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経営戦略編 トップメッセージ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 真のグローバル企業への成長に向けて コーポレート・ガバナンス ・・・・・・・・・・・・ 10 企業価値の最大化と透明性の高い経営をめざして R&D戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 新しい価値の創造をめざした開発体制 グローバリゼーション ・・・・・・・・・・・・・・ 14 グローバル市場での事業拡大をめざし、 世界各地で生産・供給体制を増強 4 経営戦略編

経営戦略編 - アイシン精機株式会社 公式企業サイト6 トップメッセージ トップメッセージ 真のグローバル企業への成長に向けて 前期に比べ13.9%増加し、1兆8,291億円となりました。主な製品として、特に2005年3月期はアイシン・エィ・ダブ

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  • 経営戦略編

    トップメッセージ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

    真のグローバル企業への成長に向けて

    コーポレート・ガバナンス・・・・・・・・・・・・ 10

    企業価値の最大化と透明性の高い経営をめざして

    R&D戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

    新しい価値の創造をめざした開発体制

    グローバリゼーション・・・・・・・・・・・・・・ 14

    グローバル市場での事業拡大をめざし、世界各地で生産・供給体制を増強

    4 経営戦略編

  • 5

    取締役社長 山内康仁取締役会長 豊田 幹司郎

    トップメッセージ

    真のグローバル企業への成長に向けて

    グループの総力を結集し、6期連続で増収を達成しました

    ~2005年3月期の概況と次期予想~

    当企業グループは、企業競争が厳しさを増すなか、社会環境の変化やお客様の

    ニーズを先取りした新商品の開発、ならびにグローバル市場での事業拡大に、全力

    をあげて取り組んできました。その結果、2005年3月期の業績は売上高、営業利益、

    経常利益のすべてにおいて、過去最高の成果をあげることができました。なかでも

    売上高は2000年3月期より6期連続して増加となりました。

    売上高につきましては、主要得意先の自動車生産台数増に加え、オートマチックト

    ランスミッション(AT)や、マニュアルトランスミッション(MT)、カーナビゲーショ

    ンシステム、パワースライドドアシステムの拡販など積極的な営業活動の展開により、

    AISIN ANNUAL REPORT 2005

  • 6 トップメッセージ

    トップメッセージ 真のグローバル企業への成長に向けて

    前期に比べ13.9%増加し、1兆8,291億円となりました。

    主な製品として、特に2005年3月期はアイシン・エィ・ダブ

    リュの前輪駆動車用6速AT(TF-80SC、TF-60SN)が、ボ

    ルボ、シトロエン、BMWなど欧州市場を中心に拡販を重ね、

    売上高を大きく拡大しました。

    利益につきましては、原材料価格の上昇、減価償却費や新

    製品立ち上げ費用の増加などがありましたが、売上高の増加

    に加え、原価低減など経営全般にわたる合理化・効率化活動

    に取り組んだ結果、営業利益は前期比9.6%増の951億円、

    経常利益は前期比16.3%増の985億円となり、ともに過去

    最高を更新しました。また、当期純利益は、前期比34.6%

    増の467億円となりました。

    設備投資につきましては、車両のモデルチェンジに対応した

    新製品・改良製品への投資、国内外における能力増強投資、

