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日本水処理工業株式会社
(社)近畿冷凍空調工業会
サービス問題研究委員会
平成21年11月26日
エアコン洗浄を取り巻く環境
エアコン洗浄の需要は高まっている
修理として洗浄 (顧客ニーズは喚起されてない)
エンドユーザーでのエアコン洗浄認知 (ハウスクリーニング業界でのコマーシャリング)
室内環境向上、省エネ対策 (事業としての確立)
事業者としての社会的責任 業界のルールが生まれる
過去 現在
目次
洗浄剤について
洗浄作業における産業廃棄物について
洗浄方法の紹介
洗浄時の事故例について
洗浄によるメリット
洗浄剤について
どの様な洗浄剤があるか 空気熱交換器洗浄剤
アルカリ性洗浄剤
一般的に最も良く使用されている洗浄剤で、汚れ除
去性能が高い。洗浄剤メーカーにおいても殆どがこの
アルカリ性である。
中性洗浄剤
中性であり排水時のPH管理が丌要。アルカリ性洗浄
剤より汚れ除去は低い。
酸性洗浄剤
アルカリ洗浄剤の中和用に用いられ、単体での使用
はしない。
アルカリ性空気熱交換器洗浄剤
成分 苛性アルカリ(苛性ソーダ・苛性カリ)やアルカリ塩(燐酸ソーダ)が主成分のものが多い。
特徴 油汚れやヤニ汚れなどの除去能力が高い。
注意点
アルミ、錫、亜鉛等の金属を腐食させる。
たんぱく質を分解するため、手などの皮膚に付着すると薬品やけどをおこす。目に入った場合はすぐに水洗いをしないと失明の危険性がある。
中性空気熱交換器洗浄剤
成分 アルコール系界面活性剤
特徴
ほこり汚れは除去できるが、油汚れやヤニ汚れなどは除去能力が低い。
金属の腐食は少ない。
注意点
泡立ちが多いため、水洗い時間がかかる。
中性であるが洗浄廃液中のCOD、浮遊物質などから回収しないといけない場合がある。
酸性空気熱交換器洗浄剤
成分 クエン酸等の有機酸
特徴
単体での汚れ除去は出来ない。
アルカリ洗浄剤後の中和処理及びアルカリ洗浄廃液の中和用。
注意点 酸性の為、洗浄後の水洗いを十分に行う。
空気側洗浄剤の選定方法
付着汚れ
中性洗浄剤 アルカリ洗浄
剤
アルカリ洗浄剤 +
酸性洗浄剤
汚れが酷い 通常汚れ 汚れが酷い 通常汚れ
油・ヤニ等 埃・粉塵・臭い等
空気側洗浄剤の特徴
銅
黄銅
アルミニウム
親水性皮膜
油・ヤニ
埃・粉塵
アルカリ性洗浄剤 △ ○ × × ○ ○
中性洗浄剤 ○ ○ ○ ○ △ ○
酸性洗浄剤 × ○ × × × ×
○:効果あり
△:やや効果あり
×:効果なし
どの様な洗浄剤があるか 水熱交換器洗浄剤
酸性洗浄剤
カルシウム系スケールの除去能力が高い無機酸系
洗浄剤・有機酸系洗浄剤がある。
• 中性洗浄剤
中性であり排水時のPH管理が丌要であるが排水
時のCODが上昇するため排水に注意が必要
• アルカリ性洗浄剤
シリカ系スケールの軟化の為の前処理洗浄剤
洗浄時間が長く後で酸洗浄が必要
無機酸(塩酸)系水熱交換器洗浄剤
成分 塩酸 (15%~20%)
特徴 カルシウムスケール・鉄錆等の汚れ除去に効果的。
洗浄時間が短い。
注意点
鉄、銅、アルミ等の金属を腐食させる。
強酸性を示す為排水には注意する。
塩素を含む為、ステンレスには使用できない。
無機酸水熱交換器洗浄剤(シリカ用)
成分 フッ化水素、フッ化アンモニウム
特徴
シリカスケールの汚れ除去に効果的。
洗浄時間が短い。
単独での使用は無く、シリカ除去の洗浄助剤として使用。
注意点
鉄、銅、アルミ等の金属を腐食させガラスを侵す。
強酸性を示し、また廃液にはフッ素が含まれる為、産廃処理が必要。
身体に付着すると浸透し骨を侵す。
有機酸系水熱交換器洗浄剤
成分 クエン酸・グリコール酸・シュウ酸等
特徴
シリカスケールの汚れ除去に効果的。
金属に対するストレスが少ない。
ステンレス製品洗浄に適している。
注意点 温度を上げるなどの処置が必要。 洗浄時間が長くかかる。 使用方法を次第では金属を腐食させる
中性水熱交換器洗浄剤
成分 過酸化水素
特徴
硬質のシリカスケールや、カルシウムスケールを軟化させる。
金属等への腐食は殆どない。
注意点
中性であるが洗浄廃液中のCOD、浮遊物質等から回収しないといけない場合がある。
鉄錆・スライム、スケール等と接触すると高温に発熱する。
アルカリ系水熱交換器洗浄剤
成分 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)・水酸化カリウム(苛性カリ)
特徴 硬質のシリカスケール・カルシウムスケール軟化に使
用する。(酸洗浄前処理用)
注意点 アルミ、錫、亜鉛等の金属を腐食させる。
たんぱく質を分解するため、手などの皮膚に付着すると薬品やけどをおこす。
洗浄剤の選定方法
中性洗浄剤
鉄サビ系
有機酸系洗浄剤
茶色 灰色・白色
