22
平成22年度製品センター製品安全業務報告会 経年劣化事故分析の取組み Product Safety Technology Center 製品安全センター 製品安全技術課 経年劣化対策室 川野 和弘 1

経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

  • Upload
    others

  • View
    6

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

平成22年度製品センター製品安全業務報告会

経年劣化事故分析の取組み

Product Safety

Technology Center

製品安全センター

製品安全技術課 経年劣化対策室

川野 和弘1

Page 2: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

平成22年度製品安全センター製品安全業務報告会

説明内容

・経年劣化の定義

・経年劣化事故発生状況

・製品別経年劣化事故発生状況

・経年劣化事故のバスタブ分析事例

2

Page 3: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣化をいう。

(消費生活用製品安全法第2条)

経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないにもかかわらず、製品の長期使用に伴い製品

内部の部品・材料が本来果たすべき機能を発揮できなくなるものと位置づけられる。

長期使用製品安全点検制度及び長期使用製品安全表示制度の解説 ~ガイドライン~

経年劣化とは、・・・

経年劣化の定義

3

Page 4: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

区分記号

事故原因区分

製品に起因する事故

A 専ら設計上、製造上又は表示に問題があったと考えられるもの

B 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの

C 製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの

製品に起因しない事故

D 業者による工事、修理、又は輸送中の取扱い等に問題があったと考えられるもの

E 専ら誤使用や不注意な使い方と考えられるもの

F その他製品に起因しないか、又は使用者の感受性に関係すると考えられるもの

G 原因不明のもの

H 調査中のもの

NITE 事故情報 事故原因区分表

経年劣化の定義

4

Page 5: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

経年劣化事故はなぜ起きる!?

もし、過大なストレス等により壊れたら・・・

もし、製品の劣化速度が速ければ・・・

☞誤使用・不注意が疑われる。

☞部材選定等の設計が疑われる。

経年劣化の定義

5

劣化モデル(ストレス-ストレングスモデル)

信頼性入門(塩見弘、日科技連)から引用・加筆

Page 6: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

品目分類別経年劣化事故発生状況

経年劣化事故件数 888件

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数 888件には、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)のうち、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(115件)を含めている。

全事故件数 29,534件

12,225

8,151

2,714

2,453

1,350 657

651 580 488 190 75 家庭用電気製品

燃焼器具

乗物・乗物用品

身のまわり品

家具・住宅用品

台所・食卓用品

レジャー用品

保健衛生用品

乳幼児用品

繊維製品

その他

経年劣化事故発生状況

6

632

171

7

25 18 13 19 1 1

0 1

Page 7: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

経年劣化事故発生状況

0

50

100

150

200

250

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

事故発生件数

事故発生年

経年劣化事故発生推移(暦年)

経年劣化

事故発生件数

経年劣化事故発生件数

0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%5.0%

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

事故発生年

経年劣化事故 全事故割合

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数 888件には、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)のうち、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(115件)を含めている。

経年劣化事故発生状況

7

Page 8: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

最近5年間(2005~2009)に発生した経年劣化事故(597件)の製品

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数 597件には、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)のうち、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(115件)を含めている。

