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ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究 報告書 平成 23 3 総務省 情報通信国際戦略局 情報通信経済室 (委託先:株式会社 NTT データ経営研究所)

ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

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ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

報告書

平成 23 年 3 月

総務省 情報通信国際戦略局 情報通信経済室 (委託先:株式会社 NTT データ経営研究所)

Page 2: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

はじめに 本報告書は、総務省の委託として、NTT データ経営研究所が実施した「ICT インフラの

進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究」

についての調査結果をとりまとめたものである。 総務省では昭和 48 年以降、日本国内における情報通信の現状及び情報通信の動向につい

て、国民の広い理解を目的として「情報通信白書」を編纂、公表している。「情報通信白書」

では、毎年の情報通信を取り巻く環境動向を踏まえた特集テーマを設定しており、「平成 23年版情報通信白書」では、特集テーマを「地域に溶け込むユビキタス社会 ~共生型ネッ

ト社会の実現に向けて~」と設定し、完全デジタル元年となる 2011 年を機に、過去 10 年

を振り返り、ICT によって国民生活がどのように変わったか、そして今後どのように変わ

っていくかを展望する予定である。 本調査では、特集テーマのうち“ICT によって国民生活がどのように変わったか”に着

目し、「ICT を取り巻く環境の変化」、「ICT の普及による生活・社会の変化」について調査

を実施した。調査方法は、公知情報調査を始めとし、消費者向けグループインタビュー調

査、有識者へのインタビュー調査等を用いた。 ICT を取り巻く環境の変化

- ICT インフラの変化 - ICT サービス等の変化 - ICT 端末の変化 - ICT 産業の変化

ICT の普及による生活・社会の変化 - ライフスタイルの変化 - 社会的課題の変化

最後に、調査にご協力いただいた多くの方に、ここにあらためて深く感謝する。

平成 23 年 3 月

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

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1 調査概要 ............................................................................................................................ 1

1.1 背景と目的 1

1.2 調査の範囲 2

2 ICTを取り巻く環境の変化 ................................................................................................. 4

2.1 ICTインフラ 42.1.1 ブロードバンド化の進展 ......................................................................................................... 7

2.1.2 モバイル化の進展 .................................................................................................................. 14

2.1.3 デジタル放送の進展 .............................................................................................................. 20

2.1.4 音声電話の進展 ..................................................................................................................... 27

2.2 ICTサービス等 342.2.1 電子商取引の普及 .................................................................................................................. 34

2.2.2 CGM・ソーシャルメディアの普及 ....................................................................................... 49

2.2.3 映像配信サービスの普及 ....................................................................................................... 52

2.2.4 デジタルコンテンツの普及 ................................................................................................... 53

2.2.5 広告サービスの普及 .............................................................................................................. 58

2.2.6 通信・放送融合サービスの普及 ............................................................................................ 62

2.2.7 電子政府・電子自治体の普及 ................................................................................................ 64

2.2.8 遠隔教育の普及 ..................................................................................................................... 68

2.2.9 遠隔医療の普及 ..................................................................................................................... 69

2.3 ICT端末 712.3.1 ネットワーク化の進展 ........................................................................................................... 71

2.3.2 モバイル・パーソナル化の進展 ............................................................................................ 76

2.3.3 デジタル化の進展 .................................................................................................................. 80

2.4 ICT産業 872.4.1 情報通信産業の進展 .............................................................................................................. 87

2.4.2 ICTベンチャー企業等の進展 ................................................................................................. 99

3 ICTの普及による生活・社会の変化 ............................................................................... 108

3.1 ライフスタイルの変化 1083.1.1 コミュニケーション行動の変化 .......................................................................................... 111

3.1.2 情報収集行動の変化 ............................................................................................................ 126

3.1.3 購買行動の変化 ................................................................................................................... 136

3.1.4 余暇行動の変化 ................................................................................................................... 145

3.1.5 就労行動の変化 ................................................................................................................... 152

3.2 社会的課題の変化 1583.2.1 ネットトラブル ................................................................................................................... 158

3.2.2 サイバー犯罪 ....................................................................................................................... 159

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3.2.3 その他の社会的課題 ............................................................................................................ 162

3.2.4 社会的課題の解消に向けた取組み ....................................................................................... 168

4 参考資料 ........................................................................................................................ 170

4.1 スクリーニング・アンケート調査 170

4.2 グループインタビュー調査 175

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1

1 調査概要

1.1 背景と目的 我が国の ICT インフラは、国際的な比較においても世界最高水準に達している。ICT の

進展度を「基盤(整備)」、「基盤(普及)」、「利活用」に分けると、主要 25 カ国間の比較に

おいて我が国は、先進性、安定性、許容性等の側面から「基盤(整備)」で第 1 位、固定ネ

ット普及、モバイル環境普及等の側面から「基盤(普及)」で第 8 位を獲得しており、総合

進展度では第 2 位と評されている(図表 1.1-1)。

図表 1.1-1:我が国の ICT インフラの進展度

出所:総務省「ICT 基盤に関する国際比較調査」(2010 年)

これに加えて、2011 年はブロードバンドや地上デジタル放送等の次世代 ICT インフラの

整備が完了する。2001 年のブロードバンド元年から始まり、それから 10 年が経過した現

在、我が国はデジタル元年を迎えようとしている。今後は、その高度な ICT 基盤の上で、

多様なアプリケーションやサービスが提供され、利活用の面での発展と共に、国民生活へ

の浸透・貢献が期待されるところである。

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2

こうした節目に際して、本調査では、過去 10 年程度の期間における ICT を取り巻く環境

の変化、ICT の普及による生活・社会の変化を俯瞰し、その普及・進展状況を把握すると

共に、相互の関係性等を分析する。

1.2 調査の範囲 本調査では、先に述べた背景と目的を踏まえて、以下の取組を行っている。 ICT を取り巻く環境の変化

- 対象としては、「ICT インフラ」、「ICT サービス等」、「ICT 端末」、「ICT 産業」

において、これまでどのような発展を遂げてきたのかを俯瞰し、現在に至るま

での 10 年間程度の変遷を整理する 環境の

変化

把握する変化

(普及・進展の状況等)

変化の補足

(変化を支える技術等)

ICT インフラ ・ ブロードバンド化の進展

・ モバイル化の進展

・ デジタル放送の進展

・ 音声電話の進展

・ ネットワークインフラの高速化

・ モバイルインフラの高速化

・ 映像・音声等の圧縮技術の高度化

ICT サービス等 ・ 電子商取引の普及

・ CGM・ソーシャルメディアの普及

・ 映像配信サービスの普及

・ デジタルコンテンツの普及

・ 広告サービスの普及

・ 通信・放送融合サービスの普及

・ 電子政府・電子自治体の普及

・ 遠隔教育の普及

・ 遠隔医療の普及

・ 電子決済の普及

・ モバイル決済の普及

ICT 端末 ・ ネットワーク化の進展

・ モバイル・パーソナル化の進展

・ デジタル化の進展

・ 高速化・大画面化

・ IP 化

・ 通信・放送融合化

ICT 産業 ・ 情報通信産業の進展

(市場規模、事業所数等)

・ ICT ベンチャー企業等の進展

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3

ICT の普及による生活・社会の変化 - 対象としては、「ライフスタイル」、「社会的課題」において、ICT を取り巻く環

境の変化に伴い、どのような生活行動に変化が生じているのか、どのような人

に変化が生じているのか、新たに出現した社会的課題は何かを俯瞰し、その変

遷を整理する 生活・社会の

変化

把握する変化

(行動・課題の種類等)

変化の補足

(分析の視点等)

ライフスタイル ・ コミュニケーション行動 ・ 交流手段としてのインターネットの

位置付け

・ 交流手段の使い分け

・ 情報収集行動 ・ 情報収集メディアとしてのインター

ネットの位置付け

・ 情報収集メディアの使い分け

・ 購買行動 ・ 購買プロセスの多様化(インターネ

ットによるプロセスの多様化)

・ 購買チャネルの使い分け

・ 余暇行動 ・ 余暇手段(娯楽手段)としてのイン

ターネットの位置付け

・ 余暇手段の使い分け

・ 就労行動 ・ 就労形態の多様化

・ 就労に関する情報収集・発信手段の

使い分け

社会的課題 ・ ネットトラブル

・ サイバー犯罪

・ その他の社会的課題

- 安心・安全への懸念

- デジタル・ディバイド

- 地域での ICT 利活用 等

・ トラブル・犯罪の発生件数

・ 政策・施策の動向

・ 企業・団体の動向

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4

2 ICTを取り巻く環境の変化

2.1 ICTインフラ (1) インターネット利用者数の増加

インターネットの普及を見てみると、インターネットの利用者数は、現在にかけて右肩

上がりで増加してきている。中でも、平成 9 年から平成 15 年にかけて、年率 10%以上とい

う急激な増加を続けた。平成 16 年以降は、年率一桁の増加と、緩やかながら増加を続けて

いる(図表 2.1-1)。

図表 2.1-1:インターネットの利用者数及び人口普及率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 平成 9~12 年末までの数値は「通信白書(現情報通信白書)」から抜粋

※2: インターネット利用者数(推計)は、6 歳以上で、過去 1 年間に、インターネットを利用したこと

がある者を対象として行った通信利用動向調査の結果からの推計値。インターネット接続機器につ

いては、パソコン、携帯電話・PHS、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機等あらゆるものを含み(当

該機器を所有しているか否かは問わない)、利用目的等についても、個人的な利用、仕事上の利用、

学校での利用等あらゆるものを含む

※3: 平成 13 年末以降のインターネット利用者数は、各年における 6 歳以上の推計人口(国勢調査結果及

び生命表等を用いて推計)に通信利用動向調査で得られた 6 歳以上のインターネット利用率を乗じ

1,1551,694

2,706

4,708

5,593

6,942

7,730 7,9488,529 8,754 8,811

9,0919,408 9,462

9.213.4

21.4

37.1

46.3

57.8

64.3 66.070.8 72.6 73.0 75.3

78.0 78.2

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

平成9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

(万人)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

(%)

インターネットの利用者数(左目盛) 人口普及率(右目盛)

年率10%以上増加

緩やかに増加

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5

て算出

※4: 平成 13 年末以降の人口普及率(推計)は、③により推計したインターネット利用人口を国勢調査及

び生命表を用いて推計した各年の 6 歳以上人口で除したもの

※5: 調査対象年齢については、平成 11 年末まで 15~69 歳、平成 12 年末は 15~79 歳、平成 13 年末以

降は 6 歳以上

(2) インターネットの人口普及率の増加 インターネットの人口普及率を見てみると、平成 9 年の時点では 10%に満たない状況で

あり、限られた利用者であったことに対し、平成 22 年の時点では 78.2%と、人口の約 8 割

が利用者となっており、かなり広い範囲で普及したと言える(図表 2.1-1)。 (3) インターネットを利用しない理由 インターネットが国民の広い範囲で普及しているということは、一方で、インターネッ

ト非利用者が確実に減少していることを示している。しかし、日本の全人口との対比で言

えば、約 2 割の人がインターネット非利用者である。そこで、インターネット非利用者が、

どのような理由でインターネットを利用しないのかを見てみる。 総務省「通信利用動向調査」により、インターネット非利用者に、インターネットを利

用しない理由を調査したところ、平成 22 年の段階では、「利用する必要がない」が 50.1%と最も高かった。また、経年比較として、平成 14 年と平成 22 年を比較してみても、「利用

する必要がない」が最も伸びており、14.1 ポイント伸びている。複数回答が行われている

設問のため、重複して回答している割合は多いと思われるが、少なくとも、半数以上の人

が「利用する必要がない」と感じている(図表 2.1-2)。 日本の全人口の約 2 割の人がインターネット非利用者であり、少なくともその半数は「利

用する必要がない」と考えているとすれば、日本の全人口の約 1 割の人が、インターネッ

トを利用したいと思っているにも関わらず、利用できない状況にあると考えられる。 「利用する必要がない」、「特に不満はない」という選択肢を除いて、利用しない理由とし

ての割合が高い項目に注目してみると、平成 22 年の段階では、「インターネットについて

よく知らない」が 30.4%と最も高く、「パソコンなどの機器の操作が難しい」が 22.3%と次

に高い。従って、パソコンやインターネットに対する知識を向上させる施策を講じること

が、インターネット利用率のさらなる向上につながる一つの方法であると考えられる。

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6

図表 2.1-2:インターネットを利用しない理由

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、平成 17 年までは「15 歳以上のインターネット非利用者」、平成 18 年以降は、

「過去 1 年間に誰もインターネットを利用したことのない世帯(世帯主 20 歳以上)」

※3: 平成 17 年までと平成 18 年以降で、選択肢が異なっているため、平成 18 年以降存在しない選択肢

に関しては、除いている

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

特に不満はない 利用する必要がない 情報検索に手間がかかる

接続速度が遅い パソコンなどの機器が高価すぎる パソコンなどの機器の操作が難しい

通信料金が高い 必要な情報がない インターネットについてよく知らない

その他

主な課題

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7

2.1.1 ブロードバンド化の進展 (1) ブロードバンドインターネットサービスの普及

インターネットの利用が普及してきた中、インターネット利用者の中での割合の多くを

占める一つとして、ブロードバンド回線を通してインターネットに接続するインターネッ

ト利用者が存在する。 自宅のパソコンからインターネットを利用する世帯の接続回線は、平成 14年の段階では、

70.6%がナローバンド回線を利用していたが、平成 16 年にナローバンドとブロードバンド

が逆転し、平成 22 年段階では、77.9%がブロードバンド回線を利用している(図表 2.1-3)。

図表 2.1-3:「自宅」で「パソコン」からインターネットを利用する世帯の接続回線 (ブロードバンド回線とナローバンド回線の比較)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1:複数回答ありの設問

※2:調査対象については、過去1年間に自宅でパソコンからインターネットを利用したことがある世帯

(2) ブロードバンドインターネットサービスの利用回線の内訳 普及してきているブロードバンドインターネットサービスの中で、利用されている回線

の種類の内訳を見てみると、平成 13 年から平成 16 年にかけては、平成 12 年より本格的に

サービス開始された DSL サービスの利用が急増しており、平成 16 年以降に関しては、平

70.6%

42.9%38.6%

36.3%

30.0%24.9% 23.3%

21.2%

29.6%

62.0%65.0%

67.9% 67.6%

73.4%76.8% 77.9%

50.4%

47.8%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

ナローバンド回線 ブロードバンド回線

逆転

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成 13 年より本格的にサービス開始された FTTH サービスの利用が急増している(図表 2.1-4)。

図表 2.1-4:ブロードバンド契約数の推移

出所:総務省「情報通信白書」により作成

89 243464

7931,133

1,4421,720

1,977

238565

1,027

1,333

1,448

1,424

1,3131,160

1,013859

146

195

248

287

324

357383

408430

568

21(FTTH)

3(FTTH)

7(DSL)

22 78

1(FWA)1(FWA)

1(FWA)1(FWA)

1(FWA)

2(FWA)

3(FWA)

3(FWA)

3(FWA)

1(FWA)

537(BWA)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(万契約)

FTTH DSL CATV FWA BWA

急増急増

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9

(3) DSL サービスの急増とその背景 DSL サービス利用の急増の背景としては、平成 13 年に登場した Yahoo!BB を始めとする

廉価な DSL サービスにより、利用しやすいサービスとして市場に受け入れられ、利用者が

急増したことが考えられる。また、回線速度について、平成 13 年当初は 1.5~8M が主流

であったが、平成 14 年には 12M、平成 15 年には 20M を超えて 40M まで達し、平成 16年には 50M 近くのサービスが主流となり、高速化が進んだことによって、利用者の満足度

が高まったことも、利用者が急増した要因の一つと考えられる(図表 2.1-5)。

図表 2.1-5:DSL サービスの契約数と利用料金の推移

出所:総務省「情報通信白書」、NTT 公表資料により作成

※ISP 料金、モデムレンタル料金を含む

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10

(4) FTTH サービスの急増とその背景 FTTH サービス利用の急増の背景としては、DSL サービスよりも安定して通信速度が速

い FTTH サービスの低廉化が進み、平成 16 年の段階では、低価格帯が 2,000 円台まで下げ

られ、且つ、平成 17 年には、中間価格帯が 4,000 円台前半まで下げられたため、FTTH サ

ービスと DSL サービスとの価格に差がなくなってきたことが、大きな要因の一つとして考

えられる(図表 2.1-6)。

図表 2.1-6:FTTH サービスの契約数と利用料金の推移

出所:総務省「情報通信白書」、NTT 公表資料により作成

※ISP 料金、付加機能使用料、回線終端装置使用料は含まない

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(5) DSL サービスの利用から FTTH サービスの利用への移行 自宅のパソコンからインターネットを利用する世帯の接続回線の割合に関しては、平成

16 年の段階では、DSL サービスの利用が 39.2%とピークを迎えるが、その後 FTTH サー

ビスの利用が順調に伸び続け、平成 19 年の時点で DSL サービスと FTTH サービスが逆転

し、平成 22 年段階では、52.2%が FTTH サービスを利用している(図表 2.1-7)。

図表 2.1-7:「自宅」で「パソコン」からインターネットを利用する世帯の接続回線 (DSL と FTTH の比較)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※複数回答ありの設問

※調査対象については、過去 1 年間に自宅でパソコンからインターネットを利用したことがある世帯

ブロードバンド回線の契約数に関しても、平成 17 年の段階では、DSL サービスの契約数

が 1,448 万契約とピークを迎えるが、その後 FTTH サービスの利用が順調に伸び続け、平

成 20 年の時点で DSL サービスと FTTH サービスが逆転し、平成 22 年段階では、FTTHサービスの契約数が最も多く、1,977 万契約となっている(図表 2.1-8)。

0.3%

7.9%

18.7%

27.2%

39.2%

34.2%

27.7%

18.9%17.3% 17.1%

11.7%

0.5% 1.4%

5.4% 6.1%

14.8%

27.2%

31.3%

39.0%41.1%

52.2%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)DSL FTTH

逆転

利用のピーク

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図表 2.1-8:ブロードバンド回線別の契約数の推移(再掲)

出所:総務省「情報通信白書」により作成

89 243464

7931,133

1,4421,720

1,977

238565

1,027

1,333

1,448

1,424

1,3131,160

1,013859

146

195

248

287

324

357383

408430

568

3(FTTH)

21(FTTH)

7(DSL)

7822

1(FWA)

3(FWA)

3(FWA)

3(FWA)

2(FWA)

1(FWA)1(FWA)

1(FWA)

1(FWA) 1(FWA)

7(BWA) 53

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(万契約)

FTTH DSL CATV FWA BWA

利用のピーク

逆転

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13

(6) ブロードバンド化によるリッチコンテンツ利用の促進 インターネットを介して利用する機能やサービスを、ナローバンドとブロードバンドで

比較してみると、「商品・サービスの購入・取引」、「デジタルコンテンツの入手・聴取」、「動

画投稿サイトの利用」について、ブロードバンドでより利用されていることが分かる。ブ

ロードバンド化してきたことにより、インターネットを介して音楽・音声、映像、ゲーム

ソフト等の様々なデジタルコンテンツや動画投稿サイトなどのリッチなコンテンツに容易

にアクセスできる環境になってきていると考えられる(図表 2.1-9)。

図表 2.1-9:パソコンからインターネットで利用した機能・サービスと目的・用途

出所:総務省「平成 22 年通信利用動向調査」により作成

※1:複数回答ありの設問

※2:デジタルコンテンツは、音楽・音声、映像、ゲームソフト等を指す

※3:有料・無料を問わない。乗換案内、ルート検索サービスも含む。

商品・サービスの購入・取引 52.5% 36.8% 45.1% 15.7ポイント

デジタルコンテンツの入手・聴取 ※2 28.3% 16.3% 23.6% 12.0ポイント

動画投稿サイトの利用 28.4% 17.0% 23.6% 11.4ポイント

地図情報提供サービス ※3 34.8% 26.2% 30.2% 8.6ポイント

インターネットオークション 17.7% 10.9% 14.8% 6.8ポイント

オンラインゲーム(ネットゲーム)への参加 9.7% 5.3% 8.0% 4.4ポイント

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への参加 7.1% 3.4% 5.8% 3.7ポイント

電子ファイルの交換・ダウンロード(P2P、FTPなど) 9.3% 5.7% 7.8% 3.6ポイント

マイクロブログの閲覧・投稿 4.5% 3.7% 3.8% 0.8ポイント

ブロードバンドとナローバンドの差

ブロードバンド ナローバンド機能・サービス 全体平均

10ポイント以上

の差

Page 18: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

14

2.1.2 モバイル化の進展 (1) 携帯インターネットの普及

携帯電話からインターネットに接続する携帯 IP 接続サービスの始まりは、平成 11 年に

NTT ドコモが「i モード」、現 KDDI が「EZweb」のサービスを開始し、平成 12 年には、

現ソフトバンクモバイルが「J-スカイ」のサービスを開始したところから始まる。 その後の携帯 IP 接続サービスの普及を見てみると、利用者数は、現在にかけて右肩上が

りで増加してきている。中でも、平成 15 年にかけて、年率 10%以上という急激な増加を続

けた。平成 16 年以降は、年率一桁の増加と、緩やかながら増加を続けている(図表 2.1-10)。

図表 2.1-10:携帯 IP 接続サービスの契約数の推移

出所:社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

(2) 携帯インターネット急増の背景

携帯 IP 接続サービス利用が急増した背景の一つに、携帯 IP 接続サービスを活用した、

携帯電話 3 大キャリアによる新しいサービス提供が考えられる。携帯 IP 接続サービスの提

供により、携帯電話において Web の閲覧や e メールの送受信ができるようになっただけで

なく、平成 11 年には、NTT ドコモの i モード公式サイトによる着信メロディ配信サービス

の提供開始、平成 13 年には、現ソフトバンクモバイルの「写メール」の提供開始、NTTドコモの「i アプリの提供」等をきっかけに、各社が着信メロディ配信サービスやメールに

2,687

4,850

5,953

6,7817,355

7,8258,259

8,7289,017 9,229

9,560

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

(万契約)

年率10%以上増加

緩やかに増加

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15

よる画像送受信サービス、携帯電話におけるアプリケーションサービスを展開し、サービ

スの拡充が促進された。 (3) インターネットのパーソナル化の進展

携帯電話、PHS 及び携帯情報端末(PDF)等のモバイル端末からインターネットを利用

する人の割合は、平成 14 年から平成 17 年にかけて急増している。利用率急増の背景とし

ては、平成 15 年には、携帯電話 3 大キャリアにおいて、携帯 IP 接続サービスを対象とし

たパケット定額サービスが提供されるようになったことで、料金を気にすることなく、携

帯電話からのインターネット接続が利用できるようになったことが、大きな要因の一つと

考えられる(図表 2.1-11)。

図表 2.1-11:モバイル端末からのインターネット利用者の割合の推移

出所:総務省「情報通信白書」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: モバイル端末は、携帯電話、PHS 及び携帯情報端末(PDA)を指す

※3: 利用者率は、6 歳以上のインターネット利用者に占める割合。ただし、平成 12 年に関してのみ、15

歳以上 79 歳以下のインターネット利用者に占める割合

※4: モバイル端末からのインターネット利用者は、重複して、パソコン、ゲーム機等によりインターネ

ットを利用している利用者も含む

51.8%

44.8%40.2%

58.0%

73.3%

81.2% 80.9% 82.7% 82.6%85.1%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21(年)

パケット定額制の提供開始

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16

モバイル端末からインターネットを利用する人の割合が急増した平成 14 年から平成 17年にかけての時期(図表 2.1-11)は、インターネットの利用者数の増加の伸びが緩やかに

なり始めた時期(図表 2.1-12)でもあり、且つ、パソコンからインターネットを利用する

人の割合も横ばいの状況(図表 2.1-13)であることから、パソコンからインターネットを

利用していた人が、モバイル端末からもインターネットを利用するようになったことが想

定できる。つまり、個人がいつでもどこでもインターネットに接続できる環境が整ったこ

とで、インターネットのパーソナル化が進んだと考えられる。

図表 2.1-12:インターネットの利用者数の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 平成 9~12 年末までの数値は「通信白書(現情報通信白書)」から抜粋

※2: インターネット利用者数(推計)は、6 歳以上で、過去 1 年間に、インターネットを利用したこと

がある者を対象として行った通信利用動向調査の結果からの推計値。インターネット接続機器につ

いては、パソコン、携帯電話・PHS、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機等あらゆるものを含み(当

該機器を所有しているか否かは問わない)、利用目的等についても、個人的な利用、仕事上の利用、

学校での利用等あらゆるものを含む

※3: 平成 13 年末以降のインターネット利用者数は、各年における 6 歳以上の推計人口(国勢調査結果及

び生命表等を用いて推計)に通信利用動向調査で得られた 6 歳以上のインターネット利用率を乗じ

て算出

※4: 調査対象年齢については、平成 11 年末まで 15~69 歳、平成 12 年末は 15~79 歳、平成 13 年末以

1,1551,694

2,706

4,708

5,593

6,942

7,7307,948

8,5298,754 8,811

9,0919,408 9,462

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

平成9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

(万人)増加が緩やかになり始めた時期

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17

降は 6 歳以上

図表 2.1-13:端末の種類毎のインターネット利用者の割合の推移

出所:総務省「情報通信白書」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: モバイル端末は、携帯電話、PHS 及び携帯情報端末(PDA)を指す

※3: 利用者率は、6 歳以上のインターネット利用者に占める割合。ただし、平成 12 年に関してのみ、15

歳以上 79 歳以下のインターネット利用者に占める割合

79.1%

87.4%82.4%

79.7% 80.7%

92.0%88.7% 90.8% 90.5%

51.8%

44.8%40.2%

58.0%

73.3%

80.9% 82.7% 82.6%85.1%

2.9%5.5% 5.2% 4.4%

1.6% 1.9% 3.8% 4.1% 6.2% 7.9%

77.4%

81.2%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

100.0%

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21(年)

パソコンからの利用者率 モバイル端末からの利用者率 ゲーム機・TV等からの利用者率

急増

横ばい傾向

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18

(4) 携帯 IP 接続サービスの高速化の進展 モバイル端末のパーソナル化を推し進めた要因の一つとして、携帯 IP 接続サービスの高

速化が進展したことも考えられる。 平成 13 年には、第 2 世代移動通信システムに代わり、高速データ通信を実現する第 3 世

代移動通信システムの携帯電話が登場し、平成 17 年には、普及している携帯電話の 47.7%が第 3 世代移動通信システムとなった。翌年の平成 18 年には、普及している携帯電話の移

動通信システム別シェアが逆転し、第 3 世代移動通信システムが最も高いシェアを占める

こととなり、平成 22 年時点では、普及している携帯電話の 98.5%が第 3 世代移動通信シス

テムとなっている(図表 2.1-14)。

図表 2.1-14:第 2 世代・第 3 世代携帯電話の契約数の推移

出所:社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

第 3 世代移動通信システムの中でも、高度化が進められており、平成 15 年には第 3.5 世

代移動通信システム、平成 22 年には第 3.9 世代移動通信システムが登場し、携帯 IP 接続

サービスのインターネット回線の高速化が進展している。

5,8196,729 6,895 6,640

5,9794,715

3,172

1,722976 444 180

3483 1,376 2,569

4,3036,322

8,330 9,607 10,617 11,526

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

(万契約)

第2世代 第3世代

逆転

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19

(5) 携帯 IP 接続サービスにおいて利用されるサービスの大容量化 第 3 世代移動通信システムの登場・高度化により、携帯 IP 接続サービスの高速化が行わ

れたことで、携帯電話のインターネットを利用したサービスにおいて、大容量のデータを

活用したサービスが登場してくるようになった。 携帯電話(PHS・PDA を含む)から接続したインターネットにおいて利用した機能・サ

ービスと目的・用途の推移を見てみると、「地図情報提供サービスの利用」、「動画投稿サイ

トの利用」、「電子ファイルの交換・ダウンロード(P2P、FTP など)」といった大容量のデ

ータを活用したサービスが、新たに登場していることが分かる(図表 2.1-15)。

図表 2.1-15:携帯電話(PHS・PDA を含む)からインターネットで利用した 機能・サービスと目的・用途の比較

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1:複数回答ありの設問

※2:有料・無料を問わない。

※3:有料・無料を問わない。乗換案内、ルート検索サービスも含む。

電子メールの受発信 55.8% 52.8%

商品・サービスの購入・取引 7.3% 28.2%

メールマガジンの利用 ※2 5.3% 17.7%

地図情報提供サービスの利用 ※3 - 14.5%

動画投稿サイトの利用 - 7.6%

ソーシャルネットワーキングサービスの利用 0.3% 4.8%

マイクロブログの閲覧・投稿 - 3.3%

電子ファイルの交換・ダウンロード(P2P、FTPなど) - 2.2%

比較平成16年 平成22年機能・サービス

NEW

NEW

NEW

NEW

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20

2.1.3 デジタル放送の進展 (1) 地上デジタルテレビ放送の普及

地上デジタルテレビ放送の視聴者は、平成 15 年より放送が開始されて以来、右肩上がり

で増加していると想定される。地上デジタルテレビ放送の放送受信機の国内出荷累計実績

台数は、平成 22 年において約 1 億 301 万台となっている(図表 2.1-16)。

図表 2.1-16:地上デジタルテレビ放送の放送受信機の累計出荷台数の推移

出所:社団法人 電子情報技術産業協会「地上デジタルテレビ放送受信機国内出荷実績」により作成

地上デジタルテレビ放送対応受信機の世帯保有率を見てみると、国内出荷累計実績の急

増に伴い、世帯保有率も急増している。平成 19 年 3 月から平成 22 年 12 月にかけての 3年 9 ヶ月において、67.1 ポイント増加した。平成 22 年 12 月段階においては、94.9%とい

う世帯保有率となっており、かなり広い範囲で普及したと言える(図表 2.1-17)。

74 316836

1,729

3,049

4,590

6,673

10,301

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

平成15 16 17 18 19 20 21 22(年)

(万台)

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21

図表 2.1-17:地上デジタルテレビ放送の放送受信機の世帯保有率の推移

出所:総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」により作成

※ チューナー内蔵テレビ、チューナー内蔵録画機、外付けチューナー、チューナー内蔵パソコン、ケーブ

ルテレビ用セットトップボックスのいずれかを保有している世帯の割合

43.7%

60.7%

69.5%

83.8%

90.3%94.9%

27.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平成19.3 20.3 21.3 21.9 22.3 22.9 22.12

(年月)

