52
14B 制定 平成 1 5.3. 22 改正 平成 19.6. 14 C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 ページ 1. 適用範囲 …………………………………………………………………………………… 1 2. 引用規格 …………………………………………………………………………………… 1 3. 用語の意味 …………………………………………………………………………………… 1 4. 試験の一般条件 ………………………………………………………………………… 2 4.1 試 験の標準状態 ………………………………………………………………………… 2 4.2 測 定器 …………………………………………………………………………………… 2 5. 試験方法 …………………………………………………………………………………… 2 5.1 黒 体感度(R BB )試験 ………………………………………………………………………… 2 5.1.1 電 荷非蓄積型検知器の R BB 試験 …………………………………………………… 2 5.1.2 電 荷蓄積型検知器の R BB 試験 …………………………………………………… 5 5.1.2.1 黒 体炉による方法 ……………………………………………………………… 5 5.1.2.2 基 準熱源による方法 ……………………………………………………………… 7 5.2 分 光感度(R λ )試験 ………………………………………………………………………… 9 5.2.1 電 荷非蓄積型検知器の R λ 試験 …………………………………………………… 9 5.2.2 電 荷蓄積型検知器の R λ 試験 ……………………………………………………………… 12 5.2.3 フ ーリエ分光法による分光感度試験 …………………………………………………… 16 5.3 感 度の均一性試験 ………………………………………………………………………… 18 5.3.1 電 荷非蓄積型検知器の感度の均一性試験 ………………………………………… 18 5.3.2 電 荷蓄積型検知器の感度の均一性試験 ………………………………………… 19 5.4 黒 体雑音等価パワー(NEP BB )試験 …………………………………………………… 19 5.4.1 電 荷非蓄積型検知器のNEP BB 試験 …………………………………………………… 19 5.4.2 電 荷蓄積型検知器のNEP BB 試験 …………………………………………………… 21 5.4.2.1 黒 体炉による方法 ……………………………………………………………… 21 5.4.2.2 基 準熱源による方法 ……………………………………………………………… 23 5.5 分 光雑音等価パワー(NEP λ )試験 …………………………………………………… 25 5.6 黒 体比検出能(D * BB )試験 ……………………………………………………………… 25 5.6.1 電 荷非蓄積型検知器の D * BB 試験 …………………………………………………… 25 5.6.2 電 荷蓄積型検知器の D * BB 試験 …………………………………………………… 27 (i)

防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

1

S 防 衛 省 規 格

赤外線撮像装置検知器系試験方法

目 次

1. 適用範囲 ……………………………………………………………………………

2. 引用規格 ……………………………………………………………………………

3. 用語の意味 ……………………………………………………………………………

4. 試験の一般条件 …………………………………………………………………

4.1 試験の標準状態 …………………………………………………………………

4.2 測定器 ……………………………………………………………………………

5. 試験方法 ……………………………………………………………………………

5.1 黒体感度(RBB)試験 …………………………………………………………………

5.1.1 電荷非蓄積型検知器の RBB試験 ……………………………………………

5.1.2 電荷蓄積型検知器の RBB試験 ……………………………………………

5.1.2.1 黒体炉による方法 ………………………………………………………

5.1.2.2 基準熱源による方法 ………………………………………………………

5.2 分光感度(Rλ)試験 …………………………………………………………………

5.2.1 電荷非蓄積型検知器の Rλ試験 ……………………………………………

5.2.2 電荷蓄積型検知器の Rλ試験 ………………………………………………………

5.2.3 フーリエ分光法による分光感度試験 ……………………………………………

5.3 感度の均一性試験 …………………………………………………………………

5.3.1 電荷非蓄積型検知器の感度の均一性試験 …………………………………

5.3.2 電荷蓄積型検知器の感度の均一性試験 …………………………………

5.4 黒体雑音等価パワー(NEPBB)試験 ……………………………………………

5.4.1 電荷非蓄積型検知器の NEPBB試験 ……………………………………………

5.4.2 電荷蓄積型検知器の NEPBB試験 ……………………………………………

5.4.2.1 黒体炉による方法 ………………………………………………………

5.4.2.2 基準熱源による方法 ………………………………………………………

5.5 分光雑音等価パワー(NEPλ)試験 ……………………………………………

5.6 黒体比検出能(D*BB)試験 ………………………………………………………

5.6.1 電荷非蓄積型検知器の D*BB試験 ……………………………………………

5.6.2 電荷蓄積型検知器の D*BB試験 ……………………………………………

(i)

N D

C 0 21 4

定 平成 15.3.22

平成 19.6.14

ページ

…… 1

…… 1

…… 1

…… 2

…… 2

…… 2

…… 2

…… 2

…… 2

…… 5

…… 5

…… 7

…… 9

…… 9

…… 12

…… 16

…… 18

…… 18

…… 19

…… 19

…… 19

…… 21

…… 21

…… 23

…… 25

…… 25

…… 25

…… 27

Page 2: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

2

ページ

5.6.2.1 黒体炉による方法 ……………………………………………………………… 27

5.6.2.2 基準熱源による方法 ……………………………………………………………… 29

5.7 分光比検出能(D*λ)試験 ……………………………………………………………… 31

5.7.1 電荷非蓄積型検知器の D*λ試験 …………………………………………………… 31

5.7.2 電荷蓄積型検知器の D*λ試験 …………………………………………………… 32

5.8 入出力特性試験 ………………………………………………………………………… 32

5.9 ダイナミックレンジ試験 ……………………………………………………………… 36

5.10 クロストーク試験 ………………………………………………………………………… 36

5.10.1 電荷非蓄積型検知器のクロストーク試験 ………………………………………… 36

5.10.2 電荷蓄積型検知器のクロストーク試験 ………………………………………… 37

5.11 クールダウンタイム試験 ……………………………………………………………… 38

5.12 ブルーミング試験 ………………………………………………………………………… 38

5.13 素子欠陥試験 ………………………………………………………………………… 40

5.14 検知器 NETD 試験 ………………………………………………………………………… 41

5.15 熱型検知器の熱時定数(τ)試験 …………………………………………………… 42

解 説 …………………………………………………………………………………… 44

(ⅱ)

Page 3: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

1

防 衛 省 規 格

赤外線撮像装置検知器系試験方法 制

1. 適用範囲 この規格は,目標からの赤外光を映像化する赤外線撮像装置の検知器

器という。)性能の試験方法について規定する。

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の

成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS Z 8120 光学用語

NDS C 0110 電子機器の運用条件に対する試験方法

NDS C 0212 赤外線撮像装置試験方法

NDS C 0213 赤外線撮像装置光学系試験方法

3. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JlS Z 8120,NDS C 0212 及

よるほか,次のとおりとする。

a) 供試検知器 試験の対象となる検知器をいう。なお,デュワ,冷却器などから構

合は,検知器の中にそれらも含まれるものとする。

b) 黒体感度 黒体に対する赤外線検知器の感度をいい,入射1W 当たりの検知素子

電流で表す。単位は,V・W-1又は A・W-1を用いる。

c) 感度の均一性 多素子検知器の黒体感度の素子ごとのばらつきをいい,黒体感度

均値で割った値を百分率で表す。

d) NEPBB Blackbody Noise Equivalent Power の略語で,黒体雑音等価パワーをい

の赤外光に対する検知素子の検知能力の指標となる用語である。検知器出力信号

周波数帯域での雑音に等しくなる値をいう。換言すれば S/N が1となるときの

射パワーを表す。

e) NEPλ Spectral Noise Equivalent Power の略語で,分光雑音等価パワーをいい

波長における検知能力の指標となる用語である。検知器出力信号が規定された周

音に等しくなる値をいう。換言すれば S/N が 1 となるときの分光入射パワーを

f) D*BB 黒体比検出能をいい,検知器の検知能力の高さを表す。NEP の逆数は,

D(Detectivity の略)で表すが,感光面積や増幅系の帯域が異なっている場合の

するために,単位感光面積当りで増幅系の単位帯域当りに規格化した検出能を定

能 D*(Dstar と発音する。)と名づけ,検知器の S/N を表す性能指数として用い

射に対する比検出能は黒体比検出能といい,測定が容易なことから通常用いられ

g) D*λ 分光比検出能をいい,各波長での検知器の検知能力の高さを表す。NEPλの

N D S

C 0 21 4 B

定 平成 15.3.22

平成 19.6.14

(以下,検知

定の一部を構

NDS C 0213 に

されている場

出力電圧又は

標準偏差を平

,黒体炉から

,規定された

体炉からの入

検知素子の各

数帯域での雑

す。

出能といい,

知器の比較を

して,比検出

。特に黒体放

いる。

数は分光検出

Page 4: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

2

能といい,Dλで表すが,単位感光面積当たりで増幅系の単位帯域当たりに規格化したものを D*λ

という。

h) ダイナミックレンジ 検知素子の入出力特性の直線領域をいい,検知器の飽和出力電圧を実効雑

音電圧で割った値で表す。

i) ブルーミング 配列型の電荷蓄横型検知器の素子に強い赤外光を入射させたときに,過剰に発生

した電荷によって,その周囲の赤外光を入射させていない素子に出力が現れる現象をいう。

j) 電荷蓄積型検知器 可視における CCD のように光電変換素子と電荷蓄積部を有する赤外線検知器

を示す用語で,光電変換素子で発生した電荷を電子走査によって読み出す検知器をいう。

なお,検知素子からの信号を,電子走査によって読み出す機能を有する熱型検知器も,電荷蓄

積型に含める。

k) 電荷非蓄積型検知器 単素子又はリニアアレイとして使用され,各検知素子から直接電気信号が

得られる検知器をいう。

l) 熱型検知器 赤外光を熱エネルギーとして検知する方式の検知器をいう。原理的には感度の波長

依存性が比較的小さいことを利用して,分光感度試験時に赤外パワーの校正に用いる。

m) 検知素子 検知器の光電変換部分の最小構成要素をいう。検知素子が一次元又は二次元に配列さ

れた集合体は,検知素子アレイと呼ぶ。

n) デュワー 検知素子を取り付ける真空容器をいう。

o) 黒体エミッタンス 黒体が単位面積当たり,半球の全方向に放射しているパワーの総量をいう。

黒体放射発散度ともいい,単位は W・cm-2を用いる。

p) 黒体分光エミッタンス 黒体が単位面積当たり,半球の全方向に放射しているパワーを単位スペ

クトル当たりで表したものをいう。黒体分光放射発散度ともいい,単位は W・㎝-2・μm-1 を用い

る。プランクの放射則に従う。

q) パワー密度 光学用語でいう放射照度に相当する。

r) チョッピング周波数 チョッパにより光入力を継断する周波数。

4. 試験の一般条件

4.1 試験の標準状態 試験の標準状態は,NDS C 0110 の 2.1 による。

4.2 測定器 試験に用いる測定器は,原則として 1 年以内に校正したものを使用する。

また,試験方法文中に“電圧計”,“サンプルホールド及び A/D 変換”,“計算機”,“ロック

インアンプ”,“スペクトラムアナライザ”等の記載があるが,それらと同等の機能を有する測定器

を用いてもよい。

5. 試験方法

5.1 黒体感度(RBB)試験 黒体感度(以下,RBBという。)試験は,規定された黒体温度について行う。

5.1.1 電荷非蓄積型検知器の RBB試験 電荷非蓄積型検知器の RBB試験は,図 1 のような配置で,次

によって行う。

Page 5: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

3

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい直径の分かった円形開口のマスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間にチョッパを置く。

なお,円形開口マスクは,チョッパを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

スク及びチョッパは,温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びチョッパは,RBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95

以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスクの

前方に供試検知器を置く。円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25 倍以上と

する。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはな

らない。

d) チョッピング周波数は,規定された値とする。

e) 供試検知器の出力信号を増幅率の分かった増幅器を用いて測定し,検知器の実効信号電圧を次の

式によって算出する。

GVS=S

ここに,S:供試検知器の実効信号電圧(V)