経年劣化事故発生状況

8

ブラウン管テ

レビ, 79

扇風機, 72

石油給湯機, 28

電子レンジ, 27

ガスふろがま, 24

ガス瞬間湯沸器,

23

電気カーペット,

22

ルームエアコン,

21

電気冷蔵庫, 19

換気扇, 15

インターホン, 13

配線器具, 11家庭用じかづけ

形照明器具, 11

施設用蛍光灯器

具, 10

石油ふろがま,

10

カメラ, 10

家庭用つり下げ

型蛍光灯器具, 8

石油温風暖房機, 8

まきふろがま, 7

電気毛布, 7

家具・住宅用品, 12

乗物・乗物用品, 11

台所・食卓用品, 9

身のまわり品, 6

乳幼児用品, 1

保健衛生用品, 1 その他の家庭用

電気製品, 109

その他の燃焼器

具, 20

その他のレ

ジャー用品, 3

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2005 2006 2007 2008 2009

件数

事故発生年

扇風機

ブラウン管テレビ

ガスふろがま電子レンジ

石油給湯機

Page 9: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

経年劣化事故発生状況

9

部品名 主な故障内容 主な製品

1コンデンサ

電解液漏れ、短絡、ドライアップ、容量低下扇風機、ルームエアコン、ブラウン管テレビ、照明器具

2 フライバックトランス はんだ割れ、レイヤショート、亀裂、絶縁低下 ブラウン管テレビ

3 モーター 過熱、絶縁低下、摩擦増加 扇風機、換気扇

4 電源コード 短絡、トラッキング、断線、半断線 ヘヤードライヤー、電気こたつ

5 リレー 摩耗、溶着 電気冷蔵庫、電気カーペット

6 安定器 レイヤショート、絶縁低下 照明器具

7 熱交換器 水漏れ、腐食、穴、亀裂、詰まり、付着、錆 ガスふろがま、ガス給湯器

8 煙突 腐食、亀裂、衝撃、穴あき、詰まり、破損 まきふろがま、石油ふろがま

9 比例弁付電磁ポンプ 過熱、燃料もれ 石油給湯機

10 ダイオードブリッジ クラック、スパーク、短絡、過電流、発熱 電子レンジ

11 基板 はんだクラック、過電流 ブラウン管テレビ、電子レンジ

12 屋内配線 短絡、発熱、漏電 速結端子

13 送油ゴム管 亀裂、油漏れ、ひび割れ 石油給湯機、石油ふろがま

14 コンセント トラッキング 配線器具

15 トランジスタ 発熱、溶融、過電流、変形 カメラ

経年劣化事故の劣化部品の概要

Page 10: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

ブラウン管テレビの経年劣化事故発生状況(製造後の経過年数別)

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数は、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)において、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(13件)を含めている。

0

2

4

6

8

10

12

14

16

5 6 7 8 9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

不明

事故発生件数

製造後の経過年数(推定)

n=132

製品別経年劣化事故発生状況

10

Page 11: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

ブラウン管テレビの経年劣化事故発生状況(製造年別)

0

5

10

15

20

25

19

78

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

事故発生件数

製造年(推定)

n=132

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数は、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)において、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(13件)を含めている。

フライバックトランスの経年劣化による事故がこの時期に集中

製品別経年劣化事故発生状況

11

Page 12: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

扇風機の経年劣化事故発生状況(製造後の経過年数別)

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数は、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)において、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(45件)を含めている。

0

2

4

6

8

10

12

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

36

37

38

39

40

41

42

43

不明

事故発生件数

製造後の経過年数(推定)

n=93

製品別経年劣化事故発生状況

12

Page 13: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

扇風機の経年劣化事故発生状況(製造年別)

(備考)1) H22.9.30.現在、NITEがWeb公開している製品事故情報データ(29,534件)について調べた。2) 経年劣化事故の件数は、経済産業省に報告された重大製品事故として公開している事故情報(事故原因区分を明示していない)において、事故原因の記載内容から経年劣化に起因すると考えられる事故件数(45件)を含めている。

0

5

10

15

20

25

19

66

19

67

19

68

19

69

19

70

19

71

19

72

19

73

19

74

19

75

19

76

19

77

19

78

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

不明

事故発生件数

製造年(推定)

n=93モータ運転用コンデンサの経年劣化による事故がこの時期に集中

製品別経年劣化事故発生状況

13

Page 14: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

バスタブ分析

バスタブカーブ(時間 t に対する故障率)は、次式によって求めることができる。

尺度パラメータは、

初期故障成分 、偶発故障成分 、摩耗故障成分 D C I

初期故障期 偶発故障期 摩耗故障期

時間 t

故障率

摩耗故障成分

偶発故障成分

初期故障成分

λ

初期故障成分 (<1)、偶発故障成分 (=1)、摩耗故障成分 (>1) Dm Cm Im

1

III

1

CCC

1

DDDICD )/(/)/(/)/(/)(

mmm

tmtmtmt

ここに、形状パラメータは、

14

経年劣化事故のバスタブ分析事例

製品群として、○ 時間の経過とともに事故が増加するのか○ 事故発生率はどのくらいの年数で増加するのか

Page 15: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

X1

x2

x3

x4

x6

x5

x1

x2

x3

x4

x5

製造後の経過年 y1

平均残存台数【 (x1+・・・+ x5)/5 】=製造後の経過年 y1年の残存台数

1990年

1991年

1992年

1993年

1994年

1995年

出荷台数

y1年目の残存台数

・・・

2009年

xn

経年劣化事故のバスタブ分析事例

15

事故発生率(1/年)の算定方法

Page 16: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

1 10 100

事故発生率(1

/年)

製造後の経過年(推定)

ブラウン管テレビのバスタブカーブ

事故発生率

バスタブカーブ

初期故障成分

偶発故障成分

摩耗故障成分1

摩耗故障成分2

(横軸:対数)

分析対象:512件

長期使用のブラウン管テレビは、フライバックトランス、コンデンサ等電気部品の劣化のため事故発生率が増大

16

経年劣化事故のバスタブ分析事例

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

0 10 20 30 40

事故発生率(1

/年)

製造後の経過年(推定)

フライバックトランス

コンデンサ

はんだ

Page 17: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

1 10 100

事故発生率(1

/年)

製造後の経過年数(推定)