67.1ポイント増加

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22

(2) テレビ画面サイズの大型化 地上デジタルテレビ放送の開始により、放送番組としてハイビジョンの高精細な映像が

提供されるようになり、また、デバイス面でも、ブラウン管テレビに代わり、液晶テレビ

やプラズマテレビ等の薄型ディスプレイの技術革新が進んだこともあり、ソフト・ハード

ともに大型化する要素が揃ったと言える。このため、地上デジタルテレビ放送の進展に合

わせるように、テレビ画面サイズの大型化が見られた(図表 2.1-18)。

図表 2.1-18:液晶テレビの画面サイズ別出荷台数

出所:電子情報技術産業協会「2010 民生用電子機器国内出荷データ集」により作成

※液晶テレビの 10~20 型は、2007 年 4 月より調査

※液晶テレビの 21~25 型は、2007 年 4 月より調査

※液晶テレビの 26~29 型は、2004 年 4 月より調査

※液晶テレビの 30~36 型は、2005 年 4 月より調査

※液晶テレビの 37~40 型は、2005 年 6 月より調査

※液晶テレビの 41 型~は、2005 年 6 月より調査

※プラズマテレビの 44~50 型は、2005 年より調査

※プラズマテレビの 51 型~は、2005 年より調査

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

平成15 16 17 18 19 20

(年)

(千台)

液晶テレビ(16:9) 10~20型 液晶テレビ(16:9) 21~25型 液晶テレビ(16:9) 26~29型

液晶テレビ(16:9) 30~36型 液晶テレビ(16:9) 37~40型 液晶テレビ(16:9) 41型~

プラズマテレビ ~43型 プラズマテレビ 44~50型 プラズマテレビ 51型~

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23

(3) BS デジタル放送の普及 BS デジタル放送の視聴者は、平成 12 年より放送が開始されて以来、右肩上がりで増加

していると想定される。BS デジタル放送の放送受信機の累計普及台数が、平成 22 年度(平

成 23 年 3 月時点)において、約 1 億 485 万台となっている(図表 2.1-19)。

図表 2.1-19:BS デジタル放送の放送受信機の出荷台数の推移

出所:社団法人衛星放送協会「衛星放送契約者数の推移データ」により作成

※1: 各年度末時点のデータを使用している

※2: BS デジタル放送の放送受信機の出荷台数は、「PDP、液晶テレビ」、「ブラウン管テレビ」、「BS デ

ジタルチューナー(録画機含む)」、「ケーブルテレビ用デジタル STB」の出荷台数の合計である

※3: 「PDP、液晶テレビ」、「ブラウン管テレビ」、「BS デジタルチューナー(録画機含む)」の普及数は、

社団法人電子情報技術産業協会発表のデータによる。なお、ケーブル局のデータは NHK の独自調

査による

※4: 「ケーブルテレビ用デジタル STB」は、平成 15 年 8 月以前は数値に含まれていない

※5: 「BS デジタルチューナー(録画機含む)」に含まれる次世代光ディスクレコーダの数は、平成 19 年

10 月~12 月の累計を平成 19 年 12 月末に、平成 20 年 1 月~3 月の累計を平成 20 年 3 月末に、平

成 20 年 4 月以降は各月末に加算している

58 115 208 360655

1,243

2,221

3,529

5,015

7,130

10,485

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年度)

(万台)

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24

(4) CS デジタル放送の普及 CS デジタル放送の契約者数は、平成 8 年より放送が開始されて、平成 11 年度から平成

14 年度まで年率 10%以上の増加を続けたものの、平成 15 年度から平成 17 年度までは緩や

かな増加が続き、平成 18 年度以降は減少傾向にある。110 度 CS デジタル放送の契約者数

は、平成 14 年より放送が開始されて以来、右肩上がりで増加している(図表 2.1-20)。

図表 2.1-20:CS デジタル放送・110 度 CS デジタル放送の契約者数の推移

出所:スカパーJSAT 公表資料により作成

※1: 各年度末時点のデータを使用している

※2: 総登録件数(個人契約件数に法人契約件数や有料視聴契約締結前の無料視聴期間中の件数などを加

えた数)のデータを利用している

352.3362.1

373.7 368.5350.1

321.1

4.2 12.3 20.332.1

47.463.8

93.7

261.8

338.3

304.2

182.3

0

50

100

150

200

250

300

350

400

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(年度)

(万契約)

スカパー! スカパー!E2

年率10%以上増加

緩やかに増加 減少

年率10%以上増加

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25

(5) IP 放送の普及 平成 14 年に施行された電気通信役務利用放送法に基づき、翌平成 15 年よりサービス提

供が開始された IP 放送の契約者数は、右肩上がりで増加している(図表 2.1-21)。

図表 2.1-21:IP 放送の契約者数の推移

出所:総務省「ケーブルテレビの普及状況」により作成

※1: 電気通信役務利用放送事業者(有線役務利用放送)のうち IP マルチキャスト方式により放送を行っ

ている 5 事業者からの報告に基づく各四半期末の加入世帯数の合計値

※2: 加入世帯数は、IP 放送の加入世帯数であり、VOD サービスのみの加入世帯数は除いたもの

15

24

42

65

87

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

平成18 19 20 21 22

(年)

(万世帯)

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26

(6) 多チャンネル放送の進展 衛星放送は、平成 8 年に東経 124/128 度 CS デジタル放送、平成 12 年に BS デジタル放

送、平成 14 年に東経 110 度 CS デジタル放送が開始され、デジタル化及び多チャンネル化

が進展してきた。また、平成 23 年 7 月 24 日には BS アナログ放送が終了し、デジタル放

送に完全移行される。今後はこれらの新チャンネルを合わせた合計 29 チャンネルが全国で

視聴可能となり、より一層の多チャンネル放送の充実が見込まれる。 現状における放送サービスの加入者数を見ると、平成 21 年度には衛星放送の各サービス

の加入件数が一部で減少傾向にあるものの、その他のサービスは継続的に増加している。

また、ケーブルテレビは平成 21 年度の加入世帯数が 2,471 万世帯となっており、平成 11年度からの 10 年間で 2.6 倍に拡大している(図表 2.1-22)。

図表 2.1-22:衛星放送・ケーブルテレビの契約数の推移

出所:社団法人電子情報技術産業協会資料、日本ケーブルラボ資料、NHK 資料、総務省資料により作成

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21(年度)

NHK-BS 1,006.9 1,062.1 1,116.4 1,157.7 1,200.9 1,235.9 1,254.3 1,292.2 1,342.3 1,399.9 1,474.2

WOWOW 250.2 265.3 266.7 249.9 248.5 246.1 238.2 241.3 243.8 247.6 249.0

CSデジタル 182.3 261.8 304.2 338.3 352.3 362.1 373.7 368.5 350.1 273.7 245.6

110度CSデジタル 4.2 12.3 20.3 32.1 47.4 63.8 83.0 112.6

ケーブルテレビ 942.9 1,044.2 1,299.8 1,513.8 1,653.8 1,788.2 1,912.8 2,061.1 2,194.4 2,300.7 2,470.6

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000(万件)

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27

2.1.4 音声電話の進展 (1) 移動体通信の増加と固定通信の減少 移動体通信の最たるものである携帯電話の契約数は、サービス開始以降継続的に増加傾

向にある。平成 14 年まで年率 10%以上の増加を続け、平成 15 年以降は、年率が一桁では

あるものの、5%以上の緩やかな増加を続けている(図表 2.1-23)。

図表 2.1-23:携帯電話の契約数の推移

出所:社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

固定通信としてとらえられる固定電話と IP 電話に関しては、約 6,000 万の加入数を推移

しており、平成 14 年より開始された IP 電話サービスの影響より、平成 18 年には、約 7,000万の加入数まで押し上げられた。しかし、平成 19 年以降減少傾向にあり、携帯電話への乗

り換えが進行しつつある可能性が考えられる(図表 2.1-24)。

1,817

2,874

3,900

4,848

5,819

6,7327,377

8,0168,548

9,0189,494

10,05210,583

11,06211,706

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

平成8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(万契約)

年率10%以上増加

緩やかに増加

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28

図表 2.1-24:固定電話と IP 電話と携帯電話の契約数の推移

出所:総務省「電気通信サービスの加入契約数等の状況」、

社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

※IP 電話、固定電話のデータは、各年度末時点のデータを使用している

528 831 1,146 1,448 1,754 2,022 2,315 2,496

6,133 6,0776,022 5,961 5,805 5,517 5,124 4,732 4,334 4,042

6,7327,377

8,0168,548

9,0189,494

10,05210,583

11,06211,706

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

(万件)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

(年)

(万契約)

IP電話の番号利用数 (左目盛) 固定電話の加入者数(左目盛) 携帯電話の契約数(右目盛)

Page 33: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

29

(2) 固定通信の利用の増減の内訳(IP 電話の普及と固定電話の利用の減少) IP 電話サービス全体としては、平成 14 年より番号の割当が開始されて以来、ブロードバ

ンドの普及に伴って、平成 21 年まで年率 10%以上の増加を続けた。IP 電話サービスの利

用の内訳を見てみると、「050 型」サービスは、平成 14 年より平成 18 年まで増加し続けた

ものの、平成 19 年以降は減少傾向にあり、「0ABJ 型」サービスは、平成 16 年より番号の

割当が開始されて以来、右肩上がりで増加している(図表 2.1-25)。

図表 2.1-25:固定電話と IP 電話とブロードバンドの契約数の推移

出所:総務省「情報通信白書」、「電気通信サービスの加入契約数等の状況」、

社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

※IP 電話、固定電話のデータは、各年度末時点のデータを使用している

一方、固定電話については、加入電話(ISDN を除く)は平成 8 年まで増加傾向にあった

が、平成 9 年以降減少傾向となっている。ISDN も含めた固定電話全体の契約数に関しても、

平成 9 年まで増加傾向にあったが、平成 10 年以降減少傾向となっている。固定電話全体の

契約数がピークであった平成 9 年と、平成 22 年を比較してみると、35.7%減少している(図

表 2.1-26)。

528 812 1,003 1,027 978 906 862 793

421 776 1,116 1,453 1,703

6,133 6,0776,022

5,9615,805 5,517 5,124 4,732 4,334 4,042

19142

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

(万件)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

(年)

(万契約)

IP電話 050型(左目盛) IP電話 0AB~J型(左目盛)

固定電話の加入者数(左目盛) ブロードバンドの契約数(右目盛)

年率10%以上増加

Page 34: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

30

図表 2.1-26:加入電話と ISDN の契約数の推移

出所:総務省「平成 17 年情報通信白書」、「電気通信サービスの加入契約数等の状況」により作成

※各年度末時点のデータを使用している

5,555 5,226 5,100 5,116 5,159 5,163 5,056 4,817 4,4784,139

3,792 3,531

668970 1,033 961 863 798 749

700645

593542

511

5,994 6,045 5,8566,153

40724011134

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年度)

(万加入)

加入電話 ISDN

35.7ポイント減少

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31

(3) IP 電話普及の背景 平成 14 年より平成 18 年まで利用が増加した「050 型」サービスは、主に DSL サービス

利用者の契約によって、利用が増加した。利用増加の主な要因としては、従来の電話サー

ビスと比べて、通話料金が廉価であること、また一部の利用者同士では、無料で通話がで

きることが挙げられる。また、平成 16 年以降利用が増加し続けている「0ABJ 型」サービ

スは、主に FTTH サービス利用者の契約によって、利用が増加した。「0ABJ 型」サービス

利用の増加の主な要因に関しては、「050 型」サービス同様、通話料金が廉価であることに

加えて、従来の固定電話と同様に、緊急通報(110 番・118 番・119 番)への通話が可能で

あること、固定電話並みの通話品質や安定性が確保されていることなどが挙げられる(図

表 2.1-27)。

図表 2.1-27:IP 電話の型別番号利用数と DSL・FTTH サービスの契約数の推移

出所:総務省「情報通信白書」、「電気通信サービスの加入契約数等の状況」により作成

※IP 電話のデータは、各年度末時点のデータを使用している

527.6

811.8

1,003.3 1,027.1978.0

906.0 861.5792.9

18.7

142.4

420.6

775.6

1,115.8

1,453.4

1,703.4

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

(万件)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

(年)

(万契約)

050型番号利用数(左目盛) 0AB~J型番号利用数(左目盛)

DSLサービス契約数(右目盛) FTTHサービス契約数(右目盛)

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32

また、固定電話の利用の減少と IP 電話の利用の増加の関係性を見てみると、固定電話の

利用の減少は、平成 13 年から平成 16 年の間では、平均約 1.0%の減少だったのに対し、平

成 17 年から平成 21 年の間では、平均約 6.2%の減少であり、「0ABJ 型」サービスが開始

されてからの固定電話の減少傾向が強くなっている(図表 2.1-28)。「0ABJ 型」サービス

は、固定電話のサービスの質に近しいものでありながら、利用料金の廉価を実現している

(図表 2.1-29)ため、「0ABJ 型」サービスの登場によって、固定電話から IP 電話(「0ABJ型」サービス)への乗り換えが加速したと想定される。

図表 2.1-28:固定電話と IP 電話とブロードバンドの契約数の推移(再掲)

出所:総務省「情報通信白書」、「電気通信サービスの加入契約数等の状況」、

社団法人電気通信事業者協会「携帯電話・PHS 契約数」により作成

※IP 電話、固定電話のデータは、各年度末時点のデータを使用している

528 812 1,003 1,027 978 906 862 793

421 776 1,116 1,453 1,703

6,133 6,077

6,0225,961

5,805 5,517 5,124 4,732 4,334 4,042

19142

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

(万件)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

(年)

(万契約)

IP電話 050型(左目盛) IP電話 0AB~J型(左目盛)

固定電話の加入者数(左目盛) ブロードバンドの契約数(右目盛)

平均1.0%減少

平均6.2%減少

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33

図表 2.1-29:IP 電話と加入電話の料金の比較

費用 IP電話(ひかり電話) 加入電話(※1)

初期費用 4,725円(税込)

+フレッツ光契約料・初期工

事費 2,940円(税込)(※2)

38,640円(税込)

毎月の費用 525円(税込)(※3)

+インターネット接続サー

ビス利用料

約 7,000円(税込)(※4)

1.680円(税込)

通話料

(※5)

市内 全国一律

8.4円(税込)/3分

8.925円(税込)/3分

県内市外 21~42円(税込)/3分

県外 21~84円(税込)/3分

ケータイ ・NTTドコモ

16.8円(税込)/60秒

・au・Softbank

18.375円(税込)/60秒

・NTTドコモ

31.5円(税込)/60秒

・au

31.5円(税込)/60秒

・Softbank

42円(税込)/60秒

国際電話 ・アメリカ本土

9円/60秒

・中華人民共和国

30円/60秒

・大韓民国

30円/60秒

・アメリカ本土

60円/60秒

・中華人民共和国

140円/60秒

・大韓民国

110円/60秒

出所:NTT東日本公表資料により作成

※1: 加入電話の利用サービスは、「プッシュ回線」、「住宅用 1級局」で契約した場合

※2: キャンペーン適用時。工事に関しては、NTT東日本が訪問に来て機器工事を行う場合

※3: 基本プランで契約した場合

※4: 対応プロバイダとの契約・利用料を含む

※5: 加入電話の通話料は、市内通話・県内への市外通話については NTT 東日本を、県外通話については

NTT コミュニケーションズを利用して、平日午前 8 時~午後 7 時の間に通話する場合。市内・県内

市外・県外通話は 3分、携帯・国際通話は 60秒通話した場合の料金。通話料は、通話時間が短い場

合や割引サービスの加入状況等によって異なる場合がある。国際通話料については、消費税はかか

らない

※6: 2011年 3月時点でのデータ

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34

2.2 ICTサービス等

2.2.1 電子商取引の普及 (1) インターネットショッピングの利用の増加

15 歳以上の全人口の中で、インターネットショッピングを利用している人の割合は、イ

ンターネットの利用者数やブロードバンドインターネットサービスの利用者数の増加に伴

って増加してきている。平成 14 年では 20.8%であったのに対し、平成 22 年では 36.5%と

なっており、約 16 ポイント増加している。平成 22 年段階で 36.5%ということは、15 歳以

上の国民の約 3 分の 1 が、インターネットショッピングを利用して、何かしらの商品・サ

ービスを購入しているということになる(図表 2.2-1)。

図表 2.2-1:インターネットショッピングの利用率(対全人口)と インターネット・ブロードバンドの利用者数の推移

出所:総務省「情報通信白書」、「通信利用動向調査」により作成

※1: インターネットショッピングの利用率(対全人口)は、13 歳以上の全人口の中で、15 歳以上のイン

ターネットショッピングを利用している人の割合を表す。無回答を除いて集計

※2: インターネットショッピングの利用状況は、商品・サービスの購入・取引の有無(デジタルコンテ

ンツの購入及び金融取引を除く)を指す

※3: 平成 14 年は、インターネットショッピングの利用の有無を測定する単独の設問を設けている

20.8% 22.7%26.2%

29.6%34.4%

31.5%33.9%

35.9% 36.5%

6,942

7,730 7,9488,529 8,754 8,811

9,0919,408 9,462

7841,367

1,8662,237

2,574 2,830 3,012 3,1713,458

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

(万)

インターネットショッピングの利用率(左目盛) インターネットの利用者数(右目盛)

ブロードバンドの利用者数(右目盛)

Page 39: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

35

※4: 平成 15 年以降は、インターネットで利用した機能・サービスと目的・用途の選択肢として、インタ

ーネットショッピングの利用の有無を測定している

15 歳以上のインターネット利用者の中で、インターネットショッピングを利用している

人の割合を見ると、全人口の中でのインターネットショッピングを利用している人の割合

と同様に、増加傾向にあることが分かる。平成 14 年では 33.2%であったのに対し、平成 22年では 46.1%となっており、約 13 ポイント増加している。平成 22 年段階で 46.1%という

ことは、15 歳以上のインターネット利用者の約半数が、インターネットショッピングを利

用して、何かしらの商品・サービスを購入しているということになる(図表 2.2-2)。

図表 2.2-2:インターネットショッピングの利用率(対インターネット利用者)と インターネット・ブロードバンドの利用者数の推移

出所:総務省「情報通信白書」、「通信利用動向調査」により作成

※1: インターネットショッピングの利用率(対インターネット利用者)は、15 歳以上のインターネット

利用者の中で、15 歳以上のインターネットショッピングを利用している人の割合を表す。無回答を

除いて集計

※2: インターネットショッピングの利用状況は、商品・サービスの購入・取引の有無(デジタルコンテ

ンツの購入及び金融取引を除く)を指す

※3: 平成 14 年は、インターネットショッピングの利用の有無を測定する単独の設問を設けている

※4: 平成 15 年以降は、インターネットで利用した機能・サービスと目的・用途の選択肢として、インタ

33.2% 33.2%37.4% 39.1%

45.1% 42.1% 44.7% 45.6% 46.1%

6,942

7,730 7,9488,529 8,754 8,811 9,091

9,408 9,462

7841,367

1,8662,237

2,574 2,830 3,012 3,1713,458

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

(万)

インターネットショッピングの利用率(左目盛) インターネットの利用者数(右目盛)

ブロードバンドの契約数(右目盛)

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36

ーネットショッピングの利用の有無を測定している

(2) インターネットショッピングの利用増加の内訳

インターネットショッピングの利用が増加されている中で、具体的にはどのように利用

されているのか、その内容を見ていくことにする。 15 歳以上のインターネット利用者におけるインターネットショッピングの利用率を世代

別に見てみると、80 代以上の世代を除いた全ての世代において、増加傾向にあることが分

かる。平成 15 年と平成 22 年を比較してみると、80 代以上の世代を除いた全ての世代にお

いて、10 ポイント以上増加している。特に、20 代、30 代に関しては、約 20 ポイント増加

している。また、平成 22 年段階において、最も購入経験が多い世代は、30 代であり、イン

ターネット利用者におけるインターネットショッピング利用率は、60.2%となっている(図

表 2.2-3)。

図表 2.2-3:世代別インターネットショッピング利用率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 調査対象については、15 歳以上のインターネット利用者、無回答を除いて集計

※2: インターネットショッピングの利用状況は、商品・サービスの購入・取引の有無(デジタルコンテ

ンツの購入及び金融取引を除く)を指す

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

平成15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

15~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳

65~69歳 70~79歳 80歳以上

20ポイント以上増加

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37

15 歳以上のインターネット利用者の中で、パソコンでインターネットショッピングを行

う人の割合と、携帯電話でインターネットショッピングを行う人の割合を見てみると、ど

ちらも増加傾向にあることが分かる。平成 15 年と平成 22 年を比較してみると、パソコン

での購入が 9.2 ポイント増加、携帯電話での購入が 8.8 ポイント増加しており、どちらも

10 ポイント近く増加している。また、パソコンでインターネットショッピングを行う人の

割合が、平成 22 年段階で 46.0%ということは、15 歳以上のインターネット利用者の約半

数が、パソコンを利用してインターネットショッピングを行っているということになる(図

表 2.2-4)。

図表 2.2-4:購入端末別インターネットショッピング利用率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、15 歳以上のインターネット利用者

※3: インターネットショッピングの利用状況は、過去 1 年間における商品・サービスの購入の有無(デ

ジタルコンテンツの購入及び金融取引を除く)を指す

※4: 携帯電話からの購入は、PHS・PDA を含む

45.8% 46.2% 47.0% 46.0%

8.9%

13.0% 13.2%10.4%

13.4%16.2%

36.8%

43.2%45.3%

41.6%

7.6%7.4%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

平成15 16 17 18 19 20 21 22(年)

パソコンでの購入 携帯電話での購入

9.2ポイント増加

8.8ポイント増加

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38

15 歳以上のインターネットショッピングの利用者が、どのような商品・サービスを購入

しているかを見てみると、「デジタルコンテンツ」、「パソコン関連」を除いた全てにおいて、

増加傾向にあることが分かる。平成 14 年と平成 22 年を比較してみると、「デジタルコンテ

ンツ」、「パソコン関連」、「各種チケット・クーポン・商品券」を除いた全てにおいて、10ポイント以上増加している。利用が増加している商品・サービスの上位 3 つは、「衣料品・

アクセサリー類」が 19.1 ポイント増加、「金融取引」が 18.4 ポイント増加、「趣味関連品・

雑貨」が 13.2 ポイント増加となっている。また、平成 22 年段階において、最も購入経験

が多い商品・サービスは、「デジタルコンテンツ」で 40.7%となっている(図表 2.2-5)。

図表 2.2-5:インターネットによる購入・取引した商品・サービス

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、15 歳以上のインターネット利用者

※3: インターネットショッピングの利用状況は、過去 1 年間における商品・サービスの購入の有無(デ

ジタルコンテンツの購入及び金融取引を除く)を指す

※4: 無回答・その他の項目を除いて集計

※5: 過去の調査において選択肢として存在したが、平成 17 年以降、選択肢から存在しなくなった項目は、

除いている

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

デジタルコンテンツ 衣料品・アクセサリー類 書籍・CD・DVD

趣味関連品・雑貨 各種チケット・クーポン・商品券 金融取引

食料品 旅行関係 パソコン関連

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39

15 歳以上のインターネットショッピングの利用者が、どのような決済手段で商品・サー

ビスを購入しているかを見てみると、「現金」、「その他」を除いた全てにおいて、増加傾向

にあることが分かる。平成 14 年と平成 22 年を比較してみると、利用率が 10 ポイント以上

増加している決済手段は、「クレジットカード払い」が 31.7 ポイント増加、「商品配達時の

代金引換」が 31.1 ポイント増加、「コンビニエンスストアカウンターでの支払い」が 21.2ポイント増加、「銀行・郵便局の窓口・ATM での支払い」が 13.1 ポイント増加となってい

る。また、平成 22 年段階において、最も利用経験の割合が多い決済手段は、「クレジット

カード払い」で 50.1%となっており、15 歳以上のインターネットショッピング利用者の約

半数が利用しているということになる(図表 2.2-6)。

図表 2.2-6:インターネットを使って商品を購入する際の決済手段

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、15 歳以上のパソコン又は携帯電話(PHS・PDA を含む)からのインターネ

ットでの商品・サービス購入経験者

※3: 配達時を除く

※4: 配達時やコンビニエンスストアでの支払いを除く

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

クレジットカード払い ※2 商品配達時の代金引換

銀行・郵便局の窓口・ATMでの支払い コンビニエンスストアカウンターでの支払い

インターネットバンキング・モバイルバンキングによる支払い 現金 ※3

通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せによる支払い 電子マネー

その他(現金書留、小切手等)

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40

(3) インターネットショッピングの利用が増加している背景 インターネットショッピングの利用が増加している要因の一つは、インターネット利用

者の中において、インターネットショッピングを利用しない理由に注目することによって、

紐解くことができると考えられる。 前述のとおり、平成 22 年段階で、15 歳以上のインターネット利用者の約半数が、インタ

ーネットショッピングを利用していない。その理由を見てみると、平成 22 年段階では、「必

要ない・興味がない」が最も多く、37.7%となっている。また、経年比較で見てみると、平

成 14 年から平成 22 年にかけて、「購入までの手段が煩雑である」以外においては、減少傾

向にある(図表 2.2-7)。 つまり、そもそもインターネットショッピングは必要ない・興味がないという人を除い

て言えば、インターネットショッピングを運営する企業側における消費者保護の取組みや

サービス拡充等により、「クレジット番号情報を流すことに不安がある」、「個人情報の保護

に不安がある」、「商品の受取りや返品などで信頼できない」という不安要素が少しずつ取

り除かれていることが、インターネットショッピングの利用増加の要因の一つと考えるこ

とができる。

図表 2.2-7:インターネットを使って物品やサービスを購入しない理由

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※複数回答ありの設問

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

必要ない・興味がない 実際に商品を見て買いたい

クレジット番号情報を流すことに不安がある 個人情報の保護に不安がある

商品の受取りや返品などで信頼できない 購入までの手段が煩雑である

購入したい商品・サービスがない

37.7%

減少傾向

Page 45: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

41

また、インターネットショッピングの利用が増加している要因の一つとして、電子商取

引で用いる決済手段の多様化や、電子商取引サイトにおけるサービスの拡充なども想定さ

れる(図表 2.2-8)。

図表 2.2-8:電子商取引サイトにおけるサービスの拡充

時期 内容 カテゴリ 平成 14 年 11 月 楽天において「楽天スーパーポイント」のサービスを

開始(平成 19 年 2 月には、Amazon が「Amazon ポ

イントサービス」を開始)。

その他

平成 18 年 10 月 Amazon が「お急ぎ便(注文確定翌日から 3 日後まで

に到着)」のサービス提供を開始(平成 20 年 10 月に

は、楽天が「あす楽(翌日配送サービス)」開始)。

商品受取・返品

平成 19 年 4 月 NTT ドコモの iD サービスにおいて、クレジットカー

ド番号を入力することなく、決済することが可能に。 決済方法

平成 19 年 5 月 楽天ブックスが一部コンビニエンスストアにて商品受

取、支払ができるサービスを開始(平成 20 年 7 月に

は、Amazon がコンビニ受取サービスを開始)。

商品受取・返品 決済方法

平成 21 年 2 月 楽天ブックスにおいて、送料無料キャンペーン開始。

平成 21 年には、Amazon においても送料無料キャン

ペーン開始。Amazon は平成 22 年 11 月に、全品配送

料完全無料化を実現。

商品受取・返品

平成 21 年 7 月 インターネットショッピングの決済手段として、Suicaの電子マネーが利用可能となった。

決済方法

出所:楽天、Amazon 社、NTT ドコモ、JR 東日本各社公表資料により作成

Page 46: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

42

(4) 電子商取引(BtoC)の市場規模の増加 ここで、利用者の動向から電子商取引(BtoC)市場に視点を移してみる。 電子商取引(BtoC)の市場規模を見てみると、現在にかけて右肩上がりで増加してきて

いる。平成 17 年と平成 22 年を比較してみると、2.25 倍と 2 倍以上の規模まで拡大してい

る(図表 2.2-9)。

図表 2.2-9:電子商取引(BtoC)の市場規模の推移

出所:経済産業省「電子商取引実態調査」により作成

電子商取引(BtoC)の市場規模の推移を、業種別に見てみると、金融業を除いた全ての

業種において、増加傾向にあることが分かる。最も大きな市場を占めている業種は、情報

通信業であり、平成 22 年の段階で、全体の 25.5%を占めている。平成 17 年と平成 22 年を

比較してみると、最も成長率が高い業種は、医薬化粧品小売業であり、全体平均の成長率

が 2.25 倍だったのに対し、3.76 倍となっている(図表 2.2-10)。

34,560

43,910

53,440

60,890

66,960

77,880

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

平成17 18 19 20 21 22

(年)

(億円)

2.25倍増加

Page 47: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

43

図表 2.2-10:業種別電子商取引(BtoC)の市場規模の推移

出所:経済産業省「電子商取引実態調査」により作成

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

平成17 18 19 20 21 22 (年)

(億円)

情報通信業 総合小売業

自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品小売業 宿泊・旅行業、飲食業

食料品小売業 医薬化粧品小売業

運輸業 衣料・アクセサリー小売業

金融業 卸売業・その他サービス業

全体の25.5%

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44

(5) 電子商取引(BtoC)市場拡大の背景 電子商取引(BtoC)市場の拡大の背景には、前述のとおり、インターネットショッピン

グの利用率が増加してきていることが、大きな要因の一つと考えられる。利用率の増加以

外に、インターネットショッピング利用者の年間平均購入品目数に注目してみると、平成

14 年の平均 1.2 品目/年と平成 22 年の平均 2.5 品目/年を比較してみると、約 2.1 倍の増

加となっている。インターネットショッピング利用者の利用率は、平成 14 年が 33.2%、平

成 22 年が 46.1%であることから、一年間当たりの購入された品物の数を平成 14 年と平成

22 年で比較すると、約 2.9 倍もの品物の数が購入されたことになり、年間平均購入品目数

の増加も、電子商取引(BtoC)の市場拡大の要因の一つと考えられる(図表 2.2-11)。

図表 2.2-11:インターネットショッピング利用者の年間平均購入品目数の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 無回答・その他の項目を除いて集計

※2: 平成 17 年より前の調査において選択肢として存在したが、平成 17 年以降選択肢から存在しなくな

った項目は、除いている

0.4

1.2

1.8 1.8

2.2 2.2 2.2

2.4 2.5 2.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(品目数)

0.40 1.15

2.9倍増加

33.2 46.1

インターネット利用者におけるインターネットショッピングを利用している割合

インターネット利用者における年間平均購入品目数

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45

(6) 電子決済の普及 電子決済がどれだけ普及しているか、プリペイド決済・ポストペイ決済・ジャストペイ

(デビット)決済に分けて見てみる。

平成 13 年より利用が開始された Edy、Suica の累計発行枚数は、右肩上がりで増加して

いる。Edy は平成 21 年 5 月の時点での累計発行枚数が約 4,840 万枚となり、Suica は平成

23 年 3 月の時点で 3,297 万枚となっている(

プリペイド決済(Edy、Suica)