    生産設備の合理化投資、新技術・新商品の研究開発投資などを実施した結果、2005

    年3月期の設備投資額は1,652億円となりました。

    なお、2006年3月期の業績見込みについては、売上高では前期比9.3%増の2兆

    円、営業利益は前期比5.1%増の1,000億円、経常利益は前期比1.6%増の1,000

    億円を見込んでいます。設備投資は、ATを中心としたドライブトレイン関連の能力

    増強に約1,000億円、ブレーキ関係に約300億円を予定しており、これに加え、得

    意先の生産拡大への対応、海外拠点の拡充などで合計2,500億円を計画しています。

    昨年来続いている鋼材供給不安や原油の高騰、さらには価格競争の激化など、足

    もとの経営環境は不透明さを増していますが、当企業グループは総力を結集し、世

    界のメジャープレーヤーとして成長をめざしていきます。

    近年のユーザーニーズは様々に多様化し、また、求める機能、性能も従来に増し

    て一段と高くなっています。こうしたなかで、商品や技術で当社の優位性を発揮して

    いくには、高い水準での技術開発への投資が不可欠となります。

    積極的な研究開発投資により、新技術・新商品の開発に取り組んでいきます~技術開発力の強化~

  • 7

    一時的な環境変化や業績に左右されることなく、常に将来を見据え技術開発に力

    をいれていくことが当社の基本姿勢であり、世の中にない新しい技術や製品を作り

    出すことがメーカーとしての使命であると考えています。技術開発が将来に向けた

    成長の糧であり、競争力の源泉であるという認識のもと、新技術・新商品の開発に積

    極的に取り組んできました。

    そうした研究開発の成果の一例として、2005年3月期は小型バス・トラック用6

    速AT(A46系)や、軽快かつ敏速なシフト操作性の追求によりスポーティーな走りを

    実現した後方エンジン後輪駆動車用6速MT(SP6)など、クルマの便利さや楽しさ

    を実感できる新製品を投入しました。また、コンパクトサイズの車でも楽に乗り降り

    ができる助手席側大開口スライドドアシステム用機能部品や、ルーフ全面を開放感

    のあるガラス構造にしたパノラミックルーフなど、ユーザーの快適・利便性を追求し

    た新たなシステム商品を積極的に市場投入しました。さらに、環境を考慮した次世

    代の超低燃費駆動システムとして、発電用と駆動用の2つのモーターを同時に制御

    する独自のハイブリッド車用駆動システム(HD-10)を開発し、フォード「エスケー

    プ・ハイブリッド」に供給を開始しています。

    しかし、競争力のあるNo.1商品を将来にわたって投入し続けていくには、今後も

    これまで以上に研究開発への投資が必要だと考えています。特に自ら創造していく

    ことが求められる分野では、十分なリソーセスが不可欠であり、そういう意味からも

    現状の研究開発費のレベルでは、まだ十分とはいえません。今後も積極的な研究開

    発投資や、評価施設の充実をはかり、新しい商品をいち早く世に送り出すことで顧

    客のニーズに応えていきたいと考えています。

    当社がワールドワイドサプライヤーとしてグローバルに成

    長を遂げるためには、世界の各市場に自らの拠点を構え、企

    業活動を通してその地域社会に貢献し、共に発展していかな

    ければ、国際企業としての躍進はないと考えています。当社

    は、「自動車メーカーが生産しているところは、全てカバーし

    て行く」という気構えで、グローバル市場での事業拡大をめ

    グローバルな生産体制を拡充するため、新たに9つの生産会社を設立しました~グローバリゼーション~

    AISIN ANNUAL REPORT 2005

  • 8 トップメッセージ

    トップメッセージ 真のグローバル企業への成長に向けて

    ざし、世界各地での生産拠点の増強や、販売・開発体制の整備を加速してきました。

    この結果、2005年3月期の海外売上高比率は前年度より5.9ポイント増加し

