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58 哺乳類の概要 1.生息状況 現在、日本列島に生息する在来哺乳類の種数は23科107種(クジラ類、ジュゴン等の水生哺 乳類41種と、比較的近い過去に絶滅した3種を除く)、外来種を含めると31科134種といわれて いる(阿部 2005)。このうち県内に生息する哺乳類は、在来種16科49種、移入種・外来種を含 めると18科52種である(ハクビシンを移入種とする)。したがって、県内には日本の生息種の 38%が生息していることとなる。県内に生息する哺乳類の種数(野生状態のイヌ、ネコを除く) は、『群馬県動物誌』(1984)では47種とされているが、現在では在来種2種、外来種2種が加 わっている。追加となった種は、在来種ではノレンコウモリ(2010年9月に確認)、ユビナガ コウモリ(佐々木ほか 2012)であり、これらは県内で初記録となる。外来種では、アライグ マとチョウセンシマリスであり、アライグマについては1980年代以降、県内における生息数が 急増している(姉崎ほか 2008など)。 群馬県の隣接県における哺乳類の生息種数をみると、長野県が49種(長野県環境保全研究 所 2010)、栃木県が51種(栃木県自然環境調査研究会哺乳類部会 2002)、埼玉県が54種(埼玉 県 2002)、新潟県が53種(新潟県 2001)、福島県が47種(福島県 2003)であり、群馬県(2012) の49種は隣接県とほぼ同数である。 他県と同様に群馬県では現在、野生動物に関する問題が生じている。一つ目は、アライグマ やハクビシンなど外来種の問題、二つ目は、ニホンジカやニホンイノシシ、ニホンザルなど在 来種による農林業被害等の問題、三つ目は、アズミトガリネズミやカヤネズミ、ヤマコウモリ など希少種の保護・保全の問題、そして四つ目は、ツキノワグマやアナグマ、カモシカなどの 在来種で人による捕獲圧が高まっている問題である。 2.選定・評価 対象種の選定は、県内で現在生息が確認されており、明治時代以降に県内に生息していた記 録のある在来種の哺乳類の中から行った。なお、ニホンオオカミについては、1963年に藤岡市 で下顎骨が発見されているが(小山ほか 2011)、年代が定かでないこと、ニホンカワウソにつ いては、『境町郷土史』(境町 1909)に「かわおそ」の記録があるが、詳細は不明であること から、この2種は除外した。 対象種の評価は、文献調査、標本調査(収蔵登録標本及び位置情報を伴う個人所蔵の標本等)、 現地調査の結果に基づき行った。現地調査については、ネズミ類ではシャーマントラップ等を 用いた捕獲調査、コウモリ類ではバットディテクターを用いた調査及び直接観察、ねぐらや越 冬のための巣穴の調査、捕獲による調査、その他の動物種では野外における直接観察、痕跡確 認のほか、センサーカメラを用いたカメラトラップ調査を実施した。また、県が所管する動物 捕獲情報のほか、県鳥獣保護員や県自然保護指導員のパトロール日誌における目撃、確認情報 も用いた。これらに基づき、県内に生息する全ての哺乳類についてデータを収集するとともに、 前回の2002年版レッドデータブックをふまえ、対象種や評価の見直しも行った。しかしながら、 調査地域の偏りや調査不足等により定量的要件による評価を行うことはできず、定性的要件に よる評価を行うに留まった。 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧ⅠA類3種、絶滅危 惧II類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧II類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

哺乳類の概要

1.生息状況現在、日本列島に生息する在来哺乳類の種数は23科107種(クジラ類、ジュゴン等の水生哺

乳類41種と、比較的近い過去に絶滅した3種を除く)、外来種を含めると31科134種といわれている(阿部 2005)。このうち県内に生息する哺乳類は、在来種16科49種、移入種・外来種を含めると18科52種である(ハクビシンを移入種とする)。したがって、県内には日本の生息種の38%が生息していることとなる。県内に生息する哺乳類の種数(野生状態のイヌ、ネコを除く)は、『群馬県動物誌』(1984)では47種とされているが、現在では在来種2種、外来種2種が加わっている。追加となった種は、在来種ではノレンコウモリ(2010年9月に確認)、ユビナガコウモリ(佐々木ほか 2012)であり、これらは県内で初記録となる。外来種では、アライグマとチョウセンシマリスであり、アライグマについては1980年代以降、県内における生息数が急増している(姉崎ほか 2008など)。

群馬県の隣接県における哺乳類の生息種数をみると、長野県が49種(長野県環境保全研究所 2010)、栃木県が51種(栃木県自然環境調査研究会哺乳類部会 2002)、埼玉県が54種(埼玉県 2002)、新潟県が53種(新潟県 2001)、福島県が47種(福島県 2003)であり、群馬県(2012)の49種は隣接県とほぼ同数である。

