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6月26日
1
基礎量子化学
2009年4月~8月
6月26日 第10回
中間試験の解説
14.ヒュッケル近似
担当教員:
福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻准教授
前田史郎
E-mail:[email protected]
URL:http://acbio2.acbio.fukui-u.ac.jp/phychem/maeda/kougi
学科の公式ホームページから授業資料のページへリンクしてあります
「学科公式ホームページ-カリキュラム・授業のシラバス」から「各教員の担当授業ページ-前田(史)教員のページ」をクリックしてください.
教科書:
アトキンス物理化学(第6版)、東京化学同人
13章 原子構造と原子スペクトル
14章 分子構造
6月26日
2
×6
6月26日
3
6月26日
4
6月26日
5
6月26日
6
1.水素型原子の構造とスペクトル
2.原子オービタルとそのエネルギー
3.スペクトル遷移と選択律
4.多電子原子の構造
5.一重項状態と三重項状態
6.ボルン・オッペンハイマー近似
7.原子価結合法
8.水素分子
9.等核ニ原子分子
10.多原子分子
11.混成オービタル
12.分子軌道法
13.水素分子イオン
14.ヒュッケル近似
2009年度授業内容
6月26日
7
14・9 ヒュッケル近似
ヒュッケルが1931年に提唱した近似方法.
1)πオービタルはσオービタルとは分離して取り扱う.(π電子近似)
2)すべてのクーロン積分αijをαに等しいとする.
3)すべての重なり積分Sij(i≠j)=0とする.
4)隣接していない原子間の共鳴積分βijはすべて0とする.
5)隣接する原子間の共鳴積分βijをβに等しいとする.
はじめに,近似(1)と(2)を導入する.
p447
6月26日
8
∫∫∫∫
==
=
=
ττ
τ
τ
AdˆBBdˆA
BdˆB
,AdˆA
HH
H
H
K
J
J
B
A
,
クーロン積分
クーロン積分
共鳴積分
重なり積分∫= τABdS
6月26日
9
14・9(a)永年行列式
πオービタルを,分子面に垂直なC2pオービタルのLCAO-MOとして表す.
(1)エテン ethene(エチレン ethylene)
ψ=cAA+cBB ①
A(C2p)
B(C2p)
(2)ブタジエン butadiene
ψ=cAA+cBB+cCC+cDD ②
炭素原子nの2pオービタルをψnとすると,πオービタルをn個のψnのLCAO-MOで書くと,
nnΨcΨ ∑= ③p446
6月26日
10
変分法を用いる.エネルギー期待値Eを求めて, とする.nc
E∂∂
∫∫
∑∑∑∑∫
∫
=
=
=
=
τ
τ
τ
τ
d
dˆ
d
dˆ
*
*
*
*
*
*
jiij
jiij
i jijji
i jijji
nn
nn
ΨΨS
ΨΨH
Scc
Hcc
ΨΨ
ΨΨE
H
H
ここで,
④
⑤
⑥
i=jのとき,Hii=αi ;クーロン積分
i≠jのとき,Hij=βij ;共鳴積分
i≠jのときSii=S,i=jのときSii=1
;重なり積分p447
6月26日
11
∑∑∑∑ =i j
ijjii j
ijji HccSccE**
④を書き直すと,
⑦
このEを最小にするためには,各変数ciについて
とおけば良い.
⑦をci *で偏微分すると,
0=∂∂
icE
( ) ),...,2,1(0
0*
**
nicESHcE
HcScEScccE
jj
ijij
i
jijj
jijj
i jijji
i
==−
=∂∂
=+∂∂
∑
∑∑∑∑
ここで であるから,次の連立方程式が得られる.
⑧
⑨
⑩
6月26日
12
⑩式がcj=0という無意味な解以外の解を持つためには,係数の行列式がゼロでなければならない.
( ) ),...,2,1(0 nicESH jj
ijij ==−∑ ⑩
0
11
2121
1112121111
=
−−
−−−−
nnnnnn
nn
ESHESH
ESHESHESHESH
LL
MMMM
LLL
L
これを永年方程式という.