図表 2.2-12)。(Edy は、モバイルでの利用も

含まれている。Suica は、モバイル Suica での利用も含まれている) また、Edy、Suicaに関しては、利用範囲が広がっており、条件付き 1

ではあるが、イン

ターネットショッピングにおける決済手段として利用できるようになっている。Edyは平成

16 年に、Suicaは平成 21 年に、インターネットショッピングにおける決済手段として利用

可能となった。

図表 2.2-12:Edy と Suica の累計発行枚数の推移

出所:ビットワレット、JR 東日本各社公表資料により作成

1 Edy に関しては、カードリーダーを用意するか、モバイルでの商品・サービスの購入に限る。Suica に関

しては、決済手段として「Suica インターネットサービス」が利用できるサイトに限る。

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

平成

16

17

18

19

20

21

22

23

(年)

(万枚)

Edy Suica

約4,840万枚

約3,297万枚

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46

平成 17 年より利用が開始された QUICPay の会員数は、平成 21 年初めくらいまでは増

加し続けたが、平成 21 年以降は横ばい傾向にある。平成 22 年 12 月の時点での会員数は

489 万人となっている(

ポストペイ決済(QUICPay)

図表 2.2-13)。

図表 2.2-13:QUICPay の会員数の推移

出所:モバイル決済推進協議会公表資料により作成

平成 12 年より本格的にサービスが開始された J-Debit の取引金額・取引件数は、平成 17年までは増加し続けたが、平成 17 年以降は横ばい傾向にある。平成 22 年の時点で、取引

金額は約 6,419 億円、取引件数は約 1,343 万件となっている(

ジャストペイ(デビット)決済(J-Debit)

図表 2.2-14)。

0

100

200

300

400

500

600

平成

18

19

20

21

22

23

(年)

(万人)

約489万人

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47

図表 2.2-14:J-Debit の取引金額・取引件数の推移

出所:日本デビットカード推進協議会公表資料により作成

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

900,000

平成12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(千件)(百万円)

(年)

取引金額(左目盛) 取引件数(右目盛)

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48

(7) モバイル決済の普及 平成 16 年より利用が開始された Edy(おサイフケータイ)の累計発行枚数は、右肩上が

りで増加し続け、平成 21 年 5 月の時点で、930 万枚となっている。 平成 17 年より利用が開始された iD の会員数は、右肩上がりで増加し続け、平成 23 年 3

月の時点で、1,584 万人となっている。 平成 18 年より利用が開始されたモバイル Suica の会員数は、緩やかに増加し続け、平成

23 年 3 月の時点で、239 万人となっている(図表 2.2-15)。

図表 2.2-15:Edy(おサイフケータイ)の累計発行枚数、 iD・モバイル Suica の会員数の推移

出所:NTT ドコモ、ビットワレット、JR 東日本各社公表資料により作成

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

平成

18

19

20

21

22

23

(年)

(万)

Edy(おサイフケータイ) iD モバイルSuica

約1,584万人

約239万人

約930万枚

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49

2.2.2 CGM・ソーシャルメディアの普及 (1) CGM・ソーシャルメディアの普及

平成 11年頃には既にブログサービスは利用され始めていたが、平成 15 年・平成 16 年に、

現在の主要ブログサービスを提供している企業が立て続けに無料ブログサービスを提供開

始したことで、アクティブブログ数が平成 16 年から平成 18 年にかけて急増した(図表 2.2-16)。

図表 2.2-16:国内のアクティブブログ数の推移

出所:総務省情報通信政策研究所「ブログの実態に関する調査研究の結果」

※1: アクティブブログとは、1 ヶ月に 1 回以上記事が更新されているブログのことを指す

※2: 平成 20 年 2 月以降のアクティブブログ数に関しては、データが存在しないためグラフが途切れてい

るが、アクティブブログが存在しないということではない

http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2008/2008-1-02-2.pdf

平成 16 年には mixi や GREE、平成 18 年にはモバゲータウンなどのソーシャル・ネット

ワーキング・サービス(以下、SNS)の提供が開始され、平成 22 年末・平成 23 年初頭段

階では、mixi が 2,265 万ユーザー(平成 23 年 1 月時点)、GREE が 2,383 万ユーザー(平

成 22 年 12 月時点)、モバゲータウンが 2,448 万ユーザー(平成 22 年 12 月時点)と、共に

2,000 万以上のユーザー数を抱えるほど急増している。

0

50

100

150

200

250

300

350

13-01

13-04

13-07

13-10

14-01

14-04

14-07

14-10

15-01

15-04

15-07

15-10

16-01

16-04

16-07

16-10

17-01

17-04

17-07

17-10

18-01

18-04

18-07

18-10

19-01

19-04

19-07

19-10

20-01

(年月)

(万ブログ)

無料ブログサービスの提供

横ばい傾向

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50

平成 18 年にはミニブログサービス(Twitter)の提供が開始され、平成 20 年には日本語

版インターフェースが利用可能になったため、急激にその利用者を増やしている(図表 2.2-17)。

図表 2.2-17:国内の SNS・ミニブログサービス(Twitter)のユーザー数の推移

出所:ミクシィ、DeNA、グリー、他各種公表資料により作成 平成 16 年以降増加を続けていたアクティブブログは、平成 18 年初頭を境に増加傾向が

頭打ちとなり、平成 20 年初頭まで横ばい傾向となっている(図表 2.2-16)。アクティブブ

ログの利用が横ばい傾向となっている時期である平成 18 年初頭から平成 19 年末までの

SNS のユーザー数の増加を見てみると、mixi は約 1,000 万ユーザー増加(平成 18 年 1 月

は 263 万ユーザー、平成 19 年 12 月は 1,297 万ユーザー)、GREE は約 300 万ユーザー増

加(平成 18 年 1 月は 30 万ユーザー、平成 19 年 12 月は 328 万ユーザー)、モバゲータウ

ンは 865 万ユーザー増加(平成 18 年 2 月からサービス開始、平成 19 年 12 月は 865 万ユ

ーザー)と急増している(図表 2.2-17)。アクティブブログが平成 18 年以降安定的に利用

される状況になった大きな要因の一つとして、SNS の登場・ユーザー数の急増が影響した

ことが考えられる。

0

500

1000

1500

2000

2500

16-01

16-04

16-07

16-10

17-01

17-04

17-07

17-10

18-01

18-04

18-07

18-10

19-01

19-04

19-07

19-10

20-01

20-04

20-07

20-10

21-01

21-04

21-07

21-10

22-01

22-04

22-07

22-10

23-01

(年月)

(万人)

mixiのユーザー数 モバゲータウンのユーザー数 GREEのユーザー数 Twitterの利用者数

急増

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51

(2) SNS やミニブログサービスの利用増加の背景 SNS やミニブログサービスにおいては、同じ SNS やミニブログを利用する人が増えれば

増えるほど、多くの人とコミュニケーションを図る機会が増え、各利用者の利用価値が高

まることにより、ますます利用者が増えるという「ネットワーク効果」が働くと考えられ

ている。そのため、SNS やミニブログサービスの利用者が、利用価値をさらに高めるため

に、自らが利用しているサービスに対し、サービスの非利用者を誘い込む動きがあったこ

とが、SNS やミニブログサービスの利用者増加の要因の一つとして考えられる。

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52

2.2.3 映像配信サービスの普及 インターネットの高速化・大容量化などに伴い、利用されるようになった動画配信サー

ビスは、急激に利用者を増やしている。 動画配信サービスの代表的なものとして、無料動画配信サービスである「YouTube」の利

用者の推移を見てみると、現在にかけて右肩上がりで増加してきている。 「YouTube」は、平成 17 年よりサービス提供を開始、平成 19 年には日本語版に対応し、

利用者が 1,000 万人を超えている。平成 21 年には利用者が 2,000 万人を超え、平成 23 年 2月時点では、約 2,900 万人が利用するサービスとなっている(図表 2.2-18)。最近では、ニ

ュースの映像などでの利用や、動画配信サービスと連携したテレビ番組も出てきている。

図表 2.2-18:日本における YouTube の利用者数の推移

出所:Nielsen/NetRatings 社公表資料により作成

※1: 平成 19 年 6 月以前と平成 19 年 12 月の数値は、家庭からアクセスした利用者の数値

※2: 平成 19 年 9 月と平成 20 年 9 月の数値は、利用者のアクセス場所は不明

※3: 平成 21 年以降は、家庭からアクセスした利用者と職場からアクセスした利用者の合算値

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

17-12

18-02

18-04

18-06

18-08

18-10

18-12

19-02

19-04

19-06

19-08

19-10

19-12

20-02

20-04

20-06

20-08

20-10

20-12

21-02

21-04

21-06

21-08

21-10

21-12

22-02

22-04

22-06

22-08

22-10

22-12

23-2

(年月)

(千人)

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53

2.2.4 デジタルコンテンツの普及 デジタルコンテンツについては、入手・購入する端末としてパソコンと携帯電話の両面

から見ることにする。 (1) デジタルコンテンツの利用

インターネット利用者の中で、パソコンからデジタルコンテンツを購入する人の割合の

推移を見てみると、平成 16 年から平成 17 年にかけて 6.9 ポイント増加しているが、平成

17 年以降は、ほぼ横ばい傾向にある。インターネット利用者の中で、携帯電話からデジタ

ルコンテンツを購入する人の割合の推移を見てみると、平成 16 年から平成 17 年にかけて

5.2 ポイント増加しているが、平成 17 年以降は、減少傾向であることが分かる。平成 16 年

と平成 22 年を比較してみると、パソコンから購入する人の割合が 8.7 ポイント増加してお

り、携帯電話から購入する人の割合は 6.0 ポイント減少している(図表 2.2-19)。

図表 2.2-19:購入端末別デジタルコンテンツの購入率の推移

出所::総務省「通信利用動向調査」により作成

※ 調査対象については、パソコンからの購入は「パソコンからのインターネット利用者」、携帯からの購

入は「携帯電話(PHS・PDA を含む)からのインターネット利用者」、無回答を除いて集計

7.1%

14.0% 14.4% 14.6% 14.4%16.9%

15.8%

34.6%

39.8%

33.6% 33.6% 33.6%31.5%

28.6%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

平成16 17 18 19 20 21 22

(年)パソコンから購入 携帯電話から購入

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54

(2) デジタルコンテンツの利用の内訳 パソコンから購入されたデジタルコンテンツの種類を見てみると、「音楽」を除いた全て

が微増傾向、もしくは減少傾向にあることが分かる。平成 16 年と平成 22 年を比較してみ

ると、購入率が増加しているコンテンツは、大幅に増加しているコンテンツは「音楽」の

みで、25.8 ポイント増加しており、「ゲーム」が 1.4 ポイント、「電子書籍」が 1.3 ポイント

と微増している。「音楽」の購入率の増加は、平成 16 年頃に「iTunes Store」や「mora(モ

ーラ)」などの音楽ダウンロードサイトがサービス提供を開始されたことにより、音楽ダウ

ンロードの利便性が高まったことが、その後の購入率の大幅な増加の要因の一つと考えら

れる。 一方、購入率が最も減少しているコンテンツは「映像」であり、8.8 ポイント減少してい

る。動画配信サービスの利用が増加していることは前述の通りであるが、動画配信サービ

スの中でも、無料で利用できる動画投稿・共有サービスの利用者が増加しており、デジタ

ルコンテンツの購入利用と、動画投稿・共有サービスの無料視聴との使い分けがなされて

いると考えられる(図表 2.2-20)。

図表 2.2-20:コンテンツ種類別デジタルコンテンツ購入率(パソコン)の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、15 歳以上のパソコンからのインターネットでのデジタルコンテンツ購入者、

無回答を除いて集計

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

平成16 17 18 19 20 21 22 (年)

音楽 ソフトウェア(コンピュータプログラム)

映像 地図情報提供サービス(乗換案内、ルート検索サービスも含む)

ゲーム ニュース、天気予報

着信メロディ・着うた 電子書籍

待受け画面 有料メールマガジン

その他

25.8ポイント増加

8.8ポイント減少

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55

携帯電話から購入されたデジタルコンテンツの種類を見てみると、「着信メロディ・着う

た」、「待受け画面」を除いた全てが増加傾向にあることが分かる。平成 16 年と平成 22 年

を比較してみると、購入率が大幅に増加しているコンテンツは、パソコンによるデジタル

コンテンツの購入と同様に「音楽」であり、24.3 ポイントと大幅に増加している。一方、

購入率が大幅に減少しているコンテンツは「着信メロディ・着うた」が 21.1 ポイント、「待

受け画面」が 14.1 ポイントの減少となっている(図表 2.2-21)。

図表 2.2-21:コンテンツ種類別デジタルコンテンツ購入率(携帯電話)の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、15 歳以上の携帯電話(PHS・PDA を含む)からのインターネットでのデジ

タルコンテンツ購入者、無回答を除いて集計

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

平成16 17 18 19 20 21 22 (年)

着信メロディ・着うた 音楽

ゲーム 待受け画面

ニュース、天気予報 地図情報提供サービス(乗換案内、ルート検索サービスも含む)

映像 電子書籍

有料メールマガジン ソフトウェア(コンピュータプログラム)

その他

14.1ポイント減

21.1ポイント減

24.3ポイント増

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56

(3) デジタルコンテンツ市場(モバイル)の拡大 ここで、利用者の動向からデジタルコンテンツ市場(モバイル)に視点を移してみる。 デジタルコンテンツ(モバイル)の市場を見てみると、市場規模全体は、現在にかけて

右肩上がりで増加しており、平成15年以降、年率10%以上という急激な拡大を続けている。 平成 15 年、平成 16 年付近では、「着メロ」が主流であったのに対し、現在は「着うた」、「モ

バイルゲーム」が主流となっている。 平成 16 年から平成 21 年にかけて、携帯電話からの購入率が大幅に減少している「着信

メロディ・着うた」ではあるが(図表 2.2-21)、「着メロ系」、「着うた系」を合算した市場

規模としては、平成 15 年から平成 20 年にかけて、47.3 ポイント増加している。これは、

「着信メロディ・着うた」の購入率の中で、「着信メロディ」より購入単価が高い「着うた」

の購入比率が増加したため、購入率は減少しているものの、市場規模の拡大につながった

と考えられる(図表 2.2-22)。

図表 2.2-22:コンテンツ種類別デジタルコンテンツ市場規模の推移

出所:総務省「モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」

※ このグラフの「その他」は、リングバックトーン市場、きせかえ市場、天気/ニュース市場、生活情報

市場、及びその他の金額が含まれる

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu04_000016.html

1,101 1,167 1,048 843 559 473

201 562 759 1,074 1,190270

412589 748 848 869

116 171221395

158182

200

189

225

236248

227229

125

164206

5

157

426

488

656

821

945

28

5514

2

6916

3

87

123

103

74

54

64

60

404

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

平成15 16 17 18 19 20 (年)

(億円)

着メロ系 着うた系 モバイルゲーム

装飾メール 電子書籍 占い

待受系 交通情報 アバター/アイテム販売(SNS等)

その他

年率10%以上増加

47.3ポイント増加

Page 61: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

57

(4) モバイルによる大容量のデジタルコンテンツの利用が増加した背景 デジタルコンテンツ(モバイル)の市場の中において、平成 16 年頃から、「着うた」や

「モバイルゲーム」の市場が拡大してきた背景としては、前述のとおり、「携帯 IP 接続サ

ービスの定額化」と「携帯 IP 接続サービスのインターネット回線の高速化」が大きな要因

であると考えられる。 「携帯 IP 接続サービスの定額化」は、平成 15 年に、携帯電話 3 大キャリアにおいて、

携帯 IP 接続サービスを対象としたパケット定額サービスが提供されるようになったことで、

料金を気にすることなく、携帯電話からのインターネット接続が利用できるようになって

いる。 「携帯 IP 接続サービスのインターネット回線の高速化」は、平成 13 年に、第 2 世代移

動通信システムに代わって、高速データ通信を実現する第 3 世代移動通信システムの携帯

電話が登場し、平成 18 年には、普及している携帯電話の移動通信システム別シェアにおい

て、第 3 世代移動通信システムが最も高いシェアを占めるようになり、さらには、第 3 世

代移動通信システムの中でも、高度化が進められており、平成 15 年には第 3.5 世代移動通

信システム、平成 22 年には第 3.9 世代移動通信システムが登場したことで、進展してきて

いる。

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58

2.2.5 広告サービスの普及 (1) インターネット広告の利用

インターネット広告の普及を見てみると、インターネット広告の市場規模は、現在にか

けて右肩上がりで増加してきている。平成 14 年から平成 22 年にかけて、平成 21 年を除け

ば、年率 10%以上という急激な増加を続けている。 広告業界全体の市場規模としては、平成 17 年から平成 20 年の一時的な市場規模拡大を

除いて、約 6 兆円を推移しているため、広告業界全体の中において、インターネット広告

の占める割合も、右肩上がりで増加してきている(図表 2.2-23)。

図表 2.2-23:媒体別広告費の推移

出所:電通「日本の広告費」により作成

※インターネット広告費の中には、「媒体費」だけでなく「広告制作費」も含まれている

広告業界全体に対して、インターネット広告が占める割合は、平成 14 年では 1.5%であ

ったのに対し、平成 22 年では 13.3%となっており、11.8 ポイント増加している(図表 2.2-24)。

845 1,183 1,814 3,777 4,826 6,003 6,983 7,069 7,747

35,946 35,822 36,76037,408 36,668 35,699 32,995

28,282 27,749

19,816 19,417 19,561

26,563 27,361 27,88626,272

23,162 22,147

425 419 436

487 544 603676

709 784

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(億円)

インターネット広告費 マスコミ四媒体広告費 プロモーションメディア広告費 衛星メディア関連広告費

年率10%以上増加

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59

図表 2.2-24:媒体別広告費の割合

出所:電通「日本の広告費」により作成

※インターネット広告費の中には、「媒体費」だけでなく「広告制作費」も含まれている

1.5% 2.1% 3.1% 5.5% 7.0% 8.6% 10.4% 11.9% 13.3%

63.0% 63.0% 62.8% 54.8% 52.8% 50.9% 49.3% 47.8% 47.5%

34.7% 34.2% 33.4%38.9% 39.4% 39.7% 39.3% 39.1% 37.9%

0.7% 0.7% 0.7% 0.7% 0.8% 0.9% 1.0% 1.2% 1.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

インターネット広告費 マスコミ四媒体広告費 プロモーションメディア広告費 衛星メディア関連広告費

11.8ポイント増加

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60

(2) インターネット広告サービスの利用の内訳 純広告(バナー型)、検索連動型広告の種類別のインターネット広告の普及を見てみる。 純広告(バナー型)に関しては、平成 17 年から平成 20 年まで、年率 10%以上という急

激な増加を続けたが、平成 21 年以降は、成長が横ばいとなっている。検索連動型広告に関

しては、平成 17 年以降、年率 10%以上という急激な増加を続けている(図表 2.2-25)。 検索連動型広告の始まりは、平成 14 年に google 社により、日本において提供された、

検索キーワードに応じて広告を表示する「キーワードターゲット広告サービス」と、ユー

ザーが広告をクリックした回数で課金する「クリック課金型広告サービス」という 2 つの

特徴を持ち合わせた「アドワーズ広告」である。また、同年には、オーバーチュア社(現

ヤフー株式会社)により、「スポンサード・サーチ・サービス」という検索連動型広告も日

本で提供され始めた。

図表 2.2-25:純広告(バナー型)・検索連動型の種類別広告費の推移

出所:電通「日本の広告費」により作成

※インターネット広告費の中には、「媒体費」だけでなく「広告制作費」も含まれている

2,218

2,700

3,224

3,6283,514

3,757

590

930

1,367

1,7451,934

2,320

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

平成17 18 19 20 21 22(年)

(億円)

純広告 検索連動型広告

年率10%以上増加

年率10%以上増加

横ばい傾向

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61

パソコン向け、携帯電話向けの種類別のインターネット広告の普及を見てみると、パソ

コン向け広告、携帯電話向け広告の市場規模は、共に、現在にかけて右肩上がりで増加し

てきている。パソコン向け広告に関しては、平成 21 年にやや落ち込んだことを除けば、平

成 15 年以降、年率 10%以上の増加を続けている。また、携帯電話向け広告に関しても同様

に、平成 15 年以降、年率 10%以上の増加を続けている(図表 2.2-26)。

図表 2.2-26:パソコン・携帯電話の種類別広告費の推移

出所:電通「日本の広告費」により作成

※インターネット広告費の中には、「媒体費」だけでなく「広告制作費」も含まれている

1,083

1,634

2,520

3,240

3,970

4,460 4,417

4,876

100 180 288 390621

913 1,0311,201

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

平成15 16 17 18 19 20 21 22(年)

(億円)

PC 携帯

年率10%以上増加

年率10%以上増加

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62

2.2.6 通信・放送融合サービスの普及 インターネットの高速化・大容量化などに伴い動画配信サービス/動画投稿・共有サー

ビスの利用が進み、通信・放送が融合したサービスが登場するようになっている。 前述の通り、動画配信サービスの代表的なものとして、無料動画配信サービスである

「YouTube」の利用者は、右肩上がりで増加してきており(図表 2.2-27)、その「YouTube」においても、放送サービスとの連携が行われてきている。 平成 20 年には、NHK が「YouTube」において公式チャンネルを開設し、平成 21 年には、

日本において初めて、テレビ民間放送のキー局であるテレビ朝日と TBS が「YouTube」と

ライセンス契約を締結し、コンテンツ配信などが行われている。平成 22年にはテレビ東京、

平成 23 年にはフジテレビも、「YouTube」において公式チャンネルを開設している。

図表 2.2-27:日本における YouTube の利用者数の推移(再掲)

出所:Nielsen/NetRatings 社公表資料により作成

※1: 平成 19 年 6 月以前と平成 19 年 12 月の数値は、家庭からアクセスした利用者の数値

※2: 平成 19 年 9 月と平成 20 年 9 月の数値は、利用者のアクセス場所は不明

※3: 平成 21 年以降は、家庭からアクセスした利用者と職場からアクセスした利用者の合算値

また、平成 17 年には、日本テレビによって、日本初のテレビ民間放送のキー局主導のイ

ンターネット動画配信サービスが開始されている。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

17-12

18-02

18-04

18-06

18-08

18-10

18-12

19-02

19-04

19-06

19-08

19-10

19-12

20-02

20-04

20-06

20-08

20-10

20-12

21-02

21-04

21-06

21-08

21-10

21-12

22-02

22-04

22-06

22-08

22-10

22-12

23-2

(年月)

(千人)

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63

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64

2.2.7 電子政府・電子自治体の普及 (1) 電子政府の推進

国の行政機関が扱う行政手続きのオンライン化状況について、平成 21 年度における申

請・届出等行政手続のオンライン化率は 52.5%(オンライン化件数は、7,584 件)、申請届

出等以外の行政手続のオンライン化率は 46.7%(オンライン化件数は、6,791 件)となって

いる(図表 2.2-28)。

図表 2.2-28:国の行政機関が扱う手続のオンライン化状況の推移

出所:総務省「行政手続オンライン化等の状況」により作成

※1: 平成 17 年から 19 年にかけて、オンライン化実施手続の割合の減少については、制度の統廃合等に

よりオンライン化実施手続数が減少したことによる

※2: 平成 20 年から 21 年にかけて、オンライン化実施手続が減少したのは、拡大行動計画において、オ

ンラインの利用が極めて低調で、今後も改善の見込みがない手続については、システムの停止を含

めた見直し(メリハリの効いた対応)を行うこととされたことを踏まえ、各府省において、電子申

請システムの運用停止や手続の見直しが行われた結果による

またオンライン利用状況について、全申請・届出等手続のオンライン利用率は 39.5%(オ

ンライン利用件数は、180,670,085 件)となっている(図表 2.2-29)。

96.2% 96.2% 95.0% 93.6% 91.6%

63.6% 64.5% 64.0%61.5% 62.2%

46.7%

52.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平成16 17 18 19 20 21(年度)

申請・届出等手続 申請・届出等以外の手続

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65

図表 2.2-29:国の行政機関が扱う申請・届出等手続のオンライン利用状況の推移

出所:総務省「行政手続オンライン化等の状況」により作成

※オンライン化されている手続のみを対象とした場合の年間申請等件数及びオンライン利用率である

21.9%

34.1%

39.5%

0%

10%

20%

30%

40%

19 20 21(年度)

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66

(2) 電子自治体の推進 地方公共団体が扱う行政手続について、対象手続のうち各行政機関がオンライン化の実

施方策の提示を行った手続の割合は、平成 20 年度は申請・届出等手続と申請・届出以外の

手続ともに 98.5%となっている(図表 2.2-30)。

図表 2.2-30:地方公共団体が扱う手続に対する 各行政機関のオンライン化実施方策の提示状況

出所:総務省「行政手続オンライン化等の状況」により作成

98.2% 98.0% 97.7% 97.7% 98.5%

97.6% 97.7% 97.7% 97.7% 98.5%

60%

70%

80%

90%

100%

平成16 17 18 19 20

(年度)申請・届出等手続 申請・届出等以外の手続

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67

また、地方公共団体が扱う行政手続のオンライン利用率は平成 21 年度で 36.1%となって

いる(図表 2.2-31)。

図表 2.2-31:地方公共団体が扱うオンライン利用促進対象手続の利用状況の推移

出所:総務省「行政手続オンライン化等の状況」により作成

11.3%

17.5%

23.8%

27.6%

36.1%

0%

10%

20%

30%

40%

17 18 19 20 21(年度)

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68

2.2.8 遠隔教育の普及 インターネット利用者における通信教育(e-ラーニング)の利用率を見てみると、平成

14 年以降 1.5~3.0%の間で推移しており、普及率は低いと言える(図表 2.2-32)。全人口

の中での通信教育(e-ラーニング)を利用している人の割合を考えると、利用率はさらに低

くなると考えられ、まだ普及が途上段階の状況である。

図表 2.2-32:インターネット利用者における通信教育(e-ラーニング)の利用率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※ 調査対象については、15 歳以上のパソコンと携帯電話・PHS・携帯情報端末によるインターネット利

用者

2.2%

1.6%

1.9%

2.2% 2.2%2.3%

2.8%

2.3%

2.7%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

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69

2.2.9 遠隔医療の普及 遠隔医療の普及については、遠隔医療システムの導入施設数の推移を見てみる。 一般病院における遠隔医療システムの導入施設数を、平成 17 年と平成 20 年を比較して

みると、「遠隔画像診断」、「遠隔病理診断」を行うことができる施設については増加してい

るものの、「在宅療養支援」を行うことができる施設については、減少している(図表 2.2-33)。

図表 2.2-33:一般病院における遠隔医療システムの導入施設数の推移

出所:厚生労働省「医療施設調査」により作成

また、一般診療所における遠隔医療システムの導入施設数を、平成 17 年と平成 20 年を

比較してみると、「遠隔画像診断」、「遠隔病理診断」、「在宅療養支援」を行うことができる

施設の全てにおいて、減少している(図表 2.2-34)。

672

841

142192

8044

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

平成17 20

(年)

(施設数)

遠隔画像診断 遠隔病理診断 在宅療養支援

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70

図表 2.2-34:一般診療所における遠隔医療システムの導入施設数の推移

出所:厚生労働省「医療施設調査」により作成

遠隔医療システムの導入に関しては、設備投資に多額な費用を要するといったような状

況もあり、遠隔医療の普及促進へ向けて、課題が残されていると考えられる。

1,061

930

277

196

885

44

0

200

400

600

800

1,000

1,200

平成17 20

(年)

(施設数)

遠隔画像診断 遠隔病理診断 在宅療養支援

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71

2.3 ICT端末

2.3.1 ネットワーク化の進展 (1) ネットブックの普及

モバイルノートパソコンの普及を見てみると、モバイルノートパソコンの出荷台数は、

平成 17 年を境に増加傾向が頭打ちとなり、その後減少傾向にあった。しかしながら、平成

20年には減少傾向が止まり、平成 21年には、前年比 19.1%の増加となっている(図表 2.3-1)。平成 20 年から平成 21 年にかけての増加の要因の一つとして想定されるのが、ネットブッ

クの存在である。理由としては、ネットブックには、高速データ通信機能が内蔵されたも

のも多く、モバイルノートパソコンが急増した平成 20年から平成 21年の同時期にかけて、

FWA や BWA と言った高速の無線データ通信サービス提供する事業者である UQ コミュニ

ケーションズや EMOBILE の契約数が増加傾向にあることから想定される。

図表 2.3-1:モバイルノートパソコンの出荷台数と無線アクセスの契約数の推移

出所:総務省「情報通信白書」、電子情報技術産業協会「パーソナルコンピュータ国内出荷実績」より作成

※1: モバイルノートパソコンは、各年度末時点のデータを使用している

※2: モバイルノートパソコンとは、ノート型パソコンの内、キーボードが付いているもので、外寸が B5

ファイル以下もしくは重量が 2kg 未満のパソコン

743

1,077 1,1121,172

1,381

1,7361,830

1,444

1,274 1,269

1,5121,379

0 0 13 3 3 2 1 1 1

8

54

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

(千台)

0

10

20

30

40

50

60

(年)

(万契約)

モバイルノートパソコンの出荷台数(左目盛) FWAとBWAの契約数の合計(右目盛)

19.1%増加

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72

(2) ネット家電の普及 インターネット接続可能な家電(ネット家電)が国内に初めて登場したのは、平成 11 年

であり、シャープよりインターネット電子レンジが発売された。国内で初めてネット家電

が発売されて 10 年以上経つが、世帯保有率は平成 22 年段階でも 10%にも満たない状態で

あり、伸び悩んでいるのが現状である(図表 2.3-2)。普及が進まない理由としては、「DLNA(Digital Living Network Alliance)」や「ECHONET(Energy Conservation and Homecare Network)」、「UOPF(Ubiquitous Open Platform Forum)」など、標準化団体

や規格が複数存在し、相互接続性がほとんど担保されないような状態になっていることが、

一つの要因であると考えられる。

図表 2.3-2:ネット家電の世帯保有率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

3.2%

4.5%4.1%

3.4%

4.3%

5.5%

7.6%

3.5%3.2%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

7%

8%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

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73

(3) インターネット接続機能付テレビの普及 インターネット接続可能なテレビの普及について見てみると、インターネット接続機能

付テレビの世帯保有率は徐々に増加してきている。平成 8 年頃には既にインターネット接

続機能付テレビが販売されていたことを考えると、平成 19 年頃までは、緩やかに普及して

きていることが分かる(図表 2.3-3)。

図表 2.3-3:インターネット接続機能付テレビの世帯保有率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

平成 19 年頃まで、緩やかにしか普及してこなかった背景としては、インターネット接続

機能付テレビが発売された当初は特に、インターネット通信回線の脆弱性が存在したこと

や、インターネット接続機能付テレビから一般のウェブサイトにアクセスするには、CPUや搭載メモリといった性能面が低かったこと、ユーザーインターフェースが使いづらかっ