他県と同様に群馬県では現在、野生動物に関する問題が生じている。一つ目は、アライグマやハクビシンなど外来種の問題、二つ目は、ニホンジカやニホンイノシシ、ニホンザルなど在来種による農林業被害等の問題、三つ目は、アズミトガリネズミやカヤネズミ、ヤマコウモリなど希少種の保護・保全の問題、そして四つ目は、ツキノワグマやアナグマ、カモシカなどの在来種で人による捕獲圧が高まっている問題である。2.選定・評価

対象種の選定は、県内で現在生息が確認されており、明治時代以降に県内に生息していた記録のある在来種の哺乳類の中から行った。なお、ニホンオオカミについては、1963年に藤岡市で下顎骨が発見されているが(小山ほか 2011)、年代が定かでないこと、ニホンカワウソについては、『境町郷土史』(境町 1909)に「かわおそ」の記録があるが、詳細は不明であることから、この2種は除外した。

対象種の評価は、文献調査、標本調査(収蔵登録標本及び位置情報を伴う個人所蔵の標本等)、現地調査の結果に基づき行った。現地調査については、ネズミ類ではシャーマントラップ等を用いた捕獲調査、コウモリ類ではバットディテクターを用いた調査及び直接観察、ねぐらや越冬のための巣穴の調査、捕獲による調査、その他の動物種では野外における直接観察、痕跡確認のほか、センサーカメラを用いたカメラトラップ調査を実施した。また、県が所管する動物捕獲情報のほか、県鳥獣保護員や県自然保護指導員のパトロール日誌における目撃、確認情報も用いた。これらに基づき、県内に生息する全ての哺乳類についてデータを収集するとともに、前回の2002年版レッドデータブックをふまえ、対象種や評価の見直しも行った。しかしながら、調査地域の偏りや調査不足等により定量的要件による評価を行うことはできず、定性的要件による評価を行うに留まった。

評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧ⅠA類3種、絶滅危惧II類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧II類1種、

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

準絶滅危惧10種、注目種14種の計25種を掲載していたが、今回の改訂版では1種増える結果となった。また、前回では準絶滅危惧と評価した1種(アズミトガリネズミ)と、注目と評価した2種(コヤマコウモリ、コテングコウモリ)を、今回は絶滅危惧ⅠA類と評価し、前回は注目と評価した2種(ヤマコウモリ、ムササビ)を、今回は準絶滅危惧と評価した。いずれも、前回より絶滅のおそれが高まっている。また、前回、準絶滅危惧と評価した2種(トウホクヤチネズミ、スミスネズミ)を今回、情報不足と評価したのは、前回の評価以降に行われた調査で、生息密度は低いものの新たな生息地が確認されたためである。しかし、これは、良好な生息地や個体数の増加が確認されたものではないことに留意する必要がある。前回、注目と評価した14種のうち9種(シナノホオヒゲコウモリ、カグヤコウモリ、ヒナコウモリ、ウサギコウモリ、テングコウモリ、ツキノワグマ、ニホンイタチ、アナグマ、カモシカ)については、絶滅のおそれはない種と評価するに足る情報が不十分であることから、今回は情報不足と評価した。

また、今回の改訂では、ホンドノレンコウモリとチチブコウモリを新たに追加した。樹洞等を利用するコウモリ類の多くは、大木のある広葉樹林を必要とする。しかし、開発、伐採、植林などにより、生息に適した環境が減少している。巣穴として洞穴を利用するコウモリ類についても、洞穴の観光化が進むことで生息環境が減少するケースも少なくない。森林性のコウモリ類の中には、樹洞などの減少にともない、廃坑や建築物の隙間など、人工的な洞穴を利用する事例もみられるようになったが、こうした人工的な洞穴は、建築物の点検や改築、取り壊しなどでいつ消失するかわからないため、生息環境としては不安定である。巣穴の消失は、コウモリ類にとって重要な出産、哺育、冬眠の場が失われることを意味し、生息数に大きな影響を与える可能性がある。コウモリ類の多くが情報不足と評価されているのは、本県におけるコウモリ類の生息に関する調査が不十分で、記録、報告が極めて少ないことも要因の一つである。3.まとめ

