みた。具体的に

は,タイ2011年洪水における氾濫水量の推定を行い,

その後流域内の水収支に基づき推定結果の検証を行っ

た。最後に,推定洪水氾濫水量を適用した洪水特性の分

析結果による洪水リスクとその対策への提言を行った。

2.研究の背景

タイ2011年洪水は,7月にタイ中央平原の北部から洪

水氾濫が始まり,11月には約500 km南下したバンコク

近郊まで洪水氾濫が拡大した。この洪水氾濫によりアユ

タヤ県とバンコク近郊にある多くの工業団地が浸水被害

を受けた。これらの工業団地にはアメリカや日本等の精

密機器を扱う企業が多く進出し,工場を稼動させてお

り,世界的なデジタル機器の生産拠点となっていた。特

にコンピューターのハードディスクはタイが世界シェア

の4割を占めていて,浸水被害を受けたことによりハー

ドディスクの生産量が落ち込んだ。なかでも日系企業の

世界生産額は2010年に比べて約3,150億円減少したとい

う試算がある (清水,2012)。

このように大規模な洪水氾濫は被害国の経済損失だけ

ではなく,世界的な経済活動に影響を及ぼす。そのため

洪水氾濫の防災,減災などの対策による全世界的な取り

組みが求められている。

リモートセンシングを適用した大規模な洪水氾濫域の

抽出に関する研究はすでに行なわれていて,特に近年で

は2011年タイ洪水について扱ったものが多く,洪水氾

濫ピーク時から終息までの衛星画像の分析に基づき洪水

被害を減じる対策について論じた研究 (高崎,2012) で

は,Aqua/MODISデータを用いて1-CELL分類法にて洪

水氾濫域を計測し,2011年11月3日のバンコク周辺の

洪水氾濫域を9,600 km2と報告している。さらにこれよ

りタイの洪水対策としてダムの事前放流,保水能力の向

上,排水能力の向上が必要であるとの提言を行なってい

る。また,Aqua/MODISの 8日間合成データを用いて

洪水氾濫域を抽出した研究 (深見,2012) では,地表洪水

指標MLSWI (Modified Land Surface Water Index) を開

発し適用した結果,従来の指標に比べて水域検出精度が

高いことを示した。MODISデータの空間分解能500m

では都市域の水域抽出は難しかったため,ASTERデー

タ等の高い空間解像度を持つデータを補完的に利用する

ことで都市部の洪水氾濫域を抽出するという手法を示し

評価を行った。これらの論文に対し,光学センサデータ

は天候の影響を大きく受けるために,SARデータを用い

た補完手法の検討の必要性が示された。SARデータを用

いた研究事例 (大吉,2012) としては,航空機搭載のLバ

ンド合成開口レーダを用いてHV偏波から単純な閾値処

理によって浸水域の特定を行なったものがある。また

ASTERの可視近赤外画像とTerraSAR-Xの強度画像を用

いて浸水域の把握を行なった研究 (嶋,2013) では,SAR

画像により夜間や曇天時にも洪水氾濫域を特定すること

が可能であるが,建物の隙間の洪水氾濫域は鏡面反射し

たマイクロ波が建物にぶつかることで二回散乱となり,

逆に後方散乱が高くなる可能性も示されている。現在,

洪水氾濫域の抽出に関する研究は空間解像度の異なる光

学センサデータとSARデータを組み合わせて抽出を行

なうことが有効とされている。

しかし,洪水氾濫域の抽出に対し,洪水氾濫水の総量

である氾濫水量を取り扱った研究事例は少ない。氾濫水

量を算出するには洪水氾濫域の水深を推定する必要があ

る。これまでDEMデータを用いて洪水氾濫域の地形か

ら水深を推定した研究が複数報告されている。タイ2011

年洪水の氾濫水量について多時期の衛星データと標高

データを用いて推定を行なった研究 (Preesan, 2013) で

は,Radarsat-1とRadarsat-2のSARデータを用いて抽出

した洪水氾濫域に,現地標高データ,タイ王立灌漑局の

水位観測所の水位データから算出した水深を適用して,

不整三角形網 (TIN:Triangulated Irregular Network) に

より時系列で氾濫水量の推定を行なった。この論文では

氾濫水量が最大となったのが10月中旬でおよそ150億m3

であったという結果を報告している。またMODISの8

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時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析

