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第5章:立体化学 鏡面異性体:enantiomer

四面体炭素(sp3炭素)が四つの異なる置換基を持つときと結合 …labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/organoelement/wp-content/uploads/2011/02/... · プロキラル中心、

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第5章:立体化学 鏡面異性体:enantiomer

四面体炭素(sp3炭素)が四つの異なる置換基を持つときと結合しているとき鏡像異性体が生じる

乳酸の例

キラリティー

キラル(chiral)な分子:その鏡像と同一でない。 分子が対称面を持たない。 アキラル(achiral)な分子:その鏡像と同一。分子が対称面を持つ。

アキラル(achiral) キラル(chiral)

プロパン酸と乳酸

不斉中心

四つの異なる置換基が結合した炭素原子 キラル中心(chiral center)、不斉中心などとよぶ キラリティーは分子全体の性質。キラル中心はキラリティーの原因

環状化合物のキラル中心

対称面あり 対称面なし

光学活性 光学活性:平面偏光を回転させる性質

旋光度と比旋光度 左旋性:反時計回りに回転、マイナス(ー)の符号をつける 右旋性:時計回りに回転、プラス(+)の符号をつける 旋光度 α :試料の濃度、経路の長さ、測定光の波長に依存 比旋光度 [α]D :下記の式で算出 DはナトリウムD線

パスツールの鏡像異性体の発見

鏡像異性体、光学異性体 融点や沸点のような物理的性質は同じだが、平面偏光を回転させる性質は異なる。

立体配置表示のための順位則

立体配置(configuration) *立体配座(configuration)と混同しない アルケンのE/Zを決める際の順位則と同じ

R 配置と S 配置

乳酸の例 絶対配置(absolute configuration) ポイント:比旋光度の符号 (プラスorマイナス) と絶対配置は無関係

グリセルアルデヒドとアラニン

ジアステレオマー(diastereomer)

不斉中心がひとつの分子に二つ以上存在するとき、 ジアステレオマーが生じる可能性がある

エナンチオマーとジアステレオマー

AとB、CとD は鏡像異性体(エナンチオマー)の関係 AとC、BとC、BとDはジアステレオマーの関係 A〜Dはすべて立体異性体の関係(原子のつながり方が同一)

A B C D

エナンチオマーとジアステレオマー

エピマー

エピマー:複数の不斉点がある場合、ひとつだけキラル中心が異なっている立体異性体

メソ化合物

メソ化合物:二つのキラル中心を持っているにも関わらず、分子に対称面が存在し、アキラルとなる化合物

メソ化合物の見分け方

対称面があるかどうかを探す。

ラセミ体とその分割

鏡像異性体は熱力学的な生成エネルギー同じ。しばしば50:50の混合物として得られる。その混合物をラセミ体(racemic)とよぶ。 ラセミ体:キラルな化合物の50:50の混合物。光学活性ない。 (キラリティーはある) 光学分割 (optical resolution ) :ラセミ体から片方のエナンチオマーを得る方法 (分離とは言わない)

光学活性アミンを用いた光学分割

光学活性アミンとカルボン酸との塩はジアステレオマー 溶解度が異なる。再結晶により分割

「異性体」のまとめ

構造異性体:原子の結合の仕方、順序が異なる異性体 立体異性体:原子の結合の順序は同じだが、配置が異なる異性体 鏡像異性体(エナンチオマー) ジアステレオマー(立体化学、シス・トランス)

「異性体」のまとめ

構造異性体:原子の結合の仕方、順序が異なる異性体 立体異性体:原子の結合の順序は同じだが、配置が異なる異性体 鏡像異性体(エナンチオマー) ジアステレオマー(立体化学、シス・トランス)

「異性体」のまとめ

構造異性体:原子の結合の仕方、順序が異なる異性体 立体異性体:原子の結合の順序は同じだが、配置が異なる異性体 鏡像異性体(エナンチオマー) ジアステレオマー(立体化学、シス・トランス)

窒素、リン、硫黄におけるキラリティー

不斉中心:四つの置換基が全て異なる。

アミンやリン、硫黄も鏡像異性体のペアを持つ可能性がある。

アミンでは

速い相互変換があるため、

鏡像異性体の単離は難しい

リンは

反転が遅いので鏡像

異性体が単離可能

Re 面、Si 面

一段階の化学反応でアキラルなものからキラルなものに

変換される場合、その分子はプロキラル(prochiral)と呼ばれる。

この時sp2混成のカルボニル炭素の二つの面を区別

時計回りを Re面 反時計回りを Si面 とよぶ

プロキラル中心、pro-R, pro-S

sp3混成の炭素原子の場合も、

プロキラル中心(prochiral center)が定義できる

プロキラル化合物のうち二つの水素のうち一つを重水素に変える。

分子がR体になればpro-R, S体になればpro-S

キラルな環境