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技術紹介 原因を特定して問題を解決する: 成果を出せる プロセスとツールの選択 製造および梱包作業においては、製造ラインで予定さ れていないダウンタイムにより、直接/間接コストが発 生して生産性と利益率に重大な影響が出ることがあり ます。 この技術紹介では、突発的ダウンタイムの根本原因を 特定するためのプロセス、および総合設備効率 (OEE) や御社事業の利益性を強化するための対応策を立て る方法について詳しく取り上げます。

原因を特定して問題を解決する: 成果を出せる 製造 …...問題の定義 問題を明確に定義するためには、高い問題意識を持って思考 することが極めて重要です。問題の根本原因と原因がもたらした現象を混同することは

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技術紹介

原因を特定して問題を解決する: 成果を出せる�プロセスとツールの選択

製造および梱包作業においては、製造ラインで予定されていないダウンタイムにより、直接/間接コストが発 生して生産性と利益率に重大な影響が出ることがあります。

この技術紹介では、突発的ダウンタイムの根本原因を特定するためのプロセス、および総合設備効率 (OEE) や御社事業の利益性を強化するための対応策を立てる方法について詳しく取り上げます。

目次問題解決の基本的なフロー 3

問題の定義 4

根本的原因の究明 5

対策の検証と実行 6

対策の定着 7

アクションが取れる情報: ビデオ ジェットのアプローチ 8

詳細事例 1 9

詳細事例 2 10

最終収益 11

2

最初の 3 つのステップは OEE の改善では当たり前であると思われがちですが、実際には時間と費用を節約するために、生産者やメーカーは、装置の使用寿命の終わり近くになってあわただしく装置の選定を始めることは珍しくありません。しかしながら、結果として突発的なダ ウンタイムが発生してしまい、長い目でみてかなりのコストが生じてしまうことはありがちです。

また最初の 3 つのステップを適切かつ継続的に実行した場合でも、依然として多くのメー カーや装置で突発的ダウンタイムは発生します。そこで 4 つ目のステップの重要性が増します。OEE を最大にするためには、明確に定義 された対策とプロセスを採用して、装置のパ フォーマンスと稼働を改善する必要があります。便宜上第 4 のステップとは呼ばれていますが、ここで定義される対策は、継続的な改善活動ととらえたほうが適切かもしれません。本技術紹介資料では、この改善活動のあり方に焦 点を当てます。

まず継続的改善の計画を立てるには、現時点での実情を把握して目標地点を設定したうえで、進捗管理ができるようにする必要があります。いいかえると、既存の問題と潜在的な問題の原因を迅速に特定する方法、根本原因を見つける分析ツール、そして継続的に実施できる対策の策定と実行が求められます。

問題解決:基本的なフロー問題解決で成果を上げるには、継続的な努力、強力なリーダーシップ、優秀なチームワーク、そして妥協のないフォローアップが必要です。要因分析や対策立案に時間がかかるのは問題解決が困難である証拠です。難しい問題であるからこそ時間をかける必要があり ます。

DIVE (Define (定義)、Investigate (究明)、Verify (検証)、Ensure (定着) という略称には、このプロセスで重要な各要素が表れています。

Define (問題の定義): 問題を明確化する。 問題が潜在化または顕在化しているかを判断する。 問題解決に向けた論理的道筋を立てる。

Investigate (根本的原因の究明): 原因を究明して 3 つの原因に絞り込む。 根本原因を特定する (5 つの Why)。 問題の根源を突き止め証拠を得て事実を解明する。

Verify and implement (検証と実行): 実行可能な対策を特定し評価する。 採用した対策を試し有効性を検証する対策を導入し最終目標が達成できたかを検証する。

Ensure (定着): 重要な対策に絞り込む。 経過の記録管理者および継続的な活動を実行するための資源を確保する。 定義された問題で改善した度合を評価する。

70%

30%

各プロセスにかける時間

合理化された生産ラインでは、根本原因を特定して対策を実行するツールが頻繁に使用されて、原因究明や分析が行われるため、適切な調査が実施されて効果的かつ恒久的な問題解決対策がとられています。このアプローチは問題解決 (PS) のアプローチとも呼ばれています。

