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Advanced Electronic Materials 電子材料学特論 平成211020日第3(原担当分 第1) 1. 結晶成長手法 2009年度版講義資料PDFファイルのURL http://hydrogen.rciqe.hokudai.ac.jp/~hara/lectures_2009.htm

電子材料学特論 - 北海道大学hydrogen.rciqe.hokudai.ac.jp/~hara/lectures_2009/advelecmat_3_h21_sh1.pdf · Advanced Electronic Materials 電子材料学特論 平成21年10月20日第3回

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Advanced Electronic Materials電子材料学特論

平成21年10月20日 第3回(原担当分 第1回)

1. 結晶成長手法

2009年度版講義資料PDFファイルのURLhttp://hydrogen.rciqe.hokudai.ac.jp/~hara/lectures_2009.htm

Growth of Various Materials様々な結晶・非晶質材料様々な結晶・非晶質材料の「成長」の「成長」

-金属・半導体・絶縁体・-金属・半導体・絶縁体・磁性体・光学結晶磁性体・光学結晶……••バルクか、薄膜かバルクか、薄膜か

例)半導体ウェハの成長、例)半導体ウェハの成長、

エピタキシャル結晶成長エピタキシャル結晶成長

••液相成長か、気相成長か液相成長か、気相成長か

例)融液を冷却、原料ガス例)融液を冷却、原料ガスの熱分解・堆積の熱分解・堆積

(参考)日本結晶成長学会結晶成長ハンドブック編集委員会 編

「結晶成長ハンドブック」(共立出版株式会社)

1.1 Growth for Bulk Materials

(参考)日本結晶成長学会「結晶成長ハンドブック」編集委員会 編

「結晶成長ハンドブック」(共立出版株式会社)

Examples of Bulk Crystals

LECLEC法で作製した法で作製したGaAsGaAs単結晶単結晶((直径直径 66 inchinch、長さ、長さ 170170 mmmm))

引き上げ法で作製した酸化物結晶引き上げ法で作製した酸化物結晶

LiNbOLiNbO33結晶結晶((直径直径 3 inch, 3 inch, 4 inch)4 inch)

BiBi1212SiSiOO2020結晶結晶((直径直径 60 mm, 60 mm, 80 mm)80 mm)

半導体結晶半導体結晶

Examples of Methodsバルク結晶成長手法の例バルク結晶成長手法の例

液相からの結晶成長(育成)液相からの結晶成長(育成)

大別して以下の二つ:大別して以下の二つ:

(1)(1) 一致溶融型一致溶融型 ((Congruent MeltCongruent Melt))目的の固体結晶が一定の融点を持って目的の固体結晶が一定の融点を持ってそのまま融解する:そのまま融解する:

左図の「融液成長法」で、こちらが主流左図の「融液成長法」で、こちらが主流

(2) (2) 分解溶融型分解溶融型 (Incongruent Melt)(Incongruent Melt)目的の固体結晶が融解前に分解する:目的の固体結晶が融解前に分解する:

適当な溶媒に原料を溶解した後、析出適当な溶媒に原料を溶解した後、析出させる「溶液成長法」させる「溶液成長法」

Driving Force of Growth溶液成長(または気相成長)溶液成長(または気相成長) 融液成長融液成長溶解度曲線(または飽和蒸気圧曲線)溶解度曲線(または飽和蒸気圧曲線) 相平衡図相平衡図

温度を温度をTTからからTT11に下げ、状態がに下げ、状態がCC(P)(P)からからCC11(P(P11))に変化した時、そのまま溶解状態がある時間保に変化した時、そのまま溶解状態がある時間保持され結晶の析出を生じない、すなわち○印の持され結晶の析出を生じない、すなわち○印の状態を温度状態を温度TT11でのでの過飽和状態過飽和状態と呼ぶ。と呼ぶ。

平衡条件つまり気相平衡条件つまり気相--融液相の境界線上にある融液相の境界線上にある系の三重点系の三重点OO(温度(温度TT)から)からTT11に下げ、外挿線上に下げ、外挿線上を移動しを移動しOO11に達した時、そのまま融液相状態がに達した時、そのまま融液相状態が

ある時間保持され結晶の析出を生じない、すなある時間保持され結晶の析出を生じない、すなわち○印の状態を温度わち○印の状態を温度TT11でのでの過冷却状態過冷却状態と呼ぶ。と呼ぶ。

過飽和過飽和もしくはもしくは過冷却過冷却状態が結晶成長の駆動力となるが、結晶核が形成され始め状態が結晶成長の駆動力となるが、結晶核が形成され始める「核発生」を引き起こす「きっかけ」として、微細なる「核発生」を引き起こす「きっかけ」として、微細な種子結晶種子結晶を系内に導入する。を系内に導入する。

