髙田早苗 株式会社ソキウス・ジャパン M T A トワ 98 - 366対応 試験番号 98 - 366

試験番号 MTA - book.impress.co.jp · b. ネットワークを介して、データを共有することができる c. ネットワークに接続されるのはコンピューターのみである

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髙田早苗株式会社ソキウス・ジャパン

著編

MTAネットワーク

[98-366]対応

試験番号

98-366

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インプレスジャパンの書籍ホームページ書籍の新刊や正誤表など最新情報を随時更新しております。

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本書は、「MTAネットワークの基礎」試験の受験対策用の教材です。株式会社インプレスジャパンおよび著者は、本書の使用による「MTAネットワークの基礎」への合格を一切保証しません。

本書の内容については正確な記述につとめましたが、著者、株式会社インプレスジャパンは本書の内容に基づく試験の結果にも一切責任を負いません。

Microsoft、Windowsは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。その他、本文中の製品名およびサービス名は、一般に各開発メーカーおよびサービス提供元の商標または登録商標です。なお、本文中にはTMおよび®は明記していません。

Copyright © 2013 Socius Japan, Inc. All rights reserved.

本書の内容はすべて、著作権法によって保護されています。著者および発行者の許可を得ず、転載、複写、複製等の利用はできません。

Web徹底攻略試験や資格の最新情報や模擬試験などが体験できる資格関連書の専用サイトです。

http://shikaku.impress.co.jp/

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はじめに

MTA(Microsoft Technology Associate)は、2012年にスタートした、マイクロソフトの新しい認定資格です。ITプロフェッショナルを目指す学生・新入社員や、これまでIT技術にあまりなじみのなかった方にも取り組みやすい資格として誕生しました。「システム管理者向け」「データベース開発/管理者向け」「開発者向

け」という3つのトラックから構成されており、目指す技術分野に合わせて科目を選択できます。

本書は「システム管理者向け」トラックの「MTAネットワークの基礎」(試験番号98-366)のための学習問題集です。

TCP/IPネットワークで接続されたインターネットは世界的に普及しており、皆さんも日々会社や学校、自宅、外出先から、コンピューターやスマートフォンを使用して世界中の情報を検索し、さまざまな友人とのつながりも実感されていると思います。ネットワークがどのような機器や仕組みで接続され、どのような機能を持っているのかを学習することは、試験対策としてだけではなく、とても興味深く、これからの皆さんの生活にきっと役に立つと思います。

執筆にあたっては、初心者の方でも無理なく学習していただけるよう、図版を多く用いた平易な解説に努めました。また、単に受験のための知識取得にとどまらず、ネットワーク技術を学ぼうとする方に必要な事項を網羅しています。問題を解き、解説を読み進めていただければ、ネットワークの基礎知識を無理なく身に付けることができるでしょう。

本書を活用し、より多くの方がMTA資格を取得なさいますこと、また、ネットワーク技術のおもしろさを味わってくださいますことを祈念いたします。

2013年7月著者

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MTAについてMicrosoft Technology Associate(MTA)は、マイクロソフトの新しい認定資

格です。ITプロフェッショナルを目指す学生や、技術以外の部門の方が、さまざまなIT分野の基礎となる技術を学習するための最初のステップとして最適な構成になっています。

同じくマイクロソフトが主催するMCP(Microsoft Certified Professional)はベンダー系のIT資格として高い支持を得ていますが、主に現役で活躍するエンジニアを対象としたもので、初心者にはハードルが高いものでした。日本では学習やキャリアをスタートしたばかりの初学者向けに、MCA※(Microsoft Certified Associate)というITの根幹となる技術の基礎力を問う資格がありますが、MTAはより広い技術分野をカバーし、ワールドワイドで通用する資格にグレードアップされたものです。※MTAの登場によってMCAはその役割を終え、2013年12月末で終了します。

MTAは目標とする技術分野別に3つのトラックに分かれており、それぞれの資格を取得することで、上位のMCP資格取得のための基礎力を培うことができます。

●システム管理者向けトラックデスクトップまたはデスクトップ/サーバー管理者やプライベートクラウドコン

ピューティングの技術者を目指す人を対象としたトラックです。構成科目は以下の4つです。

・ Windowsオペレーティングシステムの基本事項(98-349)・ Windowsサーバー管理の基礎(98-365)・ネットワークの基礎(98-366)・セキュリティの基礎(98-367)

●データベース開発・管理者向けトラックデータベースの開発・管理者や経営情報システム(ビジネスインテリジェンス)技術者を目指す人を対象としたトラックです。以下の1科目のみから成ります。

・ データベースの基本事項(98-364)

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●開発者向けトラックWindowsアプリやWebアプリの開発者、アプリケーションライフサイクル管理技術者を目指す人を対象としたトラックです。

構成科目は以下の7つです。「ソフトウェア開発に関する基本事項(98-361)」から取得を開始し、目標に沿って科目を選択していきます。

・ソフトウェア開発に関する基本事項(98-361)・Windows開発に関する基本事項(98-362)・Web開発に関する基本事項(98-363)・Microsoft.NETの基礎(98-372)・モバイル開発に関する基本事項(98-373)・ゲーム開発に関する基本事項(98-374)・HTML5 アプリケーション開発に関する基本事項(98-375)