VS:増幅後の実効信号電圧(V)

G:増幅器の電圧増幅率

f) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外実効パワー密度を次の式によって算出する。

( )

2AD

24CHCH

4BBBB

rms L1

4dTTkoH ×

×π×

π×−××σ

×=εε

( )

2AD

24CH

4BB

12

LdTTko1042.1 ×−××× −

=

ここに,Hrms:検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2)

ko :実効値換算係数(1)

o

1

HHko =

H1:チョッピングした場合の黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

HO:チョッピングしない場合の黒体炉からの全赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・cm-2・K-4)

εBB:黒体炉の放射率(2)

TBB:黒体炉の温度(K)

εCH:チョッパブレードの放射率(2)

TCH:チョッパブレードの温度(K)(3)

Page 6: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

4

d:円形開口マスク開口部の直径(cm)

LAD:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm)

注(1) ko 値の典型例を表 1 に示す。

表 1

設 定 条 件 ko

チョッパブレードの幅と間隔が同一で,かつ円形開口マ

スク開口部の直径と一致している場合。 0.325

チョッパブレードの幅と間隔が同一で,円形開口マスク

開口部の直径に比較して充分大きい場合。 0.450

(2) 黒体炉及びチョッパブレードの放射率は,1 とする。

(3) チョッパブレード温度は,室温で代用する。

g) RBB を次の式によって算出する。

Drms

BB AHSR×

=

ここに,RBB:電荷非蓄積型検知器の黒体感度(V・W-1)

S :供試検知器の実効信号電圧(V)

Hrms :検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2)

AD :供試検知器の感光部面積(cm2)

備考 フォトダイオードの RBB を求める場合には,e)の S 及び g)の RBB の算出法を次のように

変更する。

h) 供試検知器の出力信号を増幅率のわかった電流電圧変換増幅器を用いて測定し,検知器の実効信

号電流を次の式によって算出する。

GVS

C =S

ここに, SC :供試検知器の実効信号電流(A)

VS:増幅後の実効信号電圧(V)

G:増幅器の増幅率(V・A-1)

i) RBB を次の式によって算出する。

Drms

CBB AH

SR×

=

ここに,RBB:フォトダイオードの黒体感度(A・W-1)

SC:供試検知器の実効信号電流(A)

Hrms:検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2)

AD:供試検知器の感光部面積(cm2)

Page 7: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

5

図 1 電荷非蓄積型検知器の RBB試験の配置

5.1.2 電荷蓄積型検知器の RBB 試験 電荷蓄積型検知器の RBB 試験は,以下のいずれかによって行う。

5.1.2.1 黒体炉による方法 黒体炉によるRBBの試験方法は,図 2 のような配置で,次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい直径が既知の円形開口のマスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5mm を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間にシャッタを置く。

なお,円形開口マスクは,シャッタを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

スク及びシャッタは,温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びシャッタは,RBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95

以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスクの

前方に供試検知器を置く。円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25倍以上とす

る。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはな

らない。

d) シャッタを開け,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射した状態で,供試検知器の規定され

た素子の出力を増幅(4)後,連続して n 回(5)計算機に読み込み(6),同一検知素子に対する増

幅器の出力電圧の平均値を次の式によって算出する。

n

VV

li

n

li1

∑= =

ここに, :信号赤外光の入射状態での増幅後の平均出力電圧値(V) V1

:信号赤外光の入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) iV1

:読込み回数 n

Page 8: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

6

注(4) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(5) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(6) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホ

ールドし,A/D 変換して行う。

e) シャッタを閉じ,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射しない状態で,供試検知器の規定され

た素子の出力を増幅(7)後,連続して n 回(8)計算機に読み込み(6),d)の測定と同一の検知素子

に対する増幅器の出力電圧の平均値を次の式によって算出する。

n

VV

i2

n

1i2

∑= =

ここに, :信号赤外光の入射しない状態での増幅後の平均出力電圧値(V) V2

:信号赤外光の入射しない状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) V i2

:読込み回数 n

注(7) d)の測定と同一の増幅器を使用する。

(8) 読込み回数 n は d)の測定時と同一とする。

f) 計算機に読み込んだ増幅器の出力から,信号電圧を次の式によって算出する。

G

VVS 21 −=

ここに,S :信号電圧(V)

:信号赤外光の入射状態での増幅後の平均出力電圧値(V) V1

:信号赤外光の入射しない状態での増幅後の平均出力電圧値(V) V2

G :増幅器の増幅率

g) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外パワー密度を次の式によって算出する。

2AD

24SHSH

4BBBB

L1

4d)TT(

××π

×π

×−××=

εεσH

2AD

24SH

4BB

12

Ld)TT(1042.1 ×−××

=−

ここに,H:検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12W・cm-2・K-4)

εBB:黒体炉の放射率(9)

TBB:黒体炉の温度(K)

εSH:シャッタブレートの放射率(9)

TSH:シャッタブレートの温度(K)(10)

d :円形開口マスク開口部の直径(cm)

LAD:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm)

注(9) 黒体炉及びシャッタブレードの放射率は,1 とする。

(10) シャッタブレードの温度は,室温で代用する。

Page 9: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

7

h) RBB を次の式によって算出する。

D

BB AHSR×

=

ここに,RBB:黒体感度(V・W-1)

S:信号電圧(V)

H:検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

AD:供試検知器の感光部面積(cm2)

図 2 電荷蓄積型検知器の RBB試験の配置

5.1.2.2 基準熱源による方法 検知器内に視野を制限する円形絞りのついた電荷蓄積型検知器の RBB

試験は,基準熱源を用いて図 3 のような配置で,次による。

a) 基準熱源の放射面が供試検知器の視野内を全て覆うように,供試検知器直前に基準熱源を置く。

なお,放射面は,RBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95 以上に保つ。また測

定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはならない。

b) 基準熱源の温度を,規定の温度(T1)にし,供試検知器の規定された素子の出力を増幅(11)後,連

続して n 回(12)計算機に読み込み(13),同一検知素子に対する増幅器の出力電圧の平均値を次の

式によって算出する。

n

VV

li

n

li1

∑= =

ここに, :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V1

:温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) iV1

:読込み回数 n

Page 10: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

8

注(11) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(12) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(13) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサ

ンプルホールドし,A/D 変換して行う。

c) 基準熱源の温度を,T1より温度の低い規定の温度(T2)に変更し,供試検知器の規定された素子

の出力を増幅(14)後,連続して n 回(15)計算機に読み込み(16),b)の測定と同一の検知素子に対

する増幅器の出力電圧の平均値を次の式によって算出する。

n

VV

i2

n

1i2

∑= =

ここに, :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V2

:温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) iV2

:読込み回数 n

注(14) b)の測定と同一の増幅器を使用する。

(15) 読込み回数 n は b)の測定時と同一とする。

(16) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサ

ンプルホールドし,A/D 変換して行う。

d) 計算機に読み込んだ増幅器の出力から,信号電圧を次の式によって算出する。

G

VVS 21 −=

ここに,S:信号電圧(V)

:温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V1

:温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V2

G:増幅器の増幅率

e) 基準熱源から供試検知器に入射する赤外パワー密度を次の式によって算出する。

14

1)( 24

24

1

+

×

××−××=

CS

CSd

LTTH εεσ

ここに,H :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12W・cm-2・K-4)

ε :放射面の放射率(17)

T1 :b)の試験時の基準熱源の温度(K)

T2 :c)の試験時の基準熱源の温度(K)

Lcs :検知器の視野絞りと検知器の間の距離(cm)

dcs :検知器の視野絞りの径(cm)

注(17) 放射面の放射率は,1 とする。

備考 上記の赤外線パワー密度は円形の視野絞り中心軸上に検知素子がある場合の計算

Page 11: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

9

式である。中心軸上以外に検知素子のある場合にも上記の式で代用するが,精度

について留意すること。

f) RBB を次の式によって算出する。

D

BB AHSR×

=

ここに,RBB :黒体感度(V・W-1)

S :信号電圧(V)

H :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

AD :供試検知器の感光部面積(cm2)

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

図 3 電荷蓄積型検知器の RBB 試験の配置

5.2 分光感度(Rλ)試験 分光感度(以下,Rλという)試験は,5.2.1 と 5.2.2 に示す分散型赤外分

光法または 5.2.3 に示すフーリエ分光法のいずれかの方法で実施する。いずれの方法においても,規

定の波長範囲を含み,供試検知器が感度を有する全波長で行う。また,データには用いた測定方法を

併記するものとする。

5.2.1 電荷非蓄積型検知器の Rλ試験 電荷非蓄積型検知器の Rλ試験は,図 4 のような配置で,次

による。

a) 分光器の前に供試検知器を設置する。

b) 分光器からの赤外光の波長を短波長から順に変化させて供試検知器に入射させ,信号が現れ始め

る短波長側の限界波長を求める。供試検知器の出力電圧測定時,赤外光は,チョッピング(18)し

て検知器に入射させる。

注(18) チョッピング周波数は,供試検知器が応答可能な値とする。

Page 12: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

10

c) 測定波長を次の式によって算出する。

λjλλ Sj ∆×−+= )1(

ここに,λj :短波長側から j 番目の測定波長(μm)

λS :短波長側の限界波長(μm)

:波長測定間隔(μm) λ∆

備考 λ∆ は,通常 0.1~0.2μm 程度の等間隔とする。

d) 各測定波長において,供試検知器の規定された素子の出力電圧を測定する。

e) 長波長側で,信号がなくなる限界波長を求める。

f) 長波長側の限界波長と短波長側の限界波長の差を λ∆ で割り,波長分割数 m を次の式によって算

出する。

λλ−λ

=∆

SLm

ここに,m :波長分割数

λL :長波長側の限界波長(μm)

λS :短波長側の限界波長(μm)

:波長測定間隔(μm) λ∆

g) 波長λjの赤外光に対する熱型検知器(19)の出力電圧を,波長をλSからλLまで ずつ変化させ

て測定する。熱型検知器の出力電圧測定時,赤外光は,チョッピング(20)して検知器に入射させ

る。

λ∆

注(19) 熱型検知器は,測定波長範囲内で感度にウインドウなどの影響による波長依存性のない

ものを使用する。分光器が熱型検知器を内蔵していない場合は,図 4 の供試検知器の位置

に熱型検知器を置いて測定する。

(20) チョッピング周波数は,供試検知器が応答可能な値とする。

h) 供試検知器の波長λjでの相対的分光感度を次の式によって算出する。

また,相対的分光感度の測定例を図 5 に示す。

jTH

jSj V

VS

λ

λλ =

ここに,Sλj :波長λjにおける供試検知器の相対的分光感度

VSλj:波長λjにおける供試検知器の出力電圧(V)

VTHλj:波長λjにおける熱型検知器の出力電圧(21)(V)

注(21) VTHλjは予め得られている熱型検知器校正データまたは計算値を使ってもよい。

Page 13: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

11

供試検知器

増幅器ロックインアンプ

チョッパ参照信号

分光器(モノクロメータ・熱型検知器・

チョッパ内蔵)

熱型検知器信号

供試検知器

増幅器ロックインアンプ

チョッパ参照信号

分光器(モノクロメータ・熱型検知器・

チョッパ内蔵)

熱型検知器信号

図 4 電荷非蓄積型検知器の Rλ試験の配置

図 5 相対的分光感度の測定例

i) 波長λjにおける黒体分光エミッタンス及び黒体エミッタンスを次の式によって算出する。

××λ×

××λ×

×λ

××π×=λ

1Tk

chexp1Tk

chexp

ch2W

CHj

CH

BBj

BB5

j

2

jεε

××λ×

×λ×

×λ×

=

1Tk10438.1exp

1

1T

10438.1exp

11074.3

CHj

4

BBj

45j

4

)TT(W 4CHCH

4BBBB ×−××= εεσ

= )TT(1067.5 4CH

4BB

12 −×× −

ここに,Wλj :波長λjにおける黒体分光エミッタンス(W・cm-2・μm-1)

h :プランク定数(6.626×10-34 J・s)

c :真空中の光速度(2.998×108 m・s-1)

