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薔厩謡麿 大気大循環と日本の天気* ** 1.はしがき 日本は,気象的にみて世界でも珍しい地域であるとい われる.たとえば,梅雨は中国南部にはあっても日本以 外のどの国にも見られないし,台風の強さも北米のハリ ケーンやインドのサイク・一ソよりも強力であるといわ れる. また,温帯低気圧の多発地帯にあたり,それらの低気 圧がもたらす嵐は強力なものである.帆船時代ヨー・ッ パの船が容易に日本に到達でき㌃かったのもうなずける というものである.日本はまた,中緯度における最多雨 地帯である.これは,季節風によって夏のみならず冬に も雨期があるためである.夏の雨期は太平洋側に,冬の 雨期が日本海側にあるため,日本は到るところで雨が多 い.日本が文明国の中では珍らしい森林国となっている のは,この雨の多さを反映しているといわれる.夏暑く 冬寒いのも日本の気候の特徴である. 日本の気候がこのように著しい特徴をもつことの理由 として,(1)日本が中緯度にあってユーラシア大陸の東 岸に位置すること (2)ヒマラヤ山脈・チベット高原の 風下に位置すること (3)南洋を黒潮が通っていること などがあげられる. 本講では,まずこのような地理的条件が日本の気候に どのように影響しているかを述べようと思う. 本講の後半では,日本の季節変化と四季の天気につい て述べる.日本列島は南北に長く伸びていて,列島の北 は寒帯,南は熱帯に属すといわれる.したがって,日本 の四季の天気の移り変わりはそれほど単純なものではな いが,その中からいくつかの四季の天気に特徴的なもの を抜きだして述べてみたいと思う.表題を, r……日本 の気候」としないでr……日本の天気」としたのはこの ような事情による, 2.東岸気候 よく知られているように,グローバルにみた地球大気 は,太陽からの放射を受け自身も天空へ放射を出しなが ら運動している一種の熱機関である.放射のみによる熱 収支をグ・一バルに考えるとぎ,ほぼ35。1atより低緯 度では受熱量の方が大ぎく,35。latより高緯度では放 熱量の方が大きい.高緯度の不足熱量は大気と海洋の大 循環によって低緯度から補給されて,1年を通すとほぽ 平衡を保っている. ある緯度圏を通しての熱の輸送の仕方には3通りあ る.一つは海洋による輸送であり,他は大気による輸送 で,それは顕熱の輸送と潜熱の輸送に分けられる.顕熱の 輸送は高温部から低温部へ熱を運ぶ通常のものであり, 潜熱の輸送は水蒸気の輸送であって凝結によって熱とな る類のものである.第1図によると,顕熱と潜熱を合わ せた大気中の熱輸送は40。1at当たりに最大値をもって 北向きに運ばれている(以後断わらない限り北半球を例 とする).海洋による熱輸送も合わせたトータルの熱の 北向き輸送は,ほぼ35。Nに最大値をもち,結局,放射 収支による過不足を補っている. 第1図に示した熱輸送は緯度圏上どこでも一様に行な われるわけでなく,これから述べるように大陸東岸では 特に強く運ばれている.それを言う前に,熱の北向き輸 送ということについて述べておこう.場所を固定してみ た場合,そこでは日々風向が変化して,南北成分だけで いえば北風が吹いたり南風が吹いたりするだろう.その 結果熱が北か南へ運ばれるのだが,’1年を通して北へ運 ばれる顕熱の平均の流れ[Q]・は,ある単位を用いて表 わせば次のように書かれる. *Lecture on general drculation and climate and weather of Japan. **S.Arakawa,気象大学校. [Q]5=[∂玉・[丁玉十[がTノ玉 (1) 1979年6月 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ からの偏差値である.バーは年のトータルの意味であ る.ここでは四つの季節の和である.(1)式の右辺第1 29

薔厩謡麿 - 公益社団法人 日本気象学会1979年6月 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ

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薔厩謡麿

大気大循環と日本の天気*

荒 川 正**

 1.はしがき

 日本は,気象的にみて世界でも珍しい地域であるとい

われる.たとえば,梅雨は中国南部にはあっても日本以

外のどの国にも見られないし,台風の強さも北米のハリ

ケーンやインドのサイク・一ソよりも強力であるといわ

れる.

 また,温帯低気圧の多発地帯にあたり,それらの低気

圧がもたらす嵐は強力なものである.帆船時代ヨー・ッ

パの船が容易に日本に到達でき㌃かったのもうなずける

というものである.日本はまた,中緯度における最多雨

地帯である.これは,季節風によって夏のみならず冬に

も雨期があるためである.夏の雨期は太平洋側に,冬の

雨期が日本海側にあるため,日本は到るところで雨が多

い.日本が文明国の中では珍らしい森林国となっている

のは,この雨の多さを反映しているといわれる.夏暑く

冬寒いのも日本の気候の特徴である.