Methods for Semiconductors半導体ウェハ(基板)ができるまで半導体ウェハ(基板)ができるまで

LECLEC法で作製した法で作製したInPInP単結晶単結晶((直径直径 2 2 ~~ 3 inch)3 inch)

典型的には、典型的には、350350 ~~ 600600 µµmm厚の厚のInPInPウェハ毎に切り出しウェハ毎に切り出し

表面・裏面を平坦化(数表面・裏面を平坦化(数µµmmの凹凸)かの凹凸)かつ鏡面に研磨(化学的機械研磨つ鏡面に研磨(化学的機械研磨, , CMPCMP: : Chemical Mechanical PolishingChemical Mechanical Polishing))

Czochralski (CZ)チョクラルスキ法(引き上げ法)チョクラルスキ法(引き上げ法)

原料を「るつぼ」内で加熱融解した原料を「るつぼ」内で加熱融解した後、種(子)結晶を融液に接触させ、後、種(子)結晶を融液に接触させ、回転しながら丸棒状の結晶を引き上回転しながら丸棒状の結晶を引き上げ作製する最も代表的なバルク結げ作製する最も代表的なバルク結晶の作製技術であり、発明者名にち晶の作製技術であり、発明者名にちなむ。なむ。

引き上げられる単結晶は、るつぼと引き上げられる単結晶は、るつぼと接触しない自由空間で成長されるた接触しない自由空間で成長されるため、るつぼによる機械的歪みが無く、め、るつぼによる機械的歪みが無く、大口径な高品質結晶の作製大口径な高品質結晶の作製が可能。が可能。

SiSiを始め、化合物半導体、酸化物なを始め、化合物半導体、酸化物な

ど、この方法によって工業的に生産ど、この方法によって工業的に生産される材料は多岐に渡る。される材料は多岐に渡る。

例)例) LSILSI用用SiSiウェハの直径は現在ウェハの直径は現在300300 mmmmで、こので、この300300 mmmm口径用口径用LSILSI生産ラインが稼働中。生産ラインが稼働中。

Liquid Encapsulated Czochralski (LEC)液体封止引き上げ液体封止引き上げ(LEC)(LEC)法法

基本原理は通常の引き上基本原理は通常の引き上げ法、げ法、CZCZ法と同様である。法と同様である。

融点での蒸気圧が高く、融融点での蒸気圧が高く、融解すると融液が分解・蒸発解すると融液が分解・蒸発してしまう化合物半導体材してしまう化合物半導体材料で用いられる。料で用いられる。

融液表面を液体封止剤で融液表面を液体封止剤で覆い、その上から高圧の覆い、その上から高圧の不活性ガスで揮発を抑制不活性ガスで揮発を抑制して引き上げる。して引き上げる。

例)融点付近で分解し、例)融点付近で分解し、VV族原子が解離してしまう族原子が解離してしまうGaAsGaAs、、InPInP、、GaPGaPなど、など、IIIIII--VV族化合物半導体単結晶の量産で現在用いられている。族化合物半導体単結晶の量産で現在用いられている。

Vertical Bridgman (VB)垂直ブリッジマン法垂直ブリッジマン法

結晶化させる原料を容器(るつ結晶化させる原料を容器(るつぼ)内で融解し、温度勾配をつぼ)内で融解し、温度勾配をつけた炉内をるつぼごと移動、もけた炉内をるつぼごと移動、もしくはるつぼは固定のまま炉ごしくはるつぼは固定のまま炉ごと移動させ、炉の一端から原料と移動させ、炉の一端から原料を順次固化・結晶化させる凝固を順次固化・結晶化させる凝固結晶成長技術であり、発明者結晶成長技術であり、発明者名にちなむ。名にちなむ。

成長界面付近に特に急峻な温成長界面付近に特に急峻な温度勾配をつける。度勾配をつける。

右図は、移動方向が垂直方向右図は、移動方向が垂直方向のタイプ。のタイプ。

移動方向移動方向

Horizontal Bridgman (HB)水平ブリッジマン法水平ブリッジマン法

右図は、移動方向が水平方向の右図は、移動方向が水平方向のブリッジマン法。ブリッジマン法。

GaAsGaAs、、InPInP、、GaPGaP等の等のIIIIII--VV族化族化

合物半導体のバルク結晶成長に合物半導体のバルク結晶成長に用いられる。用いられる。

IIIIII--VV族化合物半導体は冷却・固族化合物半導体は冷却・固

化する際、体積膨張するため、化する際、体積膨張するため、VBVB法や次の法や次のVGFVGF法による大口法による大口

径の単結晶成長が困難であり、径の単結晶成長が困難であり、るつぼにボートを用い、単結晶のるつぼにボートを用い、単結晶の直径制御が不要な直径制御が不要なHBHB法の方が法の方が

