49
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 社会インフラの海外進出における ルール形成戦略のあり方 201731資源エネルギー庁 電力・ガス分野から考えるグローバルエネルギーサービス研究会 執行役員 羽生田 慶介 (多摩大学ルール形成戦略研究所 客員教授) 資料4

社会インフラの海外進出における ルール形成戦略のあり方...デロイトトーマツコンサルティング合 会社 社会インフラの海外進出における

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デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

社会インフラの海外進出におけるルール形成戦略のあり方

2017年3月1日

資源エネルギー庁電力・ガス分野から考えるグローバルエネルギーサービス研究会

執行役員 羽生田慶介(多摩大学ルール形成戦略研究所 客員教授)

資料4

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【略歴】

経済産業省(通商政策局にてアジアFTA・EPA交渉担当/ASEAN係長), キヤノン(経営企画にてグループ中期経営計画,M&A担当), A.T. カーニー(戦略コンサルティング)を経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画

経営戦略・事業戦略の豊富なコンサルティング経験と規制・制度に関する深い理解を背景に官民のルール形成やロビイング支援に注力している

著書に 『最強のシナリオプランニング』(共著:東洋経済新報社)、『世界市場で勝つルールメイキング戦略』(共著:朝日新聞出版)がある他、日経産業新聞『TPPをどう活用すべきか(15回連載)』等への寄稿・講演多数あり

通商・国際ルール(TPP・Brexit・FTA)関連の専門家としてテレビ・雑誌・新聞等での識者コメント多数(NHKスペシャル,NHK国際報道,日本経済新聞,日経産業新聞,毎日新聞,日経ビジネス,週刊ダイヤモンド他多数)

経済産業省 「新たな基準認証の在り方研究会」委員(2016-2017)

多摩大学ルール形成戦略研究所 客員教授

【本日のテーマに関連する主なプロジェクト(抜粋)】 APEC「質の高い電力インフラ」ガイドライン策定(政策支援)

産業保安に関する制度分析(政策支援)

新興国における規制・制度環境整備(政策支援)

「メコン産業開発ビジョン」(政策支援)

グローバル標準化・基準認証ビジネス戦略(政策支援)

自動車産業におけるTPP等国際通商ルール対応戦略

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

執行役員/パートナー

レギュラトリストラテジー リーダー

羽生田 慶介 (Hanyuda Keisuke)

講師略歴

講師詳細

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なぜいまルール形成(Regulatory Strategy)か

3

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ビジネスの「ルール」は、国際情勢によってのみ左右されるのではない。グローバルなルール競争は過去から日々おきている

関税協定交渉

自由貿易交渉

経済連携交渉

狭義の非関税障壁(投資・サービス貿易ルール)

関税障壁(物品貿易ルール)

広義の非関税障壁(幅広い分野の

各国法規制・標準等)

その他「ルール」競争

4

TPP TTIPRCEP FTAAP

FTA

ISO IEC COP WA

WTO

国内法令

業界標準

調達基準

…SDGs

広域・グローバルなルール形成枠組み

… …

…ルールが未整備な新興国市場の拡大

業界横断/価値的テーマのルール化進展

ルール化が必要な新規技術・サービス

の誕生

(人権ルール,ガバナンスコード等)

(新興国エコカー減税等)

(スマート,サイバーセキュリティ 等)

グローバルなルール形成の全体像 ルール競争激化の背景

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ルール形成のアジェンダが「接続性」「互換性」担保から、「環境」「安全」などのRegulatoryな分野にシフト。企業競争力と直結する時代

ルールの主眼

標準の内容 期待効果

Inter-

operability

Quality

Assurance

Modulari-

zation

互換性/

相互運用性

のための

寸法・仕様

適切な計量・

試験方法

に基づく

品質評価

複合化された

商品・サービス

における価値

単位の定義

•利便性の向上

• コスト削減

•市場の拡大

•品質・安全性の

向上

•技術的優位性の

評価向上

•新たな価値の

訴求

•差別化

•アンバンドリング

による市場創造

•消費者の意思決定誘導/ブランド化

5

Standard統一による利便性向上

ルール形成の方向性 ルールの主眼 ルール形成の方向性

Environ-

ment

Safety

Standards Regulations

安全基準

排気ガス基準

エコカー規格

不適合車の禁止

減税措置

適合車への優遇

生産者への補助

不適合車の禁止

他国基準の承認

これまでのルール形成 近年のルール形成

標準の内容(例) 規制の内容(例)

×

×

×

期待効果

社会課題

解決に向けた

企業・消費者

のリード

・・・・・・

・・・

ルール形成の巧拙が競争力に直結することに

× 社会課題解決=

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各社ロビー活動実績の概要

米国 (2005~2014)

ロビイング経費支出額

欧州 (2014)

575 6

46 5 5

85

9

21

85 2

355 56 65 55

1715

0

5

40

10

15

20

25

26

1618

10

17 16

2219

3926

1920

400

200

0

300

100

■2010年は政府景気刺激策に合わせ最高額を支出■14年支出は全米6位

支出と体制の特徴

■支出額は安定推移■売上の「0.1%」をルール形成に投じるとされる

■2010年にワシントンにロビー拠点を開設■2014年は全米3位の支出額

■ Googleは全欧6位、GEは同7位、Siemensは同8位の支出額

■ 例示した日本企業は4人の議会承認ロビイストと、1名の法律顧問を配置

(百万$)

(1万€)

2005 2014

出所:LobbyFacts.eu及びOpenSecret.org等を基に、DTC算出。円換算は、すべて2015年8月13日時点の日銀レート中央値を使用。欧州の公表金額に関し、Siemens及びGEは2013年の数値、他2社は2014年の数値。Siemens以外の3社は約25万ユーロの幅をもったレンジでの公表値であったため、中央値を使用。 ロビイスト人数に関し、米国は2014年の「Total number of lobbyists」、EUは「Lobbyists declared」の数値を使用。

■支出額は漸減傾向■固定したアジェンダでロビー実施の傾向■内部雇用が多い

19億円

6.6億円 6.2億円

21億円

(ほぼゼロ)

2005 2014 2005 2014 2005 2014 2005 2014

1.5億円

■例示の日本企業が米上院に届け出るロビー費用は他社に比し低額■グループ合算しても少額

4.4億円4.5億円

2.2億円

5億円

議会登録ロビイスト人数 5人15人 21人 9人 9人0人100人 21人 23人 99人

(行政府出身人数) (0)(77人) (15人) (12人) (82人)

(0)(31人) (8人) (16人) (10人)(内部雇用人数) - - - - -

- - - - -

日系大手メーカー

日系大手メーカー

6

外国企業が数億円の資金と数十人の人員をロビイングに投じる一方、日本企業の渉外体制は大きく劣っている

※本頁に記載したロゴは併記されている会社の登録商標です。

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企業、市場、国家を巻き込んだ

「ルール」競争の加速

(産業構造審議会資料)

出所:産業構造審議会総会(第14回)(2014年4月2日)配布資料「経済産業政策を検討する上での中長期的・構造的な論点」「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-」p.124

官民連携によるルール競争戦略が通商政策の中心に位置づけられた

新興国戦略におけるルール形成

(「日本再興戦略」改訂2014

(アベノミクス第3の矢)

国際展開戦略

③新興国戦略の深化

日本企業の海外ビジネスを支える制度的基盤を整備するため、中国・ASEAN

地域を中心に法制度整備支援を一層推進するとともに、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)等を活用しつつ、

国際標準を各国の規制に紐づける「Standards×Regulations戦略」を推進する。

(中略)こうした取組をオールジャパンで推進し、新興国市場を獲得していく

(後略)

7

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国際ルール競争の環境変化

ルール形成は「企業が主体的に」取り組む戦略課題に変化。主戦場はハイテク・インフラ事業に密接なRegulatoryな領域へとシフトしており、対応の巧拙が企業競争力に直結

