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60 教授 山本 康博 Yasuhiro YAMAMOTO 研究室の学び 社会との接点 主な卒業研究テーマ この研究室では、皆さんがお使いのパソコンやスマホな どを構成しているトランジスタや集積回路、あるいは液晶 といった電子部品を作るための電子材料を研究しています。 現在使われているパソコンなどの性能を更に向上させるた めには電子材料にどのような性質が必要なのか、また、そ れを実現するにはどうしたら良いのかについての知識と方 法論を、実験を通じ、実際にモノづくりをしながら学ぶこ とができます。 情報化社会と言われ始めて久しいのですが、これを支え ているのがコンピュータの発達であることはご承知と思い ます。コンピュータの性能はこの 10 年の間でも 1000 倍 以上向上していますが、この性能向上を支えているのが実 は電子材料の開発なのです。科学技術の発達と電子材料は 互いが互いを向上させるという関係で、科学技術側からの 要求が新しい材料の開発を促し、また、高度の性能を持っ た新しい材料が新しい技術を発展させ応用範囲を広げると いうものです。コンピュータの性能向上の歴史は真にこの 典型です。 この研究室では、実際に新しい電子材料を作成し、性能 を向上させるという研究を行っているのですが、そこで学 ぶことは単なる知識ではありません。この分野の進展は極 めて早く、今現在の最新知識も2~3年すれば古くなって しまいますが、ここで学ぶ「どのようにして研究を進めて 目標を達成するか」すなわち方法論は古くなることはあり ません。 この研究室から多くの卒業生が世に送り出され、ここで 学んだ方法論を生かして、材料開発の分野は勿論のこと、 それ以外の分野でも技術者として活躍しています。 MOS(金属-酸化膜-半導体)構造デバイスに用いられる新 しい高誘電率絶縁膜の開発 Si と Ge を含む半導体材料の研究 高速イオンビームを半導体結晶に照射したときの結晶の乱れと その回復過程の実験およびコンピュータシミュレーション 結晶成長のコンピュータシミュレーション 電気電子工学分野 電子材料工学研究室 電気電子工学科 教授 赤松 茂 Shigeru AKAMATSU 研究室の学び 社会との接点 主な卒業研究テーマ 人の姿や動作、文字や絵画など、人が目を通じて読み取っ ている情報を、コンピュータも自在に認識・生成できるよ うにすることで、ユーザの意図を適切にくみとり、人の感 性に訴えるコミュニケーションができる「人に優しいコン ピュータ」を実現することを目指しています。具体的には、 画像認識・生成技術の福祉・介護、セキュリティ、エンタ テインメントへの応用によって、「安心・安全・快適な社会」 の実現に役立てる研究に取り組んでいます。 研究室における先端研究の成果を積極的に社会に還元す るために、大学院生はもとより学部生にも、学会発表を行 うことを強く推奨しています。国内の学会や海外の国際会 議での発表体験は、学生諸君にとって、社会で求められる プレゼンテーション能力を身につける格好の訓練の場とも なっています。 顔画像による未知人物の性別判定・年齢推定システム 任意人物の顔の表情を創る3Dアニメーション 視線や指さし動作の自動認識によるインタフェース シーン映像中の歩行者の検出と追跡 主観的な印象判断にもとづく 3 次元物体の形状デザイン 人は顔のどこを見て「社交的」「若々しい」などの印象を判断し ているのかー印象判断時の視線の動き分析ー 3 次元顔モデル上の表情生成 人の視線の動きを計測する 実験風景 人間環境情報分野 ヒューマンインタフェース研究室 応用情報工学科

人間環境情報分野 電子材料工学研究室 ヒューマンインタフェー … · Deep Learning(新しい機械学習)への挑戦 画像解析と学習システムを用いた皮膚がんの自動診断システム

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60

理工学部/電気電子工学科・応用情報工学科

教授 山本 康博Yasuhiro YAMAMOTO

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 この研究室では、皆さんがお使いのパソコンやスマホなどを構成しているトランジスタや集積回路、あるいは液晶といった電子部品を作るための電子材料を研究しています。現在使われているパソコンなどの性能を更に向上させるためには電子材料にどのような性質が必要なのか、また、それを実現するにはどうしたら良いのかについての知識と方法論を、実験を通じ、実際にモノづくりをしながら学ぶことができます。