    30.6%になりました。また、海外の生産会社については、特に北米、ASEAN、中国

    において積極的に生産能力の増強に取り組むとともに、9社(北米に3社、欧州に1

    社、中国に5社)の新会社を設立しました。これまで特に現地生産化が進んでいな

    かった欧州においては、エンジン部品を生産しているアイシン・ヨーロッパ・マニュ

    ファクチャリング・チェコの工場を拡張して生産体制を強化するとともに、2004

    年7月にトルコに設立したアイシン・オトモティブ・パルジャラリ・サナイ・ヴェ・ティ

    ジャレトで車体部品の生産を2005年4月より開始するなど、事業基盤の拡充を図

    りました。

    今後も、広い地域を視野に入れた拠点の設置や戦略的なアライアンスの実施によ

    り、世界のどの自動車メーカーの要望にも応えられるグローバルネットワークを構

    築していきます。また、世界各拠点で人材の育成・登用を促進し、ものづくりを支え

    る人材基盤を各地域で拡大していきます。

    自動車産業に携わる企業として、地球温暖化や大気汚染、産業

    廃棄物など環境問題への対応は、最重要課題です。この課題に対

    して、どの企業よりも力を入れて取り組みたいと考えています。

    具体的な活動としては、まず製品(商品)を通じて地球環境に寄与

    するということです。自動車の燃費向上や軽量化、製品に含まれる

    環境負荷物質の低減はもとより、例えば、当社では家庭用燃料電

    池を開発していますが、このような地球環境にやさしい商品を積

    極的に開発し、世の中に提供していくことが重要であると考えてい

    ます。

    また、生産における環境負荷の低減としては、有害な化学物質

    の根絶に努めるとともにCO2排出量の削減活動の徹底や、焼却廃

    棄物も含めた「廃棄物ゼロ化」などに全力を注いで取り組みます。

    人と地球が未来にわたって調和できる社会づくりへの貢献をめざしています

    ~環境経営の追求~

  • 9

    さらに、それらの生産技術や生産ノウハウを確立し、それを世の中

    に開示していくことも大切であると考えています。

    これからも、企業が、そして全従業員が高い環境意識を持ち、社

    会のために「われわれに今できることは何か」をよく考え、「環境を

    通じて世界に尊敬される企業」をめざしていきます。

    当社は「新しい価値の創造」「国際協調と競争の中での着実な成

    長」「社会・自然との共生」「個人の創造性・自発性の尊重」という

    「経営理念」の実現に向けた取り組みを、さらに一歩推し進めるた

    め「アイシン企業行動憲章」として具体的な行動指針を制定し、積

    極的に社会的責任を果たしていくことを経営の基本姿勢としてい

    ます。

    また、企業活動の全般において、社会の一員としてふさわしい行動を徹底するた

    め、「企業行動倫理委員会」を設置するとともに、従業員が法律や社会のルール、マ

    ナーを守るための「行動倫理ガイド」の作成や法務教育・研修の充実、社内外の相談

    窓口設置などの施策を展開し、コンプライアンスの徹底をはかっています。

    さらに、人と自然にやさしい企業をめざし、社員一人ひとりが「良き企業市民」と

    して社会的責任を果たすため『Be With』(共に生きる)を合言葉に、地域に密着した

    自主的な企業市民活動を展開しています。

    これからも、あらゆるステークホルダーの皆様の意見に真摯に耳を傾け、対話を

    重ね、良き企業市民として社会と共生できるように努力していきます。

    社会から信頼される企業として、社会との調和ある

    成長と社業の発展に努めています

    ~企業の社会的責任~

    AISIN ANNUAL REPORT 2005

  • Corporate Governanceコーポレート・ガバナンスアイシンは、企業価値の最大化に向け、すべてのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的な成長と発展

