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おおいた革新的技術・データ 活用推進計画 平成 31 年(2019 年)2 月 大 分 県

おおいた革新的技術・データ 活用推進計画 - 大分県ホーム …...大分県電子県庁推進本部 1 第1章 おおいた革新的技術・データ活用推進計画について

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Page 1: おおいた革新的技術・データ 活用推進計画 - 大分県ホーム …...大分県電子県庁推進本部 1 第1章 おおいた革新的技術・データ活用推進計画について

おおいた革新的技術・データ

活用推進計画

平成 31 年(2019 年)2 月 大 分 県

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大分県電子県庁推進本部 1

目次 第1章 おおいた革新的技術・データ活用推進計画について .......................................... 1

計画の目的 ............................................................................................................... 1 計画の位置付け ........................................................................................................ 1

(1) 法令上の位置付け ............................................................................................. 1 (2) 本県計画等との関係 ......................................................................................... 1

計画期間 ................................................................................................................... 1 推進体制 ................................................................................................................... 1 背景 .......................................................................................................................... 2

(1) 大分県を取り巻く情勢 ...................................................................................... 2 (2) 大分県の現状と課題 ......................................................................................... 4

第2章 基本的な方針 ........................................................................................................ 7 民間分野 ~大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟の推進~ ................................. 7 行政分野 ................................................................................................................... 7

第3章 個別施策 ............................................................................................................... 8 1 民間分野 ~大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟の推進~ ................................. 8

革新的技術の活用促進 .................................................................................. 8 【横断的取組】 ① IT や IoT 等の革新的技術を活用したプロジェクトの創出 .......................... 8

【分野別取組】 ① ドローン産業の振興 .................................................................................... 10 ② スマート農林水産業 .................................................................................... 12 ③ i-Construction ........................................................................................... 13 中小企業・小規模事業者等の情報リテラシーの向上と IT化の推進 ......... 15 IT 人材の確保・育成 ................................................................................... 16 IT 企業の誘致 .............................................................................................. 18

2 行政分野 ................................................................................................................. 19 行政手続のオンライン化推進 ..................................................................... 19 オープンデータの推進 ................................................................................ 20 マイナンバー制度とマイナンバーカードの普及・活用 ............................. 21 デジタルデバイド対策 ................................................................................ 24 ① 情報通信基盤の整備促進 ............................................................................ 24 ② ホームページアクセシビリティの向上 ...................................................... 25 ICT による業務効率化 ................................................................................. 26 情報セキュリティ対策 ................................................................................ 28

個別施策の KPI 一覧 ……………………………………………………………………………30 革新的技術やデータ活用で変わるわたしたちのくらし ...................................................... 32 用語集 ………………………………………………………………………………………….34

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大分県電子県庁推進本部 1

第1章 おおいた革新的技術・データ活用推進計画について

計画の目的 IoT や AI、ロボット、センサー等の普及による第4次産業革命が進行し、情報通信

技術やデータが産業社会に与える影響はますます大きくなっている。

第4次産業革命の技術や IT など社会にイノベーションを興す革新的技術や、介在

するデータをどう活かすかは、地方創生に取り組む本県にとっても、その成否を左右

する重要なテーマである。

革新的技術やデータを民間、行政を問わずあらゆる分野で積極的に活用し、人口減

少や産業構造の変化によって生じる様々な地域課題の解決や新たな産業活力の創出、

さらには行政事務の効率化と行政サービスの充実を図ることにより、これからの時

代の県民生活を支える基盤づくりと安全・安心かつ豊かな暮らしの実現に資する。

計画の位置付け

(1) 法令上の位置付け

官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)第9条第1項に規定する

都道府県官民データ活用推進計画として策定する計画とする。

(2) 県計画等との関係

大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟を中長期的な視点に立って推進するための

計画とする。

計画期間 計画の期間は、平成31年度(2019年度)から平成33年度(2021年度)

までの3年間とする。

推進体制 大分県電子県庁推進本部の下に「官民データ活用推進部会」を設置して推進すると

ともに、毎年度、大分県電子県庁推進本部において、KPI の進捗管理を行う。 【推進体制図】

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背景 (1) 大分県を取り巻く情勢

○第4次産業革命

IoT や AI、ロボット、センサーなどの技術的ブレークスルーが、既存の社会システ

ムや産業構造、就業構造を変える第4次産業革命が進展している。その中では、社会

に眠っている遊休資産と、個人の利用ニーズをマッチングするシェアリングエコノ

ミーや、製造・販売した機器のデータを活用して、サービスの高度化、プラットフォ

ーム化を図るインダストリアル・インターネットなど、新たなビジネスモデルが登場

し、産業社会の変化を加速させている。

第4次産業革命を進める技術の普及を可能にしているのが、半導体の微細化によ

るハードウェアの処理能力の向上や、センサー技術の小型軽量化・低廉化、通信ネッ

トワークの高速化など基盤となる技術の進化である。国では、21世紀に入った平成

13年(2001年)に「e-Japan 戦略」を策定し、ネットワークインフラの整備を

進めてきた。また、IT の利活用にも重点をおき、電子政府の実現やスマートフォン

の普及を後押ししてきた。そうした取組の結果、ネットワークインフラ面では、最大

速度 1~10Gbps の光ファイバー回線や、500Mbps の LTE-Advanced(4G)などが一般化

しており、スマートフォンの個人保有率は6割に近づいている。

○データ駆動型社会

第4次産業革命の技術の普及とともに飛躍的に増大しているのがデータである。

技術が社会で活かされる際には、現実空間からセンサー等でデータを収集し、それを

AI 等で解析したうえで、サービスなどの形で現実空間にフィードバックするプロセ

スが行われている。そうしたプロセスが社会のあらゆる領域に実装され、大きな付加

価値を生み出していく社会は「データ駆動型社会」とも「データ主導社会」とも呼ば

れ、これから訪れる社会と目されている。データ駆動型社会においては、データはま

さに必要不可欠な媒体であるため、これからの時代の経済活動の価値の源泉、最も重

要な「糧」とも言われるようになっている。大量に発生するデータを有効に活用でき

るようにするため、データ流通の促進に向けた制度整備、基盤づくりも進められてい

るところである。

こうした状況を踏まえ、国では、平成28年(2016年)に官民データ活用推進

基本法を、翌29年(2017年)には世界最先端 IT国家創造宣言・官民データ活

用推進基本計画を策定し、国や地方自治体、民間事業者が保有するデータの適正かつ

効果的な活用による安全・安心な社会や快適な生活環境の実現を目指そうとしてい

る。また、未来投資戦略2018においても、第4次産業革命の技術と、それがもた

らすデータを活用して社会課題の解決を図る Society5.0 の実現がその基本に据えら

れている。Society5.0 で実現しようとする自動運転や遠隔医療・教育、AI・ロボッ

トによる作業代替など、いずれもデータの活用なしでは実現し得ないものである。

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○デジタル・ガバメント 行政分野においても、社会のデジタル化に対応した組織・サービスの変革が求めら

れており、その中でデータが重要な役割を果たすと考えられている。少子高齢化、大

都市圏への人口集中、単独世帯や核家族世帯の増加といった社会構造の変化は、行政

が国民一人一人のニーズに応えることを難しくする一方、今後急速に進む人口減少

は、行政分野の働き手をも減少させることが予想される。このような課題に対し、行

政が保有するデータを有効活用することにより、行政サービスの質の向上(例えば個

人にカスタマイズしたプッシュ型サービス)や行政サービスの生産性の大幅な向上、

(出典)情報通信審議会「IoT/ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策の在り方」

第三次中間答申概要(平成29年1月)

(出典)産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会「中間取りまとめ(概要)」 (平成27年5月)

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さらにはデータに裏付けられた根拠に基づく政策立案・評価などによる対応が期待

されるところである。国では、平成29年(2017年)5月に「デジタル・ガバメ

ント推進方針」、平成30年(2018年)1月には「デジタル・ガバメント実行計

画」を策定し、自ら、データに基づく利用者中心のサービスや、行政サービス・行政

データの連携を進めようとしているほか、地方公共団体におけるデジタル・ガバメン

トの推進も支援することとしている。 ○情報セキュリティ データの重要性が高まる一方で、サイバー攻撃は世界的な規模で巧妙化・多発し

ており、データを守るサイバーセキュリティの重要性も増している。国では、平成

26年(2014年)に「サイバーセキュリティ基本法」を制定し、官民連携して

サイバーセキュリティへの対応を強化しているが、IoTによりネットワークに接続

する機器が大量に増加していく中、中小企業なども含めた一層の対策が求められて

いる。また、データの中でも特にセンシティブな取り扱いが必要な個人情報につい

ては、「個人情報保護法」を改正し、その保護と活用のバランスを図ろうとしてい

るが、海外大手IT企業の個人情報流出問題や、EUによるより厳しい「一般データ

保護規則」の施行など、情報セキュリティを取り巻く環境は目まぐるしく変化して

いる。今後もこうした国際的な動向を踏まえた対応が必要とされる。

(2) 大分県の現状と課題

○これまでの取組 県では、インターネット時代に対応するため、豊の国ハイパーネットワークの整備

や利用促進、ブロードバンドサービスや携帯電話通話エリアの拡大に取り組み、ネッ

トワークインフラの整備を進めてきた。その結果、光ファイバーや CATV などの超高

速ブロードバンドサービスの世帯カバー率は100%、携帯電話通話エリアの世帯

カバー率も99.97%を達成している。 また、県行政に IT を積極的に活用し、行政サービスの向上や行政事務の効率化・

高度化を実現する取組も推進してきた。クラウドコンピューティングへの移行によ

る経費削減やタブレット型端末の導入拡大によるモバイルワーク環境の整備のほか、

市町村と共同で自治体情報セキュリティクラウドの構築にも取り組んでいる。 ネットワークインフラの整備に伴い、IT が県内にも浸透し、企業のビジネスにも

大きな影響を及ぼすようになっている。県では、IT 導入相談への対応やデータ分析

研修などの取組により、県内中小企業の IT活用を促進するとともに、増加する IT 企

業、IT 人材のスキルアップやネットワーク拡大を支援し、IT 産業の振興を図ってき

た。IT 分野をターゲットとしたインキュベート施設「i プラザ」からは県経済を牽引

する企業も生まれている。 また、県内の研究機関と連携し、変化の早い IT の最新動向への県内企業のキャッ

チアップ、IT の恩恵を享受するために必要となる情報モラルや情報セキュリティに

関する企業・県民のリテラシー向上、教育機関と連携したプログラミング教育の普及

等にも取り組んできた。

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○産業構造の変化 IT の普及は、製品製造過程のデジタル化を促し、産業構造にも大きな影響を与え