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4.2 対象領域の洪水概要

2011年タイ洪水は中央平原地域で 7月末から12月ま

で洪水氾濫が続いた。2012年1月20日の発表では死者

が815人,被害総額が3,281億バーツ (約8,500億円) に

なった (タイ内務省,2012)。2011年は 6月から 7月にか

けてHAIMA台風とNOCK-TEN台風の影響によりタイ

全土が大雨に見舞われ,月降水量が過去30年間で最大

となった。この結果,7月にチャオプラヤの支流のヨム

日間合成データとSRTM-3から作成された地形水文デー

タであるHydroSHEDSを用いて,洪水氾濫水量の推定

を行なった研究 (Kwak, 2012) では,洪水氾濫発生時の

水位と正常水位 (NWL:Normal Water Level) の差を水

深として,10月18日から25日の氾濫水量の推定を行

なった。その結果,洪水氾濫域の中で洪水水位が0.1m

~0.5mの場所の面積は1,200 km2で氾濫水量は0.5億m3

と報告しているが,洪水氾濫域全域の氾濫水量は示して

いない。

現在,洪水氾濫水量に関する研究は,モデルを用いた

場合,流域内の各地点の降雨量,河川の流量,河川水位

の変化等の継続的な現地観測データが必要となる。リ

モートセンシングを適用した前述のような既存の研究事

例では,現地観測データに加えて高精度なDEMデータ

やSARデータを用いることで推定を行なっている。こ

のような現地観測データは必ずしも洪水氾濫が発生した

地域において整備されている訳ではなく,むしろデータ

が整備されていない地域であるケースが多い。既存の手

法では上記のようなデータが揃わない場合,洪水氾濫水

量の算出が難しい。そのために現地観測データに頼ら

ず,世界中を網羅するようなリモートセンシングデータ

に基づき洪水氾濫水量を求める手法を考案することが課

題となっている。

3.研究の目的

本研究の目的は,時系列衛星データとDEMデータを用

いてタイ2011年洪水の洪水氾濫水量を算出する手法を

開発し,実際に氾濫水量を算出して,洪水状況について

議論することである。特に,最後で,氾濫水量推定算出

量に基づき,本開発手法による対象地域の洪水状況とそ

の発生要因の分析,ならびに今後の洪水リスクの分析と

対策への本成果の適用の可能性について言及する。

4.研究の方法

4.1 研究方法の概要

本研究ではまずTerra・Aqua/MODISデータからタイ

2011年の洪水の発生から終息までの洪水氾濫域を時系

列に抽出した。それらから洪水氾濫域を時系列に区分

し,DEMデータを用いて洪水氾濫域の水深の推定を行

なう。さらに推定水深から氾濫水量を算出し,流域内の

水収支を考慮した推定結果の検証を行った。得られた結

果から,タイ中央平原における2011年の洪水状況とそ

の発生要因の分析を行い,洪水対策への提言も行った。

図 1に本研究の概要を示す。また,図 2に本研究の対象

地域の主要な都市,河川とダムの位置を示す。

図 1 本研究の概要

図 2 タイ中央平原の河川とダムおよび主要都市の位置図

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田島 朋樹・中山 裕則

─ ─94( )18

sponse System (NASA,2015) と,LAADAS web (NASA,

2015) からダウンロードしたデータを使用した。

4.3.2 GMETERD2010データ

本研究では洪水水深推定のための標高データとして

GMTED2010のデータを用いた。標高データとしては,

SRTM-1,GDEM,PRISM/DEMなどがあるが,対象地

域の広域性に対するデータ容量とMODISデータの

250m空間解像度に合わせた解析という理由でこのデー

タを用いた。

GMTED2010の前処理としては,フォーマット変換及

び対象範囲の切り出しと,衛星データと同じ投影系への

幾何補正を行った。実際にはメッシュコード10N090E

と10S090Eのデータを用い,データの結合も行った。な

お,GMTED2010データは米国地質調査所USGS(U.S.