8

ルールへの「対応」

• 各企業は、各国政府や国際機関によって定められた、法令・規制を遵守し対応

ルール形成機会

国際的な統一ルール形成への腐心

• WTO、ITUなど、国家間の交渉による国際的な統一ルールの導入が目指された

ルールを「形成」すべく働きかけ

• 受身的なルール対応に留まらず、各企業は機会創出・リスク回避を目的とし、自社に有利なルールを創るべく主体的に行動

局地的、個別のルール形成の活発化

• FTA・EPAなど特定の国・地域間での交渉や、個別フォーラム規格の形成など、局地的なルール形成が重層化しながら同時進行

歴史的背景からも欧米プレイヤーは海外ルール形成に長けており、日本企業は欧米主導のルールによる不利を甘受してきた。

今後は日本企業もルール形成の取り組みを経営ツールとして積極展開すべき

Standardの整合・統一化が主題

• 通信規格など、特定技術に埋め込まれるStandardの汎用性・整合性を高めることに重点

ルール形成の主なアジェンダ

Regulatoryな領域の重要性が増す

• 環境問題をはじめとする社会インフラ直結の法規制・基準がルール形成が主戦場となっている

ルールに対する日本企業の態度

能動的に企業を支援する政府政策の欠如

• 通商政策/国際標準化政策は、「仕掛け」よりも予め用意された交渉テーブルへの「対応」が主

政府によるルール競争への

対応

「ルール形成戦略」が通商政策の主軸に

• Standards×Regulations戦略は政府の日本再興戦略にも採用され、経産省もルール形成戦略室の新設やロビイング活動支援事業を開始

これまで 現 在 ~ 今 後

グローバル動向

日本における官民の取組み

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役職 氏名 所属等(一部省略)

シニアフェロー

甘利 明衆議院議員経済再生担当大臣/社会保障・税一体改革担当大臣/内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

所長 國分 俊史多摩大学教授デロイト トーマツ コンサルティング執行役員CSIS シニアフェロー

副所長 徳岡 晃一郎 多摩大学大学院教授/経営情報学研究科長

客員教授 福田 峰之衆議院議員前内閣府大臣補佐官

客員教授 藤井 敏彦経済産業省/独立行政法人経済産業研究所コンサルティングフェロー

客員教授 角南 篤政策研究大学院大学副学長内閣府参与(科学技術・イノベーション政策担当)

客員教授 市川 芳明日立製作所 社会イノベーション協創統括本部チーフアーキテクト室長

客員教授 羽生田 慶介デロイト トーマツ コンサルティング執行役員レギュラトリストラテジー リーダー

■ 2016年9月「サイバーセキュリティ国際標準化研究会」発足

政産官学の垣根をこえたルール形成戦略の動きが本格化しつつある

多摩大学ルール形成戦略研究所(2016年6月~)

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ルール形成戦略は利益を上げるのか

10

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関税率10~20%に相当*1

法人税率30%

関税率3%

輸出

経営陣は国際ルールが与えるインパクトの大きさを認識すべき

11

国際通商ルールが与えるビジネスインパクト

原価(CIF価格)

売上 税引前利益

10倍違う場合

(例えば)

関税額 法人税額

同じ利益インパクト

(例えば)

A国 B国

製品P/F変更

規制

基準

規制

基準

調達変更

追加開発

ある場合

規制・基準の相違による追加コストは

追加コスト

「関税3%」は「法人税30%」に相当ルールの違いによる追加的コストは

「関税10~20%」に相当

いずれもマーケティング・オペレーション努力では対応できないレベルの大きなインパクト

*1:欧州委員会貿易総局レポートより

相違

相違

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ルールの「活用」だけでも大きな利益。自社に優位なルールを「形成」することの意義は、マーケティングやコスト改善よりも大きい

FTA「使い漏れ」初期診断(事例)

分析結果

品目ごとの

インパクト

営業利益2~3%up

営業利益5~10%up

営業利益10~15%up

関税コスト(百万円)

(HS:3907.30.30) (HS:8516.60.10) (HS:8509.40.00)

炊飯器

B社(中国 ベトナム)

ハンドミキサー

C社(中国 ベトナム)

取引額10億円(換算) 取引額10億円(換算) 取引額10億円(換算)

24

0.3億円削減

FTA適用後FTA適用前

50

2.4%

使い漏れ 解消

5.0%関税率:

関税コスト(百万円)

100

1億円削減

FTA適用後FTA適用前

200

10%20%関税率:

関税コスト(百万円)

1.5億円削減

FTA適用後

100

FTA適用前

250

10%25%関税率:

使い漏れ 解消 使い漏れ 解消

エポキシ樹脂

A社(日本 タイ)

12

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ルール形成によるビジネスインパクトポテンシャル(デロイト分析より)

競争優位性の確立

(シェア拡大)

新市場の創造・拡大

コスト削減

自社技術の優位性を際立たせるルール(測り方)の策定

規制等の変更による新商材投入や新たな需要提起による市場創出

基準や規制の調和によるバリューチェーンの無駄の排除

考え方ルール形成の

事業インパクト ポテンシャルルール形成の目的

ルール形成戦略のビジネスインパクト

(基準・規制の相違は最終利益を半減させる

ほどの影響)*1

売上高の

約20~30%向上

(デロイト分析)

売上高の

約5~10%向上

*1:欧州委員会貿易総局レポート「非関税障壁の相違コスト=関税10-20%」より勘案

社会課題解決等の目的で特定の製品・サービスを活用する(禁止する)場合、・代替材から市場を獲得または・顧客市場から追加的なマネタイズが可能

市場規模は一定であっても、自社製品の優位性を「顧客」または「顧客の顧客」に訴求する(または調達ガイドラインに組込む)ことで高いシェアを獲得

自社製品・サービスをグローバル展開する場合、上市するために適合すべき規制・基準の多様化を防ぐことでプラットフォーム・調達コストを削減

ルール形成戦略は事業・企業の売上・利益に非連続な成長をもたらす

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ルール形成のビジネスインパクト【事例1】 ネステ(Neste Oyj)ネステ社によるバイオ燃料市場拡大を目的とした政策提言(1/2)

14

ネステのEU向けバイオ燃料(NExBTL)販売量の推移

28 94

209 270

860

1,415

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

2014

1,178

20122011 2013

628

20102008 20092007

*1 2012年の欧州におけるNexBTL販売量は非公表のため、2011年と2013年の欧州における販売量から推計*2 フィンランドを含む一部加盟国は、運輸分野のバイオ燃料使用目標を10%以上に設定 出所:ネステHPに基づきデロイト トーマツ作成

FY

再生可能エネルギー指令燃料品質指令

バイオ燃料NExBTL売上高(単位:1,000トン)

再生エネルギー使用の努力目標のみ 再生エネルギー使用の目標達成を義務化

2001年「再生可能電力指令(2001/77/EC)」2003年「バイオ燃料指(2003/30/EC)」

2009年「再生可能エネルギー指令(2009/28/EC)」2009年「(改訂)燃料品質指令(2009/30/EC)」

運輸分野での再生可能エネルギー利用の割合を、2011-20年の10年間で10%以上*2

EU

法令

ルール形成

EU指令公布

各国での施行

(2009年4月~)

(2010年6月~)

各国アクションプラン作成各国法制度改正(~2010年12月)

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ルール形成

372

496

662

883

256

364

516

532

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

2009

94

209

279

20082007

28

860

2011

1,415

628

2012*1 2014

1,178

20132010

ルール形成のビジネスインパクト【事例1】 ネステ(Neste Oyj)ネステ社によるバイオ燃料市場拡大を目的とした政策提言(2/2)

15

ネステのEU向けバイオ燃料(NexBTL)販売量の推移

*1 2012年の欧州におけるNexBTL販売量は非公表のため、2011年と2013年の欧州における販売量から推計*2 加盟国政府がアクションプランを策定した2010年6月末以降にルール形成の効果が生じたものと仮定し、2010年から2014年までの5年間のルール形成効果を算

出。なお、2010年以降のルール形成効果算出にあたり、2005年から2009年のバイオディーゼル生産量の伸び(CAGR:33.4%)に基づき算出した予測販売台数(予測値)を用いて、実績との差をルール形成効果として算出(2010年実績値は、当該成長率を用いた予測値よりも約9,000トン低かったため、上記グラフには表れていないが、5年間の効果試算結果には含めて算出)*3 1

ユーロ=130円として算出 出所:ネステHPをもとにデロイト トーマツ作成

ルール形成効果(20010-2014年)*2:

約2,750億円*3 (約€21.19億)

≒ネステの再生エネ部門欧州売上高の約38.4%に相当

販売量(実績)

ルール形成がされたことによる

NExBTLの販売量増加分(推定値)

ルール形成がされなかった場合のNExBTLの販売量(推定値)

バイオ燃料NExBTL売上高(単位:1,000トン)

ルール形成効果(NEXBTL販売量増加分)

欧州バイオディーゼル市場成長率に基づく販売量の予測値

「再生可能エネルギー指令」「(改訂)燃料品質指令」公布

ルール形成効果

各国アクションプラン法制度改正等

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ルール形成のビジネスインパクト【事例2】 ダイキンダイキンによる中国でのエアコン省エネ基準の改正(1/2)

16

ダイキンの中国における家庭用インバータエアコン売上高*1の推移

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

700

400

100

0

900

600

1,200

500

1,700

800

1,300

1,400

1,000

1,600

1,500

1,100

300

200

FY

家庭用エアコン売上高(単位:億円)

*1 空調事業売上高(公表値)から、2010年に販売開始した給湯事業の売上高(推計値)を控除し、ヒアリングに基づく業務用・家庭用エアコン売上の割合より数値を算出出所:ダイキン「中国における省エネエアコン普及拡大での経験」、ダイキンプレスリリースよりデロイト トーマツ作成

ルール形成

インバータ機の足きり基準引き上げ(2008年9月)

ダイキンにとって不利に

ダイキンにとって有利に

ノンインバータ機の足きり基準引き上げ(2010年6月)

中国企業「格力電器」と共同で、中国政府に働きかけ

42 54 69 81 100 121159

276

562

482

601

747769

1466

1616

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1,500

1,200

1,000

700

0

6,000

500

1,700

600

300

400

4,000900

8,000

2,000

1,600

1,400

1,300

1,100

800

200

0

100

596

2012

747

601

2010

1,616

747

815

2014

978

592

9

637

482

2009

1,466

651

2013

769

172

201120012000

276

54

2002

159

562

12181

20072006 20082004

100

2003

42

2005

69

ルール形成のビジネスインパクト【事例2】 ダイキンダイキンによる中国でのエアコン省エネ基準の改正(2/2)

17

ダイキンの中国における家庭用エアコン事業売上高※1の推移

*1 ダイキンへのヒアリングに基づき、中国空調事業における事業用エアコン・家庭用エアコンの売上高比率を用いて、家庭用エアコン売上高へのルール形成効果を試算*2 ノンインバータエアコンの省エネ足きり基準が改定された2010年6月よりルール形成の効果が生じたものと仮定し、2010年から2014年までの5年間のルール形成効果を算出。なお、2010年以

降のルール形成効果算出にあたり、中国における家庭用エアコン需要台数推計を用いた家庭用エアコン市場の成長率に基づき算出を用いて実績との差をルール形成効果として算出(2011年実績値は、助成金の影響もあり、当該成長率を用いた予測値よりも約52億円低かったため、上記グラフに示していないが、5年間の効果試算結果には含めて算出)

出所:ダイキンHP、日本冷凍空調工業会エアコン事業台数推計をもとにデロイト トーマツ作成

中国空調事業売上高(単位:億円) 売上増効果(5年間累計)*2

約1,920億円≒5年間の中国空調部門売上

の約16.6%に相当

エアコン省エネ基準改正(2010年6月)

省エネ家電助成金②

(2012.6~13.5)

猛暑(2013.6~7)

中国エアコン需要台数(単位:百万台)

FY

省エネ家電助成金①

(2009.6~11.5)

ルール形成がされたことによる家庭用エアコンの売上高増加分(推定値)

ルール形成がされなかった場合の家庭用エアコンの売上高(推定値)

中国における家庭用エアコン需要台数推計(緑)

(給湯器の除く)中国空調事業売上高(推計値)

ルール形成がされなかった場合の中国家庭用エアコン空調部門売上高(推計値)

ルール形成効果

ルール形成

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VWのターボ型エンジン搭載車*1の自動車販売台数の推移(実績値)

*1 VWは2009年以前にもターボエンジンを搭載した一定数の高級車・スポーツタイプ車を販売していたが、2009年より1600cc以下ターボ型エンジン搭載車を中国市場へ投入した。本試算にて使用したターボ型エンジン搭載車データには、スーパーチャージャー、インタークーラー付ターボチャージャー(+スーパーチャージャー)等の複数タイプを含む。

*2 トヨタのハイブリッド対象モデル車の販売台数には、2014年までにハイブリッド化され中国市場販売されているモデル(Camry/ Corolla/ Crown/ Levin/ Prius/ Highlander)の販売台数を使用。なおPrius及びHighlanderは、ルール形成(2010年)以前にハイブリッド化、それ以外は、ルール形成(2010年後)にハイブリッド化され中国にて販売

出所: FOURIN、IHS自動車販売台数データ、およびターボ型エンジン搭載車販売台数データに基づきデロイト トーマツ作成

FY

VWのターボ型エンジン搭載車販売台数 (単位:1,000台)

排気量1600cc以下のターボ型エンジン搭載車の増加

CAGR(09⁻14)

:99.9%

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

0

1,600

700

1,500

1,400

800

1,100

1,000

400

600

300

1,300

200

500

1,700

1,200

900

100

511

251192

73

185

337

148

823

321

560

1,616

1,327

1,122

155227

16

ターボ型エンジン搭載車(全体)の増加

CAGR(09⁻14):

45.1%

ルール形成(2010年6月: 個人の省エネ車の購入に対する補助金管理暫定弁法)

VW ダウンサイジングターボ車

トヨタ等ハイブリッド車

補助金対象

補助金対象外

ルール形成のビジネスインパクト【事例3】 フォルクスワーゲン中国におけるダウンサイジングターボ優遇措置働きかけ (1/2)

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【ルール形成効果】 VW1600cc以下ターボ型エンジン搭載車販売台数の伸び/金額換算

*1 2009年8月より本格的な小排気ターボエンジン搭載車の生産販売が開始されたため、8月から12月までの5か月分の実績を12か月分に補正*2 2010年6月に1600cc以下に対する補助金政策が制定されたため、2010年よりターボ型エンジン搭載車に対するルール形成効果が創出されていると想定し、2010年~2014年の効果を算出

なお、2010年以降のルール形成効果算出にあたり、グローバル全体の1,600cc以下ターボ型エンジン搭載車生産台数の成長率と中国自動車市場の成長率(前年比率)に基づき算出した予測販売台数(予測値)を用いて、実績との差をルール形成効果として算出

*3 VWの中国の売上高は公式に公開されていないため、(中国を除く)VWグループグローバルでの売上高と営業利益の比率に基づき、VWの中国の営業利益の実績から売上高を推定出所:FOURIN、IHS自動車販売台数データ、ターボ型エンジン搭載台数データに基づきデロイト トーマツ作成

FY

VWの1600CC以下ターボ型エンジン搭載車台数(単位:1,000台)

450

50

150

550

350

250

100

0

400

200

500

300

141

313

2014

181

511

331

193

2012

10071

38

224

88

2010

137

2009*1

213

2011

155

84

2013

334

ルール形成効果*1(2010-2014年):約95.7万台

約2兆1,600億円≒VWの中国売上高(推定)*2

の約6.1%に相当

補助金による1,600cc以下

ターボ型エンジン搭載車の

販売台数増加分(推定値)

CAGR:67.8%

ルール形成されなかった場合の

販売台数推定(推定値)

CAGR:36.2%

ルール形成のビジネスインパクト【事例3】 フォルクスワーゲン中国におけるダウンサイジングターボ優遇措置働きかけ (2/2)

ルール形成

ルール形成効果

DST優遇/HEV冷遇

の補助金税制成立

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「ルール形成」とは何か?(ルール形成戦略 方法論導入編)