てきた。デジタル化は、製品を構成する部品のインターフェースを規格化し、部品相

互間の調整を不要とするモジュール化を可能とすることにより、製造業への参入障

壁を下げ、国際競争を一層激化させている。いわゆる垂直統合型から水平分業型への

構造転換は、製造業の中でも特に電子電機産業においてその傾向が顕著であり、本県

の基幹産業の一角を占める半導体産業はその対応を迫られてきた。また、第4次産業

革命の進展により、製造業には、ハードウェアのみならずソフトウェアを含めた価値

の提供が求められるようになっており、従来の枠にとらわれない、新事業の開拓がま

すます重要となってくる。

商業・サービス業への影響も大きい。インターネット販売は、小売業者の販路拡大

に欠かせないツールとして定着しているほか、旅館・ホテルなどの宿泊業においては、

旅行代理店を経由せず、OTA(Online Travel Agent)や自社 Web サイトからインター

ネット経由で予約を受け付ける事業者が増加している。他方で、キャッシュレス化が

進む海外の観光客が増加する中、そのサービス向上の観点から、県内のキャッシュレ

ス化の遅れを懸念する声も聞かれる状況である。人口減少による域内消費の縮小が

不可避の情勢の中、IT やデータの活用による県域を越えた事業展開やインバウンド

対応等により域外からの消費の取り込みをいかに拡大するかは、県内商業・サービス

事業者にとって、今後の重要な課題である。

こうした状況を受け、IT 産業の事業内容は拡大している。企業等の基幹システム

を扱うエンタプライズ系の業務だけでなく、Web サイト構築などの Web アプリケーシ

ョンを扱う業務が拡大しており、県全体として事業所数が減少傾向にある中、IT 産

業の事業所数は10年前に比べ増加している。同時に IT 産業においては恒常的な人

手不足状態が続いており、最も雇用情勢が逼迫している業界とも言われている。IoT

の普及により、IT 人材にはデータサイエンティストや組み込みソフト開発者、セキ

ュリティ技術者、さらには新たなビジネスモデルを開発するイノベーターなど、産業

の枠を越えた役割が期待されており、人材不足は今後ますます深刻化することが予

想されている。

○人口減少、少子高齢化社会の到来 大分県の県人口は、昭和60年(1985年)を境に減少が続いており、現在約1

15万人である。平成27年(2015年)に県が策定した「大分県人口ビジョン」

では、県人口の減少は今後さらに加速し、2040年には100万人をきり、206

0年には約3分の2の76万人にまで減少すると予想されている。同時に高齢化率

(65才以上人口の割合)も高まり、2040年には36.7%に達すると見込まれ

ている。

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こうした人口減少、高齢化の進展は、県内の各方面に影を落とすことが懸念される。

製造業や商業、建設業、農林水産業や医療・福祉など、すべてといっていい分野で陥

っている人手不足状態が、今後ますます深刻化していく可能性が高い。高齢者や女性

のさらなる活躍が期待される一方、工場や建設現場、農場や病院・福祉施設、オフィ

スなどの現場における環境づくりはまだこれからである。離島や過疎地の高齢者に

とって、買い物や病院への通院は大きな負担であるが、生産年齢人口の減少は民間サ

ービスの維持をも困難にする。人口減少は、効率化を進めてきた自治体などの行政に

も、一段の業務効率化とサービス維持の両立という困難な課題の克服を求めてくる

ことになるだろう。そのためには、行政が保有するデータや電子申請システム、マイ

ナンバー制度などのリソースをより有効に活用していくことも必要である。他にも、

公共施設などの社会インフラの老朽化への対応や増加するインバウンドへの対応な

ど取り組むべき課題は山積している。 このような課題に対し、様々なツール、施策を総動員して解決に取り組んでいく必

要があるが、その中で IT、さらには第4次産業革命の技術が果たす役割は決して小

さくないと考えられる。IT や IoT、AI、ロボット、そしてそこから得られるデータの

活用についての一層の工夫により、具体的な成果に直結する活用が求められる。

○第4次産業革命に対応するネットワークインフラの在り方 第4次産業革命時代には、自動運転や遠隔ロボットなどの高度な技術を駆動させ

るため、光ファイバーや 5G といったより高速の通信基盤が必要となってくる。また、

様々なデータを広範囲に集めるためには、LPWA のような低消費電力で遠距離通信可

能な通信基盤も有用と考えられる。特に、県内の地域課題の解決に、第4次産業革命

の技術やデータを活用していくためには、こうした新たなネットワークインフラ整

備への対応についても検討していく必要がある。

(出典)大分県人口ビジョン(平成27年10月)大分県

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第2章 基本的な方針 IT やデータがもたらす便益は、個人による利活用の域にとどまらず、産業にも深く

浸透し、そのあり方までを左右するようになっている。こうした傾向は第4次産業革命

の進展によりさらに強まっていくものと考えられる。

また、急速な人口減少は、企業にも行政にも、仕事のあり方を今一度見直し、人口増

加・逓減時代の構造にあらためて決別することを迫っている。

このような状況を踏まえ、本計画では、産業振興の観点を主とした民間分野、公共サ

ービスやインフラ整備の担い手としての行政分野の2つに大別して、基本方針を示す

こととする。

民間分野 ~大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟の推進~

IT に加え、IoT や AI、ロボット・センサー、ドローンなど第4次産業革命の技術

や、そこに介在するデータを活用し、人口減少や産業構造の転換等によって生じる

様々な地域課題を解決するとともに、県内外の企業の技術を活用し、あるいは地域や

業種を越えた企業の連携を促すことにより、新たなビジネスモデルの創出、さらには

第4次産業革命の時代に対応する新産業の創造を目指していく。

そうした環境を持続的なものとしていくため、県外の技術やノウハウを有する企

業を積極的に呼び込み、県内外の企業、人材が活発に行き来する状況をつくり出して

いく。また、第4次産業革命のカギをにぎる IT人材について、質量ともに不足する

現状を打破するため、産学官が連携し人材確保・育成の取組を強化していく。

行政分野

IT に加え、IoT や AI、ロボット・センサーなど第4次産業革命の技術や、そこに

介在するデータを活用し、業務の一層の効率化と県民の利便性向上を目指していく。

また、きめ細かい県民サービスや、民間企業による革新的技術を活用したサービス

を実現するためのインフラ整備にも取り組む。

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第3章 個別施策 民間分野 ~大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟の推進~

革新的技術の活用促進

【横断的取組】

① IT や IoT 等の革新的技術を活用したプロジェクトの創出

Ⅰ.現状と課題

県では、平成29年度(2017年度)より大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟への

挑戦を掲げ、IoT 等の革新的技術を活用した地域課題解決型プロジェクトの創出に取り組

んでおり、その推進機関として大分県 IoT 推進ラボ(以下「ラボ」という。)を設置して

いる。ラボには、産学官のメンバーからなる運営委員会を置くほか、県外の有識者を特別

顧問や戦略アドバイザーに委嘱し、その助言を受ける体制を構築している。

ラボでは、プロジェクト創出に向けたニーズ(地域課題)と企業がもつシーズの情報収

集、マッチングの活動を行うとともに、活力ある元気な県内企業が参画するプロジェクト

の認定を行い、その実現を後押ししている。また、有望視されるプロジェクトに対しては

県からの財政的支援も行っており、農林水産業、医療・福祉、観光、製造業など、様々な

分野の課題解決に挑戦するプロジェクトが、県内外の企業から提案されている状況であ

る。

今後も、現場の課題解決に役立つプロジェクトに、県内企業や県外の技術やノウハウを

有する企業が一体となって取り組んでいくことが重要である。

また、国が第4次産業革命と Society5.0 を成長戦略の最重点とする中、全国各地で地

方版 IoT 推進ラボが設置されるなど、類似の取組が活発化している。プロジェクトの成功

には、県外の技術やノウハウを有する IT 企業等の力が有用であるが、ITの世界における

大分県の認知度は、大都市圏において決して高いとは言い難い。地域の課題に立脚した個

性的なプロジェクトを創出することにより、他地域との差別化を図り、県外からの企業や

人材の呼び込みにつなげていく必要がある。

また、国や一般社団法人データ流通推進協議会では、データが経済活動の価値の源泉と

なる「データ駆動型社会」の到来を見据え、企業や業種の枠を越えてデータを流通させる

ルールや制度の構築を検討している。地方の大部分を占める中小企業においては、データ

の収集さえ進んでいない実情があり、現状のプロジェクト創出においては、データ流通に

とらわれず、収集と活用のスタートに重点を置いている。しかしながら、農業分野などで

は、事業者の枠を越えてデータの共有・活用を検討する動きも始まっており、データ流通

に関する制度設計の行方や、そのメリットを見極めながら、データ流通も視野に入れたプ

ロジェクトの発展を検討していくことも必要である。

QR コードを活用した多言語翻訳プロジェクト(デジタルバンク(株)ほか)

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Ⅱ.取組の方向性

大分県版第4次産業革命〝OITA4.0〟を推進し、地域課題の解決と新ビジネスの創出を

図るため、以下の方針の下、IoT 等のプロジェクトの創出に取り組む。

① 現場目線で見える課題を解決する

人口減少、人手不足により地方の多くの現場では、課題を発見する余裕が失われて

いる。技術、サービスありきではなく、現場が本当に必要とする課題の掘り起こしと

解決を目指す。

② 地場企業を伸ばす

県内には IT はもちろん、半導体や金属加工といったものづくりの分野にも、技術

と意欲を有する中小企業が多く存在する。そうした企業に IoT 等の革新的技術を活

用した新たなシステムやビジネスモデルの開発を促し、その成長を後押しする。

また、人口減少により人材確保の困難さが増していくことが予想される中、製造業

から農林水産業、サービス業まで、あらゆる産業において革新的技術の積極的な活用

を進め、人口減少時代に対応する体制への転換を図る。

③ 県外企業の技術を活用し呼び込む

県外企業の優れた技術を積極的に活用するとともに、その県内進出や県内企業と

の連携を促し、新たな産業活力の創造につなげていく。

④ 業種の枠を越えた連携を促す

IoT の普及やデータ駆動型社会の幕開けにより、競争力の源泉が「モノ」から「ビ

ジネスモデル」に移行していると言われており、異業種やベンチャー企業との連携な

ど、オープンイノベーションの重要性が増している。IT 企業と製造業、農林水産業

など従来の業種の枠を越えた連携によるシステムやビジネスモデルの開発を促し、

その成長を後押しする。

(具体的取組)