Page 14: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

12

λj :測定波長(μm)

εBB :RBB 試験時の黒体炉の放射率(22)

k :ボルツマン定数(1.38×10-23 J・K-1)

TBB :RBB 試験時の黒体炉の温度(K)

εCH :RBB 試験時のチョッパブレードの放射率(22)

TCH :RBB 試験時のチョッパブレードの温度(K)(23)

W :黒体エミッタンス(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・cm-2・K-4)

(22) 黒体炉及びチョッパブレードの放射率は,1 とする。

(23) チョッパブレード温度は,室温で代用する。

j) 換算係数を次の式によって算出する。

λ×∑ ×

= +

=λλ ∆

1m

1jjj WS

WK

ここに,K :換算係数

W :黒体エミッタンス(W・cm-2)

Sλj :波長λjにおける供試検知器の相対的分光感度

Wλj :波長λjにおける黒体分光エミッタンス(W・cm-2・μm-1)

△λ :波長測定間隔(μm)

k) 5.1.1 によって RBB を求める。

l) 供試検知器の測定波長λjにおける分光感度を次の式によって算出する。

Rλj =Sλj ×K×RBB

ここに,λj :測定波長(μm)

Rλj :波長λjにおける供試検知器の分光感度(V・W-1)

Sλj :波長λjにおける供試検知器の相対的分光感度

K :換算係数

RBB :供試検知器の RBB(V・W-1)(24)

注(24) フォトダイオードの場合には RBB と Rλj の単位は,A・W-1を用いる。

m) 規定された波長λにおける Rλj を分光感度 Rλとする。

5.2.2 電荷蓄積型検知器の Rλ試験 電荷蓄積型検知器の Rλ試験は,図 6 のような配置で,次によ

って行う。

a) 分光器の前に供試検知器を設置する。

b) 分光器からの赤外光の波長を短波長から順に変化させて供試検知器に入射させ,供試検知器の出

力電圧をモニタしたとき,シャッタの開閉によって出力電圧の差が読みとることができる最短の

波長を短波長側の限界波長とする。

c) 測定波長を次の式によって算出する。

λj =λS+(j-1)× ∆λ

Page 15: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

13

ここに,λj :短波長側から j 番目の測定波長(μm)

λS :短波長側の限界波長(μm)

∆λ :波長測定間隔(μm)

備考 ∆λは,通常 0.1~0.2μm 程度の一定値とする。

d) シャッタを開け,分光器からの波長λj の赤外光が検知器に入射した状態で,供試検知器の規定

された素子の出力を増幅後,連続して n 回(25)計算機に読み込み(26),同一検知素子に対する増

幅後の出力の平均値を次の式によって算出する。

n

VV

n

1iji1

j1

∑= =

λ

λ

ここに, j1λV :赤外光入射状態での波長λj における平均出力電圧値(V)

V :赤外光入射状態での波長λjiλ1 j における第 i 番目の出力電圧(V)

n :読込み回数

注(25) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(26) 出力電圧を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホールドし,

A/D 変換して行う。

e) シャッタを閉じ,分光器からの赤外光が検知器に入射しない状態で,供試検知器の出力を増幅後,

連続して n 回(27)計算機に読み込み(28),d)の測定と同一の検知素子に対する増幅後の出力の平

均値を次の式によって算出する。

n

VV

n

1iji2

j2

∑= =

λ

λ

ここに, j2λV :赤外光入射のない状態での波長λj における平均出力電圧値(V)

:赤外光入射のない状態での波長λji2V λ j における第 i 番目の出力電圧(V)

n :読込み回数

注(27) 読込み回数 n は,d)の測定時と同一とする。

(28) 出力電圧を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホールドし,

A/D 変換して行う。

f) 計算機に取り込んだ増幅器の出力から,波長λj における供試検知器の出力電圧を次の式によ

って算出する。

j2j1jS VVV λλλ −=

ここに, :λj における供試検知器の出力電圧(V) jVSλ

j1V λ :赤外光入射状態での波長λj における平均出力電圧値(V)

j2V λ :赤外光入射のない状態での波長λj における平均出力電圧値(V)

g) 波長を増加させて d)から f)の測定を繰り返し,規定された素子の出力電圧がなくなる長波

長側の限界波長を求める。

h) 長波長側の限界波長と短波長側の限界波長の差を ∆λで割り,波長分割数 m を次の式によ

って算出する。

Page 16: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

14

λλ−λ

=∆

SLm

ここに,m :波長分割数

:長波長側の限界波長(μm) λL

:短波長側の限界波長(μm) λS

∆λ :波長測定間隔(μm)

i) 波長λjの赤外光に対する熱型検知器(29)の出力電圧を,波長をλSからλLまで λ∆ ずつ変化

させて測定する。熱型検知器の出力電圧測定時,赤外光は,チョッピング(30)して検知器に

入射させる。

注(29) 熱型検知器は,リファレンスとして使用するため,測定波長範囲内で感度にウインドウ

の影響等による波長依存性のないものを使用する。分光器が熱型検知器を内蔵していな

い場合は,図 6 の供試検知器の位置に熱型検知器を置いて測定する。

(30) チョッピング周波数は,熱型検知器が応答可能な値とする。

j) 供試検知器の波長λjでの相対的分光感度を次の式によって算出する。

また,相対的分光感度の測定例を図 7 に示す。

jTH

jaj V

VS

λ

λλ =

ここに, :波長λj における供試検知器の相対的分光感度 S jλ

:波長λj における供試検知器の出力電圧(V) V jaλ

:波長λj における熱型検知器の出力電圧(V)(31) jVTHλ

注(31) VTHλjは予め得られている熱型検知器校正データまたは計算値を使ってもよい。

図 6 電荷蓄積型検知器の Rλ試験の配置

Page 17: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

15

図 7 相対的分光感度の測定例

k) 波長λjにおける黒体分光エミッタンス及び黒体エミッタンスを次の式によって算出する。

××λ×

××λ×

×λ

××π×=λ

1Tk

chexp1Tk

chexp

ch2

SHj

SH

BBj

BB5

j

2

jεεW

×λ

×−

×λ

××

λ

×=

1T

10438.1exp

1

1T

10438.1exp

11074.3

SHj

4

BBj

45j

4

( )44 TTW ×−××= εεσ SHSHBBBB

( )4SH

4BB

12 TT1067.5 −××= −

ここに, :波長λj における黒体分光エミッタンス(W・cm-2・μm-1) W jλ

:プランク定数(6.626×10h -34 J・s)

:真空中の光速度(2.998×10c 8 m・s-1)

:測定波長(μm) λ j

:RBB 試験時の黒体炉の放射率(32) ε BB

k :ボルツマン定数(1.38×10-23 J・K-1)

:RBB 試験時の黒体炉の温度(K) T BB

:RBB 試験時のシャッタブレードの放射率(32) ε SH

:RBB 試験時のシャッタブレードの温度(K)(33) T BB

:黒体エミッタンス(W・cm-2) W

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・cm-2・K-4)

Page 18: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

16

注(32) 黒体炉及びシャッタブレードの放射率は,1とする。

(33) シャッタブレード温度は,室温で代用する。

l) 換算係数を次の式によって算出する。

∑+

=

∆××= 1

1

m

jjj WS

WKλλλ

ここに, K :換算係数

:黒体エミッタンス(W・cmW -2)

:波長λj における供試検知器の相対的分光感度 S jλ

:波長λj における黒体分光エミッタンス(W・cm-2・μm-1) W jλ

:波長測定間隔(μm) λ∆

m) 5.1.2 によって RBB を求める。

n) 測定波長λj における分光感度を次の式によって算出する。

BBjj RKSR ××= λλ

ここに, :測定波長(μm) λ j

:波長λj における供試検知器の分光感度(V・W-1) R jλ

:波長λj における供試検知器の相対的分光感度 S jλ

K :換算係数

:供試検知器の (V・WBBR BBR -1)

o) 規定された波長λにおける を分光感度 とする。 R Rjλ λ

5.2.3 フーリエ分光法による分光感度試験 フーリエ分光法による分光感度試験の一例を図 8 に示

す。

a) フーリエ赤外分光法による分光感度特性の試験装置は,光源,干渉計,検知器,AD 変換器,お

よびフーリエ変換を実施するための計算機で構成される。検知器は干渉計からの干渉光に正対し

て設置する。干渉計には,ファブリペロー干渉計,マイケルソン干渉計,ジャマン干渉計,マッ

ハツェンダー干渉計などがあるが,一般的にマイケルソン干渉計が多く用いられ,市販品として

も入手可能である。よって,ここではマイケルソン干渉計を用いた試験装置を示す。光源からの

赤外光はコリメータを経て平行光となり,半透鏡に導かれる。その後,反射光と透過光の 2 つの

光束に分かれ,一方は固定鏡で,他方は移動鏡でそれぞれ折り返し,半透鏡で合成される。この

干渉光が集光系を介して,検知器に入射される。

Page 19: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

17

集光系

コリメータ

固定鏡

干渉光

(入射光)

計算機 AD変換器

移動鏡

半透鏡

検知器

光源

マイケルソン干渉計

図 8 フーリエ分光法による分光感度特性試験装置

備考 干渉光を検知器の全受光領域に入射させることができない場合には,入射可能な領域,ま

たは入射可能な画素について本試験を実施する。

b) マイケルソン干渉計の移動鏡を動かしながら検知器の出力をモニタする。この時,干渉光は移動

鏡の移動距離により強度が変化する図 9 に示すような干渉曲線(一般にインターフェログラムと

呼ぶ)となる。

検知器出力 F(X)

-0.5

c) ここで検知器の出力は次の下式で

∫∞

∞−

= cos )B( )( νXF (2    

ここに,F(X):検知器の出

B(ν):検知器の相

X :光路差(μ

光路差(異動境の変位)X

9 入射光の干渉曲線の例

表される。

∫∞

=0

)X2cos()(B2X νπνννπν dd   )

対分光特性

m)

Page 20: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

18

ν:波数(μm-1)

注 式は簡単のため直流成分を省略して表記した。

ここで F(X)は,上の式に示す様に B(ν)のフーリエ余弦変換になっており,計算機を用いて

F(X)をフーリエ変換することにより,波数の関数としての相対的分光特性 B(ν)を求める。

∫∫∞∞

==0

)X2cos()X(F2Xcos F(X) )( dXdXB   )(2   -

πνπνν

d) νの逆数を取って波長λj とし,このときの B(λ-1)を相対的分光感度Sλjとして,図 10 に示す

様にプロットする。

相対分光感度Sλj

波長(μm)

図 10 分光特性

備考 本試験を実施する場合には,光源の分光特性を校正するための処理を含む分光感度特性

試験装置を用いること。なお,本項のフーリエ分光法の基本原理と装置の詳細について

は,以下の文献等を参照のこと。

参考文献:応用分光学ハンドブック 吉永 弘 編 朝倉書店

2.2.1 二光束干渉分光法 413 ページ(初版掲載ページ)