たことなどが、要因として考えられる。 その後、ブロードバンドの普及とテレビの高性能化に伴って、平成 15 年にはパナソニッ

ク製テレビ向けインターネットサービス「T ナビ」、平成 17 年にはソニー製テレビ向けイ

ンターネットサービス「TV ホーム」、平成 19 年には日本国内のテレビメーカー5 社が中心

となって設立した「アクトビラ」といった、インターネット接続機能付テレビ向けの専用

ポータルサイトがサービスを開始したことで、インターネット接続機能付テレビが普及す

る環境が整ってきていると考えられ、平成 19 年以降は、世帯保有率も上がってきている。

3.0% 3.2%

5.4%

7.5%8.8%

11.7%

15.2%

23.2%

26.8%

2.3%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

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74

しかし、インターネット接続機能付テレビの利用率に目を向けてみると、平成 22 年段階

になっても 3%にも満たない。従って、インターネット接続機能付テレビは、保有され始め

てはいるものの、利用はあまり進んでいないと考えられる(図表 2.3-4)。

図表 2.3-4:インターネットを利用するための機器として インターネットに接続できるテレビを利用している人の割合の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※調査対象については、インターネット利用者

0.7%

1.5%

1.1%

2.0%

2.6%

2.8%

0.2%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

平成16 17 18 19 20 21 22 (年)

Page 79: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

75

(4) インターネットに接続できる家庭用ゲーム機の普及 インターネットに接続できる家庭用ゲーム機の普及について見てみると、平成 18 年まで

は横ばい傾向であり、平成 18 年から平成 21 年にかけては、増加傾向となったが、平成 22年段階では、また横ばい傾向になりつつある(図表 2.3-5)。

図表 2.3-5:インターネットに接続できる家庭用ゲーム機の世帯保有率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

家庭用ゲーム機をインターネットに接続して利用するための主なサービスが開始された

時期としては、平成 14 年に、ソニー・コンピュータエンタテインメント社が販売する

PlayStation をブロードバンド環境でインターネットに接続して、様々なサービスを受ける

ためのプラットフォームである「PlayStation BB」のサービスが開始され、平成 17 年には、

任天堂社が提供するゲーム機で利用可能なネットワークサービス「ニンテンドーWi-Fi コネ

クション」が提供開始されている。

11.0% 11.1%12.0%

11.1% 10.7%

15.2%

20.8%

25.9%

23.3%

9.0%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

Page 80: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

76

2.3.2 モバイル・パーソナル化の進展 (1) ワンセグ放送の普及

ワンセグ放送対応携帯電話の出荷台数を見てみると、平成 18 年から平成 20 年にかけて

は急激な増加していたが、平成 20 年以降は、横ばい傾向になっている(図表 2.3-6)。

図表 2.3-6:ワンセグ放送対応携帯電話の出荷台数の推移

出所:電子情報技術産業協会「移動電話国内出荷実績」により作成

3,409

17,062

24,966 24,460

28,889

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

平成18 19 20 21 22 (年)

(千台)

Page 81: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

77

ワンセグ放送対応携帯電話の世帯保有率を見てみると、平成 20 年までの出荷台数の増加

に伴い、平成 21 年までは世帯保有率も増加したものの、平成 21 年以降は横ばい傾向とな

っている(図表 2.3-7)。

図表 2.3-7:ワンセグ放送対応携帯電話の世帯保有率の推移

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

6.0%

26.5%

42.2%

48.0%

43.0%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

平成18 19 20 21 22

(年)

Page 82: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

78

(2) スマートフォンの普及 スマートフォンに関して見てみると、スマートフォンという名称として販売されるよう

になったのは平成 16 年頃からであるが、本格的に販売され始めたのは平成 20 年以降であ

り、実績のデータがほとんど存在しない。従って、参考としてではあるが、予測値を用い

ることとする。 スマートフォンの出荷台数予測を見てみると、平成 20 年以降、少なくとも平成 27 年頃

までは、右肩上がりで増加すると予測されている。成長率に関しても、年率 10%以上の増

加率が続くと考えられている(図表 2.3-8)。

図表 2.3-8:スマートフォンの出荷台数の推移(予測)

出所:モバイルコンピューティング推進コンソーシアム「スマートフォン・タブレット最新市場予測」

http://www.mcpc-jp.org/press/pdf/press_Smartphone_Market_Analysis.pdf

102241 337

526755

1,061

1,418

1,846

88

104

119

124

128

3137

73

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

平成20 21 22 23 24 25 26 27

(年)

(万台)

個人 企業

年率10%以上増加

Page 83: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

79

スマートフォンの契約数予測を見てみると、出荷台数予測と同様に、平成 20 年以降、少

なくとも平成 27年頃までは、右肩上がりで増加すると予測されている。成長率に関しても、

年率 10%以上の増加率が続くと考えられている(図表 2.3-9)。

図表 2.3-9:スマートフォンの契約数の推移(予測)

出所:モバイルコンピューティング推進コンソーシアム「スマートフォン・タブレット最新市場予測」

http://www.mcpc-jp.org/press/pdf/press_Smartphone_Market_Analysis.pdf

スマートフォンの世帯保有率に関しては、総務省「平成 22 年通信利用動向調査」による

と、平成 22 年段階で 9.7%となっている。出荷台数や契約数が今後も伸び続けると予想さ

れていることから、世帯保有率に関しても、今後増加することが予想される。

183 380634

1,0041,519

2,204

3,081

4,164

245

321

399

476

548

176116

65

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

平成20 21 22 23 24 25 26 27

(年)

(万契約)

個人 企業

年率10%以上増加

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80

2.3.3 デジタル化の進展 (1) 薄型テレビの普及 薄型テレビの普及を見てみると、薄型テレビの出荷台数は、右肩上がりで増加しており、

平成 13 年以降、年率 10%以上の増加を続けている(図表 2.3-10)。

図表 2.3-10:薄型テレビの累計出荷台数の推移

出所:電子情報技術産業協会「2010 民生用電子機器国内出荷データ集」により作成

※液晶テレビは、10 型以上、且つ「4:3」、「16:9」の両方

6321,237

2,406

4,0345,512

7,3788,633

191239

340

468

769

966

1,070

34969

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

平成13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(千台)

液晶テレビ プラズマテレビ

年率10%以上増加

Page 85: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

81

薄型テレビの世帯保有率を見てみても、出荷台数の増加に伴って、右肩上がりで増加し

てきている(図表 2.3-11)。世帯保有率が増加している要因としては、テレビメーカーの技

術革新により、テレビ画面のインチ単価が大幅に低下してきていることや、平成 21 年 5 月

から平成 22 年 3 月まで(最大延長により平成 23 年 3 月まで)実施された「エコポイント

の活用によるグリーン家電普及促進事業」により、テレビの買い替えが促進されたことな

どが想定される。

図表 2.3-11:薄型テレビの世帯保有率の推移

出所:内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査」により作成

※各年 3 月末時点のデータを使用している

19.8%

29.4%

43.9%

54.9%

69.2%

87.9%

11.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平成17.3 18.3 19.3 20.3 21.3 22.3 23.3

(年月)

Page 86: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

82

(2) 薄型テレビの地上デジタルテレビ放送対応について 出荷される薄型テレビが増加している中で、薄型テレビが地上デジタルテレビ放送に対

応している割合を見てみると、平成 18 年には、液晶テレビ・プラズマテレビ共に、出荷さ

れるテレビの約 8 割は地上デジタルテレビ放送に対応しており、平成 20 年段階では、出荷

されるテレビのほぼ全てが地上デジタルテレビ放送に対応されるようになっている(図表 2.3-12)。

図表 2.3-12:出荷される薄型テレビの地上デジタルテレビ放送対応率の推移

出所:電子情報技術産業協会「2010 民生用電子機器国内出荷データ集」により作成

39.3%

62.4%

85.3%

96.4% 98.3%

0.0% 0.0%

37.7%

87.1%

98.5% 99.6% 99.9% 100.0%

0.0%

62.2%

0.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平成13 14 15 16 17 18 19 20(年)

液晶テレビ(10型以上、且つ「4:3」「16:9」の両方)の地上波デジタル対応率

プラズマテレビの地上波デジタル対応率

ほぼ全てが地デジ対応

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83

(3) デジタル(DVD・ブルーレイディスク)レコーダーの普及 デジタルレコーダーの普及を見てみると、出荷台数は、平成 13 年から平成 16 年にかけ

て DVD レコーダーが急増したが、平成 17 以降は減少傾向となっている。しかし、平成 19年以降、ブルーレイディスクレコーダーの登場・急増により、デジタルレコーダー全体と

しても増加傾向となった(図表 2.3-13)。

図表 2.3-13:DVD レコーダー・ブルーレイディスクレコーダーの出荷台数の推移

出所:電子情報技術産業協会「2010 民生用電子機器国内出荷データ集」により作成

623

1,962

4,071 4,2383,482

2,9912,240

1,367 1,166

236 1,588 3,022

4,946

1310

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

(千台)

DVDレコーダー(録音再生機) ブルーレイディスクレコーダー

減少

年率10%以上増加

年率10%以上増加

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84

DVD レコーダー・ブルーレイディスクレコーダーの世帯保有率を見てみると、DVD レ

コーダーに関しては、平成 17 年までの出荷台数の増加に伴い、平成 18 年までは世帯保有

率も増加したものの、平成 18 年以降は横ばい傾向となっている。ブルーレイディスクレコ

ーダーに関しては、平成 19 年以降の出荷台数の急増に伴い、世帯保有率も増加傾向となっ

ている(図表 2.3-14)。

図表 2.3-14:DVD レコーダー・ブルーレイディスクレコーダーの世帯保有率の推移

出所:内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査」により作成

※各年 3 月末時点のデータを使用している

48.7%51.2%

46.2% 45.4%

15.2%

27.1%28.7%

43.2%40.0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

平成17.3 18.3 19.3 20.3 21.3 22.3 23.3

(年月)

DVDレコーダー(録音再生機) ブルーレイディスクレコーダー

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85

(4) デジタルカメラの普及 デジタルカメラの出荷台数を見てみると、平成 11 年から平成 15 年にかけては年率 10%

以上の増加であったが、平成 15 年から平成 17 年にかけては、横ばい傾向にあった。平成

17 年から平成 19 年にかけて、再度年率 10%以上の増加傾向を見せたが、平成 19 年以降は、

横ばい傾向となっている(図表 2.3-15)。

図表 2.3-15:デジタルカメラの出荷台数の推移

出所:カメラ映像機器工業会「デジタルカメラの生産・出荷データ」により作成

295

483

655

844 855 844

942

1,099 1,111

975

1,057

150

0

200

400

600

800

1,000

1,200

平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(年)

(万台)年率10%以上増加

年率10%以上増加

横ばい傾向

横ばい傾向

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86

デジタルカメラの世帯保有率を見てみると、平成 16 年から平成 17 年にかけて減少傾向

にあった以外は、全ての時期において増加傾向となっている(図表 2.3-16)。

図表 2.3-16:デジタルカメラの世帯保有率

出所:内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査」により作成

※各年 3 月末時点のデータを使用している

32.0%

51.8%

46.2%

53.7%

58.9%

66.0%69.2%

71.5% 73.3%

22.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

平成14.3 15.3 16.3 17.3 18.3 19.3 20.3 21.3 22.3 23.3

(年月)

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87

2.4 ICT産業

2.4.1 情報通信産業の進展 (1) 市場規模(国内生産額) 平成 20 年の情報通信産業の名目市場規模(国内生産額)は 96.5 兆円で全産業の 9.6%を

占めており、情報通信産業は、全産業の中で最大規模の産業である(図表 2.4-1)。 その推移をみると、平成 17 年以降は増加傾向にあったが、平成 20 年は他の多くの産業

と同様に減少している(図表 2.4-2、図表 2.4-3)。

図表 2.4-1:主な産業の名目市場規模(国内生産額)(内訳)(平成 20 年)

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

鉄鋼34.9兆円3.5%

運輸41.1兆円4.1%

小売32.2兆円3.2%

卸売66.2兆円6.6%

建設(除電気通信施設建設)60.2兆円6.0%

輸送機械59.4兆円5.9%

電気機械(除情報通信機器)33.1兆円3.3%

その他の産業581.4兆円57.8%

情報通信産業96.5兆円9.6%

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88

図表 2.4-2:情報通信産業の名目市場規模(国内生産額)の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

図表 2.4-3:主な産業の名目市場規模(国内生産額)の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

78,221

85,81492,466 93,425 94,152

98,899 98,29394,823 94,612 94,109 94,279 95,604

98,947 96,480

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(年)

(十億円)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(十億円)

情報通信産業 電気機械(除情報通信機器) 輸送機械

建設(除電気通信施設建設) 卸売 小売

運輸 鉄鋼

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89

一方、平成 20 年の情報通信産業の実質市場規模(国内生産額)は、前年比 0.9%増の 132.1兆円であった(図表 2.4-4)。実質市場規模は平成 7 年以降一貫して増加しており、平成 7年から平成 20 年までの年平均成長率は 4.9%であった(図表 2.4-5)。

主な産業の実質市場規模(国内生産額)の推移を見ても、情報通信産業は他の産業に比

べて大きな伸びを示している(図表 2.4-6)。実質市場規模(国内生産額)での成長に比べ

て名目市場規模(国内生産額)の成長が小さいことから、情報通信産業は他の産業に比べ

て価格低下の影響を受けていることが考えられる。

図表 2.4-4:主な産業の実質市場規模(国内生産額)(内訳)(平成 20 年)

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

鉄鋼34.9兆円3.2%

運輸38.9兆円3.6%

小売34.9兆円3.2%

卸売66.5兆円6.2%

建設(除電気通信施設建設)61.9兆円5.7%

輸送機械65.0兆円6.0%

電気機械(除情報通信機器)51.3兆円4.8%

その他の産業593.2兆円55.0%

情報通信産業132.1兆円12.2%

Page 94: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

90

図表 2.4-5:情報通信産業の実質市場規模(国内生産額)の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

図表 2.4-6:主な産業の実質市場規模(国内生産額)の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

70,95779,597

86,682 89,460 92,73798,899

104,064105,247110,753

114,842120,151

124,312130,877132,102

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年)

(十億円)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(十億円)

情報通信産業 電気機械(除情報通信機器) 輸送機械

建設(除電気通信施設建設) 卸売 小売

運輸 鉄鋼

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91

(2) 国内総生産(GDP) 平成 20 年の情報通信産業の名目 GDP は、対前年比 0.9%減の 49.0 兆円であった(図表

2.4-7)。一方、情報通信産業の実質 GDP は、平成 7 年以降一貫してプラス成長を遂げてお

り、平成 7 年から平成 20 年までの年平均成長率は 6.3%であった(図表 2.4-8)。

図表 2.4-7:情報通信産業の名目 GDP の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

37,55641,051

44,049 44,845 44,63946,355 46,758 46,029 45,935 46,561 46,916 47,779

49,448 49,015

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年)

(十億円)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

Page 96: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

92

図表 2.4-8:情報通信産業の実質 GDP の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

32,90537,519

40,956 42,415 43,93946,355

50,80752,927

56,68660,548

64,29466,587

70,67773,197

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年)

(十億円)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

Page 97: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

93

また、平成 7 年から平成 20 年までの主な産業の名目 GDP の推移を見ると、情報通信産

業の年平均成長率は 2.1%と、最も高い成長を示している(図表 2.4-9)。 一方、実質 GDP の推移をみると、情報通信産業は年平均成長率 6.3%と、電気機械(年

平均成長率 7.0%)に次いで高い成長を示している(図表 2.4-10)。

図表 2.4-9:主な産業の名目 GDP の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(十億円)

情報通信産業 電気機械(除情報通信機器) 輸送機械

建設(除電気通信施設建設) 卸売 小売

運輸 鉄鋼

Page 98: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

94

図表 2.4-10:主な産業の実質 GDP の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(十億円)

情報通信産業 電気機械(除情報通信機器) 輸送機械

建設(除電気通信施設建設) 卸売 小売

運輸 鉄鋼

Page 99: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

95

(3) 労働生産性 平成 7 年と平成 20 年の労働生産性を比較すると、通信業(54.1%増)、放送業(2.9%増)、

情報サービス業(49.2%増)、情報通信関連製造業(985.9%増)、情報通信関連サービス業

(152.7%増)、研究(62.5%増)の労働生産性は向上している一方、映像・音声・文字情報

制作業(10.2%減)、情報通信関連建設業(40.1%減)の労働生産性は低下している(図表 2.4-11)。

図表 2.4-11:情報通信産業の労働生産性の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年)

(万円/人)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

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96

(4) 雇用者数 平成 20 年の情報通信産業の雇用者数は 408.3 万人(対前年比 2.3%増)、全産業に占める

割合は 6.4%であった(図表 2.4-12)。平成 19 年と比較すると、情報サービス業(10.9%増)、

通信業(2.3%増)、研究(1.4%増)、情報通信関連サービス業(0.9%増)、放送業(0.6%増)

の雇用者は増加している一方、情報通信関連建設業(18.1%減)、情報通信関連製造業(8.1%減)、映像・音声・文字情報制作業(1.7%減)の雇用者は減少している(図表 2.4-13)。

図表 2.4-12:主な産業の雇用者数(内訳)(平成 20 年)

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

鉄鋼329千人

運輸2952千人

小売7747千人

卸売4382千人

建設(除電気通信施設建設)4318千人

輸送機械1183千人

電気機械(除情報通信機器)1151千人

その他の産業31191千人

情報通信産業4083千人

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97

図表 2.4-13:情報通信産業の雇用者数の推移

出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成 22 年)

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03_03.html

3,643 3,7143,957 4,006 4,027 4,092 4,034

3,821 3,771 3,784 3,779 3,883 3,993 4,083

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

平成7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(千人)

通信業 放送業 情報サービス業

映像・音声・文字情報制作業 情報通信関連製造業 情報通信関連サービス業

情報通信関連建設業 研究

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98

(5) 事業所数 平成 13 年と平成 21 年の事業所数を比較すると、放送業(13.1%増)、情報サービス業

(40.2%増)、インターネット附随サービス業(618.8%増)、映像・音声・文字情報制作業

(54.3%増)の事業所数は増加している一方、通信業(41.6%減)、の事業所数は減少して

いる(図表 2.4-14)。

図表 2.4-14:情報通信産業の事業所数の推移

出所:事業所・企業統計調査(平成 16 年、平成 18 年)、経済センサス基礎調査(平成 21 年)により作成

※平成 13 年のデータは、事業所・企業統計調査(平成 18 年)の報告書に掲載されているデータを引用

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

平成13 16 18 21(年)

(事業所)

通信業 放送業 情報サービス業 インターネット附随サービス業

映像・音声・文字情報制作業

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99

2.4.2 ICTベンチャー企業等の進展

ICT の発展に伴い、ICT ベンチャー企業がどのように発展してきているか、成長性や収

益性などをもとに見てみる。 ここでは、先行研究である総務省「ICT ベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

の調査結果を中心に、ICT ベンチャー企業の成長性や収益性を見る。 (1) ICT ベンチャー企業の定義 総務省「ICT ベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」によれば、ICT ベンチャ

ー企業の定義は、2 つの条件をもとに定義付けが行われている。1 つ目の定義は、1994 年

以降に設立され、1999 年以降に上場した企業である。2 つ目の定義は、1 つ目の定義に該

当する企業群の中において、東証 1 部、2 部、マザーズ、ヘラクレス、JASDAQ に上場し

た全業種の企業を抽出し、これらの企業の業務内容を各社のウェブサイトや有価証券報告

書などを基にして精査し、ICT 企業であることを確認できた企業である。 この定義に基づく抽出結果として、分析対象となった企業の数は 185 社であった。

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100

(2) ICT ベンチャー企業の概要 ICT ベンチャー企業の上場年別企業数を見てみると、平成 14 年には前年の上場企業数を

下回っているものの、平成 11 年から平成 13 年、平成 15 年から平成 18 年にかけては、右

肩上がりで増加していることがわかる(図表 2.4-15)。

図表 2.4-15:ICT ベンチャー企業の上場年別企業数

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

2

17

24

16

22

28

34

42

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

平成11 12 13 14 15 16 17 18

(年)

(社)

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101

(3) ICT ベンチャー企業の成長性 ICT ベンチャー企業全体の従業員数、一社当たりの平均従業員数を見てみると、どちら

も平成 12 年以降右肩上がりで増加している(図表 2.4-16、図表 2.4-17)。

図表 2.4-16:ICT ベンチャー企業全体の従業員数の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

4,751

8,729

11,708

14,343

17,786

22,945

28,790

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

平成12 13 14 15 16 17 18

(年)

(人)

Page 106: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

102

図表 2.4-17:ICT ベンチャー企業の平均従業員数の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

45

5968

82

99

125

156

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

平成12 13 14 15 16 17 18

(年)

(人)

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103

ICT ベンチャー企業全体の売上高を見てみると、平成 12 年以降右肩上がりで増加してい

る(図表 2.4-18)。

図表 2.4-18:ICT ベンチャー企業全体の売上高の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

※ ただし、分析対象とした 185 社の ICT ベンチャー企業のうち、分析可能な財務データを入手できた企

業数は、以下の通りである。

188,150376,779

557,617719,611

920,560

1,236,326

1,513,426

1,809

2,563

3,280

4,160

5,143

6,793

8,316

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

1,600,000

平成12 13 14 15 16 17 18(年)

(百万円)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

(百万円)

売上高合計(左目盛) 平均売上高(右目盛)

年 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 平成18企業数 104 147 170 173 179 182 182

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104

しかしながら、ICT ベンチャー企業全体の売上高伸び率の推移を見てみると、平成 17 年

に一度増加しているものの、平成 13 年以降減少しており、成長が鈍化してきていることが

うかがえる(図表 2.4-19)。

図表 2.4-19:ICT ベンチャー企業全体の売上高伸び率の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

188,629 180,838161,994

200,949

315,766

277,100100.3%

48.0%

29.1% 27.9%34.3%

22.4%

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

平成13 14 15 16 17 18

(年)

(百万円)

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

120.0%

増加金額(左目盛) 売上高伸び率(右目盛)

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105

(4) ICT ベンチャー企業の収益性 ICT ベンチャー企業全体の営業利益と経常利益、一社当たりの平均営業利益、平均経常

利益を見てみると、ほぼ同じ傾向を示しており、平成 14 年以降右肩上がりに増加している

(図表 2.4-20、図表 2.4-21)。

図表 2.4-20:ICT ベンチャー企業全体の営業利益の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

3,983 6,113

70,911

166,844197,530

-11,19919,330

112

396

917

1,085

-66

4238

-50,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

平成12 13 14 15 16 17 18

(年)

(百万円)

-200

0

200

400

600

800

1,000

1,200

(百万円)

営業利益合計(左目盛) 平均営業利益

Page 110: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

106

図表 2.4-21:ICT ベンチャー企業全体の経常利益の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

2,478 3,530

67,406

163,052

199,885

-12,23415,891

92

377

896

1,098

-72

2424

-50,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

平成12 13 14 15 16 17 18

(年)

(百万円)

-200

0

200

400

600

800

1,000

1,200

(百万円)

経常利益合計(左目盛) 平均経常利益

Page 111: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

107

また、ICT ベンチャー企業全体の当期利益、一社当たりの平均当期利益を見てみると、

平成 18 年以外は、営業利益・経常利益のグラフと同様の傾向を示している。平成 18 年に

全体の当期利益及び一社当たりの平均当期利益がともに落ち込んでいるのは、新興市場を

中心とする株価の低迷に起因するものと考えられる(図表 2.4-22)。

図表 2.4-22:ICT ベンチャー企業全体の当期利益の推移

出所:総務省「ICTベンチャーの実態把握と成長に関する調査研究」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

-47,073

26,266

96,82079,807

-21,308-2,087

-35,040

-20

147

532

439

-203

-277

-145

-60,000

-40,000

-20,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

平成12 13 14 15 16 17 18

(年)

(百万円)

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

500

600

(百万円)

当期利益合計(左目盛) 平均当期利益

Page 112: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

108

3 ICTの普及による生活・社会の変化

3.1 ライフスタイルの変化 これまでの調査では、「ICT インフラ」、「ICT サービス等」、「ICT 端末」、「ICT 産業」の

4 つの視点から、ICT を取り巻く環境の変化を追ってきた。こうした環境の変化に伴い、ICTの利用者である国民の生活行動も変化していることが考えられる。 例えば、コミュニケーション行動であれば、「対面で会う」、「通話をする」といった従来

からのコミュニケーション手段に加えて、「メールを読む/メールを書く」、「サイトを見る

/サイトに書き込む(ブログ、SNS、ミニブログ等を含む)」といったコミュニケーション

手段の利用が拡大している。同時に、これらのコミュニケーション手段に対する選好や志

向も多様化しており、一部の人では「人と会って話しているときより、パソコンや携帯電

話をいじっているときのほうが楽しい」といった機械親和志向が見られるようになった。 また、購買行動であれば、インターネットの普及により、製品の詳細情報の「検索」、製

品間・店舗間の「比較」(機能比較・価格比較等を含む)、他者の口コミや感想等を参照す

ることによる「検討」及び自身が口コミや感想等を他者に向けて発信することによる「共

有」、といった購買プロセスが拡大しており、インターネットショッピングならではの利便

性や購買スタイルを築きつつある。 そこで、本章では国民の生活行動の変化について、ICT の進展により変化が生じている

と考えられる 5 つの生活行動を取り上げ、それぞれにおける変化を分析する(図表 3.1-1)。

Page 113: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

109

図表 3.1-1:分析対象とする生活行動

生活行動の変化、及び変化に対するインターネットの影響については、総務省が過去に

実施した「我が国の社会生活におけるICT利用に関する調査」(平成 19 年 3 月)2

生活行動自体に対する「ここ 1~2 年における変化」では、3 次活動の中の「購買(変化

意識 45.4%)」、「趣味・娯楽(変化意識 41.7%)」等で特に変化意識が高くなっている。さ

らに、変化を感じられている生活行動について、インターネットの利用が変化に影響して

いるかどうかを見ると、「趣味・娯楽(影響意識 60.3%)」、「購買(影響意識 53.8%)」では

影響意識も高くなっていることがわかる(

において、

インターネットが一定の影響を及ぼしていることが指摘されている。

図表 3.1-2、図表 3.1-3)。 こうした調査結果を参考として、本章では ICT の進展により変化が生じていると考えら

れる生活行動として、「コミュニケーション行動」、「情報収集行動」、「購買行動」、「余暇行

動」、「就労行動」を取り上げる。 2 インターネットユーザーに対するネットアンケート調査

購買行動購買行動購買行動 購買プロセスの多様化(インターネットによるプロセスの多様化)

購買チャネルの使い分け

購買プロセスの多様化(インターネットによるプロセスの多様化)

購買チャネルの使い分け

交流手段としてのインターネットの位置付け 交流手段の使い分け

交流手段としてのインターネットの位置付け 交流手段の使い分け

情報収集メディアとしてのインターネットの位置付け 情報収集メディアの使い分け

情報収集メディアとしてのインターネットの位置付け 情報収集メディアの使い分け

余暇手段(娯楽手段)としてのインターネットの位置付け 余暇手段の使い分け

余暇手段(娯楽手段)としてのインターネットの位置付け 余暇手段の使い分け

就労形態の多様化(テレワークの活用等) 就労に関する情報収集・発信手段の使い分け

就労形態の多様化(テレワークの活用等) 就労に関する情報収集・発信手段の使い分け

コミュニケーション行動

コミュニコミュニケーション行動ケーション行動

情報収集行動情報収集行動情報収集行動

余暇行動余暇行動余暇行動

就労行動就労行動就労行動

Page 114: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

110

図表 3.1-2:生活行動の変化

出所:総務省「我が国の社会生活における ICT 利用に関する調査」(平成 19 年 3 月)

図表 3.1-3:生活行動の変化に対するインターネットの影響

出所:総務省「我が国の社会生活における ICT 利用に関する調査」(平成 19 年 3 月)

9.3

8.0

5.8

7.5

5.6

8.9

10.3

6.8

2.7

26.7

27.2

22.1

19.9

18.3

36.5

31.4

22.9

9.4

12.9

17.5

18.7

20.2

19.3

17.0

20.5

22.2

20.0

38.0

35.0

39.2

35.8

38.4

26.9

29.0

35.7

35.8

10.4

10.4

12.5

11.7

11.9

7.7

6.7

9.4

14.1

4.9

6.6

18.0

3.0

2.2

3.1

1.8

2.0

2.7

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

睡眠

食事

身の回りの用事

仕事・学業

家事・育児

購買

趣味・娯楽

交際・付き合い

奉仕・社会参加

以前と大きく変わった 以前と少し変わった どちらともいえない

以前からあまり変わっていない 以前から全く変わっていない そのような活動は行っていない

2次活動

3次活動

1次活動

36.0%

変化計

35.2%

27.9%

27.4%

23.9%

45.4%

41.7%

29.7%

12.1%

 生活活動の具体的な内容と変化例 睡眠:就寝から起床までの睡眠、昼寝、仮眠 食事:家庭内及び外出先での食事・飲食 身の回りの用事:入浴、身支度、化粧、整髪など 仕事・学業:収入を伴う仕事、学校・学習塾での勉強 家事・育児:炊事、掃除、洗濯、子育てなど 購買:物品の購入、サービスの予約・利用 趣味・娯楽:映画・スポーツ鑑賞、ペット世話、読書、ゲームなど 交際・付き合い:訪問、接待、会食、冠婚葬祭への出席など 奉仕・社会参加:ボランティア活動、政治活動、宗教活動など

変化例)睡眠の時間帯が規則正しくなった/不規則になった変化例)栄養バランスを考えるようになった/気にしなくなった変化例)身の回りに気を使うようになった/だらしなくなった変化例)仕事・学業に身が入るようになった/入らなくなった変化例)家事・育児を重視するようになった/おろそかになった変化例)お金を節約するようになった/浪費するようになった変化例)趣味・娯楽の幅が広がった/幅が狭くなった変化例)交際・付き合いに積極的になった/消極的になった変化例)奉仕・社会参加への関心が深まった/無関心になった

有効回答ベース(無回答を除く)

Page 115: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

111

3.1.1 コミュニケーション行動の変化 『2.1.4 音声電話の進展』、『2.2.2 CGM・ソーシャルメディアの普及』等でも見たように、

コミュニケーションに関連する「ICT インフラ」、「ICT サービス等」は急速に変化してお

り、我々の生活においても利活用が進んでいる。 言い換えれば、インターネットによるコミュニケーション手段(メール、ブログ、SNS、

ミニブログ等)の利活用が進んでおり、従来に比べて、コミュニケーション手段が多様化

していると考えられる。では、我々のコミュニケーション行動は具体的にどのように変化

しているのであろうか。 ここでは、先行研究である東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、東京