Geological Survey) のホームページが入手したものであ

る。

4.4 洪水氾濫域の抽出方法

タイの洪水氾濫域を抽出するためにNDWI画像を作

成した。NDWI(Normalized difference Water Index:正

規化水指数)は水の存在を表す指標である(竹内,

2004)。このNDWIデータはMODISの可視域と中間赤

外域のバンド1とバンド6に定数を用いて求められる。

そのNDWIの計算式を式 (1) に示す。ここで用いた近赤

外線データと短波長赤外線データは,それぞれのデータ

のDN値である。

NDWI画像ではDN値が水域で高くなり,陸域で低く

なるので,陸域と水域のDN値のヒストグラムをそれぞ

れ計測し,両者のヒストグラムが交差したDN値を閾値

とする閾値法により水域の抽出を行なった。また貯水池

や海域といった洪水氾濫域以外の水域は,乾季の

MODISデータやDEMデータを用いて対象水域から除

外した。その例として,2011年10月27日のタイ中央平

原におけるNDWI画像 (a) と洪水氾濫域抽出画像 (b) を

図 3に示す。

4.5 洪水氾濫水量の推定方法

本研究では,DEMデータと氾濫域の浸水期間を用い

川とナン川の合流地点で洪水氾濫が発生した。その後,

8月にはバンコクの北約220kmのナコンサワンの一部で

洪水氾濫が発生した。9月には過去30年間で最多の月雨

量となりナコンサワンからアユタヤにかけて,上流から

の洪水が押し寄せ,水門箇所で破堤し大規模な洪水氾濫

となった。10月の雨量は平年並みであったが,上流から

押し寄せた洪水氾濫がバンコク周辺まで到達し,都市と

工業団地を次々と浸水していった。その後,排水作業が

進められて12月23日になり終息宣言が出された (小森,

2012)。

4.3 使用データとその前処理

4.3.1 Terra・Aqua/MODISデータ

本研究では,洪水氾濫域の抽出のために時間分解能

(観測頻度) が高いTerra・Aqua/MODISデータを用い

た。表 1に洪水氾濫域抽出に使用したTerra・Aqua/

MODISデータの一覧を示す。MODISデータの前処理と

しては幾何補正とフォーマット変換を行った。本研究で

はタイを中心としたインドシナ半島において北緯 5°東

経101°3′を原点,北緯 7°42″および19°33″を標準緯線

とした南北1,900 km,東西2,000 kmの範囲でランベルト

正角割円錐図法による座標系を設定して衛星データの投

影変換を行なった。更にその中で北緯約14°~18°,東

経99°~102°の南北500 km,東西250mのタイ中央平原

を解析範囲とした。

また,タイ2011年洪水では洪水氾濫域が広範囲とな

るために雲域が少ないデータを選定しても,部分的に雲

域が残る。そこで雲域の影響を除去するために同日また

は近日の複数の画像データを用いた。雲域の除去を行な

う際には,まず 2つの画像データの雲域のDN値を 0と

し,雲域以外の領域で両者の各バンドの累積ヒストグラ

ムを回帰分析により等しくする方法で変換係数を求めて

線形変換を行ない,雲域の部分に対象のデータを埋め込

むという方法を行った。本研究ではMODIS Rapid Re-

表 1 使用した Terra・Aqua/MODIS データ一覧

観測日 観測時刻 衛星

2011年 7 月 5 日 3 : 35 : 00Z-3 : 40 : 00Z Terra

2011年 8 月24日 3 : 35 : 00Z-3 : 40 : 00Z Terra

2011年 9 月23日 6 : 50 : 00Z-6 : 55 : 00Z Aqua

2011年 9 月25日 6 : 40 : 00Z-6 : 45 : 00Z Aqua

2011年10月27日 6 : 40 : 00Z-6 : 45 : 00Z Aqua

2011年10月27日 3 : 35 : 00Z-3 : 40 : 00Z Terra

2011年11月28日 3 : 35 : 00Z-3 : 40 : 00Z Terra

2011年12月28日 3 : 45 : 00Z-3 : 40 : 00Z Terra

baSWIRVISSWIRVIS

NDWI +×+

-= ・・・(1)

)0.100(

=:係数、

短波長赤外線データ

 :近赤外線データここで  

ba

SWIR

VIS

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─ ─95 ( )

