6
動脈硬化性疾患における腹腔動脈および 上腸間膜動脈の狭窄病変についての検討 寒川 顕治1,2 為季 清和1 藤田 邦雄1 谷崎 眞行1 旨:動脈硬化性疾患における腹部大動脈分枝の狭窄病変合併頻度について検討した. 対象は当科で血管造影を行った腹部大動脈瘤(以下AAA)および閉塞性動脈硬化症(以下 ASO)の90症例で,大動脈造影およびパルスドップラー法を用いて検討した.大動脈造影 上, 50%以上の狭窄が腹腔動脈(以下CA)根部にあるもの6例(6.7%),上腸間膜動脈(以 下SMA)根部にあるもの3例(3.3%),腎動脈(以下RA)根部にあるもの9例(5.0 %) で,このうちCAの2例とRAの1例は閉塞していた.これらの症例の中には術前,術後 ともに腸管虚血の症状を示したものはなかった.血管造影上,狭窄のない正常分枝血管(狭 窄率が25%未満)の大動脈からの起始部の直径はCAで平均6.3 mm, SMAで平均6.2 mm,右RAは平均4.7 mm, 左RAは平均4.8 mmであった. パルスドップラー法を施行したなかでCA根部が閉塞している症例が2例あり,この症 例ではCA根部を断層法で描出できたにもかかわらず血流を検出できなかった. (日血外会誌5:75ド756, 1996) 索引用語:腸管虚血,腹腔動脈,上腸間膜動脈,血管造影,パルスドップラー法 動脈硬化症は全身性の疾患であるため,脳動脈,冠 動脈,下肢動脈のほかに腹部大動脈分枝にも動脈硬化 性の病変はしばしば認められる.また,腹部大動脈瘤 (以下AAA)およびaorto-iliac occlusive desease (以 下AIOD)に対する手術の重篤な術後合併症として腸 管虚血,壊死があり,その原因の1つとして腹腔動脈 (以下CA)や上腸間膜動脈(以下SMA)などの腸管を 泥流する血管の動脈硬化性狭窄病変が考えられる.し 国立岡山病院地方循環器病センター心臓血管外科 (Tel: 086-223-8111) 〒700 岡山市南方2-5-1 2 岡山大学医学部心臓血管外科(Teに086-223 7151) 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 受付:1996年2月13日 受理:1996年10月2日 たがってAAAやAIODの手術では術前に腹部大動 脈分枝の評価が必要である.そこでAAAと閉塞性動 脈硬化症(以下ASO)の症例につき,術前腹部大動脈 造影を行い, CA, SMAおよび腎動脈(以下RA)の狭 窄病変を検討した.また,最近の25例ではCAと SMAの血流速度をパルスドップラー法で計測し,狭 窄病変の検出におけるパルスドップラー法の有用性に ついて検討した. 対象および方法 1992年4月から1995年8月までに当科に治療目的 で入院したAAAおよび下肢ASO 90 例を対象とした. 全例に大動脈造影を行い, 1995年2月以後の25例に ついてはパルスドップラー法を行った. 1.大動脈造影 大腿動脈,または上腕動脈を穿刺し, pigtailカテー 43

動脈硬化性疾患における腹腔動脈および 上腸間膜動脈の狭窄 …動脈硬化症は全身性の疾患であるため,脳動脈,冠 動脈,下肢動脈のほかに腹部大動脈分枝にも動脈硬化

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Page 1: 動脈硬化性疾患における腹腔動脈および 上腸間膜動脈の狭窄 …動脈硬化症は全身性の疾患であるため,脳動脈,冠 動脈,下肢動脈のほかに腹部大動脈分枝にも動脈硬化

動脈硬化性疾患における腹腔動脈および

上腸間膜動脈の狭窄病変についての検討

寒川 顕治1,2  為季 清和1  藤田 邦雄1  谷崎 眞行1

要  旨:動脈硬化性疾患における腹部大動脈分枝の狭窄病変合併頻度について検討した.