【MTAシステム管理者向けトラックのキャリアパス】

MTAシステム管理者向けトラック・ Windowsオペレーティングシステムの基本事項(98-349)・ Windowsサーバー管理の基礎(98-365)・ネットワークの基礎(98-366)・セキュリティの基礎(98-367)

MCSA(Microsoft Certified Solution Associate)・ Windows Server 2012・ Windows Server 2008・ Windows 8・ Windows 7

MCSE(Microsoft Certified Solution Expert)・ Server Infrastructure・ Desktop Infrastructure・ Private Cloud

MCP

MTA

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「MTAネットワークの基礎」の試験トピック●ネットワークインフラストラクチャ

インターネット、イントラネット、およびエクストラネットの概念VPN、セキュリティゾーン、ファイアウォール

LAN

境界ネットワーク、アドレス指定、ローカル使用のために予約されたアドレス範囲(ローカルループバックIPを含む)、VLAN、ワイヤード(有線)LANとワイヤレスLAN

WAN

専用回線、ダイヤルアップ、ISDN、VPN、T1、T3、E1、E3、DSL、ケーブルなど。速度と可用性

ワイヤレスネットワークワイヤレスネットワーク規格の種類とそれぞれの特性(802.11a/b/g/n)。さまざまな周波数範囲を含む)、ネットワークセキュリティの種類(WPA/WEP/802.1Xなど)、ポイントツーポイント(P2P)ワイヤレス、ワイヤレスブリッジ

ネットワークトポロジとアクセス方法

●ネットワークハードウェア

スイッチ伝送速度、ポートの数と種類、アップリンクの数、アップリンクの速度、管理型スイッチまたは非管理型スイッチ、VLANの機能、レイヤー2およびレイヤー3スイッチ、セキュリティオプション、ハードウェアの冗長性、サポート、バックプレーン速度、スイッチングの種類、MACテーブル、ハブとスイッチの機能について

ルーター伝送速度の考慮事項、直接接続されるルート、静的ルーティング、動的ルーティング(ルーティングプロトコル)、既定のルート、ルーティングテーブルおよび最適ルートの選択方法、ルーティングテーブルメモリ、NAT、Windows Serverにおけるソフトウェアルーティング

メディアの種類ケーブルの種類とそれぞれの特性(メディアセグメントの長さと速度など)、光ファイバー、シールド付きツイストペアまたはシールドなしツイストペア、カテゴリXXケーブル、ワイヤレス、外部干渉の影響の受けやすさ(機器、電源ケーブルなど)、電気(雷)の影響の受けやすさ、遮断の影響の受けやすさ

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●プロトコルとサービス

OSI参照モデルOSI参照モデル、TCP/IPモデル、デバイス、プロトコル、アプリケーションの例とそれぞれが属するOSI/TCP層、TCPとUDP、最も一般的な用途(インターネットに限定されない)のためのWell-knownポート、パケットとフレーム

IPv4/IPv6

サブネット化、IPconfig、IPv6を使用する理由、アドレス指定、後方互換性を保証するためのIPv4からIPv6へのトンネリングプロトコル、デュアルIPスタック、サブネットマスク、ゲートウェイ、ポート、パケット、ローカル使用のために予約されたアドレス範囲(ローカルループバックIPを含む)

名前解決DNS、WINS、名前解決処理の手順

ネットワークサービスDHCP、リモートアクセス

TCP/IP

ping、tracert、pathping、Telnet、IPconfig、netstatなどのツール、ローカル使用のために予約されたアドレス範囲(ローカルループバックIPを含む)、プロトコル

受験申し込み方法MTA試験は、プロメトリック株式会社Webサイト、または電話で申し込みます。

●プロメトリック株式会社URL http://it.prometric-jp.com/testlist/mta/index.htmlTel 0120-347-737(9:00~18:00、土日祝日、年末年始休業を除く)※Webで申し込む場合は、プロメトリックIDを取得する必要があります。

・ 受験料 12,600円(税込)・ 試験時間 55分・ 試験時期 各試験センターの会場で随時受験することができます。

MTAの問い合わせ先MTA制度のおよび受験後の認定証の取得に関する詳細はマイクロソフトのWeb

サイトを参照してください。

・ 日本マイクロソフト認定プログラム事務局 MS-Learning窓口URL http://www.microsoft.com/ja-jp/learning/mta/Tel 0120-77-2057(9:00~17:30、土日祝日、指定休業日を除く)

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□ 1. ネットワークの説明として適切なものはどれですか。(2つ選択)

A. ネットワークとは、世界中を接続するインターネットのことである

B. ネットワークを介して、データを共有することができるC. ネットワークに接続されるのはコンピューターのみであるD. ネットワークを介して、情報を伝達することができる

a P14

選択問題

本書の活用方法本書はカテゴリ別に分類された、問題と解答で構成されています。

●問題本書の問題は「MTAネットワークの基礎」試験合格に必要な知識を効果的に学

習することを目的に作成したものです。解答していくだけで、合格レベルの実力が身に付きます。また、MTA試験に想定されるさまざまな出題パターンにも対応しています。

チェックボックス

確実に理解している問題のチェックボックスを塗り潰しながら問題を進めれば、2回目からは、不確かな問題だけを、効率的に解くことができます。すべてのチェックボックスが塗り潰されれば、合格は目前です。

問題文をよく読んで、主旨にあった解答を選択します。正解が複数ある問題も含まれています。

解答ページ

問題の右下に、解答ページが表示されています。ランダムに問題を解くときも、解答ページ探しに手間取ることがありません。

□ 10.

