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36 2017.3 衛星通信 あたら しい巨 きょだい 大な島 しま が誕 たん じょう して大 おお きな話 だい になった がさ わら しょ とう 西 にし しま は、噴 ふん した当 とうしょ 初は人 ひと が近 ちか ず、飛 こう も上 じょう くう を通 とお ってはいけない状 じょう きょう だった。 そんなとき、調 ちょう に投 とう にゅう されたのが、無 じん こう くう (ドローン)だ。 カメラを搭 とう さい して撮 さつえい 影するだけならそれほど難 むずか しい技 じゅつ ではないが、最 寄りの父 ちちじま 島から片 かた みち 130km も離 はな れている西 にし しま に飛 んで行 たドローンはもちろん目 もく できず、本 ほん とう てい されたルートを飛 こう して帰 かえ って来 られ るのか、今 いま どのような状 じょう きょう なのか確 かく にん でき ない。そこで搭 とうさい 載されたのが、衛 えい せい つう しん よう のアンテナだ。 「西 にし しま へ行 って、撮 さつ えい ・調 ちょう をして もど ってくるドローンに衛 えい せい つう しん よう のアンテ ナをつけ、宇 ちゅう にある通 つうしんえいせい 信衛星を中 ちゅう けい して、 けい の位 じょう ほう をリアルタイムで把 あく するお手 つだ いをしました」(高 たか さん) Vol.1Vol.6内容WEBでチェック! kodomonokagaku. com/eisei/ 復習しよう 宇宙から キミをえる ! 衛星通信 使 った ハイテクドローン開発中 ドローンをさらに進化させる! ドローンが増えてくると、ドローンを使った犯罪も増えること が考えられる。そこで、開発が進められているのが不審ドローン を捕獲するドローンインターセプターという自動追尾するシステ ムだ。具体的には、こちらのドローンが撮影する映像を手元で見 ながら不審なドローンをロックすると、その後は自動で追跡。「ド ローンを捕獲するのに、下にいる人に怪我をさせてはいけないの で、落とさないようにしなければいけません。そのため、ドロー ンから釣り糸のような糸を 20 本ぐらいたらして、不審ドローン のプロペラにからませて捕まえるしくみを開発しました」(高瀬 さん)。 Vol.12 取材協力スカパーJSAT 取材 小島俊介 (ことりイラスト/有留ハルカ これから用 よう が増 えるドローンに衛 えい せい つう しん のアン テナを搭 とうさい 載することで、 遠 えん きょ こう の安 あん ぜん せい が高 たか まり、 活 かつ どう はん が広 ひろ がると高 たか さんは考 かんが えている。 「通 つう しん えい せい を使 つか ってどこからでもドローンとコ ミュニケーションがとれるようになれば、西 にし しま のときのように位 じょう ほう を把 あく するのはもちろ ん、映 えいぞう 像データをリアルタイムで本 ほん のパソコン に届 とど けることも可 のう です。いずれは本 ほん から遠 えん かく そう して、状 じょう きょう に合 わせて運 うんこう 行ルートを修 しゅう せい でき るようにしたいと考 かんが えています」 ぜひ実 じつげん 現してほしい近 きん らい の技 じゅつ だが、どこに だい があるのだろう? 消火のための装置搭載したドローン 実験段階災害現場 通信衛星 ドローン 衛星基地局 ●運行位置情報 ●映像データ伝送 ●遠隔制御 (ルート補正 変更など) 衛星通信アンテナ衛星通信アンテナ操縦用 プロポ カメラ インターネット 海上警備 注目のドローン捕獲技術 西之島調査衛星通信活躍 ドローンの 使げる! お話を伺ったスカパー JSAT グループ の株式会社衛星ネットワーク(SNET) 営業本部 営業部の高瀬洋介さん。 開発中の衛星通信アンテナを搭載したドローン。 高瀬さんはさまざまなドローンの開発に携わっている。これは、 消火剤を入れたタンクと放出するための長いノズルを持ってお り、火災時に上空から消火にあたる。 衛星通信用のアンテナ機器が搭載された ドローンから発信されたさまざまな情報 は、赤道上空約 3 万 6000km にある静 止軌道の通信衛星を介して、衛星の基地 局に届けられる。基地局からはインター ネット通信で瞬時に、世界中と情報を送 受信することが可能になる。 すぐに近づけない 災害現場にドロー ンを飛ばし、被害 状況や救助が必要 な場所を把握する。 母艦からドローン を飛ばして、海上 の不審船などを監 視する。 捕獲ドローン。左下の画面に表示 されているのが無人地上車両。 24時間365宇宙からたちの 生活えている人工衛星この連載では、テレビ番組から 災害対策まで大活躍する「通信衛星のしくみやきを徹底研究するゾ! こんなところで 活躍する 「今 いま の衛 えいせいつうしん 星通信用 よう のアンテナ機 は、全 ぜん で5kg ちか くあるんです。ドローンに搭 とうさい 載できるマシンと してはギリギリの重 じゅう りょう で、その分 ぶん こう せい のう が落 ちてしまいます。これを1kg ぐらいにできれば、 かつよう 用シーンが一 いっ に広 ひろ がります」(高 たか さん) たと えば緊 きん きゅう では、入 はい り込 みにくい災 さい がい げん にいち早 はや く乗 り込 んで状 じょう きょう を把 あく したり、山 やま の麓 ふもと から飛 ばして遭 そうなんしゃ 難者の捜 そうさく 索をするようなことが考 かんが えられる。また、母 かん からドローンを飛 ばして海 かい じょう けい をしたり、危 けん な山 さん かん の橋 はし などの保 しゅ てんけん 検、大 たい せん や放 ほう しゃ のう そく てい 調 ちょう といった危 けん な場 しょ へ向 かわせたりする活 かつよう 用が期 たい できるだろ う。みんなも衛 えいせいつうしん 星通信を備 そな えたドローンがどのよ うに活 かつよう 用できるか考 かんが えてみるとおもしろいゾ。 「今 いま ドローンは海 かいがいせいひん 外製品が多 おお いのですが、私 わたし たち は設 せっけい 計から製 せいぞう 造、保 しゅ まで純 じゅん こく さん のカスタムオー ダーメイドです。日 ほん こく ない のさまざまなニーズに こた えていけるように、衛 えいせいつうしん 星通信も使 つか った技 じゅつ かい はつ を進 すす めていきたいと思 おも います」(高 たか さん) リアルタイム でデータを 送受信! 通信衛星使った ドローンのシステム 本部

