27
B – p.1/12

陰関数定理 - 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)snii/Calculus/12-3.pdf陰関数定理 y = y(x) のx = x0 における微分係数はF(x,y(x)) = 0 をx で微分することによって

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

陰関数定理

微分積分・同演習 B – p.1/12

陰関数定理[定理](陰関数定理) (x0, y0)の近くで C1級の二変数関数F (x, y) (Fx(x, y)と Fy(x, y)がともに存在して連続)について、F (x0, y0) = 0かつ Fy(x0, y0) 6= 0とする。このとき方程式 F (x, y) = 0は (x0, y0)の近くで xについて解ける。

となる の関数 がある。仮定より の での一階までの 展開は

では剰余項 は充分小さいのでは次のように解ける:

小さい項

微分積分・同演習 B – p.2/12

陰関数定理[定理](陰関数定理) (x0, y0)の近くで C1級の二変数関数F (x, y) (Fx(x, y)と Fy(x, y)がともに存在して連続)について、F (x0, y0) = 0かつ Fy(x0, y0) 6= 0とする。このとき方程式 F (x, y) = 0は (x0, y0)の近くで xについて解ける。 i.e.

F (x, y(x)) = 0, y(x0) = y0

となる xの関数 y = y(x)がある。

仮定より の での一階までの 展開は

では剰余項 は充分小さいのでは次のように解ける:

小さい項

微分積分・同演習 B – p.2/12

陰関数定理[定理](陰関数定理) (x0, y0)の近くで C1級の二変数関数F (x, y) (Fx(x, y)と Fy(x, y)がともに存在して連続)について、F (x0, y0) = 0かつ Fy(x0, y0) 6= 0とする。このとき方程式 F (x, y) = 0は (x0, y0)の近くで xについて解ける。 i.e.

F (x, y(x)) = 0, y(x0) = y0

となる xの関数 y = y(x)がある。∵仮定より F (x, y)の (x0, y0)での一階までの Taylor展開はF (x, y) = Fx(x0, y0)(x − x0) + Fy(x0, y0)(y − y0) + R2(x, y)

では剰余項 は充分小さいのでは次のように解ける:

小さい項

微分積分・同演習 B – p.2/12

陰関数定理[定理](陰関数定理) (x0, y0)の近くで C1級の二変数関数F (x, y) (Fx(x, y)と Fy(x, y)がともに存在して連続)について、F (x0, y0) = 0かつ Fy(x0, y0) 6= 0とする。このとき方程式 F (x, y) = 0は (x0, y0)の近くで xについて解ける。 i.e.

F (x, y(x)) = 0, y(x0) = y0

となる xの関数 y = y(x)がある。∵仮定より F (x, y)の (x0, y0)での一階までの Taylor展開はF (x, y) = Fx(x0, y0)(x − x0) + Fy(x0, y0)(y − y0) + R2(x, y)

∴ (x, y) ≈ (x0, y0)では剰余項 R2(x, y)は充分小さいのでF (x, y) = 0は次のように解ける:

y = y0 −Fx(x0, y0)

Fy(x0, y0)(x − x0) + (小さい項)

微分積分・同演習 B – p.2/12

陰関数定理[例] (0, 1)は F (x, y) = x2 + y2 − 1 = 0で定まる単位円周上にあり、そこでは ∂F

∂y(0, 1) = 2 6= 0である。よって陰関数定理

より F (x, y(x)) = 0となる関数がある。( y =√

1 − x2 )特に z = F (x, y)のグラフの (0, 1)での接平面 z = 2y − 2はy 軸方向に傾いている。

微分積分・同演習 B – p.3/12

陰関数定理y = y(x)の x = x0 における微分係数は F (x, y(x)) = 0を x

で微分することによってdy

dx(x0) = −Fx(x0, y0)

Fy(x0, y0)と求まる。F (x, y)が C2 以上のときは、二階以上の微分係数も同様にして求まる。

また、この解 が 平面に定める曲線の での接線の方程式は

で与えられる。

微分積分・同演習 B – p.4/12

陰関数定理y = y(x)の x = x0 における微分係数は F (x, y(x)) = 0を x

で微分することによってdy

dx(x0) = −Fx(x0, y0)

Fy(x0, y0)と求まる。F (x, y)が C2 以上のときは、二階以上の微分係数も同様にして求まる。また、この解 y = y(x)が x-y 平面に定める曲線の (x0, y0)での接線の方程式は

y − y0 = −Fx(x0, y0)

Fy(x0, y0)(x − x0), i .e.