レイヤ PDU

アプリケーション層

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

ネットワーク層

データリンク層

物理層

選択肢セグメント/データグラム 電気信号メッセージ フレーム パケット

P35

次の表のPDU欄に、下の選択肢から適切なものを当てはめ、OSI参照モデルの各層とPDUの関係を示す表を完成させなさい。

ドラッグアンドドロッップ問題

該当する図表の空欄に、選択肢をドラッグアンドドロップします。

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5. A

LANのイーサネット(第3章を参照)におけるデータ送受信方法には、全二重方式と半二重方式の2種類があります。全二重方式では、送信と受信を同時に行うことができます(A)。送信者と受信者の間で双方向に同時に送受信ができるため、伝送効率の高い方式です。半二重方式では、伝送路を切り替えて、送信または受信を行います(B)。送信者と受信者の間では、同時には片方向の通信しかできないため、伝送効率の低い方式です。

【全二重と半二重】

A

スイッチ

送受信を同時に行う

<全二重>

B C

ハブ

送信できるのは1ノードのみ送受信を同時に行うと衝突

<半二重>

D

衝突(コリジョン)

WAN接続などに用いられるシリアル伝送方式では、受信側が送信側の信号に合わせてデータを正確に取り込めるようにすることを同期を取るといいます。同期の取り方には、同期方式と非同期(調歩同期)方式の2種類があります。同期方式は、データのほかにクロックと呼ばれる定周期の信号が一緒に送られ、受信側はそのクロック信号のタイミングでデータ信号を読みとれば常に同期が取れるという方式です(C)。非同期方式は、クロック信号がなく、最初に届いた信号(スタートビット)の長さを測定し、以降はそれと同じ間隔で信号が送られてくるものとして受信する方式をいいます。同期用のクロック信号がないことから非同期と呼ばれています(D)。

●解答解答には、問題の正解やその理由だけでなく、用語や重要事項などが詳しく解

説されています。

解説(選択肢)

正解である選択肢はAや(A)のように、不正解である選択肢はBや(B)のように表記し、それぞれの根拠を表示しています。

解説(用語)

重要な用語は、太字で表記されています。

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目次

はじめに ……………………………………………… 3MTAについて ………………………………………… 4「MTAネットワークの基礎」の試験トピック …… 6受験申し込み方法 …………………………………… 7MTAの問い合わせ先 ………………………………… 7本書の活用方法 ……………………………………… 8

第 1章 ネットワークの基礎問題 ………………………………………………… 12解答 ………………………………………………… 15

第 2章 プロトコルと OSI参照モデル問題 ………………………………………………… 24解答 ………………………………………………… 28

第 3章 LANとWAN問題 ………………………………………………… 38解答 ………………………………………………… 48

第 4章 TCP/IP問題 ………………………………………………… 88解答 ………………………………………………… 99

第 5章 ネットワークサービス問題 ………………………………………………… 138解答 ………………………………………………… 144

第 6章 総仕上げ問題問題 ………………………………………………… 164解答 ………………………………………………… 173

索引 ………………………………………………… 194

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■ LAN/WAN

■ イントラネット/エクストラネット

■ インターネット

■ 伝送速度

■ 通信方式

ネットワークの基礎

第 章1

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□ 1. ネットワークの説明として適切なものはどれですか。(2つ選択)

A. ネットワークとは、世界中を接続するインターネットのことである

B. ネットワークを介して、データを共有することができる C. ネットワークに接続されるのはコンピューターのみである D. ネットワークを介して、情報を伝達することができる

aP15

□ 2. 同一組織が管理する敷地内など、限定された範囲に構築されるネットワークはどれですか。

A. イントラネット B. エクストラネット C. LAN

D. WAN

aP15

□ 3. WANの特徴として適切なものはどれですか。

A. 組織が自前で構築するネットワークを利用する B. 電気通信事業者の通信サービスを利用する C. 設備投資は必要だが、毎月の回線使用料は発生しない D. 障害時の対応は、組織の管理者が行う

aP16

□ 4. 最も通信範囲の狭いネットワークはどれですか。

A. WAN

B. LAN

C. PAN

D. CAN

aP17

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ネットワークの基礎

第 1 章□ 5 送信と受信を同時に行うことができる通信方式として適切なものはどれですか。

A. 全二重方式 B. 半二重方式 C. 同期方式 D. 非同期方式

aP18

□ 6. インターネットの説明として正しいものはどれですか。

A. 同一組織内の複数拠点を接続したネットワーク B. 企業ネットワークをVPNなどを用いて取引先との間にも拡張し

たネットワーク C. 組織内で自前に構築したネットワーク D. 複数の政府機関、大学、企業を接続したネットワーク

aP19

□ 7. ある企業の東京本社と大阪支社をWAN回線で接続しました。東京—大阪間のデータ通信範囲として適切なものはどれですか。

A. イントラネット B. エクストラネット C. インターネット D. LAN

aP20

□ 8. イントラネットの利用目的として適切なものはどれですか。

A. グループ企業と取引情報を共有する B. 興味のある企業のWebサイトを参照する C. 購入した製品の使用方法をメールで問い合わせる D. 社内の情報を従業員に提供する

aP20

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□ 9. 伝送速度を表す単位を小さいものから順に並べたものはどれですか。