 情報化社会と言われ始めて久しいのですが、これを支えているのがコンピュータの発達であることはご承知と思います。コンピュータの性能はこの 10 年の間でも 1000 倍以上向上していますが、この性能向上を支えているのが実は電子材料の開発なのです。科学技術の発達と電子材料は互いが互いを向上させるという関係で、科学技術側からの要求が新しい材料の開発を促し、また、高度の性能を持った新しい材料が新しい技術を発展させ応用範囲を広げるというものです。コンピュータの性能向上の歴史は真にこの典型です。 この研究室では、実際に新しい電子材料を作成し、性能を向上させるという研究を行っているのですが、そこで学ぶことは単なる知識ではありません。この分野の進展は極めて早く、今現在の最新知識も2~3年すれば古くなってしまいますが、ここで学ぶ「どのようにして研究を進めて目標を達成するか」すなわち方法論は古くなることはありません。 この研究室から多くの卒業生が世に送り出され、ここで学んだ方法論を生かして、材料開発の分野は勿論のこと、それ以外の分野でも技術者として活躍しています。

◉ MOS(金属-酸化膜-半導体)構造デバイスに用いられる新しい高誘電率絶縁膜の開発

◉ Si と Ge を含む半導体材料の研究◉高速イオンビームを半導体結晶に照射したときの結晶の乱れと

その回復過程の実験およびコンピュータシミュレーション◉結晶成長のコンピュータシミュレーション

電気電子工学分野電子材料工学研究室

電気電子工学科

教授 赤松 茂Shigeru AKAMATSU

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 人の姿や動作、文字や絵画など、人が目を通じて読み取っている情報を、コンピュータも自在に認識・生成できるようにすることで、ユーザの意図を適切にくみとり、人の感性に訴えるコミュニケーションができる「人に優しいコンピュータ」を実現することを目指しています。具体的には、画像認識・生成技術の福祉・介護、セキュリティ、エンタテインメントへの応用によって、「安心・安全・快適な社会」の実現に役立てる研究に取り組んでいます。

 研究室における先端研究の成果を積極的に社会に還元するために、大学院生はもとより学部生にも、学会発表を行うことを強く推奨しています。国内の学会や海外の国際会議での発表体験は、学生諸君にとって、社会で求められるプレゼンテーション能力を身につける格好の訓練の場ともなっています。

◉顔画像による未知人物の性別判定・年齢推定システム◉任意人物の顔の表情を創る3Dアニメーション◉視線や指さし動作の自動認識によるインタフェース◉シーン映像中の歩行者の検出と追跡◉主観的な印象判断にもとづく3 次元物体の形状デザイン◉人は顔のどこを見て「社交的」「若々しい」などの印象を判断し

ているのかー印象判断時の視線の動き分析ー

3 次元顔モデル上の表情生成

人の視線の動きを計測する実験風景

人間環境情報分野ヒューマンインタフェース研究室

応用情報工学科

61

理工学部/応用情報工学科

教授 尾川 浩一Koichi OGAWA

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 私の研究室では、医学と工学の橋渡しをするような技術開発を行っています。具体的には、放射線をもちいて病気を診断する画像をつくったり、その画像を用いてがんを治療するような装置の研究開発です。この研究を通して、画像を作る理論を作りソフトウエアを書いたり、実際の診断装置の基礎となるものづくりができる人材を育成し、健康で長生きができるような医療・福祉の領域で活躍する卒業生を輩出しています。

 当研究室では、医療の現場で実際に動いている診断装置や治療装置を作っているメーカおよび病院などと共同研究を行っています。これにより、当研究室で開発したソフトウエアなどは、病院や医学部で一定の臨床的評価を行った後、実際の病院の現場で患者さんの病気の診断をするのに使われることになります。当研究室では過去にガンマ線という放射線を用いて、臓器の機能を正確に画像化するソフトウエアを開発しました。このプログラムの基本原理は現在すべての核医学診断装置のメーカが採用していますので、この研究室で考案した方式が全世界の患者の皆さんの病気の診断に使われていることになります。 また、現在、さらに病気の診断の性能を上げ、また適切な治療を行うことを目指して、放射線のエネルギー情報を新たに開発した放射線検出器を用いて測定して、そのエネルギーの変化から診断や治療を行う技術の開発に取り組んでいます。この方法がうまくいけば新しい高度先進医療の画像診断・治療法を確立することになります。これにより、世界中の多くの人々の健康の維持や福祉に大きく貢献することになると考えられます。