Fx(x0, y0)(x − x0) + Fy(x0, y0)(y − y0) = 0

で与えられる。微分積分・同演習 B – p.4/12

陰関数定理n個の m変数関数が与えられているとき (m > n):

F1(x1, . . . , xm) = 0, . . . , Fn(x1, . . . , xm) = 0

の解 (x1, . . . , xm) = (a1, . . . , am)について、Jacobi行列

∂xm−n+1F1(a1, . . . , am) · · · ∂xm

F1(a1, . . . , am)...

. . ....

∂xm−n+1Fn(a1, . . . , am) · · · ∂xm

Fn(a1, . . . , am)

が逆行列を持つならば、F1(x1, . . . , xm) = 0, . . . , Fn(x1, . . . , xm) = 0

は (x1, . . . , xm) ≈ (a1, . . . , am)で (x1, . . . , xm−n)で解ける:F1(x1, . . . , xm−n, xm−n+1(x1, . . . , xm−n), . . . xn(x1, . . . , xm−n)) = 0

...Fn(x1, . . . , xm−n, xm−n+1(x1, . . . , xm−n), . . . xn(x1, . . . , xm−n)) = 0

微分積分・同演習 B – p.5/12

陰関数定理[練習問題]三変数関数 F (x, y, z)と G(x, y, z)についてF (x0, y0, z0) = 0かつ G(x0, y0, z0) = 0が成り立ち、更にJacobi行列

Fy(x0, y0, z0) Fz(x0, y0, z0)

Gy(x0, y0, z0) Gz(x0, y0, z0)

が逆行列を持つならば、方程式

F (x, y, z) = 0

G(x, y, z) = 0

は xについて解けること i.e. F (x, y(x), z(x)) = 0かつG(x, y(x), z(x)) = 0となる y = y(x)と z = z(x)があることを示せ。

微分積分・同演習 B – p.6/12

陰関数定理[解答例]

F (x, y, z)

G(x, y, z)

を (x0, y0, z0)で Taylor展開すると

F (x, y, z)

G(x, y, z)

= (x − x0)

Fx(x0, y0, z0)

Gx(x0, y0, z0)

+

Fy(x0, y0, z0) Fz(x0, y0, z0)

Gy(x0, y0, z0) Gz(x0, y0, z0)

y − y0

z − z0

+ R2(x, y, z)

となる。

と は の関数として表すことができる:

小さい項

微分積分・同演習 B – p.7/12

陰関数定理[解答例]

F (x, y, z)

G(x, y, z)

を (x0, y0, z0)で Taylor展開すると

F (x, y, z)

G(x, y, z)

= (x − x0)

Fx(x0, y0, z0)

Gx(x0, y0, z0)

+

Fy(x0, y0, z0) Fz(x0, y0, z0)

Gy(x0, y0, z0) Gz(x0, y0, z0)

y − y0

z − z0

+ R2(x, y, z)

となる。 ∴ y と z は xの関数として表すことができる:

y

z

=

y0

z0

− (x − x0)

Fy Fz

Gy Gz

−1

Fx

Gx

+ (小さい項)

微分積分・同演習 B – p.7/12

Lagrangeの未定乗数法

微分積分・同演習 B – p.8/12

Lagrangeの未定乗数法[定理](Lagrangeの未定乗数法) C1 級の二変数関数 f(x, y)

は、 (x0, y0)においてC1 級関数 ϕ(x, y) = 0が x-y平面上に定める曲線 C 上での極値をとるとする。

このとき、 とおくと、あるについてが成り立つ。注意 この定理の逆「ある について

が成り立つならば、は の 上での極値である」は成り立たない。

この定理は、 の 上での最大 小 値の候補を探す為に使う。この定理によって見つかった のなかで の値が最大 小 になる点が の 上での最大 小 点である。

微分積分・同演習 B – p.9/12

Lagrangeの未定乗数法[定理](Lagrangeの未定乗数法) C1 級の二変数関数 f(x, y)

は、 (x0, y0)においてC1 級関数 ϕ(x, y) = 0が x-y平面上に定める曲線 C 上での極値をとるとする。このとき、F (x, y;λ) := f(x, y)− λϕ(x, y)とおくと、ある λ0