ⅰ ニーズとシーズのマッチング

・大分県 IoT 推進ラボにおいて、県民や企業が抱える地域課題(ニーズ)と県内外の企

業が有する技術・サービス(シーズ)に関する情報収集に努め、そのマッチングを行

う。

ⅱ IoT 等を活用した地域課題解決型プロジェクトへの支援

・人手不足のような共通の課題から霧による高速道路の通行止めといった固有の課題

まで、様々な地域課題の解決やビジネス展開が期待できるプロジェクト、あるいは県

内への経済波及効果が高い IoT 等のプロジェクトに対し、助成や規制緩和要望など

の支援を行い、その実現を図る。

ⅲ 他地域との差別化を図るプロジェクトの創出

・県内で最も条件の厳しい地域とも言える離島の姫島村において、通信インフラの充

実や県外 IT 企業・人材との交流を図るとともに、進出企業等との共同により姫島村

の地域課題を解決する先駆的なプロジェクトを創出する(「姫島 ITアイランド構想」

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大分県電子県庁推進本部 10

の実現)。

・ロボティクスと高速通信、センサー等の融合により生まれるアバター技術につい

て、開発企業との連携による県内での実証実験を積極的に進め、その拠点となること

を目指す。

ⅳ プロジェクトの成果の横展開

・実現したプロジェクトの結果を具体的に検証するとともに、その成果を研修等の場

を活用して他の企業等に伝え、実践を促していくことにより、県全体に普及させる。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)までに、IoT 等のプロジェクトを以下のとおり事業化す

る。

平成31年度(2019年度):8件 平成32年度(2020年度):10件

平成33年度(2021年度):10件

(平成28年度(2016年度):0件)

【分野別取組】

① ドローン産業の振興

Ⅰ.現状と課題

遠隔操作や自動制御により無人で飛行するドローンが急速に普及しており、平成36

年度(2024年度)の国内市場は3,711億円に達するとの予測もなされている。そ

の用途は、空撮や農薬散布、測量、インフラ点検、配送など多岐にわたっており、データ

を収集するサイド、データを活用するサイド、あるいはその両方など、データ駆動型社会

の一翼も担う存在ともなっている。

ドローンのさらなる普及に向けては、航続距離の延伸や耐環境性など機体そのものの

性能向上や、人や物との接触回避などの安全性向上といった課題が残されており、国では、

航空法の改正に続き、目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討を行うなど、ルール

出典:ANA ホールディングス(株)資料

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大分県電子県庁推進本部 11

づくりを進めている。

そうした状況の中、県では平成29年(2017年)6月に大分県ドローン協議会(以

下「協議会」という。)を設立し、会員企業による産業用ドローンやドローンを活用した

サービスの開発を支援している。また、ドローンの用途の拡大と、ドローンを活用した地

域課題の解決を図るため、買い物弱者が増加している過疎山間地において、ドローン宅配

の実用化に向けた実証実験なども行っている。平成30年(2018年)3月には、ドロ

ーンのテストフィールドや、世界最高水準の磁気特性測定が可能な磁気シールドルーム

等を備えた「先端技術イノベーションラボ(通称 Ds-Labo)」を県産業科学技術センター

内に完成させるなど、ドローンビジネスへの参入を図る内外の企業にとって魅力的な環

境を整えている。

今後もドローンを様々な分野、用途で活用し、県民生活や企業活動に役立てていくとと

もに、ドローンの開発やサービスを行う企業の成長を促し、県経済を支える新産業へと育

てていくことが課題である。

Ⅱ.取組の方向性

ドローンの機体や周辺機器、ドローンを利用したサービスの開発を促進するとともに、

そのために必要となるドローンの開発者等の育成を行っていく。また、ドローンに関する

イベントや情報発信を積極的に行い、県内ドローン企業の認知度向上や新たな関連企業

の誘致にもつなげていく。 こうした取組により、ドローンビジネスにおける西日本随一の拠点となることを目指

す。 (具体的取組)

ⅰ ドローンの機体、サービス等の開発促進

・先端技術イノベーションラボの施設を活用し、協議会会員によるドローンの機体や

周辺機器の開発、ドローンを利用したサービスの開発を進める。

・過疎山間地における買い物弱者対策として、ドローン宅配の実用化に向けた実証実

験を行う。

ⅱ ドローン人材の育成

・協議会を中心に、先端技術イノベーションラボの施設も活用しながら、ドローンの機

先端技術イノベーションラボ(通称Ds-Labo )

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大分県電子県庁推進本部 12

器開発に携わることのできる人材育成に取り組むとともに、関連企業によるドロー

ンを操縦してサービスを提供することのできるパイロットの育成を促す。

ⅲ ドローンの普及

・ドローン産業の技術の発展と用途の拡大を踏まえた事業化モデルやビジネス事例、

要素技術などの研修や、様々な機会とツールを用いた県産ドローン等の情報発信を

積極的に行う。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、県内企業からドローンを累計5,000機出

荷する。(平成29年度(2017年度)末時点:75機)

② スマート農林水産業

Ⅰ.現状と課題

県内の農林水産業の現場では、年々担い手の高齢化が進み、労働力不足が深刻となって

いる。そのため、ICT 等を利用した作業の省力化や軽労化を進めるとともに、匠の技術の

「見える化」を通して、技術の平準化による高品質生産や新規就農者への技術の継承等を

実現することが重要な課題となっている。

Ⅱ.取組の方向性

今後5年先を目標に、ロボット技術や ICT を活用した超省力・高品質生産を実現する新

たな農林水産業(スマート農林水産業)の実現に向け、水田農業、園芸、畜産、林業、水

産の分野毎に以下のとおり取り組む。

ⅰ 水田農業分野

・水田作経営体に、作業データの蓄積、作業者間の情報共有、生産原価の把握のため

に圃場管理システムの導入を推進する。 ・収量コンバインや GPS 農機、ドローン等の高機能農機を活用し、収量・品質の向

上、作業の自動化・省力化・軽労化を図る。

ⅱ 園芸分野

・生産性向上や効率的な出荷調整を可能にするモニタリングシステムの導入を推進

する。 ・選果・選別場で不足する労働力を補うため AI・ロボット技術の導入を推進する。

・施設園芸では、きめ細かな栽培管理を実現できる高度な環境制御技術の導入によ

り、収量や品質の向上を図る。

・露地園芸では、効率的な機械化体系や圃場管理システムの導入を進める。

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大分県電子県庁推進本部 13

ⅲ 畜産分野

・和牛繁殖において分娩間隔が全国平均より長いという課題に対して、大分県独自の

「スマート繁殖管理システム」を開発し、分娩間隔の短縮を目指す。

ⅳ 林業分野

・森林 GIS(資源情報システム)に 3D レーザースキャナや航空レーザー測量等の新技

術を活用した精密情報を整備して、森林情報の「見える化」を進め、森林所有者の山林

経営の高度化・簡便化に資する。

・生産の現場では、先進機械の導入による労働安全の向上と生産の効率化を進める。

ⅴ 水産分野 ・自動昇降式クロロテック、次世代型高感度観測装置を利用して赤潮の早期予想・リス

ク判断技術を高度化し被害軽減を目指す。

・養殖業において、センサー等によるデータ収集を進め、飼育や出荷の調整、環境改

善等に活かすことにより、コスト削減や高付加価値化、生産量の拡大に役立てる。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、スマート農林水産業技術を累計420経営体

に導入する。(平成30年(2018年)1月時点:130経営体)

③ i-Construction

Ⅰ.現状と課題

県内の建設業就業者数は平成7年(1995年)の約 73,000 人から平成27年(20

15年)には約 46,000 人と20年間で約 27,000 人も減少している。また、その年齢構成

は55歳以上が全体の4割を超え高年齢化が進んでいる一方で、29歳以下は約1割と

若者の入職が少ない、定着しないという実態もあり、今後、高年齢層の離職に伴い、労働

力不足はますます深刻になると想定される。

着実な社会資本の整備に加え、急速に老朽化が進む各種施設に対する点検、診断、修繕、

さらには近年多発している災害への対応など、建設産業の担う役割は大きいにもかかわ

らず、これまで建設産業では、「一品受注生産」、「現地屋外生産」、「労働集約型生産」と

いった特性により、生産性の向上が進まなかったという実態がある。

このような状況の下、国土交通省では労働者の減少を上回る生産性の向上と希望がも

てる新たな建設現場の実現を目指し、20の生産性革命プロジェクトを選定し、その一つ

として、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新のあらゆる建設生産プロセスに

おいて ICT 技術を活用する i-Construction の取組を進めている。

これを受け、県では、平成29年度(2017年度)から県発注工事において ICT 試行

工事を実施し、公共工事における ICT 技術の活用機会を設けたほか、県内建設業者が生産

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大分県電子県庁推進本部 14

性向上に資する機器等を導入する際の支援を行っている。民間企業では、橋梁点検におけ

るドローンの活用についての開発が進められている。

今後はこうした取組をさらに推進し、県内建設事業者の生産性向上につなげていく必

要がある。

Ⅱ.取組の方向性

国土交通省が進める i-Construction の取組と軌を一にし、建設業界が i-Construction

に対する認識を高めるための啓発活動、建設業者が ICT を導入するにあたってのハード・

ソフト両面での支援及び ICT 活用の場の拡大を図っていく。

ⅰ 啓発活動

・県内で行う ICT 工事の現場見学会を行い、建設業者の意識向上に取り組む。

・IT 技術者を対象としたセミナーや人材塾、研修会を開催する。

ⅱ 建設業者に対する ICT 導入への支援

・建設現場の生産性向上に資する機器の導入に向けた支援を行う。

・i-Construction に関する研修を実施するとともに、さまざまな機関が開催している

研修、セミナーについて情報提供を行い、人材育成に対する支援を行う。

ⅲ ICT 活用の場づくり

・ICT 試行工事を継続して実施し、施工現場を確保する。

・施設点検におけるドローンの活用の可能性を検討する。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)までに、ICT 活用工事を累計10件実施する。