大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」の調査結果

を中心に、コミュニケーション行動の変化を分析する。 (1) コミュニケーションに係る利用時間の変化

コミュニケーションに関連する情報メディアの利用時間について、「日本人の情報行動

2005」、「2010 年日本人の情報行動調査」の調査結果を見ると、2005 年における“全体シ

ーン 3

2005 年と 2010 年での利用時間の増減に着目すると、利用時間が減少している行動とし

ては「通話をする(固定電話)」(-1.45 分/日)、「チャット機能やメッセンジャーを使う」(-1.08分/日)が、利用時間が増加している行動としては「サイトを見る(パソコン)」(+8.32 分/日)、「サイトを見る(携帯電話)」(+8.11 分/日)、「メールを読む・書く(パソコン)」(+8.09分/日)などが挙げられる。

”での利用時間の上位行動は「メールを読む・書く(携帯電話)」(15.65 分/日)、「通

話をする(固定電話)」(11.71 分/日)、「メールを読む・書く(パソコン)」(11.65 分/日)で

あった。同様に、2010 年における“全体シーン”での利用時間の上位行動は「メールを読

む・書く(携帯電話)」(20.55 分/日)、「メールを読む・書く(パソコン)」(19.73 分/日)、

「サイトを見る(パソコン)」(18.64 分/日)であった。

このことから、2005 年時にはコミュニケーションに関連する情報メディアの利用は既に

メールが主流となっており、その傾向は2010年にかけてさらに加速したと言える。さらに、

固定電話での通話の利用に代わって、サイト閲覧の利用が増加していることがわかる。

『2.1.4 音声電話の進展』でも述べたように固定電話の契約数は減少傾向にあり、ICT の進

展に伴い、音声コミュニケーションから、メールやサイト閲覧等のウェブコミュニケーシ

ョンへと移行しつつあることがうかがえる(図表 3.1-4)。 3 全体シーンには、「睡眠」、「身じたく・家事・子供や家族の世話」、「飲食」、「移動」、「仕事」、「学校・塾

の授業、それ以外の勉強」、「買い物をする」、「趣味・娯楽・休息・その他」のシーンが含まれる。

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112

図表 3.1-4:情報メディアの利用時間の変化(コミュニケーション関連)

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

次に、利用時間が増加している「サイトを見る(パソコン)」、「サイトを見る(携帯電話)」、

「メールを読む・書く(パソコン)」、「メールを読む・書く(携帯電話)」のシーン内訳に

着目してみる。 全体シーンの中から“仕事シーン 4”、“その他シーン 5

一方、「メールを読む・書く(パソコン)」における“仕事シーン”での時間増分は+4.93分、“その他シーン”での時間増分は+3.06 分/日であり、パソコンでのメール利用に関して

は、ビジネス目的での増加が中心であることがわかる。同様に、「メールを読む・書く(携

帯電話)」における“仕事シーン”での時間増分は+0.71 分/日、“その他シーン”での時間

増分は+4.33 分/日であり、携帯電話でのメール利用に関しては、パソコンとは異なり、プ

ライベート目的での増加が中心となっている。

”を抽出すると、「サイトを見る(パ

ソコン)」における“その他シーン”での時間増分は+6.03 分/日、「サイトを見る(携帯電

話)」における“その他シーン”での時間増分は+7.31 分/日であり、サイト閲覧に関しては、

プライベート目的での増加が中心であることがわかる。

4 仕事シーンには、「仕事」のシーンが含まれる。 5 その他シーンには、「身じたく・家事・子供や家族の世話」、「飲食」、「移動」、「買い物をする」、「趣味・

娯楽・休息・その他」のシーンが含まれる。

情報メディアの利用時間(2005年)情報メディアの利用時間(2005年) 情報メディアの利用時間(2010年)情報メディアの利用時間(2010年)

全体シーンでの利用時間が減少している行動全体シーンでの利用時間が減少している行動 全体シーンでの利用時間が増加している行動全体シーンでの利用時間が増加している行動

通話をする(固定電話)[-1.45分/日]

通話をする(固定電話)通話をする(固定電話)[-1.45分/日]

チャット機能やメッセンジャーを使う[-1.08分/日]

チャット機能やメッセンジャーを使うチャット機能やメッセンジャーを使う[-1.08分/日]

メールを読む・書く[+8.09分/日]

メールを読む・書くメールを読む・書く[+8.09分/日]

サイトを見る(携帯電話)[+8.11分/日]

サイトを見る(携帯電話)サイトを見る(携帯電話)[+8.11分/日]

サイトを見る(パソコン)[+8.32分/日]

サイトを見る(パソコン)サイトを見る(パソコン)[+8.32分/日]

情報メディア行動全体

シーン仕事

シーンその他シーン

利用時間 利用時間 利用時間

(分/日) (分/日) (分/日)

通話をする(携帯電話) 8.60 3.33 5.21

通話をする(固定電話) 10.25 6.58 3.65

メールを読む・書く(携帯電話) 20.55 3.28 17.01

メールを読む・書く(パソコン) 19.73 11.62 8.01

チャット機能やメッセンジャーを使う(パソコン) 0.70 0.15 0.55

サイトを見る(携帯電話) 9.47 0.81 8.37

サイトを見る(パソコン) 18.64 4.64 13.94

サイトに書き込む(携帯電話) 1.55 0.41 1.13

サイトに書き込む(パソコン) 1.43 0.47 0.97

電話

メール

インターネット

情報メディア行動全体

シーン仕事

シーンその他シーン

利用時間 利用時間 利用時間

(分/日) (分/日) (分/日)

通話をする(携帯電話) 7.83 2.89 4.97

通話をする(固定電話) 11.71 5.65 5.56

メールを読む・書く(携帯電話) 15.65 2.57 12.68

メールを読む・書く(パソコン) 11.65 6.69 4.95

チャット機能やメッセンジャーを使う(パソコン) 1.79 0.17 1.50

サイトを見る(携帯電話) 1.36 0.22 1.06

サイトを見る(パソコン) 10.32 2.20 7.91

サイトに書き込む(携帯電話) 0.14 0.02 0.09

サイトに書き込む(パソコン) 0.96 0.09 0.88

電話

メール

インターネット

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113

さらに、情報メディアの利用時間を年代別に比較してみる。 サイト閲覧について、「サイトを見る(携帯電話)」での 2005 年から 2010 年の利用時間

の増加幅は、全体に比べて特に 10 代・20 代で大きく、2010 年時における利用時間自体も

これらの年代で突出して大きい。「サイトを見る(パソコン)」での利用時間の増加幅は、

全体に比べて特に 30 代で大きく、2010 年時における利用時間自体は 20 代・30 代で突出

して大きい(図表 3.1-5)。 全体での利用時間の増加幅はそれほど大きくはなかったものの、新たな発信手段として

サイト書き込みにも着目すると、「サイトに書き込む(携帯電話)」での 2005 年から 2010年の利用時間の増加幅は、全体に比べて 10 代・20 代で大きく、2010 年時における利用時

間自体もこれらの年代で比較的大きい。「サイトに書き込む(パソコン)」での利用時間の

増加幅は、全体に比べて 30 代で大きく、2010 年時における利用時間自体は 30 代・40 代

で比較的大きい(図表 3.1-6)。 このように、サイト閲覧・書き込みの利用は年代及び端末による差異があり、10 代・20

代を中心に携帯電話での利用が、30 代・40 代を中心にパソコンでの利用が進展しているこ

とがうかがえる。

図表 3.1-5:サイト閲覧に関する利用時間の年代変化

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

1.36

5.13

1.74

1.23

1.35

0.59

0.08

9.47

30.79

35.17

11.17

4.40

1.28

1.17

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

10.32

12.91

22.16

12.73

15.09

4.72

1.33

18.64

7.20

33.18

34.55

20.19

13.47

7.59

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

“全体シーン”での「サイトを見る(携帯電話)」の年代変化“全体シーン”での「サイトを見る(携帯電話)」の年代変化 “全体シーン”での「サイトを見る(パソコン)」の年代変化“全体シーン”での「サイトを見る(パソコン)」の年代変化

+8.11分/日 +8.32分/日

全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目 全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目

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114

図表 3.1-6:サイト書き込みに関する利用時間の年代変化

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

同様に、メール利用について、「メールを読む・書く(携帯電話)」での 2005 年から 2010

年の利用時間の増加幅は、全体に比べて特に 20 代で大きく、2010 年時における利用時間

自体は 10 代・20 代で突出して大きい。「メールを読む・書く(パソコン)」での利用時間の

増加幅は、全体に比べて特に 40 代で大きく、2010 年時における利用時間自体は 30 代・40代で突出して大きい(図表 3.1-7)。

このように、メール利用についてもサイト閲覧・書き込みと同様の傾向が見られ、10 代・

20 代を中心に携帯電話での利用が、30 代・40 代を中心にパソコンでの利用が進展してい

ることがうかがえる。

“全体シーン”での「サイトに書き込む(携帯電話)」の年代変化“全体シーン”での「サイトに書き込む(携帯電話)」の年代変化 “全体シーン”での「サイトに書き込む(パソコン)」の年代変化“全体シーン”での「サイトに書き込む(パソコン)」の年代変化

0.14

0.37

0.17

0.13

0.13

0.15

0.00

1.55

4.27

3.85

1.38

0.42

1.98

0.11

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

0.96

0.23

4.34

0.61

1.63

0.14

0.04

1.43

0.73

1.63

2.37

2.37

0.62

0.93

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

+1.42分/日 +0.47分/日

全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目 全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目

Page 119: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

115

図表 3.1-7:メールに関する利用時間の年代変化

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

(2) インターネットの利用機能・サービスとしてのコミュニケーション メール利用やサイト閲覧・書き込みに費やす時間が変化しているのは前述の通りである

が、具体的にはどのようなサイトが利用され、どのような利用形態(閲覧・発信)が取ら

れているのであろうか。 「2010 年日本人の情報行動調査」の調査結果から、パソコンと携帯電話(スマートフォ

ン・PHSを含む)のそれぞれにおけるコミュニケーションに係る利用機能・サービス 6

図表 3.1-8

を見

ると、パソコンでは「他の人(個人)のブログ、ホームページを見る」が最も多く 44.9%、

次いで「掲示板の内容を読む」が 30.6%、「メールマガジンを読む」が 28.0%であった。一

方、携帯電話では「メールマガジンを読む」が最も多く 20.9%、次いで「他の人(個人)

のブログ、ホームページを見る」が 18.7%、「SNS(mixi、GREEなど)を見る」が 18.2%であった。パソコンと携帯電話とでは、利用機能・サービスの順位や利用率に多少の差異

があるものの、主要な利用機能・サービスという点では、同じ利用傾向と言える( )。

6 自宅での利用に限らず、職場や学校での利用も含まれる。ここでの利用率は、「月に数回以上利用」の割

合を示す。

11.65

5.71

15.87

19.22

17.86

8.13

2.71

19.73

3.98

17.67

25.14

37.92

18.19

8.81

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

15.65

57.40

30.13

13.91

10.97

5.78

1.77

20.55

49.86

47.55

21.81

20.57

11.90

5.18

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

“全体シーン”での「メールを読む・書く(携帯電話)」の年代変化“全体シーン”での「メールを読む・書く(携帯電話)」の年代変化 “全体シーン”での「メールを読む・書く(パソコン)」の年代変化“全体シーン”での「メールを読む・書く(パソコン)」の年代変化

+4.91分/日 +8.09分/日

全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目 全体よりも増加幅が大きい項目全体よりも増加幅が大きい項目

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116

図表 3.1-8:コミュニケーションに係るインターネットの利用機能・サービス

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

ただし、個別の利用機能・サービスに着目すると、パソコンと携帯電話とでは利用形態

が異なる。「他の人(個人)のブログ、ホームページを見る」や「掲示板の内容を読む」で

は、パソコンと携帯電話ともに利用機能・サービスの上位項目であるが、利用率の大きさ

はパソコンの方が圧倒的に大きく、パソコン寄りの利用機能・サービスと言える。また、

「SNS(mixi、GREE など)を見る/書き込む」や「ツイッター、アメーバなう などを読

む/書き込む」等の CGM・ソーシャルメディアの閲覧・発信では、パソコンと携帯電話と

で利用率の大きさに明確な差異は認められない。 次に、コミュニケーションに係る利用機能・サービスを年代別に見ると、パソコンでは

閲覧系・発信系のほとんどの利用機能・サービスにおいて、全体に比べて 20 代・30 代の利

用率が高くなっていることがわかる。同様に、携帯電話では、全体に比べて 10 代・20 代の

利用率が高くなっていることがわかる。 また、発信系の利用機能・サービスである「SNS(mixi、GREE など)に書き込む」に

着目すると、全体ではパソコンで 10.3%、携帯電話で 12.9%と明確な差異は認められなか

ったものの、年代別に見ると、パソコンでは 20代が多く 27.4%、携帯電話では 10 代で 34.8%、

20 代で 34.1%となっている。「SNS(mixi、GREE など)に書き込む」は若年層を中心と

した年代で利用率が高く、パソコンよりも携帯電話を中心に利用されている、といった特

徴が見出せる(図表 3.1-9、図表 3.1-10)。

1.6%

0.7%

0.2%

20.9%

18.2%

12.9%

17.8%

7.9%

6.8%

18.7%

7.3%

4.3%

1.8%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

チャットをする

インスタントメッセンジャーを利用する

スカイプなどの音声通信を利用する

メールマガジンを読む

SNS(mixi、GREEなど)を見る

SNS(mixi、GREEなど)に書き込む

掲示板の内容を読む

掲示板に書き込みをする

自分のブログ、ホームページを作ったり更新したりする

他の人(個人)のブログ、ホームページを見る

ツイッター、アメーバなう などを読む

ツイッター、アメーバなう などに書き込む

インターネット上のサービスで自分の文書や写真を管理している(GoogleドキュメントやPicasaなど)

1.6%

0.7%

0.2%

20.9%

18.2%

12.9%

17.8%

7.9%

6.8%

18.7%

7.3%

4.3%

1.8%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

チャットをする

インスタントメッセンジャーを利用する

スカイプなどの音声通信を利用する

メールマガジンを読む

SNS(mixi、GREEなど)を見る

SNS(mixi、GREEなど)に書き込む

掲示板の内容を読む

掲示板に書き込みをする

自分のブログ、ホームページを作ったり更新したりする

他の人(個人)のブログ、ホームページを見る

ツイッター、アメーバなう などを読む

ツイッター、アメーバなう などに書き込む

インターネット上のサービスで自分の文書や写真を管理している(GoogleドキュメントやPicasaなど)

4.0%

3.4%

4.4%

28.0%

15.3%

10.3%

30.6%

7.9%

8.8%

44.9%

11.0%

4.7%

6.2%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

チャットをする

インスタントメッセンジャーを利用する

スカイプなどの音声通信を利用する

メールマガジンを読む

SNS(mixi、GREEなど)を見る

SNS(mixi、GREEなど)に書き込む

掲示板の内容を読む

掲示板に書き込みをする

自分のブログ、ホームページを作ったり更新したりする

他の人(個人)のブログ、ホームページを見る

ツイッター、アメーバなう などを読む

ツイッター、アメーバなう などに書き込む

インターネット上のサービスで自分の文書や写真を管理している(GoogleドキュメントやPicasaなど)

「月に数回以上利用」の割合

パソコンの利用機能・サービス(2010年)パソコンの利用機能・サービス(2010年) 携帯電話の利用機能・サービス(2010年)携帯電話の利用機能・サービス(2010年)

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117

図表 3.1-9:年代別インターネットの利用機能・サービス(2010 年:パソコン)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

図表 3.1-10:年代別インターネットの利用機能・サービス(2010 年:携帯電話)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

SNS

(mixi

、GREEな

)を見る

掲示板の内容を読む

他の人

(個人

)のブログ

、ホー

ムペー

ジを見る

ツイ

ッター

、アメー

バなう

どを読む

SNS

(mixi

、GREEな

)に書き込む

掲示板に書き込みをする

自分のブログ

、ホー

ムペー

ジを

ったり更新したりする

ツイ

ッター

、アメー

バなう

どに書き込む

全体 15.3% 30.6% 44.9% 11.0% 10.3% 7.9% 8.8% 4.7%

10代 17.3% 24.7% 39.5% 19.8% 12.5% 12.3% 11.1% 7.5%

20代 38.4% 35.4% 50.4% 16.8% 27.4% 11.5% 15.0% 9.7%

30代 23.5% 40.4% 57.1% 14.8% 15.3% 12.0% 14.2% 4.9%

40代 8.5% 28.6% 43.4% 9.0% 4.2% 6.9% 5.8% 3.7%

50代 3.5% 27.3% 42.8% 5.2% 2.9% 2.3% 4.6% 3.5%

60代 4.5% 20.2% 25.6% 3.4% 3.4% 3.4% 2.3% 0.0%

年代クロス

閲覧系 発信系※ は全体+5ポイント以上

SNS

(mixi

、GREEな

)を見る

掲示板の内容を読む

他の人

(個人

)のブログ

、ホー

ムペー

ジを見る

ツイ

ッター

、アメー

バなう

どを読む

SNS

(mixi

、GREEな

)に書き込む

掲示板に書き込みをする

自分のブログ

、ホー

ムペー

ジを

ったり更新したりする

ツイ

ッター

、アメー

バなう

どに書き込む

全体 18.2% 17.8% 18.7% 7.3% 12.9% 7.9% 6.8% 4.3%

10代 43.5% 35.9% 43.5% 14.3% 34.8% 19.8% 21.7% 7.6%

20代 50.4% 38.0% 43.8% 20.2% 34.1% 18.6% 17.8% 14.0%

30代 19.5% 20.8% 19.5% 8.5% 15.3% 8.5% 6.4% 3.8%

40代 10.1% 13.4% 13.4% 4.2% 5.1% 5.1% 3.2% 2.8%

50代 3.1% 5.1% 5.6% 1.5% 2.1% 1.0% 1.0% 1.0%

60代 0.0% 4.5% 0.9% 0.0% 0.0% 1.8% 0.0% 0.0%

閲覧系 発信系※ は全体+5ポイント以上

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118

(3) CGM・ソーシャルメディアの普及と利用目的 コミュニケーションに係る利用機能・サービスでも特徴が見出されたように、近年では

ブログ、SNS、ミニブログ等に代表される CGM・ソーシャルメディアの利用が急速に進展

している。ここでは、ライフスタイルの変化と並行して、CGM・ソーシャルメディアの普

及状況を振り返る。 『2.2.2 CGM・ソーシャルメディアの普及』でも見たように、我が国におけるブログサー

ビスの利用は、平成 15 年に無料ブログサービスが登場し、個人でも容易かつ気軽に開設す

ることが可能になったことが契機となり、平成 16 年から平成 18 年にかけて急速に進展し

た。その後、平成 16 年に mixi や GREE、平成 18 年に Mobage(旧モバゲータウン)等の

SNS が登場したことにより、平成 16 年以降増加の一途をたどっていたアクティブブログ数

は平成 18 年を境に増加が止まり、安定的に利用されるようになった。さらに、平成 20 年

にはミニブログ(Twitter 等)が登場し、現在に至るまでに急速に利用者数を伸ばしている

(図表 3.1-11、図表 3.1-12)。

図表 3.1-11:国内のアクティブブログ数の推移(再掲)

出所:総務省情報通信政策研究所「ブログの実態に関する調査研究の結果」

※1: アクティブブログとは、1 ヶ月に 1 回以上記事が更新されているブログのことを指す

※2: 平成 20 年 2 月以降のアクティブブログ数に関しては、データが存在しないためグラフが途切れてい

るが、アクティブブログが存在しないということではない

http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2008/2008-1-02-2.pdf

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119

図表 3.1-12:国内の SNS・ミニブログサービス(Twitter)のユーザー数の推移(再掲)

出所:ミクシィ、DeNA、グリー、他各種公表資料により作成 総務省「平成 19 年版情報通信白書」でも述べられているが、CGM・ソーシャルメディ

アでは、同じサービスを利用する人が多ければ多いほど、コミュニケーションの機会やコ

ミュニケーションの相手が増えるという“ネットワーク効果”が作用する。このため、ブ

ログ、SNS、ミニブログ等の利用者が、自身が利用しているサービスでのコミュニケーシ

ョンを充実化させるため、同サービスに非利用者を誘い込む動きがあったと推察される。

このような動きが、急速に利用が進展した一因であると考えられる。 では、CGM・ソーシャルメディアの利用者は、どのような目的でそれらのサービスを利

用しているのであろうか。ミニブログの利用者に対する調査結果を中心に、CGM・ソーシ

ャルメディアの利用実態を追うことにする。 総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調

査」では、ミニブログ利用者に対するネットアンケート調査 7

7 事前にスクリーニング調査を実施し、「これまでにミニブログを利用したことがある」と回答した人を本

調査の対象としている。ミニブログ以外のサービス(ブログ、SNS、メール)は、利用経験に係らず、

利用することを想定して回答している。

を実施している。この調査結

果によると、ミニブログの利用目的としては「自分の興味・関心のある情報を伝えたいか

ら」(48.0%)、「自分の近況を伝えたいから」(41.1%)、「自分の興味・関心のある情報を知

りたいから」(34.3%)等が多く挙げられており、自分に関する情報発信の場としての認識

が強いことがうかがえる。

0

500

1000

1500

2000

2500

16-

01

16-

04

16-

07

16-

10

17-

01

17-

04

17-

07

17-

10

18-

01

18-

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18-

10

19-

01

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19-

10

20-

01

20-

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20-

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20-

10

21-

01

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21-

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10

22-

01

22-

04

22-

07

22-

10

23-

01

(年月)

(万人)

mixiのユーザー数 モバゲータウンのユーザー数 GREEのユーザー数 Twitterの利用者数

急増

Page 124: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

120

一方、ブログでは、自分に関する情報発信の場であると同時に、情報収集の場としての

認識も強い。SNS では、自分に関する情報発信・情報収集に加えて、友人・知人の近況共

有の場としての認識も強い。このように、CGM・ソーシャルメディアの種類によって、情

報発信と情報収集、自分に関する情報と周囲に関する情報、等における重視点が異なると

考えられる(図表 3.1-13)。

図表 3.1-13:CGM・ソーシャルメディアの利用目的

出所:総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」

(2010 年 3 月)

また、同調査結果から CGM・ソーシャルメディアの利用メリットを見ると、ミニブログ

の利用メリットとしては「簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる」(55.4%)、「書

き込める文字数が制限されているため、情報を簡潔に受信/発信することができる」

(41.9%)、「不特定多数の人を相手に情報の受信/発信ができる」(33.9%)等が多く挙げ

られており、“簡単な操作”、“簡潔な情報”、“1:N(不特定)コミュニケーション”といっ

た点が魅力となっている。 これに対して、ブログでは、“1:N(不特定)コミュニケーション”はミニブログと共通

しているものの、それに加えて、“リッチデータの共有”、“情報の一覧性(ログの保存・確

認)”等も魅力となっている。SNS では、“つながりの確認・拡大”、“リッチデータの共有”

等が魅力となっている。このように、ブログ、SNS、ミニブログの利用メリットを比較す

ると、情報発信・情報収集に軸足を置いているのか、相手との紐帯に軸足を置いているの

かといった違い、あるいは、情報発信・情報収集の中でも簡便性に軸足を置いているのか、

情報量の多さに軸足を置いているのかといった違いがあると考えられる(図表 3.1-14)。

48.0%

41.1%

34.3%

32.3%

30.6%

29.5%

29.1%

27.2%

26.6%

24.5%

24.4%

22.9%

22.0%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

自分の興味・関心のある情報を伝えたいから

自分の近況を伝えたいから

自分の興味・関心のある情報を知りたいから

自分の意見・考えを伝えたいから

有名人・知識人の考えや近況を知りたいから

友人・知人の考えや近況を知りたいから

誰かに情報を伝えることを意識せずに書き込むことができるから

新しい情報を知りたいから

面識のない人と双方向的にコミュニケーションを取りたいから

新しい情報を伝えたいから

友人・知人に限らず多くの人に情報を伝えたいから

友人・知人に情報を伝えたいから

友人・知人と双方向的にコミュニケーションを取りたいから

(N=1047) ブログの利用目的※ (上位3項目)

• 自分の興味・関心のある情報を伝えたいから[50.1%]

• 自分の興味・関心のある情報を知りたいから[42.8%]

• 自分の意見・考えを伝えたいから[39.6%]

ブログの利用目的ブログの利用目的※※ (上位(上位33項目)項目)

• 自分の興味・関心のある情報を伝えたいから[50.1%]

• 自分の興味・関心のある情報を知りたいから[42.8%]

• 自分の意見・考えを伝えたいから[39.6%]

メールの利用目的※ (上位3項目)

• 友人・知人に情報を伝えたいから[51.3%]

• 自分の近況を伝えたいから[48.2%]

• 友人・知人と双方向的にコミュニケーションを取りたいから [47.0%]

メールの利用目的メールの利用目的※※ (上位(上位33項目)項目)

• 友人・知人に情報を伝えたいから[51.3%]

• 自分の近況を伝えたいから[48.2%]

• 友人・知人と双方向的にコミュニケーションを取りたいから [47.0%]

SNSの利用目的※ (上位3項目)

• 自分の興味・関心のある情報を伝えたいから[37.2%]

• 自分の興味・関心のある情報を知りたいから[30.8%]

• 自分の近況を伝えたいから[30.6%]

• 友人・知人の考えや近況を知りたいから[30.6%]

SNSSNSの利用目的の利用目的※※ (上位(上位33項目)項目)

• 自分の興味・関心のある情報を伝えたいから[37.2%]

• 自分の興味・関心のある情報を知りたいから[30.8%]

• 自分の近況を伝えたいから[30.6%]

• 友人・知人の考えや近況を知りたいから[30.6%]

「ミニブログ」の利用目的は上位3項目

Page 125: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

121

図表 3.1-14:CGM・ソーシャルメディアの利用メリット

出所:総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」

(2010 年 3 月) (4) コミュニケーションに係る志向性の変化

これまでの分析では、コミュニケーションに係る利用時間やコミュニケーション手段の

利用状況といった実態面を見てきた。ここでは、コミュニケーションに参画する“人”に

焦点を当て、コミュニケーションに係る価値観・志向性を検証する。 「2010 年日本人の情報行動調査」では、生活の様々な側面における性格特性を測定して

いる。その中から、コミュニケーションに係る価値観・志向性として「機械親和志向」、「つ

ながり志向」、「感覚伝達志向」、「コミュニケーション規範」の 4 つの観点を取り上げ、年

代別の特徴を見ることにする。 機械親和志向とは、「人と会って話しているときより、パソコンや携帯電話をいじってい

るときのほうが楽しい」、「人と会って話すより、メールでやりとりする方が気楽だ」とい

った価値観・志向性を表すものと定義する。 年代別の分析結果から、全体に比べて、10 代~30 代では機械親和志向が高いことがわか

る。これらの年代は、パソコン・携帯電話の利用機能・サービスにおいて、閲覧系・発信

系ともに利活用が進んでいる年代であり、こうしたウェブコミュニケーションの利用経験

によって機械親和志向が形成された、あるいは、機械親和志向に適したコミュニケーショ

ン方法としてウェブコミュニケーションの利用が進んだと考えられる( 図表 3.1-15)。

55.4%

41.9%

33.9%

31.0%

28.5%

25.3%

20.9%

20.6%

18.7%

16.8%

16.2%

13.8%

12.5%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる

書き込める文字数が制限されているため、

情報を簡潔に受信/発信することができる

不特定多数の人を相手に情報の受信/発信ができる

会って話したり、電話をするのと同じように

相手とコミュニケーションを取ることができる

ページが自動更新されるため、常に新しい情報を得ることができる

共通の興味・関心を持つ人とつながりを持つことができる

既知の友人・知人を相手に情報の受信/発信ができる

共通の興味・関心を持っていない人や、

友人の友人ともつながりを持つことができる

他のメディアやコミュニケーションサービスと連動して

利用できる(ブログパーツ等)

匿名のため、言いたいことを自由に書くことができる

閲覧者・訪問者を通知する機能(閲覧通知機能、足跡機能等)がない

写真やデータなどを他者と共有することができる

閲覧者・訪問者を通知する機能(閲覧通知機能、足跡機能等)がある

(N=1047)「ミニブログ」の利用メリット

は上位3項目ブログの利用メリット※ (上位3項目)

• 不特定多数の人を相手に情報の受信/発信ができる [45.0%]

• 写真やデータなどを他者と共有することができる[41.5%]

• テーマ別や時系列別に保存できるなど、過去ログを確認しやすい/検索がしやすい [34.5%]

ブログの利用メリットブログの利用メリット※※ (上位(上位33項目)項目)

• 不特定多数の人を相手に情報の受信/発信ができる [45.0%]

• 写真やデータなどを他者と共有することができる[41.5%]

• テーマ別や時系列別に保存できるなど、過去ログを確認しやすい/検索がしやすい [34.5%]

メールの利用メリット※ (上位3項目)

• 既知の友人・知人を相手に情報の受信/発信ができる [51.8%]

• 会って話したり、電話をするのと同じように相手とコミュニケーションを取ることができる [48.4%]

• 簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる[39.7%]

メールの利用メリットメールの利用メリット※※ (上位(上位33項目)項目)

• 既知の友人・知人を相手に情報の受信/発信ができる [51.8%]

• 会って話したり、電話をするのと同じように相手とコミュニケーションを取ることができる [48.4%]

• 簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる[39.7%]

SNSの利用メリット※ (上位3項目)

• 共通の興味・関心を持つ人とつながりを持つことができる [32.6%]

• 閲覧者・訪問者を通知する機能(閲覧通知機能、足跡機能等)がある [31.0%]

• 写真やデータなどを他者と共有することができる[30.4%]

SNSSNSの利用メリットの利用メリット※※ (上位(上位33項目)項目)

• 共通の興味・関心を持つ人とつながりを持つことができる [32.6%]

• 閲覧者・訪問者を通知する機能(閲覧通知機能、足跡機能等)がある [31.0%]

• 写真やデータなどを他者と共有することができる[30.4%]

Page 126: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

122

図表 3.1-15:コミュニケーションに係る志向性(機械親和志向)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 つながり志向とは、「人と一緒にいるのが好きである」、「いつも友人や知人とつながって

いるという感覚が好きだ」といった価値観・志向性を表すものと定義する。 年代別の分析結果から、全体に比べて、10代~20代でつながり志向が高いことがわかる。

特に 10 代は、他の年代に比べて、突出してつながり志向が高くなっている。これらの年代

は、ウェブコミュニケーションの利活用が進んでいると同時に、携帯電話を多用している

といった特徴がある。こうした利用経験によってつながり志向が形成された、あるいは、

つながり志向を満たすために、これらの年代において、いつでもどこでもつながれる携帯

電話の利用が拡大したと考えられる(図表 3.1-16)。

機械親和志向機械親和志向①①人と会って話しているときより、パソコンや携帯電話をいじっているときのほうが楽しい

機械親和志向機械親和志向②②人と会って話すより、メールでやりとりする方が気軽だ

8.6%

17.5%

10.4%

14.4%

91.4%

82.5%

89.6%

85.6%

93.7%

93.5%

96.2%

3.8%

6.5%

6.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

15.3%

25.4%

23.8%

23.3%

16.3%

9.7%

84.7%

74.6%

76.2%

76.7%

83.7%

90.3%

94.0%

6.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

Page 127: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

123

図表 3.1-16:コミュニケーションに係る志向性(つながり志向)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 感覚伝達志向とは、「ことばより、絵や映像の方が自分の気持ちをうまく表現できる」、「自