ビデオジェットでは、自社のチーム内で継続的な変化と改善のサイクルを達成する原動力としての PS 手法のレベルアップにかなりの資源を投資してきました。

このような向上にむけたサイクルでは「改善」をベースとした PS 手法が成果を出しており、当社ではこの手法をご紹介することで御社での問題解決をより的確かつ迅速に解決できるようにしたいと考えております。本資料では、まずビデオジェットの PS 手法の概要を説明し、インクジェットプリンタでの突発的なダウンタイムを解決する例を使って、根本原因の分析や恒久的な対策の実行をどのように行うかについて言及します。

1品質および成果の要件を満たせる生産ラ

インを設計構築する

2用途に応じた適切な装置を選択する

3装置の耐用期間中に適切なメンテナンス

を実行する

4装置の稼働率を向上させるために必要な

対策とプロセスを特定する

突発的なダウンタイムを最小化するには、4 つの重要なステップを実行する必要があります。

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問題の定義問題を明確に定義するためには、高い問題意識を持って思考することが極めて重要です。

問題の根本原因と原因がもたらした現象を混同することは多々あります。このようなケースでは、根本原因が解決しないままに対症療法に限定されてしまうことや、原因を見誤って効果が得られない場合があります。出発点を誤ると、根本原因を解決する恒久的対策が得られません。

このプロセスは、木の構造に例えられます。幹の部分が問題、そして根の部分が複数の推測できる原因を表します。枝が問題によって生じる現象を示します。幹が症状と原因をつなぐ、真の問題を表します。

効果的な問題解決には、一つの真の問題に焦点を当てる必要があります。複数の原因や現象があり、複数の人がそれぞれの原因や現象に注力している場合がありますが、、一つの真の問題を特定しない限り、解決へと進むことができません。

発明家であるチャールス・ケタリングの言葉をかりると「問題の特定が適切であれば、半分は解決できたようなものだ」ということです。

現象: 問題の結果または成果 (明らかなもの) 発汗

問題: 実状と目標または基準とのギャップ 発熱

原因: 基底となる「根本原因」 – 表面下に形成されている問題の根源 (明らかでない) ウィルス

4 つの重要な要素有効な問題の定義には、これらの要素が含まれています。問題を考察し、これらの 4 つの要素のすべてを特定する必要があります。 �目標/基準 =目指すべき到達点。理想の

状態。 実状 = 今ある状況。 ギャップ = 目標と実状の差異。 傾向 = 問題のパターンまたは大きさ。どの程

度深刻なのか?どれだけ長い間続いているのか?その範囲は局所的なのか、全体的なのか?

不適切な問題解決の道筋問題を定義する際には、以下の点に注意する必要があります。 •問題の記述に複数の問題を取り上げて

いる •問題の記述で原因を示唆している •問題の記述に非難の意が込められている •問題の記述で解決策が示唆されている •折れ線グラフが記述された問題と無関係

の測定単位に基づいて作成されている •問題の記述で 4 つの主要な要素 (目標/基

準、現状、ギャップ、傾向) のうち 1 つが欠けている

•リソースが整合性を欠き不適切な問題に対応している

•問題に合理性がない

成功の道しるべ以下の条件がそろった時に問題が適切に定義されたといえます。 •問題の記述が明確でアクションが取れる内

容である •問題の記述内容についてチームのメンバー

の意見が一致している • 問題とその解決が重要であることにチーム

全員が合理性を見出している •問題がチームにとって管理可能な範囲内に

あり、チームは問題解決の実質的な責任を負うことができる

4

問題の根源にすばやく行き着く一つの方法としては、「なぜなぜ 5 回」技術があります。これは 1970 年代にトヨタの生産方式を大きく変化させました。

「なぜなぜ 5 回」のテクニックでは、単純に「なぜ?」 (または関連の質問 – 何が、どこで、いつ、誰が、どのように) を 5 回以上問い、そのたびに問題から根本原因に向けて深く掘り下げます。以下に例を挙げます。

分析が適切なことを検証するために、根本原因を解決できる対策を立案し、「それ故」を付けて、上図でつながっている原因に対して 1 つずつ対策を提

示していきます。この例では、材料の置き場所をオペレータに近づけることにより (対応策) 歩く距離を短くします。それ故、マシンの詰め込みが速くなります。それ故、サイクル時間の損失が少なくなります。それ故、利用できる時間が増えます。このように順番に対策を挙げていきます。