(平成30年度(2018年度)末時点:4件)

ドローンによるインフラ点検

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大分県電子県庁推進本部 15

中小企業・小規模事業者等の情報リテラシーの向上と IT 化の推進

Ⅰ.現状と課題

IoT の進展により発生するデータ量が飛躍的に増加し、企業や業種の枠を超えたデータ

活用の必要性が議論される一方で、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業等」という。)

の ITへの投資は長年低迷しており、エクセルやワードといったソフトウェアでさえ利活

用できていない企業がまだ多く残されている状況である。こうした企業は、自社内でのデ

ータ活用も進んでいないことが容易に推測される。

IT の導入・利用を進めようとする際の課題として、多くの中小企業等が挙げているの

がコスト負担と導入効果がわからないことである。続いて従業員が ITを使いこなせない

ことを挙げる企業も多い。

このような傾向は、県内の中小企業や農林水産事業者においても概ね同様であると考

えられる。今後、県内中小企業等の生産性向上を図るうえで、IT の導入促進は不可欠な

要素と言えるが、そのためには県内中小企業等の経営者や従業員の情報リテラシーを向

上させる地道な取組が必要である。また、IT 化を進めるためには、導入時の負担軽減策

に加え、丁寧な説明や導入後のサポートが必要となってくる。

Ⅱ.取組の方向性

商工団体や IT ベンダー等と連携し、中小企業等に役立つ IT ツールや優良事例、支援

制度の周知・活用を図る。 ⅰ 中小企業等の情報リテラシーの向上支援

・商工団体や IT 専門家等と連携し、活用可能なソフトウェア等の IT ツールや費用対

効果の高い優良事例、各種支援制度などのよりきめ細かく、わかりやすい方法による

周知に努める。

ⅱ 中小企業等の IT 導入支援

・国が予算化する IT導入支援制度について、中小企業等に広範なネットワークを有す

る商工団体や、身近なサポートができる IT専門家、 IT ベンダーへの周知を図るこ

とにより、支援制度の積極的な活用を促し、中小企業等のソフトウェア等の導入を促

進する。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)まで毎年度、国の支援制度について全国に占める県内企

業の利用件数の割合を1%以上にする。(平成28年度補正 IT導入補助金:0.87%)

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大分県電子県庁推進本部 16

IT 人材の確保・育成

Ⅰ.現状と課題

インターネットなど情報通信基盤の発展に伴い、企業活動における ITの役割は、バッ

クオフィス業務から販路開拓や顧客管理・分析へと広がりを見せており、IT 産業の市場

規模は年々拡大している。また、第4次産業革命の進展に伴い、IoT や AI 等の先端 IT技

術の中核的担い手である IT 産業の役割は、今後ますます大きくなっていくものと考えら

れる。このように IT 産業の経済活動における存在感が高まる一方、業界の人手不足は全

国的に深刻化している。

この傾向は県内においても同様であり、県内 IT 企業へのヒアリング調査からも、多く

の企業が人材の確保に苦戦する状況が明白となっている。

現状、県内 IT企業は、即戦力となる社会人経験者への求人ニーズが強い傾向にあるが、

人材の確保がますます困難となる中、今後は新卒学生へもそのターゲットを広げていく

必要がある。また、全国的に IT 人材の争奪戦とも言える状況が生まれつつある状況下に

おいて、十分な人材を確保していくためには、一般的なルートの求人だけでなく、自ら即

戦力となる IT人材を育成したり、IT 人材のネットワークを活用するなどの工夫も必要に

なってくると考えられる。

加えて、多くのモノがインターネットにつながる IoT の進展により、世界同時多発サイ

バー攻撃や、多様化するコンピューターウイルスへの対応など、情報セキュリティの重要

性が増しており、IT 企業はもちろん、IT のユーザーとなる中小企業においても、情報セ

キュリティ人材の確保が大きな課題となりつつある。

さらに、第4次産業革命が進行する中、IT 人材には、データの分析・活用を行うデー

タアナリストやデータサイエンティスト、あるいは新たなビジネスモデルを開発するイ

ノベーターとしての役割も期待されており、こうした社会のニーズに応える人材を育成

していくことも今後の重要な課題である。

(参考)

IT 産業における人材不足の状況

・「IT人材の量に対する過不足感」(IPA「IT 人材白書 2018」)

2017 年度;大幅に不足 29.5%+やや不足 61.0%=90.5%

・「IT人材の質に対する過不足感」(IPA「IT 人材白書 2018」)

2017 年度;大幅に不足 29.7%+やや不足 63.2%=92.9%

・「人手不足に対する企業の動向調査-情報サービス業」(帝国DB)

2018 年 1 月;74.0%(全産業中トップ)※2017 年 1 月;65.6%

・県内通信・情報業での人員状況不足感(500 社企業訪問における聴き取り)

2017 年秋;51 社中 39社が不足と回答(76.5%)※全業種では 58.5%

Ⅱ.取組の方向性

人手不足の傾向が強まる中、短期的には、高等学校や大学・専門学校との連携により、

県内企業の IT人材確保を支援するほか、社会人を対象とした即戦力人材の育成にも取り

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大分県電子県庁推進本部 17

組む。また、県内外の IT人材交流の場づくりに取り組み、県内人材の育成や県外人材の

呼び込みへとつなげていくほか、IoT の進展等に対応する情報セキュリティ人材について、

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と連携し、育成を進める。

中長期的には、第4次産業革命に対応する人材を育成するため、産学官の連携により、

変化する社会のニーズに応える人材育成に取り組む。

ⅰ IT 人材の確保・育成

・県内の高校生等を対象とした IT 業界出前授業等を行うとともに、IT を活用した課

題解決アイデアを提案するワークショップなどを通じ、若年層に対する県内 IT企業

の認知度向上に取り組む。

・県内の IT 企業が共同で行う IT 人材育成への取組を支援する。

・IT 技術者を対象としたセミナーや研修会を開催し、人材のネットワーク化及び交流

を促進する。

・県外 IT企業による開発合宿やハッカソン開催等において、県内企業との連携を推進

するほか、首都圏での県内 IT企業 PR 等により県内外の IT企業、人材の交流を促進

する。

・IT 企業だけでなく各分野の企業におけるセキュリティ人材を育成するため、情報セ

キュリティに関するセミナーや、資格試験対策講座を開催する。

・高等教育機関や研究機関、企業と連携し、製造業など様々な分野において、IT や

IoT、AI などを活用できる人材を育成する。

ⅱ 未来を担う人材の教育

・学校教育課程において、発達段階に応じた情報活用能力の育成を図るとともに、

ICT を活用した問題解決的な展開の授業を実施し、主体的・対話的な学びを推進する。

・子どもたちの論理的な思考力や問題解決能力などを育むプログラミング教育を学校

の授業の中で推進し、新たな価値を生み出す想像力を育成する。

・先端技術に触れる機会を増やし、ITや科学への興味、関心を高める。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、IT 人材の確保・育成事業に参加する企業数

を累計60社にする。

・平成33年度(2021年度)末までに、情報セキュリティマネジメント試験合格者

を累計 1,000 人にする。(平成30年(2018年)6月時点:222 人)

・平成33年度(2021年度)末までに、未来を切り拓く意欲を持つ児童生徒の割合

を小学生 82.0%以上、中学生 72.0%以上にする。

(平成26年度(2014年度)時点:小学生 74.0%、中学生 65.7%)

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大分県電子県庁推進本部 18

IT 企業の誘致

Ⅰ.現状と課題

国の進める働き方改革や情報通信技術の発達により、都市部の IT企業等においては地

方にサテライトオフィスを開設する傾向が高まっている。

本県への IT 産業の誘致件数も、平成26年度(2014年度):0件、平成27年度

(2015年度):3件、平成28年度(2016年度):3件、平成29年度(2017

年度):5件と増加傾向にある。

一方で、離島や中山間地域など条件不利地域の地方公共団体では、都市部の IT企業の

ニーズを十分捉えきれているとは言い難く、オフィスなどのインフラ整備を含め、一層の

工夫と努力が求められる状況にある。

Ⅱ.取組の方向性

第4次産業革命の動きが活発化するなか、場所や時間にとらわれない企業活動が可能

になり、それだけ企業誘致の可能性も広がっている。

今後は第4次産業革命等の時代の流れに対応し、視点を広げて様々な業種、いろいろな

地域に企業誘致を進めていく。特に、市町村と連携し、離島や中山間地域といった条件不

利地域の通信インフラ整備を行い、IT企業等のサテライトオフィスの誘致に取り組む。

また、市町村と連携した迅速なワンストップサービスなど、受入体制の充実を図るとと

もに、企業訪問等を通じて地道できめ細やかなフォローアップを行うことにより、進出企

業の満足度を一層高めていく。

ⅰ 受入体制の充実

・市町村や県外事務所と連携した迅速なワンストップサービスを徹底し、IT 企業の受

入体制の充実を図る。

・進出している企業への訪問活動等を通じた、きめ細やかなフォローアップにより、

進出企業の満足度を高める。

ⅱ 離島や中山間地域など条件不利地域へのサテライトオフィスの誘致促進

・市町村の行うサテライトオフィス整備の支援を行う。

・県外事務所等と連携し、条件不利地域への企業誘致に重点的に取り組む。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)まで毎年度、25件以上の企業を誘致する(IT 企業を

含む)。(平成26年度(2014年度)基準値:20件)