⑪
6月26日
13
(1)エテン ethene(エチレン ethylene)
永年方程式は次のようになる.
教科書の記述にしたがうと,
である.原子Aと原子Bは等価であるから,αA=αB=α,βAB=βBA=βとすると,
022222121
12121111 =−−−−
ESHESHESHESH
i=jのとき,Hii=αi ;クーロン積分
i≠jのとき,Hij=βij ;共鳴積分
i≠jのときSii=S,i=jのときSii=1 ;重なり積分
0=−−
−−EES
ESEαββα
⑫
⑬
p446
H
H
H
H
6月26日
14
0
44444141
3131
2121
1414131312121111
=
−−−−
−−−−
ESHESHESHESH
ESHESHESHESH
LL
LLL
LLL
0=
−−−−
−−−−
EESESES
ESESESE
DADA
CACA
BABA
ADADACACABAB
αβββ
βββα
LL
LLL
LLL
(2)ブタジエン butadiene
教科書の記述にしたがうと,
⑭
⑮
p446
1
2
3
4
6月26日
15
エチレンの永年方程式⑬の解は容易に求められる(例題14・4と同じである)が,ブタジエンの永年方程式⑮の解を求めるのは容易ではないことはすぐに分かる.
そこで,さらなるヒュッケル近似(3)~(5)を導入する.
3)すべての重なり積分Sij(i≠j)=0とする.
4)隣接していない原子間の共鳴積分βijはすべて0とする.
5)隣接する原子間の共鳴積分βijをβに等しいとする.
そうすると,永年方程式の
(1)すべての対角要素:α-E
(2)隣接する原子間の非対角要素:β
(3)他のすべての要素:0
となり,計算が容易になる.p447
6月26日
16
14・9(b)エチレンとフロンティアオービタルエチレンにヒュッケル近似を適用すると⑬は次のように簡単になる.
( )
( )βα
βααα
βαα
βα
αββα
±=
−−±=∴
=−+−
=−−
=−
−
222
222
22
020
0
E
EEE
EE
行列式を展開すると,
図14・41 エチレンのヒュッケル分子オービタルのエネルギー準位図
⑯
全エネルギーEπは
Eπ=2E1π=2α+2βp447
6月26日
17
エチレンでは
最高被占分子オービタル(HOMO) 1πオービタル
最低空分子オービタル(LUMO) 2π*オービタル
である.これら二つのオービタルは,エチレンのフロンティアオービタルを形成する.
HOMO
LUMO
π→π*
π→π*の励起エネルギーは|E--E+|=2|β|である. p447
ψ1 =12
pπ1 +
12
pπ2
ψ2 = −12
pπ1 +
12
pπ2
6月26日
18
○エチレンのπオービタルのヒュッケル近似による取り扱いは,二原子分子の分子軌道法と全く同じである.
πオービタルを,分子面に垂直なC2pオービタルのLCAO-MOとして表す.
エテン ethene(エチレン ethylene)
ψ=cAA+cBB
A(C2p)B(C2p)
二原子分子ABの分子オービタルとして LCAO-MO を用いる.
ψ=cAA+cBB
6月26日
19
根拠14・4 二原子分子のLCAO-MOを変分法を用いて決める
二原子分子ABの分子オービタルとして LCAO-MO を用いる.
ψ=cAA+cBB
ここで,AおよびBは,それぞれ原子AおよびBのAOである.
このLCAO-MOを試行関数としてエネルギーEが最小となるように係数cAおよびcBを選べば良い.ここで,ψは規格化されているが,AOであるAとBも規格化されているとする.
この試行関数のエネルギーはハミルトニアンの期待値である.