◉放射線を用いた臓器の機能の映像化法の開発◉デジタルカメラで撮影された画像の雑音除去の研究◉並列計算機を用いた画像再構成法の高速化◉放射線のエネルギー情報をもちいた高精度診断システムの開発◉ピンホールコリメータを用いた実時間3次元画像再構成法の研究

生体情報分野画像工学研究室

応用情報工学科

准教授 彌冨 仁Hitoshi IYATOMI

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 コンピュータに、人間の様な高度情報処理を行わせるための「機械学習」や、それらを実際の認識問題に応用した様々な研究、また他の産官学の機関連携による幅広い研究分野に対して積極的に活動を行っています。研究成果を対外的に発表すること、特に国際会議での研究成果発表に力を入れており、英語でのプレゼンテーションスキルや、質疑応答能力も身につけます。

 当研究室は、国内外の理工系、医学系の学術機関や企業、省庁や自治体の機関と連携し共同研究を行っており交流が盛んです。研究により得られた成果は論文や学会、特許、公開システムとして広く世界に発信しています。特に医学部との連携プロジェクトで実現した皮膚がんの自動診断支援システムは、インターネット上に無料で公開していることから世界中の皮膚科医から利用されています。

 研究活動において得られる直接的な成果の他にも、副次的に得られる論理的な思考能力、文書の作成能力やプレゼンテーション能力、スケジュール管理や調整能力、より広く見ると、自ら発見し目標を設定し、解決への道筋をたて、実現する力を身につけるという、広く社会から求められる実践的な応用力、価値創造能力を身につけられることこそが、研究室生活での学びの本質と考えています。

 こうした活動を通じて、個々が社会から求められる存在となり、プライドを持って楽しく活躍する内容が自然と社会貢献につながるような人材の輩出を目指しています。

知能情報分野知的情報処理研究室

応用情報工学科

◉ Deep Learning( 新しい機械学習 ) への挑戦◉画像解析と学習システムを用いた皮膚がんの自動診断システム

の開発◉言語解釈を用いた新聞記事の書き手の立場の自動分類◉紙とデジタルの融合―新しい電子透かしの開発◉動画解析を用いた「人のくせ」の自動認識◉植物の病気の自動診断システム

62

理工学部/応用情報工学科

教授 金井 敦Atsushi KANAI

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 インターネットの普及に伴い便利になると同時に様々な危険性も増してきています。当研究室ではインターネットの様々な危険性を軽減し、安心安全にネットワークを利用する技術の研究開発を行っています。具体的には、コンピュータウィルスを含む各種攻撃の検知や防護、クラウドを安全に使うとともに、効率よく複数クラウドを利用する技術、センサー等を用いた環境のリスク測定と可視化と制御などについて研究しています。

 インターネットの普及に伴い、様々なサービスが登場するとともに利用者が急増しています。同時に、様々な攻撃や危険性も増大しており、安心してネットワークを使うために対策が社会的に急務となっています。最近インターネットから利用できるクラウドコンピューティングも急速に普及してきていますが、ここでもセキュリティの問題が指摘され安全に使うための技術開発が求められています。さらに、ブログや Twitter などで個人が自ら気軽に情報を発信できるため、情報発信者である自分が自覚のないまま自身のプライバシーを漏洩する問題も増えています。上記のような様々な危険性を軽減し安心してインターネットサービスを利用、提供できるようにする技術の開発が社会では強く望まれています。このような状況で、セキュリティ技術者の不足も叫ばれており、上記技術の開発とともに、安全安心なサービスを開発することができるセキュリティ技術者の育成にも力を入れています。本研究室では、このように、社会に要求される技術の開発や技術者の育成に力を入れています。