20

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安全保障経済政策

国益 企業利益生活者の共通善

ルール形成の目的

市場創造・競争力強化

社会課題解決

×

×

ルール形成の戦域

技術革新

Standards×

Regulations

ルール形成の構成要素

アジェンダセッティング

枠組み形成ルールデザイン

コンセンサス形成

政策

外交・通商・軍事規制・恩典

標準化・マネタイズ多様化

Win-Winシナリオづくり

マーケティング

消費者行動の変化

ゲームチェンジ課題提起・戦略策定

× ×

× ×ルール形成

ルール形成の全体像

ルール形成において企業が「陳情」から脱するには「ルールデザイン」の方法論を理解することが重要

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Standards Regulations

国際標準

地域標準

国家標準

フォーラム/業界標準

個別企業規格

デファクト

デジュール

国際条約/協定

欧州指令/規則

政省令/規則/告示

通知/通達/ガイドライン

条 例

法 律

国際/政府間

ISO / IEC

EN規格(欧州)

JIS

Wi-Fi

Windows

FTA / EPA

電気通信番号規則

プライバシー指令

電気通信事業法

MVNOガイドライン

消費者保護条例

22

「ルール」は企業・民間機関が主導する「Standard」と政府・国際機関が主導する「Regulation」に分けられる

「ルール」の類型

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「Standards×Regulations戦略」のフレームワーク

デファクト化 (de facto)

ネットワーク経済性による規格採用インセンティブの向上(規格の競争力)

標準*1

(Standards)

強制規格化(Regulations)

標準の法制度化(国際法・地域法・各国法)

AND/OR

対象ルール ルールが効果的に機能するための条件

標準化

(Standardization)

認 証

(Certification) 規 制

(Regulation)

履 行

(Implementation)

脚注:WTO・TBT協定において、強制規格は、technical regulations、任意規格は、technical standards

*1:「標準」には、標準化機関・団体等が定める国際標準、地域標準、国家標準、民間標準(フォーラム標準、コンソーシアム標準)のほか、企業標準や法令に含まれる要件なども含む

23

「標準(Standards)」と「規制(Regulations)」を組み合わせることでビジネスに大きなインパクトを創出することを狙う

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強制規格化(Regulations)

デファクト化 (de facto)

標準*1

(Standards)

24

「Standards×Regulations戦略」のフレームワーク

*1:「標準」には、標準化機関・団体等が定める国際標準、地域標準、国家標準、民間標準(フォーラム標準、コンソーシアム標準)のほか、企業標準や法令に含まれる要件なども含む、WTO・TBT協定において、強制規格は、technical regulations、任意規格は、technical standards

AND/OR

対象ルール ルールが効果的に機能するための条件

標準化(Standardization)

認 証(Certification)

規 制(Regulation)履 行

(Implementation)

標準(Standard)の実現だけでは必ずしもビジネスにインパクトなし。

デファクト化する、あるいは規制(Regulation)と掛け合わさることで、競争力や障壁に昇華する

強みが際立つ定義・コンセプト作り

定義・コンセプトの採用の入れ込み

APECガイドライン

各国法令

STEP1

STEP3

経済合理性による強制力の獲得

「リスクサーベイ機能補完によるアライアンス型ビジネス」(発電所保険のリスク評価精緻化)

STEP2

(参考)APEC「質の高い電力インフラ」ガイドライン策定での考え方

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(参考)「ルール形成の目的」と「ルールの構造における攻めどころ」の考え方

日系企業が特に

有利になる

ルールを形成する

特定の競合を恩典から外させる

政策を無効化させ競争軸を変える

(商品力勝負への回帰 等)

ルールの構造における攻めどころ戦 略

ルール形成の目的例 とるべき戦略の違い (例: タイ「第2期エコカー政策」)

恩典を得られる条件である「エコカー規格」(Standard)を「HV車に設定(限定)」

認可条件を恣意的に変更(競合が適用対象から外れるよう閾値を設定)

奨励措置を変更(例:物品税の減免を廃止等)

Regulation

Standard 認可条件

50億(新規:65億)THB以上投資 申請4年目以降の10万台以上生産

エコカー規格

1,300cc以下のガソリン車/1,500cc

以下のディーゼル車 欧州排ガス規制Euro5に適合 燃費:23.3km/L以上 CO2排出量:100g/km以下

奨励措置

法人税6年間免除 物品税率14%、E85燃料対応の場合は12%(通常は30%)

Regulation

Standard 認可条件

50億(新規:65億)THB以上投資 申請4年目以降の10万台以上生産

エコカー規格

1,300cc以下のガソリン車/1,500cc

以下のディーゼル車 欧州排ガス規制Euro5に適合 燃費:23.3km/L以上 CO2排出量:100g/km以下

奨励措置

法人税6年間免除 物品税率14%、E85燃料対応の場合は12%(通常は30%)

Regulation

Standard 認可条件

50億(新規:65億)THB以上投資 申請4年目以降の10万台以上生産

エコカー規格

1,300cc以下のガソリン車/1,500cc

以下のディーゼル車 欧州排ガス規制Euro5に適合 燃費:23.3km/L以上 CO2排出量:100g/km以下

奨励措置

法人税6年間免除 物品税率14%、E85燃料対応の場合は12%(通常は30%)

ルール形成の目的次第で「Standard」「Regulation」の攻めどころ(ルールデザイン)が異なり、アポイントをとるべき相手も異なる

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RegulationによるStandard「参照」型 RegulationによるStandard「内包」型

StandardRegulation

欧州のルール形成基本戦略 米国のルール形成基本戦略

EU指令・規則(Directive・Regulation)

国際標準

欧州規格

技術要件参照

Regu-

lation

技術要件

Regu-

lation

技術要件

Regu-

lation

技術要件

参照

上位法/国際標準

下位法/国内標準

(各国規格が存在するものの、欧州規格へ統合の方向)

Regulation

連邦法(Federal Laws)

Standard

技術要件を直接規定

…各国法 各国法 各国法

Regu-

lation

Regu-

lation

Regu-

lation

州法 州法 州法Stan-dard

強い二元性

(800以上の機関が発行する多数の任意規格)

デファクト化による国際化が基本戦略(必ずしもデジュア化目指さず)

(連邦法/州法が国際標準を参照するケースもあるが

欧州に比して少ない)

Standard(国際標準)レバレッジ戦略 Regulation(連邦法/州法)輸出戦略

国際標準(ISO/IEC)の獲得に注力

相手国の規制への国際標準(ISO/IEC)引用を慫慂

(例: 韓EU FTAにおける「国際標準=ISO/IEC」という規定記載)

米国企業が競争力を発揮し易いルールのデザイン・普及

(例: 米韓FTAにおける自動車排ガスカリフォルニア基準導入)

背 景 •ルールの域内統合を最優先。そのためには、各国法規を毎度調和させるのではなく、国際/EU標準の積極活用が得策

•連邦国家ゆえに州法が個別に併存。そのため、各州法の中で最適ルールを実現すべく独自規制を形成

対外ルール形成

アプローチ

各国規格

EU指令を各国法に反映

Standard

各国規格

Standard

各国規格

Standard任意規格

任意規格

任意規格

任意規格

任意規格

任意規格

任意規格

任意規格

Standard Standard Standard Standard

Standard Standard Standard Standard

Sta

nd

ardと

Reg

ula

tio

nの相互関係

Stan-dard

Stan-dard

26

欧・米いずれもStandards×Regulations戦略でグローバルルール形成を推進している

欧米のルール形成基本戦略

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企業によるルール形成事例

27

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*1: メキシコ保健省令において、外国の医療機器の薬事登録制度をメキシコの制度と同等と認定するための基準を規定(2010年9月)*2: 韓EUFTA・電気電子附属書(Annex2B)2条1項、自動車付属書(Annex2C)2条1項)*3: Directive 2007/46/EC

*4: EUバイオサイド製品規則(No.528/2012、Biocida; Product Regulation)は、EU域内で流通するバイオサイド製品の機能向上、人・環境への影響を防止することが目的(2013年9月施行)。「処理された成形品(Treated article)」も含まれ、抗菌処理を施した製品も該当する