全体として、今回の改訂により絶滅危惧や準絶滅危惧と評価された種が増えたことや、新たに2種が追加されたことから、絶滅のおそれは2002年版(前回)の発刊以降、高まっている傾向がうかがえる。前回で指摘した主な危険要因(水辺の自然環境の悪化、森林の開発、山地草原の減少にともなう環境の悪化、里山の減少と環境変化、平地の自然度の劣化)はその後も進行しており、哺乳類の生息環境は悪化し続けている。なかでも、人の土地利用が過去20年の間に急速に変化し、かつては田畑として利用、管理されていた環境が、現在では放棄され人家周辺まで藪になるなど、人と野生動物の生息域が重なる状況となっている。野生動物の生息環境の悪化に加えて、人と野生動物の行動圏が重複したことで、農作物の食害や人身事故、交通事故など、人と野生動物との間の軋轢が増加し、ツキノワグマ、アナグマ、カモシカなど一部の種では、急速に捕獲圧が高まっている。

人との軋轢が生じる種については人の関心も高く、目撃や捕獲などの情報を比較的得ることができ、カメラトラップ等でも確認されやすいが、コウモリ類、モグラ類、ネズミ類など小型の動物については、全県下のきめ細かな情報を得ることが難しいのが実状である。例えば、コウモリ類の中には、過去に生息が確認されてから、その後30年以上にわたって生息が確認されていない種も存在するが、その要因として、生息数が少ないだけでなく、調査が進展していないことも考えられ、調査を充実させていく必要がある。また、種を同定するには外部形態や頭骨の測定が必要なものもあり、標本とともに採取年月日、捕獲位置などの詳細情報を記録し、

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

収蔵資料として広く一般に公開可能な形で残していくことも重要な課題であろう。今後は、調査体制を強化して生息状況を詳細かつ継続的に把握するよう努め、その動向を注

視していくこと、自然環境と人との関係について理解を深めるべく普及活動を推進し、多様な生物を育む環境としての多様な自然環境を整備・管理していくことも含めて、保全対策を講ずる必要がある。

姉崎 智子 

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

哺乳類の結果

前回の評価(2002年)

今回の評価(2012年)計

絶 滅 野生絶滅絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧

Ⅱ類準絶滅危惧 情報不足 掲載なし

ⅠA類 ⅠB類

絶 滅絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧Ⅱ類 1 1準 絶 滅 危 惧 1 1 7 2 10注 目 2 2 2 9 1 14地 域 個 体 群掲 載 な し 2 2

計 3 3 1 9 13 1 27

前回は絶滅危惧Ⅱ類1種、準絶滅危惧10種、注目14種の計25種が掲載されたが、今回は26種となり1種増加した。前回準絶滅危惧と評価された1種と、注目と評価された2種は今回絶滅危惧ⅠA類と評価し、前回注目とされた2種を今回準絶滅危惧とした。いずれも前回より絶滅のおそれは高まっている。また、前回準絶滅危惧とされた2種を今回情報不足としたが、これは前回の評価以降に行われた調査で、生息密度は低いものの新たな生息地が確認されたためである。しかし、これは良好な生息地や個体数の増加が確認されたものではないことに留意する必要がある。前回注目とされた14種のうち9種については、絶滅のおそれはないと判断するに足る情報が不十分であることから今回は情報不足とし、1種については分類上の取り扱いの変更により評価対象外として今回掲載なしとした。全体として絶滅危惧(Ⅰ類とⅡ類)、準絶滅危惧の種が増えており、絶滅の危機に瀕する危険性が高まっていることがうかがえる。

表1 評価対象種数とその内訳、前回評価との対比 

国の評価(2012年)

県の評価(2012年)計

絶 滅 野生絶滅絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧

Ⅱ類準絶滅危惧 情報不足

ⅠA類 ⅠB類

絶 滅野 生 絶 滅絶 滅 危 惧Ⅰ類 1 1 1

ⅠA 類ⅠB 類 1 1 1

絶滅危惧Ⅱ類 1 1 2準 絶 滅 危 惧 1 1 2 3情 報 不 足絶滅のおそれのある地域個体群 1 1掲 載 な し 1 1 1 6 11 19

計 3 3 1 9 13 26

表2 県評価と国評価の対比

国のレッドリストには絶滅危惧IA類12種、絶滅危惧IB類12種、絶滅危惧Ⅱ類10種、準絶滅危惧種17種、情報不足5種、絶滅のおそれのある地域個体群22が掲載され、陸海問わず生息環境が悪化していることを示している。群馬県でも絶滅危惧、準絶滅危惧の種数が増加しており、他県と同様に野生生物の生息環境が悪化していることがうかがえる。県内において今後きめ細かな生息状況のモニタリング調査を継続して行うとともに、その動向を注視しながら必要に応じて保全対策を講じていく必要がある。

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

表3 絶滅のおそれの要因

危険要因今回の評価(2012年)

