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第5回EXSASユーザー会
2007年9月28日
田辺製薬株式会社
山崎亜紀子
久米英介
東京理科大学 浜田知久馬
吉村功
非線形回帰法の活用による薬理研究の精度向上―酵素阻害薬の阻害定数の推定の事例-
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 2
発表構成
はじめに.酵素阻害実験や阻害定数推定の概要
従来法による阻害定数推定法
非線形回帰法による阻害定数の推定
実データに基づく阻害定数の比較
モンテカルロ法による比較
考察
おわりに.今後の課題
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 3
自己紹介
薬学部出身
1993年 田辺製薬 薬物代謝研究所入社(薬物動態研究員)1997年より研究所のDB,ITに関する業務
=統計関係=
2005年4月 東京理科大学大学院医薬統計コース入学
2007年3月 修士課程修了
2005年より社内(研究企画部)にて非臨床統計担当グループ立ち上げ(担当者2名)2007年4月~ 薬理研究所安全性薬理課にて統計担当(担当者1名)2007年10月~ 田辺三菱製薬へ統合予定.非臨床統計担当は管理職含めて5名体制
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 4
はじめに
-事例研究の背景と動機
「薬理試験のデータ解析法の標準化」は,創薬研究の効率化に
役立つ
社内における薬効薬理試験データの統計解析手法について調査,整理した
薬理研究者が慣用的・伝統的に行ってきたデータ解析法で現在の統計学の水準から見て適切とは言い難いものがあった
具体例として 「酵素阻害定数の推定法」の精度比較を行って,実
験家に納得できる説明をする
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 5
酵素阻害薬の重要性
酵素
基質S 生成物
酵素反応 阻害薬の作用
酵素阻害薬の例
ACE阻害薬 (高血圧症治療薬タナトリル)アンジオテンシン変換酵素 (ACE) を特異的阻害基質 (アンジオテンシンI)
→ 生成物 (アンジオテンシンII,
昇圧作用) を抑制
⇒降圧作用
酵素:生体内反応を触媒 生成物が病態に関係→阻害薬が治療薬となる
酵素
基質S 生成物阻害薬I
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 6
Michaelis-Menten 式酵素反応の評価 → 反応速度の測定
反応速度は基質濃度に依存して増加
関係式= Michaelis-Menten 式反応速度パラメータ
Vmax
:最高反応速度
Km
:Michaelis 定数
KmSSVV
+×
= max
Michaelis-Menten 式
V
=反応速度,S
=基質濃度
Km
Vmax
反応速度
基質濃度 S
V
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阻害定数とは阻害薬 → 反応速度が減少
競合阻害:基質を加えても
反応速度が上昇しにくい
Ii
= 阻害薬濃度
Kmi
= 阻害薬存在下でVmaxの1/2を達成させる基質濃度
阻害薬の作用強度
Kmi
をKmの2倍にするのに必要な阻害薬濃度
Ki 小さい → 阻害作用強 → 薬効評価指標として使用
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ +=
KiIKmKm i
i 1⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ++
×=
KiIKmS
SVVi
i
1
max
阻害薬(+,高用量)
阻害薬(+,低用量)阻害薬(-)
Km1 Km2 Km3 S
V
阻害定数(Ki)
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 8
本事例研究の目的
阻害定数を精度良く推定することは,創薬研究,薬剤開発にとって非常に重要
データが同じであっても,用いる推定手法によって推定精度が異なることが判明
精度の優れた統計学的推定法を使うよう勧めたい
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 9
従来法(二段階推定法)における Ki
推定 Lineweaver-Burk (両逆数) プロット
20世紀前半に考案 直線回帰法で各反応速度
パラメータ算出
阻害薬濃度 Ii を固定して Kmi 算出
反応速度,基質双方を逆数変換
⇒一次式となり,直線回帰が可能
y切片:1/Vmaxx切片: -1/Kmi
SVKm
VVi
i
111
maxmax×+=
Lineweaver-Burk plot
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
-20 -10 0 10 20 30 40
1/S1/
V
Lineweaver-Burk plot
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
-20 -10 0 10 20 30 40
1/S1/
V
max
1V
1/S
1/V
iKm1
−
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従来法(二段階推定法)における Ki
推定
第一段階:阻害薬濃度ごとに
両逆数プロットを作成
傾き (slope) 算出 :
第二段階:
(阻害薬濃度 I
を x
軸,
slopeを y
軸)直線回帰の x
切片= -Ki
maxVKmslope i=
ii I
KiVKm
VKm
VKm
××
+=maxmaxmax