A. kbps < Gbps < Tbps < Mbps

B. kbps < Mbps < Gbps < Tbps

C. kbps < Mbps < Tbps < Gbps

D. kbps < Tbps < Mbps < Gbps

aP21

□10. あるコンビニエンスストアチェーンでは、都内のさまざまな場所に設置された10か所の店舗間で売り上げ情報を共有するためにネットワークで接続することになりました。店舗間を接続するネットワークとして適切なのはどれですか。

A. CAN

B. WAN

C. LAN

D. PAN

aP21

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ネットワークの基礎

第 1 章第 1章 ネットワークの基礎

解 答

1. B、D

ネットワークという語はさまざまな意味に用いられますが、本書で扱うネットワークはコンピューターネットワークです。コンピューターネットワークは、複数のノードを相互接続したもので、情報の伝達やデータの共有など、多様な用途に利用されています(B、D)。家庭ではデジタルカメラの画像をプリンタで印刷したり、会社では社員が作成した資料をファイルサーバー上で共有したり、取引先とメールの送受信を行うために、ネットワークが活用されています。ネットワーク接続の範囲は、家庭内の小規模なネットワークから世界規模で接続されたインターネットまでさまざまです(A)。ノードは、コンピューターネットワークを構成する機器で、コンピューターのほか、ルーターやハブなどの通信機器、ネットワークに対応されたプリンターやスマートフォン、情報家電などもノードに相当します(C)。

2. C

ネットワークは、通信範囲によって、主にLANとWANの2種類に分けられます。LAN(Local Area Network)は、企業内、学校内など、同一組織が利用する敷地内、ビル内、フロア内などに構築されるネットワークです(C)。WAN(Wide Area Network)は、東京本社と大阪支社の間のように離れた場所に位置するLAN間を接続するネットワークです(D)。電気通信事業者が提供する通信サービスを利用するため、回線コストと品質や速度などのバランスを考慮してサービスを選択する必要があります。

※次ページに続く

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【LANとWAN】

DNSサーバー

大阪支社LAN

WAN

東京本社LAN

メールサーバー

イントラネット、エクストラネット、インターネットは、ネットワークの利用対象者による分類です。イントラネットは組織内ユーザー向けのネットワーク(A)、エクストラネットはイントラネットを取引先など限定されたほかの組織まで拡張したネットワーク(B)、インターネットは世界中のユーザーに開かれたネットワークです(解答6を参照)。

3. B

LANとWANには、対象とするエリア以外にも、さまざまな違いがあります。

【LANとWANの違い】LAN WAN

提供形態 組織が自前で構築 通信事業者サービスを利用

費用導入費用は必要だが、回線使用料は不要

回線使用料が必要

管理 組織が自前で管理通信サービスの管理は事業者が行う

LANは私有地内のネットワークなので、組織の管理者が自前で構築し、運用します(A)。そのため、設備投資は必要ですが、毎月の回線使用料は発生しません(C)。また、障害時の対応は、組織の管理者が行います(D)。WANは離れた場所に位置するLAN間を接続するネットワークです。電気通信事業者が提供する通信サービスを利用するため(B)、回線の使用料が発生します。障害時の対応は、WANサービス提供事業者が行います。

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ネットワークの基礎

第 1 章4. C

ネットワークを通信範囲の広さによって分類すると、次のようになります。

【ネットワークの広さ】

WAN

CAN

LAN

PAN

PAN(Personal Area Network)(C)は、個人の周辺の機器を接続するネットワークです。たとえば、PCとキーボード、デジタルカメラ、NAS(Network

Attatched Storage)、電話機、スマートデバイスなどをUSBやFireWire、WiFi、Bluetoothなどで接続したネットワークがPANに分類されます。LAN(Local Area Network)(B)は、私有地内のコンピューターネットワークです。私有地内の居室内、フロア内、ビル内、ビル間などをWiFiやイーサネットで接続したネットワークがLANに相当します。CAN(Campus Area Network)(D)は、LANの中でも特に、私有地内の複数のビルを相互接続するネットワークを指し、キャンパスネットワークとも呼ばれます。たとえば、大学や工場などのネットワークがCANにあたります。WAN(Wide Area Network)(A)は、離れたLAN間を接続するネットワークです。通信事業者のサービスを介して、組織の各都市の拠点などを接続します。したがって、通信範囲が最も狭いのは、PAN(C)です。

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5. A

LANのイーサネット(第3章を参照)におけるデータ送受信方法には、全二重方式と半二重方式の2種類があります。全二重方式では、送信と受信を同時に行うことができます(A)。送信者と受信者の間で双方向に同時に送受信ができるため、伝送効率の高い方式です。半二重方式では、伝送路を切り替えて、送信または受信を行います(B)。送信者と受信者の間では、同時には片方向の通信しかできないため、伝送効率の低い方式です。

【全二重と半二重】

A

スイッチ

送受信を同時に行う

<全二重>

B C

ハブ

送信できるのは1ノードのみ送受信を同時に行うと衝突

<半二重>

D

衝突(コリジョン)