計絶 滅 野生絶滅

絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅱ類

準絶滅危惧 情報不足

ⅠA類 ⅠB類

開 発 行 為 3 3 1 9 13 26伐 採 ・ 植 林 3 3 9 13 25捕 獲 3 3農 薬 等 汚 染 1 2 3雑 排 水 等 汚 濁 1 1 2管 理 放 棄 1 1 2自 然 遷 移 1 1環 境 急 変 3 3 1 7 9 20分 布 限 界 種捕 食 圧 3 3外来・国内外来種 1 1 2そ の 他 4 4

計 9 9 4 28 50 91

特に多く該当した要因は開発行為、伐採・植林、環境急変である。いずれも生息に適した環境の減少と餌資源の供給に大きな影響を及ぼす。前回のレッドデータブック(2002年版)で指摘された主な危険要因(水辺の自然環境の悪化、森林開発にともなう環境の悪化、山地草原の減少による環境悪化、里山の減少と環境変化、平地の自然度の劣化)は今回の改訂時においても認められ、前回の状況と比べて進行していると考えられる。野生動物の生息環境の悪化が結果として人の生活圏における動物との軋轢をもたらし、一部の種では捕獲圧が高まっている。生物多様性や生息環境の保全を含めた環境整備が望まれる。

表4 分布地域別評価状況

分布地域名今回の評価(2012年)

計絶 滅 野生絶滅

絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅱ類

準絶滅危惧 情報不足

ⅠA類 ⅠB類

中 部 1 5 5 11西 部 1 1 1 6 8 16吾 妻 1 8 7 16利 根 沼 田 3 3 9 13 25東 部 1 3 5 9

計 4 4 4 31 38 77

絶滅のおそれの高い評価となった種は、主に利根沼田、吾妻、西部地域の高山帯・亜高山帯、山地帯で生息が確認されている。これらの地域で大規模な開発行為等が行われた場合、大きな影響を及ぼすことが懸念される。なお、東部地域の掲載種が少ない傾向にあるが、これは調査が不十分で情報が不足していることが要因としてあげられる。

参考:掲載種数 3 1 9 13 263

参考:掲載種数 3 1 9 13 263

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

高山帯・亜高山帯 草地 その他(低木林)

1970年に報告されて以降、記録されていない。報告された個体は、大峰山で拾得された死体1体である。

開発行為 伐採・植林 環境急変スキー場造成や土木工事などの開発行為、自然林の伐採、スギ・ヒノキなどの植林による土壌の攪乱と消失、シカの個体数増加にともなう土壌の攪乱、登山者等による植生の破壊、残飯誘引によるキツネやカラスなどの侵入が懸念される。

森林、草原に生息する。一般に、トガリネズミよりも標高の高い森林に生息するが、数は少なく、生態も明らかになっていない。昆虫やクモ類などを捕食する。

山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

1980年に尾瀬沼で確認されて以降、記録されていない。生息数も少ないと考えられる。生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採や人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発や土地造成などによる生息環境の悪化、昆虫類などの餌生物の減少が懸念される。

ブナ林などの大木の樹洞を利用すると考えられているが、越冬、採餌、繁殖などの生態はわかっていない。

青森県、岩手県、福島県、長野県、尾瀬の数カ所からの記録のみ。

山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

1977年、1980年に御荷鉾山・赤久繩山・あずさ沢、尾瀬沼で確認されて以降、記録されていない。開発行為、森林伐採などにより、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発、土地造成などによる生息環境の悪化、餌生物の減少が懸念される。

樹洞をねぐらとするが、樹皮の隙間、落ち葉の下、洞穴、建造物の隙間などで確認されている。主に森林の下層で飛翔性昆虫を採餌し、葉上の昆虫類も捕食すると考えられている。初夏に1頭の仔を産む。

前回はニホンコテングコウモリと記した。

アズミトガリネズミ

コヤマコウモリ

コテングコウモリ

哺乳類・食虫目トガリネズミ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

Sorex hosonoi

Nyctalus furvus

Murina silvatica

今回評価 絶滅危惧ⅠA類

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) 準絶滅危惧

環境省(2007) 準絶滅危惧

適用基準 定性⑤

県内分布状況

今回評価 絶滅危惧ⅠA類

群馬県(2002) 注目

環境省(2012)

絶滅危惧ⅠB類

環境省(2007)

絶滅危惧Ⅱ類

適用基準 定性⑤

県内分布状況

今回評価 絶滅危惧ⅠA類

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性⑤

県内分布状況

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種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

今回評価 絶滅危惧Ⅱ類

群馬県(2002)

絶滅危惧Ⅱ類

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性②

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)