なお、このプロセスにおいて「なぜ」という質問に複数の回答がある場合、複数の道筋が生じることもあることに注意する必要があります。このときこそパレート法を適用するタイミングで、どの道筋が、目標と実状のギャップを埋めることに最も大きく貢献できるかを考える必要があります。対策を立案する上で 2 つの原因が考えられるとき、問題に対する影響が少ない原因よりは、まずは影響が 80 % である原因に対処する方が効果が期待できます。

「なぜなぜ 5 回」で避けるべきこと

「なぜなぜ 5 回」は、犯人を捜し出して特定するために利用するものではありません。この方法で「なぜ」と問いかけする際には、特定のプロセスが欠如していること、特定のプロセスで効果が出ないことあるいは特定のプロセスが適切に実行できないことに着眼しなければなりません。また、「なぜなぜ 5 回」は一つの方法過ぎず、比較的単純な問題のためのすばやい分析を行うために作られていることを念頭においてください。このアプローチは、より複雑な問題には適していないことがあります。明確な解答にすぐに到達できない場合、より高度な問題解決技術を利用する必要があります。

根本原因の特定では、問題を絞り込まないと、最終目標と方向性を見失って解決に時間がかかります。分析を適切に行うには、問題からそれに付属する現象や推測される原因を切り離して、対象となる問題のみに焦点を当てて、明確な論理的な道筋にそって考察する必要があります。その道筋は「ポイントオブレコグニション (認識点)」 (POR) から「ポイントオブオカレンス (発生点)」、そして「ポイントオブコーズ (原因点)」 (POC) に進み、究極的には根本原因に至ります。

いったん問題を特定し、明確に定義したら、根本原因に至る道筋の分析を行います。多くの場合、問題の根源をたどると、木の根のようにさまざまな方向に広がる傾向があります。徹底的に調べようとして、多くの人々はすべての根、または多すぎる数の根をフォローしようとします。しかしながら、それは非生産的である場合があります。より好ましいアプローチとしては、問題にあまり影響がない原因を無視し、利用可能なデータがサポートしない原因も切り捨てます。追跡するものを狭めることにより、分析はより効率的かつ効果的になります。

次のことを念頭におきます: •1つの問題が複数の根本原因をともなう場合がある •1つの根本原因が多数の問題の原因である場合がある •根本原因に対応しないと、問題が再現することが予想さ

れる •防止策の確立が決め手となる

効果的に調査を進めるためには、明確な調査対象を選択してその領域に限定して分析を行います。パレート図の活用など、ステップごとに分析を進められる方法が有効です (詳しくは次ページ参照のこと) 原因の特定では、方向性を絞り込んで順序だったアプローチが効果的です。

•根本原因がどこにあるかに調査対象を絞り込む •問題解決の対策が立案可能な根本原因を探し出す •対策の効果が客観的に評価できる解決策を考える •それぞれの原因が問題に及ぼしている影響と相対的な重

大度を相関させる •稼働時間の最大化とパフォーマンスの向上に最大限の

メリットを迅速にもたらすことを念頭に原因を特定する

このように効果が期待できる領域を特定することで、目標と実情のギャップをもたらしている根本原因をより深いレベルで究明することができます。

問題:1時間あたりの生産台数 計画:100台/時間 実績:50 台/時間でさらに減少傾向有

なぜ? 1 時間あたりで生産できる部品数が少ない

なぜ? 生産活動をしていない時間が発生している

なぜ? 空き時間の発生

なぜ? サイクル時間のロス発生

なぜ? マシンへの積み込みに時間がかかり過ぎる

なぜ? 積み込む材料までオペレーターが 1.5m 歩いている

根本的原因の究明問題はその性質上、最初は境界が曖昧で大きな障害に見える傾向があります。�

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この段階では、対策を立案、検証、実行するために必要な情報がそろっているはずです。対策には短期的に目標を達成できる一時的対策と継続的に改善が期待できる恒久的な対策があります。多くの場合、企業は両方の対策を実行します。長期的な効果がのぞめる恒久的なソリューションを準備している間に、まずは短期的に問題に対処するために一時的な対策をとるという方法です。

問題、根本原因そして相対的な影響を明確に理解することにより、チームはブレーンストーミングによって可能性のある対策を立案した後に、協力して最も効果的なアプローチを選択します。