について Fx(x0, y0;λ0) = Fy(x0, y0;λ0) = Fλ(x0, y0;λ0) = 0

が成り立つ。

注意 この定理の逆「ある についてが成り立つならば、

は の 上での極値である」は成り立たない。この定理は、 の 上での最大 小 値の候補を探す為に使う。この定理によって見つかった のなかで の値が最大 小 になる点が の 上での最大 小 点である。

微分積分・同演習 B – p.9/12

Lagrangeの未定乗数法[定理](Lagrangeの未定乗数法) C1 級の二変数関数 f(x, y)

は、 (x0, y0)においてC1 級関数 ϕ(x, y) = 0が x-y平面上に定める曲線 C 上での極値をとるとする。このとき、F (x, y;λ) := f(x, y)− λϕ(x, y)とおくと、ある λ0

について Fx(x0, y0;λ0) = Fy(x0, y0;λ0) = Fλ(x0, y0;λ0) = 0

が成り立つ。[注意]この定理の逆「ある λ0 について Fx(x0, y0;λ0)

= Fy(x0, y0;λ0) = Fλ(x0, y0;λ0) = 0が成り立つならば、(x0, y0)は f(x, y)の C 上での極値である」は成り立たない。

この定理は、 の 上での最大 小 値の候補を探す為に使う。この定理によって見つかった のなかで の値が最大 小 になる点が の 上での最大 小 点である。

微分積分・同演習 B – p.9/12

Lagrangeの未定乗数法[定理](Lagrangeの未定乗数法) C1 級の二変数関数 f(x, y)

は、 (x0, y0)においてC1 級関数 ϕ(x, y) = 0が x-y平面上に定める曲線 C 上での極値をとるとする。このとき、F (x, y;λ) := f(x, y)− λϕ(x, y)とおくと、ある λ0

について Fx(x0, y0;λ0) = Fy(x0, y0;λ0) = Fλ(x0, y0;λ0) = 0

が成り立つ。[注意]この定理の逆「ある λ0 について Fx(x0, y0;λ0)

= Fy(x0, y0;λ0) = Fλ(x0, y0;λ0) = 0が成り立つならば、(x0, y0)は f(x, y)の C 上での極値である」は成り立たない。この定理は、f(x, y)の C 上での最大 (小)値の候補を探す為に使う。この定理によって見つかった (x, y)のなかで f の値が最大 (小)になる点が f(x, y)のC上での最大 (小)点である。

微分積分・同演習 B – p.9/12

Lagrangeの未定乗数法∵先ず、(x0, y0)は曲線 C 上にあるので λ0 が何であってもFλ(x0, y0;λ0) = ϕ(x0, y0) = 0である。

次に、 上で は定数 なので、 はの接線に直交する。 は が最も大きくなる方向

ここで、 は 上での極値なので、 が 上をから動くとき は増減しない。即ち

は の接線に直交する。従って と は平行であり

となる がある。これは かつ

を意味する。

微分積分・同演習 B – p.10/12

Lagrangeの未定乗数法∵先ず、(x0, y0)は曲線 C 上にあるので λ0 が何であってもFλ(x0, y0;λ0) = ϕ(x0, y0) = 0である。次に、C 上で ϕ(x, y)は定数 (= 0)なので、grad ϕ(x0, y0)はC の接線に直交する。(grad ϕは ϕが最も大きくなる方向)

ここで、 は 上での極値なので、 が 上をから動くとき は増減しない。即ち

は の接線に直交する。従って と は平行であり

となる がある。これは かつ

を意味する。

微分積分・同演習 B – p.10/12

Lagrangeの未定乗数法∵先ず、(x0, y0)は曲線 C 上にあるので λ0 が何であってもFλ(x0, y0;λ0) = ϕ(x0, y0) = 0である。次に、C 上で ϕ(x, y)は定数 (= 0)なので、grad ϕ(x0, y0)はC の接線に直交する。(grad ϕは ϕが最も大きくなる方向)ここで、f(x0, y0)は C 上での極値なので、(x, y)が C 上を(x0, y0)から動くとき f(x, y)は増減しない。即ちgrad f(x0, y0)は C の接線に直交する。