県内分布状況

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

平地帯 亜山地帯 山地帯 草原

草地やヨシなどが繁茂していた場所が、市街地を中心に宅地造成、河川改修や河川敷の芝生化などによって人工的な環境に改変され、生息に適した環境が減少している。

開発行為 環境急変 管理放棄 自然遷移人為的な要因による生息地の減少、茅場の利用減少による草地の遷移と減少。セイタカアワダチソウ(外来種)の侵入による草地の乾燥化も要因となっている。

低地の草地、水田、畑、河川敷などのイネ科、カヤツリグサ科の植物が密生し、水気のあるところを好む。ススキやオギ、チガヤなどイネ科植物の葉を利用して地表から約1mの高さに直径約10cmの小さな球形の巣を造る。イネ科植物の種子や昆虫を捕食する。春と秋に2~8頭の仔を産む。

前回はホンドカヤネズミと記した。

高山帯・亜高山帯 亜高山常緑針葉樹林 夏緑広葉樹林

広葉樹林の大規模伐採や、人為的な植生の改変などによって、生息環境が悪化していると考えられる。生息数は少ない。

開発行為 伐採・植林 環境急変スキー場造成や土木工事などの開発行為、自然林の伐採、スギ・ヒノキなど人工林の植林による土壌の攪乱と消失、シカの個体数増加にともなう土壌の攪乱、登山者等による植生の破壊、残飯誘引によるキツネやカラスなどの侵入が懸念される。

森林や低木林などの落葉層、腐植層で生活し、昆虫類、クモ類、ムカデ類などを捕食する。春に2~6頭の仔を産む。

前回はホンシュウトガリネズミと記した。

 亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 河川(上流)

渓流や小河川に依存して生息している。山間地の渓流では、河川の護岸工事や生活排水の流入などによる水質悪化により、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 農薬等汚染 雑排水等汚濁河川工事などの開発行為や、雑排水等汚濁、伐採などによる渓流の破壊など、人為的な要因による生息地の消失や生息環境が悪化している。

山間部の渓流付近に生息する。水生昆虫や甲殻類、貝類、魚類などを捕食する。河畔の土中や石の下に巣を造り、春と秋に2~5頭の仔を産む。

前回はニホンカワネズミと記した。

カヤネズミ

シントウトガリネズミ

カワネズミ

哺乳類・齧歯目ネズミ科

哺乳類・食虫目トガリネズミ科

哺乳類・食虫目トガリネズミ科

Micromys minutus

Sorex shinto

Chimarrogale himalayica

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65

Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

広葉樹林の大規模伐採による樹洞の消失など、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、道路網の発達による生息地の分断などにより、生息環境が悪化している。

森林に生息する。夜行性で、主に樹上で生活し、樹洞に営巣する。樹木の芽、葉、種子などを食べる。4~5月に2~6頭の仔を産む。広範囲に生息している可能性もあるが、生息密度は低いと考えられる。

前回はホンドモモンガと記した。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林

奥利根や尾瀬で生息が報告されている。広葉樹林の大規模伐採など、生息環境の悪化により生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変ブナ・ミズナラなどの森林伐採、大規模植林、スキー場造成など、人為的な要因による土壌の攪乱と消失など生息環境が悪化している。

小型のモグラ類で、森林内の地表の腐植層で生活する。昆虫類、ミミズ類、ムカデ類、ヒル類などを捕食する。春に2~6頭の仔を産む。

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

主に県北部で生息が確認されているが、生息密度が低い。森林の伐採などにより、多くの生息地で大木の樹洞が消失するなど生息環境が悪化している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発や土地造成などによる生息環境の悪化、昆虫類などの餌生物の減少が懸念される。

夜行性で、樹洞を昼間のねぐらとする。開けた場所や樹上を主な採餌場所とし、飛翔する昆虫類を捕食する。初夏に2頭の仔を産む。

ミズラモグラ

ヤマコウモリ

モモンガ

哺乳類・食虫目モグラ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・齧歯目リス科

Euroscaptor mizura

Nyctalus aviator

Pteromys momonga

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) 準絶滅危惧

環境省(2007) 準絶滅危惧

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) 絶滅危惧Ⅱ類

環境省(2007) 準絶滅危惧

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)、b)

県内分布状況

Page 9: 哺乳類の概要 - gmnh.pref.gunma.jp · 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧Ⅰa類3種、絶滅危 惧ii類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧ii類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

平地帯 亜山地帯 山地帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

開発行為や森林伐採などにより、多くの生息地で生息環境が悪化している。

開発行為 伐採・植林開発行為、森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失と餌生物の減少など、生息環境が悪化している。

