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構造形態の解析と創生に関する一連の研究 鹿児島大学大学院 理工学研究科 本間 俊雄 序文 第1章 座標値を直接未知量とした有限要素技術の提案と 張力構造の形態形成 第2章 自律分散有限要素法の提案とその応用 第3章 免疫アルゴリズムの構造形態創生方への応用 第4章 解の多様性を考慮した発見的多点探索法の提案と 構造形態の創生 まとめ 謝辞 2014年日本建築学会賞(論文)受賞業績の紹介

構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

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Page 1: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

構造形態の解析と創生に関する一連の研究

鹿児島大学大学院 理工学研究科 本間 俊雄

序文

第1章 座標値を直接未知量とした有限要素技術の提案と張力構造の形態形成

第2章 自律分散有限要素法の提案とその応用

第3章 免疫アルゴリズムの構造形態創生方への応用

第4章 解の多様性を考慮した発見的多点探索法の提案と構造形態の創生

まとめ

謝辞

2014年日本建築学会賞(論文)受賞業績の紹介

Page 2: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

•構造形態とは何か

形状(configuration)+状態(condition) システム

形状 : 幾何学的な意味における形。

状態 : 形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

序文

構造形態の解析と創生に関係した研究テーマ

張力構造の形態形成

一般構造の形状最適化

最適解

最適解と優良解

構造形態構造としてある指定された目的にかなうシステムを包含する形状

0-1/9

Page 3: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

・構造形態創生の分類と立場

1) 張力構造の形態形成

膜(張力)構造の初期形状と裁断図のイメージ

初期張力

不安定形態

安定形態

境界条件

立体裁断 溶着・縫合 外力・境界条件導入

最適解の追跡

問題設定:平面上に存在する張力材を皺発生のない想定形態になるように立体裁断しなければならない。膜材に関しては繊維方向がある。

0-2/9

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・構造形態創生法の分類と立場

離散系構造と連続体構造の位相最適化と節点位置最適化(形状最適化)のイメージ

a-1 離散系構造の位相最適化 b-1 連続体構造の位相最適化(位相変動型最適化)

b-2連続体構造の節点位置最適化(境界移動型最適化)a-2 離散系構造の節点位置最適化

節点移動許容範囲

2) 形状最適化関連 最適解の追跡と優良解の探索

問題設定:外力が作用した際、力学的に必要のない部材を削除あるいは部材の寸法や座標位置を修正することでより安定な形態を探索する。

0-3/9

Page 5: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

目標 内容

力学目標 一応応力,許容応力,最大剛性,最小変位,

振動数,座屈荷重,・・・

形状目標 断面積,基準面形状,極小曲面,不安定構造の形状,・・・

構造目標 位相,節点位置,自己応力システム,材料配置,・・・

機能目標 ホモロジー設計,ロバスト構造,・・・

経済目標 最小重量,建設コスト,施工日数,最小人数,・・・

環境目標 音環境,空調環境,居住環境,・・・

・ 適解や優良解に対する目標(目的関数)例と内容

感性目標 スマート,やわらかい,美しい,かわいい,・・・

目標を目的関数として表現する。目的関数が1つの場合は単一目的最適化、複数の場合は多目的最適化として扱う。ただし、感性目標は表現が困難なので、多様性を重視した解の探索が必要になる。

0-4/9

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単一目的最適化(SOP)

A:部材特性ベクトル、R:節点位置ベクトル

• 目的関数: (評価尺度)

• 設計制約条件: (不等式制約条件)

• (等式制約条件)

• (側面制約条件)

• 設計変数:

,W A R

, min A R

, 0 1,2,3, ,g j mi A R

, 0 1,2,3, ,h kk A R

,L U L U A A A R R R

,1 2 3 1 2 3T TA A A A R R R Rr s A R

・最適化や優良化問題の定式化

0-5/9

Page 7: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

多目的最適化(MOP)

目的関数:

設計制約条件:

設計変数:

, , , , , , , min max1 2 orn Φ A R A R A R A R

, 0 1,2,3, ,g j mi A R

, 0 1,2,3, ,h kk A R

,L U L U A A A R R R

,1 2 3 1 2 3T TA A A A R R R Rr s A R

,W Φ A R

・最適化や優良化問題の定式化

0-6/9

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・大域的最適解(パレート最適解)と優良解

大域的最適解

単一目的最適化において、側面制約条件内で目的関数の評価が最大or最小を採る設計変数値

パレート最適解:

多目的最適化において、側面制約条件内で各目的関数に対する評価の優劣が付けられない設計変数値の集合

優良解:

大域的最適解(パレート最適解)や局所解(局所パレート解)を含むそれらの近傍の比較的評価の高い設計変数値の集合

問題に応じて、大域的最適解(パレート最適解)あるいは優良解を選択する。

0-7/9

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大域的最適解(パレート最適解)と優良解の探索技法

解探索法

数理計画法 発見的手法

線形計画法

非線形計画法

・遺伝的アルゴリズム・免疫アルゴリズム・擬似焼きなまし法・群知能系解法

PSO, ABC, FA, CS, etc.

・セルオートマトン法・ESO法・拡張ESO法

適性規準法

解の大域的探索法 単純な規則による解探索法

・全応力設計

問題に応じた解探索法を選択あるいは改良する。大域的最適解で求める解が初期値に近い場合には、非線形計画法の準ニュートン法や逐次2次計画法を採用する。組み合わせ爆発が生じるような問題に対しては、発見的手法を採用する。解の多様性を重視する問題や優良解の探索では、解の性質上、発見的多点探索法あるいはそれらを改良したアルゴリズムを採用する。

0-8/9

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GUI(Graphical User Interface)

形態情報 CG表示

計算指示

評価

判断

操作

条件変更パラメータ変更

数理解析

数理計画法発見的手法

有限要素法

形態創生

設計情報

存在条件

発想

ユーザ

構造形態の創生を発想支援させるシステム化イメージ

発想支援・設計支援を前提とした構造形態創生

最終的に得られた解を設計者の形態発想や設計支援としてシステム化する。インターラクティブな操作性を実現し、条件変更に対応する形態確認や新しい試みに対する力学情報の提示ができるシステムを想定している。

0-9/9

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第1章 座標値を直接未知量とした有限要素技術の提案と張力構造の形態形成

膜(張力)構造の初期形状と裁断図のイメージ

初期張力

不安定形態

安定形態

境界条件

立体裁断 溶着・縫合 外力・境界条件導入

初期状態が無応力の平面上に存在する張力材(膜・ケーブル)を基準に形状と裁断図の同時解析と連続して動的解析を考えるので、従来の変位仮定ではなく、座標値を直接未知量とする座標仮定有限要素技術を示した。座標仮定有限要素技術により、座標変換が必要ないのでプログラムの簡素化が図れ、膜の繊維方向の設定が容易になった。形状と裁断図の同時解析の数値計算では、逐次2次計画(SQP)法を採用した。