可能性のある対策が数多くある中で、より望ましい対策をいくつか選択するには下記の要素を考慮します。

•対策は実行しやすいか •業務への影響はないか •コストは高くないか •チームが管理できる範囲の対策か

選択した対応策を評価するためには、観察テストを行う必要があります。この評価方法は、対策が完全に実行された後ではなく、限定的な対象にテストケースとして実行することを推奨します。即座に結果が得られなければ、調整事項を含めたフォローアップ計画が必要となるわけで、広範囲に対 策を実行してしまった後にはより大きな規模でのソリューションが必要になります。いずれの場合も、経過を観察しながらテストを実施することで、検証される根本原因と採用した対策の相関性を把握して定量化できるだけではなく、組織全体にリスクを課すことなく、障害の可能性がある場所を特定して対処できます。

測定可能な改善がすばやく確認できない場合、対応策が適切に実行されたかを確認しなければなりません。適切に実施されていて、なおかつ改善が見られない場合は、他の対応策をテストする必要があるかもしれません。

選択した対応策が効果的であったことが確認できれば、製造環境全体での実施に移行します。しかしながら、それがプロセスの終わりではありません。対策の効果を測定管理し続けることで、問題の再発を防止し、さらなる改善点がないかを引き続き探し続けることが重要です。

パレート法:概要

パレート法は、あらゆる種類の問題の根本原因を究明するために企業によって活用されてきましたが、この方法は、製造および梱包環境における、突発的ダウンタイムの問題解決に適しています。パレート法は 80-20 ルールとも呼ばれていますが、問題を発生させている原因のうち、20 % の原因が、問題の 80 % を発生させているという考え方です。この原則に基づいて、パレート法は問題への影響を定量化し、対 策を講ずべき最も重要な原因を特定します。

パレート法を使用することで、偶発的な要因も棒グラフで表されます。

レベル 1 - 調査対象

原因 A

0%

25%

50%

75%

100%

原因 B 原因 C 原因 D 原因 E

累積構成比率

(%)

原因の説明

パレート図において、棒グラフの大きさは原因の問題発生への寄与を示し、累積線はその原因に対応することで得られる改善の度合いを示します。原因 A と原因 B が問題にもたらしている影響が大きいのは明らかで、まずこれらの原 因を取り除くことにより、最も大きな改善がもたらされる可能性があります。

原因の原因を分析することで、より深いレベルの原因が掘り出され、さらに調べると、これらの二次的な原因を、問題への相対的貢献度に応じて、ランク付けすることもできます。

レベル 2- 調査対象

二次原因 1

50%

60%

70%

80%

90%

0%

10%

20%

30%

40%

二次原因 2

原因 A 原因 B

二次原因 1 二次原因 2

累積

構成

比率

(%)

原因の説明

対策の検証と実行真の根本原因を特定することで問題解決は格段に容易になります。

6

対策の定着対策を成功させるためには継続できる計画の立案が必要です。

パレート法を使用して、問題への影響が大きい原因に焦点を当てます。つまり、問題の 80 % に貢献する根本原因の 20 % に焦点を当てます。これらの対応策は、毎日または毎週検証して評価することが望ましく、より重要ではない対応策の評価頻度はそれより低くてもかまいません。

継続した活動を実施するには責任者を決めることを推奨します。データを測定するための正式なプロセスと報告システムを用意して、適宜に評価と改善が行うためには適切な数の人員を配置しなければなりません。責任者の仕事は、対応策が継続的に適用され、その効果を確認することです。対応策の一部において従業員の行動の変更が必要な場合は、従業員が指示に従っていることを管理して不満などにも対応することが特に重要です。この際、有効な方法は下記のとおりです。

•改善の必要性をアピールし、困難な話し合いに取り組む姿勢を維持 する

•自分または他者が置かれている状況を把握する

•目標に集中し続ける

•不満を示している兆候を逃さない

•抵抗している人がオープンな本音の対話に安心して参加できるようにする

•合意が得られるよう努力する

•合意から実行への移行を促す

•成功に対して報酬を与える

•チーム、社内の関係者、顧客に、今後の改善対策を得るためのフィードバックを求める

このプロセス全体 (技術的な対策の実施から従業員の賛同を得るまで) を成功させるために重要なポイントは、問題に関する質の高い、すぐに使える情報を持ち、問題の根本原因を把握していることです。有効な情報を持つことで、効果的な対策を策定し、組織内での変更を通達し、成果を客観的に測定することができます。