簡易である。簡易である。

ただし最近では、直径ただし最近では、直径33インチ程インチ程度の大口径バルク結晶も度の大口径バルク結晶もVBVB法・法・VGFVGF法で作製可能。法で作製可能。

移動方向移動方向

Vertical Gradient Freeze (VGF)垂直温度勾配凝固法垂直温度勾配凝固法

基本原理はブリッジマン法と同様基本原理はブリッジマン法と同様であるが、炉内でるつぼを移動すであるが、炉内でるつぼを移動する代わりに炉内の温度分布を高る代わりに炉内の温度分布を高精度に変化させて、成長界面自精度に変化させて、成長界面自体を順次移動することにより結晶体を順次移動することにより結晶化させる凝固結晶成長技術。化させる凝固結晶成長技術。

従って、移動機構は不要。従って、移動機構は不要。

装置構成によって、当然、装置構成によって、当然、HGFHGF法法も存在する。も存在する。

Zone Melting (ZM)帯溶融帯溶融((ゾーンメルトゾーンメルト))法法

原料の一部が適切な長さ・領原料の一部が適切な長さ・領域のみ加熱・融解され(溶融域のみ加熱・融解され(溶融帯)、その溶融帯を移動させる帯)、その溶融帯を移動させることにより、溶融帯移動後、冷ことにより、溶融帯移動後、冷却・固化された部分を単結晶却・固化された部分を単結晶化する作製技術である。化する作製技術である。

結晶成長する固液界面と、融結晶成長する固液界面と、融液に原料が供給される界面が液に原料が供給される界面が存在し、結晶の析出と、原料供存在し、結晶の析出と、原料供給のバランスを、加熱温度・移給のバランスを、加熱温度・移動速度などで最適化する。動速度などで最適化する。

古くは、古くは、GeGeの高純度単結晶のの高純度単結晶の

作製方法として確立された。作製方法として確立された。

Floating Zone (FZ)浮遊帯溶融法浮遊帯溶融法

加熱方法として前頁の抵抗加加熱方法として前頁の抵抗加熱方式や、高周波誘導加熱方熱方式や、高周波誘導加熱方式があるが、右図のようなラン式があるが、右図のようなランプによる集光加熱方式も存在。プによる集光加熱方式も存在。

この場合、原料棒を鉛直に保この場合、原料棒を鉛直に保持し、集光加熱による溶融帯持し、集光加熱による溶融帯の形成の際、容器を用いない。の形成の際、容器を用いない。

融液の表面張力などで原料を融液の表面張力などで原料を保持するため、保持するため、フローティングフローティングゾーンメルトゾーンメルト(FZ)(FZ)法法と呼ばれる。と呼ばれる。

高周波誘導加熱ができない絶高周波誘導加熱ができない絶縁物の単結晶成長が可能なた縁物の単結晶成長が可能なため、め、BiBi置換ガーネット置換ガーネット(YIG)(YIG)などなど

非線形光学結晶のバルク結晶非線形光学結晶のバルク結晶成長に実用技術として用いら成長に実用技術として用いられている。れている。

Methods for Wide-Gap Materials

(参考)高橋 清 監修 長谷川 文夫・吉川 明彦 編著

「ワイドギャップ半導体光・電子デバイス」(森北出版株式会社)

物質は通常、構成する元素の原子番号の合計が小さくなる程:物質は通常、構成する元素の原子番号の合計が小さくなる程:格子定数が小さく、結合が強く、融点が高く、バンドギャップエネルギー格子定数が小さく、結合が強く、融点が高く、バンドギャップエネルギー((EEgg))が大きくなる。例えば・・・が大きくなる。例えば・・・

GeGe、、SiSi、ダイヤモンド、ダイヤモンド(C)(C)のの融点・融点・EEggはそれぞれ:はそれぞれ:GeGe: 937 : 937 ººCC・・0.66 0.66 eVeV、、Si: 1,412 Si: 1,412 ººCC・・1.12 1.12 eVeV、、C: C: >>22,,000 000 ººCC・・5.47 5.47 eVeVワイドギャップ半導体ワイドギャップ半導体••SiCSiC、、CC等、等、IVIV族(混晶)族(混晶)••GaNGaN等、等、IIIIII族窒化物族窒化物••ZnOZnO等、等、IIII族酸化物族酸化物••ZnSeZnSe等、等、IIII族カルコゲナイト族カルコゲナイト