WAN接続などに用いられるシリアル伝送方式では、受信側が送信側の信号に合わせてデータを正確に取り込めるようにすることを同期を取るといいます。同期の取り方には、同期方式と非同期(調歩同期)方式の2種類があります。同期方式は、データのほかにクロックと呼ばれる定周期の信号が一緒に送られ、受信側はそのクロック信号のタイミングでデータ信号を読みとれば常に同期が取れるという方式です(C)。非同期方式は、クロック信号がなく、最初に届いた信号(スタートビット)の長さを測定し、以降はそれと同じ間隔で信号が送られてくるものとして受信する方式をいいます。同期用のクロック信号がないことから非同期と呼ばれています(D)。

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ネットワークの基礎

第 1 章6. D

ネットワークを利用対象者という観点で見ると、イントラネット、エクストラネット、インターネットに分類することができます。

【インターネット/イントラネット/エクストラネット】

インターネット(The Internet)

エクストラネット

A社イントラネット

東京LAN

大阪LAN

WAN

B社イントラネット

名古屋LAN

東京LAN

WAN

VPN

WAN

インターネット(The Internet)とは、複数の政府機関、大学、企業を接続した世界規模のネットワークです(D)。各家庭や企業はISP(Internet Service

Provider)と契約することでインターネットにアクセスし、世界中の利用者やWebサーバーにアクセスすることができます。インターネットが世界中のユーザーに開かれているのに対し、イントラネットやエクストラネットは利用者の限られるネットワークです。イントラネットは、同一組織内の複数拠点を接続したネットワークで、LAN

やWANで構成されます(A)。LANは拠点内の組織で自前に構築したネットワーク(C)で、WANは離れたLAN間を通信サービスで接続したネットワークです。エクストラネットは、イントラネットをインターネットVPN(第3章解答40を参照)やWANなどを用いて取引先との間にも拡張したネットワークです(B)。イントラネット、エクストラネットはともに、インターネットの標準技術であるTCP/IPプロトコルをベースに構築されています。

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7. A

「ある企業の東京本社と大阪支社をWAN回線で接続した」とあるので、範囲はイントラネットです(A)。イントラネットは、企業などの同一組織内の複数の拠点を相互接続したネットワークです。イントラネットの利用者は、その組織内ユーザーに限られます。イントラネットの各拠点を構成するネットワークは、LANと呼ばれ(D)、複数の拠点間はWANで接続されます。

エクストラネットは、イントラネットをインターネットVPNなどを用いて限定された取引先との間にも拡張したネットワークです(B)。企業ユーザーに加え、取引先やグループ企業など、特定組織のユーザーもアクセスできます。イントラネットやエクストラネットが限られたユーザーを対象とするのに対し、インターネットは世界中のユーザーに開かれたネットワークです(C)。

8. D

イントラネット、エクストラネット、インターネットは利用対象者が異なるため、その用途も異なります。インターネットでは、ユーザーがさまざまな端末(コンピューターやスマートフォンなど)からアクセスし、興味のある企業のWebサイトを参照(B)したり、購入した製品の使用方法をメールで問い合わせる(C)ことができます。イントラネットは、同一組織内のユーザーを対象としたネットワークなので、社内の情報を従業員へ提供(D)したり、従業員同士が情報を共有するために利用されます。エクストラネットは、組織と取引先や、グループ企業間など、限られた組織間のユーザーを対象としたネットワークで、グループ企業と取引情報を共有する(A)などの目的で利用されます。

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ネットワークの基礎

第 1 章9. B

ネットワークにおける通信性能は、1秒間に何ビット送信することができるかで決まります。これを伝送速度といい、bps(bit per second)という単位で表します。伝送速度は日々高速化しています。高速な速度を次のような単位で表現します。

・1,000bps =1kbps

・1,000kbps=1Mbps

・1,000Mbps=1Gbps

・1,000Gpbs=1Tbps

したがって、kbps < Mbps < Gbps < Tbps(B)が正解です。

10. B

組織のネットワークは、地理的な範囲から主にLANとWANに分類されます。LANは、狭い範囲を接続する、私有地内のネットワークです。設問の例では、各店舗内のネットワークがこれにあたります(C)。WANは、地理的に離れたLAN間を接続するネットワークです。「都内のさまざまな場所に設置された店舗間の接続」は、WANで接続されます(B)。

CANは、LANの特別な形態です。私有地内に複数の建物を有する工場や学校など、比較的広範囲なLANのことを指します(A)。PANは、LANよりもより狭い範囲のネットワークで、コンピューターと周辺機器の間のUSB接続やBluetooth接続などを指します(D)。

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■ プロトコル

■ コネクション型プロトコル

■ コネクションレス型プロトコル

■ ネットワークアーキテクチャ

■ OSI参照モデル

■ TCP/IPモデル

プロトコルとOSI参照モデル

第 章2

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□ 1. プロトコルの説明として適切なものはどれですか。(2つ選択)