5.3.2 干渉分光装置 652 ページ(同)

e) 以下, 5.2.1 i)~ m)を準用し,分光感度 Rλを求める。

5.3 感度の均一性試験 感度の均一性試験は,RBB の均一性を求めるもので,次による。

5.3.1 電荷非蓄積型検知器の感度の均一性試験 電荷非蓄積型検知器の感度の均一性試験は,次に

よる。

a) 5.1.1 によって,規定された検知素子の RBB を求める,

b) 検知素子の RBB の平均値と標準偏差を次の式によって算出する。

n

)i(Rn

1iBB

BB

∑= =R

∑ −×−

==

n

1i

2BBBBR )R)i(R(

1n1

σ

ここに, :黒体感度の平均値(V・W-1)(34) R BB

:i 番目の素子の黒体感度(V・W-1)(34) R )i(BB

n :感度の均一性試験の対象となる素子数

:黒体感度の標準偏差(V・W-1)(34) σR

Page 21: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

19

備考 規定された性能を満たさない検知素子は,欠陥素子として b)の計算から除く。

注(34) フォトダイオードの場合,RBB,σR の単位は,A・W-1を用いる。

c) 感度の均一性を示す値 UR を次の式によって算出する。

100R

UBB

RR ×=

σ

ここに, :感度の均一性(%) UR

:黒体感度の標準偏差(V・W-1)(35) σR

:黒体感度の平均値(V・W-1)(35) R BB

注(35) フォトダイオードの場合,RBB,σR の単位は,A・W-1を用いる。

5.3.2 電荷蓄積型検知器の感度の均一性試験 電荷蓄積型検知器の感度の均一性試験は,5.13 を行

った後,次による。

a) 5.1.2 によって,規定された素子の RBB を求める。

b) 素子の RBB の平均値と標準偏差を次の式によって算出する。

n

)i(RR

n

1iBB

BB

∑= =

∑ −×−

==

n

1i

2BBBBR )R)i(R(

1n1

σ

ここに, :黒体感度の平均値(V・W-1) R BB

:i 番目の素子の黒体感度(V・W-1) R )i(BB

:感度の均一性試験の対象となる素子数 n

:黒体感度の標準偏差(V・W-1) σR

備考 5.13 の素子欠陥試験で欠陥素子と認定された素子は b)の計算から除く。

c) 感度の均一性を示す値を次の式によって算出する。

100R

UBB

RR ×=

σ

ここに,UR :感度の均一性(%)

:黒体感度の標準偏差(V・W-1) σR

:黒体感度の平均値(V・W-1) R BB

5.4 黒体雑音等価パワー(NEPBB)試験 黒体雑音等価パワー(以下,NEPBB という。)試験は,規定

された黒体温度について行う。

5.4.1 電荷非蓄積型検知器の NEPBB試験 電荷非蓄積型検知器の NEPBB 試験は,図 11 のような配置

で,次による。

a) 黒体炉の開口部の前に開口部よりも小さい,直径のわかった円形開口マスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間にチョッパを置く。

なお,円形開口マスクは,チョッパを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

Page 22: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

20

スク及びチョッパは,温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びチョッパは,NEPBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を

0.95 以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスクの

前方に供試検知器を置く。円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25 倍以上

とする。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものは置いてはな

らない。

d) チョッピング周波数は,規定された値とする。

e) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外実効パワー密度を次の式によって算出する。

2AD

24CHCH

4BBBB

0rms L1

4d)TT(kH ×

×π×

π×−××

×=εεσ

2AD

24CH

4BB0

12

Ld)TT(k1042.1 ×−××× −

=

ここに, :検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2) Hrms

:実効値換算係数(36) k0

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・cm-2・K-4)

:黒体炉の放射率(37) εBB

:黒体炉の温度(K) TBB

:チョッパブレードの放射率(37) εCH

:チョッパブレードの温度 (K)(38) TCH

d :円形開口マスク開口部直径(cm)

:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm) LAD

注(36) k0は,実効値換算係数で,5.1.1 の注(1)を参照のこと。

(37) 黒体炉及びチョッパブレードの放射率は,1とする。

(38) チョッパブレードの温度は,室温で代用する。

f) チョッピング周波数での供試検知器の出力実効信号電圧と,チョッパの回転を止めて円形開口マ

スク開口部を遮蔽したときに得られる供試検知器の出力実効雑音電圧(39)を測定する。

なお,実効信号電圧及び実効雑音電圧は,実効値計などを用いて測定する。

注(39) 実効雑音電圧は,規定された周波数帯域で測定すること。

g) NEPBB を次の式によって算出する。

NS

AHNEP DrmsBB

×=

ここに, :黒体雑音等価パワー(W) NEPBB

:検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2) Hrms

:供試検知器の感光部面積(cm2) AD

Page 23: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

21

S :規定周波数での実効信号電圧(V)

:実効雑音電圧(V) N

図 11 電荷非蓄積型検知器の黒体雑音等価パワー(NEPBB)試験の配置

5.4.2 電荷蓄積型検知器の NEPBB試験 電荷蓄積型検知器の NEPBB 試験は,以下のいずれかによって

行う。

5.4.2.1 黒体炉による方法 黒体炉による NEPBBの試験方法は,図 12 のような配置で,次による。

a) 黒体炉の開口部の前に開口部よりも小さい,直径のわかった円形開口マスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間にシャッタを置く。

なお,円形開口マスクは,シャッタを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

スク及びシャッタは,温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びシャッタは,NEPBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を

0.95 以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスクの

前方に供試検知器を置く。円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25 倍以上と

する。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものは置いてはな

らない。

d) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外パワー密度を次の式によって算出する。

2AD

24SHSH

4BBBB

L1

4d)TT(H ×

×π×

π×−××

=εεσ

2AD

24SH

4BB

12

Ld)TT(1042.1 ×−××

=−

ここに, H :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・cm-2・K-4)

Page 24: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

22

εBB :黒体炉の放射率(40)

TBB :黒体炉の温度(K)

εSH :シャッタブレードの放射率(40)

TSH :シャッタブレードの温度(K)( 41)

d :円形開口マスク開口部の直径(cm)

LAD :円形開口マスクと検知素子の距離(cm)

注(40) 黒体炉及びシャッタブレードの放射率は,1とする。

(41) シャッタブレードの温度は,室温で代用する。

e) シャッタを開け,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射した状態で,供試検知器の規定された

素子の出力を,連続して n 回(42)計算機に読み込み(43),同一検知素子に対する出力電圧の平均

値を次の式によって算出する。

n

VV

n

1ii1

1

∑= =

ここに, :黒体炉からの赤外光の入射状態での平均出力電圧値(V) V1

V1i :黒体炉からの赤外光の入射状態での第 i 番目の出力電圧(V)

n :読込み回数

注(42) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(43) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプル

ホールドし,A/D 変換して行う。

f) シャッタを閉じ,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射しない状態で,供試検知器の規定され

た素子の出力を,連続して n 回(44)計算機に読み込み(43),e)の測定と同一の検知素子に対する

出力電圧の平均値と実効雑音電圧を次の式によって算出する。

n

VV

n

1ii2

2

∑= =

2n

1i2i2 )VV(

1n1N ∑ −×−

==

ここに, :黒体炉からの赤外光の入射しない状態での平均出力電圧値(V) V2

V2i :黒体炉からの赤外光の入射しない状態での第 i 番目の出力電圧(V)

n :読込み回数

:実効雑音電圧(V) N

注(44) 読込み回数 n は,e)と f)の測定で同一とする。

備考 実効雑音電圧を測定するときは,規定された蓄積時間で試験を行う。

g) NEPBB を次の式によって算出する。

N)VV(

AHNEP21

DBB −

×=

Page 25: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

23

ここに, :黒体雑音等価パワー(W) BBNEP

H :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:供試検知器の感光部面積(cm2) AD

1V :黒体炉からの赤外光の入射状態での平均出力電圧値(V)

2V :黒体炉からの赤外光の入射しない状態での平均出力電圧値(V)

:実効雑音電圧(V) N

図 12 電荷蓄積型検知器の黒体雑音等価パワー(NEPBB)試験の配置

5.4.2.2 基準熱源による方法 検知器内に視野を制限する円形絞りのついた電荷蓄積型検知器の

NEPBB 試験は,基準熱源を用いて図 13 のような配置で,次による。

a) 基準熱源の放射面が供試検知器の視野内を全て覆うように,供試検知器直前に基準熱源を置く。

なお放射面は,NEPBB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95 以上に保つ。また測定

系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはならない。

b) 基準熱源から供試検知器に入射する赤外パワー密度を次の式によって算出する。

14

1)( 24

24

1

+

×

××−××=

CS

CSd

LTTH εεσ

ここに,H :検知素子面での基準熱源からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12W・cm-2・K-4)

ε :放射面の放射率(45)

T1 :c)の試験時の基準熱源の温度 (K)

T2 :d)の試験時の基準熱源の温度 (K)

Lcs :検知器の視野絞りの高さと検知器の間の距離(cm)

dcs :検知器の視野絞りの径(cm)

注(45) 放射面の放射率は,1とする。

備考 上記の赤外パワー密度は,円形の視野絞り中心軸上に検知素子がある場合の計算式である。

Page 26: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

24

中心軸上以外に検知素子のある場合にも上記の式で代用するが,精度について留意すること。

c) 基準熱源の温度を,規定の温度(T1)にし,供試検知器の規定された素子の出力を増幅(46)後,連

続して n 回(47)計算機に読み込み(48),同一検知素子に対する増幅器の出力電圧の平均値を次の

式によって算出する。

n

VV

li

n

li1

∑= =

ここに, :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V1

:温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) iV1

:読込み回数 n

注(46) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(47) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(48) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホ

ールドし,A/D 変換して行う。

d) 基準熱源の温度を,T1より温度の低い規定の温度(T2)に変更し,供試検知器の規定された素子の

出力を増幅(49)後,連続して n 回(50)計算機に読み込み(51),c)の測定と同一の検知素子に対する

出力電圧の平均値と実効雑音電圧を次の式によって算出する。

n

VV

n

1ii2

2

∑= =

2n

1i2i2 )VV(

1n1

∑ −×−

==

N

ここに, :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V2

:温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) V i2

:読込み回数 n

:実効雑音電圧(V) N

注(49) c)の測定と同一の増幅器を使用する。

(50) 読込み回数 n は c)の測定時と同一とする。

(51) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホ

ールドし,A/D 変換して行う。

備考 実効雑音電圧を測定するときは,規定された蓄積時間で試験を行う。

e) NEPBB を次の式によって算出する。

N)VV(

AHNEP21

DBB −

×=

ここに, :黒体雑音等価パワー(W) BBNEP

H :検知素子面での基準熱源からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:供試検知器の感光部面積(cm2) DA

Page 27: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

25

1V :基準熱源からの赤外光の入射状態での平均出力電圧値(V)

2V :基準熱源からの赤外光の入射しない状態での平均出力電圧値(V)

:実効雑音電圧(V) N

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

図 13 電荷蓄積型検知器の黒体雑音等価パワー(NEPBB)試験の配置

5.5 分光雑音等価パワー(NEPλ)試験 分光雑音等価パワー(以下,NEPλという。)試験は,5.1,

5.2 及び 5.4 によってそれぞれ RBB,Rλ及び NEPBB を求め,次の式によって算出する。

λ

λ ×=RRNEPNEP BB

BB

ここに,NEPλ :分光雑音等価パワー(W)

NEPBB :黒体雑音等価パワー(W)

RBB :黒体感度(V・W-1又は A・W-1)

Rλ :分光感度(V・W-1又は A・W-1)

5.6 黒体比検出能(D*BB)試験 黒体比検出能(以下,D*

BB という。)試験は,規定された黒体温度

について行う。

5.6.1 電荷非蓄積型検知器の D*BB試験 電荷非蓄積型検知器の D*

BB 試験は,図 14 のような配置で

次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい,直径の分かった円形開口マスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間に,チョッパを置く。

なお,円形開口マスクは,チョッパを隠せるだけの十分な大きさを持つものとし,円形開口マ

Page 28: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

26

スク及びチョッパは温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びチョッパは,D*BB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を

0.95 以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が,供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスク

の前方に供試検知器を置く。

なお,円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25 倍以上とする。

備考 測定系は,赤外光が反射しないよう壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはなら

ない。

d) チョッピング周波数は,規定された値とする。

e) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外実効パワー密度を次の式によって算出する。

2AD

24CHCH

4BBBB

0rms L1

4d)TT(kH ×

×π×

π×−××

×=εεσ

2AD

24CH

4BB0

12

Ld)TT(k1042.1 ×−×××

=−

ここに,Hrms :検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・㎝-2)

k0 :実効値換算係数(52)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・㎝-2・K-4)