姫島 IT アイランドセンター

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大分県電子県庁推進本部 19

行政分野 行政手続のオンライン化推進

Ⅰ.現状と課題

電子県庁、電子自治体を実現するため、住民・企業がインターネットを通じて24時間

365日、いつでも申請や届出などの行政サービスを受けられることを可能とする「電子

申請等受付システム」について、平成16年(2004年)10月1日から県及び県内市

町村と共同で構築・運用を行っている。

平成21年度(2009年度)からは、市町村との共同利用は継続したまま ASP サービ

スへの移行を行うとともに、利便性のさらなる向上を図るため、申請様式を簡略化できる

簡易申請機能を追加するなど、行政事務における適用の幅を拡げてきた。

また、平成29年度(2017年度)からは、自動車購入(登録)時に必要な税の申告

手続や車庫証明申請など、行政機関の手続をオンライン上で常時一括して行うことがで

きるワンストップサービスを開始するなど、サービスの充実も図っている。

現在まで、対象手続やシステム構成の見直しにより、平成16年度(2004年度)の

申請件数964件、利用率0.44%、申請手続数8件に対し、平成29年度(2017

年度)は申請件数63,960件、利用率30.4%、申請手続数872件と増加してい

る。

しかしながら、行政手続全体の中では利用できる手続が少ないなどの課題もあり、電子

化された手続の利用率を上げるともに、国が現在検討中のデジタルファースト法案の動

向も踏まえ、手続そのもののさらなる電子化にも努める必要がある。

Ⅱ.取組の方向性

平成21年度(2009年度)から導入した簡易申請機能は、スマートフォンなどの携

帯端末からもアクセスでき、パソコンの環境がなくてもこの簡易申請が利用可能である。

こうした機能の拡大を図ることにより、利用者の利便性を向上させる必要がある。

また、各種申請事務を担当する職員に対し、簡易申請機能による利便性向上についての

理解を促進し、行政事務の一層の電子化を図る。

ⅰ 電子申請利用率の向上に向けた取組

・パソコンやスマートフォンから利用できる簡易申請機能について、電子申請で対応

可能な手続を増やす。

・各種手続案内などの紙媒体に QRコードを印刷するなど、利用者のアクセスに関する

利便性を向上させる。

ⅱ 電子申請対象手続の拡大に向けた取組

・簡易申請機能の活用や様式作成に係る操作研修会等を通じて、電子申請が可能な手

続の拡大を図る。

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Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、電子申請利用率(※)を40.0%以上に

する。(平成29年度末時点:30.4%)

・平成33年度(2021年度)末までに、電子申請等受付システムの対象手続数を

1,000件以上にする。(平成29年度末時点:872件)

※電子申請利用率=電子申請件数/電子申請が可能な手続の申請件数

オープンデータの推進 Ⅰ.現状と課題

オープンデータとは、国や地方公共団体、事業者が保有するデータを、誰もがインター

ネット等を通じて容易に利用できるよう公開する取組のことであり、地方公共団体にお

いては、住民や企業が行政データ等を活用することにより、地域が抱える課題の解決につ

ながることが期待されている。

官民データ活用推進基本法では、国や地方公共団体にオープンデータの実施を義務づ

けるとともに、平成29年(2017年)に策定した「世界最先端 IT 国家創造宣言・官

民データ活用推進基本計画」においては、平成32年度(2020年度)までに全ての地

方公共団体がオープンデータの取組を実施するという目標が掲げられている。

県内の地方公共団体は、そのホームページを通して既に多くのデータを公開している

ものの、二次利用が可能である旨の明示や、機械判読に適したものといったオープンデー

タの定義に適した形で公開されているデータは、まだ少ない状況である。

また、データをより利用しやすくするためには、語彙やメタデータなどのデータ形式に

ついて共通化したものを採用したり、地図データ上に表示したりするといった工夫や、1

団体だけでなく複数の団体が保有するデータをまとめるなどの配慮も必要となってくる

と考えられる。

国では、国勢調査、経済センサスなどの統計や民間がもつデータを集約し、地域の産業

や観光、まちづくりなどに役立つ情報を、グラフや地域比較などの方法でわかりやすく表

示する地域経済分析システム「RESAS」を開発し、Web 上で閲覧可能な環境を整えて

おり、地方公共団体や県民、企業・団体における有効活用が進んでいるところである。

県では、平成29年(2017年)12月にオープンデータサイトを立ち上げたところ

であるが、県民や企業によるデータ活用の促進に向け、公開するデータ数の拡大や、公開

方法の充実に取り組んでいく必要がある。

Ⅱ.取組の方向性

県が保有するデータについて、オープンデータの要件に該当する形での公開を拡大す

るとともに、データ形式や表示方法について、より利用しやすい形での公開を行い、県民

や企業・団体の活用を促す。

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大分県電子県庁推進本部 21

また、県だけでなく県内の市町村等にも情報提供や働きかけを行い、公開の方法につい

て連携した取組を推進する。

地域経済分析システム「RESAS」について、地方公共団体におけるデータに裏付け

られた根拠に基づく政策立案・評価(EBPM:Evidence-Based Policy Making)、県民、企

業・団体における地方創生に向けた取組検討等での有効活用を更に進める。

ⅰ オープンデータの拡充

・二次利用可能のルールを適用した公開データ数を増やすとともに、機械判読により

適した形式での公開を進める。また、県民や企業・団体にとって利便性の高いカタロ

グサイトを構築する。

・未公開のデータについては、加工に要するコスト等を勘案し、その公開を推進する。

ⅱ オープンデータの活用促進

・オープンデータを活用したアプリケーション開発などを促し、地域課題の解決に役

立つプロジェクトを創出する。

ⅲ 地域経済分析システム「RESAS」の活用促進

・地方公共団体職員や県民、企業・団体等に対し、地域経済分析システム「RESA

S」の機能や活用方法に関する周知や研修を実施する。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、オープンデータサイトのデータを活用した

サービスやアプリケーションの数を累計5件にする。

(平成30年(2018年)11月末時点:0件)

・平成33年度(2021年度)末までに、オープンデータ取組済の市町村割合を

100%にする。(平成30年(2018年)11月末時点:5%)

マイナンバー制度とマイナンバーカードの普及・活用 Ⅰ.現状と課題

マイナンバー制度は、添付書類の削減など行政手続が簡素化されることによる「国民の

利便性の向上」や、他の行政サービスの受給状況などが把握しやすくなり、本当に困って

いる方にきめ細やかな支援を行えることによる「公平・公正な社会の実現」、複数の機関

がそれぞれ管理している同一人の情報をオンラインで相互に活用できることによる「行

政の効率化」を実現するための基盤である。

また、マイナンバーカード(以下「カード」という。)には、社会保障・税・災害対策

における行政手続で使用するマイナンバーが記載されているほか、電子証明書を記載し

たICチップが登載されており、この部分については、オンラインでの住宅ローン申込み

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大分県電子県庁推進本部 22

など民間事業者も含め様々な用途に利用可能となっている。

県においては、これまで、法令に基づき制度を導入し、情報連携による添付書類の削減

等の行政手続の簡素化を進めてきた。また、カードの県立図書館利用者カードとしての活

用を開始したほか、市町村立図書館利用者カードの活用や住民票の写しなどがカードを

使って取得できるコンビニ交付サービスの導入に向けた市町村説明会の開催、カードの

普及促進に向けた市町村と共同による街頭啓発、カード所有者の金利を優遇する定期預

金の県内金融機関との共同開発などに取り組んできた。

そうした中、県内のカード交付率は、平成30年(2018年)11月末現在10.7

3%と、全国平均の12.25%を下回っており、伸び率も国の1.4%に比べ1.3%

(前年同月比)と低調である。また、コンビニ交付サービス導入については、市町村の費

用負担、マイキープラットフォームについては、運用経費のあり方(自治体の負担割合)

が不明確であるなどの課題も残されている。

国においては、カードを活用した国民生活の利便性を向上させるため、カードの健康保

険証としての活用、マイナポータルを通じ自らの健康状態・服薬履歴等(PHR)を把握で

きる仕組み、戸籍事務などへのマイナンバー制度の活用などが、今後開始されることとな

っている。また、地域のキャッシュレス化を伴う新たな地域活性化策や避難所入退所管理

についても検討を行うとされており、カード活用の場は更に広がっていくこととなる。

県においてもカードの普及と利便性の向上に資する取組を、更に推進していく意義が

ある。

Ⅱ.取組の方向性

県や市町村における情報連携可能な事務手続の適切な運用を徹底するとともに、マイ

ナンバー制度の県民への積極的な周知活動を展開する。

また、カードの取得促進、コンビニ交付サービスの導入やマイキープラットフォームの

活用を推進していく。

ⅰ 情報連携等による行政手続簡素化の徹底

・県民の利便性向上のため、情報連携を行えていない県・市町村の行政手続の課題等

を整理・検討し、早期の運用開始を促進する。

・マイナンバー制度を広く県民に理解してもらうため、市町村と連携し、各種広報媒体

(新聞、ラジオ、HP、広報誌等)を活用して積極的な周知活動を行う。

ⅱ カードの交付申請手続補助等による取得促進

・カードの交付申請手続補助(※)の取組事例を市町村に紹介、横展開を促す。

※申請書に添付する写真の無料撮影や企業等にてオンライン申請を行える場の設置など

・県の広報紙により年1回以上カード利用の最新情報を掲載するなどの広報を行い、

取得促進を図る。

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大分県電子県庁推進本部 23

ⅲ コンビニ交付サービスの導入促進

・市町村へコンビニ交付サービスに係る最新の技術動向や必要な経費、財政措置等に

関する情報収集を行うことにより、未導入市町村への導入を促す。

ⅳ マイキープラットフォーム構想の推進

・カードを県立図書館の利用者カードとして導入した事例を他の公共施設へ紹介する

ことにより、マイキープラットフォーム活用の横展開を図る。

・市町村施設における活用の取組に関し、運用についての情報提供を行う。

・自治体ポイントについて、市町村や商工団体等に対して全国の取組事例などの情報

提供を行い、導入を働きかける。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、情報連携により省略できる添付書類数を

100%にする。

(平成30年(2018年)11月末時点:89.8%(491/547))

・平成33年度(2021年度)末までに、大分県のカード交付率を全国平均値以上に

する。

(平成30年(2018年)11月末時点:全国平均12.25% 県10.73%)