A. 通信データを電気信号に変換してネットワークケーブルに送信する装置

B. コンピューター同士が通信するための規約 C. ネットワーク上のノードを識別するためにハードウェアに割り

当てられているアドレス D. 2つのノードが同じ通信プロトコルを動作させると、お互いに

通信が可能であるaP28

□ 2. コネクション型プロトコルの特徴として適切なものはどれですか。

A. データ送信時に、送信側と受信側の間で仮想的な通信路を確保する

B. データが受信側へ到着したかどうかの確認を行わない C. 通信手続きが簡単で、効率よく情報を伝えることができる D. データ送信時に、送信側と受信側の間で仮想的な通信路を確保

しないaP29

□ 3. OSI参照モデルを利用するメリットとして適切なものはどれですか。(2つ選択)

A. 通信に必要な機能を4つの階層に分類し、複雑なプロトコルを単純化している

B. ある階層を変更しても、ほかの階層へ影響しない C. 異なるメーカーの機器同士を接続できる D. 第1層プロトコルを決定すると、上位層プロトコルがすべて決

まるため、実装が容易であるaP30

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25

プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章

□ 4. 物理層の規格の対象に含まれないものはどれですか。

A. IP

B. NICのコネクタ C. ハブ D. ケーブル

aP31

□ 5. 隣接ノード間の通信を定義しているOSI参照モデルの階層として適切なものはどれですか。

A. ネットワーク層 B. 物理層 C. データリンク層 D. トランスポート層

aP31

□ 6. ネットワーク層、トランスポート層の説明として適切なものはどれですか。(2つ選択)

A. ネットワーク層は、エンドツーエンド通信の信頼性を向上する B. TCPはトランスポート層で動作するプロトコルである C. ネットワーク層ではIPアドレスによってノードが識別される D. トランスポート層は、エンドツーエンド通信を実現する

aP32

□ 7. 「業務アプリケーションごとに適切な通信機能を提供する」OSI参照モデルの階層として適切なものはどれですか。

A. プレゼンテーション層 B. セッション層 C. トランスポート層 D. アプリケーション層

aP32

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□ 8. 機能とOSI参照モデルの層との組み合わせが適切なものはどれですか。

A. ケーブルとハードウェアの接続:物理層 B. エンドツーエンドの通信:トランスポート層 C. 隣接ノード間の通信:ネットワーク層 D. 通信の信頼性の向上:データリンク層

aP33

□ 9. データ送受信の仕組みとして適切なものはどれですか。

A. 送信側では、ユーザーが用意したデータに各層の制御情報を付加しながら下位層へ渡す

B. 受信側では、受信データの各層の制御情報を付加しながら上位層へ渡す

C. 受信側では、データをカプセル化して下位層へ渡す D. 各層の制御情報をPDUという

aP34

□10. 次の表のPDU欄に、下の選択肢から適切なものを当てはめ、OSI参照モデルの各層とPDUの関係を示す表を完成させなさい。

レイヤ PDU

アプリケーション層

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

ネットワーク層

データリンク層

物理層

選択肢 セグメント/データグラム 電気信号 メッセージ フレーム パケット

aP35

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プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章

□11. 通信機器と動作するOSI参照モデルの層の組み合わせとして適切なものはどれですか。

A. ハブ:データリンク層 B. ブリッジ:物理層 C. スイッチ:データリンク層 D. ルーター:トランスポート層

aP35

□12. OSI参照モデルのネットワーク層に相当するTCP/IPモデルの階層はどれですか。

A. ネットワークアクセス層 B. インターネット層 C. トランスポート層 D. アプリケーション層

aP36

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第 2章 プロトコルとOSI参照モデル

解 答

1. B、D

コンピューター間でデータをやり取りする際には、どのような構成のデータなのか(情報フォーマット)、および、どのような手順でやり取りするか(プロシージャ)を、双方で理解する必要があります。これらのルール(規約)をまとめたものをプロトコルといいます(B)。コンピューターにとってのプロトコルは、人間にとっての言語のようなものです。コンピューター同士が通信するには、お互いに同じ通信プロトコルを利用します(D)。

【プロトコル】

こんにちは

hello

こんにちは

こんにちは

<プロトコルの不一致> <プロトコルの一致>

プロトコルにはさまざまな種類があり、インターネット上のコンピューターはTCP/IPというプロトコル群を利用して通信をしています。通信データを電気信号に変換してネットワークケーブルに送信する装置をNIC(Network Interface Card)といいます(第3章を参照)(A)。ネットワーク上のノードは、このNICに割り当てられているハードウェアアドレスによって識別されます。これをMACアドレスといいます(C)。

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プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章2. A

通信プロトコルには、コネクション型とコネクションレス型の2種類があります。コネクション型プロトコルは、データ送信時に、送信側と受信側の間で仮想的な通信路(コネクション)を確保し、通信が完了するまでそのコネクションを維持します(A)。これにより、データが受信側へ到着したかどうかの確認を行い、届かなかった場合は再送するといった制御を行います(B)。コネクション型プロトコルを用いると、アプリケーション通信の信頼性が保証されます。一方、コネクションレス型プロトコルは、データ送信時に、送信側と受信側の間でコネクションを確保しません(D)。これにより、通信の信頼性は確保できませんが、通信手続きが簡単で、効率よく情報を伝えることができます(C)。

【コネクション型とコネクションレス型】

データ1

届きました

データ2

データ2再送

届きました

<コネクション型> <コネクションレス型>

コネクション確立

コネクション解放

確実にすべてのデータを受信

データ1

データ2 データをすべて受信できないこともある

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3. B、C

通信プロトコルを、提供する機能やサービスに基づいて体系的に整理したものを、ネットワークアーキテクチャといいます。ネットワークアーキテクチャの代表的なものに、OSI参照モデルとTCP/IPモデル(DoDモデルともいいます)があります。