1-1/17

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座標仮定有限要素法定式化

0fXXτXγ Td

0fXτXBfXF d

T,,

)()()( XKXKXKXF

SGt

非線形平衡方程式

接線剛性行列

GK :幾何剛性行列

SK :線形+大変位行列

τ:応力ベクトル

f:荷重モードベクトル

0:零ベクトル

:荷重パラメータ

:解析領域

ひずみはGreenひずみを採用

ΩdΩG τ

XBXΚ

T~

)( ΩdΩS

XτBXΚ T)(

B :ひずみ増分-座標増分関係行列式

,

仮想仕事の原理より

平面状態の張力材を基準に変形後の座標を未知量とする

X

初期状態が平面状態張力材

X:変形後の座標値

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三角形要素の離散化

離散化平衡方程式

接線剛性行列

三角形膜要素離散化

2

1 14 8

T Te e e e e

e eS S

Q X D X QX C f 0

eT eG eA K K K

:幾何剛性行列

:線形+大変位剛性行列

eGK

eAK

CQXXDDτ e

Te

eeeee S 28

1ee

Tee RDRD

GtvvtE

vvtEv

vvtEv

vvtE

e

00

011

011

21

2

21

12

21

21

21

1

D

22

22

22

sincoscossin2cossin2cossincossincossinsincos

eR 4321 xxxxe x

:膜要素の面積

:縦弾性係数

:ポアソン比

:せん断弾性係数

:膜厚

eS

21, EE

21,vv

tG

1 2 3 1 2 3 1 2 3e X X X Y Y Y Z Z ZX

2 21 1 2 1 3 1 1 2 1 3

2 22 1 2 2 3 2 1 2 2 3

2 23 1 3 2 3 3 1 3 2 3

1ˆ ˆˆ ˆ ˆ ˆ, , , , 1 1 02

2, ,

Te

a a a a a b b b b ba a a a a b b b b ba a a a a b b b b b

a 0 0 b 0 0 c 0 0Q b a c a 0 a 0 b 0 b 0 c 0 c 0 C

0 0 a 0 0 b 0 0 c

a b c

1 1 1 2 2 1 1 3 3 1

2 1 1 2 2 2 2 3 3 2

3 1 1 3 3 2 2 3 3 3

22

a b a b a b a b a ba b a b a b a b a ba b a b a b a b a b

1

1 (X1,Y1,Z1)

2 (X2,Y2,Z2)

3 (X3,Y3,Z3)

x

y 2 (x2,y2)

1 (x1,y1)

3 (x3,y3)

23

S

x,X

y,Yz,Z

3

1 14 16

T T Te e e e

e eS S Q τ Q X D X Q

1-3/17

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矩形要素の離散化

0fQXXDXQ

ee

Teee

T dC 21

eT eG eA K K K

矩形膜要素離散化

:幾何剛性行列

:線形+大変位剛性行列

eGK

eAK

NyNNyN

J eeS 11

NxNNxN

J eeS 12

TXXXX 4321X

4321 NNNNN

TYYYY 4321Y

TZZZZ 4321Z

4321 xxxxe x

4321 yyyye y

132323131222221222122111

232322222121

131312121111

QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ

QTTTTTT

TTT

TTT

00111 SQ 00 112 SQ 111 00 SQ

00221 SQ 00 222 SQ 223 00 SQ

CQXXDDτ e

Te

eeeee S 28

1

eeT

ee RDRD

T

011

21C

XNX

ZNZ

1141

1N

1141

2N

1141

3N

1141

4N

YNY

GtvvtE

vvtEv

vvtEv

vvtE

e

00

011

011

21

2

21

12

21

21

21

1

D

22

22

22

sincoscossin2cossin2cossincossincossinsincos

eR

T T Te e e e d

Q τ Q X D X Q

接線剛性行列

離散化平衡方程式

なお、積分計算はガウス積分の2点積分とする。

:膜要素の面積

:縦弾性係数

:ポアソン比

:せん断弾性係数

:膜厚

eS

21, EE

21,vv

tG

1-4/17

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裁断線の表現方法

: スプライン曲線の制御点: 裁断線

初期裁断図(平面状態) 適化後 (平面状態)

3次スプライン曲線を使用

膜材の自然状態(平面上に広げた膜材)の節点座標設計変数

未知量の低減・平滑化

曲面形態

有限要素技術を用いた解析上、出来るだけ粗い要素分割で解析する必要がある。

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0 01

1( ) ( ) ( )2

nT

i i i ii

f

x X X X X

L Uet t t σ σ σ

to minimize

tosubject

Find x

n : 最適化対象となる総節点数

x* :自然平面の膜面における裁断線(3次スプライン)の制御点座標ベクトル

Xi :形態形成後の膜面上における指定点の全体系座標ベクトル

Xi0 : Xiに対応する想定形状の全体系座標ベクトル

P : 内圧力 (30 mmAq)

t : 膜厚

e : 釣合形状における膜主応力

L : 膜応力下限値

U : 膜応力下限値

釣合曲面の座標値と想定形状の残差量を最小化する形状・裁断図同時最適化

(設計変数)

(目的関数)

(応力制約)

形状・裁断図同時解析の定式化

応力評価は要素中心とし、最適化手法には逐次二次計画法(SQP法)を採用。

1-6/17

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解析モデル

鞍型膜構造(Model-A) 円型境界空気膜構造(Model-B)

基本境界形状

任意境界形状を有する空気膜構造(Model-C)

・任意位置で曲率が異なる

・非対称境界形状(勾玉をイメージ)

任意境界形状

1-7/17

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・収束性は矩形要素が高い・長さ制約導入で高ライズの曲面形状が構成可能

・内圧処理の精度や収束性は三角形要素が高い。・裁断線長さにずれは生じない。

試験体は皺のない滑らかな曲面形態を形成し、計測値は解析値と一致。

形状・裁断図同時解析

裁断線はライズ高さにより有限要素の形状に依存することがある。

形態確認実験

基本境界形状の形態確認

Model-A(鞍型膜構造モデル) Model-B(円型境界空気膜構造モデル)

解析モデル 解析モデル

裁断図

: 解析領域 : 解析領域

安定形態 裁断図安定形態

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・収束性は矩形要素が高い・長さ制約導入で高ライズの曲面形状が構成可能

・内圧処理の精度や収束性は三角形要素が高い。・裁断線長さにずれは生じない。

試験体は皺のない滑らかな曲面形態を形成し、計測値は解析値と一致。

形状・裁断図同時解析

裁断線はライズ高さにより有限要素の形状に依存することがある。

形態確認実験

基本境界形状の形態確認

Model-A(鞍型膜構造モデル) Model-B(円型境界空気膜構造モデル)

試験体写真(H = 500 mm) 試験体写真(H = 150 mm)

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要素分割モデル

:未知節点 :矩形要素分割:内部固定点 :三角形要素分割

a.矩形要素R1と三角形要素T1

膜帯接続情報(unit : mm)