◉秘密分散法を用いた複数クラウドのデータ管理手法◉人物フォーメーションによるリスクレベル評価手法◉IDベースを用いた簡易メール認証方式◉統計情報を用いた個人情報露出量算出方式◉ Twitter におけるユーザ行動範囲の明確化◉複数クラウドの連携技術◉秘密分散を用いたセキュリティ強度可変プロトコル

情報ネットワーク・セキュリティ分野情報ネットワーク・セキュリティ研究室

応用情報工学科

教授 品川 満Mitsuru SHINAGAWA

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 人のからだを通信ケーブルとして使えることを知っていますか?センサと通信を用いて人にも地球環境にもやさしい生活空間を実現するために、革新的な通信ネットワーク技術を研究しています。電気も光も、ハードウエアもソフトウエアも使えるモノはすべて使います。学習で得られる知識と本物に触れて得られる経験にみなさんの熱意を掛け合わせ、自信が持てること、真剣に打ち込めることを探していきましょう。

 物の豊かさから質の豊かさに社会の価値観が変化しつつあります。人のからだを通信ケーブルとして利用する人体通信技術は、これまで高度情報通信に無縁な人にも広くその恩恵を与える技術であり、その価値観の変化に対応し安心・安全・人にやさしいサービスを実現する研究テーマです。研究室でテーマに取り組むことにより、知識や技術が蓄積されるとともに、研究室のメンバーと協力し合って目の前の壁を乗り越えることで、あきらめない強い気持ち、自他の心、感謝の気持ちなど、いわゆる社会人力が養われます。

◉人の体を信号ケーブルとして利用する通信技術に関する研究◉振動・光・電磁波などの身の回りに存在するエネルギーを活用

する技術に関する研究◉安心・安全な社会を実現する情報通信ネットワークに関する研究◉安価で高効率な有機太陽電池の開発◉レーザ光を使った高精度な計測技術に関する研究

ユビキタス情報分野光・電気融合情報工学研究室

応用情報工学科

63

理工学部/応用情報工学科

教授 藤井 章博Akihiro FUJII

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 分散システムに関する研究を産官学連携によって行っています。自治体向け行政サービスのアプリ開発、企業情報の Web に基づいた分析、電子書籍用の機能やデザイン等のテーマを扱います。所属するのは、社会情報コースです。基礎となる計算機学上の学問分野は、アルゴリズム、ソフトウエア工学、通信プロトコルなどです。

 ビジネスとして価値創造できるサービスを提供するために、①サービス内容、②エンティティ構造、③収益モデル、④機能設計と実装の観点から「ビジネスモデル」の検討を行っています。 そのうえで幾つかの具体的な事例に関わるサービス提供のためのシステムの研究を行っています。 最近の成果として、「ねじ LOD」があります。オープンデータを他のデータと連携可能にして価値を創出する「Linked Open Data(LOD)」の浸透を目的とした「LOD チャレンジ 2013」の表彰式が開催され、データセット部門最優秀賞を受賞しました。これは「ねじ」のデータを LOD 化したものです。大阪鋲螺卸商協同組合ほかが「ねじ企業間情報処理研究会」で 20 年近くかけて構築した EDI(電子データ交換)システムのデータに基づいています。 このように社会に直接インパクトのある研究成果を目指しています。 

◉マッシュアップを利用した Web システムの設計論◉セマンティック Web 用オントロジーの構築手法◉セマンティック Web の業務支援への応用研究◉リンクド・オープンデータ(LOD)の研究◉ LOD の電子ブックへの応用に関する研究◉インターネット技術の進化と技術予測に関する研究

社会情報分野ネットワーク応用研究室

応用情報工学科

准教授 平原 誠Makoto HIRAHARA

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 脳は現在のコンピュータにはない高度で柔軟な情報処理を行っています。本研究室では、脳の情報処理の仕組みを工学的および心理学的なアプローチにより解明し、それに学んだ情報処理技術を開発することを目的とし、研究に取り組んでいます。