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アクションが取れる情報: ビデオジェットのアプローチ装置の稼働率と突発的ダウンタイムの原因についてのデータは、多くの情報源から得られます。

精度の高い稼働率情報当社の産業用インクジェットプリンタ (小文字用) は、稼働率に関する情報を提供します。これらの統計は、すぐに利用できるように、タッチスク リーンインターフェイスで簡単にアクセスできるようになっています。

製造時間のプロキシで対象期間が設定されれば稼働率の情報が表示されます。

稼働率の傾向を示すために、様々な期間での数値が表示されます。この例の場合、システムのイベントログは最近 30 日間、最近 90 日間、現行の月および過去数ヶ月の稼働率を表示するよう設定されています。

稼働率がプリンタの可用性 (Printer Availability) で示されていることにご注意ください。この数値が 100 % のときは、プリンタがすべて順調に機能しているかを表します。オペレーションの可用性 (Operational Availability) が 100 % のときは、オペレータ依存のダウンタイム要因 (インク不足やクリーニングが必要など) を含めてプリンタが順調に機能していることを示します。ダウンタイムの追跡を行うためには、オペレーションの可用性の基本設定において計算に使用するプロキシとして、電源オンの時間 (プ リンタの電源がオン) またはジェットがオンの時間 (インクのサイクルが行われてプリンタが印字中またはオンデマンドで印字可能な状態にある) を選ぶことができます。多くの可用性に関するレポーティングシステムでは、装置の電源がオンで、適切に機能しているときの統計をキャプ チャします。当社のこのシステムでは、オペレーションの可用性の追跡が設定可能になることで、プリンタのダウンタイムが、ハードウェアの問題なのか、あるいはオペレータのエラーが原因であるのか、そしてその問題が生産性にどのくらいの影響があるのか判断する手助けとなります、

ダウンタイムの原因についての詳細は、報告された可用性の数値をタッチするだけで、関与している特定の問題を掘り下げることができます。2 つの例を取り上げます。

しかしながら、その重要性を評価し、他の利用可能なデータと対応し、行動を起こすための基礎とすることに関してはいくつかの難しい点があります。ビデオジェットでは、メーカーや生産者が容易かつ効果的に根本原因分析を行うために、産業機器のサプライヤができること、そしてすべきことがもっとたくさんあると信じています。

装置の機能と性能に関する生データを提供する以外に、ユーザーが改善に向けた判断をするためにデータの背景情報を提供できる技術があります。つまり、装置自身が生データを処理して、すぐに使用できる情報にします。

ビデオジェットは、産業用インクジェットプリンタ (小文字用) に先進的な生産性向上ツールを搭載して、このような機能を実現しています。当社では、装置メーカーはデータ分析能力を製品に組み込む必要があり、これらのツールが優秀な見本となるべきであると信じています。そして装置を購入する際にユーザーが期待するのはこのような機能であると考えています。

最新の産業用インクジェットプリンタ (小文字用) Videojet 1550 および 1650 は、データを掘り下げることができる多くの機能を備え、生産者や メーカーは真の根本原因を発見して、持続可能なプロセスの改善を達成することができます。この機能では、プリンタ性能に関わる原因だけではなく、オペレーターに関わる原因の発見も可能です。

では、このプロセスの仕組みについて簡単な例を用いて説明します製造ラインの実際のアウトプットと製造目標とのギャップという形で現れる問題があるとします。パレート法を使って初期評価を行ったところ、根本原因分析を行うべき 2 つの主要な領域が確認できます。1つ目は、必要な原料が必要なタイミングで供給されないという原因です。2 つ目の原因はプリンタが常時稼働可能な状況にないというものです。

しかしこれらはいずれも根本原因であるとは言えません。チームは、さ らに問題を掘り下げて根本原因を突き止める必要があります。ビデオ ジェットの産業用インクジェットプリンタ (小文字用) は、原材料の供給タイミングについては分析を行えませんが、プリンタが稼働できない状況にあった原因については、かなり内容の絞られた貴重なヒントを提供してくれます。その方法をご紹介します。