∫∫
∫∫
Ψ
ΨΨ=
ΨΨ
ΨΨ=
τ
τ
τ
τ
d
dˆ
d
dˆ2
*
*
* HHE
p439
復習
6月26日
20
( )
Scccc
cccc
cc
BABA
BABA
BA
2
ABd2dBdA
dBA
22
2222
2
++=
++=
+=
∫∫∫∫
τττ
τ分母
ここで, は 重なり積分 である.∫= τABdS
∫∫
∫∫
Ψ
ΨΨ=
ΨΨ
ΨΨ=
τ
τ
τ
τ
d
dˆ
d
dˆ2
*
*
* HHE
p439
復習
6月26日
21
( ) ( )
βαα
ττττ
τ
BABBAA
BABABA
BABA
cccc
cccccc
cccc
2
AdˆBBdˆABdˆBAdˆA
dBAˆBA
22
22
++=
+++=
++=
∫∫∫∫∫
HHHH
H
分子
∫∫∫∫
==
=
=
ττβ
τα
τα
AdˆBBdˆA
BdˆB
,AdˆA
HH
H
H
,
B
A クーロン積分
クーロン積分
共鳴積分
重なり積分
ここで,
( )∫= τABdS
復習
6月26日
22
したがって,エネルギー期待値Eは,
(27)
エネルギーEの極小値は, 係数cAおよびcBで微分した導関数=0から求められる.
(27)式を書き直すと,
SccccccccE
BABA
BABBAA
22
22
22
++++
=βαα
0,0 =∂∂
=∂∂
BA cE
cE
( ) βαα BABBAABABA ccccSccccE 22 2222 ++=++ ①
p440
復習
6月26日
23
( ) ( )( )
( ) ( ) 0
2222222
=−+−
+=+
+=++++∂∂
EScEc
ccSccE
ccSccEScccccE
BAA
BAABA
BAABABABAA
βα
βα
βα
( ) ( )( )
( ) ( ) 0
2222222
=−+−
+=+
+=++++∂∂
EScEc
ccSccE
ccSccEScccccE
ABB
ABBAB
ABBABBABAB
βα
βα
βα
①式をcAで偏微分し, をゼロとする.Ac
E∂∂
①式をcBで偏微分し, をゼロとする.Bc
E∂∂
復習
6月26日
24
( ) ( )( ) ( )⎩
⎨⎧
=−+−=−+−
00
EScEcEScEc
ABB
BAA
βαβα
0=⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−−
−−
B
A
B
A
cc
EESESE
αββα
( )( ) ( ) 0
0
2 =−−−−
=−−
−−
ESEE
EESESE
BA
B
A
βαα
αββα
したがって,次の連立方程式(永年方程式)を解けばよい.
行列の形に書くと,
この方程式が意味のある解を持つためには,係数である行列式=0でなければならない(cA=cB=0はψ=0となるので無意味である).
展開すると,
(24)
p439-441
(28)
復習
6月26日
25
例題14・4 永年方程式の根を求めること式(28)を解くことにより,等核二原子分子の結合オービタルと反結合オービタルのエネルギーEを求めることができる.等核二原子分子であるので,αA= α B= α と書くことができる.
( ) ( ) 022 =−−−=−−
−−ESE
EESESE
βααββα
( )( ) ( )
( ) ( )( ) ( )( )
( ) ( ) ( )( )( ) SSS
SSS
SSS
SSSE
ESES
SEEE
ESEE
±±
=+−
±=
−−±−
=
−−−−−±−
=
=−+−−−
=−−+−
=−−−−
±
11111
1
11
02102
0
2
2
2222
2222
22222
2
βαβααββα
βαβαβα
βαβα
βαα
βαα
mm
ふつう,β
6月26日
27
( )( ) ( )
( ) ( )( ) ( )( )
( )2
2
2222
2222
22222
2
1
11
02102
0
SSS
SSSSE
ESESSEEE
ESEE
−−±−
=
−−−−−±−
=∴
=−+−−−
=−−+−
=−−−−
αββα
βαβαβα
βαβα
βαα
βαα
SE
±±
=± 1βα
ふつう,β
6月26日
29
反結合性オービタル(E-)では,
( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( )
1
00
011
01
11
011
1
−=∴
=−−−=−−+