これらの結晶成長は、これらの結晶成長は、(1)(1)結合の強さに起因する結晶成長温度の高さ、結合の強さに起因する結晶成長温度の高さ、(2)(2)構成元素の解離圧の高さなどの理由から、通常の構成元素の解離圧の高さなどの理由から、通常の融液成長が困難融液成長が困難

であり、大口径の高品質バルク結晶の成長が困難なため、異種基板上であり、大口径の高品質バルク結晶の成長が困難なため、異種基板上に結晶成長が行われる。に結晶成長が行われる。

Hydride Vapor Phase Epitaxy (HVPE)ハイドライドハイドライドVPEVPE法法

(参考)「大口径GaN単結晶基板の開発」, SEIテクニカルレビュー, 第161号, pp. 76-79, 2002年9月

サファイア基板上のサファイア基板上のHVPEHVPE成長成長GaNGaN厚膜を厚膜を

レーザ照射でサファイア基板から分離するレーザ照射でサファイア基板から分離するGaAs(111)AGaAs(111)A基板上に基板上にHVPEHVPE成長した成長したGaNGaN厚膜を基板か厚膜を基板から分離したら分離した22インチインチGaNGaN基板基板

例えば、例えば、GaNGaN系の窒化物半導体は窒素の解離蒸気圧が極めて高いため、サ系の窒化物半導体は窒素の解離蒸気圧が極めて高いため、サファイア等の異種基板上へ、塩化物を使った気相成長、ファイア等の異種基板上へ、塩化物を使った気相成長、HVPEHVPE成長により成長によりGaNGaN厚膜を成長後、レーザ照射でサファイア基板から分離する。厚膜を成長後、レーザ照射でサファイア基板から分離する。

住友電工住友電工

Lely Method昇華法昇華法 ((改良型レイリー法改良型レイリー法))

SiCSiC、、ZnSeZnSeカルコゲナイト系の半導体のバルク結晶成長で用いられる手法カルコゲナイト系の半導体のバルク結晶成長で用いられる手法で、で、PVTPVT法とも呼ばれる。黒鉛るつぼ内の温度分布を制御し、法とも呼ばれる。黒鉛るつぼ内の温度分布を制御し、SiCSiCの場合の場合2,0002,000ººCC以上、以上、ZnSeZnSeの場合の場合1,0001,000ººCCを超える高温部で多結晶原料の昇華し、を超える高温部で多結晶原料の昇華し、

低温部の種結晶に単結晶を成長させる。低温部の種結晶に単結晶を成長させる。

(参考)高橋 清 監修 長谷川 文夫・吉川 明彦 編著

「ワイドギャップ半導体光・電子デバイス」(森北出版株式会社)

1.2 Epitaxy for Thin Films

(参考)Gerald B. Stringfellow, Academic Press,“Organometallic Vapor-Phase Epitaxy: Theory and Practice” , Second Edition

Growth Methods for Thin Films薄膜結晶のエピタキシャル成長技術薄膜結晶のエピタキシャル成長技術

エピタキシャル成長とは「エピタキシャル成長とは「下地となる結晶基板下地となる結晶基板(wafer)(wafer)と特定の面方位と特定の面方位

関係にある結晶薄膜を堆積成長させること」関係にある結晶薄膜を堆積成長させること」

原料供給の形態により、種々の成長手法:原料供給の形態により、種々の成長手法:

••固相エピタキシャル成長固相エピタキシャル成長 (SPE)(SPE)••液相エピタキシャル成長液相エピタキシャル成長 (LPE)(LPE)••気相エピタキシャル成長気相エピタキシャル成長 (VPE)(VPE)

有機金属気相エピタキシ有機金属気相エピタキシ (MOVPE)(MOVPE)((その他その他))••分子線エピタキシ分子線エピタキシ (MBE)(MBE)••VLSVLS成長成長

(参考)(参考) 「エピタキシ」ではないが「薄膜成長」「エピタキシ」ではないが「薄膜成長」

••スパッタリング法、真空蒸着法・・・スパッタリング法、真空蒸着法・・・

Solid Phase Epitaxy (SPE)固相エピタキシ法固相エピタキシ法

一般的には、原料である多結晶を種結晶である一般的には、原料である多結晶を種結晶である単結晶に接触させ、これを加熱することにより、単結晶に接触させ、これを加熱することにより、接触界面から単結晶化を進行させる方法。接触界面から単結晶化を進行させる方法。