    をめざしています。そして、その実現には、国際社会から信頼される企業市民として、公正で透明性の高い経営活動を展開

    することが重要であり、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。

    企業価値の最大化と透明性の高い経営をめざして

    新たなガバナンス制度

    当社は、2005年6月の株主総会を経て、取締役数のスリム

    化、常務役員の新設などを含む新たなガバナンス制度を導入し

    ました。事業のグローバル化とそれにともなう競争が激化する

    中で、これまで以上に、国内外におけるグループ経営の強化や

    意思決定の迅速化、業務執行のスピードアップが求められ、新

    制度はこうした課題に対処することをねらいとしています。

    また、経営を監視する仕組みとして、当社は監査役制度を採

    用しています。当社では取締役会から独立した機関である監査

    役会による経営監視を前提とした現行制度を一層充実して、コー

    ポレート・ガバナンスの強化をはかっています。そのため、

    2004年6月の定時株主総会において監査役1名を増員し、5名

    の監査役(社内監査役1名、社外監査役4名)で取締役の職務執行

    ならびに当社および国内外子会社の業務や財政状況について監

    査を実施しています。

    監査役は、取締役会をはじめ主な会議体に出席するとともに、

    取締役、各部署、国内外子会社からの聴取、往査などにより、取

    締役会の監視、および業務の執行状況、財務の状況、コンプラ

    イアンスの状況などの監査を実施しています。さらに、法律上

    の機能である監査役に加え、内部監査の専門部署を設置し、業

    務管理・手続の妥当性、遵法性など、業務全般にわたる継続的

    な実地監査を実施しています。

    取締役会は、法令で定められた事項のほか、経営方針や事業

    計画、設備投資計画、子会社の設立・出資など、経営に関わる

    重要事項を決議するとともに、業務執行の監督を行う機関と位

    置づけており、原則として毎月1回開催しています。また、経

    営委員会や執行委員会などの会議体を設け、個別事項の審議の

    充実をはかるとともに、取締役会の決定した方針に基づく業務

    執行に対する監督・指導・助言に努めています。

    適時・適切な情報開示

    アイシンはすべてのステークホルダーに対して、企業情報を

    タイムリーかつフェアに開示し、アイシンをより一層理解して

    いただくため、情報開示の充実に努めています。情報開示にあ

    たっては、重要情報の網羅性、適正性を確保するため、発生し

    た情報について、即時に情報管理責任者が「判定会議」を招集し、

    その情報の重要性および適時開示の必要性を判断するとともに、

    インサイダー取引などの法令諸規則に対して十分に配慮した上

    で、東京証券取引所の定める適時開示規則に沿って適時開示の

    措置をとっています。

    またこの他、国内外における決算説明会(IR)の開催やアニュ

    アルレポート、事業報告書などのIRツールの作成、環境・社会

    報告書の発行、ホームページを使った最新の企業情報の提供な

    ど、さまざまな方法での有用と思われる情報を広く公開し、ス

    テークホルダーに対する説明責任の充実に努めています。

    株主の権利の尊重

    アイシンは、資本の提供者である株主の権利を尊重し、その

    保護に努めています。当社は多くの株主の皆様に総会に参加し

    ていただけるよう、開催日の早期化をはかるとともに、丁寧な

    営業報告や質疑対応に努めています。また、配当については、

    10

    部署(機能)別の業務執行を担当する

    常務役員(非取締役)を新設する。また、

    グループ経営、グローバルマネジメン

    トを強化するため、海外の主要子会社

    のトップにも常務役員を配置する。

    取締役会を少数化することにより、意

    思決定のスピードアップをはかる。ま

    た、専務取締役を業務執行の責任者と

    位置付け、経営全般に参画するととも

    に業務執行に関わる意思決定を行う

    ものとし、副社長以上は経営戦略と執

    行監督を主務とする。

    <新制度の概要>

    1. 常務役員の新設

    2. 取締役数のスリム化・

    フラット化

    経営戦略編

  • 安定的な配当を維持することを基本に、業績および配当性向な

    どを総合的に勘案して、株主の皆様への利益還元を行っていま

    す。2005年3月期の当社の配当金は、前年度に比べて1株当た

    り6円増の24円、配当総額は70.4億円としました。

    アイシンは、ROEの向上と経営環境の変化などに対して機動

    的な資本政策が遂行できるよう、2004年6月の株主総会にて

    取締役決議により自己株式の取得が行えるよう定款を変更しま

    した。また、経営者と会社の利害を積極的に一致させ、企業価

    値の最大化に向けた経営活動の促進をはかるため、当社および

    関連会社の取締役・常務役員に対して、新株予約権方式による

    ストックオプション制度を採用しています。

    コンプライアンスの徹底とリスク管理体制の整備

    アイシンは、企業市民として積極的に社会的責任を果たして