εBB :黒体炉の放射率(53)

TBB :黒体炉の温度(K)

εCH :チョッパブレードの放射率(53)

TCH :チョッパブレードの温度(K)(54)

d :円形開口マスクの直径(cm)

:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm) LAD

注(52) k0は,実効値換算係数で,5.1.1 の注(1)を参照のこと。

(53) 黒炉体及びチョッパブレードの放射率は,1とする。

(54) チョッパブレードの温度は,室温で代用する。

f) 供試検知器の出力信号を増幅して測定する。増幅後のチョッピング周波数の基本波に対する実効

信号電圧及び実効雑音電圧を測定し,D*BB を次の式によって算出する。

なお,実効信号電圧及び実効雑音電圧は,スペクトラムアナライザなどを用いて測定する。た

だし,実効雑音電圧は規定された雑音測定バンド幅で測定するものとする。

drms

s

BB

AH

fN

V

∆×

=*

ここに, D :黒体比検出能(cm・BB* ・Hz W-1)

:実効信号電圧(V) V s

:実効雑音電圧(V) N

Page 29: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

27

:雑音測定バンド幅(Hz) ∆ f

:検知素子面での黒体炉からの赤外実効入射パワー密度(W・cm-2) Hrms

Ad :供試検知器の感光部面積(cm2)

図 14 電荷非蓄積型検知器の D*BB試験の配置

5.6.2 電荷蓄積型検知器の D*BB試験 電荷蓄積型検知器の D*

BB試験は,以下のいずれかによって行

う。

5.6.2.1 黒体炉による方法 黒体炉による D*BBの試験方法は,図 15 のような配置で,次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい,直径のわかった円形開口マスクを設置する。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間に,シャッタを置く。

なお,円形開口マスクは,シャッタを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

スク及びシャッタは,温度が上昇しないよう黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びシャッタは,D*BB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を

0.95 以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が,供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスク

の前方に供試検知器を置く。

なお,円形開口マスクと供試検知器の距離は,円形開口部直径の 25 倍以上とする。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものは置いては

ならない。

d) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外パワー密度を,次の式によって算出する。

AD

24CHCH

4BBBB

L1

4d)TT(H ×

×π×

π×−××

=εεσ

2AD

24CH

4BB

12

Ld)TT(1042.1 ×−××

=−

Page 30: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

28

ここに, H :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・㎝-2・K-4)

:黒体炉の放射率(55) εBB

:黒体炉の温度(K) TBB

:シャッタブレードの放射率(55) εCH

:シャッタブレードの温度(K)(56) TCH

d :円形開口マスクの直径(cm)

:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm) LAD

注(55) 黒炉体及びシャッタブレードの放射率は,1とする。

(56) シャッタブレードの温度は,室温で代用する。

e) シャッタを開け,黒体炉からの赤外光が,供試検知器に入射した状態で,供試検知器からの出力

を増幅し,連続して n 回(57)計算機に読み込み(58),同一検知素子に対する増幅器の出力の平均

値を,次の式によって算出する。

n

VV

n

1ii1

1

∑= =

ここに, 1V :赤外光の入射状態での平均出力電圧値(V)

:赤外光の入射状態での i 番目の出力電圧(V) V i1

:読込み回数 n

注(57) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(58) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプル

ホールドし,A/D 変換して行う。

f) 黒体炉からの赤外光が,検知器に入射しないようにシャッタを閉めた状態で供試検知器からの出

力を増幅後,連続して n 回(59)計算機に読み込み,e)と同一の検知素子に対する増幅器の出力の

平均値を次の式によって算出する。

n

Vn

1ii2

2

∑= =V

ここに, 2V :赤外光の入射しない状態での平均出力電圧値(V)

:赤外光の入射しない状態での i 番目の出力電圧(V) V i2

:読込み回数 n

また,その標準偏差から実効雑音電圧 N を求める。

2n

1i2i2 )VV(

1n1N ∑ −×−

==

注(59) 読込み回数 n は e)と f)の測定で同一とする。

g) 計算機に読み込んだ増幅器の出力から,D*BB を,次の式によって算出する。

Page 31: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

29

d

21

BBAH

fN

VV

∆×−

=*

ここに, D :黒体比検出能(cm・BB* ・Hz W-1)

1V :赤外光の入射状態での平均出力電圧値(V)

2V :赤外光の入射しない状態での平均出力電圧値(V)

:実効雑音電圧(V) N

:雑音測定バンド幅(Hz) ∆ f

ct2

1f×

=∆

:1フレームに於ける電荷蓄積時間(sec) t c

:検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cmH -2)

Ad :供試検知器の感光部面積(cm2)

図 15 電荷蓄積型検知器の D*BB 試験の配置

5.6.2.2 基準熱源による方法 検知器内に視野を制限する円形絞りのついた電荷蓄積型検知器の D*

BB 試験は,基準熱源を用いて図 16 のような配置で,次による。

a) 基準熱源の放射面が供試検知器の視野内を全て覆うように,供試検知器直前に基準熱源を置く。

なお放射面は,D*BB 測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95 以上に保つ。また測定

系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはならない。

b) 基準熱源から供試検知器に入射する赤外パワー密度を次の式によって算出する。

14

1)( 24

24

1

+

×

××−××=

CS

CSd

LTTH εεσ

ここに,H :検知素子面での基準熱源からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

σ :ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12W・cm-2・K-4)

Page 32: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

30

ε :放射面の放射率(60)

T1 :c)の試験時の基準熱源の温度 (K)

T2 :d)の試験時の基準熱源の温度 (K)

Lcs :検知器の視野絞りと検知器の間の距離(cm)

dcs :検知器の視野絞りの径(cm)

注(60) 放射面の放射率は,1とする。

備考 上記の赤外線パワー密度は円形の視野絞り中心軸上に検知素子がある場合の計算式であ

る。中心軸上以外に検知素子のある場合にも上記の式で代用するが,精度について留意

すること。

c) 基準熱源の温度を,規定の温度(T1)にし,供試検知器の規定された素子の出力を増幅(61)後,連

続して n 回(62)計算機に読み込み(63),同一検知素子に対する増幅器の出力電圧の平均値を次の

式によって算出する。

n

VV

li

n

li1

∑= =

ここに, :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V1

:温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) iV1

n :読込み回数

注(61) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(62) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(63) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプル

ホールドし,A/D 変換して行う。

d) 基準熱源の温度を,T1より温度の低い規定の温度(T2)に変更し,供試検知器の規定された素子の

出力を増幅(64)後,連続して n 回(65)計算機に読み込み(66),c)の測定と同一の検知素子に対する

出力電圧の平均値と実効雑音電圧を次の式によって算出する。

n

VV

n

1ii2

2

∑= =

2n

1i2i2 )VV(

1n1

∑ −×−

==

N

ここに, :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V) V2

:温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V) V i2

:読込み回数 n

:実効雑音電圧(V) N

注(64) c)の測定と同一の増幅器を使用する。

(65) 読込み回数 n は c)の測定時と同一とする。

(66) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサ

ンプルホールドし,A/D 変換して行う。

Page 33: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

31

備考 実効雑音電圧を測定するときは,規定された蓄積時間で試験を行う。

e) 計算機に読み込んだ増幅器の出力から,D*BB を,次の式によって算出する。

d

21

BBAH

fN

VV

∆×−

=*

ここに, D :黒体比検出能(cm・BB* ・Hz W-1)

1V :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

2V :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

:実効雑音電圧(V)

:雑音測定バンド幅(Hz)

N

f∆

ct21f×

=∆

:1フレームに於ける電荷蓄積時間(sec)

:検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:供試検知器の感光部面積(cm2)

図 16 電荷蓄積型検知器の D*BB 試験の配置

5.7 分光比検出能(D*λ)試験 分光比検出能(以下,D*

λという。)試験は,規定された波長範囲に

ついて行う。

5.7.1 電荷非蓄積型検知器の D*λ試験 電荷非蓄積型検知器の D*試験は,5.2.1 及び 5.6.1 によ

ってそれぞれ相対的分光感度,換算係数及び黒体比検出能を求め,次の式によって算出する。

ct

H

DA

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

BB*

jj* DKSD ××= λλ

Page 34: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

32

ここに, :波長λjにおける供試検知器の分光比検出能(cm・ j*D λ Hz ・W-1)

:波長λjにおける供試検知器の相対的分光感度

jSλ

K :換算係数(67)

:黒体比検出能(cm・BB*D Hz ・W-1)

注(67) 換算係数 K 値は,5.2.1 の j)で算出した値とする。

5.7.2 電荷蓄積型検知器の D*λ試験 電荷蓄積型検知器の D*

λ試験は,5.2.2 及び 5.6.2 によって

それぞれ相対的分光感度,換算係数及び黒体比検出能を求め,次の式によって算出する。

ここに, :波長λjにおける供試検知器の分光比検出能(cm・

BB*

jj* DKSD ××= λλ

Hz j*D λ ・W-1)

:波長λjにおける供試検知器の相対的分光感度

jSλ

K :換算係数(68)

:黒体比検出能(cm・BB*D Hz ・W-1)

注(68) 換算係数 K 値は,5.2.2 の l)で算出した値とする。

5.8 入出力特性試験 入出力特性試験は,電荷蓄積型検知器に適用し,規定された電荷蓄積時間に

ついて,図 17 のような配置で次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい,直径の分かった円形開口のマスクを置く。

備考 円形開口マスク開口部の直径は,5 ㎜を標準とする。

b) 黒体炉の開口部と円形開口マスク間にシャッタを置く。

なお,円形開口マスクは,シャッタを隠せるだけの十分な大きさをもつものとし,円形開口マ

スク及びシャッタは,温度が上昇しないように黒体炉から離す。

備考 円形開口マスク及びシャッタは,入出力特性測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率

を 0.95 以上に保つ。

c) 黒体炉の開口部からの赤外光が供試検知器の感光部に垂直に入射するように,円形開口マスクの

前方に供試検知器を置く。

備考 測定系は,赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはな

らない。

d) 黒体炉から供試検知器に入射する赤外入射パワー密度を次の式によって算出する。

2AD

24SHSH

4BBBB

L1

4d)TT(H ×

×π×

π×−××

=εεσ

2AD

24SH

4BB

12

Ld)TT(1042.1 ×−××

=−

ここに, :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-12 W・㎝-2・K-4)

:黒体炉の放射率(70)

H

σ

BBε

Page 35: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

33

:黒体温度(K)

:シャッタブレードの放射率(69)

TSH :シャッタブレードの温度(K)(70)

:円形開口マスク開口部の直径(cm)

:円形開口マスクと検知素子間の距離(cm)

注(69) 黒炉体及びシャッタブレードの放射率は,1とする。

(70) シャッタブレードの温度は,室温で代用する。

e) 黒体炉から供試検知器の感光部に入射する赤外入射パワーを次の式によって算出する。

P=H×AD

ここに, :検知素子の感光部に入射する赤外パワー(W)

:検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:検知素子の感光部面積(cm2)

f) シャッタを開け,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射した状態で,供試検知器の規定された

素子の出力を増幅(71)後,連続して n 回(72)計算機に読み込み(73),同一検知素子に対する増幅器

の出力電圧の平均値を次の式によって算出する。

BBT

SHε

d

ADL

P

H

DA

n

VV

n

1ii1

1

∑= =

ここに, 1V :信号赤外光の入射状態での増幅後の平均出力電圧値(V)

:信号赤外光の入射状態での増幅後の i 番目の出力電圧(V)

:読込み回数

注(71) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(72) 読込み回数は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(73) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプル

ホールドし,A/D 変換して行う。

g) シャッタを閉じ,黒体炉からの赤外光が供試検知器に入射しない状態で,供試検知器の規定され

た素子の出力を増幅(74)後,連続して n 回(75)計算機に読み込み(76),f)と同一の検知素子に対す

る増幅器の出力電圧の平均値と標準偏差を次の式によって算出する。

i1V

n

n

VV

n

1ii2

2

∑= =

2n

1i2i2N )VV(

1n1V ∑ −×−

==

ここに, 2V :信号赤外光の入射しない状態での増幅後の平均出力電圧値(V)