色
付着スケール
かたさ
指でつぶれる 指でつぶれない
塩酸系洗浄剤
塩酸系洗浄剤 +
シリカ系洗浄剤
カルシウム系 シリカ系
固形物 泥 状
材質に及ぼす洗浄剤の影響(短時間)
銅
黄銅
鉄
鋳鉄
アルミニウム
ステンレス
亜鉛
チタン
塩酸系 ○ ○ ○ ○ × × × △
有機酸系 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○
シリカ系 ○ ○ ○ ○ × △ × ×
中性洗浄剤 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○
アルカリ性 ○ ○ ○ ○ × ○ × ○
○:使用可
△:注意必要
×:使用不可
洗浄剤のラベル表示について
「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(GHS) は、危険有害性に関する情報を伝達し、使用者がより安全な製剤の取扱いを求めて自ら必要な措置を実施できるよう国連において開発されたシステムで厚生労働省にて推奨、普及させている
洗浄廃液について
洗浄作業における産業廃棄物
• 産業廃棄物とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条第4項で、次に掲げる廃棄物をいう。「産廃」(さんぱい)と略される。
事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
となっており、洗浄時に使用する洗浄剤は酸性やアルカ
リ性を示す事、また汚れなどを含む事から洗浄時に発生する廃液は全て産業廃棄物となります。また、その中でも強酸、強アルカリを示す洗浄廃液は特別管理産業廃棄物と言われ厳しい規制対象となります。
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、プラスチック類その他政令で定める廃棄物
排出事業者の責務
• 排出事業者は,自らその産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合は, 産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の収集・運搬及び処分基準に従って適正に処理するとともに, 運搬されるまでの間は,産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の保管基準に従い,生活環境の保全上 支障のないように保管しなければなりません(法第12条及び第12条の2第1項,第2項)。
• また,産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合は,産業廃棄物又は 特別管理産業廃棄物処理業者に委託するともに,当該産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物について,発生から最終処分が終了するまでの一連の処理工程における処理が適正に行われるよう必要な措置を講ずる必要があります(法第12条及び第12条の2第3項~第5項)。
産業廃棄物管理票制度(マニフェスト制度)
マニフェストとは 産業廃棄物は排出から最終処分に至るまでに複数の者を介することから,その適正処理を確保するためには,各処理段階において産業廃棄物に関する情報が的確に伝達され,共有化されることが, 重要な鍵となります。 この情報管理を徹底するため,平成10年12月1日からすべての産業廃棄物の処理を委託する際に,産業廃棄物管理票(マニフェスト)を使用することが義務付けられ,また,平成13年4月1日からは排出事業者が最終処分終了まで確認できるしくみに改められています。 産業廃棄物管理票制度(マニフェスト制度)とは,排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に,マニフェストに産業廃棄物の種類,数量,収集運搬業者名,処分業者名などを記載し,産業廃棄物の流れを自ら把握・管理する仕組みです。
未交付、虚偽記載は50万以下の罰金
洗浄方法の紹介
洗浄方法紹介① 天井カセット型熱交換器
熱交換器フィンは熱交換器能力を少スペースで最大限発揮させる為アルミ板にスリット状の凹凸が設けられています。またそのフィン間隔は約1㎜強と従来品の1.5㎜~2.0㎜と比べ狭くなっている。さらにフィン表面は濡れており熱交換器自体がフィルター状態となっている。
空気流れ
空気流れ
熱交換器の汚れ堆積状況:
熱交換器の汚れは空気流れに従い熱交換器奥側からフィン表面へと堆積する。
45度