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
-10 0 10 20
1/S
1/V
0 nM
30 nM
10 nM
3 nM
線形 (0 nM)
線形 (3 nM)
線形 (10 nM)
線形 (30 nM)-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
-10 0 10 20
1/S
1/V
0 nM
30 nM
10 nM
3 nM
線形 (0 nM)
線形 (3 nM)
線形 (10 nM)
線形 (30 nM)
阻害薬 I
-0.005
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
-10 0 10 20 30
I(nM)
Lineweaver-Burk 2nd plot
maxVKmi
I(nM)--KiKi
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
-10 0 10 20
1/S
1/V
0 nM
30 nM
10 nM
3 nM
線形 (0 nM)
線形 (3 nM)
線形 (10 nM)
線形 (30 nM)-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
-10 0 10 20
1/S
1/V
0 nM
30 nM
10 nM
3 nM
線形 (0 nM)
線形 (3 nM)
線形 (10 nM)
線形 (30 nM)
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 11
従来法-最終的なKi推定値の算出方法例
全く同じ実験を3回ほど繰り返す
繰り返す度に,二段階推定法によりKiを推定
「繰り返し」は,同じPlateの中で繰り返すこともあるが,
酵素や阻害薬の調製からやり直す場合が多い.その 場合,3回の繰り返し実験は独立している
最終的には,3回推定されたKiの平均値を代表値とし
て用いている場合が多いKi (nM)
化合物1 1 13.72 12.23 11.3
Mean 12.4S.E. 0.70
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 12
従来法の統計学的な問題点
反応速度の誤差に等分散性が認められたとしても逆数変換によって等分散でなくなる
適切な信頼区間の構成が困難
基質濃度を3-5点しか取らず直線の推定が不安定
阻害薬の濃度ごとにVmaxが異なる
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 13
非線形最小二乗法による推定法
推定すべきパラメータ: , , maxVKmKi
二元配置型で,数段階にIiとSjを変えてVijを測定
誤差Uij
が加わることを考慮
iji
j
jij U
KiIKmS
SVV +
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ++
×=
1
max
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非線形最小二乗法による推定法
残差二乗和 SSE を最小にするパラメータ推定
∑∑∑∑⎟⎟⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ++
×−==
i j ij
jij
i jij
KiIKmS
SVVeSSE
2
max2
1
標準は最尤法.誤差が独立に期待値0 , 分散σ2の
正規分布に従えば,最尤法は非線形最小二乗法と等価
簡単のため「非線形回帰法」と呼ぶ
非線形回帰:SAS,SPSS,R, Prism などのソフトが必要
→実験者には使用が容易でない
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 15
ご協力いただいたアンケート調査の結果
質問: 阻害定数 (Ki) の推定方法
Ki
の信頼区間を算出しているか
解析方法 回答数
従来法 7非線形回帰法 0両法とも行う 4実験をしていない 2
計 13
ほぼ全ての企業で従来法が利用されている
信頼区間
算出している
算出していない
実験をしていない
計
回答数
47(+4)
213
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 16
0
0.05
0.1
0.15
0.2
1/v
-0.4-0.2 0 .2 .4 .6 .8 1 1.2 1.4 1.6 1.81/S
0612243648
阻害薬濃度(nM)
対象となるデータ
酵素阻害実験データの例
データの両逆数プロット
基質濃度(S) 0.6 mM
阻害薬濃度(nM) 反応速度
0 20.23
6 15.95
12 13.00
24 9.49
36 7.22
48 5.65
基質濃度(S) 0.8 mM
阻害薬濃度(nM) 反応速度
0 22.45
6 18.53
12 15.40
24 11.62
36 8.70
48 6.92
基質濃度(S) 1.2 mM
阻害薬濃度(nM) 反応速度
0 29.47
6 24.97
12 21.44
24 16.52
36 13.14
48 10.85
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 17
非線形回帰法プログラム (SAS NLIN)
data data; do i=0,6,12,24,36,48; do s=0.6,0.8,1.2; input y @@; output; end;end; cards; 20.23 22.45 29.4715.95 18.53 24.9713.00 15.40 21.449.49 11.62 16.527.23 8.70 13.145.65 6.92 10.85 ;proc nlin; parms vmax=50 ki=10 km=0.8; model y=vmax*s/(km*(1+i/ki)+s); output out=out p=p r=res; run;