D = 65,000

30,00020,000

想定形状鳥瞰図(unit : mm)

:高さ指定節点

b.矩形要素R2と三角形要素T2

Model-CZ

Y

X

H

D = 65,000

X

Y

膜材の各諸量

膜厚 t=0.8 (mm)縦弾性係数 Ex=Ey=100 (N/mm)ポアソン比 xy=yx=0.3横弾性係数 Gxy=60 (N/mm)単位質量 1.215×10-6 (kg/mm2)

:固定境界部 :裁断線(R1, T1):解析領域 :裁断線(R2, T2)

(膜帯に要素が1列配置) (膜帯に要素が2列配置)

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任意境界形状を有する空気膜構造モデル

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ライズH mm(H/D)

11000(0.169)

12000(0.185)

13000(0.2)

14000(0.215)

15000(0.231)

16000(0.246)

17000(0.262)

18000(0.277)

矩形要素R1* × × × × ×R1 × × × × ×R2 × × × × ×

三角形要素T1 T2

解の収束結果と試験体の曲面状況( : 解析可能, × : 解析不可, : 実験により膜面状況を確認)

・矩形要素R1, R1*, R2はH = 13000 mm以降、解析不可

想定形状鳥瞰図(unit : mm)

Z

Y

X

H

D = 65,000

Model-C 解析結果

R1:1列矩形要素, R2:2列矩形要素, T1:1列三角形要素, T2:2列矩形要素、*:長さ制約付加

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平面(主応力)図と立面図 Model-C (H = 11000 mm)

a.矩形要素R1*

c.三角形要素T1 d.三角形要素T2

b.矩形要素R2

(2.8 3.8 )et N mm (2.5 4.1 )et N mm

(2.3 3.3 )et N mm (2.3 3.3 )et N mm

H

D

H

D

H

D

H

D

平面(主応力)図・立面図裁断図 平面(主応力)図・立面図裁断図

平面(主応力)図・立面図裁断図 平面(主応力)図・立面図裁断図

: 高さ指定節点

Model-C 解析結果の比較(H = 11000 mm)

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鳥瞰方向の試験体写真

水平方向の試験体写真

鳥瞰方向の試験体写真

水平方向の試験体写真

矩形要素R2三角形要素T1

Model-C 膜面状況の確認(H = 11000 mm)

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:矩形要素R1*

:三角形要素T1:矩形要素R2:三角形要素T2

M

L

R1*とT1による裁断図比較

M

L

R2とT2による裁断図比較

M-Lラインの形状比較

0 5000 10000 15000 20000 25000 300000

4000

8000

12000

16000

20000 矩形要素R1*

矩形要素R2 三角形要素T1 三角形要素T2

ライズ

Hm

m

X座標値 mm

M

L

M L

・得られる裁断線及び曲面形状は設定要素分割と有限要素の形状に依存する。

・矩形要素の方が測地線に近い。

一致しない

Model-C 要素分割モデルの違いによる形状比較

1-14/17

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0 100 200 300 400 500 600 700 8000

100

200

300

400

解析値 30mmAq 40mmAq 50mmAqラ

イズ

H m

m

X座標値 mm

0 100 200 300 400 500 600 700 8000

100

200

300

400

解析値 30mmAq 40mmAq 50mmAqラ

イズ

H m

m

X座標値 mm0 100 200 300 400 500 600 700 800

0

100

200

300

400

解析値 30mmAq 40mmAq 50mmAqラ

イズ

H m

m

X座標値 mm

0 100 200 300 400 500 600 700 8000

100

200

300

400

解析値 30mmAq 40mmAq 50mmAqラ

イズ

H m

m

X座標値 mm

M-Lライン M-Lライン

P-Qライン P-Qライン

M

L

P

Q

M

L

P

Q

ML

ML

P Q P Q

矩形要素T2三角形要素T1

Model-C 解析値と計測値との比較(H = 11000 mm)

解析値と計測値はよく一致する、ただし、T1とT2の形状は異なる

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4. 解析結果 5.実験結果2.定式化1.研究目的 3.裁断図解析・実験概要 6.まとめ

高さ指定位置

H/D = 11000 / 65000

矩形要素

H/D = 11000 / 65000

矩形要素 矩形要素

H/D = 11000 / 65000

適裁断図 適裁断図 適裁断図

実験結果 -その他のケース-

1.0 3.0et N mm 2.3 3.3et N mm 1.3 3.3et N mm

1-16/17

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第1章 まとめ

・座標仮定有限要素法を提案し、トラスの非線形解析において変位仮定有限要素法と完全に同じになることが定式化と数値結果で明らかにした。

・座標仮定有限要素法を用いて、張力構造の形状と裁断図同時解析手順を示した。

・解析のイメージは平面上に存在する張力材を基準に、初期形状の裁断図が得られ、張力構造解析への適合性を確認した。特に膜材の繊維方向の設定に強力になる。

・試験体を用いた実証実験により、張力構造の形態確認を示した。

・得られた裁断図を用いた静的・動的な張力構造の解析へと連続した解析が実施できることを示した。

文献リスト

1-1 T.Honma and N.Ataka:Geometrically Nonlinear Structural Analysis by FEM Using the Coordinate Valueon a Deformed Body, Information, Vol.7, No.5,pp.569-583, International Information Institute, 2004

1-2 本間俊雄, 安宅信行:座標値を未知量とした有限要素法による張力構造の解析と評価, 膜構造論文集, No.18, pp.15-21, 20051-3 本間俊雄, 合田雄策, 安宅信行:座標値を未知量とした有限要素技術による張力構造解析の一方法, 日本建築学会構造系論文集, 第602 号, pp.161-

169, 20061-4 本間俊雄, 森哲也, 坂中玲子:膜構造の裁断図解析と静的・動的な応力・変形解析及び発想・設計支援システムについて, 膜構造研究論文集, No.21,

pp.1-13, 20081-5 本間俊雄, 佐伯裕介, 坂中玲子:座標仮定有限要素法を用いた張力構造の動的解析, 膜構造研究論文集, No.22, pp.25-32, 20091-6 本間俊雄, 福留正樹:膜構造における形状・応力指定の裁断図解析に関する考察及び試験体模型を用いた形態の定性的確認, 膜構造研究論文集,

No.24, pp.9-16, 日本膜構造協会, MAR.20111-7 黒木涼, 本間俊雄, 中村達哉:任意境界形状を有する空気膜構造の形状・裁断図同時解析と試験体による定性的形態確認, 膜構造研究論文集,

No.26, pp.29-36, 2013

1-17/17

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第2章 自律分散有限要素法の提案とその応用

有限要素法を用いたセル・オートマトン法を分類すると図に示すように要素近傍モデルと節点近傍モデルに分類できる。要素近傍モデルは、従来のノイマン近傍やムーア近傍に対応し、情報受信型のモデルである。節点近傍モデルは、著者が提案した情報発信型のモデルである。共に中央集権型ではなく、分散型の計算手順である。