出典:「マイキープラットフォームの運用開始等」の参考資料 平成29年9月21日 総務省

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大分県電子県庁推進本部 24

デジタルデバイド対策 ① 情報通信基盤の整備促進

Ⅰ.現状と課題

県では、地域における情報通信格差、いわゆるデジタルデバイドを是正するため、市町

村と連携した「豊の国ハイパーネットワーク」など自治体が所有する光ファイバー網の貸

付けや、国の補助事業を活用したブロードバンドサービスや携帯電話通話エリアの拡大、

地域ケーブルテレビ網の整備促進、公共施設等における Wi-Fi エリアの拡大などに取り

組んだ結果、超高速ブロードバンド(通信速度が 30Mbps 以上のインターネットサービス)

世帯カバー率は100%(平成27年(2015年)3月末:総務省推計)、携帯電話通

話エリア世帯カバー率は99.97%(平成30年(2018年)3月末:県推計)を達

成している。

今後も、残存する携帯電話不感地域への対応など、条件不利地域における情報通信基盤

のさらなる整備、また、大規模災害時における被災地域との通信手段の確保に取り組んで

いく必要がある。

他方で、第4次産業革命の進展は、IoT で発生する膨大なビッグデータの処理や、AI を

搭載したロボット、自動運転など、新たなニーズやコンテンツを登場させており、より高

速、低遅延な通信規格、あるいは低消費電力、低容量の通信規格など、情報通信基盤のさ

らなる進化を促そうとしている。

しかしながら、現状では、次世代携帯通信規格である 5G や通信コストを抑えた LPWA な

ど新たな通信規格の実証や整備に向けた動きは、大都市圏に集中する傾向があり、今後大

都市圏と地方において新たなデジタルデバイドが生じることが危惧される状況にある。

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大分県電子県庁推進本部 25

Ⅱ.取組の方向性

市町村と連携し、携帯電話不感地域の解消や、条件不利地域における光ファイバーの整

備に取り組む。また、〝OITA4.0〟の実現に向け、FTTH や LTE、Wi-Fi など既存の情報通

信基盤の強化や拡大に加え、5G や LPWA など新たな通信規格の実証に取り組む。

ⅰ 山間部や離島などの条件不利地域での情報通信基盤の整備

・携帯電話基地局施設等を整備する市町村に対する助成により、携帯電話不感地域の

解消に取り組む。土砂災害危険箇所などハザードマップに表示されている地域の中

にある携帯電話不感地域については、市町村に対し、その早期解消を特に働きかけて

いく。

・山間部や離島などの条件不利地域の市町村等に対し、光ファイバーなど超高速の情

報通信基盤の整備を積極的に働きかけていく。

ⅱ 第4次産業革命に対応する新たな情報通信基盤の整備に向けた実証の推進

・通信事業者と連携し、遠隔ロボットや自動運転、VR と連携したエンターテイメント

などの実現に必要となる 5G の実証実験に取り組む。

・高齢者の見守り、障がい者の外出支援、アウトドアレジャーのサービス向上などに

役立つ情報収集を行うため、LPWA の実証実験に取り組む。

・IoT 等のプロジェクト創出の促進に向け、県が所有する光ファイバーの有効活用も

検討する。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、携帯電話世帯カバー率を99.98%以上に

する。(平成30年(2018年)3月末時点:99.97%)

・平成33年度(2021年度)末までに、5G や LPWA の実証実験を累計4件実施する。

(平成30年(2018年)3月末時点:0件)

② ホームページアクセシビリティの向上

Ⅰ.現状と課題

高度情報化社会の進展により、大多数の人がパソコンやスマートフォンを所有し、情報

収集の手段はインターネットによるものが多数を占め、あらゆる情報サービスがインタ

ーネットの利用を前提としつつある。行政機関にとっても Web サイトによる情報発信手

段は必要不可欠なものになっており、今後その重要性はますます高まるものと考えられ

る。

人口減少や高齢化により、地域社会における人々のつながりが希薄化していく中、地域

情報の収集を主に広報誌等の紙媒体に依存している高齢者にも Web サイトの活用は重要

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大分県電子県庁推進本部 26

になってくる。特に、大雨等による災害発生の頻度が増していることから、行政機関によ

る避難情報など災害関連情報の発信は迅速かつ確実に県民に伝達する必要がある。

また、平成28年(2016年)4月の障害者差別解消法の施行により、障がい者や障

がい者施策に関する情報提供及び緊急時における情報提供等を行う際には、字幕・音声等

の適切な活用や、知的障がい者、精神障がい者等にもわかりやすい情報提供も求められて

いる。 さらに、本県は外国人留学生の人口に占める割合が高く、留学生等外国人に対しても、

生活関連情報や緊急情報等を伝達するため、行政機関の Web サイトの多言語化の推進も

必要となっている。

こうした状況の中、高齢者や障がい者、外国人などインターネットやパソコン等の情報

通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差(デジタルデバイド)の問

題も新たに生じており、その解消は重要な課題である。

Ⅱ.取組の方向性

県庁ホームページについては、リアルタイムに更新できる Web サイトの特性を活かし

て、引き続き積極的な情報発信に取り組んでいくとともに、誰もが見やすく使いやすい

Web サイト作りに努めていく。

○ 県庁のホームページのアクセシビリティの向上

・高齢者や障がい者、外国人等を含めた誰もが利用できるよう、「みんなの公共サイト

運用ガイドライン」に基づき、キーボードのみで操作可能な仕様の採用、動画への字

幕や画像への音声解説の付与等を行い、JIS 規格適合レベル AA に準拠するよう改善

を図る。

・日本語の理解が十分でない留学生等外国人に対応するため、県庁ホームページの多

言語化を進める。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末までに、大分県 Web サイトを JIS 規格の適合レベル

AA へ準拠させ、その水準を維持する。

ICT による業務効率化

Ⅰ.現状と課題

県ではこれまで、土木や農業普及現場でのタブレット型端末の活用のほか、出張先でも

一定の業務が行えるサテライト・オフィス(本庁及び3か所の地方機関)の設置や、テレ

ビ会議システム(防災映像システム)を活用した会議や研修会の開催を推進してきたとこ

ろである。また、平成29年度(2017年度)からは個人所有のスマートフォンから庁

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大分県電子県庁推進本部 27

内システムを閲覧できる機能の整備も行っている。

これらの取組により、庁外からの庁内システムへのアクセスやデータ利用が可能とな

り、資料の印刷時間の削減のほか、出張時の空き時間の有効活用や、地方機関で勤務する

職員の旅費や移動時間の削減といった負担軽減など、業務の効率化が図られているとこ

ろである。

しかしながら、行政事務においては、法令等で定められた様式により、住民等から申請

された内容をシステムに入力する作業や、他機関等から送られてきた電子データを紙印

刷し、別のシステムに手作業で入力するといった単純かつ煩雑な作業も存在し、こうした

作業のために多くの時間やコストを費やしている現状もある。人的作業による入力ミス

の発生など正確性の確保も課題である。

また、近年頻発する災害対応業務は、重要な行政事務の一つであるが、災害情報の有無

や情報伝達の遅れは、避難行動や避難所生活等の場面で人命に大きく影響を及ぼすため、

現場の状況やニーズを把握し、その都度、迅速適切な対応を行うことが求められる。加え

て、災害時には各部局、市町村や数多くの関係機関等が同時並行的に活動するため、状況

認識を統一し、各々が的確な活動を行うことが求められることから、お互いの持つ情報の

共有・利活用が必要となる。これらの業務の支援をするため、ICT の効果的な活用は欠か

せない。

今後、限られた職員数で複雑・多様化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応していくた

めには、より一層の ICT を活用した業務効率化が求められる。

Ⅱ.取組の方向性

モバイルワーク、サテライト・オフィス、テレビ会議などこれまで導入してきた ICT に

よる業務効率化の取組を一層推進する。また、RPA や AI など新たなツールを活用し、定

型業務の自動化を進め、業務効率化の領域を拡大していく。

ⅰ モバイルワークの推進

・タブレット型端末等を現場や会議で活用するモバイルワークの有効性を検証し、機

能の拡張や導入台数の拡大を図る。

・スマートフォン等を活用した庁内e-オフィスシステムの利用者数の拡大を図る。

ⅱ サテライト・オフィスの利用促進

・制度内容や活用事例等の周知を行い、サテライト・オフィスの利用促進を図る。

ⅲ テレビ会議等の利用拡大

・平成30年度(2018年度)に全庁を挙げて会議の見直しを実施し、地方機関や

市町村を対象とする会議についてはテレビ会議への移行を図る。

ⅳ ICT による災害対応支援

・「災害対応支援システム」で、県内市町村等と災害対応に必要な情報について連携・

共有を図るとともに、国や関係機関との情報の収集、整理、共有についても、ICT を

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大分県電子県庁推進本部 28

積極的に活用し、連携・共有に努める。

・「被災者台帳システム」の活用等、災害時に発生する罹災証明の発行等事務の効率化

を図る。

・ドローンや SNS 情報の活用等、災害対応に必要な情報収集に ICT を積極的に活用し

ていく。

・「県民向け防災アプリ(仮称)」により、気象情報、避難所情報、ハザードマップ情

報等を積極的に提供し、県民の安全・安心を図る。

ⅴ RPA(Robotic Process Automation)・AI 導入の検討

・他自治体や民間企業の導入事例について、業務内容やツールの調査を実施する。

・業務プロセスの見直しやデモンストレーションを実施のうえ、RPA・AI の試行運用を

行う。

ⅵ 情報システム間の連携強化

・情報システムを新規に導入又は改修する際は、システム間の連携を図るため、必要

に応じて API について検討する。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末まで毎年度、モバイルワークで使用するタブレット

型端末の使用計画を達成した所属の割合を100%にする。

・平成33年度(2021年度)末まで毎年度、地方機関や市町村とのテレビ会議等に

より実施可能な会議(※)のテレビ会議等開催率を100%にする。

※実施可能な会議例

○複数の地方機関と県庁間で意見交換を行うもの

(遠隔地の職員同士が職員の机上に配備されたノート型パソコンなどを活用しリアルタ

イムで会議できる「テレビ会議システム(双方向)」を活用)