 歩行者や自動車が目の前を通過していくことは日常茶飯事です。その時、私たちの脳は、目から入った情報をどんな仕組みで処理し、人や車の運動方向やスピード、位置を捉えたのでしょうか?目の前を通過した対象物が人や車であると脳はどうやって判断したのでしょうか?全く見たことのない人であっても、最新デザインのスーパーカーであっても、脳はいとも簡単に処理してしまいます。 このような、私たちの脳が普段当たり前のようにして行っている情報処理は、今のロボットの脳であるコンピュータにとってはたいへん難しい難題です。脳と同じようなレベルの情報処理が可能になれば、ロボットが車を運転する時代が来るかもしれません、脳の情報処理の仕組みを解明し、それを工学的に実現することは、未知の状況に対しても柔軟に判断して行動する自律型ロボットなどに結びつくものと考えています。

◉脳を数式でモデル化する研究◉動画等に対する被験者の反応から脳の仕組みを探る研究◉物体の動きを捉える方法◉ゲーム攻略等をコンピュータ自身に学ばせる方法◉顔や目の動きでコンピュータを動かす方法◉ダンスを評価する方法◉渋滞解消に有効な路面パターンの開発

脳情報処理分野脳情報処理研究室

応用情報工学科

64

理工学部/応用情報工学科

教授 八名 和夫Kazuo YANA

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 本研究室では、自然界で観測される様々な信号を対象にコンピュータを駆使して分析するデジタル信号処理の研究を行っています。信号とは、気象データ、音声データなど時間と共に変動するもの全てを意味します。本研究室では特に脳波や心電図などの生体信号解析を通じた医療診断やストレスの強さを評価する方法、生体に影響を与える環境放射線強度の変化を検出する方法、さらにインターネットの通信量の予測を行う方法などの応用研究を進めています。

 本研究室では MIT(マサチューセッツ工科大)との共同研究でいち早く心拍数の変動から自律神経の状態を推定する方法の研究を行ってきました。心拍数は緊張すると上がり、リラックスすると下がることは良く知られています。これは自律神経の働きによるものです。一拍ごとの変化を測定することにより自律神経の状態を詳しく分析し、突然死のリスクを評価する研究を進めています。この技術は近年社会問題となっている精神的なストレス量の測定や、運転中のドライバーの緊張度を測るなど社会的に重要な課題解決にも応用可能な技術です。信号処理の応用として、本研究室では生体信号に限らず東日本大震災以降社会的に注目を集めている環境放射線の強度変化を感度良く検出する方法、世界のインターネット通信量の実測データをもとに通信量予測を行う…天気予報のように通信量の週間予報を出すシステム開発など、社会とのかかわりを重視した研究を進めています。現在、皆さんには世界を相手に活躍できる、グローバル化対応が求められています。本研究室では卒業生がグローバルな場で活躍できる実力を身に付けられるよう、海外研修で英語力を上達させ、自分の研究成果は自分自身で国際会議などで発表できるよう指導しています。

◉心電図や心拍変動分析により突然死のリスクや糖尿病の重症度を診断する方法の研究

◉心電図を用いたメンタルストレスの測定◉生体信号を用いた運転中ドライバーのストレス評価◉ゲーム中の臨場感・没入感の測定◉環境放射線の変化を高感度で検出する方法の解析◉インターネット通信量の週間予測を行い適切なデータ通信経路

を決定する方法の開発

生体信号処理分野情報信号処理工学研究室

応用情報工学科

准教授 宮本 健司Kenji MIYAMOTO

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 私の研究室では身の回りのコンピュータの新しいありかたについて研究しています。たとえば、身体動作に応答するゲーム、紙に書いた絵を動かしてみせるアニメーションといった、日常生活に驚きをもたらすようなソフトウエアを考案、開発しています。このようなソフトウエアを実現するために当研究室で学ぶ内容はコンピュータグラフィックスやコンピュータビジョンから人工知能,ソフトウエア設計など多岐にわたります。

 スマートフォンなどの普及によりコンピュータは日常生活と切っても切れないものになりました。コンピュータのこの動きは今後ますます加速し、生活との密着の度合いを強めていくことになるでしょう。 こうしてコンピュータはその存在を意識されることが少なくなり人間の日常生活の一部として空間に自然に溶け込んでいきます。 このような「実生活に溶け込むコンピュータ」は、生活をきめ細かく支援するとともに、蓄積した膨大な生活データをもとにユーザ行動を分析し将来のサービスにフィードバックします。 こうして生活に溶け込むコンピュータはサービス需要を加速するビッグデータ産業と結びついて今後ますます規模を拡大し、情報分野の基幹産業として成長が見込まれます。 当研究室ではこのような社会的な要求に応えて、ユーザを支援しかつその行動を認識する末端デバイスのデザインから行動データを分析・理解するための推論機構の開発まで総合的に取り組んでいます。