「Standards×Regulations戦略」によるルール形成戦略事例

ルール形成機会となるRegulationのあるところに、適切なStandardを入れ込む

獲得したStandardをRegulationに引用させる/関連づける

i ii

政府主導

民間主導

事例Standardを引用したRegulation

獲得したStandard事例

ルール形成機会となる

Regulation新たに入れ込むStandard

28

事例 :「抗菌」規格化 日本抗菌製品技術協議会(SIAA)による抗菌試験方法のISO規格獲得

EUバイオサイド品規則(BPR)*4

による抗菌製品

を含む製品規制

事例 :韓EUFTA

電気電子分野において、ISO・IEC・ITUを国際標準

として定義・自動車分野はUNECEを国際標準と定義*2

韓国EU

FTA

EUにとって

優位性のあるISO・IEC・ITU・

UNECE

事例 :福祉車両規格

スウェーデンによる自動車関連福祉用具のISO規格獲得

四輪車設計に関する

EU指令*3

車両における車椅子固定方法・乗員拘束装置等

抗菌試験方法

事例 :ヤクルト乳酸菌飲料

ヤクルトによる「乳酸菌飲料」の国際食品規格獲得

EU・エコデザイン

指令

3

消費税等の関連税法

(例:イタリア)

事例 :

ベトナム省エネ性能 日本政府・企業によるベトナムにおける省エネ性能の高い評価基準の導入・環境整備

1

ベトナム省エネ法・省エネ

ラベリング制度

事例 :ダイキン省エネ基準

ダイキン・ヨーロッパ、ダイキン中国による省エネ基準作り

2

省エネ性能評価方法

(インバータ技術による年間消費電力値)

乳酸菌飲料の規格

引用

波及

有効と認知

入れ込み

入れ込み

引用

4

5

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事例 :ベトナム省エネ性能日本政府・企業によるベトナム省エネ性能の評価基準の導入・環境整備

29

ベトナムの課題日本の課題

*1: アジア基準認証推進事業。ベトナムのほか、事業の対象

国には、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシアが含ま

れる、*2:省エネルギー等普及基盤構築支援調査事業、

*3:JICA技術協力、*4:日本冷凍空調工業会や基準認証

イノベーション技術研究組合、日本電気工業会などが参画

国際標準開発・提案準備/アジア諸国の試験・認証能力向上を支援*1

• 冷蔵庫とエアコンの省エネ性能試験設備整備• ISO/IEC提案向け実証データ取得• 日本からの専門家の派遣/研修生の受入れ

アジア諸国における基準認証インフラ

整備を支援*3

• ベトナムへ冷蔵庫とエアコンの省エネ性能を測定する試験設備一式を供与

• ベトナムへ長期専門家派遣

政府、企業等*4

(研究機関、メーカー、認証機関等)

協力

アジア諸国での標準機関との連携強化/国際標準化を推進*2

• 改正IEC規格採用働きかけ• ベトナム試験設備との相互構成• ベトナム試験員の教育・研修 等高い省エネ性能を

アピールできるよう、国際標準化を見据えた改訂案

の開発が必要

日本の使用消費電力量を測定するJIS規格を活用しつつ、国際標準化提案に向けたデータの取得や周辺国への働きかけが必要

省エネ関連法を制定したものの省エネ性能の評価方法がなく、達成不可能な高い省エネ性能

目標値を設定

評価方法の不在により、日本より高い省エネ性能目標値を設定するも、達成期限が差し迫っており、対応が必要

既存ISO/IEC規格は、高い省エネ性能を評価できない

再現性重視による実際の使用消費電力量との乖離(冷蔵庫)*1、高効率状態で運転可能な場合の測定不可(インバータエアコン)といった既存ISO・IECの問題が浮上

アジア諸国からの支持を取り付け、日本提案のISO/IEC標準が成立(IEC標準は見込み)

日本に強みのある省エネ性能の評価方法に関し、既存国際標準改訂による課題解決を狙い、アジア諸国をも巻き込んだStep by Stepのアプローチにより、国際標準獲得を実現

出所:経済産業省基準認証ユニットヒアリングほか、経済産業省、日本冷凍空調工業会、IEC、ISO、JISC等、各所資料に基づきDTC作成

1

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事例 :ダイキン省エネ基準ダイキンによるエコデザイン指令上の有利なエコ要件規定の獲得

30

出所:欧州委員会公表資料、関連論文、ニュースリリース等各所資料を基にDTC作成

*1:2009/125/EC、*2:エコデザイン指令を実施する欧州委員会規則(CR(EU) No206/2012)

概要

発信

成果獲得までの経過

エネルギー関連製品へ環境配慮設計を義務付けるエコデザイン指令上の空調・扇風機の要件

決定前の政策プロセス初期段階から関与

消費電力測定を比較検討する情報を欧州委員会に適時のタイミングで提供し、インバータ技術

が進んだ同社にとって有利な政策形成を実現

ダイキン・ヨーロッパは、渉外活動(ロビー

活動)をコンサルテーションと明確に定義• 法律提案前段階の欧州委員会に現状の技術開発

状況や見通しに関する情報提供

• 欧州委員会提案作成の支援

• 欧州議会の情報交換の為の

関係構築

ErP指令への関与

季節ごとのエネルギー効率性を示す指標を

新規導入

• 2012年3月、空調及び扇風機に関するエコデザイン要件を定める規則を公表*2

• 最大エネルギー効率のみの指標だけでなく、季節ごとのエネルギー効率性を示す指標を導入(2012年3月)

欧州委員会に対し、インバータ技術が進ん

だ自社にとって有利となる試験結果を提供

• 欧州委員会がエコデザイン指令に関連し、インバ

ータを用いるケースを含めた比較検討をする必要

が生じた際、最大消費電力では差がなくとも、年間

消費電力に歴然とした差が出る試験結果を提供

適時の情報インプット

有利な規定を獲得

ルールを先取りする社内文化

顧客・社会ニーズを先取りする文化・

仕組みの醸成

• マルチステークホルダー会合(懇話会)を開催

• 欧州委員会・欧州議会、NGOとのコミュニケーションを社内で情報共有し、製品開発の方向性を確認

• 社会に貢献するダイキン哲学を社員へ浸透

渉外活動意義

の明確化

ダイキン哲学の醸成

顧客ニーズ

重視

社会ニーズ

重視

社内

啓発

2

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事例 :ヤクルト乳酸菌飲料ヤクルトによる乳酸菌飲料の国際規格化の獲得

31

ヤクルトは、全国発酵乳乳酸菌飲料協会を通じて、国際政府間組織「コーデックス委員会」において、乳酸菌飲料を発酵乳規格の4つ目のカテゴリーとして含めることに成功

国際規格化されることで、乳酸菌飲料の健康食品としての認知が世界各国で確立し、イタリアでは食品区分の変更により税率が低減

4つ目のカテゴリーとして、2010年に

「乳酸菌飲料」を新たに定義

「コーデックス乳・乳製品部会」に影響力をもつ「IDF(国際酪農連盟)」を通じて、他国を巻き込んだ多数派を形成

コーデックス乳・乳製品部会

日本政府ニュージーランド政府(議長国)

インドネシア政府

・・・

全国発酵乳乳酸菌飲料協会

IDF

(国際酪農連盟)

JIDF

(国際酪農連盟日本支部)

ヤクルト他の飲料メーカー

乳酸菌飲料の国際規格化への働きかけ

多数派形成の働きかけ依頼

政府代表団への技術助言

業界団体や海外政府を巻き込んだ活動により、乳酸菌飲料の国際食品規格化を実現

出所:全国発酵乳乳酸菌飲料協会「乳製品乳酸菌飲料のコーデックス規格化の現状」等よりDTC作成

発酵乳

発酵乳

濃縮発酵乳

フレーバード発酵乳

乳酸菌飲料

3

乳酸菌飲料の国際食品規格における位置づけ

コーデックス乳・乳製品部会における多数派形成の手法

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事例 :福祉車両規格スウェーデンによる福祉車両の国際規格化(ISO規格化)の獲得

32

ISO-TC22(自動車分野)幹事国:フランス

自動車業界主導による福祉車両に関するISO

業界に有利な思想の反映

自動車関連企業

国際ルール動向

ISO自動車分野技術部会

2005年から協議するも頓挫

日本では国内福祉

車両規格が未整備。

賛同得られずルール

化に失敗

EU域内での自動車関連製品の流通規制

ISO福祉用具分野技術部会

国際標準化動向(ISO)

EU指令

スウェーデン対応体制

スウェーデン規格協会

スウェーデン標準化協議会

スウェーデン政府及びスウェーデン企業連合がコミッショナーを任命

スウェーデンを代表する

福祉車両ソリューション

企業などが参加

ISO10542

(車両における車いす固定方法と乗員拘束装置等)