    いくことを経営の基本におき、これを「アイシン企業行動憲章」

    として定めています。そしてこれに併せ、企業活動の全般にお

    いて、社会の一員としてふさわしい行動を徹底するため、「企業

    行動倫理委員会」を設置し、従業員が法律や社会ルール、マナー

    を守るための「行動倫理ガイド」の提示や法務教育・研修の充

    実、社内外の相談窓口設置などの施策を展開し、コンプライア

    ンスの徹底をはかっています。2005年4月に施行された「個

    人情報保護法」に対しては、業務上取り扱うお客様・取引関係

    者・当社従業者などの個人情報保護について「個人情報保護規

    定」を定め、社員一人ひとりが個人情報保護に関する法令およ

    びその他の規範を遵守し、かつ自主的に取り扱いに関するルー

    ルおよび体制を確立しています。

    一方、グローバルな事業展開にともない、経営リスクが多様

    化する中で、リスク管理面においては、「危機管理委員会」を設

    け、社内外で発生したさまざまなリスクへの対応と再発防止に

    努めています。また、想定されるリスクの未然防止、被害の最

    小化に向けた事前対応事項と、万一の場合において適切・迅速

    な行動を取るための事後対応事項を「危機管理ガイド」として

    定め、社内外関係者に展開するなど、リスク管理体制の整備に

    取り組んでいます。

    11AISIN ANNUAL REPORT 2005AISIN ANNUAL REPORT 2005

    取締役会取締役

    常務役員

    経営委員会

    執行委員会

    各種委員会・企業行動委員会

    ・危機管理委員会

    ・全社環境委員会

    ・輸出取引管理委員会

    ・中央安全衛生委員会

    ・中央労使協議会

    監査役会監査役

    株主総会

    <経営機構>

  • R&D StrategyR&D戦略アイシンは技術開発を通し、新たな価値を提供する魅力ある商品を創出していくことが、社会の発展に寄与し、

    ひいては事業の拡大につながるとの認識のもと、R&Dに積極的に取り組んでいます。

    新しい価値の創造をめざした開発体制

    オリジナリティあふれる新商品を投入

    地球環境保護や安全性の確保、快適で楽しさあふれるカーラ

    イフの実現など、近年のユーザーニーズはさまざまに多様化し、

    求める機能、性能も従来に増して一段と高いものに移行しつつ

    あります。こうしたお客様の要望に的確に応え、その信頼を獲

    得するには、何より絶え間ない先進技術の開発と、信頼性のあ

    くなき追求が不可欠となります。このような認識のもと、アイ

    シンは、ユニークな技術開発と、オリジナリティあふれる商品の

    創出を最重要課題ととらえ、積極的に取り組んでいます。

    2005年3月期は、世界初となる「小型(積載量が2~4t)商用

    車用6速AT(A46系)」や、軽快かつ敏速なシフト操作性の追求

    によりスポーティーな走りを実現した「後方エンジン後輪駆動車

    用6速MT(SP6)」など、ドライブトレイン分野での新製品を投

    入するとともに、環境・走行性能に優れた「乗用車用6速AT」の

    ラインナップの充実をはかり、国内外のユーザーから高い評価を

    いただきました。また、コンパクトサイズの車でも楽に乗り降り

    ができる「助手席側大開口スライドドアシステム」用機能部品や、

    ルーフ全面を開放感のあるガラス構造にした「パノラミックルー

    フ」など、お客様がクルマの便利さ、楽しさを実感できる新製品

    を積極的に市場投入しました。一方、自動車関連事業以外の領域

    においても、高効率でクリーンな次世代のエネルギーシステムと

    して期待されている「家庭用燃料電池 コージェネレーションシス

    テム」の開発にトヨタ自動車と共同で取り組んでいます。

    このように、アイシンは将来を見据えた魅力ある新商品の創

    出に努めるとともに、これまで培ってきた幅広い商品分野と技

    術ノウハウを最大限に活かし、他に真似のできない技術領域の

    確立と、市場での競争力の向上に努めています。

    グループ各社が得意分野で高い専門性を発揮

    アイシンの開発体制は、グループ各社がそれぞれ開発リソー

    セスを保有し、得意分野において専門性の高い技術開発に取り

    組んでいます。技術開発はリソーセスを集約して効率化をはか

    ることが大切ですが、より独創的な開発が必要な領域では、各

    社が互いに切磋琢磨し合うことも重要であり、競争と協調を重

    光応用の可能性を広げる超短パルスレーザーの研究

    3D画面によるパワースライドドアの設計図面作成

    12 経営戦略編

  • 視した独自の開発体制をとっています。

    アイシン精機はボディ関連、エンジン関連を中心に、全ての

    商品セグメントに関与し、開発全体のイニシアチブを発揮して

    います。そして、アイシン・エィ・ダブリュはドライブトレイ

    ン関連と情報関連、アイシン・エーアイはドライブトレイン関

    連、アドヴィックスはブレーキ及びシャシー関連において、そ

    れぞれ技術開発の中心的な役割を担っています。また、アイシ

    ン高丘やアイシン化工においては、鋳造や塑性加工、樹脂成形