森林に生息する。夜行性で、主に樹上で生活し、樹洞に巣を造る。木の芽、葉、花、果実、種子などを食べる。春と秋に1~4頭の仔を産む。

前回はニッコウムササビと記した。

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林

ブナ、コナラ、ミズナラなど落葉広葉樹林を主とする自然林の減少によって、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採などの大規模な環境攪乱と消失により、生息環境が悪化している。

針葉樹林、常緑・夏緑広葉樹林などの森林に生息する。夜行性で、主に樹上で生活する。樹洞などに樹皮やコケを集めて球形の巣を造る。果実、昆虫、小鳥の卵などを食べる。気温が12~14℃まで下がると樹洞や土の中で冬眠する。春から秋にかけて繁殖し、3~6頭の仔を産む。

国の天然記念物に指定されている。日本固有種。

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林

主に樹上で生活するため、伐採、植林、開発行為などによる自然林の減少の影響を受けやすい。

開発行為 伐採・植林 環境急変開発行為、伐採などによる自然林の減少や、農村部の都市化の影響などで、生息環境が減少している。

岩の隙間や樹洞を利用して巣を造る。雑食性で、小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類、多足類、甲殻類、果実(マタタビ、ヤマグワなど)など多様なものを食べる。単独で生活する。4~5月に2~4頭の仔を産む。

前回はホンドテンと記した。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

ムササビ

ヤマネ

テン

哺乳類・齧歯目リス科

哺乳類・齧歯目ヤマネ科

哺乳類・食肉目イタチ科

Petaurista leucogenys

Glirulus japonicus

Martes melampus

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) 準絶滅危惧

適用基準 定性a)、b)

県内分布状況

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)

県内分布状況

Page 10: 哺乳類の概要 - gmnh.pref.gunma.jp · 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧Ⅰa類3種、絶滅危 惧ii類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧ii類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞)

開発、森林伐採、植林により樹洞が減少するなど、生息に適した環境が減少している。1980年以降、生息に関する記録がない。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採や人工林の増加などによる樹洞の消失と減少、湿地開発や土地造成などによる生息環境の悪化、餌生物の減少が懸念される。

樹林で生活する以外に詳しい生態は解明されていない。森林で採餌を行い、樹洞や樹木の樹皮下、自然洞穴などをねぐらにすると考えられる。初夏に1頭の仔を産む。

オゼホオヒゲコウモリが本種に統合された(環境省レッドリスト 2012)。

山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞、洞穴)

県北部のみで生息が確認されている。生息数も少ないと考えられる。開発、森林伐採などにより生息環境が悪化している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採や人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発や土地造成などによる生息環境の悪化と餌生物の減少が懸念される。

自然林に生息する。夜行性で樹洞を昼間のねぐらにするが、洞穴などでも確認されることがある。昆虫類を捕食する。初夏に1頭の仔を産む。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

山地帯 高山帯・亜高山帯 その他(岩場)

片品川源流、谷川岳、尾瀬などの県北部で生息が報告されている。生息数も少ないと考えられる。

開発行為 伐採・植林 環境急変 外来・国内外来種森林伐採などの大規模な人為的環境攪乱と消失によって生息環境が悪化している。

夏は高山帯・亜高山帯の岩場で活動し、鳥類やその卵、雛、ネズミ類、昆虫類などの小動物を捕食する。樹洞や岩場の隙間などに巣を造り、春に4~5頭の仔を産む。

ホンドオコジョ

シナノホオヒゲコウモリ

カグヤコウモリ

哺乳類・食肉目イタチ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

Mustela erminea nippon

Myotis ikonnikovi hosonoi

Myotis frater

今回評価 準絶滅危惧

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) 準絶滅危惧

環境省(2007) 準絶滅危惧

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007)

絶滅危惧Ⅱ類

適用基準 定性b)、d)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)、c)、d)

県内分布状況

Page 11: 哺乳類の概要 - gmnh.pref.gunma.jp · 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧Ⅰa類3種、絶滅危 惧ii類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧ii類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞、洞穴)

県北部のみで生息が確認されている。森林や洞穴に生息するが、自然林の減少や洞穴の観光利用が進み、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 農薬等汚染 その他(湿地開発、土地造成)開発行為や、森林伐採・植林による自然林の減少により、餌生物の減少が懸念される。農薬等による昆虫類への影響も大きい。洞穴の観光利用などにより生息地が消失、減少している。

自然林、二次林に生息する。主に洞穴をねぐらとするが、樹洞や廃坑なども利用する。小型の昆虫類やクモ類などを捕食する。初夏に1頭の仔を産む。

高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞、洞穴)

県北部のみで生息が確認されている。広葉樹林の大規模伐採などにより生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変 その他(湿地開発、土地造成)森林伐採、湿地開発、土地造成などにより、大径木が伐採され、ねぐらと採餌場所が喪失している。