福祉用具関連企業

ISO-TC173(福祉用具)幹事国:スウェーデン

業界に有利な思想の反映

2001年発行

福祉車両について引用

EU指令/2007/46

(4輪車設計に関する規定)スウェーデン政府

交渉参加

任命

加盟国

スウェーデンがISOにて中心的な役割を果たし、福祉用具分野の技術部会で福祉車両に係る標準化が進展。これがEU指令に組み込まれることによって、欧州ルールとして影響範囲が拡大

4

対抗

標準化総括組織

標準化団体

政府

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事例 :「抗菌」規格化SIAAによる抗菌試験方法のISO規格化の獲得

33

ISO化を推進する体制が業界内にあったことに加え、海外も含めて普及活動に取組んできたことが特徴的。後に導入された抗菌製品を対象に含むEU規則への対応においても、同試験方法が有効なものとして認知

出所:経済産業省基準認証課ヒアリングほか、経済産業省、SIAA、CENTEXBEL等各所公表資料に基づきDTC作成*1: ISOに対して影響力があるとされる *2:Centexbel公表資料による

抗菌製品技術協議会(SIAA)とは

安心して使える抗菌加工製品の普及を目的として発足

1998年6月発足

会員数:159(2008年2月)

•海外会員も参加(中国、韓国、台湾、香港、英国等)

自主基準であるSIAAマーク(自ら適合性を宣言)を運用(第1段:1998年12月~)

抗菌の試験方法のJIS規格化が実現、SIAAマークに併記(第2段:2000年7月~)

抗菌試験方法のISO規格化が実現(ISO22196)、SIAAマークに併記(第3弾:2007年11月~)

Sta

nd

ard

Regulation EUバイオサイド品規則(BPR)が導入され、抗菌製品を含む製品規則がラベリング等の規制対象化 抗菌製品は、「処理された成形品(Treated Article)」に含まれ、ISO22196が有効な試験方法の一つとされる*2

抗菌製品技術協議会(SIAA)とは

国内標準化

国際標準化

ISO化取組み 国内の動向

抗菌製品ブーム但し定義・基準等が不在

海外の動向

SIAA発足(1998年)

抗菌加工製品のガイドライン公表(経済産業省(1998))

JIS規格化・試験所認定制度への追加を発表

JIS規格の制定(JIS Z 2801)(2001)

試験所認定(JNLA)制度によって、試験機関が認定(2001年)

ISO規格化提案TC61/SC6/WG7(プラスチック/老化・耐薬品・耐環境性)提案(2004年)

IBRG*1(国際微生物

劣化研究グループ)による高い評価・理解日本がJISを積極的に紹介

SIAA内にISO推進プロジェクトを発足標準化責任者へ経験豊富な人材を国際会議に同行させる

など積極的に支援

ISO化を実現(2007年:2011改訂)

OECD抗菌試験テストガイドライン策定

(最終原案審議中)

海外抗菌市場の成長SIAAによる海外普及活動も

抗菌製品技術協議会(SIAA)マークとは 抗菌試験方法のISO規格化

5

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社会インフラ産業におけるルール形成戦略の特徴

34

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製品市場が未成熟で小さい

効率的に他国市場に

横展開できない

法令遵守しない企業とも

競争をしなければならない

現地政府における制度整備から関与することで、自社に有利な新市場を創造する

国際規格の策定を主導することで、他国でも自社製品がそのまま参入できるようにする

現地政府と連携して法令の実効性を高めることで、法令遵守しない競合企業の競争力を押さえ込む

35

社会インフラ事業におけるグローバル企業のルール形成事例

ルール形成のアプローチ

ファーレンダー(独)、ABB

及びドイツ政府によるベトナム風力電力市場の創設支援

アルストム、シーメンス等欧州企業による欧州列車制御システムの国際標準化

GEによるメキシコ連邦環

境検察庁と連携した環境規制遵守の徹底

競合企業による実施例企業の抱える事業課題

欧米によるルール攻勢事例 :社会インフラ事業におけるルール形成の典型例

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ドイツ政府からの無償資金協力も活用してベトナムに風力発電市場を創設し、ファーレンダー(独)、ABBの製品を投入

36

ベトナム風力電力市場の創設支援の概要

出典:各種資料及び現地企業ヒアリングよりDTC作成

ルール形成の背景

ベトナムにおける風力発電のポテンシャルは高いものの、事業性の理由から風力発電が未普及

ベトナムは長い海岸線を有し一定の風力が得られるとして、世界銀行「東南アジア地域風力発電調査(2001

年)」でもポテンシャルに言及

しかしながら、再生可能エネルギーを優遇する電力買取制度が未整備

ルール形成の狙い

風力発電の売電価格を引き上げることで事業性を確保して市場を創設し、当該市場に製品を投入を狙う

ルール形成のアプローチ

ドイツ政府の無償資金協力を活用し風力発電市場の創設に向けた技術面・法制面の検討をリード。さらにセミナーも開催し、機運醸成

風力発電による電力の買取価格を、7.8USセント/kWhとし、さらに地域限定で税制優遇する制度創設

ファーレンダー(独)、ABB社の機器を用いて、ベトナム初の風力発電所が2012年に操業開始

欧州勢によるベトナム風力発電市場創設に向けた動き

ドイツ技術協力公社(GTZ)

ベトナム商工省

ドイツ国際協力公社(GIZ)

欧州企業(ファーレンダー/ABB)

ベトナム風力発電企業(REVN社等)

欧州 ベトナム2009年、無償資金協力「風力発電のための技術支援と法的枠組み策定」を提供

2012年、「ベトナム・ドイツ風力エネルギーフォーラム」を開催

ベトナム初の風力発電所に自社製品を投入

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アルストム・シーメンスの他国展開も見込み、欧州列車制御システムの国際標準化が進められている

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欧州列車制御システムの国際標準化の概要

ルール形成の背景

鉄道の車両・線路規格、進行方向、電化方式、信号システムなどが、国ごと・路線ごとに異なっている

欧州の鉄道については、国境を越えて行き来できるよう、EUが中心となり欧州列車制御システム(ERTMS)を開発している

ERTMSプロジェクトには、欧州の鉄道事業者のほか、アルストム・シーメンスといった鉄道メーカーや、研究機関が参画

ルール形成の狙い

鉄道技術の他国展開、特に新興国への横展開にあたり、欧州仕様のまま円滑に市場参入を図る

参入市場毎に、複数仕様を配備したり、仕様調整する手間・コストを削減

ルール形成のアプローチ

欧州勢はERTMSを鉄道技術の世界標準とする動きを進めており、2007年には国際鉄道連合(UIC)総会にてERTMSをUIC標準とする旨提案

一方、日本の鉄道技術が世界標準から外されることを危惧して、日本はこの提案に反対表明

JR東日本を中心に国際電気標準会議(IEC)において無線を用いた列車制御システムに関する国際規格として別途ATACSを提案

列車制御システムの国際標準化に向けた動向

UIC IEC

日本勢JR東日本等

ERTMSのUIC

標準化を提案

出典:JR東日本「ATACSの安全確保の考え方について」他、各種資料よりDTC作成

欧州勢ALSTOM

SIEMENS等

ERTMSの標準化に反対

IEC/TC9/PT62773

においてATACSを提案

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GEはメキシコ連邦環境検察庁と連携し、環境規制の執行徹底を図り、他社にも法令遵守を迫っている

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メキシコ連邦環境検察庁と連携した環境規制遵守徹底の概要

ルール形成の背景

メキシコ等新興国においては、特に地場企業を中心に、環境規制を遵守せず、これにより浮いたコストで競争力を高めている

メキシコにおいては連邦環境検察庁が環境規制違反への査察権限を有している

連邦環境検察庁が617鉱山に査察を行ったところ、257

鉱山で規制違反を指摘。うち74鉱山に緊急安全対策措置を命令し、さらに31鉱山に閉鎖を命令(2014年10

月)