要素近傍モデル

P

P

q

e

i

e

情報受信型

i

情報発信型

節点近傍モデル

セル・オートマトン法に対応した有限要素技術

2-1/12

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セル・オートマトンの定義見直し

1. モデルは空間的なセルの規則正しい格子状の配列から構成する。

2. 各セルを規定する状態はある離散時間ステップ(同一間隔)で定められる一方向の連続操作に基づいて更新される。

3. 全ての状態は自身とその周辺のセル(近傍)の状態に依存し、同期的に更新する(自身を含める場合、含めない場合あり)。

4. セルの状態を遷移させる規則(局所規則)は、離散時間履歴の対象セルに関係する近傍の状態から発現する。

2-2/12

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節点近傍モデル(自律分散有限要素法):ADFEM

基本的考え方1) 分散処理 緩和法系の計算技術と有限要素法の融合

2) 自律処理 局所規則と地域規則の導入

P

Pq

i

i-番目 近傍

構造モデル

不釣合力

解放力

有限要素モデル

i-th

j1j2

j3j5

j4e1

e2e3e4

e5

i-th

i-th

1) 分散処理

2-3/12

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2) 自律処理局所規則と地域規則の導入

i

)ji(Pj

*)k(j

Lj

)k()j(M

)k()i(M ,,

ii

*

RR

R (k) M(i) :i節点近傍M(i)の反復計算回数kステップ目の規則

σj(k) : j節点近傍のkステップ目解除量

Ψ :状態遷移関数

Li : M(i)に関わる地域規則(局所規則含)を共有する近傍の集合

θi : M(i)における物理量の閾値に対応する量(規則発現の基準値)

* : kステップ目までを考慮した量

2-4/12

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自律分散有限要素法による形態の創生例

1) 空間構造(トラス構造)の構造最良重量設計解析2) 位相形態決定問題の解析

15 m

60 m

F=10.0

150.0

25.0

75.0

Design domainE=100Gpa, ν=0.3

Model-B

Model-A

80.

0

80.0

F=100.0

Design domainE=100Gpaν=0.3

40.

0

100.0

100.

0

25.0

25.

0

2.

55.0

50.

0Design domainE=100Gpa,ν=0.3

F=100.0

Model-C

a)シュペドラードーム b)ラメラドーム c)パラレルラメラドーム

空間構造モデル

2) 連続体構造モデル

1) 離散構造モデル2-5/12

2次元連続体モデル

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許容引張応力度

1) 離散系空間構造モデル(トラス構造)の構造 良重量設計解析

許容圧縮応力度

i) λe≦Λe のとき

ii) λe > Λ e のとき

5.1Ff t

22

32

234.01

e

e

e

ece Ff

2

277.0

e

ece Ff

FE

IA e

ee

eee 6.0

,2

F :構造用鋼材のF値

λe : 細長比

Λ e : 限界細長比

Ie : 断面二次モーメント

Ee : ヤング係数

2-6/12

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a) Schwedler dome b) lamella dome c) parallel lamella dome

GA

ADFEM

1) 離散系空間構造モデルの構造 良重量設計の結果

遺伝的アルゴリズム

自律分散有限要素法

断面分布図

2-7/12

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節点近傍モデル GA解析モデル

体積 m3 計算時間(sec) 体積 m3 計算時間

(sec)a) シュペドラードーム 14.892 15.97 15.271 234636.b) ラメラドーム 20.437 11.09 20.576 236045.c) パラレルラメラドーム 17.394 1.78 17.934 180621.

a) schwedler dome b) lamella dome c) parallel lamella dome

1) 離散系空間構造モデルの構造 良重量設計の結果

解析時間の比較

断面分布比(GA/ADFEM)

ADFEM

2-8/12

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)()(

)()1( 1 k

ekTe

kek

e EE

線形硬化(linear stiffening)則

0 50 100 150 200 250 300 GPa

Ee0

Ee GPa

σeT0

σT

目標応力σeTとヤング係数 Eeの関係

σeT0 :基準目標応力

Ee 0 : 基準ヤング係数

λ :緩和係数 ( 0.0 < λ < 1.0)

σeT : 目標応力

Ee : ヤング係数

力の伝達が小さいところは

2-9/12

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平面応力状態 平面ひずみ状態Model-A

80.0

F=100.0

Design domainE=100Gpaν=0.3

40.080.0

F=10.0

150.0

75.0

Design domainE=100Gpa, ν=0.3

Model-B

25.0平面応力状態

平面ひずみ状態

2) 連続体構造モデルの結果

2-10/12

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100.0

25.0 5.0

Design domainE=100 Gpa, ν = 0.3

F=100.0

Model-C

25.0

100.0

50.02.5

平面応力状態

2) 連続体構造モデルの結果

2-11/12

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第2章 まとめ

・構造形態創生手順の一つであるセル・オートマトン法を有限要素法に対応させ、要素近傍モデルと節点近傍モデルに分類した。

・節点近傍モデルを用いた自律分散型の計算手順を考案し、有限要素技術を応用した自律分散有限要素法を提案した。

・2次元連続体構造と離散構造を対象に、自律分散有限要素法を適用し、構造形態創生例を示した。

・自律分散有限要素法は、自律計算と分散計算の組み合わせにより、構造形態創生だけでなく、逆解析にも応用できることも示している。

文献リスト

2-1 本間俊雄, 登坂宣好:反復計算法による構造物の形態解析と最適化, 日本建築学会構造系論文集,第502 号, pp.69-76, 19972-2 本間俊雄, 登坂宣好, 角広幸:自律分散アプローチによる逆問題の計算法-自律分散有限要素法の提案と応用-, 日本建築学会構造系論文集, 第

526 号, pp.69-76, 19992-3 T.Honma and N.Tosaka:Autonomous Decentralized Finite Element Method and Its Applications, International Journal for Numerical Methods in

Engineering, Vol.57, No.6, pp.853-874, 2003

2-12/12

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第3章 免疫アルゴリズム(IA)の構造形態創生方への応用