8

詳細事例 1

過去 90 日間の 99.0 % オペレーションの可用性 (Operational Availability) の数値を選択すると、システムが 2 つの故障タイプを記録したことが分かります。 EHT/HV トリップが3回起こって、ダウンタイムが 450 分。 Mod ドライバチップが過熱した例が 1 回で、ダウンタイム 10 分。

特定の問題を見つけるために掘り下げ、その頻度を調べ、突発的ダウンタイムがどれだけ生じたか見ます。

故障タイプ (Fault Type) を選択して、それぞれの問題の性質について詳 細を知り、その問題の頻度については頻度 (Freqeuncy) のカラムで確認することができます。パレート原則にもどついて、最も頻度が高く、ダウンタイムが長い問題から調査します。次に、何が原因で EHT/HV トリップが起きるのか、そしてなぜ頻繁に起きるのかについてさらに掘り下げます。

ê

故障タイプ (Fault Type) の情報によって、EHT トリップの主たる原因が印 字ヘッドが汚れであることがわかります。また、頻度 (Freqeuncy) カラムの

「3」を選択することにより、各故障イベントの時間と期間に関する情報を見ることができます。この場合、各トラブルの時間情報を見ると、なぜ起きているのかについてのヒントが得られます。

再度掘り下げて、各故障イベントの時間と期間を見てください。

それぞれの突発的ダウンタイムイベントの詳細を見ることもできますが、この画面では、根本原因と解決策に導くことができる、明確なパターンが表示されています。表示された情報を見ると、この問題が定期的に起きていることがわかります。この現象は、基本的には 30 日おきに起こっています。問題の原因は、単にプリントヘッドの予防クリーニングを十分行っていないことが理由である可能性が高いといえます。この分析が正しければ、プリントヘッドのクリーニングを 25 日おきに予定することが効果的かもしれません。

この根本原因分析と提案された対応策の効果を確認するためには、アクティビティログを確認し、ライン担当者と共に標準作業方法および作業方法からの逸脱の可能性について理解する必要があります。

根本原因: プリントヘッドのクリーニングが足りない。オペレーターのト レーニングが不適切。

対策: 25 日周期でプリントヘッドのクリーニングを予定する。予防保全手順についてオペレータのトレーニングを行う。生産ライン監督者にスタッフを厳しく監督してもらい、予防保守業務を徹底する。

恒久的なアクション: 管理者が週次の記録を観察し、EHT/HV の故障を確実に削減し、他のダウンタイム現象と関連する故障をチェックします。

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詳細事例 2

5 月に報告されたジェットオンでのオペレーションの可用性 (Operational Availability) の数値である 98.5 % を選択すると、EHT/HV トリップが連続しており、これが突発的ダウンタイムにつながったことが分かります。詳細事例 1 と同様の故障ですが、今回は原因が違います。オペレーションの可用性の数値から掘り下げることにより、この問題が 6 回起きて、合計 72 分のダウンタイムになったことが分かります。

5 月に起きた故障について掘り下げて、頻度とダウンタイムの合計を見ます。

同じ時期に、粘性をコントロールすることができないという問題も生じ、 300 分のダウンタイムにつながりました。しかしながら、EHT/HV トリップは繰り返し起きているため、再度起きる可能性があり、パレート原則によると、優先して調査する必要があります。さらに掘り下げると、根本原因について重要なヒントが見えます。

故障イベントの時間と期間を見ると、前の例とは異なる原因であることが示唆されます。

すべての EHT/HV トリップの障害は、5 月 5 日の同じシフトで 12 分間隔で起きています。

EHT/HV トリップの障害は、ほとんど必ずと言っていいほど汚れたプリントヘッドが原因です。この場合、オペレータはプリントヘッドのクリーニン グをしているのではなく、プリンタを再起動することで、故障をクリアしていました。

再起動するたびに、インクにメークアップ液が追加されます。さらに調 査すると、前述の「粘性をコントロールすることができない」という問題は、一連の再起動を行った直後に発生しており、インクのメークアップ液が多すぎたことを示唆します。