反復計算法:Gauss-Newton,あるいは
Marquardt
変数i,s :阻害薬,基質の濃度
PARAM文:3パラメータ (Ki, Km,V max
) 初期値設定
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 18
SAS NLIN 出力例
Km,Ki,Vmax
3パラメータの推定値が各々出力
阻害定数 (Ki) の推定値は 13.3653その95%信頼区間 は 11.7150~15.0157
近似パラメータ
推定値
標準誤差
95% 近似信頼限界
vmax 55.2846 3.2395 48.7810 61.7882ki 13.3653 0.8220 11.7150 15.0157km 0.9966 0.1113 0.7731 1.2200
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実データに基づく阻害定数推定法の比較
Ki推定値の単位:μMあるいはnMKi推定値の精度は薬剤開発の効率化にも影響
実験名
Ki推定値 2法の比
従来法 非線形回帰法 非線形回帰法/従来法
実験系1実験1-1 7.06 10.6 1.50実験1-2 10.4 13.4 1.28
実験系2実験2-1 83.6 126 1.51実験2-2 17.5 18.5 1.06
実験系3実験3-4 19.3 12.6 0.65実験3-5 10.5 3.68 0.35
実験系4実験4-1 51.2 194 3.79実験4-2 64.4 45.6 0.71
推定値の整合性が取れていないことが明らか
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 20
実データに基づくKi推定法の比較 -2法の比の値の分布-
2法の比の値のヒストグラム
(前ページで示していないものも含む
全データ)
中央値 = 0.99→推定値の相違が大小どちらかに
偏っていることはない
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
100.0%99.5%97.5%90.0%75.0%50.0%25.0%10.0%2.5%0.5%0.0%
最大値
4分位点中央値
4分位点
最小値
3.79003.79003.79001.90901.42250.99000.63750.44900.35000.35000.3500
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実データに基づく比較 非線形回帰法による予測曲線(実験1-1)
Vmax =23.8(全ての阻害薬濃度で同一) Ki=10.6(nM)
(nM)
Vmax
½ Vmax
0.00.0
14.014.0
8.08.0
20.020.0
28.028.0
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 22
実データに基づく比較 従来法による予測曲線例(実験1-1)
Iの最高濃度で,Vmaxを高く推定
Vmax
=53.7 I5
=28nMVmax
I1
, I2
, I3
,I4
=0, 8, 14, 20nM
繰り返し実験 2回目:Ki=6.90nM
(nM)
0.00.0
14.014.0
8.08.0
20.020.0
28.028.0
最終的な従来法によるKi推定値は
3回の平均値Ki=(7.89+6.90+6.40)/3=7.06
である
KmSSVV
+×
= max
Michaelis-Menten式
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モンテカルロ法による定量的な性能比較 シミュレーション条件
真の基質-反応速度曲線 Michaelis-Menten 式
誤差を正規分布と仮定
実際の実験系に沿う. 基質濃度 3-4水準,
阻害薬濃度 4-6水準 (実験毎に異なる),繰り返し実験回数 3回,シミュレーション回数 1000回
シミュレーション条件(一部データ)
iji
mj
jij
KiIKS
SVV ε+
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ++
×=
1
max
( )2,0 σε Nij~
実験 A C DKi 3.3 4.6 2.5
V max 27.6 3.8 38.1Km 1 13.8 0.07σ 2 0.2 0.03 1.2
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 24
誤差がV に比例することを仮定した検討等分散性の視覚評価(実データ): V小→ばらつき小
反応速度
V
阻害薬濃度 I 0 2 3.5 6 9基質濃度 S 0.6 0.8 1.2 0.6 0.8 1.2 0.6 0.8 1.2 0.6 0.8 1.2 0.6 0.8 1.2
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 25
誤差がV に比例することを仮定した検討
誤差は等分散と言えない?
S.D.が平均値に比例して増加
→ シミュレーション追加
( )
( )2
max
,0
11
σε
ε
NKiIKmS
SVV
ij
iji
j
jij
~
+×⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ++
×=
実データのS.D.例
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
Vの
S.D
.