    などの要素技術開発を担うとともに、独自の工法を活かした応

    用商品の開発にも取り組んでいます。

    幅広い分野にわたる先端技術開発

    アイシンは、国内外に先端技術の研究・開発法人を4拠点持

    ち、自動車をはじめさまざまな分野における最先端技術の研究

    を行っています。なかでも、イムラ・アメリカ(米国ミシガン

    州)では光分野、イムラ・ヨーロッパ(フランス)では情報通

    信やエネルギー分野で現地の大学および研究機関と連携し最先

    端技術開発を行っています。

    イムラ・アメリカでの光分野の研究成果として「フェムト秒

    ファイバーレーザー*」を発表し、高い評価をいただいていま

    す。これは、光通信をはじめ、微細加工、計測、理化学、医療

    などの分野での利用が期待できます。

    トップクラスの評価施設で信頼性を向上

    アイシンは、部品単体から車両全体としての評価まで行うこ

    とができる世界トップクラスの評価施設を保有しています。さ

    らに、北米、欧州など現地でのフィールド評価も積極的に行い、

    さまざまな条件の下での製品の性能、耐久性評価を行っていま

    す。こうした評価施設は、製品の信頼性を高める上で欠かすこ

    とのできない重要な要素と考えており、今後とも評価施設・体

    制の充実をはかっていきます。

    * 断続的に光を出すパルスレーザーの中で、パルスの時間幅がフェムト秒(1フェムトは

    10—15)領域のパルスを出すレーザー

    電子機器への電磁波の影響を評価する電波暗室

    小型商用車用オートマチックトランスミッションの性能試験

    家庭用燃料電池の性能試験

    13AISIN ANNUAL REPORT 2005AISIN ANNUAL REPORT 2005

  • GlobalizationグローバリゼーションBRICs*や中東欧諸国が経済発展期を迎えつつある現在、世界経済はこれを新たな成長の牽引役として加え、継続的な発展を

    遂げていくものと見られます。このようななかで、アイシンは事業活動のフィールドをよりグローバルに広げ、世界全域での

    ビジネス展開が可能な体制を早期に整え、世界の市場、世界中の顧客とともに成長・発展することをめざしています。*BRICs: Brazil、Russia、India、China

    グローバル市場での事業拡大をめざし、世界各地で生産・供給体制を増強

    生産・供給体制の構築に積極的に取り組み、海外売上高

    率が増加

    2005年3月期の地域別の売上高は、日本が1兆2,695億円

    (全体の売上高に占める比率69.4%)、北米が2,737億円

    (15.0%)、欧州が1,660億円(9.1%)、アジア他が1,199億

    円(6.5%)となり、海外拠点での売上高比率は前年同期に比

    べ5.9ポイント増加し、30.6%となりました。日系自動車メー

    カーの海外現地生産化や新興国市場でのモータリゼーションの

    進展にともない、今後とも、海外でのビジネスは拡大していく

    ものとみられます。

    そのため、アイシンは海外各国・各地域における生産・供給

    体制の構築に積極的に取り組んできました。2005年3月期の

    地域毎の連結対象会社は、日本68社、海外68社(アメリカ29

    社、欧州7社、アジア他32社)となり、前年同期に比べ日本で

    1社減少、海外で9社増加しています。

    しかしながら、展開エリアは北米、ASEAN、中国にやや偏

    在しており、世界中の顧客ニーズに応えられる体制には至って

    はいません。グローバルパートナーとして世界の顧客から信頼

    され、その要望に応えていくため、今後は、「顧客のいるエリア

    は全てカバーしていく」というスタンスで、引き続き、主要国

    市場での拠点の増強をはかるとともに、未展開地域での拠点整

    備を進めていきます。

    グローバルなマネジメント体制を強化

    グローバルな事業拡大にともない、海外での生産拠点の増設

    や、設備投資、人材など、必要資源も増加傾向にあり、より効

    率的なグローバルマネジメントが求められます。そのため、現

    地拠点相互の生産補完や最適な物流体制、地域内での統括機能

    の強化など、各地域・拠点を最大限に活用したネットワーク体

    制の構築が課題となっており、現在、北米を中心に生産体制の

    再編に取り組んでいます。

    また、自動車メーカーの世界的な再編・グループ化が進み、

    部品の共通化や集中購買の動きを強めています。こうした動向

    は今後更に拡大するものと見込まれ、設計・開発プロセスや生産

    ネットワーク、情報システムなど、さまざまな分野での自動車メー

    カーとのグローバルインターフェイスの確立に取り組んでいき

    ます。

    14 経営戦略編

    ’01/03 ’04/03 ’05/03’03/03’02/030

    6,000

    4,000

    2,000

    (億円)

    2,244 2,5303,040

    3,969

    5,596

    海外売上高 北米 欧州 その他の地域

    30.615.0

    日本

    9.1

    6.5

    連結売上高に占める海外売上高比率(%)