対象は当科で血管造影を行った腹部大動脈瘤(以下AAA)および閉塞性動脈硬化症(以下

ASO)の90症例で,大動脈造影およびパルスドップラー法を用いて検討した.大動脈造影

上, 50%以上の狭窄が腹腔動脈(以下CA)根部にあるもの6例(6.7%),上腸間膜動脈(以

下SMA)根部にあるもの3例(3.3%),腎動脈(以下RA)根部にあるもの9例(5.0 %)

で,このうちCAの2例とRAの1例は閉塞していた.これらの症例の中には術前,術後

ともに腸管虚血の症状を示したものはなかった.血管造影上,狭窄のない正常分枝血管(狭

窄率が25%未満)の大動脈からの起始部の直径はCAで平均6.3 mm, SMAで平均6.2

mm,右RAは平均4.7 mm, 左RAは平均4.8 mmであった.

 パルスドップラー法を施行したなかでCA根部が閉塞している症例が2例あり,この症

例ではCA根部を断層法で描出できたにもかかわらず血流を検出できなかった.

(日血外会誌5:75ド756, 1996)

索引用語:腸管虚血,腹腔動脈,上腸間膜動脈,血管造影,パルスドップラー法

目 的

 動脈硬化症は全身性の疾患であるため,脳動脈,冠

動脈,下肢動脈のほかに腹部大動脈分枝にも動脈硬化

性の病変はしばしば認められる.また,腹部大動脈瘤

(以下AAA)およびaorto-iliac occlusive desease (以

下AIOD)に対する手術の重篤な術後合併症として腸

管虚血,壊死があり,その原因の1つとして腹腔動脈

(以下CA)や上腸間膜動脈(以下SMA)などの腸管を

泥流する血管の動脈硬化性狭窄病変が考えられる.し

l 国立岡山病院地方循環器病センター心臓血管外科

  (Tel: 086-223-8111)

〒700 岡山市南方2-5-1

2 現 岡山大学医学部心臓血管外科(Teに086-223 7151)

〒700 岡山市鹿田町2-5-1

受付:1996年2月13日

受理:1996年10月2日

たがってAAAやAIODの手術では術前に腹部大動

脈分枝の評価が必要である.そこでAAAと閉塞性動

脈硬化症(以下ASO)の症例につき,術前腹部大動脈

造影を行い, CA, SMAおよび腎動脈(以下RA)の狭

窄病変を検討した.また,最近の25例ではCAと

SMAの血流速度をパルスドップラー法で計測し,狭

窄病変の検出におけるパルスドップラー法の有用性に

ついて検討した.

        対象および方法

 1992年4月から1995年8月までに当科に治療目的

で入院したAAAおよび下肢ASO 90 例を対象とした.

全例に大動脈造影を行い, 1995年2月以後の25例に

ついてはパルスドップラー法を行った.

 1.大動脈造影

 大腿動脈,または上腕動脈を穿刺し, pigtailカテー

43

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ア52

大動脈造影の側面像で腹腔動脈(CA)および上腸同膜動脈根部、正面像で左右腎動脈(RA)の根部を計測した。

 Λ:最狭窄部位

 B:それより末梢の正常部位

  (poststenotic dilatationを除く)

狭窄率(%)=(B-A)/BX100

図1 大動脈造影

テルを挿入した.カテーテルの先端を横隔膜の高さに

おき,イオヘキソール350またはイオメプロール400

を毎秒12~15 m/, 総量25~30 m/ 注入して正面およ

び側面の2方向より毎秒2枚連続撮影した.正常部位

と最狭窄部位の直径を計測し,狭窄率を求めた.血管

根部の正常部位とは狭窄部より遠位でかつ分枝前で

poststenoticdilatationを除く,最大径の部位とした

(図1).