衛星通信大研究 vol.12 衛星通信を使ったハイテクドローン開発中 · 衛星通信用のアンテナ機器が搭載された ドローンから発信されたさまざまな情報

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36 2017.3

衛星通信

 新あたら

しい巨き ょ だ い

大な島し ま

が誕た ん

生じょう

して大お お

きな話わ

題だ い

になった小

笠が さ

原わ ら

諸し ょ

島と う

西に し

之の

島し ま

は、噴ふ ん

火か

した当と う し ょ

初は人ひ と

が近ち か

寄よ

れず、飛

行こ う

機き

も上じょう

空く う

を通と お

ってはいけない状じょう

況きょう

だった。そんなとき、調

ちょう

査さ

に投と う

入にゅう

されたのが、無む

人じ ん

航こ う

空く う

機き

(ドローン)だ。 カメラを搭

と う

載さ い

して撮さ つ え い

影するだけならそれほど難むずか

しい技ぎ

術じゅつ

ではないが、最も よ

寄りの父ち ち じ ま

島から片か た

道み ち

で130km も離

は な

れている西に し

之の

島し ま

に飛と

んで行い

ったドローンはもちろん目

も く

視し

できず、本ほ ん

当と う

に指

定て い

されたルートを飛ひ

行こ う

して帰か え

って来こ

られるのか、今

い ま

どのような状じょう

況きょう

なのか確か く

認に ん

できない。そこで搭

と う さ い

載されたのが、衛え い

星せ い

通つ う

信し ん

用よ う

のアンテナだ。 「西

に し

之の

島し ま

へ行い

って、撮さ つ

影え い

・調ちょう

査さ

をして戻も ど

ってくるドローンに衛え い

星せ い

通つ う

信し ん

用よ う

のアンテナをつけ、宇

宙ちゅう

にある通つ う し ん え い せ い

信衛星を中ちゅう

継け い

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経け い

度ど

の位い

置ち

情じょう

報ほ う

をリアルタイムで把は

握あ く

するお手て

伝つ だ

いをしました」(高た か

瀬せ

さん)

Vol.1~Vol.6の内容はWEBでチェック!kodomonokagaku.com/eisei/

復習しよう

大 研 究宇宙か

キミを支える

!

衛星通信を使ったハイテクドローン開発中

ドローンをさらに進化させる!