:信号赤外光の入射しない状態での増幅後の i 番目の出力電圧(V)

:読込み回数

:信号赤外光の入射しない状態での増幅後の出力電圧の標準偏差(V)

i2V

n

NV

Page 36: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

34

注(74) f)の測定と同一の増幅器を使用する。

(75) 読込み回数は,f)の測定と同一とする。

(76) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプル

ホールドし,A/D 変換して行う。

図 17 入出力持性試験の配置

h) 計算機に読み込んだ増幅器の出力電圧の平均値と標準偏差から,供試検知器の信号電圧と実効

雑音電圧を次の式によって算出する。

G

VVS 21 −=

GVN N=

ここに, :供試検知器の出力電圧(V)

S

1V :信号赤外光の入射状態での増幅後の平均出力電圧値(V)

2V :信号赤外光の入射しない状態での増幅後の平均出力電圧値(V)

:供試検知器の実効雑音電圧(V)

:信号赤外光の入射しない状態での増幅後の出力電圧の標準偏差(V)

:増幅器の電圧増幅率

i) 黒体炉の温度を変えずに黒体炉からの赤外入射パワーを変えて,d)~h)の測定を行い(77),黒体

炉からの赤外入射パワーに対する供試検知器の出力電圧を両対数グラフ上にプロットする。得ら

れた入出力特性の一例を図 18 に示す。図 18 において,Ssat は,飽和出力電圧であり,入射パワー

が増加しても供試検知器の出力電圧が増加しなくなった時の出力電圧を表している。Psat は,飽和

入射パワーであり,入射パワーに対して供試検知器の出力電圧が比例すると仮定して求めた供試

検知器から飽和出力電圧を出力させるために必要な入射パワーである。

N

NV

G

Page 37: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

35

注(77) g)のシャッタを閉じた状態での測定は,原理的には一度行うだけでよいが,測定中のド

リフト等による測定誤差を減らすため, 2V については, 1V を測定するごとに再測定する

ことが望ましい。

備考 1. 黒体炉からの赤外入射パワーを変化させる方法は,次の a)から d)のうちのいずれかの

方法による。ただし,試験の途中で黒体炉の温度を変えると赤外光の波長特性が変化し,

赤外入射パワーが同じでも供試検知器の出力電圧が異なってくるため測定の途中で温

度を変えてはならない。

a) 円形開口マスクの開口部の直径を変える。可変範囲は,1~10 ㎜程度とする。

b) 供試検知器と円形開口マスクとの距離を変える。可変範囲は 10~lOO ㎝程度とする。

c) ND フィルタ(neutra1 density filter)を使用する。

d) a)~c)の方法を併用する。

2. 備考 1.の方法で赤外入射パワーが最大になる条件にしても,赤外入射パワーが不足

して飽和入射パワーの値が求められない場合には,次のいずれかの方法,あるいは組

合わせによって入射パワーを増加させて測定を行う。

a) 黒体炉の温度を上げて試験を行う。温度を変えた場合,試験を d)からやり直す。

b) 集光光学系と ND フィルタを使用して以下の方法で入射パワーを増加させて測定す

る。

1) 測定できる範囲で入出力特性を測定する。このときの最大赤外入射パワーを Pm,

最大出力電圧を Sm とする。

2) 黒体炉の開口部と供試検知器の間に集光光学系と ND フィルタを置き,赤外入射

パワーを増加させて入射パワーの飽和が起こるようにする。

3) ND フィルタによって,赤外入射パワーを減少させて,出力電圧が Sm となる条件

を探す。この後,試験装置の配置を変化させずに ND フィルタによって,赤外入

射パワーを増加させて 5.8 の d)から h)の測定を行い,このときの赤外入射パワ

ーと出力電圧を両対数グラフ上にプロットを続ける。ただし,入射パワーSm 以

上の赤外入射パワーは,次の式によって算出する。

mm

PTTP ×=

ここに,P :赤外入射パワー(W)

T :ND フィルタの透過率

Tm :出力電圧が Sm のときの ND フィルタの透過率

Pm :集光光学系のない場合の最大赤外入射パワー(W)

3. 入射パワーを変化させる範囲が規定されていない場合,次による。

a) 最小パワーは,5.4.2 の黒体雑音等価パワー試験で求めた NEPBB とする。

b) 最大パワーは,入射パワーの増加に対して供試検知器の出力電圧が飽和するまでと

する。

Page 38: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

36

P:黒体炉からの入射パワー(W)

S:検知器からの出力(V)

図 18 入出力特性の例

4. 熱型検知器等の,常温付近で動作させる検知器の場合は,検知器の動作温度または動

作温度範囲を測定結果に併記すること。

5.9 ダイナミックレンジ試験 ダイナミックレンジ試験は,電荷蓄積型検知器に適用し,規定され

た電荷蓄積時間と黒体温度について,5.8 を行った後,次の式によって算出する。ただし,熱型検知

器等の,常温付近で動作させる検知器の場合は,検知器の動作温度または動作温度範囲を測定結果に

併記すること。

N

Slog20DR sat10×=

ここに,DR :ダイナミックレンジ(dB)

Ssat :供試検知器の飽和出力電圧(V)

N :供試検知器の実効雑音出力(V)

5.10 クロストーク試験 クロストーク試験は供試検知器の規定された検知素子間について,次によ

って行う。

5.10.1 電荷非蓄積型検知器のクロストーク試験 電荷非蓄積型検知器のクロストーク試験は,図

19 のような配置で次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部より小さい直径の円形開口マスクを設置する。次に黒体炉の開口

部と円形開口マスク間に,チョッパを置く。

b) 円形開口マスクを,集光光学系(78)を用いて供試検知器上に結像させる。黒体炉からの入射強度

は,供試検知器出力を飽和させない程度で,できるだけ大きく設定する。供試検知器上の円形開

口マスク像の大きさは,感光素子寸法に比べて無視できるように円形開口マスク寸法及び検知器

との距離を設定する。

Page 39: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

37

注(78) 集光光学系には,光学系によるゴースト,散乱が少ないものを用い,集光性能が良いも

のでなければならない。

c) 供試検知器の位置をステージで調節して,円形開口マスク像を,規定された検知素子に合わせる。

d) 規定された検知素子の出力信号を増幅する。増幅後のチョッピング周波数の基本波の実効信号電

圧 Vo を測定する。

e) 次に,規定されたもう一方の検知素子について,c)と同様にチョッピング周波数の基本波の実効

信号電圧を測定して V1 とする。

f) クロストーク量を次の式によって算出する。

0

110 V

Vlog20C ×=

ここに,C:クロストーク量(dB)

V1:円形開口マスクを結像させていない検知素子の実効信号電圧(V)

V0:円形開口マスクを結像させた検知素子の実効信号電圧(V)

図 19 電荷非蓄積型検知器のクロストーク試験の配置

5.10.2 電荷蓄積型検知器のクロストーク試験 電荷蓄積型検知器のクロストーク試験は,図 20 の

ような配置で次による。

a) 黒体炉の開口部の前に,開口部よりも小さい直径の円形開口マスクを設置する。

b) 円形開口マスク像を,集光光学系(79)を用いて供試検知器上に結像させる。黒体炉からの入射強

度は,供試検知器出力を飽和させない程度で,できるだけ大きく設定する。供試検知器上の円形

開口マスク像の大きさは,検知素子寸法に比べて無視できるように開口マスクの開口寸法及び検

知器との距離を設定する。開口マスクの前にはシャッタを置く。

注(79) 集光光学系には,光学系によるゴースト,散乱が少ないものを用い,集光性能が良いも

のでなければならない。

c) 供試検知器の位置を調節して,円形開口マスク像を,規定された検知素子に合わせる。

d) 供試検知器からの出力を増幅後,連続して n 回(80)計算機に読み込み,規定された検知素子の出

力の平均値 V0 を求める。

注(80) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

Page 40: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

38

e) シャッタを閉じた状態で d)の測定を行い,その出力の平均値 V1 を求める。

f) 次に,円形開口マスク像の位置はそのままにして,規定されたもう一方の検知素子について,d)

と同様にして出力の平均値 V2 を求める。

g) シャッタを閉じた状態で f)の測定を行い,その出力の平均値 V0 を求める。

h) クロストーク量を次の式によって算出する。

10

3210 VV

VVlog20C−−

×=

ここに,C :クロストーク量(dB)

V2 :円形開口マスクを結像させていない検知素子の平均出力電圧(V)

V3:円形開口マスクを結像させていない検知素子のシャッタを閉じた

時の平均出力電圧(V)

V0 :円形開口マスクを結像させた検知素子の平均出力電圧(V)

V1:円形開口マスクを結像させた検知索子のシャッタを閉じた時の平

均出力電圧(V)

図 20 電荷蓄積型検知器のクロストーク試験

5.11 クールダウンタイム試験 クールダウンタイム試験は,次によって行う。冷却動作開始から,

冷却完了までの時間を測定し,その値をクールダウンタイムとする。

なお,冷却動作開始とは,ジュールトムソン冷却器の場合には,ボンベのガス供給用開閉バルブを

全開した時,循環式冷却器又は電子冷却器の場合は,電源を入れた時など,冷却器の動作を開始した

時とする。

また,冷却完了の確認は,検知器内蔵の温度センサをモニタし,規定された値になった時か,又は

5.1 を行い RBB が規定された値になった時とする。

5.12 ブルーミング試験 ブルーミング試験は,電荷蓄積型検知器に適用し,規定された波長範囲,

入射パワー密度及び像の大きさについて図 21 のような配置で,次によって行う。

a) 黒体炉,方形開口マスク,規定された波長範囲のバンドパスフィルタ(81),集光光学系及び水平,

Page 41: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

39

垂直方向 3 軸に微動するステージに載せた供試検知器を光軸上に配置する。

注(81) 特に波長範囲が規定されてない場合は除く。

b) 方形開口マスクの方形開口の大きさは,集光光学系による像が供試検知器上の規定された大きさ

となるようにする。

c) 供試検知器の出力信号を観測しながらステージを3軸方向に微動させ,方形開口像を供試検知器

に結像させる(82)。このとき,結像された素子領域を確認しておく。

注(82) このとき,ND フィルタを使用するか,又は黒体炉温度を低くし,ブルーミングが生じな

いようにする。また,結像させる領域は特に規定されていない場合は供試検知器の中央

部分とする。

d) 黒体炉の温度を調整して供試検知器への入射パワー密度を規定された値に設定する。ここで,供

試検知器への入射パワー密度を規定された値とするための黒体炉温度は,供試検知器の位置にパ

ワーメータを置いであらかじめ測定しておくか,又は計算によって求める。

備考 入射パワー密度と黒体炉温度との関係式の一例を次に示す。

λ

××λ×

×λ

××π××

×β+×τ×τ

= ∫∞

d1

Tkchexp

ch2F)1(4

H

BB

BB0 5

2

22Ba ε

λ

×λ×

×λ××β+

τ×τ××= ∫

∞d

1T

10439.1exp

1F)1(

10354.9

BB

40 522Ba3

ここに, :検知素子面での黒体炉からの赤外入射パワー密度(W・cm-2)

:集光光学系の分光透過率

:バンドパスフィルタの分光透過率

:集光光学系による像の倍率(K)

H

β

B

i

aa

ここに, ai :検知素子面上の方形開口像の大きさ(㎜)

aB :方形開口マスクの方形開口の大きさ(㎜)

:集光光学系の F 値

h :プランク定教(6.626×10-34 J・s)

c :真空中の光速度(2.998×1O8 m・s-1)

:波長(μm)

:黒体炉の放射率(83)

k :ボルツマン定数(1.38×10-23 J・K-1)

:黒体炉の温度(K)