樹洞をねぐらとしていると考えられているが、洞穴などでも発見されている。

北海道、本州、四国から記録があるが、本州では記録が極めて少ない。

平地帯 亜山地帯 夏緑広葉樹林 里山 その他(樹洞、自然・人工物の割れ目、隙間)

開発行為や森林伐採などによる樹洞の減少により、多くの生息地で生息環境が悪化している。生息に適した環境の減少にともない、建造物などを繁殖地に利用することもあるが、生息環境としては不安定である。

開発行為 伐採・植林 環境急変 農薬等汚染 雑排水等汚濁 管理放棄森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発、土地造成、里山の管理放棄などによる生息環境の悪化、農薬散布、生活排水の流入などによる餌生物の減少が懸念される。また、建造物を繁殖地に利用しているが、建て替えや糞尿の衛生問題などで駆除されることもある。

樹洞のほか、鉄道の橋桁の隙間、家屋などもねぐらに利用する。建築物では、メスが数千頭を超える出産哺育コロニーをつくることもある。初夏に1~3頭の仔を産む。オスの生態はわかっていない。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

ホンドノレンコウモリ

ヒナコウモリ

チチブコウモリ

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

Myotis nattereri bombinus

Vespertilio superans

Barbastella leucomelas

今回評価 情報不足

群馬県(2002) -

環境省(2012)

絶滅危惧Ⅱ類

環境省(2007)

絶滅危惧Ⅱ類

適用基準 定性b)、d)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性d)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) -

環境省(2012)

絶滅のおそれのある地域個体群

環境省(2007)

絶滅のおそれのある地域個体群

適用基準 定性b)、d)

県内分布状況

Page 12: 哺乳類の概要 - gmnh.pref.gunma.jp · 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧Ⅰa類3種、絶滅危 惧ii類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧ii類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) ー

環境省(2007)

絶滅危惧Ⅱ類

適用基準 定性a)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性b)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性d)

県内分布状況

Plecotus auritus

ウサギコウモリ 哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

平地帯 亜山地帯 夏緑広葉樹林 その他(樹洞、洞穴)

主に県北部で生息が確認されている。開発行為、森林伐採などにより、生息地の生息環境が悪化している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採や人工林の増加などによる樹洞の消失及び減少、湿地開発、土地造成などによる生息環境の悪化、餌生物の減少が懸念される。

樹洞をねぐらとするが、洞穴や廃坑でみつかることもある。単独で生活していることが多い。森林の下層で採餌し、飛翔する昆虫類を捕食する。初夏に出産する。

前回はニホンテングコウモリと記した。

Murina hilgendorfi

テングコウモリ 哺乳類・翼手目ヒナコウモリ科

哺乳類・齧歯目ネズミ科トウホクヤチネズミ

山地帯 高山帯・亜高山帯 その他(自然林、人工林、岩場)

主に県北部で生息が確認されており、比較的降水量の多い、限られた環境に生息しているが、このような環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採など大規模な環境攪乱と消失により、生息環境が悪化している。

森林に生息する。草の種子や根などを食べる。春から秋にかけて1~5頭の仔を産む。

前回はヤチネズミと記した。

Eothenomys andersoni

山地帯 高山帯・亜高山帯 常緑針葉樹林 夏緑広葉樹林 混交林 その他(樹洞、洞穴)

主に県北部で生息が確認されている。開発行為、森林伐採などにより樹洞が減少し、多くの生息地で生息環境が悪化している。

開発行為 伐採・植林 環境急変森林伐採、人工林の増加などによる樹洞の消失や減少、湿地開発、土地造成などによる生息環境の悪化、餌生物の減少が懸念される。

樹洞のほか、洞穴や家屋内にも生息する。小~中型のガやカゲロウ類などを捕食する。初夏に1頭の仔を産み、出産哺育のためにまとまって営巣する。

前回はニホンウサギコウモリと記した。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 準絶滅危惧

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)

県内分布状況

平地帯 亜山地帯 山地帯 夏緑広葉樹林 里山

県内に広く生息すると考えられるが、生息密度は低い。宅地造成などの開発行為や森林伐採などにより、生息に適した環境が減少している。

開発行為 伐採・植林 外来・国内外来種 その他(競合)道路網の発達による生息域の分断、交通事故、開発行為や森林伐採、植林により生息環境が悪化している。

山地帯の森林から平地帯の人家周辺まで広く分布する。カエル類、ネズミ類、鳥類、昆虫類、甲殻類、果実などを食べる。初夏に1~8頭の仔を産む。

西日本では外来種(チョウセンイタチ)が生息域に侵入し、競合している。

Mustela itatsi

ニホンイタチ 哺乳類・食肉目イタチ科

哺乳類・食肉目クマ科

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 

繁殖率が低く、森林伐採や人工林の増加、開発行為などによる生息環境の悪化、農林業被害など人との軋轢の増加により捕獲圧が高まっている。

開発行為 伐採・植林 捕獲 環境急変森林伐採や人工林化による広葉樹林の減少、道路網の整備による生息地の分断などで生息環境が悪化した。近年は人工林の皮剥ぎや農作物の食害、人の生活圏への出没に伴い、捕獲圧が高まっている。また、ナラ枯れによる堅果類の減少や不作の影響も懸念される。