0.6
0.8
1.2
0.6
0.8
1.2
0.6
0.8
1.2
0.6
0.8
1.2
0.6
0.8
1.2
0 2 3.5 5 7
I(下側)およびS(上側)
S 0.6 0.8 1.2
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 26
シミュレーション結果(正規分布)Ki 真値 3.3 4.6 2.5
非線形回帰法によるKi 推定値
中央値 3.28 4.6 2.51標準偏差 0.24 0.79 0.24
偏り -0.024 -0.0038 0.0061平均二乗誤差 0.057 0.62 0.058
従来法によるKi 推定値
中央値 3.61 5.01 3.92標準偏差 18.7 6.06 81.2
偏り 0.31 0.41 1.42平均二乗誤差 351 37.6 6590
比(従来法/非線形回帰法)平均二乗誤差 6158 60.6 113621
1000)(
2
∑ ⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −
=
∧
∧KiKi
Kik
平均二乗誤差⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −=
∧∧
KiKiMedianKi k)(偏り
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 27
シミュレーション結果(誤差がVに比例)Ki(真値) 3.3 4.6 2.5
非線形回帰法によるKi 推定値
中央値 3.29 4.55 2.51標準偏差 0.15 0.84 0.18
偏り -0.0073 -0.048 0.0061平均二乗誤差 0.023 0.71 0.034
従来法によるKi 推定値
中央値 3.33 4.75 2.52標準偏差 0.33 1.57 0.38
偏り 0.029 0.146 0.021平均二乗誤差 0.112 2.55 0.149
比(従来法/非線形回帰法)平均二乗誤差 4.87 3.59 4.38
変動係数CV:
実際の実験データの平均値とばらつき
(S.D.) を参考
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 28
0
0.025
0.05
0.075
0.1
0.125
slope
(Km
/V
max
)
-2.5 0 2.5 5 7.5 10 12.5阻害剤濃度 I
シミュレーション結果の考察 -異常に偏ったデータの影響-
推定結果0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
1/V
-0.5 0 .5 1 1.51/S
01.536912
阻害薬濃度(nM)
両逆数プロット Ki真値 3.30従来法 22.6非線形最小二乗法 3.53
シミュレーション(正規分布)データ例
従来法での解析図
第二段階プロット
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 29
総括的結果
従来法には以下の欠点がある
(1) Michaelis-Menten モデルに整合しない推定値が得ら れることがある
(2) 推定精度が一般に非線形回帰法に劣る
(3) 極端に偏って推定された値が得られることがある
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 30
従来法の性能が良くない理由
全データ情報を一括してパラメータを推定してない.実験ごとに勾配と切片を求め,推定を行うので整合性が欠如する.
阻害薬の濃度ごとにVmaxを算出するので, Vmaxが一定とならない.本来は競合阻害ならy軸上の1点で交わるべき.
基質が3用量ほどしかないにもかかわらず,実験ごとに
直線をあてはめるので推定が不安定
外挿によって切片からパラメータを推定
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 31
考察-実験デザイン
酵素阻害実験スクリーニングの意味が大きく,多数の化合物について実験を行う
個々の実験規模はあまり大きくできないので,従来法の欠点が強く現れやすい
非線形回帰法は全てのデータを整合的に利用する→実験規模の悪影響を防げる
従来法でも全データを整合的に利用することができれば従来法の欠点は緩和されるが,コンピュータが普及している現在,あえて従来法を使うことはない
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 32
おわりに
多くの製薬企業が慣例的に使っている従来法と非線形回帰法とはKi 推定値の差が数倍
正規分布でのモンテカルロ法検討:
従来法/非線形回帰法 (平均二乗誤差)=数十倍以上
誤差がVに比例すると仮定したモデルでの検討:
従来法/非線形回帰法 (平均二乗誤差)=約数倍
創薬の効率化が強く求められている現在,より精度の良い方法の採用が不可避⇒実験現場に適切な統計手法である
非線形回帰の活用を推進すべき
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 33
今後の課題
本研究では競合阻害のみを前提としたが,非競合阻害,あるいは不競合阻害の場合にはモデルを変更する必要あり.その評価と対処法の検討
受容体結合実験のモデル式はMichaelis-Menten モデル式と本質的に同じである.受容体結合実験における Hill 係数の推定等にも同様に非線形回帰法が活用可能
EXSASにKiの非線形回帰法による
推定が機能追加されるよう,検討していただいている
2007/9/28 第5回EXSASユーザー会 34
参考文献1) Michaelis L, et al. Biochem Z. 1913;49:333-369.2) 上代淑人監訳. ハーパー・生化学 原書24版. 丸善; 1997.3) Lineweaver H, et al. J Am Chem Soc 1934;56:658-666.4) 大野素徳. 酵素実験法1. 廣川書店;1993.5) Motulsky H, et al. Fitting Models to Biological Data Using Linear and Nonlinear
Regression. New York: Oxford University Press, Inc; 2004.6) Perzborn E, et.al. J Thromb Haemost 2005;3:514-521.7) Hirai H, et.al. FEMS Microbiol Lett. 2006 Dec;265(1):56-59.8) Dogan S, et.al. Process Biochemistry 2006;41(12):2379-2385.9) 臨床評価研究会基礎解析分科会. 実用SAS生物統計ハンドブック. サイエン
ティスト社;2005.10) 山崎亜紀子ほか. 酵素阻害薬の阻害定数の非線形最小二乗法による推定法
の性能評価.SASユーザー会学術総会200711) Kakkar T, et.al. Drug Metab Dispos 1999;27(6):756-762.