免疫アルゴリズムのベースとなる免疫システム

3-1/19

リンパ球系幹細胞

T 細胞ヘルパーT 細胞

B 細胞

抗原

抗体

・増殖

・突然変異

・選択

自己調節機能

サプレッサーT 細胞

記憶細胞

抗体産生機構

学習

抑制

促進

抗原排除

活性化

・交叉

キラーT 細胞

感染細胞攻撃

抗体産生

認識

照査

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免疫アルゴリズムの計算手順

新しい世代の抗体群を形成

a. 抗原の認識

b. 初期抗体群の生成

c. 親和度・類似度の計算

g. 抗体群の産生

d. 濃度計算

e. 記憶細胞とサプレッサーT細胞 への分化

f. 抗体産生の促進と抑制期待値の計算

a. 抗原の認識

・抗原を入力情報として認識する

抗原 ・・・ 最適化問題の制約条件と

目的関数

抗体 ・・・ 最適化問題の解候補

記憶細胞・・・最適化問題の解の集合

抗原と抗体の親和度 ・・・ 解の評価値

b. 初期抗体群の生成

・乱数を用いて初期抗体(解候補)群を生成する。

免疫アルゴリズム(IA)は大域的最適解だけでなく局所解を積極的に探索する解法として注

目されていた。本研究では建築構造分野に適合させるため、IAを整備して、空間構造の構造最適化に応用した。

3-2/19

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),(1

yxfv vw

vw H

11

:目的関数y)(x,f:抗体間の距離vwH

c. 親和度・類似度の計算

d. 濃度計算

・各抗体の濃度 を計算するv

N

wvwv N 1

π1otherwise

Tvwvw

01

π

・抗原と抗体vの親和度

抗体vと抗体wの類似度 を次式よって計算する。vwv

3-3/19

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・ が閾値 を超えた抗体vを記憶細胞候補vに分化する、記憶細胞mに記憶する

・記憶細胞候補vと同じものをサプレッサー細胞Sとし分化する

・Sと抗体との類似度 を計算する

・ が閾値 を超えた抗体vを消滅させる

v πT

vs

vs sT

e. 記憶細胞とサプレッサーT細胞 への分化

f. 抗体産生の促進と抑制,期待値の計算

・親和度の低いものからN/2個の抗体を消滅する

・抗体vの期待値 を計算するvE

N

i vv

s

s vsvvE

1

11

S : サプレッサー T細胞の総数

otherwiseTvsvs

vs2π

0

g. 抗体群の産生

・予め定めた交叉方法、突然変異方法により抗体を産生する

3-4/19

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構造 適化に対する留意点(その1)

「e.記憶細胞とサプレッサーT細胞への分化」

における手順の一部を次のように変える。

1. 記憶細胞mが上限値Mに達するまで、記憶細胞候補vと現在記憶されている

記憶細胞mが同一の場合、新たに記憶細胞に記憶させない。

2. 記憶細胞mが上限値Mに達するまでは、1世代で同じ遺伝子をもつ記憶細胞候

補vは、1つだけ記憶細胞候補vに分化させる。

3. 記憶細胞候補vとの類似度が一番高い記憶細胞mにおいて記憶細胞中で も評

価が高い場合、記憶細胞候補vの評価が高いときに限り入れ替える。

3-5/19

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:濃度に関して許容する抗体間の距離をdとすると は次式で設定する。

抗体間の距離がd以下の抗体は濃度に反映させる。

:抗体vとの距離がd以下の抗体で濃度に関して許容する抗体数をk,全抗体数

をNとすると は次式で与える。抗体vとの距離がd以下の抗体数がkを超

えた場合、抗体vは記憶細胞候補vに分化させる。

:サプレッサーT細胞と抗体の許容する距離を とすると は次式で与え

られる。サプレッサーT細胞と抗体の距離が 以下の抗体は消滅させる。

:サプレッサーT細胞と抗体の許容する距離を とすると は次式となる。

サプレッサーT細胞と抗体の距離が 以下の抗体は期待値が低くなり、次世

代に残りにくくなる。

構造 適化に対する留意点(その2)

T

1T 1T

11 1

Td

kTN

T

111

TS ds

TS TS1ds

1ds

12 12

Tds

2T 2T2ds

2ds

3-6/19

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トラス構造物の 適設計への適用

・解析モデル(Model-A)

Analysis Model-A[4]

Yc Xc

Ya

a

P P P

1.0

m

0.5 m 0.5 m 0.5 m 0.5 m

Y

Yb

b

α β γ

〇鉛直座標値Ya=Yc,Yb (初期形状から±1.0m)

設計変数

目的関数

minimize min ( , )f x y

制約条件

Euler座屈を考慮

ただし、制約条件を満たさない場合

( , )f px y

2 2( , ) 1f v v v v x y

9.8kNP

7 22.05 10 N/cmE

:上弦節点α,β,γの鉛直方向変位

:ペナルティパラメーター

, ,v v v

P

3-7/19

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解析結果(Model-A)

RIAIARGASGA解析解

Ya=Yc

Yb

(cm)

0 100 200 300 400 5000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

多様度

世代

0 100 200 300 400 500012345678

記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

多様度

世代

図 RIA・RGAの多様度の推移(Model-A)

図 IA・SGAの多様度の推移(Model-A)

図 解の比較(Model-A)

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遺伝子へのコード化と多様度

S

ijijij ppNH

1,, log)(

M

jj NH

MNH

1)(1)(

遺伝子座jに出現したi番目の記号の総数ijp N

•多様度•遺伝子へのコード化

M:遺伝子座の数

N:抗体(固体)数S:遺伝子のとり得る記号の数

Hj(N):遺伝子座jの情報エントロピー

H(N):抗体(固体)の平均情報エントロピー

・Model-B

・Model-C

設計変数:グループ化した部材断面積(2種類)鉛直座標Z1,Z2,Z3(3種類)

実数型 1×5(設計変数の数)=52進数型 10(bit)×5(設計変数の数)=50

設計変数:グループ化した部材断面積(7種類)鉛直座標Z1,Z2,Z3(3種類)

実数型 1×10(設計変数の数)=102進数型 10(bit)×10(設計変数の数)=100

・Model-D設計変数:グループ化した部材断面積(30種類)

鉛直座標Z1-Z6(6種類)実数型 1×36(設計変数の数)=362進数型 10(bit)×36(設計変数の数)=360

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2種類にグループ化した部材断面積 (1.0-200.0cm2)

〇鉛直座標値Z1,Z2,Z3 (初期形状から±1.0m)

・解析モデル(Model-B)

Analysis Model-B

目的関数

minimize min ( , )f x y

Ai:断面積, :部材数,ρ:重量

密度,

Li,:部材の長さ ,P:ペナルティ

制約条件

許容応力度

日本建築学会設計式の許容応力度

〇許容変位範囲 ALL 2.0cm

設計変数

7 22.05 10 N/cmE 33 kg/cm1085.7

トラス構造物の 適設計への適用

6.942 m12.50 m

15.888 m

Z

Z1Z2

Z31

1 112

22

22

221

1

1

2212 2 2

222

1

1

1221

22

InitialvalueZ1=3mZ2=5.85mZ3=7m

elevation

Y

X

plan

-5.0 kN-2.0 kN-1.2 kN-0.4 kN

pLAf ii

1),( yx

3-10/19

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0 100 200 300 400 5000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0 記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報エン

トロピー

世代

0 100 200 300 400 500012345678

記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報

エン

トロピ

世代

0 100 200 300 400 5000.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0.35

RIA IA RGA SGA親

和度・適合度(×

10-4)

世代

解析結果(Model-B)

親和度・適合度の世代毎の推移(Model-A)