森林に生息する。春はブナの若芽や草本類、夏はアリ・ハチなどの昆虫類、秋はコナラなど堅果類を採食する。母子を除き単独で行動するが、餌の多い場所では多くの個体が集中する。また、餌が不足すると人里に出没する。樹洞や洞穴で冬眠する。冬眠中に、2~3年間隔で1~2頭の仔を産む。繁殖率は低い。

本県には越後・三国個体群と、関東山地個体群が生息している。前回はニホンツキノワグマと記した。

Ursus thibetanus japonicus

ツキノワグマ

哺乳類・齧歯目ネズミ科

Eothenomys smithi

スミスネズミ

亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 その他(人工林、耕作地)

森林とその周辺に生息するが、どの生息地においても、他のネズミ類に比べて生息密度が低い。開発行為などの影響を受けている。

開発行為 伐採・植林 環境急変道路や砂防ダムなど開発行為によって、個体群が分断されやすい。また、森林伐採など大規模な環境攪乱と消失により、生息環境が悪化している。

森林や山間部の畑とその周辺に生息する。落葉・腐植層の厚い湿潤な環境を好む。植物の葉や茎や種子・実などを食べる。春から秋にかけて、2~3頭の仔を産む。

前回はホンドスミスネズミと記した。

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

Page 14: 哺乳類の概要 - gmnh.pref.gunma.jp · 評価の結果、今回の改訂版では26種を選定した。その内訳は、絶滅危惧Ⅰa類3種、絶滅危 惧ii類1種、準絶滅危惧9種、情報不足13種である。2002年版(前回)では、絶滅危惧ii類1種、

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Ⅱ1234

種の解説

哺乳類

鳥 

爬虫類

両生類

魚 

昆虫類

クモ類

甲殻類

陸・淡水

 

 

産貝類

 

ヒドロムシ類

ウズムシ類

 

コケムシ類

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)

県内分布状況

今回評価 情報不足

群馬県(2002) 注目

環境省(2012) -

環境省(2007) -

適用基準 定性a)、d)

県内分布状況

哺乳類・偶蹄目ウシ科

平地帯 亜山地帯 山地帯 高山帯・亜高山帯 夏緑広葉樹林 混交林

県内に広く生息するが、近年、山間部を中心に生息域を拡大しているシカと競合するなど、生息環境が悪化している。また、農林業被害等、人との軋轢の増加により捕獲圧が高まっている。

開発行為 伐採・植林 捕獲 その他(競合)開発行為や森林伐採・植林による自然林の急速な減少と生息環境の悪化、農林業被害の増加にともない捕獲圧が高まっている。近年、九州、四国地域では、生息数が増加しているシカと競合し、絶滅の危機に瀕している状況が報告されている。

平地帯から高山帯・亜高山帯までの夏緑広葉樹林、混交林に生息する。木本類、草本、ササ類などを採食する。単独で生活し、タメ糞をする習性がある。交尾期は10~11月で、5~6月に1頭の仔を産む。過度な捕獲圧に対して脆弱である。

国の特別天然記念物に指定されている。前回はニホンカモシカと記した。

Capricornis crispus

カモシカ

哺乳類・食肉目イタチ科

平地帯 亜山地帯 山地帯 夏緑広葉樹林 里山

県内に広く生息すると考えられるが、生息密度や繁殖率が低く、環境の変化に脆弱である。

開発行為 伐採・植林 捕獲道路網の整備など、開発行為による生息域の分断、交通事故、森林伐採・植林による自然林の急速な減少と生息環境の悪化、農作物被害にともない捕獲圧も高まっている。

夜行性で、日中は巣穴で休息する。雑食性でミミズ類や土壌昆虫、地上に落ちた木の実等を採食する。交尾期は3~4月で、遅延着床があり、妊娠期間は約1年間である。出産は3~4月、1~3頭の仔を産むが、繁殖率は低い。

前回はニホンアナグマと記した。

Meles meles

アナグマ

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項

生息環境

評価理由

主  な危険要因

生 態 の特 性

特記事項