○県庁より情報を一方的に伝達するもの

(ビデオカメラで撮影している映像を県と市町村の各機関へリアルタイムで配信できる

「テレビ会議システム(片方向)」を活用) 等

情報セキュリティ対策 Ⅰ.現状と課題

地方公共団体は、県民の個人情報や民間企業の経営情報等の重要情報を多数保有し、そ

の情報に基づいて、住民生活や社会経済活動の維持、向上を図る行政サービスを提供して

いる。業務の多くを情報システムやネットワークに依存する環境の中で、行政サービスを

継続していくためには、情報セキュリティ対策を講じて、その保有する情報を守ることが

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大分県電子県庁推進本部 29

必要である。

そのため、本県においては、情報セキュリティ対策の基本的な方針である「大分県情報

セキュリティポリシー」を策定し、個人情報の保護に配慮した庁内ネットワークの分割や、

市町村と共同してセキュリティ対策を運用する自治体情報セキュリティクラウドの構築、

さらには個人情報保護監査の実施などの取組を行ってきたところである。

しかしながら、行政手続の電子化等で今後更なる IT 化が進めば、ウイルス等情報セキ

ュリティへの脅威は、一層高まるものと考えられる。

そのため、情報セキュリティ対策の実効性を高めるとともに、職員一人一人の情報セキ

ュリティに対する意識の向上に取り組んでいく必要がある。

Ⅱ.取組の方向性

大分県情報セキュリティポリシーを情勢の変化に応じて適宜見直していくとともに、

その方針に基づき、対策レベルの一層の強化と、職員の情報リテラシーの向上に取り組む。

ⅰ 対策レベルの強化

・専門的な知識や技術を身につけるため、外部機関等が実施する情報セキュリティ研

修や e-ラーニングによる「サイバー攻撃防御演習」などの受講を推進する。

ⅱ 職員の情報リテラシー向上

・情報セキュリティ研修を行い、職員一人一人の情報セキュリティに対する意識の向

上を図る。

Ⅲ.KPI

・平成33年度(2021年度)末まで、職員による個人情報漏洩等の重大な情報セキ

ュリティインシデントの発生件数0件を維持する。

(平成29年度(2017年度)末現在:0件)

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大分県電子県庁推進本部 30

■個別施策のKPI一覧

民間分野

(1) 革新的技術の活用促進

【横断的取組】

・平成33年度(2021年度)までに、IoT等のプロジェクトを以下のとおり事業化する。 平成31年度(2019年度):8件  平成32年度(2020年度):10件  平成33年度(2021年度):10件 (平成28年度(2016年度):0件)

① ITやIoT等の革新的技術を活用したプロジェクトの創出

【分野別取組】

① ドローン産業の振興

・平成33年度(2021年度)末までに、県内企業からドローンを累計5,000機出荷する。 (平成29年度(2017年度)末時点:75機)

・平成33年度(2021年度)末までに、スマート農林水産業技術を累計で420経営体に導入する。 (平成30年(2018年)1月時点:130経営体)

② スマート農林水産業

③ i-Construction

・平成33年度(2021年度)までに、ICT活用工事を累計10件実施する。 (平成30年度(2018年度)末時点:4件)

(2) 中小企業・小規模事業者等の情報リテラシーの向上とIT化の推進

・平成33年度(2021年度)まで毎年度、国の支援制度について全国に占める県内企業の利用件数 の割合を1%以上にする。 (平成28年度補正IT導入補助金:0.87%)

・平成33年度(2021年度)末までに、IT人材の確保・育成事業に参加する企業数を累計60社にする。・平成33年度(2021年度)末までに、情報セキュリティマネジメント試験合格者を累計1,000人にする。 (平成30年(2018年)6月時点:222人)・平成33年度(2021年度)末までに、未来を切り拓く意欲を持つ児童生徒の割合を小学生82.0%以上、 中学生72.0%以上にする。 (平成26年度(2014年度)時点:小学生74.0%、中学生65.7%)

(3) IT人材の確保・育成

・平成33年度(2021年度)まで毎年度、25件以上の企業を誘致する(IT企業を含む)。 (平成26年度(2014年度)基準値:20件)

(4) IT企業の誘致

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大分県電子県庁推進本部 31

(1) 行政手続のオンライン化推進

行政分野

・平成33年度(2021年度)末まで毎年度、モバイルワークで使用するタブレット型端末の使用計画を 達成した所属の割合を100%にする。・平成33年度(2021年度)末まで毎年度、地方機関や市町村とのテレビ会議等により実施可能な会議 のテレビ会議等開催率を100%にする。

・平成33年度(2021年度)末まで、職員による個人情報漏洩等の重大な情報セキュリティインシデン トの発生件数0件を維持する。 (平成29年度(2017年度)末現在:0件)

(6)情報セキュリティ対策

② ホームページアクセシビリティの向上

(5) ICTによる業務効率化

・平成33年度(2021年度)末までに、携帯電話世帯カバー率を99.98%以上にする。 (平成30年(2018年)3月末時点:99.97%)・平成33年度(2021年度)末までに、5GやLPWAの実証実験を累計4件実施する。 (平成30年(2018年)3月末時点:0件)

・平成33年度(2021年度)末までに、大分県WebサイトをJIS規格の適合レベルAAへ準拠させ、 その水準を維持する。

・平成33年度(2021年度)末までに、オープンデータサイトのデータを活用したサービスやアプリケー ションの数を累計5件にする。 (平成30年(2018年)11月末時点:0件)・平成33年度(2021年度)末までに、オープンデータ取組済の市町村割合を100%にする。 (平成30年(2018年)11月末時点:5%)

(2) オープンデータの推進

・平成33年度(2021年度)末までに、情報連携により省略できる添付書類数を100%にする。 (平成30年(2018年)11月末時点:89.8%(491/547))・平成33年度(2021年度)末までに、大分県のカード交付率を全国平均値以上にする。 (平成30年(2018年)11月末時点:全国平均12.25% 県10.73%)

(3) マイナンバー制度とマイナンバーカードの普及・活用

① 情報通信基盤の整備促進

(4) デジタルデバイド対策

・平成33年度(2021年度)末までに、電子申請利用率を40.0%以上にする。 (平成29年度(2017年度)末時点:30.4%)・平成33年度(2021年度)末までに、電子申請等受付システムの対象手続数を1,000件以上にする。 (平成29年度(2017年度)末時点:872件)

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大分県電子県庁推進本部 32

■ 革新的技術やデータ活用で変わるわたしたちのくらし

□引っ越し時の水道利用開始届けや、○○市主催の△△教室の申し込みがスマートフォンからできるようになった。

□子どもが生まれたので、手続きしようと市役所に行った。ロビーにあるパソコンに問いかけると、必要な書類や窓口が画面にすぐ表示された。

□たまっていた○○カードのポイントが、マイナンバーカードを使うと地域のお店の買い物で使えるようになった。

□大好きな映画のダウンロードが3秒でできるようになった。

□ゴーグルをつけると、テレビのスポーツ観戦やコンサート視聴が360度の視点で楽しめるようになった。

■年をとってバスに乗って買い物に行くのもつらくなっていたけど、ボタン1つでドローンが家まで商品を届けてくれるようになった。

■病院に行かなくても、ロボットの画面にお医者さんが現れ、診察してくれるようになった。

□市役所が公開しているデータを利用したアプリをスマートフォンにダウンロードしておいたら、「明日は缶・ビン類のゴミ出し日ですよ」という連絡が届いた(危うく忘れるところだった…)。

毎日の生活がより便利に

毎日の生活がより楽しく

役所の手続がかんたんに

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大分県電子県庁推進本部 33

□書類の集計作業がボタン1つで自動的にできるようになった。おかげで月末も残業せずに済むようになった。

■工場の機械がすべてつながったので、シミュレーションが短時間でできるようになった。納期をすぐにはじき出せるので、昨日も急いでいるお客からの特注品を受注することができた。