RIA・RGAの情報エントロピーの推移(Model-B)

IA・SGAの情報エントロピーの推移(Model-B)

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RIAによる準最適解の形状とその重量(Model-B)

1) 33,314 kg 2) 33,373 kg 3) 33,403 kg 4) 34,778 kg

各手法により得られた準最適解の重量kg(Model-B)

解析結果(Model-B)

RIA RGA IA SGA1) 33,314 39,237 38,962 38,9062) 33,373 39,237 38,976 38,9063) 33,403 40,111 38,984 38,9064) 34,778 40,856 38,996 38,906

3-12/19

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解析モデル(Model-C)

Analysis Model-C

6.942 m12.50 m

15.888 m

Z

Z1

Z2Z3

Initial valueZ1=3mZ2=5.85mZ3=7m

elevation

Y

X

plan

-60.0 kN-30.0 kN-10.0 kN

1

11

12

22

44

443

3

3

4435 5

55

5

5

6

6

6776

7

7

77

1

7 22.05 10 N/cmE 33 kg/cm1085.7

設計変数7種類にグループ化した

部材断面積(1.0-200.0cm2)

〇鉛直座標値Z1,Z2,Z3

(初期形状から±1.0m)

3-13/19

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0 100 200 300 400 5000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0 記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報エ

ントロピ

世代

解析結果(Model-C)

親和度・適合度の世代毎の推移(Model-C)

RIA・RGAの情報エントロピーの推移(Model-C)

IA・SGAの情報エントロピーの推移(Model-C)

0 100 200 300 400 5000.00.10.20.30.40.50.60.70.8

RIA IA RGA SGA親

和度・適合度(×

10-4)

世代

0 100 200 300 400 500012345678

記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報エントロピー

世代

3-14/19

Page 54: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

RIAによる準最適解の形状とその重量(Model-C)

1) 13,803 kg 2) 13,868 kg 3) 13,915 kg 4) 14,048 kg

各手法により得られた準最適解の重量kg(Model-C)

解析結果(Model-C)

RIA RGA IA SGA1) 13,803 15,804 15,945 15,8592) 13,868 15,804 15,976 15,8593) 13,915 15,804 15,993 15,8594) 14,048 15,804 15,999 15,859

3-15/19

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Analysis Model-D

50 m

Z1-Z6

Initial valueZ1=25m Z4=18.402mZ2=24.225m Z5=13.433mZ3=22.038m Z6=7.25m

elevation

plan

Z

-200 kN-150 kN-130 kN-100 kNother pointsY

X

1

2

2

3

4

3

5

6

6

5

7

7

8

8

9

10

10 11 12 13 14 15

11

12

13

14

15

16

1718

1920

21

2223

2425

2627

2829

30

16 17

18

19

2021

22

23

24

25

26

27

28

29

30

解析モデル(Model-D)

30種類にグループ化した部材断面積(10.0-500.0cm2)

〇鉛直座標値Z1-Z6

(初期形状から±1.0m)

設計変数

7 22.05 10 N/cmE

33 kg/cm1085.7

3-16/19

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0 200 400 600 800 10000.0000.0020.0040.0060.0080.0100.0120.0140.0160.0180.020

RIA IA RGA SGA親

和度・適合度(

×10-4)

世代

0 200 400 600 800 1000012345678

記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報エ

ント

ロピー

世代

0 200 400 600 800 10000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0 記憶細胞 上位20個体 抗体 個体

情報

エン

トロピ

世代

解析結果(Model-D)

親和度・適合度の世代毎の推移(Model-D)

RIA・RGAの情報エントロピーの推移(Model-D)

IA・SGAの情報エントロピーの推移(Model-D)

3-17/19

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RIAによる準最適解の形状とその重量(Model-D)

1) 513,883kg 2) 516,190kg 3) 531,265kg 4) 533,127 kg

各手法により得られた準最適解の重量kg(Model-D)

解析結果(Model-D)

RIA RGA IA SGA1) 513,883 518,082 527,666 549,9202) 516,190 518,082 534,597 549,9203) 531,265 518,111 537,697 549,9304) 533,127 521,455 538,295 550,369

3-18/19

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第3章 まとめ

・免疫アルゴリズムを構造最適化に対応させ、構造形態創生例を示した。遺伝子列に対しても従来の2進数型を開発し、実数型へと拡張した。

・多様性のある解であることを情報エントロピの利用により確認した。

・空間骨組構造の形態創生例に免疫アルゴリズムを採用し、解析上の留意点を明らかにした。

文献リスト

3-1 本間俊雄, 加治広之, 登坂宣好:免疫アルゴリズムによるトラス構造物の多目的最適化と解の多様性, 構造工学論文集, 第49B 号, pp.309-317, 20033-2 本間俊雄, 加治広之, 登坂宣好:免疫アルゴリズムによる構造システムの最適化と解の多様性,日本建築学会構造系論文集,第588 号, pp.103-110,

2005

3-19/19

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第4章 解の多様性を考慮した発見的多点探索法の提案と構造形態の創生

優良解を用いた構造形態創生

構造形態創生法の立場

A 大域的最適解(パレート最適解)を活用する方法。

B 優良解を活用する方法1. 設計者の指定する形状の近傍で

力学的に優れた形状を探索する方法。2. 与えられた設計変数空間内で

力学的に優れた形状を獲得する方法。

4-1/21自由曲面構造への構造形態創生

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優良解探索の新しい解法の提案優良解:

大域的最適解(パレート最適解)や局所解(局所パレート解)を含むそれらの近傍の比較的評価の高い設計変数値の集合

発見的多点探索法の開発

1.目的関数による強度計算(絶対評価)2.強度を用いたクラスタ毎の適合度計算(相対評価)3.設計変数空間における端切り法の導入(設計変数の多様性維持)

アルゴリズムの基本的考え方

優良解の探索には数理計画法や発見的単点探索法が不向きであることを考察し、本研究では発見的多点探索法を採用した。絶対評価により各個体の評価を明確にして、設計変数空間で類似の形態毎にクラスタを構成し、クラスタ毎に相対評価を実施した。ただし、相対評価値は全体で同等に扱うことで、大域的最適解(パレート最適解)と局所解(局所パレート解)やその周辺の解探索を可能となった。GAのニッチ操作では、設計変数空間の多様性を