ルール形成の狙い

現地政府における規制の実行力を高め、競合企業にも環境規制を遵守させることで、不当なコスト競争力をそぎ落とす

さらに、連邦検察局との協力関係を構築することで、競合企業が不正を行わないための抑止力とする

ルール形成のアプローチ

連邦環境検察庁と協力契約を締結し、GE所有の工業団地入居企業及びサプライヤーに対して、「クリーン・インダストリー・プログラム」への参加を要請

当該プログラムにおいては、空気、水、廃棄物、騒音など施設の環境リスクに関係する法令遵守について第三者機関が監査

不備が見つかった場合、当該施設と連邦環境検察庁との間で是正行動計画を策定

GEによる連邦環境検察庁との連携手法

GE 連邦環境検察庁

GE所有の工業団地入居企業

GEサプライヤー 第三者機関

協力契約の締結

クリーン・インダストリー・プログラムへの参加要請

環境リスク関連の法令遵守の監査

是正行動計画策定

出典:GE「2007-2008年度シチズンシップ・レポート」よりDTC作成

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本社によるルール形成「実行」型本社によるルール形成「主導」&地域各社による「実行」 型

地域各社と事業部による自走型

地域

地域

地域

A事業部

B事業部

研究開発部門

Global HQs

各国 政府/業界団体 等

案件組成

渉外指示

渉外実施

地域

地域

地域

A事業部

B事業部

研究開発部門

Global HQs

各国 政府/業界団体 等

案件組成

渉外実施

連携

(各地域拠点に本社渉外部アタッシェがいる場合も)

地域

地域

地域

A事業部

B事業部

研究開発部門

Global HQs

各国 政府/業界団体 等

渉外実施

個別に案件組成

報告

Global HQs集権 地域/事業部 分権

日本企業のルール形成成功事例はこのパターンが多い

欧米系グローバル企業はこのいずれかパターンが多い

i ii iii

グローバル企業のルール形成の仕組みは3つのパターンに分けられる

グローバル企業の「ルール形成」プロセス/組織パターン(概論)

39

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グローバル企業のルール形成に関する組織特徴

社会インフラの海外強豪はそれぞれ自社戦略やルール形成の目的に合致した特徴的な組織体制を構築している

40

出所:各社HP等公開資料及び外部ヒアリングを基に、DTC作成

• 本社技術部門(Corporate Technology)が全社のルール形成活動の起点となっている

-国際標準化(Standardization)推進チームの中にRegulationに対応する機能を具備

• 経営戦略・ビジョン(Picture of the Future)に基づきルール形成アジェンダを選定

• CEOがロビイング活動の承認に強く関与

• 業界団体における合意形成を重視

• 事業カンパニー・地域各社にルール形成のマインド・スキルを浸透。そのうえで大幅なロビー権限委譲

-本社にはルール形成をグローバル統括する組織を置かず、委員会形式で各地の活動を把握・承認

- カンパニーのGovernment Affairs担当職員以外にもロビイング講習を定期的(事業領域毎)に開催

• 業界フォーラムを形成・リードすることに長けており、欧州においても業界団体のトップを務める

• ロビイング支援のサービスを外販していることもあり、ロビイストの内部雇用の割合が高い

-ルール形成組織は専門性をもった独立機関として設置。他部門との兼任はさせない

• ルール形成案件は自社のコア事業関連に特化し、絞り込んだアジェンダを継続的に追及

- 「Workplace flexibility」や「Global Integration」等のアジェンダ軸でルール形成担当を配置

• 「中央集権」「本社主導」のルール形成体制

-ルール形成案件は新規事業の市場創造を目的としたものが主のため、事業部門では対応困難

-グローバルでのメッセージ方向性の整合を重視。そのため本社主導の案件管理・承認が必要

- 特に、コア事業のリスク回避(個人情報アジェンダ等)のためのロビイング整合性は徹底

• ロビイストの外部雇用比率が高い (行政府出身者比率が8割)

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(各論)今後のわが国ルール形成戦略のキープレイヤー

(個別企業以外)

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我が国ルール形成戦略には日系グローバル認証機関の実現が必要

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ルール形成

ルール普及

ルール活用

認証機関が果たす役割 日本の課題

技術力でルール形成競争を制する

• 認証ケイパビリティ(設備・人材)がルール形成の競争力に直結

(“この認証機関の この試験設備でないと測れない”状態になることはルール形成における圧倒的な優位性)

自国に有利なルールの普及拡大

• 規格開発・標準化(ルール形成)と認証サービス(収入源)の一体運営による好循環形成

(独立採算組織が規格開発している前提)

ビジネス取引コストの低減

• 広範な規格の認証取得(ワンストップ)

• 海外ローカル規格の認証取得の円滑化

• 法令毎に個別の小規模認証機関が散在しており、大規模試験センタや大人数エンジニアを保有する認証機関が不在

• 規格開発・標準化をおこなうJISCと各認証機関が別組織なことで、認証機関がルール普及に対するインセンティブに欠ける

• 小規模の認証機関が散在しており、企業の認証ワンストップ対応が困難

• グローバル対応認証機関が少ないため、海外ローカル規格取得にはコスト/リスクが伴う

- 開発品の移送を伴う認証はリバースエンジニアリングのリスクが伴う

グローバル展開

する

日系の認証機関

の実現が必要

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日本の認証機関は規制・対象品目別に設置されている。海外の大型機関と比較するといずれも小規模であり、海外展開も遅れている

43

日本の認証機関の設置状況と規模(一部抜粋)

Bureau Veritas(仏)【39,067人】

SGS(スイス)【57,153人】

DNV(ノルウェー)【8,866人】

日本海事(日)【約1,400人】

Intertek(英)【25,183人】

TUV-Rheinland(独)【13,804人】

DEKRA(独)【13,804人】

Underwriters Lab(米)【6,921人】

TUV Nord(独)【8,101人】

TUF Sud(独)【13,909人】

JQA(日)【820人】

JET(日)【250人】

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

020 40 60 80 100 120 140 160

出所:各省ウェブサイト、経済産業省調査に基づき、DTC作成

海外認証機関との規模比較

厚生労働省

薬事法 指定管理医療機器

コスモス・コーポレイション - 250

日本品質保証機構(JQA) 14,200 820

電気安全環境研究所(JET) 4,000 250

医療機器センター 734 -

・・・

農林水産省

JAS法

日本食品分析センター - 1,132

日本食品油脂検査協会 236 -

食肉科学技術研究所 120 -

日本油脂検査協会 153 -

日本醤油技術センター 103 -

日本合板検査会 815 -

・・・

ドレッシングマーガリンハム類植物油しょうゆ合板・・・

(億円)

監督官庁根拠となる標準・法令

認証対象 認証機関名売上高(百万円)

従業員(人)

総務省 電波法 特定無線設備

日本アマチュア無線振興協会 283 65

日本品質保証機構(JQA) 14,200 820

電気安全環境研究所(JET) 4,000 250

認証技術支援センター - 8

・・・

経済産業省

工業標準化法

建材試験センター 4,736 -

日本建築総合試験所 - 178

日本ガス機器検査協会 3,872 199

電気安全環境研究所(JET) 4,000 250

日本エルピーガス機器検査協会 415 -

日本車両検査協会 842 -

日本品質保証機構(JQA) 14,200 820

日本水道協会 2,343 -

・・・

消費者用製品安全法

日本品質保証機構(JQA) 14,200 820

電気安全環境研究所(JET) 4,000 250

日本ガス機器検査協会 3,872 199

・・・

レーザーポインタ浴槽用

温水循環器・・・

・・・・・・

建材類建材類ガス機器電気機械ガス機器自動車(全般)

水道用資機材・・・

売上高

事業所立地国数

事業所立地国数0 31

150

売上高

(海外企業はFY 2009、日本企業はFY 2013の値。丸の大きさは、従業員数を表す)

50

100

2

JQA(日)【820人】

JET(日)【250人】

日本ガス検査協会(日)【199人】

アマチュア無線振興協会【65人】

コスモス・コーポレイション(日)【250人】

(億円)

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欧米系認証機関は、世界中で積極的にM&Aを展開

44

SGS(スイス)がFY 2013に行ったM&A

買収先企業 本社所在地 分野

RDFI Group フランス vehicle inspection

Qingdao Yuanshun

Automotive Services中国・山東省 vehicle inspection

Grupo Labmat ブラジル materials testing

MSi Testing &

Engineering北米 materials testing

Civil Quality

AssurancePtyオーストラリア materials testing

MIS Testing Ltd. イギリス materials testing

Industrial Valve

Engineering limitedNZ materials testing

Enger Engerharia SA ブラジルmaterials testing, technical consultancy

for the infrastructure and building market

E&S Engineering

SolutionsUSA minerals testing

Time Mining Group 南アフリカ

process plant design, project

management, and commissioning and

optimisation services for minerals

processing plants

Umweltanalytik RUK

GmbHドイツ

biogas, stack and fugitive emission

testing services

MIS Environmental イギリスasbestos, environmental and health and

safety testing and consultancy services.