時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析

19

で貯水できる量を越えた場合,洪水氾濫となる。本研究

で適用した洪水氾濫発生時の流域内の水収支の関係を式

(2) から式 (5) に示す (高橋,1990)。また,流域内のそ

の水収支の概念は図 6のとおりである。ここで,長期の

水収支を考える時には地下水貯留量の変化は無視できる

ので,本研究では考慮しなかった。地表水流出量 (D) に

その流域面積 (A) を乗じた地表水流出量体積 (DV) は,

河川による海への流下量 (R),ダムへの貯水量 (S),洪

て水深の推定を行なった。河川は,対象地域において,

河道両岸の周囲に比べて最も低い場所を流れるものと仮

定すると,洪水氾濫域は河道に対し両岸の直交方向に広

がる。したがって,河道から離れる程,その地形両岸の

標高が高くなり,河川内の水深は浅くなる。このことは

言換えれば,河道から離れた地点は,より短期間の浸水

となる傾向にあり,河道隣接地に対し,離れた地点は浸

水期間が短く水深が浅くなる。ただし,その水深変化は

連続的になるが,本研究で使用したDEMの標高の表現

単位は 1mであるため,河道に直交した方向で観測期間

ごとに階段状の変化として算出された。そのため本研究

では浸水観測期間ごとに水深を算出した。図 4に洪水氾

濫観測時の浸水域と水深の分布概念図を示す。

本研究の洪水氾濫水量算出の流れを図 5に示す。本研

究では標高が上流から下流に向かって 1m低下するごと

に領域を設定し,その中で水深を推定していった。

4.6 氾濫水量の検証方法

タイ2011年洪水の氾濫水量算出結果の検証として

は,まず流域内の水収支の計算を行なった。流域内の水

収支は降雨による水の流入と,蒸発・河川流による水の

流出,そして,地下水や土壌水,またはダム・遊水地で

の貯水の 3つの水の動きが考えられる。タイのような熱

帯サバナ気候では,雨は降った直後に多くが蒸発するた

めに,実際に地表面に流れるのは,降雨量から蒸発量を

引いた地表水流出量となる (池末,1986)。流域内で地表

に流出した水が河川により海へ流下できる量と,ダム等

(a) (b)

図 3 2011年10月27日のMODISデータによるNDWI画像(a)とそれによる洪水氾濫域抽出画像(b)

図 4 洪水氾濫時の浸水域と水深の分布概念図

図 5 洪水氾濫水量算出の流れ

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田島 朋樹・中山 裕則

─ ─96( )20

5.研究の結果

5.1 洪水氾濫域の抽出結果

Terra・Aqua/MODISデータによる8月20日から12月

28日までの 5時期のタイ2011年洪水氾濫域の抽出結果

を図 7の (a) から (e) に示す。また図 8と表 2にその面

積変化を示す。これらによると,洪水氾濫状況は,8月

下旬にヨム川のピサヌローク付近で洪水氾濫が発生し,

ヨム川に沿い流下拡大していき,9月23日にはナン川が

合流するナコンサワン付近まで流下していた。9月下旬

水氾濫量 (F) の 3つの形態となる。そのとき地表水流出

量 (DV) と移動した水量 (M) は一致する。

P-E =D ・・・・・・・・・・・・・・(2)

DV=D・A ・・・・・・・・・・・・・・(3)

M=R+S+F ・・・・・・・・・・・・(4)

DVV=M ・・・・・・・・・・・・・・・(5)

ここで P: 雨季の降雨量(m/rainy season)

E: 雨季の蒸発量(m/rainy season)

D: 地表水流出量(m/rainy season)

A: 流域面積(m2)

DV: 流域内の地表水流出量 (m3/rainy season)

M: 流域内移動水量(m3/rainy season)

R: 河川による海への流下量 (m3/rainy season)

S: ダムへの貯水量(m3 )

F: 洪水氾濫水量(m3 )

※ rainy season: タイのチャプラヤ川流域内に

おいて 5月から10月の 6ヶ月間

また,水収支式による計算結果との比較による解析算

出値の検証を行なった後,さらに実際の流量観測記録と

の比較による検証も行なった。タイ国内では,RID

(Royal Irrigation Department:王立灌漑局) が各河川に

流量や水位を計測している水文観測所を設置している。

これらの水文観測所では河川の断面積に対して,どの程

度の水を安全に流せるのかを流量で表した流下能力が設

定されていて,洪水氾濫は河川の流量がこの流下能力を

越えた場合に発生する。本研究では,2011年の雨季に洪

水氾濫域内の水文観測所で観測された流量と流下能力か

ら流下能力を越えた流量を氾濫水量として考え,衛星デー

タの解析による氾濫水量の推定結果の検証を行なった。

図 6 流域内水収支の概念

(a) (b)

(c) (d)

(e)

洪水氾濫域

非氾濫域

2011/8/24 2011/9/23

2011/10/27 2011/11/28

2011/12/28

図 7 MODISデータによるタイ2011年の洪水氾濫域の時系列抽出結果

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時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析