 2.パルスドップラー法

 1晩の絶食後,仰臥位で頭部を30度挙上し, Aloka

社製カラードップラー装置SSD-3000の3.5 MHz の

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j軸西

嶋政・刊

図2 断層エコーとパルスドップラー波形

III!I

f:―IIゆ!1s

(SMA)の

屏B

日血外会誌 5巻6号

グローブを用いて,まずBモードで腹部大動脈および

CA, SMAの形態を描出し,続いてパルスドップラー

法によりCAとSMAの根部での血管内血流速波形を

記録した(図2).得られた流速波形より, peak systolic

velocity (以下PSV)およびend-diastolic velocity (以

下EDV)を求めた(図3).ASOの症例は狭窄病変の

部位よりAIODとfemoro-popliteal occlusive disease

(以下FPOD)に分けた.これらの症例をAAA単独疾

患群(AAA群),AIOD群(FPODの合併を含む),

FPOD単独疾患群(FPOD群),AAAとAIODか

FPODを合併した群(AAA十ASO群)の4群に分けて

検討した(表1).

 有意差の検定にはが検定を用い, p<0.05をもって

有意とした.

14

4.Jて一一一・’一一^一一’・ ’...

          結  語

 AAA,AIOD,FPOD,AAA十ASOの4群間で年齢

および性別で有意差はなかった(表1).

 動脈硬化の危険因子の合併頻度では喫煙,高血圧,

高脂血症は4群間で有意差はなかった.糖尿病の合併

ABC

:peak systolic  velocity

:dia stolic reverse flow

(PSV)

:end-dlastollc velocity (EDV)

 図3 パルスドップラー波形の解析

44

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1996年10月 寒川ほか:腹腔動脈と上腸間膜動脈の狭窄病変

表l 対象症例(1992年4月~1995年8月)

     症例数  性(男/女) 平均年齢(歳)

 AAA

 AIOD

 FPOD

AAA十ASO

(/一 〇 〇

【/】 4 (ノJ

狭窄率

表3 狭窄の存在した症例

ア53

腹腔動脈上腸間膜動脈右腎動脈左腎動脈

45

50≦ <75%

75≦  <100%

      100%

合計

(%)

4  0  CS3

 6

6.7

CO     o    o

 3

3.3

*p<0.01

4  0  0

 4

4.4

4  0

-

 5

5.6

根部が閉塞している症例が2例あり,これらの症例で

はCA根部が断層法で描出できたにもかかわらず血

管内の血流を検出できなかった.

          考  察

 CAとSMAの狭窄病変の頻度についてはDerrick

らの剖検例の報告でCA 21 %, SMA 37 %であるl).

Bronらの大動脈造影からの報告ではCA 12.5%, SMA

3.4 %2) Valentineらの動脈硬化性血管疾患における大

動脈造影からの報告では, 50%以上の狭窄がCA

25%, SMA6%, CAとSMAともにあるもの3.4%で

ある3).今回のわれわれの検討ではCA 6.7%, SMA

3.3%と,これまでの報告に比べて狭窄病変の合併頻度

は低かった.これは欧米人と日本人との人種間の差に

よる影響が大きいと考えられる.

 動脈硬化性疾患のうち,A八八は拡張病変であり,

ASOは狭窄病変と対照的である.しかしASOのうち

AIODは血行再建術の際手術操作が腸管の血流に影響

を与える可能性があり,その意味ではAAAとMOD

は術後の腸管虚血という共通の重篤な合併症をもって

  合  計

AAA:腹部大動脈瘤

90

ASO:閉塞性動脈硬化症

   18/4    71.9±6.0

  34/6    69.6±7.6

  13/7    70.7±7.7

   5/3    71.1±6.7

  70/20    70.6±7.3

AIOD:大動脈腸骨動脈閉塞性疾患

FPOD:大腿膝窓動脈閉塞性疾患

表2 動脈硬化の危険因子(%)

喫煙 高血圧 鳥瞰血症 糖尿病

AAA n/22 (50) 16/22 (73) 2/22 (9) 2/22 (9) *

A I OD 26/40 (65) 23/40 (58) 9/40 (23) 11/40 (28)

F POD 9/20 (45) 8/20(40) 3/20 (15) 10/20(50) *

AAA+ASO 5/8 (63) 5/8 (63) 1/8 (13) 1/8 (13)

合計 51/90 (57) 52/90 (58) 15/90 (17) 24/90 (27)

頻度はFPODが50%でAAAの9%より有意に高か

った(表2).