維持させるため、設計変数空間で端切り法を採用した。本基本操作は、当初多目的最適化を想定したスキームであったが、結果的に単一目的最適化にも適用できる。

4-2/21

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目的関数 f

設計変数

目的関数 f

設計変数

a. 初期個体群と解の推移方向

b. 解探索後の個体群

解探索概念図

:記憶細胞 :個体 :上位個体群 H%ライン

:グループ

端 切 り

クラスタ

a. 初期個体群と探索解の推移方向

b. 優良解探索後の個体群

優良解探索の概念図

目的関数 f

目的関数 f

設計変数 x

設計変数 x

優良解探索の基本スキーム

4-3/21

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優良解探索の発見的多点探索法

採用した発見的多点探索法 構造最適化に適合した多点探索法を採用

基本アルゴリズム 優良解探索スキームを導入したアルゴリズム

・遺伝的アルゴリズム(GA) ISGAgenetic algorithms with immune system

・粒子群最適化(PSO) ISPSOparticle swarm optimization with immune system

・人口蜂コロニー(ABC) ISABCartificial bee colony with immune system

GAはよく知られた生物の進化過程をDNAの概念で解探索する計算手順である。PSOは

鳥や魚の集団行動(慣性力・自己認識・社会認識による集団移動)を模倣した計算手順である。ABCは蜂の蜜採取行動をモデル化した最適化で、3種の蜂により、大域的探索と局所探索および局所解に陥らない工夫がなされた計算手順になっている。

各解法により別々の特徴があり、問題により使い分ける必要がある。ただし、共に得られた優良解より解空間の状況が把握できるので、使い分けは難しくない。

4-4/21

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図9 各解法による2変数関数式(8)のSOP( 大値探索問題)に対する優良解(M=100)

c1. ISABC H=0.01 c2. ISABC H=0.1 c3. ISABC H=0.2

a1. ISGA H=0.01 a2. ISGA H=0.1 a3. ISGA H=0.2

b1. ISPSO H=0.01 b2. ISPSO H=0.1 b3. ISPSO H=0.2

図8 各解法による2変数関数式(7)のSOP( 大値探索問題 )に対する優良解

(M=100)

a1. ISGA H=0.01 a2. ISGA H=0.1 a3. ISGA H=0.2

b1. ISPSO H=0.01 b2. ISPSO H=0.1 b3. ISPSO H=0.2

c1. ISABC H=0.01 c2. ISABC H=0.1 c3. ISABC H=0.2

2変数関数の最大値探索問題に対する各解法による優良解(ベンチマーク問題)

単一目的最適化に対するパラメータ設定による優良解の変化状況

4-5/21

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図10 ISGA による2変数関数式(9)と式(10)のMOP に対する優良解

f3(x,y)

f4(x,y)

目的関数空間内の優良解

a. ISGA H=0.01 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解 関数 f4 上の優良解

目的関数空間内の優良解

f3(x,y)

b. ISGA H=0.1 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解

f4(x,y)

関数 f4 上の優良解

目的関数空間内の優良解

f3(x,y)

c. ISGA H=0.2 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解

f4(x,y)

関数 f4 上の優良解

図11 ISPSO による2変数関数式(9)と式(10)の MOP に対する優良解

目的関数空間内の優良解f3(x,y)

a. ISPSO H=0.01 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解

f4(x,y)

関数 f4 上の優良解

目的関数空間内の優良解

f3(x,y)

b. ISPSO H=0.1 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解

f4(x,y)

関数 f4 上の優良解

目的関数空間内の優良解

f3(x,y)

c. ISPSO H=0.2 M=100, r=10

関数 f3 上の優良解

f4(x,y)

関数 f4 上の優良解

2変数関数の最大値探索問題に対する各解法による優良解(ベンチマーク問題)

多目的最適化に対するパラメータ設定による優良解の変化状況4-6/21

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橋梁解析モデル( 多目的最適化問題 ) ISGA

U

L

a

0, RAjif   

otherwise

ajj

T

ff

/,max),(),(

2

1

RARAARLRA

minimize

tosubject  Uj

L RA,

解析モデル(節点数32 , 要素数39)

目的関数:①部材総重量②最大応力度比

設計変数:①各部材断面積②下弦各節点 x 座標③下弦各節点 y 座標

A:部材断面積ベクトル

R:節点座標ベクトル

j:j 部材応力度

a:許容応力度

L:部材長ベクトル

4-7/21

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得られた構造形態

Structural morphogenesis by ISGA on the framed structure model

Type-A

Type-C

Type-D

Type-E

Type-F

Type-B

橋梁の偏載荷重による単純なモデルであるが、複数の試行により想定できる橋梁の形態がISGAにより捉えられた。次ページに以降にType-A, -B, -Cに対する目的関数空間の優良解の状況を示す。

4-8/21

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解析結果1

0.0 0.5 1.00.2

0.4

0.6

0.8

1.0

Max

imum

stre

ss ra

tio

Member overall weight

Analysis on framed structure model(Type-A, r=25)

610 kN

4-9/21

Page 68: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

解析結果2

0.0 0.5 1.00.2

0.4

0.6

0.8

1.0

Member overall weight

Max

imum

stre

ss ra

tio

ex.1ex.2ex.3ex.4ex.5ex.6

Analysis on framed structure model(Type-B, r=50)

610 kN

4-10/21

Page 69: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

解析結果3

0.0 0.5 1.00.2

0.4

0.6

0.8

1.0

Max

imum

stre

ss ra

tio

Member overall weight

ex.1ex.2ex.3ex.4ex.5ex.6

Analysis on framed structure model(Type-C, r=100)

610 kN

4-11/21

Page 70: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

離散化された曲面の節点座標をすべて設計変数とする場合、扱う設計変数が多く、解の収束が困難となる。従って、パラメトリック曲面を用いた設計変数の縮減を考える。

・有限要素の節点による設計変数 ・制御点による設計変数

r00

rm0

r40r04

r0n

P00

P20

Pm’0

P02P0n’

シェル曲面構造の節点座標と厚み分布の表現

有理テンソル積ベジェ曲面を用いた曲面表現

4-12/21

Page 71: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

Minimize

A:要素特性ベクトル,R:節点位置ベクトルd:節点変位ベクトル,K全体剛性マトリクス

総ひずみエネルギ最小化を目標とした単一目的最適化を行う。各種設定値を以下に示す。

subject to

自由曲面シェル構造の総ひずみエネルギ最小化(SOP)(Model-A)

ULUL RRRAAA

側面制約条件

荷重条件

自重

等分布荷重 1.0[kN/m2]24.0[kN/m3]

AL

AURL

RU0.1[m]0.2[m]

0.0[m]7.0[m]

材料定数

ヤング係数

ポアソン比

使用材料2.1×107[kN/m2]

0.2Fc21

SD295

基準形状

y

x

z

x

y

20m

20m

解析領域

x

y

制御点配置

KddRA Ttf 2

1),(

4-13/21

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r = 10, H = 0.1

0 1000 2000 30000.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

result-1 result-2 result-3

Total strain energy [kNm] : ft

Iteration number

ft = 0.239 kNmform-A1(result-1)

ft = 0.237 kNmform-A2(result-2)

Model-Aに対する構造形態例(ISPSO)

ft = 0.413 kNmform-A4(result-2)

ft = 0.319 kNmform-A3(result-1)