    北米 欧州 その他の地域

    2005年3月期

  • 15

    生産拠点

    統括・販売拠点

    研究開発拠点

    グローバルネットワーク(2005年3月期)

    AISIN ANNUAL REPORT 2005

    2005年3月期 連結対象に追加した海外子会社

    アイシン・オートモーティブ・キャスティング・テネシー[米国]

    アイシン・エレクトロニクス・イリノイ[米国]

    アイシン・マニュファクチャリング・アグアスカリエンテス[メキシコ]

    アイシン・オトモティブ・パルジャラリ・サナイ・ヴェ・ティジャレト[トルコ]

    アイシン精機佛山自動車部品[中国]

    豊愛(広州)自動車シート部品[中国]

    天津AWオートマチック・トランスミッション[中国]

    アドヴィックス(天津)自動車部品[中国]

    アドヴィックス(広州)自動車部品[中国]’01/03 ’04/03 ’05/03’03/03’02/030

    80

    40

    60

    20

    (社)

    37

    49 5259

    68

    海外の連結対象会社数推移北米 欧州 その他の地域

  • North America

    16 経営戦略編

    北米

    2005年3月期の北米での売上高は、前期に比べ42.1%増の

    2,737億円となりました。これは主に、オートマチックトランス

    ミッション(AT)の現地生産開始や、シート、サンルーフなどの

    車体部品の売上増加によるものです。

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/03

    1,925

    2,737

    1,3721,203

    1,081

    0

    3,000

    2,000

    1,000

    売上高推移

    (億円)

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/03

    26

    2221

    17

    0

    30

    20

    10

    連結対象会社数推移

    (社)29

    自動車メーカーの需要拡大に対応し、供給体制を整備

    北米市場は底堅い経済基盤のもと、持続的な成長を維持して

    います。アイシンにとって、北米は第2のホームグランドであ

    り、ビッグ3や日系自動車メーカーとのビジネス拡大をはかる

    ため、現地で生産・供給能力の一層の増強をはかるとともに、

    カナダ、メキシコを含むアメリカ全域での事業体制の整備に取

    り組んでいます。

    2005年3月期は、ドライブトレイン関連、エンジン関連、

    ボディ関連など、主要商品分野における生産拠点の新設・増強

    を実施しました。ドライブトレイン関連ではトルクコンバータ

    ーなどのAT用部品を生産していたエィ・ダブリュ・ノースカロ

    ライナの工場を拡張し、2004年5月より新たにトヨタ「タン

    ドラ」向け5速ATの生産を開始しました。エンジン関連では、

    アイシン・オートモーティブ・キャスティングで生産していた

    ピストンやウォーターポンプなどのアルミ機能部品をアイシ

    ン・オートモーティブ・キャスティング・テネシーに移管し、

    生産体制の増強・再編を進めています。また、車体系システム

    商品の受注拡大に対応し、現地では2拠点目となる電子部品の

    生産拠点として2004年6月にアイシン・エレクトロニクス・イ

    リノイを設立しました。ボディ関連では、2004年7月にメキシ

    コにドアフレームを生産するアイシン・マニュファクチャリン

    グ・アグアスカリエンテスを設立しました。

    この結果、北米における生産拠点は、2005年3月時点で20

    拠点となりましたが、得意先の現地生産の拡大が続くなかで、

    今後一層の生産能力の拡充に努めるとともに、地域内での生産

    補完体制や効率的な物流ネットワークを整備し、事業の拡大に

    取り組んでいきます。

    エィ・ダブリュ・ノースカロライナ

    後輪駆動車用5速AT

    オートモーティブ・キャスティング・テネシー

  • 17AISIN ANNUAL REPORT 2005AISIN ANNUAL REPORT 2005

    欧州*

    2005年3月期の欧州での売上高は、前期に比べ52.4%増の

    1,660億円となりました。これは主に欧州メーカー向けのATの売

    上が好調に推移したことによるものです。*トルコを含む

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/03

    1,089

    1,660

    840756714

    0

    2,000

    1,500

    1,000

    500

    売上高推移

    (億円)

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/030

    8

    4

    2

    6

    連結対象会社数推移

    4

    7

    66

    5

    (社)