OSI参照モデルはISO標準で、次のような特徴があります。

・ある階層を変更しても、ほかの階層へ影響しない(B)・通信に必要な機能を7つの階層に分類し、複雑なプロトコルを単純化している(A)

・業界標準モデルであるため、異なるメーカーの機器同士を接続できる(C)・各階層のプロトコルを自由に組み合わせて実装できる(D)

このように、メーカーを問わず、各層の処理内容を切り離して考えることができるため、技術者同士の相互理解や、メーカーのネットワーク機器の名称や説明にOSI参照モデルが広く用いられています(たとえば、L2スイッチ、L3

スイッチなど)。TCP/IPモデルはIPプロトコル通信に特化し、OSI参照モデルをさらに単純化し、4階層に体系化したものです。インターネットを支えるTCP/IP通信のアプリケーション開発には、TCP/IPモデルが利用されています。

【OSI参照モデルとTCP/IPモデル】

アプリケーション層

トランスポート層

インターネット層

第7層(L7) アプリケーション層

第1層(L1) 物理層

第6層(L6) プレゼンテーション層

第5層(L5) セッション層

第4層(L4) トランスポート層

第3層(L3) ネットワーク層

第2層(L2) データリンク層

TCP/IPモデルOSI参照モデル

ネットワークアクセス層

図中の「L1」はLayer 1の略です。OSI参照モデルでは、ハードウェアに近いL1

からユーザーに近いL7までの7階層を定義しています。

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プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章

4. A

OSI参照モデルの下位層(第1層~第4層)では、データの転送についての仕様が定められています。物理層(第1層)では、ビット列を正しく送信するために必要な機器や電気信号についてのルールが取り決められています。ネットワークを構成するメディアとハードウェアの接続方法、コネクタの形状、ピンの配置、ケーブルの仕様(D)、電気信号の変換などが定義されます。物理層で動作する機器には、リピータ、ハブ(C)などがあります。NICのコネクタ形状は物理層で定義され、イーサネットではRJ45が使用されます(B)。通信時にNICに割り当てられるMACアドレスは、データリンク層の識別子となります。そのため、NICは物理層とデータリンク層で動作する機器(構成要素)と位置付けられています。IPはネットワーク層(第3層)のプロトコルです(A)。

5. C

データリンク層(第2層)では、ネットワーク上で隣接するノードと正しく接続するためのルール、つまりサブネット内での接続のルールが取り決められています(C)。サブネットとは、組織ネットワークを部門やフロアごとに細かく分けたネットワークのことです。また、送信された電気信号の誤りの検出のルールを扱うのもこの層です。データリンク層プロトコルはLANとWANで異なり、LANでは主にイーサネットや無線LANが用いられています。データリンク層で動作する機器には、スイッチ(第3層で動作するレイヤ3スイッチと区別するために、レイヤ2スイッチ、L2スイッチと呼ばれることもあります)があり、MACアドレスと呼ばれる物理アドレスによってノードを識別します。

物理層はネットワークメディアとハードウェアの接続方法を定義します(B)。ネットワーク層はエンドツーエンド通信を実現します(A)。トランスポート層はアプリケーション通信に信頼性を提供します(D)。

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6. B、C

ネットワーク層(第3層)は、異なるネットワークを経由してデータを転送し、エンドツーエンド(送信元ノードと最終的な宛先のノード間)の通信を実現します(A)。異なるネットワーク間は、ルーターと呼ばれる機器で中継します。ルーターは、自身が持つルーティングテーブルを参照して最適な経路を選択し、データパケットを転送します。ネットワーク層の代表的なプロトコルにIP(Internet Protocol)があります。IPプロトコルによる通信で使用されるアドレスをIPアドレスといい、ルーターはIPアドレスをもとにルーティングを行います(C)。

トランスポート層(第4層)は、エンドツーエンド通信に信頼性を提供します(D)。ネットワーク層のプロトコルは、エンドツーエンド通信を実現しますが、データが確実に届いたかどうかの確認は行いません。この役割を担うのがトランスポート層で、適切に届いていない場合は、データの再送も行います。トランスポート層で動作するプロトコルには、次の2つがあります。

・TCP ……コネクション型、通信に信頼性を提供(B)・UDP ……コネクションレス型、通信に高速性を提供

7. D

OSI参照モデルの上位層(第5層~第7層)では情報の処理についての仕様が定められています。アプリケーション層(第7層)は、ファイルの転送やメールの送受信といった通信機能を、アプリケーションに提供します(D)。アプリケーション層で動作するプロトコルには、次のようなものがあります。

・HTTP………Webサーバーとブラウザ間のコンテンツの送受信・FTP ………ファイル転送・SMTP ……メール送信

プレゼンテーション層(第6層)では、データの表現や形式に関する仕組みが提供されます。データの形式やコードの変換、暗号化、圧縮方法などが扱われます(A)。セッション層(第5層)では、アプリケーションプロセス間のセッションの確立、切断などの管理を行う機能が提供されます(B)。トランスポート層(第4層)は下位層に分類され、アプリケーション通信に信頼性を与える機能が提供されます(C)。