多結晶中では比較的大きな結晶粒界が周囲の微多結晶中では比較的大きな結晶粒界が周囲の微細粒子を併合し、より大きな結晶粒界への成長細粒子を併合し、より大きな結晶粒界への成長するため、これにより結晶全体を単結晶化する。するため、これにより結晶全体を単結晶化する。

Solid Phase Epitaxy (SPE)固相エピタキシ法固相エピタキシ法

エピタキシとしての固層成長でエピタキシとしての固層成長では、単結晶基板上に形成した非は、単結晶基板上に形成した非晶質の薄膜が、融点よりも低い晶質の薄膜が、融点よりも低い温度でエピタキシャル成長する温度でエピタキシャル成長する現象を指す。現象を指す。

例えば、真空蒸着により非晶質例えば、真空蒸着により非晶質ののSiSi膜をサファイア基板上に堆膜をサファイア基板上に堆積した後、積した後、SPESPEによる単結晶薄による単結晶薄

膜成長を行う。膜成長を行う。

右図のように、結晶薄膜中の転右図のように、結晶薄膜中の転位・欠陥等を一旦非晶質化した位・欠陥等を一旦非晶質化した後、後、SPESPEによる単結晶化を行っによる単結晶化を行っ

たり、非晶質膜上に単結晶薄膜たり、非晶質膜上に単結晶薄膜を横方向成長させる等が、を横方向成長させる等が、SPESPEの応用例として挙げられる。の応用例として挙げられる。

単結晶化単結晶化

単結晶化単結晶化

Liquid Phase Epitaxy (LPE)液相エピタキシ法液相エピタキシ法

化合物半導体結晶の構成元素を含む過飽和溶液を原料とし、その溶液化合物半導体結晶の構成元素を含む過飽和溶液を原料とし、その溶液を結晶基板表面と接触させることにより溶質を析出させる方法を結晶基板表面と接触させることにより溶質を析出させる方法

長所長所(1)(1) 成長速度は速いが成長速度は速いが高品位の膜質が得られる高品位の膜質が得られる(2)(2) 装置は簡単・安価で、安全性も高い装置は簡単・安価で、安全性も高い

短所短所(1)(1) 原子レベルで急峻なヘテロ界面の形成が困難原子レベルで急峻なヘテロ界面の形成が困難 ((界面近傍の組成界面近傍の組成制御性が乏しい制御性が乏しい))(2)(2) ナノメータ・オーダで制御された極微細構造の作製が困難ナノメータ・オーダで制御された極微細構造の作製が困難

Vapor Phase Epitaxy (VPE)気相エピタキシ法気相エピタキシ法原料の種類によって大きく三つ原料の種類によって大きく三つ::(a)(a) クロライドクロライドVPEVPE法法

結晶薄膜の構成元素の結晶薄膜の構成元素の塩化物塩化物((GaClGaCl, , InClInCl等等))を原料として供給を原料として供給

するため、カーボン不純物汚染するため、カーボン不純物汚染を防げ、高純度な結晶成長が可を防げ、高純度な結晶成長が可能だが、能だが、AlAlの塩化物と石英反応の塩化物と石英反応管が反応してしまうため、管が反応してしまうため、AlAl系系材料には不向き。材料には不向き。

(b) (b) ハイドライドハイドライドVPEVPE法法

HClHClガスを用いた塩化物系ガスを用いた塩化物系VPEVPEの一種で、の一種で、HClHClからからGaClGaCl等の原等の原

料塩化物が形成される。料塩化物が形成される。

原料がハロゲンガスのため成長原料がハロゲンガスのため成長した結晶薄膜のガスエッチングした結晶薄膜のガスエッチング効果がある。効果がある。

Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy有機金属気相エピタキシ法有機金属気相エピタキシ法 (MOVPE)(MOVPE)

半導体結晶の構成元素を含む半導体結晶の構成元素を含む有機物有機物・水素化物等の化合物を原料・水素化物等の化合物を原料とし、それらをキャリアガスに乗せ気体の形で結晶基板上に供給すとし、それらをキャリアガスに乗せ気体の形で結晶基板上に供給する方法る方法

長所長所(1)(1) 原料の分解・取込が結晶面原料の分解・取込が結晶面((方位・材質方位・材質))の差異に大きくの差異に大きく

依存するため選択成長が容易依存するため選択成長が容易(2)(2) リンリン(P)(P)のような高蒸気圧の原料を含む材料系などののような高蒸気圧の原料を含む材料系などの

成長も可能成長も可能

短所短所(1)(1) 一般的な原料として毒物を多数使用一般的な原料として毒物を多数使用(2)(2) 「容易な」その場観察手段が無い「容易な」その場観察手段が無い

Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy有機金属気相エピタキシ法有機金属気相エピタキシ法 (MOVPE)(MOVPE)