 ドローンが増えてくると、ドローンを使った犯罪も増えることが考えられる。そこで、開発が進められているのが不審ドローンを捕獲するドローンインターセプターという自動追尾するシステムだ。具体的には、こちらのドローンが撮影する映像を手元で見ながら不審なドローンをロックすると、その後は自動で追跡。「ドローンを捕獲するのに、下にいる人に怪我をさせてはいけないので、落とさないようにしなければいけません。そのため、ドローンから釣り糸のような糸を20本ぐらいたらして、不審ドローンのプロペラにからませて捕まえるしくみを開発しました」(高瀬さん)。

Vol.12

取材協力/

スカパーJSAT取材・文/小島俊介(ことり社)イラスト/有留ハルカ

 これから用よ う

途と

が増ふ

えるドローンに衛え い

星せ い

通つ う

信し ん

のアンテナを搭

と う さ い

載することで、遠え ん

距き ょ

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まり、活か つ

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さんは考かんが

えている。 「通

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ってどこからでもドローンとコミュニケーションがとれるようになれば、西

に し

之の

島し ま

のときのように位い

置ち

情じょう

報ほ う

を把は

握あ く

するのはもちろん、映

え い ぞ う

像データをリアルタイムで本ほ ん

部ぶ

のパソコンに届

と ど

けることも可か

能の う

です。いずれは本ほ ん

部ぶ

から遠え ん

隔か く

操そ う

作さ

して、状じょう

況きょう

に合あ

わせて運う ん こ う

行ルートを修しゅう

正せ い

できるようにしたいと考

かんが

えています」 ぜひ実

じ つ げ ん

現してほしい近き ん

未み

来ら い

の技ぎ

術じゅつ

だが、どこに課

題だ い

があるのだろう?

消火のための装置を搭載したドローン(実験段階)

災害現場

通信衛星

ドローン

衛星基地局●運行位置情報●映像データ伝送●遠隔制御 (ルート補正・変更など)

衛星通信アンテナ①

衛星通信アンテナ②操縦用プロポ

カメラ

インターネット

海上警備

注目のドローン捕獲技術

西之島の調査で衛星通信が活躍

ドローンの使い道を広げる!

お話を伺ったスカパー JSAT グループの株式会社衛星ネットワーク(SNET)営業本部 営業部の高瀬洋介さん。

開発中の衛星通信アンテナを搭載したドローン。

高瀬さんはさまざまなドローンの開発に携わっている。これは、消火剤を入れたタンクと放出するための長いノズルを持っており、火災時に上空から消火にあたる。

衛星通信用のアンテナ機器が搭載されたドローンから発信されたさまざまな情報は、赤道上空約 3 万 6000km にある静止軌道の通信衛星を介して、衛星の基地局に届けられる。基地局からはインターネット通信で瞬時に、世界中と情報を送受信することが可能になる。

すぐに近づけない災害現場にドローンを飛ばし、被害状況や救助が必要な場所を把握する。

母艦からドローンを飛ばして、海上の不審船などを監視する。

捕獲ドローン。左下の画面に表示されているのが無人地上車両。

24時間365日、宇宙から私たちの生活を支えている人工衛星。この連載では、テレビ番組から災害対策まで大活躍する「通信衛星」のしくみや働きを徹底研究するゾ!

こんなところで活躍する!

「今い ま

の衛え い せ い つ う し ん

星通信用よ う

のアンテナ機き

器き

は、全ぜ ん

部ぶ

で5kg近ち か

くあるんです。ドローンに搭と う さ い

載できるマシンとしてはギリギリの重

じゅう

量りょう

で、その分ぶ ん

飛ひ

行こ う

性せ い

能の う

が落お

ちてしまいます。これを1kg ぐらいにできれば、活か つ よ う

用シーンが一い っ

気き

に広ひ ろ

がります」(高た か

瀬せ

さん) 例

た と

えば緊き ん

急きゅう

時じ

では、入は い

り込こ

みにくい災さ い

害が い

現げ ん

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にいち早は や

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り込こ

んで状じょう

況きょう

を把は

握あ く

したり、山や ま

の麓ふもと

から飛と

ばして遭そ う な ん し ゃ

難者の捜そ う さ く

索をするようなことが考かんが

えられる。また、母ぼ

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からドローンを飛と

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警け い

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をしたり、危き

険け ん

な山さ ん

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の橋は し

などの保ほ

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といった危き

険け ん

な場ば

所し ょ

へ向む

かわせたりする活か つ よ う

用が期き

待た い

できるだろう。みんなも衛

え い せ い つ う し ん

星通信を備そ な

えたドローンがどのように活

か つ よ う

用できるか考かんが

えてみるとおもしろいゾ。 「今

い ま

ドローンは海か い が い せ い ひ ん

外製品が多お お

いのですが、私わたし

たちは設

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本ほ ん

国こ く

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のさまざまなニーズに応こ た

えていけるように、衛え い せ い つ う し ん

星通信も使つ か

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めていきたいと思お も

います」(高た か

瀬せ

さん)

リアルタイムでデータを送受信!

通信衛星を使ったドローンのシステム

本部