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プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章

8. A

OSI参照モデルの各層の機能は次のとおりです。

【OSI参照モデルの各層の機能】

レイヤ 名称 機能

上位層

7 アプリケーション層 アプリケーションごとに通信機能を定義する

6 プレゼンテーション層 データの表現形式や暗号化、圧縮方法を定義する

5 セッション層 アプリケーションプロセス間のセッションの確立、切断などの管理を行う

下位層

4 トランスポート層 アプリケーション通信に信頼性を提供する(D)

3 ネットワーク層 エンドツーエンド通信を実現する(B)

2 データリンク層 隣接ノード間の通信を定義する(C)

1 物理層 ネットワークメディアとハードウェアの接続方法を定義する(A)

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9. A

階層モデルを利用した2台のノード間のデータ送受信は、次のように行われます。

【データ送受信】

送信側

A B

001011001010110 …

データ 

データ 

データ 

データ

データ 

データ 

データ 

受信側

001011001010110 …

データ 

データ

データ 

データ 

データ 

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

データ 

データ 

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダー

ヘッダートレーラー トレーラー

送信側のコンピューターAでは、ユーザーが用意したデータに各層のプロトコルの制御情報を付加しながら、上位層から下位層へ渡します(A)。上位層の制御情報は下位層ではデータとみなされ、新たに下位層における制御情報が付加されます。データの前に付加される制御情報をヘッダー、後ろに付加される制御情報をトレーラーといいます。このように、各層でデータに制御情報(ヘッダーやトレーラー)を付加する操作を、カプセル化といいます(C)。各層で生成される「データ+制御情報」は、PDU(Protocol Data Unit)と呼ばれます(D)。受信側のコンピューターBでは、受信した電気信号からPDUを取り出し、各層の制御情報を解析し、制御情報は取り外し、中身のデータのみを上位層へ渡します(B)。このようにして、最終的には、受信側のユーザーにデータが届きます。

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プロトコルとO

SI

参照モデル

第 2 章

10. 次の表を参照

レイヤ PDU

アプリケーション層

メッセージプレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層 セグメント/データグラム

ネットワーク層 パケット

データリンク層 フレーム

物理層 電気信号

PDUは各層で生成されるデータと制御情報を合わせた情報の伝送単位です。特にフレームおよびパケットという表現は、データシートなどで機器やプロトコルの動作説明に使用されている重要な表現です。

11. C

OSI参照モデルの下位層では、次のような機器が動作します。

【OSI参照モデルと機器】

レイヤ 機器

ネットワーク層 ルーター(D)、L3スイッチ

データリンク層 スイッチ(C)、ブリッジ(B)

物理層 ハブ(A)、リピータ

※次ページに続く

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【OSI参照モデルと機器の動作】

アプリケーション層

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

ネットワーク層

データリンク層

物理層

アプリケーション層

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

ネットワーク層

データリンク層

物理層

A

送信側 受信側

ハブリピータ

スイッチブリッジ

BルーターL3スイッチ

図はコンピューターAからコンピューターB宛にデータを送信しているイメージです。物理層で動作するハブやリピータは、受信したデータを単純に電気信号としてとらえ、ポートからポートへ伝搬距離を延長します。データリンク層で動作するスイッチやブリッジは、データリンク層ヘッダーを読み取り、宛先MACアドレスが接続されたポートへフレームを送信します。ネットワーク層で動作するルーターやL3スイッチは、ネットワーク層ヘッダーを読み取り、複数のネットワークを超えて、宛先のネットワークまで最適な経路でパケットを転送します。

12. B

OSI参照モデルのネットワーク層に相当するTCP/IPモデルの階層は、インターネット層です(B)。TCP/IPモデルは4階層でOSI参照モデルよりもシンプルにプロトコルの役割を表現するため、インターネットを中心とした通信技術で実際のプロトコル開発や実装に利用されています。OSI参照モデルとTCP/IPモデルの各階層の対応関係は、解答3の図を参照してください。

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■著者髙田 早苗(たかだ・さなえ)

メーカーにてサーバー、ネットワーク、ストレージ全般の技術サポートおよびプリセールスを経て、2002年より主にネットワーク系の研修講師を務める。

MCP、ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト、CCSI(シスコ社認定講師)、CCDP(シスコ認定設計スペシャリスト)、CCNP(シスコ認定ネットワークスペシャリスト)などの資格を持ち、ネットワークやサーバー系の企業向け研修を担当。

STAFF 編集 松井智子(株式会社ソキウス・ジャパン) 制作 森川直子 表紙デザイン 馬見塚意匠室

編集長 玉巻秀雄

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2013年 8月1日 初版発行

著 者 髙田早苗編 者 株式会社ソキウス・ジャパン

発行人 土田米一

発 行 株式会社インプレスジャパンAnImpressGroupCompany    〒102-0075東京都千代田区三番町20番地

発 売 株式会社インプレスコミュニケーションズAnImpressGroupCompany    〒102-0075東京都千代田区三番町20番地 出版営業TEL03-5275-2442  http://www.ips.co.jp

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Copyright © 2013 Socius Japan, Inc. All rights reserved.

印刷所 日経印刷株式会社

ISBN978-4-8443-3444-6 C3055

Printed in Japan

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