 血管造影上,狭窄率が50%以上の狭窄はCA根部に

あるもの6例(6.7%), SMA根部にあるもの3例

(3.3%), RA根部にあるもの9例(5.0%)で,このう

ちCAの2例とRAの1例は閉塞していた(表3).こ

れらの症例の中で,入院時および手術後に腸管虚血の

症状を示したものはなかった.また,血管造影上,狭

窄率が25%未満であるものを狭窄のない正常血管と

定義し,大動脈からの起始部の直径の平均値を求めた.

CAでは全体の73%が正常で直径は平均6.3 mm,

SMAでは78%が正常で平均6.2 mm, 右RAでは

83%が正常で平均4.7 mm, 左RAでは81%が正常で

平均4.8 mmであった.

 パルスドップラー法施行例のうち血管造影上,狭窄

率が25%未満の血管のPSVおよびEDVを示した

(図4). CAではPSVで10LO±20.4 cm/s(平均値土標

準偏差),EDVで25.5±7.0 cm/s, SMAではPSVで

130.7±37.5 cm/s, EDVで23.4±6.5 cm/s であった.パ

ルスドップラー法を施行したなかで血管造影上CA

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ア54

cm/s

160

140

120

0  0  0

0  00

CD

0  0

4  CM

CA

PSV

、  1 0 1。0平均 ±20.4cm/s

 EDV

25.5

±7.0cm/s

cra/s

250

200

150

100

 50

 0

SMA

  PSV130.7

±37.5cm/s

図4 パルスドップラー法の結果

いるといえる4).その対策としては術中下腸間膜動脈

(IMA)断端圧測定や5),IMAと内腸骨動脈の血行再建

を積極的に行うことなどが行われている.われわれの

施設では, IMAと両側内腸骨動脈が開存している腹部

大動脈瘤の症例で術中にIMAを結紫したところ,術

後にS状結腸の壊死をきたし,S状結腸切除を余儀な

くされた経験がある.この症例では術後に行った大動

脈造影でSMA根部に75%の狭窄を認めた.それ以

後,われわれはAAAとASOの待機手術では術前の

スクリーニングとして腹部分枝の造影を行い,狭窄病

変の有無を検索している.

 また一方で食後の腹痛や体重減少を主訴とする虚血

性腸炎,いわゆる腹部アンギーナの症例が頻度は少な

いが存在する.これは他の消化器疾患との鑑別が容易

でないため診断が遅れがちであり,除外診断を重ねた

後に血管造影で初めて診断される場合が多い6).血管

造影が侵襲が大きく,スクリーニングの検査としては

不向きであることもその理由の一つであり,腹部分枝

の狭窄病変を検出するためのより簡便な検査法の開発

が望まれる7~9).

 近年,超音波診断装置の進歩により,腹部の血管に

ついてもドップラー法を用いて血流を定量的に評価す

ることが可能となったlo~12)パルスドップラー法を用

いた腹部分枝の狭窄病変の検出法としてはMonetaら

やBowersoxらによる報告がある.その基準値として,

MonetaらはCAPSV≧200 cm/s, SMAPSV≧215 cm/s

で70%以上の狭窄病変があるとしており13・14),Bower-

soxらはSMAEDV≧45 cm/s, SMAPSV≧300 cm/s で

46

 EDV

23.4

±6.5cm/s

日血外会誌 5巻6号

50%以上の狭窄があるとしている15)また, Mallekら

はCAPSV>160cm/s で50%以上の狭窄があるとし

ている16)その他,血流波形の解析や総肝動脈の血流方

向を知ることにより,より正確な診断が可能であると

の報告がある17-19)今回のパルスドップラー法での検

討では,症例数がまだ十分ではなく,CA閉塞の2例の

ほかには血管造影上,有意狭窄のある症例がなかった.