原料ガス・キャリア原料ガス・キャリアガスの導入ガスの導入

半導体ウェハ半導体ウェハ

排気排気 排気排気

加熱ヒータ加熱ヒータ

チャンバチャンバ

チャンバ内は、常圧チャンバ内は、常圧~~ 数数10Torr10Torrの減圧の減圧

Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy有機金属気相エピタキシ法有機金属気相エピタキシ法 (MOVPE)(MOVPE)

カーボン製のサセプタ上にカーボン製のサセプタ上に基板結晶基板結晶((ウェハウェハ))を設置。を設置。

マルチウェハ成長用の大型マルチウェハ成長用の大型MOVPEMOVPE装置装置

ステンレス製ステンレス製の大型反応炉の大型反応炉

Molecular Beam Epitaxy (MBE)分子線エピタキシ法分子線エピタキシ法

長所長所(1)(1) 超高純度の結晶膜質超高純度の結晶膜質(2)(2) 成長中のその場観察・制御成長中のその場観察・制御

が可能が可能

短所短所(1)(1) 超高真空のため高蒸気圧の超高真空のため高蒸気圧の

原料を含む材料系などの成長原料を含む材料系などの成長が難しいが難しい(2)(2) 装置保守・操作に習熟・注意装置保守・操作に習熟・注意

を要するを要する

超高真空超高真空(10(10--99~~1010--1111Torr)Torr)の成の成

長室内で、長室内で、化合物半導体結晶の化合物半導体結晶の構成元素構成元素((原料原料))を加熱気化し、を加熱気化し、

平均自由行程の大きな分子線平均自由行程の大きな分子線の形で結晶基板上に供給するの形で結晶基板上に供給する方法方法

Molecular Beam Epitaxy (MBE)分子線エピタキシ法分子線エピタキシ法

原料として、構成元素単体の固体ソー原料として、構成元素単体の固体ソースを用いる場合が最も一般的であるが、スを用いる場合が最も一般的であるが、ガスソースを用いるガスソースを用いるGSMBEGSMBE、有機金属、有機金属原料を用いる原料を用いるMOMBEMOMBEなど、いくつかのなど、いくつかの

タイプが研究開発されている。タイプが研究開発されている。

GaAsGaAsを例にとると、右図のようにを例にとると、右図のようにAsAsのの分子線は、分子線は、AsAs22あるいはあるいはAsAs44の形での形でGaAsGaAs表面に供給される。表面に供給される。

供給された供給されたGaGaはほぼ基板表面に吸着はほぼ基板表面に吸着するのに対し、するのに対し、AsAsは揮発性が高いため、は揮発性が高いため、供給分子線比供給分子線比(V/III(V/III比比))はは11~~1010程度が程度が

一般的。一般的。

真空蒸着法との違いは?真空蒸着法との違いは?

成長中、基板結晶成長中、基板結晶((ウェハウェハ))を加熱するを加熱する

ため、吸着原子の表面マイグレーションため、吸着原子の表面マイグレーションが促進される。が促進される。

Methods for Nanostructures

高い組成制御性高い組成制御性

原子レベルで急峻なヘテロ界面を実現可能原子レベルで急峻なヘテロ界面を実現可能

高精度な成長速度制御により、極微細構造のサイズ制御・高精度な成長速度制御により、極微細構造のサイズ制御・作製が可能作製が可能

半導体ナノエレクトロニクスに適したエピタキシャル成長技術は?半導体ナノエレクトロニクスに適したエピタキシャル成長技術は?

LPELPE法は半導体レーザや発光ダイオードの作製工程のごく法は半導体レーザや発光ダイオードの作製工程のごく

一部や、バルク結晶(インゴット)の成長など限られた分野一部や、バルク結晶(インゴット)の成長など限られた分野で用いられているで用いられている

MBEMBE法法・・MOVPEMOVPE法法が主流が主流

Vapor-Liquid-Solid (VLS)気相気相--液相液相--固相法固相法

加熱によって金属微粒子と半導体結晶で合金化され、液滴加熱によって金属微粒子と半導体結晶で合金化され、液滴(Liquid)(Liquid)が形成される。そこへ原料が気相が形成される。そこへ原料が気相(Vapor)(Vapor)から供給から供給

されると、合金液滴と基板界面から結晶成長を生じ、針状のされると、合金液滴と基板界面から結晶成長を生じ、針状の半導体結晶が形成される半導体結晶が形成される(Solid)(Solid)。。原料の供給は、原料の供給は、MOVPEMOVPE法のようにガス法のようにガス((気相気相))の形でも良いの形でも良いし、し、MBEMBE法のように分子線の形でも良い。法のように分子線の形でも良い。