◉画面に投影された身体による CG キャラクター操作◉図形の組み合わせによるプログラミング言語◉ライブ映像をリアルタイムで加工・改ざんする技術◉映像中の物体を認識・検索する技術

コンピュータ科学分野インタラクティブシステム研究室

応用情報工学科

65

理工学部/応用情報工学科

教授 李  磊LI Lei

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 本研究室では、情報処理の手法であるアルゴリズムを中心に教育及び研究活動を行っています。特に情報分野の基礎となる情報数理の諸問題、ノイマン型コンピュータに適用する高速アルゴリズムの設計と解析、スーパーコンピュータに適用する並列アルゴリズムの設計と解析、進化的アルゴリズムの設計と解析、人工知能に用いる強化学習アルゴリズムの設計と解析等を研究テーマとして、広範囲の実問題で検証し、効率的アルゴリズムの開発をしています。

 計算の機械として、最初のコンピュータが誕生して以来、60 年間以上が経ちました。計算速度を追究するために、コンピュータのハードウェアの基盤技術は真空管から、トランジスタ、集積回路、そして大規模集積回路を経て、複数のコンピュータを駆使する並列処理方式、またはネットワークによる分散処理や、生命の知能を取り入れる知能システムの開発は盛んになってきました。コンピュータは計算の機械から情報処理の機械に変貌しつつあります。計算の手順となる従来のアルゴリズム研究分野も、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク、人工知能等の情報技術のほぼ全分野に浸透しています。人間の自然に対する知的探求欲が止まらない限り、情報処理の効率化は永遠の課題であるでしょう。次世代の情報処理手法の開発に、ぜひ君も一緒にチャレンジして行きましょう。

◉リカレントニューラルネットワークによる時系列予測◉角度を考慮した最短経路◉マルチエージェント環境に適応させた AHP 強化学習◉リン・カーニハン法による TSP 近似解の高速化◉しきい値ノイズ挿入による BP 法の高速化◉並列計算機のスーパーキューブ結合網◉強化減少比の動的変化による強化学習法

巡回セールスマン問題迷路問題

基礎情報分野コンピューティング研究室

応用情報工学科

教授 和田 幸一Koichi WADA

研究室の学び

社会との接点

主な卒業研究テーマ

 計算機やロボットなどの自律的に動作するものが相互作用をすることによって、全体として協調的な振る舞いをするシステムを分散並列システムといいます。クラウド、モバイル、ソーシャルシステムのような大規模計算ネットワーク、スパコンのような超並列計算機、センサーネットワーク、自律分散ロボット群などありとあらゆる分散並列システムの複雑さを解明し、安全で効率よく動作させるためにはどのようにすればよいかを研究しています。

 計算機やロボットなどの自律的に動作するものがたくさん集まればどのようなものでも分散並列システムと呼ぶことができます。クラウドコンピューティング、モバイル・ユビキタス環境、ソーシャルシステムなどは身近なものになっていますが、これらのものをどのように安全に効率よく動作させるかは非常に重要な問題です。 計算機がいくら速くなっても、大規模な分散並列システムを効率よく動作させることはできず、そのシステムの複雑さの本質を見極めなければなりません。 本研究室で行っている研究は、分散並列システムの複雑さをアルゴリズム的な立場から解明するものであり、これからの分散並列システムを飛躍的に変化させる可能性を秘めています。 また、本研究室では、これらの研究をとおして、学生が社会に出て、初めて出会うであろう「答えのない問題」に出会った時に、自分の力でどのように取り組んで答えを出すことができるようになるよう、まずは自分で考えることを第一に教育を行っています。

◉ビッグデータ処理の効率化◉ MapReduce による新しい計算法◉ GPGPU を利用した計算の効率化◉自律分散ロボット群による問題解決法

基礎情報分野計算機科学研究室

応用情報工学科