分の意見や気持ちを文字で発信することに喜びを感じる」といった価値観・志向性を表す

ものと定義する。 年代別の分析結果から、全体に比べて、10代~20代で感覚伝達志向が高いことがわかる。

つながり志向と同様に、これらの年代は、ウェブコミュニケーション及び携帯電話の利活

用が進んでいるといった特徴がある。携帯電話では、特有のコミュニケーション方法とし

て、絵文字やデコメ(デコメール)といった表現方法が用いられる。また、リアル(リア

ルタイム日記、リアルタイムブログ)のように、現在の気持ちや状況を即時に書き込める

簡易的ホームページ・ブログサービスも中高生を中心に人気があり、デジタルな文字での

表現が拡大している。このように、携帯電話を中心とした利用経験によって感覚伝達志向

が形成された、あるいは、感覚伝達志向を満たすための表現手段として、携帯電話の利用

が拡大、携帯電話の機能が拡張したと考えられる(図表 3.1-17)。

つながり志向つながり志向①①人と一緒にいるのが好きである

つながり志向つながり志向②②いつも友人や知人とつながっているという感覚が好きだ

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

68.1%

83.5%

76.4%

68.1%

66.9%

66.2%

61.5%

31.9%

16.5%

23.6%

31.9%

33.1%

33.8%

38.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

53.8%

68.5%

56.3%

50.7%

54.1%

51.6%

51.4%

46.2%

31.5%

43.8%

49.3%

45.9%

48.4%

48.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

Page 128: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

124

図表 3.1-17:コミュニケーションに係る志向性(感覚伝達志向)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 コミュニケーション規範とは、「個人的な手紙を(手書きではなく)、パソコン(ワープ

ロ)で書くのはなるべくやめた方がよい」、「目上の人からの贈り物のお礼を携帯メールで

済ませるのはなるべくやめた方がよい」といった価値観・志向性を表すものと定義する。 年代別の分析結果から、10 代・20 代のネガティブ意識(そう思わない)に特徴が見られ

るものの、ポジティブ意識(そう思う)での特徴は見られず、機械親和志向、つながり志

向、感覚伝達志向とは異なり、年代による差異は少ないと言える(図表 3.1-18)。

感覚伝達志向感覚伝達志向①①ことばより、絵や映像の方が自分の気持ちをうまく表現できる

感覚伝達志向感覚伝達志向②②自分の意見や気持ちを文字で発信することに喜びを感じる

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

16.4%

26.0%

23.6%

18.5%

16.4%

14.4%

10.0%

83.6%

74.0%

76.4%

81.5%

83.6%

85.6%

90.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

22.5%

29.1%

29.9%

18.9%

23.0%

19.1%

22.7%

77.5%

70.9%

70.1%

81.1%

77.0%

80.9%

77.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

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125

図表 3.1-18:コミュニケーションに係る志向性(コミュニケーション規範)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 このように、4 つの観点からコミュニケーションに係る価値観・志向性を見てきたが、機

械親和志向、つながり志向、感覚伝達志向に共通する傾向として、10 代・20 代を中心に高

い志向性が確認された。また、10 代・20 代におけるコミュニケーションに係る実態面の特

徴として、ウェブコミュニケーションや携帯電話の利用が多いことが挙げられる。すなわ

ち、機械親和志向、つながり志向、感覚伝達志向といった価値観・志向性と、ウェブコミ

ュニケーションや携帯電話の利用といった行動とは相互に作用しており、意識の変革や行

動の変化がもたらされていると考えられる。 (5) 特徴的なライフスタイルの表れ(グループインタビュー結果) 本調査では、SNS・ミニブログをコミュニケーション手段として利用している層、特に

情報発信手段として利用しており、発信頻度、発信時間、発信回数等が多いヘビーユーザ

ー層に着目し、利用実態を詳細に把握するため、グループインタビュー調査を実施してい

る。ここでは、その調査結果を紹介する。 SNS・ミニブログの魅力として、SNS では「コミュニティ内の連帯感が強く、つながり

を感じられる」といった意見が、ミニブログでは「知らない人と知り合え、肩肘張らずに

発信できる」といった意見が、参加者に共通する意見として挙げられた。また、ミニブロ

グの使い方の特徴として、「1:N(不特定)の閲覧/発信により、思いがけない反応や新た

な気づきを得られる」といった意見も挙げられた(図表 3.1-19)。

コミュニケーション規範コミュニケーション規範①①個人的な手紙を(手書きではなく)、パソコン(ワープロ)で書くのはなるべくやめた方がよい

コミュニケーション規範コミュニケーション規範②②目上の人からの贈り物のお礼を携帯メールで済ませるのはなるべくやめた方がよい

52.9%

50.4%

47.2%

53.5%

50.0%

53.2%

57.8%

47.1%

49.6%

52.8%

46.5%

50.0%

46.8%

42.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

そう思う そう思わない

87.7%

78.0%

88.9%

90.0%

89.3%

87.1%

88.6%

12.3%

22.0%

11.1%

10.0%

10.7%

12.9%

11.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

そう思う そう思わない

Page 130: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

126

図表 3.1-19:SNS・ミニブログのヘビーユーザーの実態(グループインタビュー結果)

3.1.2 情報収集行動の変化 インターネットの普及により、インターネット上に流通する情報量は急速に拡大し、ウ

ェブサイト等が情報源として利用されるようになった。総務省 情報通信政策研究所が公表

している「情報流通インデックス」では、平成 13 年度(2001 年度)の流通情報量を 100とすると、平成 20 年度(2008 年度)におけるインターネット上の流通情報量は 5,125 と

なっている。同様に、平成 13 年度の消費情報量を 100 とすると、平成 20 年度におけるイ

ンターネット上の消費情報量は 289 となっている。このように、インターネットを介した

情報の流通・消費は急速に拡大していることがわかる(図表 3.1-20)。 こうした状況を受けて、我々の情報収集行動は具体的にどのように変化しているのであ

ろうか。また、他の情報メディアに対して、インターネットはどのような位置づけになっ

ているのであろうか。 ここでは、先行研究である東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、東京

大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」の調査結果

を中心に、情報収集行動の変化を分析する。

40代・女性

発信頻度[PC] ほぼ毎日[携帯] 月に1回以下

4時間以上

20回~30回未満

発信時間(1日当たり)

発信回数(1日当たり) 20代・女性

[PC] ほぼ毎日[携帯] 週に数回

3時間~4時間未満

50回以上 20代・男性

[PC] ほぼ毎日[携帯] ほぼ毎日

4時間以上

30回~50回未満

SNS・ミニブログの魅力

• twitterは顔も素性も知らない人と、気顔も素性も知らない人と、気軽に知り合える軽に知り合える

• mixiはコミュニティの中に合わない人もいるし、コメントへの反応に気を使うコメントへの反応に気を使う

SNS・ミニブログでの閲覧/発信

の使い方

閲覧が4割、発信が6割• 生活に密着した些細なことでも、社会の大きなことでも、何でも知れる何でも知れる

• 発信の相手が限定されないため、思思いがけない反応があるいがけない反応がある

発信頻度

発信時間(1日当たり)

発信回数(1日当たり)

発信頻度

発信時間(1日当たり)

発信回数(1日当たり)

SNS・ミニブログの魅力

• mixiはつながりたい気持ちが強いと楽つながりたい気持ちが強いと楽しいしいが、コメントへの反応で気を使う

• twitterは知らない人とも知り合える知らない人とも知り合えるし、コメントに気を使う必要がなく気楽コメントに気を使う必要がなく気楽

閲覧が6割、発信が4割• ブログなどに比べて、twitterは肩肘張肩肘張らずに発信できるらずに発信できる(校正・精査が不要)

• 情報量の多さに戸惑うこともあったが、慣れるとフォロワーの広がりが役立つフォロワーの広がりが役立つ

SNS・ミニブログの魅力

• twitterは気軽に発信できる気軽に発信できるし、リアルリアルのつながりがない人とも知り合えるのつながりがない人とも知り合える

• mixiはコメントをもらうことを想定して発信しており、反応があると嬉しい反応があると嬉しい

閲覧が2割、発信が8割• 閲覧(情報収集)の場として、twitterは情報のスピードが早い情報のスピードが早い

• HPやブログには書かれないような、些些細な情報、本音の情報などを知れる細な情報、本音の情報などを知れる

SNS・ミニブログでの閲覧/発信

の使い方

SNS・ミニブログでの閲覧/発信

の使い方

50代・男性

[PC] ほぼ毎日[携帯] ほぼ毎日

3時間~4時間未満

50回以上 50代・男性

[PC] 週に数回[携帯] ほぼ毎日

4時間以上

50回以上

発信頻度

発信時間(1日当たり)

発信回数(1日当たり)

発信頻度

発信時間(1日当たり)

発信回数(1日当たり)

SNS・ミニブログの魅力

• twitterはグローバルなサービスであり、人種の壁を越えられるし、誘いやすい人種の壁を越えられるし、誘いやすい

• SNSのようにコメントをもらう/反応する必要がなく、気楽に発信できる気楽に発信できる

閲覧が5割、発信が5割• twitterは相手が限定されず、思いが思いがけない反応(新たな気づき)があるけない反応(新たな気づき)がある

• 生活に密着した些細な情報些細な情報(ランチワゴンのメニューなど)も収集できる

SNS・ミニブログの魅力

• mixiはコミュニティ内の連帯感が強く、コミュニティ内の連帯感が強く、それが楽しさにも煩わしさにもなるそれが楽しさにも煩わしさにもなる

• このため、発信内容や相手によってmixiとtwitterを使い分けている

閲覧が2割、発信が8割• テレビは情報が偏っていると感じるが、twitterは自由に意見を交わせられる自由に意見を交わせられる

•• リアルタイムな情報リアルタイムな情報を収集したい場合には、どのメディアよりもtwitterが早い

SNS・ミニブログでの閲覧/発信

の使い方

SNS・ミニブログでの閲覧/発信

の使い方

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127

図表 3.1-20:我が国の流通情報量・消費情報量の推移

出所:総務省 情報通信政策研究所「情報流通インデックス」(2010 年) (1) 情報収集に係る利用情報源の変化 情報別の利用情報源 8

図表 3.1-21

について、「日本人の情報行動 2005」、「2010 年日本人の情報行動

調査」の調査結果を見ると、2005 年時では、他の情報源に比べて「パソコンのウェブサイ

ト」の利用率は低く、情報源としての地位の確立にまでは至っていないことがわかる。当

時の情報源としては、「テレビ」、「新聞」、「雑誌」等が主に利用されている状況であった。

しかしながら、2010 年時では、各種の情報において「パソコンのウェブサイト」の利用率

が増加しており、インターネットが主要な情報源の 1 つとなっていることがわかる。特に

「ショッピング、商品情報」、「旅行、観光情報」では、「パソコンのウェブサイト」が最も

利用される情報源になっており、多くの情報の中から、自身のニーズに合致した情報を、

能動的に収集(検索等を含む)しようとする場合において、情報源としてのインターネッ

トの有用性が高いと考えられる( 、図表 3.1-22)。 8 ここでの利用率は、最近 1 ヶ月の間に利用した割合を示す。

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128

図表 3.1-21:情報別の利用情報源(2005 年)

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」

図表 3.1-22:情報別の利用情報源(2010 年)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

テレビ

ラジオ

新聞

雑誌

本 パンフレ

ット・チラシ・フ

リー

ペー

パー

パソコンのウ

ェブサイト

携帯情報サイト

友人・家族

旅行、観光情報 34.4% 2.8% 19.7% 36.3% 16.3% 27.0% 18.9% 1.7% 17.8%

ショッピング、商品情報 30.7% 3.5% 21.6% 32.4% 7.8% 30.7% 17.9% 2.9% 20.7%

天気予報 95.1% 19.8% 43.6% 0.5% 0.1% 0.1% 13.7% 6.9% 9.7%

グルメ情報 45.1% 2.6% 14.5% 33.5% 10.3% 14.1% 12.2% 1.6% 22.1%

健康・医療関連 47.7% 4.1% 27.6% 19.8% 16.2% 5.4% 11.6% 0.6% 21.0%

国際ニュース 83.5% 13.0% 48.6% 4.5% 1.5% 0.3% 9.6% 0.6% 7.3%

テレビ番組情報 43.3% 1.6% 69.0% 11.6% 2.4% 1.2% 6.8% 1.2% 9.9%

※ は各情報において最も利用率の高い情報源を示す

テレビ

ラジオ

新聞

雑誌

パンフレ

ット・チラシ・フ

リー

ペー

パー

パソコンのウ

ェブサイト

携帯情報サイト

友人・家族

ショッピング、商品情報 30.7% 4.1% 24.5% 27.1% 30.7% 31.3% 9.5% 21.9%

旅行、観光情報 29.2% 3.2% 22.5% 30.0% 26.5% 30.0% 7.2% 20.6%

国内ニュース 96.3% 24.0% 68.0% 10.1% 4.0% 30.0% 21.0% 28.7%

海外ニュース 89.3% 16.0% 53.3% 6.7% 1.1% 25.2% 14.9% 16.0%

健康・医療関連 45.6% 5.4% 29.0% 19.6% 7.6% 23.8% 5.3% 22.6%

グルメ情報 44.9% 4.5% 17.3% 31.0% 22.6% 23.8% 8.1% 26.2%

天気予報 92.4% 17.0% 41.1% 0.6% 0.3% 23.1% 25.3% 13.9%

地域(ローカル)ニュース 73.6% 17.5% 56.2% 4.1% 8.0% 12.7% 6.6% 25.4%

テレビ番組情報 61.6% 1.7% 60.4% 8.3% 1.8% 10.4% 5.8% 12.0%

※ は各情報において最も利用率の高い情報源を示す

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129

では、このような利用情報源の変化は、我々に一律に生じているのだろうか。主要な情

報源である「テレビ」、「パソコンのウェブサイト」について、年代別の利用状況を見ると、

「テレビ」は全体に比べて 50 代・60 代の利用率が高く、一方、「パソコンのウェブサイト」

は全体に比べて 30 代・40 代の利用率が高いことがわかる(図表 3.1-23)。

図表 3.1-23:年代別テレビ、パソコンでの利用情報

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 (2) インターネット広告に見るウェブサイトの進展 我々が情報収集する際の利用情報源は変化しており、年代によってその変化は顕著にな

っているのは前述の通りである。この結果、情報源としてのインターネットの利用価値は

拡大していると考えられる。言い換えれば、情報収集のためのウェブサイト等への訪問・

滞留が増加し、インターネットの媒体価値も向上していると考えられる。 実際、インターネットの消費情報量は増加の一途をたどっており、2008 年度には 5,150

テラバイトに達している。また、同年度における消費情報量の情報メディア構成比を見る

と、放送が 71.1%であるのに対してインターネットは 14.1%であり、放送に次いで消費情

報量の多い情報メディアとなっていることがわかる(図表 3.1-24、図表 3.1-25)。

国内ニ

ュー

海外ニ

ュー

地域

(ロー

カル

ュー

天気予報

旅行

、観光情報

ョッピング

、商

品情報

健康・医療関連

テレビ番組情報

グルメ情報

全体 96.3% 89.3% 73.6% 92.4% 29.2% 30.7% 45.6% 61.6% 44.9%

10代 94.5% 71.7% 53.5% 88.2% 19.7% 29.1% 29.9% 64.6% 34.6%

20代 91.7% 78.5% 67.4% 84.7% 20.8% 20.8% 36.1% 50.7% 35.4%

30代 94.4% 84.1% 67.4% 88.5% 21.9% 22.6% 40.4% 68.1% 42.2%

40代 96.7% 93.3% 77.8% 92.6% 27.8% 29.6% 43.0% 65.2% 47.8%

50代 98.3% 95.0% 79.6% 95.3% 38.5% 41.4% 55.4% 65.9% 50.7%

60代 98.1% 96.0% 79.6% 97.5% 34.3% 32.1% 52.2% 52.5% 46.9%

年代クロス

テレビテレビ

国内ニ

ュー

海外ニ

ュー

地域

(ロー

カル

ュー

天気予報

旅行

、観光情報

ョッピング

、商

品情報

健康・医療関連

テレビ番組情報

グルメ情報

全体 30.0% 25.2% 12.7% 23.1% 30.0% 31.3% 23.8% 10.4% 23.8%

10代 22.0% 16.5% 3.9% 12.6% 7.1% 15.7% 8.7% 5.5% 8.7%

20代 43.1% 34.0% 12.5% 25.7% 33.3% 44.4% 22.9% 10.4% 25.7%

30代 46.7% 40.4% 22.6% 34.4% 44.4% 49.3% 38.5% 19.6% 35.9%

40代 37.8% 32.2% 15.9% 30.4% 40.0% 44.4% 33.7% 11.9% 35.2%

50代 24.2% 20.1% 12.2% 22.2% 32.4% 26.5% 23.9% 11.4% 23.6%

60代 13.0% 11.4% 5.6% 11.7% 14.8% 10.8% 9.6% 2.5% 9.6%

年代クロス

※ は全体+5ポイント以上

パソコンのウェブサイト

パソコンのウェブサイト

※ は全体+5ポイント以上

多くの情報において、50代・60代は他の年代に比べて「テレビ」の利用率が高い

多くの情報において、50代・60代は他の年代に比べて「テレビ」の利用率が高い

多くの情報において、50代・60代は他の年代に比べて「テレビ」の利用率が高い

多くの情報において、50代・60代は他の年代に比べて「テレビ」の利用率が高い

多くの情報において、30代・40代は他の年代に比べて「パソコンのウェブサイト」の利用率が高い

多くの情報において、30代・40代は他の年代に比べて「パソコンのウェブサイト」の利用率が高い

多くの情報において、30代・40代は他の年代に比べて「パソコンのウェブサイト」の利用率が高い

多くの情報において、30代・40代は他の年代に比べて「パソコンのウェブサイト」の利用率が高い

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130

図表 3.1-24:インターネットの消費情報量の推移

出所:総務省 情報通信政策研究所「情報流通インデックス」(2010 年)

図表 3.1-25:消費情報量の情報メディア構成比(2008 年度)

出所:総務省 情報通信政策研究所「情報流通インデックス」(2010 年)

1,775 1,850

2,263 2,3882,575

2,725

3,313

5,150

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

(テラバイト)

放送 インターネット 印刷・出版 パッケージソフト 郵便等 電話

放送71.1%

インターネット14.1%

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131

そこで、インターネット広告に焦点を当て、広告市場の動向を追うことにする。我が国

の広告市場は、一時的に拡大した時期を除いて、市場規模は約 6 兆円と安定している。そ

の中で、「インターネット広告費」は年々拡大を続けており、平成 14 年では構成比が 1.5%(市場規模は 845 億円)であったのに対して、平成 22 年では構成比が 13.3%(市場規模は

7,747 億円)にまで増加している。このことから、インターネットの利用が進み、媒体価値

を有するようになってきたことがうかがえる(図表 3.1-26)。 また、「インターネット広告費」の内訳を見ると、純広告(バナー広告)及び検索連動型

広告はともに堅調な成長を遂げていることがわかる。特に、検索連動型広告は直近におい

ても成長率が高く、今もなお成長段階であることがうかがえる(図表 3.1-27)。 平成 14 年より、利用者の検索キーワードに応じて広告を表示する「キーワードターゲッ

ト広告サービス」と、利用者が広告をクリックした回数で広告費を課金する「クリック型

課金広告サービス」の 2 つの特徴を有する「アドワーズ広告」が Google 社によって提供さ

れた。さらに、平成 14 年には、オーバーチュア社(現ヤフー社)による「スポンサード・

サーチ・サービス」が日本でも提供される等、検索に連動した広告サービスが普及するよ

うになった。

図表 3.1-26:媒体別広告費の推移(再掲)

出所:電通「日本の広告費」

3,777 4,826 6,003 6,983 7,069 7,747

35,946 35,822 36,76037,408 36,668 35,699 32,995

28,282 27,749

19,816 19,417 19,561

26,563 27,361 27,88626,272

23,162 22,147

1,8141,183845

784709

676603544487

436419425

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

(億円)

インターネット広告費 マスコミ四媒体広告費 プロモーションメディア広告費 衛星メディア関連広告費

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132

図表 3.1-27:インターネット広告費の内訳(純広告、検索連動型広告)(再掲)

出所:電通「日本の広告費」 (3) 情報源としての情報メディアの重要性

これまでの分析から、インターネットを介した情報の流通・消費は急速に拡大しており、

我々が情報収集する際には、インターネットが主要な情報源の 1 つとなっていることがわ

かった。では、他の情報メディアと比較して、情報源としてインターネットはどの程度の

重要性が認められているのだろうか。 「日本人の情報行動 2005」、「2010 年日本人の情報行動調査」では、テレビ、新聞、イン

ターネットのそれぞれにおける情報源としての重要性を測定している。2010 年の調査結果

に着目すると、テレビの重要性は 94.4%、新聞の重要性は 77.3%であるのに対して、イン

ターネットの重要性は 61.4%であり、必ずしもインターネットが他の情報メディアと比較

して、突出して重要視されているわけではないことがわかる。しかしながら、2005 年の調

査結果との対比では、インターネットの重要性は 20.0 ポイント増加しており、急速な利活

用の増加に伴い、情報メディアとしての重要性意識も高まっていると言える(図表 3.1-28)。 この重要性意識について、テレビとインターネットの年代別の意識差を見ると、テレビ

は 2005 年、2010 年ともに年代差が少なく、総じて全ての年代から重要視されていること

がわかる。一方、インターネットは年代差が大きく生じており、2005 年の段階でも 10 代

~40 代を中心に重要性意識が高くなっていたが、2010 年には 20 代で 8 割を超えるなど、

テレビと同等に重要視される情報源として見なされていることがわかる(図表 3.1-29)。

2,218

2,700

3,224

3,6283,514

3,757

590

930

1,367

1,7451,934

2,320

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

平成17 18 19 20 21 22(年)

(億円)

純広告 検索連動型広告

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133

図表 3.1-28:情報源としての情報メディアの重要性

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

図表 3.1-29:年代別の重要性の意識差

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

情報源としての重要性(2005年) 情報源としての重要性(2010年)

92.1%

86.3%

41.4%

5.7%

8.7%

32.4% 26.2%

5.0%

2.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

重要である どちらともいえない 重要でない

94.4%

77.3%

61.4%

3.2%

9.6%

15.8%

13.1%

22.8%

2.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

重要である どちらともいえない 重要でない

+2.3%

-9.0%

+20.0%

「重要である」の変化

41.4%

34.2%

22.1%

46 .5%

46 .8%

52 .3%

54 .7%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

92.1%

93.6%

88.9%

91.7%

89.9%

93.2%

95.1%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

61.4%

56.4%

33.3%

67 .8%

77 .0%

81 .1%

74 .8%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

94.4%

92.9%

88.8%

92.2%

95.6%

97.7%

95.1%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

テレビ

テレビ

年代別テレビ、インターネットの重要性(2005年) 年代別テレビ、インターネットの重要性(2010年)

インターネット

インターネット

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134

(4) 情報源としての情報メディアの信頼性 同様に、インターネットの情報源としての信頼性について見てみる。2010 年の調査結果

に着目すると、テレビの信頼性は 63.3%、新聞の信頼性は 72.7%であるのに対して、イン

ターネットの信頼性は 28.9%であり、他の情報メディアと比較して、情報源としての信頼

性は低いことがわかる。しかしながら、2005 年の調査結果との対比では、インターネット

の信頼性は 11.2 ポイント増加しており、徐々にではあるが、信頼性を獲得しつつあること

がうかがえる(図表 3.1-30)。 この信頼性意識について、テレビとインターネットの年代別の意識差を見ると、テレビ

は 2005 年と 2010 年とで傾向に大きな差は見られなかった。一方、インターネットは 2005年から 2010 年にかけて全般的に信頼性意識が高くなっているが、顕著な年代差は生じてい

ないことがわかる(図表 3.1-31)。 インターネットの情報源としての重要性、信頼性について総合的に考察すると、2005 年

から 2010 年にかけて重要性は大きく増加し、また、年代による意識差は重要性で大きな差

が生じていた一方で、信頼性ではあまり差が生じていなかった。このことから、インター

ネットに関しては、重要性と信頼性との間に関連性はない(信頼できる情報メディアであ

るから、重要視しているわけではない)と考えられる。

図表 3.1-30:情報源としての情報メディアの信頼性

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

53.9%

71.0%

17.7%

38.7%

25.2%

49.3%

7.4%

3.9%

33.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

信頼できる 半々くらい 信頼できない

63.3%

72.7%

28.9%

29.9%

23.0%

46.3%

6.8%

4.3%

24.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

信頼できる 半々くらい 信頼できない

情報源としての信頼性(2005年) 情報源としての信頼性(2010年)

+9.4%

+1.7%

+11.2%

「信頼できる」の変化

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135

図表 3.1-31:年代別の信頼性の意識差

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 (5) 情報収集に係る志向性の変化

これまでの分析では、情報収集に係る利用情報源やそれらの情報源に対する重要性、信

頼性の評価を見てきた。ここでは、情報に係る価値観・志向性を検証する。 「2010 年日本人の情報行動調査」では、生活の様々な側面における性格特性を測定して

いる。その中から、情報に係る価値観・志向性として「リアルタイム志向」、「知識探求志

向」、「ストレージ志向」の 3 つの観点を取り上げ、年代別の特徴を見ることにする。 リアルタイム志向とは、「情報を入手する際、重要なのはどちらかといえば質より早さだ」

といった価値観・志向性を表すものと定義する。年代別の分析結果から、全体に比べて、

30 代・40 代ではリアルタイム志向が低いことがわかる。知識探求志向とは、「実際に体験

していなくても、情報として知っていれば十分だと思う」といった価値観・志向性を表す

ものと定義する。年代別の分析結果から、全体に比べて、20 代~40 代では知識探求志向が

低いことがわかる。ストレージ志向とは、「いろいろな情報は、記憶していなくてもインタ

ーネットで探しだせれば十分だ」といった価値観・志向性を表すものと定義する。年代別

の分析結果から、全体に比べて、10 代・20 代ではストレージ志向が高いことがわかる(図

表 3.1-32)。

17.7%

17.6%

18.2%

18.6%

16.2%

12.6%

26 .2%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

53.9%

46.3%

51.5%

49.2%

54.8%

60 .9%

61 .6%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

28.9%

31.1%

21.1%

33.8%

28.9%

30.6%

29.4%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

63.3%

67.5%

53.5%

57.4%

64.1%

66.5%

66.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

テレビ

テレビ

年代別テレビ、インターネットの信頼性(2005年) 年代別テレビ、インターネットの信頼性(2010年)

インターネット

インターネット

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136

図表 3.1-32:情報に係る志向性

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 このように、3 つの観点から情報に係る価値観・志向性を見てきたが、情報源としてイン

ターネットの利活用が進んでおり、同時に、インターネットに対する重要性意識が高い 10代~40 代の特性として捉えると、「情報の質より早さを重視するわけではない(情報の早さ

よりも質を重視する)」、「単なる知識としての情報ではなく、体験・経験などに基づく+αの情報を好む」、「情報を記憶するのではなく、(知りたいときに)都度、探し出せればよい」

といった価値観・志向性を有していると言える。このような特性が、情報収集における行

動(情報源の選択)や情報源に対する評価に作用していると考えられる。

3.1.3 購買行動の変化 『2.2.1 電子商取引の普及』でも見たように、インターネットの普及に伴い、インターネ

ットを通して商品・サービスを購入する人の割合が増加している。このようなインターネ

ットショッピングの利活用によって、我々の購買スタイルはどのように変化しているので

あろうか。ここでは、購買プロセスを中心に、購買行動の変化を分析する。

情報に対する志向性① 情報に対する志向性② 情報に対する志向性③

リアルタイム志向情報を入手する際、重要なのはどちらかといえば質より早さだ

知識探求志向実際に体験していなくても、情報として知っていれば十分だと思う

ストレージ志向いろいろな情報は、記憶していなくてもインターネットで探しだせれば十分だ

情報の質より早さを重視するわけではない(情報の早さよりも質を重視する)

単なる知識としての情報ではなく、体験・経験などに基づく+αの情報を好む

情報を記憶するのではなく、(知りたいときに)都度、探し出せればよい

35.0%

36.5%

36.1%

28.1%

30.0%

36.1%

42.9%

65.0%

63.5%

63.9%

71.9%

70.0%

63.9%

57.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

25.1%

33.3%

34.0%

28.9%

26.7%

20.8%

17.7%

74.9%

66.7%

66.0%

71.1%

73.3%

79.2%

82.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

35.9%

36.5%

28.5%

25.6%

28.5%

38.4%

50.9%

64.1%

63.5%

71.5%

74.4%

71.5%

61.6%

49.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ポジティブ意識 ネガティブ意識

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

※ポジティブ意識は「そう思う」~「まあそう思う」までの回答が、ネガティブ意識は「あまりそう思わない」~「そうは思わない」までの回答が含まれる。

他の年代に比べて「情報源としてのインターネットの利用率が高く」、「情報源としてインターネットの重要性意識が高い」10代~40代に見られる特徴

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137

(1) インターネットショッピングの利活用状況 総務省「通信利用動向調査(世帯編・世帯構成員)」によると、インターネットの利用率

は 2009 年で 78.0%に上り、15 歳以上に限ると 78.4%に達している。また、インターネッ

トショッピングの利用率は、インターネット利用者(15 歳以上)をベースに換算すると 2009年で 45.6%に達しており、全人口(15 歳以上)をベースに換算すると 35.7%と、国民の約

3 分の 1 が利用経験を有していることがわかる(図表 3.1-33)。

図表 3.1-33:インターネットショッピングの利用状況

出所:総務省「通信利用動向調査(世帯編・世帯構成員)」

※ インターネットの利用状況は、過去 1 年間における利用の有無(メールの送受信を含む)を指す。

※ インターネットショッピングの利用状況は、過去 1 年間における商品・サービスの購入の有無(デジタ

ルコンテンツの購入及び金融取引を除く)を指す。

このように、多くの人から利活用されているインターネットショッピングであるが、そ

の購入商品を見ると、ほとんどの商品で 2002 年と比較して 2009 年の購入率が増加してい

ることがわかる。特に、購入率の増加幅が大きいのは「金融取引」(19.3 ポイント増加)、「衣

料品・アクセサリー類」(15.8 ポイント増加)、「趣味関連品・雑貨」(10.2 ポイント増加)