=−−−+−−−
=−
−−−+−−−
=⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ⋅
−−
−+⎟⎠⎞
⎜⎝⎛
−−
−
−−
=−
B
A
BA
BABA
BBAA
BBAA
BA
cc
cScSccScSc
ScSccSc
SScSccSc
SS
cS
c
SE
αββαββαα
βαββαα
βαββαα
βαββαα
βα
( ) ( )( ) ( )⎩
⎨⎧
=−+−=−+−
00
EScEcEScEc
ABB
BAA
βαβα
永年方程式
p441
復習
6月26日
30
( )
( )⎪⎩
⎪⎨
⎧
−−
=−=
++
=+=
−−
++
SEBAcΨ
SEBAcΨ
A
A
1,
1,
βα
βα
規格化を行うと,
( )
( )Sc
Scc
ABcBcAcΨ
Sc
Scc
ABcBcAcΨ
A
AA
AAA
A
AA
AAA
−=∴
=−=
−+=
+=∴
=+=
++=
∫∫∫∫
∫∫∫∫
−
+
121
122
d2ddd
121
122
d2ddd
22
222222
22
222222
ττττ
ττττ
p441
復習
6月26日
31
( )
( )⎪⎪⎪
⎩
⎪⎪⎪
⎨
⎧
−−
=−
−=
++
=+
+=
−−
++
SE
SBAΨ
SE
SBAΨ
1,
12
1,
12
βα
βα
したがって,
Ψ-
Ψ+B A
αα
SE
++
=+ 1βα
SE
−−
=− 1βα
図14・18 水素分子イオンの分子ポテンシャルエネルギー曲線の計算結果と実験結果
実験
計算
復習
6月26日
32
14・9(c)ブタジエンとπ電子結合エネルギーブタジエンにヒュッケル近似を適用すると⑮は次のように簡単になる.
0
000
000
=
−−
−−
EE
EE
αββαβ
βαββα
0
100110011001
=
xx
xx
各要素をβで割って,(α-E)/β=xとおくと,
⑰
⑱
p447
pπA
pπB
pπC
pπD
6月26日
33
行列A=(aij)をn次の正方行列,det(A)をその行列式とする.
(1)n=1のとき,det(A)=a11(2)n=2のとき,det(A)=a11a22-a12a21(3)n≧2のとき,行列Aの行iと列jを削除して作った(n-1)次の行列式をMijで表し,Aの小行列式という.行列A=(aij)の余因子Aijを次のように定義する.
そうすると,Aの行列式det(A)を次のように展開できる.ij
jiij MA
+−= )1(
ijij
n
j
jiij
n
jij MaAaA ∑∑
=
+
=
−==11
)1()det(
行列式の展開
( ) 211222112221
1211det aaaaaaaa
A −==
6月26日
34
何行目あるいは何列目を使って展開しても結果は同じになるが,行
列の要素がゼロを含むときは,ゼロを多く含む行または列を選んで
展開すると計算が簡単になる.
下の例では,ゼロを2個含む1行目を使って展開しているので,実
際に計算しなければならない余因子は1行2列の余因子だけである.
1001411
)2()1(0124131020
21 −=+−
−−+=−−
+
行列式の展開の例題
6月26日
35
0
100110011001
=
xx
xx
行列式⑱を展開する.余因子は
次のようになる. ⑱
以下省略.各自で計算してみてください.
6月26日
36
62.0,62.12
53
2493
013
04124)1()det(
2
24
24
±±=
±±=∴
−±=
=+−
=+−=−== ∑∑ +
x
x
x
xx
xxMaAaA ijj
ijji
ijj
ij
他の余因子もすべて計算すると,
x = (α-E)/βとおいたので,Ε = α−βx,である.エネルギー準位図は上のように書け,基底状態の電子配置では,4つの電子はE1πとE2πに入る.
βαβαβα
βα
π
π
π
π
62.162.062.0
62.1
1
2
3
4
+=+=−=
−=
EEEE*
*
C2p
6月26日
37
全エネルギーEπは
Eπ=2E1π+2E2π=4α+2(0.62+1.62)β
=4α+4.48β
π→π*π→π*の励起エネルギーは|E3π*-E2π|=1.24|β|である.
p448
図14・42 ブタジエンのヒュッケル
分子オービタルのエネルギー準位
と,対応するπオービタルを上から
見た図.オービタルが局在してい
ないことに注意せよ.