4-14/21

Page 73: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

0 1000 2000 30000.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

result-1 result-2 result-3

Total strain energy [kNm] : ft

Iteration number

r = 10, H = 0.05

ft = 0.221 kNmform-A5(result-1)

ft = 0.212 kNmform-A6(result-2)

ft = 0.434 kNmform-A7(result-1)

ft = 0.618 kNmform-A8(result-2)

MODL-Aに対する構造形態例(ISABC)

4-15/21

Page 74: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

Minimize

A:要素特性ベクトル, R:節点位置ベクトルd:節点変位ベクトル, K:全体剛性マトリクスγ : 単位重量, zP11 : zP11制御点z座標値

総ひずみエネルギ最小化と部材総重量最小化を目標とした多目的最適化を行う。各種設定値を以下に示す。

subject to

非対称自由曲面シェル構造の多目的最適化(MOP)(Model-B)

ULUL RRRAAA

側面制約条件

荷重条件

自重

等分布荷重 1.0[kN/m2]24.0[kN/m3]

AL

AURL

RU0.1[m]0.2[m]

0.0[m]7.0[m]

材料定数

ヤング係数

ポアソン比

使用材料2.1×107[kN/m2]

0.2Fc21

SD295

基準形状

y

x

z

解析領域 制御点配置と高さ制約条件位置

KddRA Ttf 2

1),( ARSRA Tvf )(),(

][0.2511 mPz

x

y

20m

20m

x

y

20m

4-16/21

Page 75: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

r = 10, H = 0.2, q = 0.1

0 2 4 6 8 10 121000

1200

1400

1600

1800

2000Volume [kN] : fv

result-1 result-2 result-3 SPEA2

Total strain energy [kNm] : ft

ft = 4.043 kNmfv = 1324.2 kN

form-B8(result-2)

ft = 3.964 kNmfv = 1338.0 kN

form-B7(result-2)

ft = 3.609 kNmfv = 1366.1 kN

form-B6(result-2)

ft = 2.112 kNmfv = 1476.8 kN

form-B5(result-2)

ft = 3.956 kNmfv = 1338.9 kN

form-B1(result-1)

ft = 4.558 kNmfv = 1305.7 kN

form-B2(result-1)

ft = 4.815 kNmfv = 1286.5 kN

form-B3(result-1)

ft = 6.312 kNmfv = 1261.4 kN

form-B4(result-1)

Model-Bに対する構造形態例(ISPSO)

4-17/21

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0 2 4 6 8 10 121000

1200

1400

1600

1800

2000Volume [kN] : fv

result-1 result-2 result-3 SPEA2

Total strain energy [kNm] : ft

r = 10, H = 0.1

ft = 2.042 kNmfv = 1162.4 kN

form-B9(result-1)

ft = 2.697 kNmfv = 1169.0 kN

form-B10(result-1)

ft = 5.448 kNmfv = 1123.8 kN

form-B11(result-1)

ft = 8.245 kNmfv = 1126.1 kN

form-B12(result-1)

MODL-Bに対する構造形態例(ISABC)

4-18/21

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解析結果の3Dプリンターによる出力例

4-19/21

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優良解探索解法

提案手法は優良解探索手法として有効

ISGA相対評価(適応度)に基づき、個体を発生・消滅させて

解探索

ISPSO局所 適解に

陥りやすい特性を利用した解探索

ISABC大域的探索ではエリート探索、局所探索では改悪を許容した

解探索

グリッドシェル

矩形自由曲面シェル

円形曲面シェル

種々の構造形態創生問題に対する優良解探索解法の解特性把握が必要

解探索方法により、得られる優良解の特性が異なる

4-20/21

ISGA, ISPSO, ISABCの特性

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第4章 まとめ

・発見的多点探索法を用いた設計変数空間の多様性を考慮する優良解探索の基本スキームが提案できた。

・発見的多点探索法として遺伝的アルゴリズム、粒子群最適化、人口蜂コロニーを採用し、優良解探索のスキームを組み込んだ。

・優良解探索発見的多点探索法により、設計変数空間の多様性を維持した優良解の探索法を確立した。なお、開発した3つの解法には各々解探索特性に異なる特徴があることを示した。

文献リスト

4-1 本間俊雄, 野瑞憲太:解の多様性を考慮した遺伝的アルゴリズムによる構造形態の創生, 日本建築学会構造系論文集, 第614 号, pp.35-43, 20074-2 本間俊雄, 堀切秀作:構造形態の多目的最適化問題に対する優良解獲得を目指した遺伝的アルゴリズムと解空間の状況, 構造工学論文集, 第54B

号, pp.219-226, 20084-3 和田大典, 本間俊雄:自由曲面シェル構造の形態決定における優良解探索と解の多様性, 構造工学論文集, 第58B 号, pp.453-460, 日本学術会議・

日本建築学会, 20124-4 永田洸大, 本間俊雄:優良解探索機能を導入した群知能による自由曲面シェル構造の形態, 日本建築学会構造系論文集, 第78 巻, 第684 号,

pp.345-354, 20134-5 沖田裕介, 本間俊雄:優良解探索遺伝的アルゴリズム系解法による自由曲面グリッドシェルの構造形態創生- 構造形態と曲面を記述するNURBS の

階数の関係-, 日本建築学会構造系論文集,第78 巻, 第687 号, pp.949-958, 20134-6 永田洸大, 本間俊雄:優良解探索群知能による自由曲面シェル構造の多目的最適化, 日本建築学会構造系論文集, 第78 巻, 第690 号, pp.1429-

1437, 2013

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Page 80: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

発想支援・設計支援システム開発

(2) 許容解の中でも優良解(decent solution)を探索することは設計者に豊富な選択肢が与えられ多様な構造形態の創生に役立つ

建築の設計力学的観点からの設計目標計画的観点からの設計目標

適な部材断面・配置等の形態を決定

まとめ

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(1) 平面上にある無応力状態の部材(ケーブル・膜材)を基準に形状と裁断図の同時解析と得られた裁断図から連続的に静・動的解析が可能となり、インターラクティブな形状デザインの可能性をしめした。

Page 81: 構造形態の解析と創生に関する一連の研究 · 形状(configuration)+状態(condition) システム 形状 :幾何学的な意味における形。 状態 :形状内部や外部に持つある種の目的を満足するシステムの有様。

まとめ

本一連の研究では、以下のことを示した。

・構造形態の解析と創生 ・・・ 構造最適化

張力構造と一般構造の形態創生の提示

・問題に応じた解探索

大域的最適解と優良解

・多様性を有する優良解探索法の提案

ISGA, ISPSO, ISABCの基本スキームの考案

・構造形態創生法=発想・設計支援の位置付け

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謝辞

本研究は、鹿児島大学に教員として赴任した1998年の前後から2013年現在に至るまでの成果です。研究成果をまとめるに当り、共同研究者を含め、多くの先生方との討論や鹿児島大学建築学科・建築学専攻の建築計算工学研究室所属の卒業・修了した学生達の協力がベースにあることを明記し、深謝いたします。

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