である。インターネットショッピング自体の利活用の進展に加えて、インターネットショ

ッピングの利活用の幅(購入商品の幅)も広がっていると考えられる(図表 3.1-34)。

33.2 33.237.4

39.1

45.142.1

44.7 45.6

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

(%)

62.0

67.8 69.5

74.9 75.7 74.4 75.378.0

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

(%)

インターネットの利用状況の推移 インターネットショッピングの利用状況の推移

• 回答対象者:全員(無回答を除いて集計) • 回答対象者:インターネット利用者(15歳以上、無回答を除いて集計)• 2002年は、インターネットショッピングの利用の有無を測定する単独の設問を設けている• 2003年以降は、インターネットで利用した機能・サービスと目的・用途の選択肢として、インターネットショッピングの利用の有無を測定している

15歳以上での

利用率78.4%

全員ベース

(15歳以上)での利用率

35.7%

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138

図表 3.1-34:インターネットショッピングでの購入商品

出所:総務省「通信利用動向調査(世帯編・世帯構成員)」

※ 回答対象者:インターネットショッピング利用者(15 歳以上・インターネットでの購入経験者又は金

融取引経験者)

※ 「デジタルコンテンツ」は、2007 年までと 2008 年以降で測定の方法が異なるため、比較可能な 2008

年以降のみを掲載する。

(2) インターネットショッピングの利活用実態

次に、インターネットショッピングでの購入スタイル、利用理由などの実態について見

てみる。経済産業省「平成 22 年度電子商取引に関する市場調査」によると、インターネッ

トショッピング利用者における購入スタイルとしては、「特定の EC サイトで、商品を検索

して購入」、「検索エンジンで、商品を検索して購入」、「特定の EC モールで、商品を検索し

て購入」、「価格比較サイトで、商品を検索して購入」などが多く、EC サイトや EC モール

などのショッピングの場において、「検索」が重要な役割を担っていることがわかる(図表 3.1-35)。

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

デジタルコンテンツ パソコン関連 書籍・CD・DVD

衣料品・アクセサリー類 食料品 趣味関連品・雑貨

各種チケット・クーポン・商品券 旅行関係 金融取引

(%)

衣料品・アクセサリー類

+15.8ポイント(対2002年比)

趣味関連品・雑貨

+10.2ポイント(対2002年比)

金融取引

+19.3ポイント(対2002年比)

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139

図表 3.1-35:インターネットショッピングでの購入スタイル

出所:経済産業省「平成 22 年度電子商取引に関する市場調査」 ※ 回答対象者:インターネットショッピング利用者

インターネットショッピングの利用理由としては、「実店舗で買うよりも価格が安いか

ら」、「店舗までの移動時間、営業時間を気にせずに買い物ができるから」、「ポイントがた

まるなどの特典があるから」などが上位の理由として挙げられており、時間と空間の制約

を受けないといったインターネットショッピングの基本的な特徴が支持されていることが

わかる。一方で、「じっくり検討して買えるから」、「商品を購入した消費者の評価(レビュ

ー)がわかるから」、「同一商品の価格の比較ができるから」、「検索機能などにより、購入

したい商品を探しやすいから」などの理由も挙げられており、「検索」、「比較・検討」、「共

有」といった購買プロセスとの親和性の高さが、購入チャネルとしてのインターネットシ

ョッピングの選択に寄与していると考えられる(図表 3.1-36)。

45.6%

40.9%

33.3%

32.6%

17.2%

15.8%

14.6%

11.8%

9.5%

9.3%

6.7%

5.0%

4.9%

4.9%

4.2%

1.2%

0.2%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 40.0% 45.0% 50.0%

特定のECサイトで、商品を検索して購入

検索エンジンで、商品を検索して購入

特定のECモールで、商品を検索して購入

価格比較サイトで、商品を検索して購入

店舗で実物を見た商品を、ECサイトで購入

自分が購入したいものをまとめて購入(送料無料になるようにまとめ買い等)

インターネット上で見た商品の実物を店舗で確認した後、ECサイトで購入

特定の商品を繰り返し、特定のサイトで購入

インターネットサイトをブラウジングしている際に、興味を引かれた商品を購入

特定のECモールで、特定の事業者が販売する商品を検索して購入

Eメールで推奨された商品を購入

親族や友人が利用する分も含めてまとめ買いをする

SNS、ブログ等で知った商品を購入

特定の商品を繰り返し、様々なサイトで購入

知人から紹介された商品を購入

ECサイトのレコメンデーション機能で推奨された商品を購入

その他

(N=2001)

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140

図表 3.1-36:インターネットショッピングの利用理由

出所:経済産業省「平成 22 年度電子商取引に関する市場調査」 ※ 回答対象者:インターネットショッピング利用者

インターネットショッピングで購入した商品の認知経路(認知のきっかけ)としては、「イ

ンターネット広告」が最も多く 39.1%、次いで「検索エンジンによる検索結果ページ」が

35.0%、「TV 広告」が 30.8%となっている。インターネットが認知のきっかけとして作用し

ている(認知~購入までインターネット上で完結している)ものがある一方で、TV 広告や

雑誌・新聞広告なども認知のきっかけとして作用しており、認知~購入までを複数のメデ

ィアが担う傾向も見られる(図表 3.1-37)。

61.1%

56.0%

47.0%

40.8%

33.9%

28.4%

27.5%

26.4%

26.4%

21.2%

19.9%

18.2%

14.4%

10.8%

6.1%

1.9%

1.0%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

実店舗で買うよりも価格が安いから

店舗までの移動時間、営業時間を気にせずに買い物ができるから

ポイントがたまるなどの特典があるから

一般の商店ではあまり扱われていない商品・サービスの購入ができるから

じっくり検討して買えるから

商品を購入した消費者の評価(レビュー)がわかるから

同一商品の価格の比較ができるから

検索機能などにより、購入したい商品を探しやすいから

購入商品の持ち帰り、配送に手間がかからないから

商品を購入するための手続・操作が簡単だから

在庫が豊富だから/在庫状況を確認できるから

類似商品の機能や価格の比較ができるから

店員応対がわずらわしくないから

様々な決済サービスに対応しているから

購入履歴が管理できるから

商品を購入後に、感想や使用感などを書き込むことができるから

その他

(N=2001)

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141

図表 3.1-37:購入商品の認知経路

出所:経済産業省「平成 22 年度電子商取引に関する市場調査」 ※ 回答対象者:インターネットショッピング利用者

インターネットショッピング利用者における購入後の口コミの発信経験は約半数に達し

ている。また、口コミの発信先としては、「商品提供事業者(メーカ、小売等)サイトのレ

ビュー」が最も多く 52.7%、次いで「レビューサイト」が 39.7%、「口コミサイト」が 21.7%、

「ブログ」が 20.1%となっている。購入先での発信が多いものの、レビューサイトやブロ

グなどの購入先とは独立した場での発信も見られる(図表 3.1-38)。

39.1%

35.0%

30.8%

26.5%

24.5%

23.6%

23.5%

21.0%

20.2%

19.1%

17.3%

16.0%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

インターネット広告

検索エンジンによる検索結果ページ

TV広告

商品提供事業者(メーカー、小売等) のホームページ

雑誌・新聞広告・チラシ

メールマガジン

口コミサイト

TV番組

雑誌・新聞記事

実店舗店頭

レビューサイト

通販カタログ

(N=1622)

13.3%

11.8%

8.3%

4.9%

4.5%

3.9%

3.6%

3.6%

3.0%

9.7%

0.4%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

知人からの紹介(対面、電話、メール等)

ブログ

ニュースサイト

電子掲示板(BBS)

SNS

屋外広告

ミニブログ(twitterなど)

Q&Aコミュニティ

展示会・イベント

特に情報収集はしない

その他

(N=1622)

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142

図表 3.1-38:商品購入後の口コミ発信経験

出所:経済産業省「平成 22 年度電子商取引に関する市場調査」 ※ 回答対象者:インターネットショッピング利用者(発信経験)、インターネットショッピングでの口コ

ミ発信経験者(発信先)

(3) 購買プロセスの変化

ロングテール現象 9

例えば、夏に新しい服を買う時を考えてみよう。テレビでクールビズ対策が重要だと感

じていたところ、テレビの情報番組で紹介していたブランドAのシャツに注意を向ける

(Attention)。そして、そのシャツが「何となく涼しそうだ」と興味・関心を抱き(Interest)、実際にブランドAのシャツの情報収集、つまり、検索(Search)を行う。ここまでの行動に

よって、具体的な評価を伴い、ブランドAのシャツに対して興味・関心を抱くことになるが、

即座に購入するわけではなかった。そこで、他ブランドのシャツとの製品比較(Comparison)や、アウトレットショップなどの別店舗との価格比較をしたり、店員から購入者の評判な

どを聞いたりして、意思決定の補強・裏付けとする検討(Examination)も行った上で、

購入の意思決定を行い、行動(Action)に移る。その後、会社の同僚にこの商品のことを話

と呼ばれるように、インターネットショッピングの利活用の進展によ

り、多様で小規模な需要に対応して、幅広い商品が提供されるようになってきた。このよ

うな中、インターネットではどのように商品が購入されているのだろうか。ここでは、イ

ンターネットの登場に伴う購買プロセスの変化に焦点を当てる。

9 ロングテール現象:ロングテールと呼ばれる需要の小さい商品群であっても、ネットワークを活用して需要を束ねる

ことで、一定の売上規模に達することが可能であり、多様で小規模な需要であっても、魅力ある市場として成立す

るという現象。

52.0%48.0%

(N=1622) 回答対象者:インターネットショッピング利用者

発信した経験がある

発信した経験はない

52.7%

39.7%

21.7%

20.1%

8.4%

7.2%

3.7%

1.2%

0.9%

0.6%

0.0%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

商品提供事業者(メーカー、小売等)サイトのレビュー

レビューサイト

口コミサイト

ブログ

ミニブログ(twitterなど)

SNS

電子掲示板(BBS)

メールマガジン

Q&Aコミュニティ

ニュースサイト

その他

(N=844) 回答対象者:インターネットショッピングでの口コミ発信経験者

商品購入後の口コミの発信経験 口コミの発信先

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143

し、共有(Share)をする。これらの一連の流れは、AISCEAS10

図表 3.1-39という購買プロセスと言

われている( )。

図表 3.1-39:インターネットショッピングにおける購買プロセス

この購買プロセスはインターネットの普及により生まれたものとされているが、具体的

な購買プロセスを見ると、インターネットに限らずに起きていたとも考えられる。では、

インターネットの普及により、これらの購買プロセスはどのように変化をしたのだろうか。 メールもホームページもなかった頃を想定すると、製品の詳細情報を収集するためには、

実際に店頭に赴き、製品の実物を確認したり、店員の説明を聞いたり、カタログを見たり、

といった方法があったが、どれも手間と時間がかかる方法であった。製品間・店舗間の比

較では、自分の足を使って複数の店舗を回ることで比較が可能であるが、手間や時間がか

かるのに加えて、比較可能な範囲(製品の種類、店舗の場所など)も限定的であった。現

在、インターネットショッピングにおいては、価格比較サイトが頻繁に使われるようにな

っている(図表 3.1-40)。他者の口コミや感想の参照では、学校や職場での友人・知人とい

った地縁・血縁の範囲での意見、マスメディアで紹介された範囲での意見を聞くことはで

きても、意見の数や内容は限定的であり、自身が欲しい情報、自身と同じ場面での意見を

得ることは難しかったと言える。同様に、自分が口コミや感想を発信する場合においても、

インターネットが登場する以前は、発信の場や発信の影響は限定的であった。 このように、インターネットの登場によって、それぞれの購買プロセスは影響を受けて

いるが、その中でも、「検索(Search)」、「比較・検討(Comparison/Examination)」、「共

有(Share)」に関しては、従来よりも手間と時間を軽減するだけではなく、従来は成し得

10 AISCEAS:購買プロセスや購買心理を表す理論の一つとして、アンヴィコミュニケーションズが提唱したもの。購買

プロセスには、他に代表的なものとして、E・K・ストロング(米国)が提唱した AIDA、サミュエル・ローランド・ホール

(米国)が提唱した AIDMA、電通が提唱した AISAS などがある。

AIDMA

一般的な商品の購入プロセス

AISAS

ネット上での商品の

購入プロセス

AISCEAS

ネット上での商品の

購入プロセス

Attention(注意)

Interest(関心)

Desire(欲求)

Memory(記憶)

Action(行動)

Attention(注意)

Interest(関心)

Attention(注意)

Interest(関心)

Search(検索)

Comparison(比較)

Examination(検討)

Share(共有)

Action(行動)

Search(検索)

Share(共有)

Action(行動)

ネットで検索し

て調べる

ネットで検索し

て調べる

同一商品の販

売サイト間を比較する

他の人の口コ

ミを参考に検討する

満足感・使用

感などをネットで発信する

満足感・使用

感などをネットで発信する

インターネットに特有の購買プロセス

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144

なかった経験を提供しているという点で、インターネットがもたらした変化は大きいと考

えられる。

図表 3.1-40:価格比較サイト「価格.com」におけるページビューの推移

出所:株式会社カカクコム 決算説明資料(http://corporate.kakaku.com/ir/)

(4) 特徴的なライフスタイルの表れ(グループインタビュー結果) 本調査では、インターネットショッピングを利用している層、特にショップサイトの利

用頻度(購入頻度・訪問頻度など)が多く、店頭での購入と比較して、ネットでの購入の

方を購入回数・購入金額などの面で多用しているヘビーユーザー層に着目し、利用実態を

詳細に把握するため、グループインタビュー調査を実施している。ここでは、その調査結

果を紹介する。 店頭での購入と比較した際のインターネットショッピングの魅力では、「店員や接客の質

よりも、気軽さを重視する」といった意見が挙げられた。また、インターネットショッピ

ングの利用による行動の変化としては、「価格に敏感になった」、「購入に係る総時間が増え

た(空き時間や店舗の営業時間外などでも利用できる、比較・検討を行うためにショップ

サイトを何度も訪問する、など)」が特徴である(図表 3.1-41)。

Page 149: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

145

図表 3.1-41:インターネットショッピングのヘビーユーザーの実態 (グループインタビュー結果)

3.1.4 余暇行動の変化 インターネットの利用率でも見たように、我々の生活にとってインターネットは既に必

要不可欠な要素となりつつある。その用途としては、コミュニケーションや情報収集にお

ける目的を達成するための手段としての側面がある一方で、その行動自体が趣味・娯楽性

を有している側面(ブログや SNS などを通したインターネットならではのコミュニケーシ

ョンを行うことに楽しみを感じるなど)も考えられる。一般的に余暇行動というと外食や

旅行などが挙げられるが、インターネットの普及に伴い、余暇行動としての位置づけはど

のように変化したのであろうか。 日本生産性本部「レジャー白書」によると、2008 年の余暇行動への参加人口は、「外食(日

常的なものを除く)」、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」、「ドライブ」などが上位

であり、「パソコン(ゲーム、趣味、通信など)」の参加人口は 4,470 万人であった。これ

に対して、2009 年の「パソコン(ゲーム、趣味、通信など)」の参加人口は 8,560 万人であ

り、ドライブや国内観光旅行に並ぶ参加人口に達している。このことから、インターネッ

トは単なる目的を達成するための手段としてだけではなく、インターネットを利活用する

こと自体が余暇行動としても認識されてきていると言える(図表 3.1-42)。

20代・女性

ショップサイトの利用頻度

ほぼ毎日

ネットの方が多い

どちらともいえない

店頭との比較(購入回数)

店頭との比較(購入金額) 50代・男性

ショップサイトの利用頻度

ほぼ毎日

ネットの方が多い

ネットの方が多い

店頭との比較(購入回数)

店頭との比較(購入金額) 40代・男性

ショップサイトの利用頻度

ほぼ毎日

ネットの方が多い

ネットの方が多い

店頭との比較(購入回数)

店頭との比較(購入金額)

20代・男性

ショップサイトの利用頻度

ほぼ毎日

ネットの方が多い

どちらともいえない

店頭との比較(購入回数)

店頭との比較(購入金額) 30代・女性

ショップサイトの利用頻度

ほぼ毎日

ネットの方が多い

ネットの方が多い

店頭との比較(購入回数)

店頭との比較(購入金額)

店頭と比較したネットショッピンク

゙の魅力

• 店頭は店員が煩わしく、落ち着いて買えないので、ネットの方が買いやすい

• ネットで服を買う場合、家にある服との着合わせを確認できるメリットがある

ネットショッピングの利用による行動の変化

• 価格を十分に検討するようになった• 店頭を回ると時間と体力を消耗するが、ネットだと気軽に見れるため、ショッピングにかける時間が増えた

店頭と比較したネットショッピング

の魅力

• 知識が浅い店員がいたり、移動の時間もかかるので、店頭は魅力が低い

• 店頭だと実物を見れるが、ネットでも写真や情報が豊富なので遜色ない

ネットショッピングの利用による行動の変化

• 商品価値と価格が釣り合っているのかを気にするようになった

• 断続的に(暇があれば)サイトを見るため、ショッピングの総時間は増えた

店頭と比較したネットショッピング

の魅力

• 店員の丁寧な対応に感動した時期もあったが、そういう価値観は薄れた

• いまは注文履歴、気軽さ、価格などのネットの特徴を重視するようになった

ネットショッピングの利用による行動の変化

• 価格に対してシビアになった• サイトの数が多く、ネットとの接点も増えた(移動中など)ため、ショッピングにかける時間が増えた

店頭と比較したネットショッピング

の魅力

• 物を買ったときの達成感は店頭の方が高い(ネットはクリックするだけ)

• 店頭だと悩む時間がとれないが、ネットだと好きなだけ(日またぎで)悩める

ネットショッピングの利用による行動の変化

• 頑張って高額な物を買うのではなく、気軽に少額な物を買うようになった

• 店頭は週末しか行けないが、ネットは平日も見れるので、総時間は増えた

店頭と比較したネットショッピング

の魅力

• 物品を買うときに接客は不要だと思っており、店頭では接客が煩わしい

• 店頭だと外出のための格好が必要だが、ネットだと準備なしに買える

ネットショッピングの利用による行動の変化

• 店頭での購入機会が減った• 店頭に行くのとネットで検索するのとでは、同じ時間でも密度が違うので、ショッピングや検討の時間は増えた

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146

図表 3.1-42:余暇行動への参加人口の変化

出所:日本生産性本部「レジャー白書」 ※ 2009 年調査より、調査方法が郵送調査から Web 調査に移行した。このため、「パソコン(ゲーム、趣

味、通信など)」の参加人口は、調査方法の違いによる影響を受けている可能性もあるため、参考値と

する。

(1) 趣味・娯楽に係る情報メディア利用の変化

趣味・娯楽に関連する情報メディアの利用時間について、「日本人の情報行動 2005」、「2010 年日本人の情報行動調査」の調査結果を見ると、2005 年における“趣味・娯楽シー

ン 11

2005 年と 2010 年での利用時間の増減に着目すると、利用時間が減少している行動とし

ては「新聞を読む」(-4.44 分/日)、「テレビ放送を見る」(-4.16 分/日)、「テレビゲームをす

る」(-3.29 分/日)が、利用時間が増加している行動としては「サイトを見る(パソコン)」

(+4.85 分/日)、「サイトを見る(携帯電話)」(+3.97 分/日)、「録画したテレビ番組を見る」

(+3.61 分/日)などが挙げられる。

”での利用時間の上位行動は「テレビ放送を見る」(108.61 分/日)、「新聞を読む」(13.99分/日)、「サイトを見る(パソコン)」(6.86 分/日)であった。同様に、2010 年における“趣

味・娯楽シーン”での利用時間の上位行動は「テレビ放送を見る」(104.45 分/日)、「サイ

トを見る(パソコン)」(11.71 分/日)、「新聞を読む」(9.55 分/日)であった。

このことから、2005 年、2010 年ともに情報メディア利用の中では「テレビ放送を見る」

が趣味・娯楽として圧倒的な支持を得ているが、近年ではウェブサイトの閲覧も趣味・娯

楽として認識されつつあることがわかる(図表 3.1-43)。 11 趣味・娯楽シーンには、「趣味・娯楽・休息・その他」のシーンが含まれる。

7,370

6,020

5,140

4,560

4,470

4,430

4,400

4,140

4,030

3,960

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

外食(日常的なものを除く)

国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)

ドライブ

宝くじ

パソコン(ゲーム、趣味、通信など)

カラオケ

ビデオの鑑賞(レンタルを含む)

映画(テレビは除く)

動物園、植物園、水族館、博物館

音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)

(単位:万人)

8,560

6,740

6,390

6,370

5,260

5,150

5,040

5,010

5,000

4,950

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

パソコン(ゲーム、趣味、通信など)

ドライブ

国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)

外食(日常的なものを除く)

映画(テレビは除く)

音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)

動物園、植物園、水族館、博物館

ビデオの鑑賞(レンタルを含む)

カラオケ

宝くじ

(単位:万人)

余暇行動への参加人口(2008年:上位10行動) 余暇行動への参加人口(2009年:上位10行動)

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147

図表 3.1-43:情報メディアの利用時間の変化(趣味・娯楽関連)

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

次に、情報メディアの利用時間を年代別に比較してみる。 2005 年から 2010 年にかけて利用時間が減少していた「テレビ放送を見る」、「新聞を読

む」について年代別の特徴を見ると、「テレビ放送を見る」では全体に比べて 10 代・20 代

の利用時間の減少幅が大きく、一方で 50 代・60 代では利用時間が微増している。「新聞を

読む」では全年代で利用時間が減少傾向にあり、その中でも全体に比べて 40 代~60 代の減

少幅が大きい。このように、テレビ放送と新聞とでは、利用時間の減少の内訳が異なって

いる(図表 3.1-44)。 また、2005 年から 2010 年にかけて利用時間が増加していた「サイトを見る(携帯電話)」、

「サイトを見る(パソコン)」について年代別の特徴を見ると、「サイトを見る(携帯電話)」

では全年代で利用時間が増加傾向にあり、その中でも全体に比べて 10 代・20 代の増加幅が

突出して大きい。2010 年の利用時間は全体で 4.77 分/日であるのに対して、10 代では 15.61分/日、20 代では 17.15 分/日と、これらの若年層においては携帯サイトの閲覧が趣味・娯楽

として大きな要素となっていることがわかる。「サイトを見る(パソコン)」では全体に比

べて 30 代・50 代を中心に利用時間の増加幅が大きい。『3.1.1 コミュニケーション行動の

変化』でも述べたが、10 代・20 代では携帯電話を利活用する傾向が強く、30 代以降では

パソコンを利活用する傾向が強い、といった特徴が趣味・娯楽における情報メディア利用

にも表れていると言える(図表 3.1-45)。

情報メディア行動全体

シーン趣味・娯楽

シーン趣味・娯楽シーンの

利用時間 利用時間 占める割合

(分/日) (分/日) (%)

テレビ放送を見る 184.55 104.45 56.60

録画したテレビ番組を見る 11.54 8.41 72.90

DVDソフト・レンタルDVDなどを見る 3.14 2.56 81.72

テレビゲームをする 2.97 2.78 93.52

ラジオ ラジオを聴く 17.19 4.15 24.15

新聞を読む 18.76 9.55 50.92

マンガを読む 1.06 0.73 69.01

雑誌(マンガを除く)を読む 1.99 1.62 81.43

書籍(マンガ・雑誌を除く)を読む 9.02 5.75 63.79

サイトを見る(携帯電話) 9.47 4.77 50.39

サイトを見る(パソコン) 18.64 11.71 62.83

サイトに書き込む(携帯電話) 1.55 0.63 40.48

サイトに書き込む(パソコン) 1.43 0.88 61.56

インターネット経由の動画を見る(携帯電話) 1.03 0.31 29.82

インターネット経由の動画を見る(パソコン) 3.13 2.25 71.81

テレビ

印刷物

インターネット

情報メディア行動全体

シーン趣味・娯楽

シーン趣味・娯楽シーンの

利用時間 利用時間 占める割合

(分/日) (分/日) (%)

テレビ放送を見る 182.06 108.61 59.66

録画・撮影したビデオ・DVDを見る 6.61 4.80 72.72

レンタルあるいは購入したビデオ・DVDを見る 2.68 2.11 78.55

テレビゲームをする 7.02 6.07 86.48

ラジオ ラジオを聴く 22.29 4.02 18.03

新聞を読む 26.07 13.99 53.69

マンガを読む 2.48 2.06 82.98

雑誌(マンガを除く)を読む 3.88 2.96 76.23

書籍(マンガ・雑誌を除く)を読む 6.88 4.80 69.68

サイトを見る(携帯電話) 1.36 0.80 58.83

サイトを見る(パソコン) 10.32 6.86 66.47

サイトに書き込む(携帯電話) 0.14 0.07 52.25

サイトに書き込む(パソコン) 0.96 0.83 86.80

テレビ

印刷物

インターネット

趣味・娯楽シーンでの利用時間が減少している行動 趣味・娯楽シーンでの利用時間が増加している行動

テレビ放送を見る[-4.16分/日]

テレビゲームをする[-3.29分/日]

新聞を読む[-4.44分/日]

録画したテレビ番組を見る[+3.61分/日]

サイトを見る(携帯電話)[+3.97分/日]

サイトを見る(パソコン)[+4.85分/日]

情報メディアの利用時間(2005年) 情報メディアの利用時間(2010年)

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148

図表 3.1-44:テレビ放送、新聞に関する利用時間の年代変化

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

図表 3.1-45:サイト閲覧(携帯電話、パソコン)に関する利用時間の年代変化

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

108.61

106.30

104.30

75.01

97.05

110.04

156.94

104.45

70.16

76.23

72.09

82.24

118.78

160.73

0.00 50.00 100.00 150.00 200.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

13.99

2.51

5.44

7.00

11.53

18.40

29.95

9.55

0.81

1.44

2.80

5.29

13.25

21.85

0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00 35.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

-4.16分/日 -4.44分/日

全体よりも減少幅が大きい項目 全体よりも減少幅が大きい項目

“趣味・娯楽シーン”での「テレビ放送を見る」の年代変化 “趣味・娯楽シーン”での「新聞を読む」の年代変化

0.80

4.44

0.98

0.52

0.37

0.27

0.00

4.77

15.61

17.15

5.73

2.17

0.57

0.84

0.00 5.00 10.00 15.00 20.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

6.86

10.84

18.76

7.61

8.89

1.73

0.86

11.71

5.85

24.03

18.65

11.06

9.16

6.00

0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

2005年 2010年

(分/日)

+3.97分/日 +4.85分/日

全体よりも増加幅が大きい項目 全体よりも増加幅が大きい項目

“趣味・娯楽シーン”での「サイトを見る(携帯電話)」の年代変化 “趣味・娯楽シーン”での「サイトを見る(パソコン)」の年代変化

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149

(2) 趣味・娯楽としての情報メディアの重要性 これまでの分析から、ウェブサイトの閲覧などのインターネットの機能・サービスが、

趣味・娯楽として認識されつつあることがわかった。では、他の情報メディアと比較して、

趣味・娯楽としてインターネットはどの程度の重要性が認められているのだろうか。 「日本人の情報行動 2005」、「2010 年日本人の情報行動調査」では、テレビ、新聞、イン

ターネットのそれぞれにおける趣味・娯楽としての重要性を測定している。2005 年の調査

結果では、テレビの重要性は 90.8%、新聞の重要性は 61.6%であるのに対して、インター

ネットの重要性は 43.4%であり、テレビや新聞と比較してインターネットの重要性は低く

評価されていた。しかしながら、2010 年の調査結果では、テレビの重要性は 90.9%、新聞

の重要性は 55.9%であるのに対して、インターネットの重要性は 60.8%であり、テレビに

次いで重要視されるようになった。2005 年と 2010 年との対比では、インターネットの重

要性は 17.4 ポイント増加しており、趣味・娯楽メディアとしての地位を築きつつあると言

える(図表 3.1-46)。 この重要性意識について、テレビとインターネットの年代別の意識差を見ると、テレビ

は 2005 年、2010 年ともに年代差が少なく、20 代における重要性意識は減少しているもの

の、総じて全ての年代から重要視されていることがわかる。一方、インターネットは年代

差が大きく生じており、2005 年の段階でも 10 代~30 代を中心に重要性意識が高くなって

いたが、2010 年には 10 代で 84.1%、20 代で 82.6%とテレビに比肩するほどの趣味・娯楽

メディアとして見なされていることがわかる(図表 3.1-47)。

図表 3.1-46:趣味・娯楽としての情報メディアの重要性

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」

趣味・娯楽としての重要性(2005年) 趣味・娯楽としての重要性(2010年)

90.9%

55.9%

60.8%

5.3%

20.4%

15.5%

23.7%

23.8%

3.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

重要である どちらともいえない 重要でない

90.8%

61.6%

43.4%

6.3%

22.8%

28.6%

15.6%

28.0%

2.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレビ

新聞

インターネット

重要である どちらともいえない 重要でない

+0.1%

-5.7%

+17.4%

「重要である」の変化

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150

図表 3.1-47:年代別の重要性の意識差

出所:東京大学大学院 情報学環編「日本人の情報行動 2005」、

東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 (3) インターネットの利用機能・サービスと重要性意識による差異 インターネットは趣味・娯楽として重要視されており、その意識は年代によって異なる

ことがわかった。では、こうした重要性意識の持ち方によって、インターネットの利用機

能・サービスに違いはあるのだろうか。言い換えれば、重要性意識が高い人は、インター

ネットのどのような機能・サービスを利活用している(インターネットのどのような機能・

サービスが趣味・娯楽として作用している)のだろうか。 パソコンのインターネット利用者において、インターネットの利用機能・サービスを見

ると、「検索(サーチエンジン)を利用する」、「他の人(個人)のブログ、ホームページを

見る」、「音楽を聴く(ダウンロードを含む)」、「掲示板の内容を読む」、「メールマガジンを

読む」などが利用率の高い機能・サービスとして挙げられる。これらについて、趣味・娯

楽としての重要性意識による利用率の違いを見ると、検索、音楽、掲示板、メールマガジ

ンでは重要性意識による利用率の差が大きく、これらの機能・サービスによってインター

ネットが趣味・娯楽メディアとして認識されていることが考えられる(図表 3.1-48)。 また、近年利用が急増している YouTube・ニコニコ動画などの動画投稿・共有サイトの

利用率(パソコン・携帯電話などの機器を問わない利用率)は全体で 40.0%である。この

動画投稿・共有サイトについても、同様に、重要性意識による利用率の違いを見ると、「重

要である」の利用率は 50.5%、「重要でない」の利用率は 5.9%と大きな差が生じており、

動画投稿・共有サイトの利用が娯楽の一つになり得ていると考えられる(図表 3.1-49)。

60.8%

54.0%

29.1%

66 .7%

77 .4%

82 .6%

84 .1%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

43.4%

45.8%

31.7%

17.3%

55 .1%

59 .3%

64 .4%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

テレビ

テレビ

年代別テレビ、インターネットの重要性(2005年) 年代別テレビ、インターネットの重要性(2010年)