F

λ

BBε

BBT

Page 42: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

40

注(83) 黒体炉の放射率は,1とする。

e) 結像された素子領域のほぼ中心を通る水平方向,及び垂直方向について,素子の出力信号レベル

を測定する。

備考 測定とその後の処理のためには計算機を使用するのが最適であり,配置図もそのようにし

ているが,簡便に出力信号波形を直接オシロスコープなどで測定してもよい。

f) 結像された素子領域の外側の素子で,出力信号レベルが飽和レベルの 1/2 以上(84)となった素子

数を求め,それぞれの方向でのブルーミングの素子数とする。

注(84) 出力信号レベル及び飽和レベルは,共に背景赤外光による出力レベルからの変化分とす

る。

また,飽和レベルは結像された領域内の素子の出力信号レベルの平均的な値とする。

図 21 ブルーミング試験の配置

5.13 素子欠陥試験 素子欠陥は,感度,比検出能などの性能値が,規定値の範囲内にない場合を欠

陥と定義する。なお,規定値は個別仕様書などによる。性能の試験方法は,5.のとおりとする。

Page 43: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

41

5.14 検知器 NETD 試験 電荷蓄積型検知器の検知器 NETD 試験は,図 22 のような配置で,次による。

a) 基準熱源の放射面が供試検知器の視野内を全て覆うように,供試検知器直前に基準熱源を置く。

なお,放射面は測定に誤差が生じないよう黒体化し,放射率を O.95 以上に保つ。また測定系は,

赤外光が反射しないように壁から十分離し,周辺に不必要なものを置いてはならない。

b) 基準熱源の温度を,規定の温度(T1)にし,供試検知器の規定された素子の出力を増幅(85)後,連

続して n 回(86)計算機に読み込み(87),同一検知素子に対する増幅器の出力電圧の平均値を次の

式によって算出する。

n

VV

li

n

li1

∑= =

ここに :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

:温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V)

:読込み回数

注(85) 増幅率が,あらかじめわかっているものを使用する。

(86) 読込み回数 n は,測定誤差を小さくするため,32 以上とする。

(87) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホ

ールドし,A/D 変換して行う。

c) 基準熱源の温度を,T1より温度の低い規定の温度(T2)に変更し,供試検知器の規定された素子の

出力を増幅(88)後,連続して n 回(89)計算機に読み込み(90),c)の測定と同一の検知素子に対する

出力電圧の平均値と実効雑音電圧を次の式によって算出する。

, 1V

i1V

n

n

VV

n

1ii2

2

∑= =

2n

1i2i2 )VV(

1n1N ∑ −×−

==

ここに, :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

:温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の第 i 番目の出力電圧(V)

:読込み回数

:実効雑音電圧(V)

注(88) b)の測定と同一の増幅器を使用する。

(89) 読込み回数 n は b)の測定時と同一とする。

(90) 供試検知器からの出力を計算機に読み込む際は,同一素子の増幅器の出力をサンプルホ

ールドし,A/D 変換して行う。

備考 実効雑音電圧を測定するときは,規定された蓄積時間で試験を行う。

d) 計算機に読み込んだ増幅器の出力から,検知器 NETD を,次の式によって算出する。

2V

i2V

n

N

Page 44: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

42

21

21

TTVVNNETD

−−

=

ここに,NETD :検知器 NETD (K)

1V :温度 T1の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

2V :温度 T2の基準熱源入射状態での増幅後の平均出力電圧(V)

:実効雑音電圧(V)

図 22 電荷蓄積型検知器のNETD試験の配置

5.15 熱型検知器の熱時定数(τ)試験 熱型検知器の熱時定数の試験は,次による。

a) 黒体炉,チョッパ,検知器,プリアンプ,ロックインアンプ,及び計算機を図 23 の配置で構成

する。ここで検知器は黒体炉の放射面に正対させる。またチョッパは,その回転方向が光路と直

交するようにして検知器と黒体炉の間に配置する。

図 23 熱時定数試験の配置

N

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

基準熱源

放射面

供試検知器

駆動回路 増幅器

サンプルホールド及びA/D変換 計算機

計算機

チョッパ

チョッパ

コントローラ

増幅器 ロックイン

アンプ 赤外線検

知器

黒体炉

Page 45: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

43

b) 次に,チョッパコントローラにより,チョッピング周波数を変化させ,各周波数に対応する検

知器出力S(f)を測定し,図 24 のごとくプロットする。ここで変化させる周波数の範囲は,低

周波数側については感度の周波数依存性がみられないフラットな領域まで,また高周波数側に

ついては感度が低下しフィッティング曲線との重なりを十分に確認できるところまでとする。

図 24 実測結果の例

c) フラットな領域の出力SFで検知器出力S(f)を除算した値を R(f)=S(f)/SF とする。

d) 得られた実測値R(f)を次式でフィッティングし,熱時定数τを求める。

R(f) = {1+(2πfτ)2}-1/2

R(f): 相対感度(低周波における感度が1に規格化されている。)

f : チョッピング周波数 (Hz)

τ : 熱時定数 (sec)

e) 測定値及びフィッティング曲線を重ねて描いたグラフ及び最小 2 乗誤差を記録しておくこと。

備考 2 次元アレイの熱型検知器には,一般に一定の駆動パルス周期Treadout で動作する読出回

路が含まれる。検知器の熱時定数τがパルス周期に近いか,またはそれよりも小さい場合,

本試験の結果は,Treadout に近いものとなり,真のτを求めることが出来ない。従って,

本試験においては,検知器と同一設計,同一プロセスで製造し,読出回路の読出動作の影

響を受けない単素子等を用いてもよいこととする。その場合,試験の結果にその旨を明記

する。

フィッティング曲線

実測値

チョッピング周波数 f

検知器出力S(f)

Page 46: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

44

赤外線撮像装置検知器系試験方法 解説

この解説は,本文に規定・記載した事項及びこれらに関連した事項を説明するもので,規格の一部

ではない。

1. 作成の経緯 赤外線撮像装置の多様化と性能向上に伴う規格適用範囲の明確化及び測定方法の精

度向上により,装置の要求性能に応じた計測が可能となったため防衛省規格として現状技術に対応し

た規格に改正する。

2. 作成の方針 この改正規格原案を作成するにあたっては,幅広く客観性のある規格にするため,

社団法人 電子情報技術産業協会に平成16年度に見直し技術調査作業を依頼し,それをもとに平成

17年度に第2研究所第3部光波電子戦研究室において,この規格原案を作成した。

また,調査にあたっては,JIS(日本工業規格)を含む他規格等との整合性の確認を行うととも

に,民生品,民生技術の採用の可能性などについての技術的検討を行った。

3. 運用上の留意事項 運用上の留意事項は,次のとおりである。

a) “規定する”又は“規定された”は,装置ごとに個々の要求性能で決めることを示すもので,仕

様書などで規定することを意味している。

b) 個々の装置に要求される特別な試験方法は,必要によって仕様書などで追加する必要がある。

c) 環境試験の試験条件,試験項目については,個々の装置の仕様書で規定し,試験方法は,本規格

に述べた方法を原則として適用すること。

4. 項目別解説 規格本文中の主な項目についての解説は,次の解説表 1 のとおりである。

解説表 1

項目番号 項 目 説 明

3.a)

供試検知器 試験規格の中で,“クールダウンタイム試験”なども定義するので,

構成品として冷却器も含むということなど,“検知器”の構成を明確に

した。

3.j)

電荷蓄積型

検知器

近年,普及し始めた電子走査で信号を読み出す熱型検知器は,熱時定

数を持って赤外線検出を行うことから,電荷蓄積動作と類似の評価が適

当であると判断し,その位置付けを明記した。

3.l)

熱型検知器 熱型検知器は,吸収材料の分光特性などにより感度に比較的小さいも

のの波長依存性を有する。そのため,“感度に波長依存性がない”とい

う表現を修正した。

解1

Page 47: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

45

項目番号 項 目 説 明

素子補正回

“素子補正回路”は旧規格中では“4.14 マイクロフォニックノイズ試

験”でのみ引用されているが,本試験項目自体を削除するため,この用

語の説明も削除することとした。

4.2

測定器 現規格制定時からの計測機器のデジタル化等の進歩に伴う試験実施者

の保有設備の変化,今後の測定技術の進歩などを考慮し,測定器選定の

自由度を持たせるために,“また,”以下を追加した。

5.1.2

電荷蓄積型

検知器のRBB

試験

電荷蓄積型検知器においては,視野を制限する絞りが設けられている

場合が多い。この絞りの径が検知素子寸法より小さい場合は現規格の黒

体炉による方法では,全素子の測定ができない。そこで,このような場

合にも,測定のできる基準熱源を用いた方法を追加した。

5.2

分光感度(R

λ)試験

赤外線領域の分光測定には,現規格の分散型分光法以外に,フーリエ

分光法が知られている。近年,フーリエ分光法による測定は,計算機の

演算速度の向上に伴い普及してきた。フーリエ分光法は,エネルギーの

利用効率が高く,分散型に比べ S/N 比が 1~2 桁程度高い特徴があり,例

えば,文献(Proc.of SPIE Vol.5406 p654,2004 年)にも,市販のフー

リエ分光装置を用いて赤外線検知器の分光感度を評価した例が記載され

ている。

そこで,本規格にもフーリエ変換法による分光感度測定について,追加

する。

5.2.1

h)

電荷非蓄積

型検知器の R

λ試験

分光器によっては,予め光源の波長特性の校正値や計算値が与えられ

ている場合がある。これらの場合においては熱型検知器の測定は不要と

なるため,注記を追加した。

5.2.2

j)

電荷蓄積型

検知器の Rλ

試験

分光器によっては,予め光源の波長特性の校正値や計算値が与えられ

ている場合がある。これらの場合においては熱型検知器の測定は不要と

なるため,注記を追加した。

5.4.2 電荷蓄積型

検 知 器 の

NEPBB試験

電荷蓄積型検知器においては,視野を制限する絞りが設けられている

場合が多い。この絞りの径が検知素子寸法より小さい場合は現規格の黒

体炉による方法では,全素子の測定ができない。そこで,このような場

合にも,測定のできる基準熱源を用いた方法を追加した。

5.6.2

電荷蓄積型

検知器の D*

BB試験

電荷蓄積型検知器においては,視野を制限する絞りが設けられている

場合が多い。この絞りの径が検知素子寸法より小さい場合は現規格の黒

体炉による方法では,全素子の測定ができない。そこで,このような場

合にも,測定のできる基準熱源を用いた方法を追加した。

5.8

i)