当初、当初、WhiskersWhiskers(ヒゲ)(ヒゲ)

「ウィスカー」と呼ばれる「ウィスカー」と呼ばれる異常成長の一種として扱異常成長の一種として扱われていたが、近年では、われていたが、近年では、11次元半導体ナノワイヤ・次元半導体ナノワイヤ・

量子細線構造を作製す量子細線構造を作製する有力な結晶生長手法とる有力な結晶生長手法として脚光を浴びている。して脚光を浴びている。

Sputteringスパッタリング法スパッタリング法

真空蒸着法との違いは?真空蒸着法との違いは?

(1)(1) 薄膜を堆積させる試料と膜原料薄膜を堆積させる試料と膜原料((ターゲットターゲット))間に、電圧印加間に、電圧印加

(2)(2) 気体分子などが電離したイオン気体分子などが電離したイオン

が高速に移動し、原料に衝突が高速に移動し、原料に衝突

(3)(3) イオンの衝突によって、剥離しイオンの衝突によって、剥離し

た原料の粒子が、試料表面に付着た原料の粒子が、試料表面に付着し、薄膜を形成し、薄膜を形成

原料の粒子を試料表面に飛ばして、原料の粒子を試料表面に飛ばして、付着・薄膜形成することは同じ。付着・薄膜形成することは同じ。

膜原料を熱融解・蒸発に抵抗加膜原料を熱融解・蒸発に抵抗加熱・電子ビーム・高周波誘導・レー熱・電子ビーム・高周波誘導・レーザ照射などを用いるため、高融点ザ照射などを用いるため、高融点の金属の金属(W)(W)や絶縁体や絶縁体(SiO(SiO22))等は堆等は堆

積できない。積できない。

Sputteringスパッタリング法スパッタリング法

スパッタリング法は高温のプラズマスパッタリング法は高温のプラズマを用いるため、真空蒸着法よりもタを用いるため、真空蒸着法よりもターゲットから飛び出した原料粒子のーゲットから飛び出した原料粒子の運動エネルギが大きく、密着性の良運動エネルギが大きく、密着性の良い(剥がれにくい)薄膜を堆積可能。い(剥がれにくい)薄膜を堆積可能。

その反面、薄膜を堆積したい試料その反面、薄膜を堆積したい試料の表面も高温のプラズマにさらされの表面も高温のプラズマにさらされるため、ダメージを受けやすい。るため、ダメージを受けやすい。

マグネトロンスパッタリング法マグネトロンスパッタリング法

ターゲット裏面に磁石を設置して、そターゲット裏面に磁石を設置して、その透過磁場によりターゲット近傍のの透過磁場によりターゲット近傍の電子密度が増加するため、試料付近電子密度が増加するため、試料付近に到達するプラズマが減少し、ダメーに到達するプラズマが減少し、ダメージを低減可能。スパッタ量も増加。ジを低減可能。スパッタ量も増加。

マグネットマグネットNN SS

プラズマプラズマ

1.3 Other Growth Methods for Materials

(参考)齋藤 理一郎・篠原 久典 共編

「カーボンナノチューブの基礎と応用」(培風館)

Growth Methods for CNTsカーボンナノチューブカーボンナノチューブ((CNTsCNTs))の特長・可能性の特長・可能性••引っ張り強度引っ張り強度:: >10>10 GPaGPa ((鋼鉄は鋼鉄は2.3 2.3 GpaGpa程度程度))••電界放出源電界放出源••水素の吸着剤、燃料電池水素の吸着剤、燃料電池••バリスティック電子輸送、ダイヤモンド以上の熱伝導バリスティック電子輸送、ダイヤモンド以上の熱伝導

基本的な基本的なCNTsCNTsの合成法の合成法単層単層CNTsCNTsは、は、Fe, Ni, Co, PdFe, Ni, Co, Pdなどの金属と炭素との合金を触媒などの金属と炭素との合金を触媒

として、として、1,0001,000ººCC以上の温度によって合成される。その前段階の炭以上の温度によって合成される。その前段階の炭素クラスタ素クラスタ(2(2個以上の炭素原子から構成される塊個以上の炭素原子から構成される塊))を形成する主を形成する主な方法としてな方法として::黒鉛グラファイトを高温で蒸発させる黒鉛グラファイトを高温で蒸発させる