事故発生率バスタブカーブ初期故障成分偶発故障成分摩耗故障成分1摩耗故障成分2摩耗故障成分3

(横軸:対数)

分析対象:173件

扇風機のバスタブカーブ

長期使用の扇風機は、ファンモータ(巻線・車軸)やその運転用コンデンサ等電気部品の劣化のため事故発生率が増大

17

経年劣化事故のバスタブ分析事例

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

0 10 20 30 40

事故発生率(1/年)

製造後の経過年数(推定)

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

0 10 20 30 40

事故発生率(1

/年)

製造後の経過年数(推定)

コンデンサの劣化に起因する事故のみをプロット

モータの劣化に起因する事故のみをプロット

Page 18: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

長期使用のルームエアコンは、コンデンサ、リレー等電気部品の劣化のため事故発生率が増大

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

1 10 100

事故発生率(1/年)

製造後の経過年数(推定)

事故発生率バスタブカーブ初期故障成分偶発故障成分摩耗故障成分1摩耗故障成分2

(横軸:対数)

分析対象:368件

18

経年劣化事故のバスタブ分析事例

経年劣化部品(基板、配線、その他部品)

経年劣化部品(コンデンサ、リレー、ファンモータ 等)

Page 19: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

・ 製品名: 密閉燃焼式ガスバーナー付ふろがま(都市ガス用、BF式)

・ 事業者名・型式: ●●社、△△△

・ 事故内容: ガスふろがまの点火操作を繰り返したところ異常着火し、機器のケーシングが膨らんだ。

・ 類似事故件数: 40件

1.E-09

1.E-08

1.E-07

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

1 10 100

事故発生率(1/年)

製造後の経過年数(推定)

●●社製ガスふろがま異常着火事故

事故発生率バスタブカーブ初期故障成分偶発故障成分摩耗故障成分摩耗故障成分2

1

(横軸:対数)

本事故事象は、摩耗故障成分(経年劣化)に由来しているとは言えない。

19

経年劣化事故のバスタブ分析事例

Page 20: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

経年劣化事故に対応した電気用品の技術基準を定める省令の改正(H22.9.1施行)

■ 照明器具に使用される銅鉄式安定器に対して、耐火性を要求。照明器具で発煙・発火事故が発生。原因は、蛍光灯安定器の巻線表面の絶縁物が経年劣化により絶縁破壊したものと推定。

■ エアコン、電気洗濯機及び電気冷蔵庫・冷凍庫に使用する電気機器用コンデンサに対して、保安装置内蔵又は保安機構付きであることを要求。電気冷蔵庫から出火する事故が発生。原因は、モータ用コンデンサの不良により、内部の酸化が進行し、設計以上の電気抵抗が生じたため、発煙・発火したものと推定。使用時間が長く、消費電力が比較的大きい製品のコンデンサ対策が必要。

■ 電気冷蔵庫・冷凍庫の電源プラグに対して、耐トラッキング性を要求。電気冷蔵庫背面のコンセント付近から出火事故が発生。原因は、電気冷蔵庫の電源プラグがコンセントに長期間差し込まれたままであったため、埃・湿気等がプラグ部分に堆積し、トラッキング現象が発生し、発火・延焼に至ったものと推定。電気冷蔵庫・冷凍庫は、常時、比較的大電流が通電しており、湿気の高い場所に設置されているため、対策が必要。

■ 脱水機能を有する電気洗濯機及び電気脱水機に対して蓋ロック機構を要求。脱水槽のブレーキが故障したままで全自動洗濯機を使用し、脱水槽の回転が完全に停止する前に手を入れたため、指を切断する事故が発生。現行基準は、脱水容量が5kg 以下の電気脱水機についてのみ蓋ロック機構を要求している。

20

付録

Page 21: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

まとめ

21

【まとめ】○劣化したことにより事故に至る部品・部材は、コンデンサや巻線が多い。

○製品群全体としての摩耗故障期の把握にバスタブ分析が有用であることがわかった。

○事故事象が経年劣化に由来するものであるか否かをバスタブ分析によって視覚的に把握可能となった。

【今後の取組み】

○NITEで既に公開している製品事故情報から、事故の起因となった劣化部品及びその故障モードなどを整理し直し、経年劣化データベース(仮称)として情報提供。

【経年劣化事故防止のポイント】○製品を構成する部品・部材は、外部ストレスを受け遅かれ早かれ必ず劣化する。○故障時の“死に様”を考慮した製品設計が重要。○早めの点検・修理。故障かなと思ったら使用を中止する。

Page 22: 経年劣化事故分析の取組み - nite経年劣化は、長期間の使用に伴い生ずる劣 化をいう。(消費生活用製品安全法第2条) 経年劣化は、設計・製造上の瑕疵がないに

http://www.jiko.nite.go.jp/

ご清聴有り難うございました。