そのため,有意狭窄のある場合の血流速波形はまだ得

られていない.しかし,有意狭窄のない場合の測定値

としてはこれまで報告されている正常値によくあって

おり,測定値のばらつきも少なく検査法としては安定

していると思われた.

 腹部血管の超音波検査を行う場合問題になるのは検

出率が必ずしも高くないということである.肥満や腸

管のガスなどにより腹部の分枝を全くみることができ

ない症例がときに存在する.今回の検討でも25例中4

例, 16%でCA, SMAのうちいずれかの血流を評価で

きなかった.文献上も絶食にするか,あるいは腸管処

理をするなどして検出率を上げる努力がなされている

が6),なお18%から29%の症例では血流を評価できな

いといわれている14,16)

 われわれの施設で1992年に大動脈造影による腹部

分枝のスクリーニングを開始して以後,現在までの90

症例のうち15症例,全体の17%で腹部分枝のいずれ

かに50%以上の狭窄を認めた.しかし,この中で術前

に腸管虚血による臨床症状を認めた症例はなく,血管

造影の所見により術式の変更を要した症例もなかった.

また,この間予定手術で術後に腸管虚血を発症したこ

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1996年10月 寒川ほか:腹腔動脈と上腸間膜動脈の狭窄病変

ともなかった.パルスドップラー法については,現在

までにまだ症例が少なく,この検査法のみで腹部分枝

の病変の検索に十分であるかどうか現時点で断定的な

ア55

9) Flinn, W. R., Rizzo, R. J., Park, J. S. et al.:

  Duplex scanning for assesment of mesenteric is-

  chemia. Surg. Clin. North Am・,70 : 99-107, 1990.

ことはいえないが,測定値としてはほぽ安定しており, 10)

今後の症例の蓄積により術前スクリーニングとして有

用な検査になるものと思われた.

Jager, Ko Bollinger, A・,Valli, C. et al. : Measure-

ment of mesenteric blood flow by duplex scan-

nine・ J. Vase. Surg・, 3 : 462-469, 1986.

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   391-393, 1985.

             文  献

1) Derrick, J.R・,Pollard, H. S. and Moore, R. M.:

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   celiac and superior mesenteric arteries. Ann.

   Surg・, 149 : 684-689, 1959.

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   artery stenoses are more prevalent among patients

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Qamar, M. L, Read, A. E., Skidmore, R. et a1.:

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47

Lilly, M. P・,Harward, T. R. S・,Flinn, W. R. et

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756 日血外会誌 5巻6号

Stenotic Lesions of the Celiac and Superior Mesenteric Artery in

Atherosclerotic Vascular Disease

Kenji Sangawa, Kiyokazu Tamesue, Kunio Fujita and Masayuki Tanizaki

Department of Cardiovascular Surgery, Okayama National Hospital

Key words: Intestinalischemia, Celiac artery,Superior mesenteric artery,Angiography, Duplex ultrasound

Stenotic lesions of the celiac artery (CA), superior mesenteric artery (SMA) and renal artery (RA)

in abdominal aortic aneurysm (AAA) and arteriosclerosis obliterans (ASO) were evaluated. In ninety

cases of AAA and ASO, significant stenoses (stenotic ratio ^50 %) were found in six CAs, three SMAs and

nine RAs. Complete occlusions were found in two CAs and one RA. No clinical symptoms of intestinal

or renal ischemia were noted in these cases. Angiographically, average diameters of normal CA, SMA,

right RA and left RA were 6.3 mm, 6.2 mm, 4.7 mm and 4.8 mm. Duplex sonography revealed no flow

signals of CA in two cases with CA occlusion, and in other cases all flow velocities were within the normal

range. (Jpn. J. Vase. Surg., 5: 751-756, 1996)

48