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2.5m,5ヶ月浸水域は4.1mとなった。

これら推定した洪水氾濫域水深から洪水氾濫水量の算

出を行なった結果,2011年10月27日の洪水氾濫水量の

総量は0.24×1011 m3となった。またナコンサワンの上流

部の氾濫水量は0.084×1011 m3,下流部では0.156×

1011 m3であった。

5.3 洪水氾濫量推定結果の検証

5.2節で算出した洪水氾濫水量を4.6節の水収支の式

になると,ナコンサワンの上流部ではナン川に沿って洪

水氾濫が発生し,下流域ではチャイナート付近からアン

トンにかけて氾濫域が広がった。さらに,10月下旬に

は,氾濫面積が最大となり,アユタヤ県まで洪水氾濫域

が拡大して,洪水氾濫総面積は154,25 km2となった。そ

の後,11月にはいると洪水氾濫域は縮小していき,12月

には上流部での洪水氾濫域はほぼ無くなった。

以上の衛星データによる洪水氾濫域抽出結果と面積変

化に基づき,洪水氾濫域を浸水期間ごとに区分を行なっ

た。その画像を図 9に示すが,洪水氾濫面積が最大と

なった10月27日を基準として,その前後 1ヶ月の間浸

水していた領域を「3ヶ月浸水域」,前後 2ヶ月の間浸水

していた領域を「5ヶ月浸水域」とした。

5.2 洪水水深と氾濫量の推定結果

図 7の浸水期間ごとの区分画像とDEMデータを統合

して解析し,洪水氾濫水深の推定を行なった。その推定

画像を図10に示す。水深推定は最も洪水氾濫域が拡大

した2011年10月27日の洪水氾濫域に対して行なった。

ここで本研究では垂直分解能 1mのDEMを用いたが,

水位観測所の記録水位は1.0×10 -1 m単位で記録されて

いるため,計算結果としては0.1mの単位まで表した。

本解析による洪水氾濫域水深は,最大でナコンサワン

付近の6.4m,最低はスパンブリ周辺の0.5m,全域での

平均水深は2.0mとなった。また,浸水期間ごとの平均

水深は,それぞれ 1ヶ月浸水域で1.4m,3ヶ月浸水域は

図 8 タイ2011年の洪水氾濫域の面積変化

表 2 タイ2011年の洪水氾濫域の面積

日付(月/日) 氾濫面積(km2 )

8月24日 1,734

9月23日 6,567

10月27日 15,425

11月28日 7,143

12月28日 3,529

図 9 タイ2011年の洪水の浸水期間ごとの洪水氾濫域

図10 2011年10月27日の洪水水深推定画像

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田島 朋樹・中山 裕則

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1011 m3であり,これに対する実際の氾濫水量は0.105×

1011 m3であった。この差の原因は,下流部のターチン川

には水文観測所が設置されていないため,そこにおける

氾濫流量が含まれていないことによると考えられた。そ

こでこのターチン川沿いの氾濫水量を算出したところ

0.05×1011 m3が得られ,この値を除いて比較すると両氾

濫量が一致することが示された。

5.4 洪水氾濫域抽出と洪水氾濫量推定のまとめ

本研究では,まずタイ2011年洪水における洪水氾濫

域の抽出を行なった。その後,洪水水深の推定を行な

い,その結果に基づき洪水氾濫水量の算出を行なった。

さらに,この結果を水収支式と観測所での実際の流量

データと比較して検証を行なった。それらの結果をまと

めると以下の通りである。

(1) Terra・Aqua/MODISデータを用いて洪水氾濫域の

(4) と (5) に基づいて計算した結果を表 3に示し,図11

の水収支の概念図内にも表した。流域内移動水量 (M)