インターネット

インターネット

90.9%

92.9%

80.6%

89.3%

90.7%

93.9%

93.2%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

90.8%

93.6%

88.9%

88.5%

90.2%

91.2%

93.3%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

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151

図表 3.1-48:インターネットの利用機能・サービス(趣味・娯楽意識別)

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 ※ 利用機能・サービスは、パソコンにおける利用状況を示す。

図表 3.1-49:動画投稿・共有サイトの趣味・娯楽性

出所:東京大学大学院 情報学環 橋元研究室・電通総研「2010 年日本人の情報行動調査」 ※ 動画投稿・共有サイトの利用率は、機器(パソコン、携帯電話など)を問わずの利用状況を示す。

インターネットの利用機能・サービス(2010年:上位10項目) 重要性意識による利用率の差異(2010年)

78.5%

45.0%

34.1%

30.7%

28.1%

21.7%

15.3%

12.4%

12.2%

11.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

検索(サーチエンジン)を利用する

他の人(個人)のブログ、ホームページを見る

音楽を聴く(ダウンロードを含む)

掲示板の内容を読む

メールマガジンを読む

ネットショッピングで商品・サービスを購入する

SNS(mixi、GREEなど)を見る

オンラインゲームをする

ネットバンキングを利用する

ツイッター、アメーバなう などを読む

重要である 81.6%

どちらともいえない 60.9%

重要でない 57.6%

差異24.0%

重要である 49.2%

どちらともいえない 17.4%

重要でない 29.4%

差異19.7%

重要である 37.4%

どちらともいえない 16.3%

重要でない 11.8%

差異25.6%

重要である 33.8%

どちらともいえない 12.6%

重要でない 11.8%

差異22.0%

重要である 31.4%

どちらともいえない 9.3%

重要でない 5.9%

差異25.6%

「月に数回以上利用」の割合

6.8%

13.2%

12.9%

7.4%

15.4%

32.5%

22.1%

18.8%

12.5%

8.8%

7.0%

17.7%

23.7%

22.1%

20.7%

20.6%

13.1%

7.0%

9.7%

12.3%

13.6%

13.3%

10.9%

50.4%

18.4%

29.3%

39.8%

50.8%

67.7%

81.5%

3.2%

3.6%

5.2%

1.3%

6.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体

10代

20代

30代

40代

50代

60代

ほぼ毎日 週に数回 月に数回 月に1回以下 見ない

YouTube・ニコニコ動画などの動画投稿・共有サイトの利用状況(2010年) 重要性意識による利用率の差異

40.0%

69.3%

57.1%

46.9%

38.3%

25.5%

17.2%

月に数回以上

40.0%

50.5%

17.9%

5.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

全体

重要である

どちらともいえない

重要でない差異44.6%

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152

(4) 特徴的なライフスタイルの表れ(グループインタビュー結果) 本調査では、YouTube・ニコニコ動画などの動画投稿・共有サイトを利用している層、特

に閲覧頻度・閲覧時間が多く、投稿経験を有しているヘビーユーザー層に着目し、利用実

態を詳細に把握するため、グループインタビュー調査を実施している。ここでは、その調

査結果を紹介する。 動画投稿・共有サイトの魅力として、「たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる」

といった意見が挙げられた。また、当該サイトの利用による行動の変化、使い方の特徴と

しては、「テレビ視聴や DVD 購入の時間・機会が相対的に減少した」、「動画の“ながら利

用”(BGM 風に利用するなど)を多用する」といった意見も挙げられた(図表 3.1-50)。

図表 3.1-50:動画投稿・共有サイトのヘビーユーザーの実態 (グループインタビュー結果)

3.1.5 就労行動の変化 これまでコミュニケーション行動、情報収集行動、購買行動、余暇行動におけるインタ

ーネットによる変化を見てきた。ここでは、特にコミュニケーション行動や情報収集行動

で特徴が表れていた若年層にとって関係性の深い就職活動を例にとり、分析をする。 (1) 就職活動時における利用情報源の変化

日本生産性本部「新入社員 働くことの意識」では、新入社員が就職活動の際に利用した

10代・男性

閲覧頻度 ほぼ毎日

3時間~4時間未満

1~5回未満

閲覧時間(1日当たり)

投稿経験(最近1年間) 50代・男性

閲覧頻度 ほぼ毎日

4時間以上

50回以上

閲覧時間(1日当たり)

投稿経験(最近1年間) 40代・男性

閲覧頻度 ほぼ毎日

4時間以上

50回以上

閲覧時間(1日当たり)

投稿経験(最近1年間)

20代・男性

閲覧頻度 ほぼ毎日

4時間以上

5~10回未満

閲覧時間(1日当たり)

投稿経験(最近1年間) 50代・女性

閲覧頻度 週に数回

3時間~4時間未満

10~20回未満

閲覧時間(1日当たり)

投稿経験(最近1年間)

動画投稿・共有サイトの魅力

• 手軽で、検索すればすぐに視聴できる• たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる

動画投稿・共有サイト利用による行動の変化

• テレビの視聴時間が減った• 家にいるときはずっとサイトを開いており、動画視聴・BGM風利用ともに行う

動画投稿・共有サイトの魅力

• テレビ放映されない動画を視聴できる• たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる

動画投稿・共有サイト利用による行動の変化

• テレビの視聴時間が減った• 主に平日にサイトを開いており、別の作業をしながら、BGM風に利用する

動画投稿・共有サイトの魅力

• 情報が多岐に渡る(テレビだと偏る)• 動画に評価(高低)を付けられる• たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる

動画投稿・共有サイト利用による行動の変化

• DVDを購入しなくなった• 主に平日にサイトを開いており、別の作業をしながら、BGM風に利用する

動画投稿・共有サイトの魅力

• 立ち読みの感覚で気軽に視聴できる• 皆で共有しながら視聴できる(ニコ動)• たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる

動画投稿・共有サイト利用による行動の変化

• 外出する時間が減った• 主に平日にサイトを開いており、別の作業をしながら、BGM風に利用する

動画投稿・共有サイトの魅力

• 手軽で、無料で視聴できる• 見逃した動画、昔の動画を視聴できる• たくさんの動画から、自分に合った動画を選べる

動画投稿・共有サイト利用による行動の変化

• DVDを購入しなくなった、テレビの視聴時間が減った

• 主に休日にサイトを開いており、「見るぞ」と意識して視聴している

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153

情報源を測定している。この結果によると、「インターネットの企業ホームページ」、「イン

ターネットの就職関連サイト」は、2001 年時に既に多くの人から利用されていたことがわ

かる。これらの利用率を 2001 年と 2010 年とで比較すると、2001 年では“4 年生大学”の

利用率が 90%程度、“全体”の利用率が 70%程度と差が生じていたのに対して、2010 年で

は両者ともに 90%程度の利用率に達しており、就職活動全体で、インターネットが欠かせ

ない情報源となっていることがわかる(図表 3.1-51)。

図表 3.1-51:就職活動時の利用情報源

出所:日本生産性本部「新入社員 働くことの意識」 ※ アンケート調査において、「利用した」と回答した割合を示す。

“全体”における「インターネットの企業ホームページ」、「インターネットの就職関連

サイト」の利用率の推移を詳細に見ると、2001 年から 2010 年の間に「インターネットの

企業ホームページ」の利用率は 17.0 ポイント増加、「インターネットの就職関連サイト」の

利用率は 14.7 ポイント増加しており、インターネットの普及・進展に伴い、徐々に利用率

が増加していることがわかる(図表 3.1-52)。

新入社員における就職活動の利用情報源(2001年) 新入社員における就職活動の利用情報源(2010年)

60.7%

48.2%

56.3%

72.0%

72.6%

90.8%

71.3%

92.1%

79.2%

85.7%

36.4%

46.8%

81.8%

94.1%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

学校への求人票・全体

学校への求人票・4年制大学

民間情報会社が発行する就職情報誌など・全体

民間情報会社が発行する就職情報誌など・4年制大学

インターネットの企業ホームページ・全体

インターネットの企業ホームページ・4年制大学

インターネットの就職関連サイト・全体

インターネットの就職関連サイト・4年制大学

企業が用意した採用案内パンフレット・全体

企業が用意した採用案内パンフレット・4年制大学

一般書籍(会社四季報、企業研究など)・全体

一般書籍(会社四季報、企業研究など)・4年制大学

会社説明会・全体

会社説明会・4年制大学

47.1%

34.5%

53.1%

60.5%

89.6%

93.9%

86.0%

95.8%

84.7%

87.8%

43.5%

52.3%

90.3%

96.8%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

学校への求人票・全体

学校への求人票・4年制大学

民間情報会社が発行する就職情報誌など・全体

民間情報会社が発行する就職情報誌など・4年制大学

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154

図表 3.1-52:企業ホームページ、就職関連サイト利用の推移

出所:日本生産性本部「新入社員 働くことの意識」 ※ アンケート調査において、「利用した」と回答した割合を示す。

(2) インターネットによる就労・転職情報の収集状況

新卒時以外でもインターネットによる就労・転職関係の情報収集は行われており、総務

省「通信利用動向調査(世帯編・世帯構成員)」によると、2009 年時には 15 歳以上のイン

ターネット利用者のうち 9.2%(20 代:21.2%、30 代:10.8%)が、これらの目的でインタ

ーネットを利用している。就労行動全体にインターネットが利用される傾向が続いており、

年代によっては就労における必須ツールとなっていることがわかる(図表 3.1-53)。

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

インターネットの企業ホームページ・全体 インターネットの就職関連サイト・全体

72.6%

71.3%

89.6%

86.0%

Page 159: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

155

図表 3.1-53:インターネットの利用目的・用途としての就労情報

出所:総務省「通信利用動向調査(世帯編・世帯構成員)」 ※ 回答対象者:インターネット利用者(15 歳以上)

※ インターネットでの就労情報の利用状況は、インターネットで利用した機能・サービスと目的・用途の

選択肢として「就労・転職関係(求人情報入手、採用応募等)」を選択した割合を示す。

(3) 就労形態の多様化 次に、就労形態の変化として、テレワークの進展状況を見る。総務省「通信利用動向調

査(企業編)」によると、企業におけるテレワークの導入率は産業全体で 19.2%に達してお

り、1999 年から 2009 年までの比較では 18.3 ポイント増加し、堅調に拡大している。産業

の中でも、「製造業」、「サービス業・その他」では導入が進んでいる(図表 3.1-54)。

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

全体 15~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60歳以上

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156

図表 3.1-54:企業のテレワーク導入状況

出所:総務省「通信利用動向調査(企業編)」 ※ アンケート調査において、「テレワークを導入している」と回答した企業の割合を示す。

また、就業者の実態としてテレワーカー数に着目すると、2010 年時の狭義テレワーカー

率は 16.5%(2002 年との比較で 10.4 ポイント増加)、広義テレワーカー率は 45.5%(2002年との比較で 29.9 ポイント増加)であり、業務の現場でも IT 活用が進展していることが

わかる(図表 3.1-55)。 実際にテレワーク環境で業務にあたっている人の「テレワークのしやすさ意識」として

は、プラス意識、マイナス意識がともに見られる。プラス意識の主な要因は ICT 機器や通

信の高度化であり、マイナス意識の主な要因はセキュリティの強化(それに伴う利用の制

限)である。近年の ICT インフラ、ICT サービス等、ICT 端末などの進展が、テレワーク

のしやすさの底上げに貢献していることがうかがえる(図表 3.1-56)。

2.1%

7.8%8.5%

9.4%8.6%

7.1%7.6%

10.9%

16.0%

19.2%

0.8%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

0.8%

1.3%

0.7%

1.1%

1.2%

2.2%

0.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0%

全体

建設業

製造業

運輸業

卸売・小売業

金融・保険業

サービス業・その他

19.2%

14.2%

27.8%

5.3%

12.3%

11.8%

21.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0%

全体

建設業

製造業

運輸業

卸売・小売業

金融・保険業

サービス業・その他

+18.3%(対1999年)

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157

図表 3.1-55:テレワーカー率の推移

出所:国土交通省「テレワーク人口実態調査」 ※ テレワーカー率とは、15 歳以上の就業者に占めるテレワーカーの割合を示す。

図表 3.1-56:テレワーク環境の意識変化

出所:国土交通省「テレワーク人口実態調査」 ※ 回答対象者:雇用者におけるテレワーカー(2010 年)

※ テレワーク環境の変化は、「2 年前からのテレワークのしやすさの変化」として測定している。

6.1%

10.4%

15.2% 15.3%16.5%

5.7%

9.2%

14.3% 14.5%15.9%

8.2%

16.5%

21.0% 20.8% 20.2%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

2002年 2005年 2008年 2009年 2010年

全体 雇用者 自営業者

15.6%

38.9%

46.0% 45.2% 45.5%

13.7%

36.0%

43.0% 42.3% 42.2%

24.2%

54.0%

66.4% 64.6%67.1%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

2002年 2005年 2008年 2009年 2010年

全体 雇用者 自営業者

狭義テレワーカ率の推移 広義テレワーカ率の推移

狭義テレワーカの定義•普段収入を伴う仕事を行っている人の中で、仕事でITを利用している人かつ、自分の所属する部署のある場所以外で、ITを利用できる環境において仕事を行う時間が1週間あたり8時間以上である人

広義テレワーカの定義•雇用者は、普段収入を伴う仕事を行っている人の中で、仕事でITを利用している人かつ、自分の所属する部署のある場所以外で、ITを利用できる環境において仕事を行っている人

•自営業者は、普段収入を伴う仕事を行っている人の中で、仕

事でITを利用している人

在宅型

テレワーカ率

在宅型

テレワーカ人口

2008年 5.1% 約330万人

2009年 5.2% 約340万人

2010年 4.9% 約320万人

※ 在宅型テレワーカ率とは、就業者に占める自宅(自宅兼事務所を除く)でテレワークを少しでも行っている(週1分以上)狭義テレワーカの割合を示す

~~ ~~

~~ ~~

65.0%

46.8%

29.6%

19.9%

17.0%

16.2%

3.6%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%

ノートパソコンの性能の向上

無線LANなど社外の高速データ通信の進化

セキュリティ関連等の手続きが強化され、会社のIT機器を安心して持ち運べるようになった

スマートフォンなど小型IT機器の進化

クラウドコンピューティング等、社外から必要なデータやメールなどへのアクセス性や利便性の向上

VPN等により、社外から会社のサーバーへの アクセス性向上

その他

(N=277) テレワーカ計

74.8%

63.2%

32.8%

15.1%

9.1%

4.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%

セキュリティ強化等により、仕事に必要な データが持ち出しにくくなった

セキュリティ強化等により、ノートパソコン等の IT機器が持ち出しにくくなった

セキュリティ強化等により、社外でメールが チェックしにくくなった

景気低迷等により、社内のパソコンの更新や ソフトのアップグレードがされなくなった

景気低迷等により、社内のパソコン、 通信機器などの数が減少した

その他

(N=397) テレワーカ計

9.9%

17.5%

7.0%

9.9%

74.4%

68.0%

75.8%

74.9%

14.2%

12.8%

15.2%

14.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

テレワーカー計

狭義テレワーカー(在宅型)

狭義テレワーカー(在宅型以外)

広義テレワーカー

しやすくなった

変わらない

しにくくなった

テレワーク環境の変化意識

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158

3.2 社会的課題の変化

3.2.1 ネットトラブル

ICT を利用することにおいては、安心・安全に ICT を利用できるということが重要な要

素の一つである。そこで、ICT を利用するにあたり、どのようなトラブルや犯罪が起こっ

ているのかを見てみる。 インターネットを利用した際に受けた被害については、「ウィルスを発見又は感染」、「迷

惑メールを受信」といった被害が主だったものであるが、平成 16 年と平成 22 年を比較し

てみても、被害を受けている人の割合が大幅に減少しているものはなく、「迷惑メールを受

信(架空請求)」にいたっては、約 5 ポイント増加している(図表 3.2-1)。

図表 3.2-1:インターネット利用の際にうけた被害

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、平成 17 年までは「パソコン又は携帯電話・PHS からのインターネット利用

者」、平成 18 年以降は、「自宅パソコン又は携帯電話(PHS・PDA 含む)でインターネット利用を

したことのある世帯」

※3: 平成 16 年までと平成 17 年以降で、選択肢が異なっているため、平成 17 年以降存在しない選択肢

に関しては除いている

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

平成16 17 18 19 20 21 22 (年)

(%)

ウィルスを発見又は感染(ウィルス発見したが感染なし)

ウィルスを発見又は感染(ウィルスに1度以上感染)

迷惑メールを受信(架空請求を除く)

迷惑メールを受信(架空請求)

不正アクセス スパイウェアなどによる個人情報の漏洩

ウェブ上(電子掲示板等)での誹謗中傷等 フィッシング その他(著作権の侵害等)

Page 163: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

159

3.2.2 サイバー犯罪

ICT に関する犯罪(サイバー犯罪)に関して、検挙件数を見てみると、「不正アクセス禁

止法違反」、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪」、「ネットワーク利用犯罪」ともに、平

成 15年と平成 22年を比較して、大幅に増加していることが分かる(図表 3.2-2、図表 3.2-3、図表 3.2-4)。 検挙件数の増加率が、「不正アクセス禁止法違反」に関しては 17.5 倍に増加(図表 3.2-2)、

「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪」に関しては 3.5 倍に増加(図表 3.2-3)、「ネットワ

ーク利用犯罪」に関しては 2.4 倍に増加(図表 3.2-4)となっている。

図表 3.2-2:サイバー犯罪の検挙件数(不正アクセス禁止法違反)

出所:警察庁「平成 22 年警察白書」により作成

http://www.npa.go.jp/hakusyo/h22/honbun/pdf/22p01000.pdf

145 142277

703

1,442

1,740

2,534

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

平成15 16 17 18 19 20 21

(年)

(件)

Page 164: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

160

図表 3.2-3:サイバー犯罪の検挙件数(コンピュータ・電磁的記録対象犯罪)

出所:警察庁「平成 22 年警察白書」により作成

http://www.npa.go.jp/hakusyo/h22/honbun/pdf/22p01000.pdf

34 42 49 63 74

220

169

12 817

56 34

20

22

9 57

105

7

4

0

50

100

150

200

250

300

平成15 16 17 18 19 20 21 (年)

(件)

コンピュータ・電磁的記録対象犯罪 電子計算機使用詐欺 電磁的記録不正作出・毀棄等

電子計算機損壊等業務妨害

Page 165: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

161

図表 3.2-4:サイバー犯罪の検挙件数(ネットワーク利用犯罪)

出所:警察庁「平成 22 年警察白書」により作成

http://www.npa.go.jp/hakusyo/h22/honbun/pdf/22p01000.pdf

521 542

1,408 1,597 1,512 1,508 1,280269 370

320463 551 507

416

102 85

136

251 192 254507

120 136

174

196 230437

326

531

18

47 122

367349

9582

109

218 191

192126

113121

125

192 203

177140

87174

128

138 165

144188

337343

393

491752

748629

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

平成15 16 17 18 19 20 21 (年)

(件)

詐欺 児童買春・児童ポルノ法違反(児童買春)

児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ) 青少年保護育成条例違反

出会い系サイト規制法違反 商標法違反

わいせつ物頒布等 著作権法違反

その他

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162

3.2.3 その他の社会的課題 (1) 安心・安全への懸念

ネットトラブルやサイバー犯罪が増加している環境において、ICT を取り巻く課題の一

つとして、インターネット利用者が安心・安全への懸念を抱くという課題が存在する。そ

こで、インターネット利用者が、インターネットを利用するにあたり、どれくらい不安に

感じ、どのような不安を感じているか見てみる。 インターネット利用者は、インターネットを利用するにあたって不安を感じているか見

てみると、平成 22 年においては「対策を行っているのでそれほど不安を感じない」という

割合が最も高く 31.9%であった。平成 18 年と平成 22 年を比較してみると、「対策を行って

いるのでそれほど不安を感じない」が最も増加しており、4.1 ポイント増加している(図表 3.2-5)。

図表 3.2-5:インターネットを利用していて不安を感じるか(4 択)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※ 調査対象については、過去1年間に少なくとも1人はインターネットを利用したことのある世帯、無回

答を除いて集計

「特に不安は感じない」と「対策を行っているのでそれほど不安を感じない」の合算を

「不安を感じない」とし、「対策を行っているが少し不安を感じる」と「不安を感じる」の

合算を「不安を感じる」として、大きく二つに分類して見てみると、平成 18 年の段階では

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

平成18 19 20 21 22 (年)

特に不安は感じない 対策を行っているのでそれほど不安を感じない

対策を行っているが少し不安を感じる 不安を感じる

Page 167: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

163

52.9%が「不安を感じる」であり、不安を感じるほうが多かったが、平成 20 年には逆転し、

平成 22 年段階では 53.9%が「不安を感じない」となっており、少しずつ「不安を感じない」

が増えている(図表 3.2-6)。

図表 3.2-6:インターネットを利用していて不安を感じるか(2 択)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※ 調査対象については、過去1年間に少なくとも1人はインターネットを利用したことのある世帯、無回

答を除いて集計

インターネットを利用するにあたり少なからず不安を感じている世帯において、不安に

感じられる主な内容としては、「個人情報の保護に不安がある」、「ウィルスの感染が心配で

ある」、「どこまでセキュリティ対策を行えばよいか不明」が世帯の半数を超えて感じられ

ている。また、平成 18 年と平成 22 年を比較してみると、「送信した電子メールが届くかど

うかわからない」が 0.5 ポイント減少した以外は、全ての項目において増加傾向にあり(図

表 3.2-7)、そもそも不安を感じている世帯の母数も大幅には減少していないことから(図

表 3.2-6)、インターネットを利用するにあたっての不安は、ほとんど減少していないと考

えられる。

47.1% 48.2%

52.9% 51.8%53.9%54.8%

50.2%

46.1%45.2%

49.8%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

平成18 19 20 21 22 (年)

不安を感じない 不安を感じる

Page 168: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

164

図表 3.2-7:インターネットを利用していて感じる不安の内容

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※1: 複数回答ありの設問

※2: 調査対象については、インターネットを利用している世帯の中で、「インターネットを利用していて

不安を感じるか」という質問に対し、「対策を行っているが少し不安を感じる」もしくは「不安を感

じる」と回答した世帯、無回答・その他を除いて集計

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

平成18 19 20 21 22 (年)

個人情報の保護に不安がある 電子的決済手段の信頼性に不安がある

知的財産の保護に不安がある ウィルスの感染が心配である

認証技術の信頼性に不安がある 違法・有害情報が氾濫している

送信した電子メールが届くかどうかわからない どこまでセキュリティ対策を行えばよいか不明

セキュリティ脅威が難解で具体的に理解できない

Page 169: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

165

(2) デジタル・ディバイド ICT を取り巻く課題の一つとして、デジタル・ディバイド解消に向けた課題も存在する。

その最たるものとして、インターネットの利用について格差が発生していないかどうか、

いくつかの切り口で見てみる。

世代別によるインターネットの利用に関して、平成 14年と平成 22年を比較してみると、

全世代において増加傾向にある。特にインターネットの利用が増加している世代は、50 代、

60 代、70 代であり、20 ポイント以上利用が伸びている。続いて、6~12 歳、30 代、40 代、

80 歳以上において、インターネットの利用が伸びており、10 ポイント以上伸びている。10代、20 代は、伸びは少ないものの、平成 22 年の段階ですでに利用率が 95%以上である。

これは、現在までに、世代によるデジタル・ディバイドを解消するための取組みを行って

きた一つの成果と言える。

世代によるデジタル・ディバイド

ただし、高齢者のインターネットの利用率は、70 代が 39.2%、80 代が 20.3%であり、最

も利用率が高い 20 代との差が、70 代は 58.2 ポイント、80 代は 77.1 ポイント生じており、

高齢者に普及しているとは言い難い状況である(図表 3.2-8)。従って、今後も継続的に高

齢者のインターネット利用を促進する施策を講じることが求められる。

図表 3.2-8:インターネット利用状況(世代別)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※無回答を除いて集計

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

100.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 (年)

6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳

60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上

Page 170: ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会 …...ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや 社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究

166

世帯年収別によるインターネットの利用に関して、平成 14 年と平成 22 年を比較してみ

ると、全ての層において 15 ポイント以上増加している。前述のとおり、インターネット料

金の廉価化が促進されたことが、全ての層においてインターネットの利用が促進された大

きな要因の一つと考えられる。

世帯年収によるデジタル・ディバイド

ただし、世帯年収が最も低い年収 200 万円以下の世帯のインターネットの利用率は、

63.1%であり、最も利用率が高い年収2,000万円以上の世帯の利用率である90.6%との差は、

27.5 ポイント生じている(図表 3.2-9)。従って、今後も継続的に、さらなる低価格帯によ

ってインターネットを利用できるよう、施策を講じることが求められる。

図表 3.2-9:インターネット利用状況(世帯年収別)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※無回答を除いて集計

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

100.0%

平成14 15 16 17 18 19 20 21 22(年)

200万円未満

200~400万円未満

400~600万円未満

600~800万円未満

800~1000万円未満

1000~1500万円未満

1500~2000万円未満

2000万円以上

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地域別によるインターネットの利用に関して、平成 19年と平成 22年を比較してみると、

全ての地域において横ばい、もしくは 10 ポイント未満の増加であり、経年変化は少ない。

地域によるデジタル・ディバイド

また、最も利用率の高い南関東(82.4%)と最も利用率の低い東北(70.6%)を比較する

と、11.8 ポイントの差が生じている(図表 3.2-10)。従って、今後も継続的に、基盤整備や

利活用の推進等の施策を講じることが求められる。

図表 3.2-10:インターネット利用状況(地域別)

出所:総務省「通信利用動向調査」により作成

※無回答を除いて集計

65.0%

67.5%

70.0%

72.5%

75.0%

77.5%

80.0%

82.5%

85.0%

平成19 20 21 22 (年)

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 甲信越

東海 近畿 中国 四国 九州・沖縄

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3.2.4 社会的課題の解消に向けた取組み

ICT を巡る社会課題と課題解消に向けての取組みがどのように変遷してきたのか、過去

の情報通信白書(平成 12 年以前は通信白書)の特集及び政策動向において取り上げた内容

をもとに見てみる。 情報通信白書において多く取り上げられたテーマは、平成 10 年頃までは、インターネッ

ト、マルチメディア化等である。また、平成 10 年以降は、インターネットの普及段階にあ

ったこともあり、インフラ整備とともに、企業や行政等における利活用等が取り上げられ

た。この後、平成 19 年以降は、インターネットが国民にとって一般化する中で、インフラ

整備に関する記載が減少するとともに、利活用のテーマ、地域活性化や環境など、国民に

近い目線でのテーマへと変遷していった。 インターネットが本格的に普及期を迎えた平成 10 年以降、情報通信白書では、ICT を取

り巻く課題も取り上げてきた。特に、「安心・安全の確保」に関わるような、個人情報保護、

違法・有害情報や、不正アクセス、ウィルス、迷惑メール等のインターネットに潜む課題

は、継続的に取り組んでいる内容であり、現在でも重要な課題である。また、情報リテラ

シー、世代間格差、地域間格差などの「デジタル・ディバイドの解消」についても、イン

フラ環境の進化等に伴い、内容は変遷しているものの、現在でも変わらない課題として取

り上げてきている(図表 3.2-11)。

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図表 3.2-11:情報通信白書テーマの変遷

情報通信白書のトピックス

情報通信の進展

課題

ネットワークインフラの整備

平成7年 平成8年 平成9年 平成10年平成11年平成12年平成13年平成14年平成15年平成16年平成17年平成18年平成19年平成20年平成21年 平成22年

1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

インターネット登場によるマルチメディア化 インフラ(ブロードバンド)整備から利活用へ 情報通信のさらなる利活用

コンテンツの流通

マルチメディア化・放送の改革

企業(ビジネス)における利活用

行政・公共分野おける利活用

国際競争力の強化

地域活性化

環境

防災対策

宇宙通信分野

安心・安全の確保

デジタル・ディバイドの解消

インフラ

利活用

その他

国家戦略

高度情報通信社会推進に向けた基本方針・ネットワークインフラの整備

e-Japan戦略・ブロードバンドインフラの整備

e-Japan戦略Ⅱ・IT利活用重視

IT新改革戦略・ITによる構造改革力の追求

i-Japan戦略2015

・使いやすい技術・技術の活用に立ちはだかる壁の突破

・不安の除去

新たな情報通信技術戦略・新たな国民主権の社会を確立

u-Japan政策・2010年ユビキタスネット社会の実現・情報化促進から課題解決の利活用へ

スマート・ユビキタスネット社会実現戦略

政府

全体

総務省 グローバル時代における

ICT政策に関するタスクフォース

経済への寄与

個人情報保護

電子商取引

情報リテラシー

認証・決済

金融

広告

光ファイバ整備

不正アクセス

違法・有害情報

ウイルス

高齢者・障害者

高速化

地域間格差

ASP

全国ブロードバンド構想

ブロードバンド利用格差

迷惑メール フィッシング

消費者発信型メディア

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4 参考資料 『ICT インフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係

に関する調査研究』では、“生活行動・ライフスタイルの変化に特徴が見られると想定され

る層”に対して、その特徴の詳細、及び変化の原因と変化による影響を探るべく、グルー

プインタビュー調査を実施した。調査の概要は以下の通りである。

4.1 スクリーニング・アンケート調査 グループインタビューを行うにあたり、Web アンケート調査会社が保有するモニターに

対して実施したスクリーニング調査(Web アンケート調査)は、以下の通りである。

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4.2 グループインタビュー調査 調査方法 グループインタビュー調査 調査期間 平成 23 年 3 月 属性範囲 一般モニター 対象の選定方法 Web アンケート調査会社が保有するモニターから抽出

「インターネットショッピングヘビーユーザー」、「ソーシャルメディア

での発信ヘビーユーザー」、「動画視聴・投稿ヘビーユーザー」の計 3 セ

グメントの属性を想定した上で、スクリーニング調査を実施し、その結

果に基づき、グループインタビュー調査の割り付けを設定 グループインタビュー調査における割り付け条件は下表の通り 計 18 サンプル

インターネッ

トショッピン

グヘビーユー

ザー

ソーシャルメデ

ィアでの発信ヘ

ビーユーザー

動画視聴・投稿

ヘビーユーザ

人数 6 名 6 名 6 名 属性

頻度 週に数回

以上(購入) 週に数回以上 (発信)

週に数回 以上(閲覧)

時間 - 1 日 3 時間以上

(発信) 1 日 3 時間以上

(閲覧)

回数 - 1 日以上 30 回

(発信) 年間 1 回以上

(投稿)

購入物

物品・サービ

ス・デジタルコ

ンテンツ全て

購入 経験あり

- -

店頭購

入比較

店頭よりネッ

トのほうが購

入回数が多い - -

※ なお、各セグメントに関して、年代・性別が分散するグループを構成

できるよう設定を行った。