入出力特性

試験

常温付近で動作する熱型検知器には,検知器を一定温度に保つための

電子冷却器が用いられるが,冷却温度を常温以下に下げた場合,検知器

の感度が向上するため,動作温度を明記していないと検知器同士の性能

の比較は意味が無い場合がある。従って,動作温度等を測定結果に併記

することにより,検知器同士の性能の比較を厳密に出来る様にする。

解2

Page 48: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

46

項目番号 項 目 説 明

5.13

素子欠陥試

何をもって欠陥素子と定義するかは,その撮像装置の運用形態により

判断されることが多い。そのため現規格の定義で一律に固定せずに,個

別に仕様書により規定することにした。

マイクロホ

ニックノイ

ズ試験

機械的振動を伴う循環冷却器を使用した検知器のマイクロホニックノ

イズは,ノイズ要因の一つであるが,素子を動作させるためには冷却が

必要であるため,分離して試験することは困難であり,実運用上もほと

んど実施されていない。マイクロホニックノイズのみを分離して測定す

る大きな必要性も見当たらない。したがって,この試験項目は削除す

る。

5.14

検知器 NETD

試験

現規格制定時には普及していなかった二次元電荷蓄積型検知器が,広く

普及してきた。二次元電荷蓄積型検知器においては,性能指数として

NETD が広く慣用されている。そこで,本規格改正案においても,検知器

NETD 試験を新設/定義することとした。

5.15

熱型検知器

の熱時定数

(τ)試験

近年,普及し始めた熱型検知器では,受光領域を構成する画素部にお

いて,熱伝導構造の設計が重要である。画素部の熱伝導を小さくする

と,感度を向上させることが可能であるが,感度が向上するとともに検

知器の熱時定数が大きくなる。ここで,検知器の熱時定数がフレームレ

ートと同程度にまで大きくなると,赤外線撮像性能に大きな影響を与え

る。このように,熱伝導について,感度と熱時定数が互いにトレードオ

フの関係にあるので,デバイスの性能指標としてはこれらの両方を試験

するのが適当である。そこで本改正案では,熱時定数試験を定義,新設

することにした。

解3

Page 49: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

47

5. 旧規格制定時の解説

5.1 作成の経緯 近年,赤外線撮像装置が各分野で幅広く使用されるようになってきているが,そ

の性能を評価,確認するための試験方法について統一したものがなく,各装置ごとに試験方法を設定

してその都度試験を実施している状況にあるため,性能の比較評価を困難にしている。そこで装置の

検知器系の試験方法を統一して,一貫した性能の評価ができるようにこの規格を制定することとした。

5.2. 作成の方針 赤外線撮像装置は,非常に複雑な構成要素からなっているため,装置とその主要

な構成要素である光学系と検知器系及びその他の構成要素に区分し,それぞれ独立に制定することと

した。本規格においては,装置の検知器系の試験方法について,装置及び光学系の試験方法との整合

性に着意してまとめたものである。

なお,試験項目の選定については,過去十数年にわたるフィールドテストにおける経験と MIL 規

格などを参考にした。また,幅広く客観性のある規格にするため,(社団法人)日本電子機械工業会

に昭和 60 年度“光電応用器材の標準化に関する調査”を依頼し,それをもとに平成元年度,同工業

会に原案作成を委託して,この規格原案を作成した。

5.3 運用上の留意事項 運用上の留意事項は,次のとおりである。

・ “規定する”又は“規定された”は,装置ごとに個々の要求性能で決めることを示すもので,

仕様書などで規定することを意味している。

・ 個々の装置に要求される特別な試験方法は,必要によって仕様書などで追加する必要がある。

5.4 項目別解説 規格本文中の主な項目についての解説は,次の解説表 2 のとおりである。

解説表 2

項目番号 項 目 説 明

共通 電荷非蓄積

型検知器

従来の単素子検知器や多素子検知器を,CCD 等の電荷蓄積型検知器と区別する

ために,電荷非蓄積型検知器と呼ぶことにした。素子と同数の増幅器を必要と

し,素子の抵抗が変化して赤外光を検知する PC 型(photoconductive)と起電力が

発生して赤外光を検知する PV 型(photovoltaic)がある。PC 型は,バイアス電流に

よって抵抗変化を電圧変化に変換して出力する。PV 型は,フォトダイオードと

も呼ばれ,通常,入力インピーダンスの低い増幅器を用いることによって,信号

を電流として出力する。

共通 放 射 率 黒体感度(以下,RBB という。)試験などで用いる黒体炉,チョッパブレード,

シャッタブレード,円形開口マスクなどは,放射する赤外パワーを正確に規定す

る必要から,放射率が O.95 以上と保証されている塗料を塗布するなどして放射

率を1に近づけている。しかし放射率を正確に測定することは困難であるため,

赤外パワーの計算の際には,これらの放射率は1として計算することとした。

解4

Page 50: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B 48

項目番号 項 目 説 明

共通 電荷蓄積型

検 知 器

電荷蓄積型検知器では,各素子の出力信号はフレーム時間の中で所定の時

間だけ蓄積され,時分割された映像信号として外部出力される。このため,

特定の素子の出力を取り出すためには,映像信号をサンプルホールドし,AD

変換して計算機に取り込むことが必要であり,試験項目によっては試験方法

や測定系の構成が従来の電荷非蓄積型検知器と異なる。

また,蓄積電荷量や転送電荷量が有限で,出力に飽和値があることから,

電荷非蓄積型検知器にはない問題がある。このため,電荷蓄積型検知器にの

み適用される試験項目がある。

3.2 測 定 器

測定器の校正は,測定器の種類,使用ひんどにより必ずしも一律に定めら

れないので1年以内は“原則”とした。

なお,黒体炉は設定された温度を温度計で確認して使用するのが原則であ

るので,温度計を校正すれば良い。

4.1 黒体感度

(RBB)試験

この試験は,黒体からの入射1W 当たりの検知素子の出力電圧又は電流を

測定する項目である。RBB が低いと,4.6 の試験で求めた黒体比検出能が高く

ても,増幅器の雑音や周辺機器からの誘導雑音等の影響が大きくなり,装置

として高い性能が得られないので,重要な試験である。

RBB は,黒体の温度によって異なり,BB の代わりに黒体温度を書く場合も

ある。黒体温度は,一般に 500K が用いられ,この場合 R500 と書く。

また,RBB は,供試検知器に入射する全赤外線量(環境からの入射と黒体光

源から入射するものの和)の関数となる場合があり,この場合には RBB が環境

温度で決定されるよう黒体光源からの赤外線量を相対的に小さくする必要が

ある。

円形開口マスクと検知素子の距離を円形開口マスク直径の 25 倍以上,円形

開口マスク開口部の直径を5mm とすることによって,黒体からの赤外入射

パワー密度は,環境からの入射分に比べて1%以下となり,上記の条件が達

成できる。

4.2 分光感度

(Rλ)試験

この試験は,波長λの赤外光入射1W 当たりの検知素子の出力電圧又は電

流を求める項目であり,赤外線撮像に使用される赤外光の各波長に対する感

度を求めるために試験する。

Rλは,4.1 の試験で求めた RBB と,この試験で求まる相対的分光感度から

算出する。正しい Rλの値を求めるためには,相対的分光感度は,検知器が感

度を有する全波長範囲について測定することが必要である。

換算係数や供試検知器の分光感度の算出精度は,測定時の波長測定間隔 λ∆かと関係するが,通常検知器が感度を有する波長範囲は,数ミクロンあり,

つ,この範囲内でゆっくり変化するため,波長測定間隔 λ∆ が 0.1~0.2

であれば,算出値の精度に影響を与えない。 この試験は近距離で測定するので,大気の吸収の大きい波長を含む波長域

でも測定誤差の範囲内と考えられる。また,一般的な測定においても大気の

吸収の影響は無視するのが慣例になっている。

μm

4.3 感度の均

一性試験

この試験は,検知素子間の感度のばらつきを評価する項目である。素子間

の感度のばらつきが大きいと,増幅回路や信号補正回路によっても出力のば

らつきが補正しきれなかったり,補正しても赤外入射パワー密度が変わる

と,出力のばらつきが再び生じるなどの問題があるので,重要な試験であ

る。

解5

Page 51: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B

49

項目番号 項 目 説 明

4.4

黒体雑音

等価パワ

( N E P B B )

この試験は,黒体炉から放射される赤外光に対する検知器の検知能力を表

現できる項目である。検知器は,波長に対する感度特性を有するため,

NEPBB は,黒体温度によって異なり,試験では,黒体温度を規定する必要が

ある。一般には 500K が用いられる。 また,電荷非蓄積型検知器の場合,雑音は,周波数に依存するため,試験

では,チョッピング周波数を規定する必要がある。チョッピング周波教は,

装置で使用される映像周波数帯域によって異なるが,一般にシリアル撮像に

用いられる高速タイプについては 10KHz,パラレル撮像に用いられる低速タ

イプについては,1KHz が用いられる。

4.8 入出力特性

試 験

この試験は,システム設計に必要な検知器への入力(入射パワー)と検知器

の出力電圧の関係を求める。ただし,入射パワーの増加に対して,出力電圧

が飽和する電荷蓄積型検知器には,この試験を適用し,入射パワーの増加に

対して,出力電圧が飽和しない電荷非蓄積型検知器には,この試験を適用し

ないこととした。

入射パワーは,円形開口マスク開口部の直径を 10 倍,供試検知器と円形開

口マスクとの距離を 10 倍変化させることで,100 倍変化する。この直径と距

離の組合せを変えることによって,入射パワーを 10,000 倍程度変化させるこ

とができる。この値は,通常の電荷蓄積型検知器のダイナミックレンジを上

回っているため,入出力特性試験に必要な入射パワーの変化範囲を得ること

が可能である。

入出力特性は,背景からの赤外入射パワー密度に依存するので環境温度に

よって変わることに注意する必要がある。

4.9 ダイナミック

レンジ試験

この試験は,電荷蓄積型検知器の出力可能な範囲を求めるために行う。ダ

イナミックレンジは,得られる S/N 比の最大値を示し,飽和出力電圧を実

効雑音電圧で割って算出する。 なお,入射パワーの増加に対して,出力電圧が飽和しない電荷蓄積型検知

器には,この試験を適用しないことにした。

4.10 クロストーク

試 験

この試験は,規定された素子間の干渉の有無を調べる項目で,規定された

素子にダイナミックレンジ内のできるだけ大きな赤外光を入射させたとき,

赤外光の入射されていない素子に現れる信号量を,デシベルで表すことにし

た。

本来,この試験には集光光学系の変調伝達関数特性などの光学系性能を含

めないものであるが,測定結果から分離することは困難なため,極力性能の

良い光学系を使用する必要がある。

4.11 クールダウン

タイム試験

この試験は,冷却器を動作させてから,検知器が冷却されるまでの時間を

測定する項目である。クールダウンタイムは,冷却器の冷却能力とともに,

検知素子の熱負荷,出力線材からの熱侵入,デュワーの真空度等に影響され

る。

解6

Page 52: 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系 …C 0214B 1 防衛省規格 NDS C 0214B 赤外線撮像装置検知器系試験方法 制定 平成15.3.22 改正 平成19.6.14

C 0214B 50

項目番号 項 目 説 明

4.12 ブルーミング

試 験

電荷蓄積型検知器では,ブルーミングは対象物体がにじんで実際よりも大

きく見えるなど,画質を低化させる大きな要因であり,その有無や程度を知

ることが重要である。

試験方法としては,ブルーミングの入射パワー依存性を求める方法や,ブ

ルーミングが生じはじめる入射パワーを求める方法も検討されたが,黒体炉

からの入射強度を変化させて測定を繰り返すことはあまり容易ではない。こ

のため,より直接的な方法として,方形パターンを入射したときに,その周

囲でブルーミングが生じた素子教を調べる方法をとった。ブルーミングの有

無と程度を試験しようとする入射パワーは,検知器の構成や用途によって異

なり,一概に決めることはできない。このため,入射パワーは,この試験方

法では特定せず,別途仕様書で規定された入射パワーについて規定するもの

とした。

なお,一般に検知器の面内の水平方向と垂直方向とでは構造上の差によっ

てブルーミングの程度が異なると考えられるため,ブルーミングの測定はそ

れぞれの方向について行うこととした。

4.13 素子欠陥

試 験

配列型の電荷蓄積型検知器による赤外画像では,感度のない素子に対応す

る部分は黒傷となり,出力が飽和してしまう素子の部分は白傷となる。これ

らの素子欠陥は画質を損ない,特に対象物体が検知器上で一素子程度の大き

さとなる場合には傷補償回路でも対処できず,システム上問題であり,この

試験が重要となっている。

なお,可視のイメージセンサでは素子間の出力レベルのばらつきも素子の

欠陥とするが,赤外線検知器では一般にそれらを補正して用いるため,この

試験でばらつきの有無は問わず,補正出来ない素子のみを対象とした。

4.14 マイクロホニ

ックノイズ

試験

循環式冷却器を使用する検知器の場合,循環式冷却器に回転式モータ,ク

ランクシャフト,ピストンシリンダなどの機械的可動部分があり,検知器出

力に周期的な雑音であるマイクロホニック雑音が混入することがあるのでこ

の試験を行う。

したがって,検知器及び冷却器の固定方法を規定し,またその検知器に使

用される冷却器を使用して試験を行う必要がある。

.

解7.