(1)(1) アーク放電法アーク放電法(2) (2) レーザアブレーション法レーザアブレーション法

炭化水素・アルコールなどを熱分解させる炭化水素・アルコールなどを熱分解させる(3) (3) CVDCVD法法のの33つがあり、金属触媒によってナノチューブが形成される。つがあり、金属触媒によってナノチューブが形成される。

Arc Discharge Method(1) (1) アーク放電法アーク放電法

フラーレンフラーレン(C(C6060))の初の多量合成法の初の多量合成法:: KrKräätschmertschmer & Huffman& Huffman ((19901990))多層多層CNTsCNTsの発見の発見:: 飯島飯島 ((19911991))単層単層CNTsCNTsの発見の発見:: 飯島飯島 (1993), Bethune(1993), Bethune (1993)(1993)

陽極のグフラファイト陽極のグフラファイト電極中に金属触媒を電極中に金属触媒を混合混合

両極間に電圧印加し両極間に電圧印加しアーク放電を起こすと、アーク放電を起こすと、陽極や陰極から炭素陽極や陰極から炭素が蒸発が蒸発

陰極先端表面やチャ陰極先端表面やチャンバ内壁に付着するンバ内壁に付着する炭素スス中に炭素スス中にCNTsCNTsが形成が形成

チャンバ内はチャンバ内はHeHe, , ArAr, H, H22等のガスを充填し、等のガスを充填し、100100~~500Torr500Torr程度の減圧程度の減圧

下でアーク放電下でアーク放電

Laser Ablation(2) (2) レーザ蒸発法レーザ蒸発法

単層単層CNTsCNTsの高効率合成法の高効率合成法:: SmalleySmalley ((19961996))CC6060を内包した単層を内包した単層CNTsCNTsの合成の合成:: LuzziLuzzi (1998)(1998)

(1)(1) 金属触媒を混合したグラ金属触媒を混合したグラ

ファイトをガスフローの上流ファイトをガスフローの上流側に設置し、電気炉で加熱側に設置し、電気炉で加熱しつつレーザパルスを照射しつつレーザパルスを照射すると、炭素が昇華。すると、炭素が昇華。

(2) (2) 電気炉の出口、ガスフロ電気炉の出口、ガスフロ

ーの下流側に設置された冷ーの下流側に設置された冷却トラップに炭素ススが付着却トラップに炭素ススが付着し、その中にし、その中にCC6060始め、単層始め、単層CNTsCNTsが形成される。が形成される。

生成される生成されるCNTsCNTsは単層で、は単層で、

多層など層数制御は困難。多層など層数制御は困難。

電気炉で加熱しないと、生成電気炉で加熱しないと、生成効率が著しく減少。効率が著しく減少。

Chemical Vapor Deposition (CVD)(3) (3) 化学気相堆積法化学気相堆積法

気相成長炭素繊維の合成法として、日本で気相成長炭素繊維の合成法として、日本で19701970年代から発展年代から発展多層多層CNTsCNTsの合成の合成:: 19901990年代後半年代後半単層単層CNTsCNTsの合成の合成:: 19981998年年

••ベンゼン、アセチレン、アルコール等の反応ガスの熱分解ベンゼン、アセチレン、アルコール等の反応ガスの熱分解

••金属触媒として、金属触媒として、FeFe、、CoCo、、NiNi、、MoMoあるいはこれらの合金あるいはこれらの合金

••反応炉内は反応炉内は600600~~900900ººCCに加熱に加熱

••反応温度、金属触媒反応温度、金属触媒の種類などの最適化にの種類などの最適化により、単層・より、単層・22層・多層の層・多層の

層数制御や、生成効層数制御や、生成効率・収量の向上が可能率・収量の向上が可能

CVD on Anodic Porous Alumina陽極酸化ポーラスアルミナをテンプレートとした化学気相堆積法陽極酸化ポーラスアルミナをテンプレートとした化学気相堆積法

CNTsCNTsの直径・長さなどを自在に制御する手法の直径・長さなどを自在に制御する手法

••直径直径 1010~~500nm500nm••長さ長さ ~~100100µµmm••密度密度 10101212~~10101515cmcm--22

硫酸等の酸性電解質中で硫酸等の酸性電解質中でAlAl基板を陽極として、対極との間に基板を陽極として、対極との間に電圧を印加すると、電圧を印加すると、AlAl表面が酸化され薄い酸化皮膜が形成。表面が酸化され薄い酸化皮膜が形成。

皮膜面と垂直方向に、均一な直線状の細孔が形成。皮膜面と垂直方向に、均一な直線状の細孔が形成。

皮膜中の細孔直径・皮膜中の細孔直径・長さ・密度は陽極酸長さ・密度は陽極酸化時の電解条件に化時の電解条件により制御可能より制御可能