• 熱交換器正面から裏側への貫通させる能力の洗浄機が必要となり業務用エアコン(天カセ)等の場合3㎫ 以上の水圧と、フィン内部の汚れを洗い流す為には約6ℓ/分程度の水量が必要になります。また、熱交換器銅配管は約45度で配列されているため上下に角度を持たせた洗浄が必要になります。
洗浄方法紹介②
水冷プレート式熱交換器
ステンレス又はチタン製の薄板を凹凸状にプレス加工した板を積層させ対接液面積を多くさせ熱交換させているため、異物等が混入した場合極端に能力が落ちる。
熱交換器の汚れ堆積状況:
プレート熱交換器は内部を通過する冷却水流速が早くなるためスケール等の付着は低減できる構造になっています。しかし、冷却水入口部に異物などが付着した場合や冷却水循環水量が少なくなるような流速低下の状態では、逆にスケール析
出が早くなります。
冷却水
冷却水
• 既設配管と出来るだけ同じ口径の洗浄口を取る必要があります。小口径の洗浄口を使用した場合
内部の異物が熱交換器外に排出されない場合や、熱交換器細部まで洗浄液が循環せず部分除去しか出来ない場合があり短
期間で丌具合が発生します。
• 構造上冷却水入口側に異物の堆積が良く見られるため、十分な逆洗での薬品洗浄や、洗浄時に脈動を不えるなどの物理的作用も効果的です。
洗浄時の事故① 中性洗浄剤でクーリングタワーの薬品洗浄時、排
水が観賞池に流れた為池の中の生物に被害を不えてしまった。
原因
排水管が雨水配管に繋がって鑑賞池に入っている事を確認せず洗浄廃液を流してしまった為。
対処
洗浄廃液は産業廃棄物となるため廃液の回収が必要です。又、オーバーフロー等から洗浄液を流出させてしまう可能性もありますので、廃液の流出処置及び、排水経路の確認して対策を講じて作業を行って下さい。
洗浄時の事故② 洗浄薬品を投入する際、薬品が目に入ってしまった。
原因
保護メガネを着用していたが隙間から薬品投入時の跳ね返りが目に入った。
対処
洗浄薬品は強アルカリ・強酸性を示すものが殆どであり非常に人体に有害です。投入時の跳ね返り、洗浄時の飛散などはゴーグルタイプのものでしか目は防ぎきれません。眼鏡タイプではなくゴーグルタイプの保護メガネを着用しての作業が必要です。
洗浄Q&A
Q1:吸収式冷凍機、水熱交換器チューブを酸洗浄したところ、ガラス状の結晶化が発生した。
•通常の洗浄剤(スケール洗浄剤)は主成分が塩酸系又は有機酸系であるため、鉄錆、カルシウムスケールの溶解には適していますが、シリカ系スケールが付着している場合は、溶解が出来ない。シリカ系スケールを除去するにはフッ化物の入った洗浄剤を使用。
シリカ=ガラスの成分
A:スケールのカルシウム成分だけが溶解されシリカ成分のみ残った為と思われます。
洗浄Q&A
Q2:空気側熱交換器の洗浄時汚れにより薬品濃度を変えますが、薬品濃度基準はありますか?
•過度の薬品投入は機器を傷める原因にもなります。特にアルカリ洗浄剤の場合、フィン材質のアルミに対しては腐食性が高い為、機器の劣化を起させます。高濃度、短時間の洗浄より規定濃度の洗浄剤で使用水の温度を上げる事や、一度散布して放置する時間を持つなど洗浄方法の変更にて対処してください
洗浄剤=熱交換器を劣化させる
A:洗浄剤メーカー指定の濃度にて洗浄を実施してください。過度の投入は注意してください。
洗浄Q&A
Q3:空気側熱交換器の洗浄薬品には腐食抑制剤が添加されていますか?
市販されている空気熱交換器洗浄剤殆どがアルカリ性を示します。アルカリ成分の残存はフィン材料であるアルミを腐食させるため、洗浄後の中和及び水洗いを十分に行ってください。 (洗浄中液のPH確認)
洗浄剤=熱交換器を劣化させる
A:洗浄剤にもよりますが、基本的には腐食抑制剤は添加されていないものと考えてください
空調機洗浄のメリット
快適空間の提供 • 丌冷、丌暖、水漏れ等のトラブル解消
• 異臭の解消
• 衛生面の解消
省エネの提供
• コスト低減
• 消費電力低減
• 予防保全
環境改善の提供
• CO2削減
快適空間の提供
快適空間の提供 空調機から放出されるカビの胞子などを吸込むことに
よって高熱が出たり呼吸困難になったりする過敏性肺炎を『空調病』と呼ぶ
空気熱交換気洗浄時の電気料金(計算値)
天カセ型 5馬力 床置型 20馬力
一日当たり (負荷率70%として) 130円 388円
一ヶ月あたり (25日として) 3,262円 9,699円
一年あたり (300日として) 39,139円 116,385円
電気料金12円/Kwh
洗浄によるコスト低減①
水熱交換器洗浄時の電気料金(計算値)
例:120馬力チーリングユニット
洗浄前 洗浄後
圧縮機運転電流 390A 360A
高圧圧力 1.85MPa 1.35MPa
電気料金12円/Kwh
洗浄によるコスト低減②
一日当たり (稼働時間12時間として)
1,152円
一ヶ月あたり (25日として)
28,800円
一年あたり (稼動期間6ヶ月として)
172,800円