6月26日 38
The Hückel method
0.372p π1 + 0.602pπ
2 + 0.602pπ3 + 0.372p π
4
1
2
3
4
−0.602ppπ1 − 0.372 π
2 + 0.372p π3 + 0.602p π
4
0.602pp π1 − 0.372 π
2 − 0.372p π3 + 0.602p π
41
2
3
4
0.372p π1 − 0.602pπ
2 + 0.602pπ3 − 0.372p π
41
2
3
4
1
2
3
4
Solutions for butadiene
6月26日
39
ブタジエンにおけるπ→π*の励起エネルギーは
|E3π*-E2π|=1.24|β|である.
π共役系が長くなるとπ→π*間のエネルギー差が小さくなる.エチレン,ブタジエン,ヘキサトリエンでは,それぞれ2.0 |β| ,1.24 |β| ,0.9 |β|で
ある.さらに共役系が長くなると可視光でπ→π*遷移が起こり,吸収光の補色を示すようになる.
π→π*
π→π*エチレン
ブタジエン
6月26日
40
12・1 箱の中の粒子(a particle in a box)
図12・1のようなポテンシャルにしたがう自由粒子、すなわち1次元の箱の中の粒子の問題を量子力学的に取り扱う。
質量mの粒子は、 x=0 と x=L にある2つの無限の高さを持つ壁の間に閉じ
込められている。簡単のために、この
間のポテンシャルエネルギーはゼロと
する。
図12・1 通り抜けることができない壁のある、1次元領域にある粒子。 x=0 と x=L の間でポテンシャルエネルギーはゼロとする。
x =0 と x =Lの間はV=0とする.
p336
6月26日
41
「箱の中の粒子」の問題は何の役に立つのか?
二重結合と単結合が交互に連なったポリエンでは,炭素原子の数が増
えると,光の吸収極大が長波長側にずれてくる。炭素鎖が長くなると,青,
緑,赤色の可視光を吸収するので色が着いて見える。炭素鎖が非常に長
くなると可視光を全て反射するので金属光沢を持つようになる。これが,2
000年にノーベル化学賞を受けた白川英樹博士が発見したポリアセチレ
ン(CH)xである。
着色して見える物質は,ポリエンのようにπ共役系が分子内に拡がった
構造を持っており,構造と物性の間の関係を調べることは,「箱の中の粒
子」の問題の応用である。
42
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
3 217nm
5 266nm
7 304nm
9 334nm
1 162nm
最大吸収波長(実測値)
1,3,5,7,9-デカペンタエン
1,3,5,7-オクタテトラエン
1,3,5-ヘキサトリエン
1,3-ブタジエン
エチレン
π共役系の長さ(C-C結合の数)
43
π共役系の長さと吸収極大波長の関係
100
150
200
250
300
350
400
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
π共役系の長さ/C-C結合数
吸収極大波長/nm
6月26日
44
○非局在化エネルギー
ブタジエンのπ結合がC1-2とC3-4に局在しているとすると,全π電子結合エネルギーはエチレンの2倍であることが期待される.
しかし,
Eπ(ブタジエン)-2×Eπ(エチレン)=4α+4.48β-2(2α+2β)
=0.48β
つまり,ブタジエンは2個の別々のπ結合のエネルギーの和よりも,0.48β(約-36kJmol-1)だけエネルギーが低い.
共役系の追加された安定性を,電子が非局在化されることによって生
じる安定化エネルギーであるので,非局在化エネルギーという.
非局在化
12
34
p449
6月26日
45
6月26日,番号,氏名
(1)
変分法を用いて永年方程式を求めると⑬式が得られる.
ヒュッケル近似を用いて分子オービタル1πと2π*のエネルギーを求めよ.
(2)質問,感想,意見など.
エチレンのπオービタルを,分子面に垂直なC2pオービタルのLCAO-MOとして表すと①式のように書ける.
ψ=cAA+cBB ①
A(C2p)
B(C2p)
0=−−
−−EES
ESEαββα
⑬