は0.917×1011 m3/rainy seasonとなったが,流域内地表

水流出量 (DV) の0.925×1011 m3/rainy seasonと流域内

移動水量 (M) の差は,0.008×1011 m3/rainy seasonで,

この差は地表水流出量 (Dv) と流域内移動水量 (M) の

1%未満であり,良好な結果といえる。

一方,実際の流量観測記録による検証では,タイ2011

年洪水時に流下能力を越える流量を観測した水文観測所

は合計 8箇所であった。図12にその位置を赤枠で示す

(RID,2012)。このうち最も氾濫水量が多かったのはヨ

ム川Y.16観測所で0.062×10111 m3だった。このことから

ナコンサワンの上流部の氾濫はほとんどがヨム川の氾濫

によるものだったことが考えられる。Y.16観測所におけ

る流下能力は368m3/sと低いため,この付近は洪水氾

濫が発生しやすい場所であると考えられた。

また,ナコンサワンの上流部で推定された氾濫水量の

合計は0.084×1011 m3であり,これに対する観測所での

実際の氾濫水量は0.086×1011 m3と,両者はほぼ一致し

た。しかし,下流部では推定された氾濫水量は0.155×

表 3 水収支の計算に用いた入力値

水収支の項目水量

(1011m3/rainy season)

DV (流域内地表水流出量) 0.925

M (流域内移動水量) 0.917

差 (DV - M) 0.008

図11 タイ2011年洪水における水収支

C.35

図12 氾濫流量を観測した水文観測所の位置図 (RID, 2012)

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時系列衛星データによるタイ2011年の洪水氾濫分析

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の月降雨量にすると245 mmとなる。蒸発量,貯水池の

貯水,海への流下量は一定量として降雨量が増えるとそ

の余分は洪水氾濫水量となる。仮に,雨季積算降雨量が

1.5倍の2,208 mmになった場合,氾濫水量は1.414×

1011 m3,2倍の2,943 mmとなった場合は2.588×1011 m3

がそれぞれ予想される。すなわち,月降雨量が245 mm

を越える場合には,洪水氾濫に対する警戒が必要となる

と考えられる。

7.結論

本研究では時系列衛星データとDEMデータを用いて

タイ2011年洪水における洪水氾濫水量の算出を行な

い,その結果から洪水水深,洪水氾濫水量の推定を行っ

て,これらを水収支式による計算結果や,観測所の実際

の流量等との比較による検証で評価を行った。研究で得

られた結論をまとめると以下の通りである。

(1) 人工衛星のTerraおよびAqua搭載のMODISによる

観測データと,GMTED2010データを用いて,タイ

2011年洪水の10月27日における洪水氾濫水量を

0.24×1011 m3と算出した。この結果を水収支式適用

と実際の流量観測データとの比較による検証を行

なったところ,ほぼ同様な値となり,本研究で用い

た洪水氾濫量推定手法の有効性が示せた。

(2) タイのチャオプラヤ川流域内において算出された洪

水氾濫水量と雨季積算降雨量との関係を求め,降雨

量が2011年洪水を上回った場合の氾濫水量の予測

を行なった結果,洪水氾濫推量は,雨季積算降雨量

が2011年の1.5倍では1.414×1011 m3,2倍となった

場合は2.588×1011 m3とそれぞれ推定された。

抽出を行なった結果,その範囲は 8月下旬に発生

し,10月下旬で最大となり,その後,徐々に縮小し

ていったことが把握できた。

(2) 衛星データ解析に基づく浸水期間ごとに区分された

洪水氾濫域とDEMデータを統合解析して洪水水深

の推定を試みた結果,浸水期間が長い地域で水深が

深くなるという傾向が明瞭に示された。

(3) 推定された水深から洪水氾濫水量を算出した結果,

10月27日の洪水氾濫水量は0.24×1011 m3となった。

(4) 洪水氾濫水量推定結果に対し,水収支式による計算

結果と水文観測所での実際の流量データを比較して

検証を行なった結果,水収支式による地表水流出量

とその移動水量との間の差が少ないこと,および水

文観測所の一部のデータが無い地域を除いた氾濫流

量と一致しことから,推定した氾濫水量はほぼ妥当

な値であると考えられた。

6 . 衛星データによる洪水氾濫水量推定結果の洪水

発生予測への適用の可能性

洪水氾濫の分析には流域内の降雨量が重要となる。し

かし流域内の降雨量は各観測点の値として示され,かつ

各点で値が大きく異なりなど,どの値を流域の代表値と

して扱うかが難しい。チャオプラヤ川流域内での2011

年雨季の積算降雨量については,観測点間の最大と最小

の差が700 mmだった。一般的に,流域内の水収支の分

析では,降雨量と氾濫水量以外の値については定数を用

いている。そこで本研究では,算出された氾濫水量を水

収支式に適用して5月から10月までの雨季積算降雨量を

求めた。その結果,チャオプラヤ川流域内の2011年雨

季の積算降雨量は1,472 mmと算出された。これは雨季

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