これで両方の問題の根本原因を確認するための情報が集まり、再度起きないように防止するための是正措置を行うことができます。

根本原因: 第 3 シフトのオペレータは、プリントヘッドのクリーニング方法を知らず、EHT/HV トリップ障害をクリアするために、複数回再起動していた。この再起動によりインクにメークアップ液が入りすぎ、粘性をコン トロールできないという問題も発生した。

対策: オペレータに対して EHT/HV トリップ障害が何故起きているのかを知らせて、プリントヘッドのクリーニング法を教えます。さらに、オペレータにメークアップの役割そして、再起動を繰り返しすぎると液があふれるためにダウンタイムが長くなる理由について説明します。

恒久的なアクション: 各シフトのイベントログを確認し、その問題が再発しないようにします。

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最終収益:�問題解決から恒久的な対策の実施による改善へこの技術紹介資料は、根本原因分析を通して特定の問題を解決するための考え方を示すことだけでなく、問題を解決する実際的なテクニックの適用例をあげて、御社の業務の稼働時間と生産性を継続的に改善することをお勧めする主旨で作成されました。この継続的改善の実行は、当社の製品開発を推進してきた企業方針でもあります。問題解決機能の例で見たように、当社では最新の産業用インクジェットプリンタ (小文字用) Videojet 1550 および 1650 のユーザーインターフェイスに問題解決機能を組み込みました。

さらに生産ラインの信頼性や稼働率をあげるために、より効果的な問題解決に向かって、企業は継続的に進化していく必要があります。このために当社はお客様と協力して御社の日々の業務に可能な限り最善の稼働時間と性能をもたらす努力をします。

Danaher グループの一員であるビデオジェットは、継続的改善のためのプロセスである Danaher Business System (DBS) を採用しています。Danaher グループの基本精神に支えられ、DBS のプロセスにより、当社は絶え間なく改善のサイクルを実施することで進化し続けます。当社では、有能な人材が画期的プランを策定して実行し、グローバルレベルで通用するツールを活用することで、恒久的な対策を確立して、優れた実績を残しています。優れた実績と周囲からの高い評価がさらに有能な人材をひきつけることで、よい循環が生まれています。このような努力の根源となっているのは、お客様を第一に考えた 4 点の重要項目です。それは品質、納期、コストと イノベーションです。

DBS の一環として、この技術紹介資料で取り扱われている問題解決などのツールを使って、ビデオジェットは成 功を遂げてきました。当社では DBS の活用を通して、何を実行するか、成果をどのように数値化するか、そしてどのようにさらなる改善をおこなっていくかについて絶え間ない努力を進めています。

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TEL: 0120-984-602 E-mail: [email protected]または当社ホームページ: www.videojet.co.jp をご覧ください。ビデオジェット社〒135-0064 東京都江東区青海 2-5-10テレコムセンタービル 西棟 6F

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ビデオジェット・エックスライト株式会社は常に製品の品質向上をめざしており、お客様への予告なく設計や仕様を変更する場合がありますので、ご使用に際しては最新の情報をご確認ください。 20151022

グローバル本社

ビデオジェットの営業・サービス拠点

製造および製品開発拠点

ビデオジェットの営業・サービス拠点がある国

ビデオジェットのパートナーによる営業・サービス拠点がある国

安心がビデオジェットの標準ビデオジェットは、産業用印字のグローバル市場で活躍する企業で、インラ インでの印字やマーキング用装置、特定用途向けに開発された溶剤、そして製品のライフサイクルを通したサポートを提供してきました。 当社の目標は、コンシューマ向けパッケージ品、医薬品、工業用品などを製造するお客様とのパートナーシップを通して、そのお客様が生産性を強化してブランド価値の保護や向上を図り、業界トレンドや法規制遵守で業界のリーダーとなるお手伝いをすることです。産業用インクジェットプリンタ (大文字用と小文字用)、サーマルインクジェップリンタ、レーザーマーカー、産業用サーマルプリンタやラベラーなどの製品分野で専門的ノウハウや先端技術を有するビデオジェットは、世界で 325,000 台を超えるプリンタの納入実績があります。

ビデオジェット製品は、販売先で 1 日 100 億を超える製品に印字を行っています。世界 26 ヶ国の直営事業所で 3,000 名以上のスタッフが、製品販売、設置やトレーニングのサポートを提供しています。また、流通ネットワークには 400 以上の代理店業者および OEM が含まれており、135 ヶ国でサービスを提供しています。