従って と は平行でありとなる がある。

これは かつを意味する。

微分積分・同演習 B – p.10/12

Lagrangeの未定乗数法∵先ず、(x0, y0)は曲線 C 上にあるので λ0 が何であってもFλ(x0, y0;λ0) = ϕ(x0, y0) = 0である。次に、C 上で ϕ(x, y)は定数 (= 0)なので、grad ϕ(x0, y0)はC の接線に直交する。(grad ϕは ϕが最も大きくなる方向)ここで、f(x0, y0)は C 上での極値なので、(x, y)が C 上を(x0, y0)から動くとき f(x, y)は増減しない。即ちgrad f(x0, y0)は C の接線に直交する。従って grad f(x0, y0)と grad ϕ(x0, y0)は平行でありgrad f(x0, y0) = λ0 grad ϕ(x0, y0)となる λ0 がある。

これは かつを意味する。

微分積分・同演習 B – p.10/12

Lagrangeの未定乗数法∵先ず、(x0, y0)は曲線 C 上にあるので λ0 が何であってもFλ(x0, y0;λ0) = ϕ(x0, y0) = 0である。次に、C 上で ϕ(x, y)は定数 (= 0)なので、grad ϕ(x0, y0)はC の接線に直交する。(grad ϕは ϕが最も大きくなる方向)ここで、f(x0, y0)は C 上での極値なので、(x, y)が C 上を(x0, y0)から動くとき f(x, y)は増減しない。即ちgrad f(x0, y0)は C の接線に直交する。従って grad f(x0, y0)と grad ϕ(x0, y0)は平行でありgrad f(x0, y0) = λ0 grad ϕ(x0, y0)となる λ0 がある。これは Fx(x0, y0;λ0) = fx(x0, y0) − λ0ϕx(x0, y0) = 0 かつFy(x0, y0;λ0) = fy(x0, y0) − λ0ϕy(x0, y0) = 0を意味する。

微分積分・同演習 B – p.10/12

Lagrangeの未定乗数法[練習問題]条件 x2 + y2 = 1のもとで、関数 f(x, y) = xy の最大値と最小値を求めよ。

解答例とおくと

。従って、 から が得られて より となる。具体的な値を比較することにより、最大値 と最小値 が求まる。

微分積分・同演習 B – p.11/12

Lagrangeの未定乗数法[練習問題]条件 x2 + y2 = 1のもとで、関数 f(x, y) = xy の最大値と最小値を求めよ。[解答例]

F (x, y) = xy − λ(x2 + y2 − 1)とおくと Fx(x, y) = y − 2λx,Fy(x, y) = x − 2λy, Fλ(x, y) = −(x2 + y2 − 1)。

従って、 から が得られて より となる。具体的な値を比較することにより、最大値 と最小値 が求まる。

微分積分・同演習 B – p.11/12

Lagrangeの未定乗数法[練習問題]条件 x2 + y2 = 1のもとで、関数 f(x, y) = xy の最大値と最小値を求めよ。[解答例]

F (x, y) = xy − λ(x2 + y2 − 1)とおくと Fx(x, y) = y − 2λx,Fy(x, y) = x − 2λy, Fλ(x, y) = −(x2 + y2 − 1)。従って、Fx(x, y) = 0, Fy(x, y) = 0から x2 = y2(= 2λxy)が得られて Fλ(x, y) = 0より (x, y) = (± 1

2,± 1

2)となる。

具体的な値を比較することにより、最大値 と最小値 が求まる。

微分積分・同演習 B – p.11/12

Lagrangeの未定乗数法[練習問題]条件 x2 + y2 = 1のもとで、関数 f(x, y) = xy の最大値と最小値を求めよ。[解答例]

F (x, y) = xy − λ(x2 + y2 − 1)とおくと Fx(x, y) = y − 2λx,Fy(x, y) = x − 2λy, Fλ(x, y) = −(x2 + y2 − 1)。従って、Fx(x, y) = 0, Fy(x, y) = 0から x2 = y2(= 2λxy)が得られて Fλ(x, y) = 0より (x, y) = (± 1

2,± 1

2)となる。

具体的な値を比較することにより、最大値 1

2と最小値−1

2が

求まる。

微分積分・同演習 B – p.11/12

宿題

問題集203~205ページ (例題と演習A)

微分積分・同演習 B – p.12/12