買収先企業 本社所在地 分野

Secaron AG ドイツIT Consulting, information security

services

OpenSky USAIT Security of networks and computer

systems

MINELL Kft. ハンガリーnon-destructive testing services in the

energy sector

NIFE インドvocational training and advanced training

seminars in the fields of fi re and safety,

elevator technology, and fiber optics

Ifes GmbH (institut für

angewandte

energiesimulation)

ドイツ

development of sustainable energy and

climate concepts on the basis of

simulations, certification of real estate in

accordance with sustainability standards

for buildings

TÜV Rheinland(ドイツ)がFY 2013に行ったM&A

出所:各社Annual Reportを元に、DTC作成

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欧米系認証機関の中には、ルールメイクにも関与している事例も

45

UL (Underwriter’s Laboratories

アメリカ保険業者安全試験所) 規格の国家規格化

UL規格の策定

国家標準(ANSI)への

登録

世界標準(IEC/ISO)への登録

アクション アクション 例:難燃性試験

• 1894年全国火災保険業者会議により設立した非営利法人であり、アメリカにおける最も権威のある安全試験及び製品検定証明機関

• 主に安全性に関するUL規格を独自に策定。UL認証は任意であるが、一部の州、地方自治体で義務化されており、米国では事実上強制規格

ULとは

• 認証機関であるULが、独自の安全性基準を策定

• UL規格の多くはANSI/UL規格としてANSIに取り込まれ、米国国内標準に

• ANSIはIEC/ISOの議論の場で、ANSI/UL規格の国際標準化・IEC/ISOとの調和を積極的に推進

UL94

• プラスチック製品の難燃性試験に関する独自基準

ANSI UL94

• UL規格を国内規格として承認

IEC 60707他ISO 9772 /9773

• IEC/ISOで国際標準化

SGS-TÜV(SGSとTÜV Saarの合弁企業)の

ISO26262策定への関与

• 自動車の機能安全に関わる国際標準• プロセス産業における電気/電子/ソフトウェアの機能安全に関わる国際規格「IEC 61508」を自動車向けに改変

• 車載電子システムで起こりうる障害をを避けるため達成すべき安全度を、ASIL (Automotive

Safety Integrity Level) として4段階(A~D)で表現

ISO

26262

とは

SGSジャパン株式会社 機能安全グループテクニカルディレクター山下修平 氏2005年ISO/TC22/SC3/WG16発足と同時に国際規格ISO26262策定メンバーとして活動に参

加、並行して日本自動車技術会電子電装部会機能安全分科会長に就任し2012年末の退任まで国内の規格審議活動を主導

規格策定関与

新ビジネスの開拓

出所:報道資料、各社ウェブサイト、JISC・ISOウェブサイトを元に、DTC作成

• ISO26262の策定に関与した実績を「売り」に、認証にとどまらない周辺サービスを提供 ISO26262認証獲得のためのコンサルティングサービス

ISO26262に関する理解度を証明するAFSP

(自動車機能安全プロフェッショナル)資格を独自に策定し、認定

「AFSPコース」などの研修プログラムを提供

• ISO/TC22/SC3/WG16のメンバーとして、発足当初からISO26262規格策定に関与

SG

S-T

ÜVの活動

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国家間交渉に至る前の、業界団体など諸団体レベルでの働きかけが、企業間の競争の成否を分ける今日の主戦場となっている

業界団体によるルール形成パターン

国外

46

業界団体/フォーラム/NGO

企業

政府/行政

他社

⑤自社の声

を代弁⑥情報集約と

対応の統一

⑦ルール浸透

を後押し

自国内

①自社の声への

正統性確保

他社

②自社の声への

同調拡大

自社

③自国政府の交渉

力強化に貢献

自社による行動

業界団体による行動

国家間の交渉

国家間交渉にエスカレーションする前が勝負の分かれ目

個社として能動的に外国の業界団体にも働きかけをし、このレイヤーで戦う

ことが有効

日本は、国対国の交渉力が劣位

業界団体を通じた意見形成が効果的

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単に外国の業界団体に加盟するだけでなく、下位委員会からの人事・議論掌握を経て海外競合より優位な立場を獲得。外国議会への助言にまで結実することが可能

GEによるEUTurbines活用事例概要

47

外国での業界団体における高位ポジションの獲得により、政策執行機関へ助言する前手で、海外団体内での議論の方向性を自らハンドリングできる

事例から導き出される示唆

SiemensやAlstomなど欧州系競

合を退け、GEは業界団体の

Presidentポジションを獲得

Stakeholder Committeeの設置な

どの組織改革、2020年までの

中期計画などGE流の改革実施

団体の概要

EUTurbines

団体名称

欧州のエネルギー産業における

ポジション強化とグローバルマー

ケットにおけるリーダーシップの

維持のため

設立趣旨

コアメンバー9社と、その関連企業

参加企業数

GE Energy、 Siemens、

ALSTOM、Rolls-Royce他

主要参加企業

欧州域内で7万人超を雇用し、

250億ユーロ超の市場規模である

タービン業界において、米国企業

GEの声は数の上で埋没しがち

GEにとっての課題

達成された成果

事例の概要

GE Energy(仏HQ)の行動

企業側のアプローチ

海外業界団体では下位委員会から議論を主導• 技術委等、サブ委員会での人事・議論を掌握

中堅加盟企業と優先的に関係強化• Siemens, Alstomなど巨大プレーヤー以外の中堅他社を、事業提携等を通じ取り込み

欧州委員会

4分野の政策を助言(Industry, Energy,

Environment, Research)

下位委から欧州勢との議論をリード

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米国では、業界団体や企業がルール形成活動

を成功させやすい

出所:「Lobbying Success in the United States and the European Union」(Mahoney, C. 2007)等により作成

米 国

市民

基金

業界団体・組合

企業・企業コンサルタント

政府

不成功

成功40%

不成功成功56%

不成功

成功38%

不成功

成功67%

不成功成功53%

不成功

成功61%

89%

不成功

成功不成功

成功57%

不成功成功53%

不成功

成功70%

米国及び欧州機関に対する

ロビー活動の成否の傾向

企業への示唆

鍵となるロビー対象

欧 州

欧州では、全てのグループが一定程度ルール

形成活動を成功させやすい

選挙で選出された議員によるルール形成プロセスであるため、企業・業界団体等の個別利益に好意的となる傾向特徴分析

欧州機関は、欧州委員会が政策提案権を独占するボトムアップ型ルール形成プロセスであるため、企業・業界団体等の個別利益に好意的となるインセンティブが少なく、バランスの取れた形でロビー活動を評価する傾向

企業からの政治サイドへのアプローチが効果的 提案前段階では、政策提案権を独占する欧州委員会へのアプローチが効果的; フェーズに応じ政治サイドへ

企業から政治サイドへのアプローチを主軸に、業界団体をも巻き込み企業への負担軽減・経済への影響をアピール

科学的根拠等に基づき、市民目線にも配慮したバランスの取れた主張を展開すべき基本方針

研究結果

注:「成功」はロビー活動の目的について、一部でも達成された場合を含む

(参考)米国及び欧州機関に対する「ルール形成」活動成否の傾向分析

48

市民

基金

業界団体・組合

企業・企業コンサルタント

政府

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ルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

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組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスをFortune Global 500® の8割の企業に提供しています。“Making an

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ファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTLおよび各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。DTTL(または“Deloitte

Global”)はクライアントへのサービス提供を行いません。Deloitteのメンバーファームによるグローバルネットワークの詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありま

せん。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当

該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本資料の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体

的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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