    生産拠点を増強し、事業基盤を拡充

    EU加盟国の拡大を機に、ヨーロッパでは地域内での経済活動

    が活性化し、自動車市場は拡大局面に移行するものと期待され

    ます。アイシンはこれまでATを中心に、現地有力自動車メーカー

    とのビジネスを拡大し、この市場におけるアイシンのプレゼン

    スを高めてきました。今後はさらに現地での生産能力、生産品

    目の拡充をはかるため、地域内での供給体制の整備に取り組ん

    でいきます。

    2005年3月期は、エンジン部品を生産しているアイシン・

    ヨーロッパ・マニュファクチャリング・チェコの工場を拡張し、

    アルミダイキャスト設備を設置し、鋳造から加工、組付までを

    一貫生産する体制を整備しました。また、得意先の生産拡大に

    対応し、新たに2004年7月にアイシン・オトモティブ・パル

    ジャラリ・サナイ・ヴェ・ティジャレトをトルコに設立し、ド

    アフレーム、ドアロックなどの車体部品の生産を2005年4月

    より開始しました。

    欧州における生産拠点は、2005年3月時点で4拠点となりま

    したが、生産品目はエンジン関連、ボディ関連、情報関連の一

    部にとどまっています。今後の拡販活動に併せ、随時、生産品

    目・能力の拡大をはかっていきます。

    アイシン・オトモティブ・パルジャラリ・サナイ・ヴェ・ティジャレト

    ウォーターポンプ

    アイシン・ヨーロッパ・マニュファクチャリング・チェコ オイルポンプ

    Europe

  • 18 経営戦略編

    その他の地域(アジア他)

    2005年3月期のその他の地域(アジア他)での売上高は、前期に比

    べ25.5%増の1,199億円となりました。これは主に、中国での新

    規拠点の稼動やタイ、インドネシアでの売上増加によるものです。

    グループで生産供給体制を拡充し、事業基盤を強化

    中国をはじめ、ASEAN、インドなど急速なモータリゼーショ

    ンが続くアジア市場は、21世紀の有望市場として注目を集めて

    います。この急拡大する需要を確実に取り込み、ビジネスを拡

    大していくため、アイシンの特長である幅広い事業領域を活か

    した拡販活動と、各地域での生産拠点の拡充に積極的に取り組

    んでいます。

    2005年3月期は、中国、ASEANなどで、生産拠点の新設、

    増強を実施しました。ASEANでは、トヨタの世界戦略車IMV

    の生産に対応するため、マニュアルトランスミッション(MT)

    を生産するアイシン・エーアイ(タイランド)や、エンジン部

    品やボディ部品を生産するサイアム・アイシンの工場を増設し、

    生産能力を拡大しました。

    また、中国では、現地での市場拡大に対応するため、華北お

    よび華南地域での生産体制の拡大に取り組みました。華北地域

    では、ブレーキ部品を生産するアドヴィックス(天津)自動車

    部品の生産ラインが完成し、2005年2月より生産を開始しま

    した。また、2004年2月設立した天津AWオートマチック・

    トランスミッションでは、2005年3月よりトヨタ向け後輪駆

    動車用6速ATを生産開始しました。得意先が新たに生産を開

    始する華南地域では、新たに3つの生産拠点を相次いで設立し

    ました。アイシン精機佛山自動車部品(2004年4月設立)で

    は、クランクケースなどのエンジン用アルミダイキャスト部品

    を生産予定です。トヨタ紡織との合弁で設立した豊愛(広州)

    自動車シート部品(2004年9月設立)ではシート機能部品を

    生産予定です。また、アドヴィックス(広州)自動車部品

    (2004年11月設立)では、ブレーキ部品を生産予定です。

    その他の地域における生産拠点は、2005年3月時点で26拠

    点(中国12拠点、ASEAN10拠点、その他4拠点)となりまし

    た。特に伸張著しい中国、ASEANはアイシンがグループの総

    力をあげて事業展開している市場であり、今後もグループの生

    産拠点の相互補完・連携を強化し、事業基盤の強化に取り組ん

    でいきます。

    売上高推移

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/03

    449

    1,199

    955828

    572

    (億円)

    0

    500

    1,000

    1,500

    ’01/03 ’05/03’04/03’03/03’02/03

    16

    32

    272423

    0

    40

    20

    10

    30

    連結対象会社数推移

    (社)

    アイシン精機佛山自動車部品

    アイシン・エーアイ(タイランド)

    後輪駆動車用5速MT

    Asia & Others