■暑い中、畑の農薬散布や草刈りがたいへんだったけど、最近はドローンや自動草刈機がほとんどやってくれるようになった。

■建設現場の測量がドローンに、工事の多くが無人建機に変わり、危険な作業が減って、仕事のスピードがアップした。

■海で養殖している魚の大きさがカメラを通して事務所から測定できるようになった。ちょうどよい大きさに育ったタイミングで出荷ができるようになった。

仕事がスピーディ・スマートに

■独りぐらしのお年寄りの動きや、体温・血圧などのバイタルデータが、家族や病院で自動的にわかるようになった。

■駅のカメラに映った映像から、犯罪者がすぐに特定できるようになった。

■土地の3次元データや衛星データなどを使って、詳しい災害予測ができるようになった。

毎日の生活がより安全に

■地元でひそかに有名な居酒屋に行ってみた。メニューについているQRコードを読み取ると、母国語のメニューを見ることができた。

□県庁の外国語ホームページを見たら明日は泊まっているホテルの隣町でお祭りがあることがわかった。せっかくなので行ってみよう。

■東京から遠隔ロボットで大分の魚を釣り上げ、その魚を送ってもらったら、とてもおいしかった。今度実際に大分へ行ってみたくなった。

観光客もより楽しく

(注)■は本文中の民間分野、□は行政分野より

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大分県電子県庁推進本部 34

用語集 AI ..................... 1,2,6,7,12,16,17,24,27,28

Artificial Intelligence の略で人工知能

と訳される。学習・推論・判断といった

人間の知能の機能を備えたコンピュー

タシステム。音声・画像認識、翻訳、機

械制御、推論機能などの分野がある。今

後、様々な業務で人工知能の活用が見込

まれている。 API ....................................................... 28

Application Programming Interface の

略。あるコンピュータプログラム(ソフ

トウェア)の機能や管理するデータなど

を、外部の他のプログラムから呼び出し

て利用するための手順やデータ形式な

どを定めた仕組みのこと。 ASP ....................................................... 19

Application Service Provider の略。イ

ンターネット上でアプリケーションを

提供するサービスの提供者(事業者)の

こと。 FTTH .................................................... 25

Fiber to the home の略。光ファイバー

ケーブルにより、高速で安定した通信環

境を構築する家庭向けのブロードバン

ド回線サービスのこと。 GPS ....................................................... 12

Global Positioning System の略。人工

衛星からの電波を利用して、自分が地球

上のどこにいるのかを正確に把握する

とこができるシステム。モバイル端末に

は標準装備されており、現在地情報を、

撮影した写真に記録したり、アプリケー

ションを通じて共有したりできる。 i-Construction ................................. 13,14

ICT の全面的な活用等の施策を建設現

場に導入することによって、建設生産シ

ステム全体の生産性向上を図り、もって

魅力ある建設現場を目指す取組のこと。 ICT ............................ 12~14,17,26,27,28

Information Communication Technologyの略で情報通信技術と訳される。従来頻

繁に用いられてきた「IT」とほぼ同様の

意味で用いられるもので、国際的には定

着しており、日本でも「IT」に替わる表

現として定着している。 IoT ...................... 1,2,4~10,15~17,24,25

Internet of Things の略。もののインタ

ーネットと呼ばれ、家電、自動車、ロボ

ット、施設などあらゆるモノがインター

ネットにつながり、情報のやり取りをす

ることで、モノのデータ化やそれに基づ

く自動化等が進展し、新たな付加価値を

生み出すコンセプトのこと。 IT .......................... 1,2,4~9 ,14~18,20,29

Information Technology の略で情報技

術と訳される。コンピュータやネットワ

ークに関わるすべての技術を総称する

言葉として使用されている。 IT ベンダー .......................................... 15

コンピューターシステムやネットワー

クシステムなどの提案・開発・コンサル

ティングを行う企業の総称。 JIS ........................................................ 26

Japanese Industrial Standards の略。

日本の工業製品に関する規格や測定法

などが定められた日本の国家規格のこ

と。自動車や電化製品などの工業製品生

産に関するものから、文字コードやプロ

グラムコードといった情報処理に関す

る規格などもある。 LTE-Advanced ....................................... 2

高速データ通信を実現する移動系通信

の規格であるLTEを、更に大容量化、

高速化したもの。4Gと呼ばれる。 LPWA ............................................ 6,24,25

Low Power Wide Area の略。比較的広

範囲をカバーでき、低コスト・低消費電

力で運用できる無線通信技術の総称。

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大分県電子県庁推進本部 35

おおよそ 1km~数 km 程度の範囲を 1つの基地局でカバーでき、電力消費量も

従来より格段に低いという特徴を持つ

が、通信速度は比較的遅い。 OTA ......................................................... 5

Online Travel Agent の略。インターネ

ット上だけで取引を行う旅行会社のこ

と。 RPA .................................................. 27,28

Robotic Process Automation の略。認知

技術(ルールエンジン・機械学習・人工

知能等)を用いて、業務効率化・自動処

理を行うこと。 VR ......................................................... 25

Virtual Reality の略。現物・実物(オリ

ジナル)ではないが機能としての本質は

同じであるような環境を、ユーザーの五

感を含む感覚を刺激することにより理

工学的に作り出す技術及びその体系の

こと。 Wi-Fi ................................................ 24,25

狭いエリアでの無線 LAN の通称。タブ

レット型端末、スマートフォンなどのモ

バイル端末は標準で機能対応している。 3D レーザースキャナ............................. 13

レーザーによって地形や樹木の位置、太

さなど 3 次元座標(点群)データを取得

することができる計測・測定機器のこと。 5G ................................................. 6,24,25

従来の移動通信システムと比較して、

「超高速」だけでなく「多数接続」や「超

低遅延」といった新たな特徴を持つ次世

代の移動通信システムのこと。 アバター技術 ........................................ 10

VR やロボティクス、センサー等の最先

端のテクノロジーを複合的に用いて、離

れた場所のロボットを遠隔操作し、あた

かもそこに存在しているかのようにコ

ミュニケーションや作業等を行う技術

のこと。 アプリケーション ............................. 5,21

アプリケーション・ソフトウェアの略称。

パソコンやサーバーなどの情報処理装

置にインストールされた OS(基本ソフ

ト)上で動作するソフトウェアのこと。 一般データ保護規則 ............................... 4

主に EU 域内に居住する個人のプライ

バシー保護を目的として、EU 域内で収

集される個人データ保護に関する規則

であり、また EU 域内のデータ保護法制

を一本化した規制の枠組みのこと。具体

的には、EU 域内で取得した個人データ

を処理し、EU 域外の第 3 国に移転する

ために満たすべき法的要件を規定した

もの。 インバウンド ....................................... 5,6

訪日外国人旅行者や訪日外国人旅行の

こと。 クラウドコンピューティング ................ 4

従来は手元のコンピュータで管理・利用

していたようなソフトウェアやデータ

などを、ユーザーがネットワーク経由で、

サービスとして利用する方式。 サイバー攻撃................................. 4,16,29

コンピュータシステムやインターネッ

トなどを利用し、標的のコンピュータや

ネットワークに不正に侵入してデータ

の詐取や破壊、改ざんなどを行ったり、

標的のシステムを機能不全に陥らせる

こと。特定の組織や集団、個人を狙った

ものと、不特定多数を無差別に攻撃する

ものがある。 自治体情報セキュリティクラウド .... 4,29

県市町村における不正通信の監視機能

の強化等、より高い水準のセキュリティ

対策を講じるため、インターネット接続

ポイントの集約化やセキュリティ監視

の共同利用等をおこなうためのクラウ

ドシステム。 自動昇降式クロロテック....................... 13

水面から海底まで自動昇降し、水深毎の

クロロフィル量や水温、塩分等を自動的

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大分県電子県庁推進本部 36

に測定する装置。海中のクロロフィルの

推移および分布水深等により、有害プラ

ンクトンの有無を推測できる。 情報セキュリティマネジメント試験….. 17

経済産業大臣が行う国家試験である情

報処理技術者試験の一区分。情報セキュ

リティマネジメントの計画・運用・評価・

改善を通して組織の情報セキュリティ

確保に貢献し、脅威から継続的に組織を

守るための基本的なスキルを認定する

国家試験。 スマートフォン...................... 2,19,25~27

パソコンに近い性質を持った携帯電話

の総称。通常の電話としての通話機能の

他に、Web ページの閲覧、インターネッ

ト上の各種サービスやビジネスアプリ

ケーションの使用、音楽や動画などマル

チメディアの利用など、多彩な機能をも

つ。また、さまざまなアプリケーション

をインストールすることで、さらに機能

強化が可能である。 センサー................................... 1,2,7,10,13

音・光・温度・圧力などの物理量を検出

して信号に変える装置。 ソフトウェア ..................................... 5,15

コンピュータを動作させる手順、命令を

コンピュータが理解できる形式で記述

したもの。略して「ソフト」ともいう。 タブレット型端末 ...................... 4,26~28

タブレット(平板)型で、液晶の画面に指

先をあてながら操作するタッチパネル

が採用されているコンピュータの総称。 データサイエンティスト ................... 5,16

センサー・通信機器の発達、ネットサー

ビスの普及などにより収集・蓄積された

膨大かつ多種のデータ(ビッグデータ)

や、オープンデータから、データの新た

な価値や知見を生み出し、ビジネス等の

課題を解決する専門人材のこと。 豊の国ハイパーネットワーク ........... 4,24

県と市町村を光ファイバー網で結ぶ高

速・大容量の情報通信ネットワークで、

福祉や医療、教育、防災などの行政サー

ビスの高度化を図り、県民生活の利便性

の向上に資するための情報通信基盤。 ドローン .......................... 7,10~12,14,28

遠隔操作や自動制御によって飛行でき

る無人航空機の総称。UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とも言う。

ハッカソン ........................................... 17 「ハック」と「マラソン」を掛け合わせ

た造語で、特定のテーマに対し、グルー

プ内で技術やアイデアを持ち寄り、サー

ビスやアプリケーションを開発するイ

ベント。 光ファイバー .......................... 2,4,6,24,25

ガラスやプラスチックの細い繊維でで

きている光を通す通信ケーブル。電磁気

の影響を受けずに極細の信号線で高速

信号が長距離に伝送出来るため、多くの

通信用途に使用されている。 ビッグデータ ........................................ 24

ICT により、生成、収集、蓄積等される

多種多量のデータ。これらのデータ相関

等の分析、異変の察知や予測等を通じ、

利用者個々のニーズに即したサービス

の提供、業務運営の効率化や新産業の創

出等が可能となる。 ブロードバンドサービス ................... 4,24

高速通信回線によるコンピュータ・ネッ

トワーク及びこれを利用した動画など

大容量のデータ送信サービスのこと。 プログラミング教育 .......................... 4,17

コンピューターに動きを指示するため

に使われるプログラムを学ぶ教育。技術

を学ぶだけでなく、自分が求めることを

実現するために必要な動作や記号を考

え、組み合わせながら改善していく、論

理的な「プログラミング的思考」を育む

のが狙いとされている。新しい学習指導

要領に盛り込まれ、小学校でも2020

年度から必修化される。

Page 39: おおいた革新的技術・データ 活用推進計画 - 大分県ホーム …...大分県電子県庁推進本部 1 第1章 おおいた革新的技術・データ活用推進計画について

大分県電子県庁推進本部 37

マイキープラットフォーム ............. 22,23 マイナンバーカードのマイキー部分(ICチップの空きスペースと公的個人認証

の部分で、国や地方自治体といった公的

機関だけでなく、民間でも活用できるも

の)を活用して、マイナンバーカードを

公共施設や商店街などに係る各種サー

ビスを呼び出す共通の手段とするため

の共通情報基盤のこと。 マイナンバーカード ............................. 21

市区町村が交付するプラスチック製の

IC チップ付きカード。券面に氏名、住

所、生年月日、性別、マイナンバー(個

人番号)と本人の顔写真等が表示される。 マイナンバー制度 ........................ 6,21,22

国民一人ひとりに12桁の番号を割り

当て、行政事務の効率化や住民サービス

の向上に役立てる制度。 メタデータ ........................................... 20

データに関する諸情報を記述した基本

データ。データそのものの内容とは別に、

そのデータに関連づけて作成された補

助的な情報を指す。 モバイルワーク ............................ 4,27,28

テレワークの一形態。タブレット型端末

やスマートフォンなどのモバイル端末

を使用して、現場や移動先等どこからで

も庁内のデータにアクセスし業務を行

うことができる柔軟な働き方を指す。