 日本の気候がこのように著しい特徴をもつことの理由

として,(1)日本が中緯度にあってユーラシア大陸の東

岸に位置すること (2)ヒマラヤ山脈・チベット高原の

風下に位置すること (3)南洋を黒潮が通っていること

などがあげられる.

 本講では,まずこのような地理的条件が日本の気候に

どのように影響しているかを述べようと思う.

 本講の後半では,日本の季節変化と四季の天気につい

て述べる.日本列島は南北に長く伸びていて,列島の北

は寒帯,南は熱帯に属すといわれる.したがって,日本

の四季の天気の移り変わりはそれほど単純なものではな

いが,その中からいくつかの四季の天気に特徴的なもの

を抜きだして述べてみたいと思う.表題を, r……日本

の気候」としないでr……日本の天気」としたのはこの

ような事情による,

 2.東岸気候

 よく知られているように,グローバルにみた地球大気

は,太陽からの放射を受け自身も天空へ放射を出しなが

ら運動している一種の熱機関である.放射のみによる熱

収支をグ・一バルに考えるとぎ,ほぼ35。1atより低緯

度では受熱量の方が大ぎく,35。latより高緯度では放

熱量の方が大きい.高緯度の不足熱量は大気と海洋の大

循環によって低緯度から補給されて,1年を通すとほぽ

平衡を保っている.

 ある緯度圏を通しての熱の輸送の仕方には3通りあ

る.一つは海洋による輸送であり,他は大気による輸送

で,それは顕熱の輸送と潜熱の輸送に分けられる.顕熱の

輸送は高温部から低温部へ熱を運ぶ通常のものであり,

潜熱の輸送は水蒸気の輸送であって凝結によって熱とな

る類のものである.第1図によると,顕熱と潜熱を合わ

せた大気中の熱輸送は40。1at当たりに最大値をもって

北向きに運ばれている(以後断わらない限り北半球を例

とする).海洋による熱輸送も合わせたトータルの熱の

北向き輸送は,ほぼ35。Nに最大値をもち,結局,放射

収支による過不足を補っている.

 第1図に示した熱輸送は緯度圏上どこでも一様に行な

われるわけでなく,これから述べるように大陸東岸では

特に強く運ばれている.それを言う前に,熱の北向き輸

送ということについて述べておこう.場所を固定してみ

た場合,そこでは日々風向が変化して,南北成分だけで

いえば北風が吹いたり南風が吹いたりするだろう.その

結果熱が北か南へ運ばれるのだが,’1年を通して北へ運

ばれる顕熱の平均の流れ[Q]・は,ある単位を用いて表

わせば次のように書かれる.

*Lecture on general drculation and climate

 and weather of Japan.

**S.Arakawa,気象大学校.

[Q]5=[∂玉・[丁玉十[がTノ玉 (1)

1979年6月

 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は

それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ

からの偏差値である.バーは年のトータルの意味であ

る.ここでは四つの季節の和である.(1)式の右辺第1

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352 大気大循環と日本の天気

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第4図 梅雨期における潜熱のフラ、ソクス・ベクトル,850mb(朝倉).

項は季節風のような準定常場による熱輸送の年合計であ

る.夏期南風が吹き,冬期北風が吹くような極東域では

当然正(すなわち北向き)となる.また,右辺第2項は

日々の天気変化をもたらすような移動性じょう乱(高気

圧や低気圧)によるもので,これも暖かい南風,冷たい

北風が吹けば正となる.

 第2図は,夏と冬における850mbの低中緯度の流線

図である.よく知られているように,北半球の対流圏下

層の循環は海陸の分布に大きく支配されている.夏の南

風冬の北風が最も卓越しているのは,いわゆるモンス

ーン地帯と呼ばれるアジアと極東地域である.この地域

では季節風によって最も多くの顕熱が北へ運ばれている

ことがうかがえよう.すなわち,(1)式第1項への寄与

の最大のところといえよう.この地域を除いて,南北流

がはっきり交替しているところは他に無い.アメリカ東

岸では夏冬南風であるし,太平洋と大西洋の東部では夏

北風で冬南風のところさえあろ.

 第3図は,850mb面の四つの各季節における[∂ノT!]s

の分布である.北半球でいうと,北米大陸(東部),極

東域でとくに強い北向きの熱輸送域が存在L,地中海地

域に第3の正輸送域がある.これら三つの正輸送域はい

ずれも夏を除く各季節に存在し,かつ中緯度地帯に位置

32

している.これらの場所は,後述のように温帯低気圧の

通り路に当たり,低気圧の通過とともに暖かい南風,冷

たい北風が吹くことによって熱が北へ運ばれているので

ある.

 以上の議論は対流圏全層に対してほぼ成り立つのであ

るが,ここでは,天気現象に関係深い下部対流圏のみで

論じた.

 潜熱の輸送に関しては,暖かいを湿ったに,冷たいを

乾燥したに置き換えるとほぽ同様な議論ができる.黒潮

は湿った南風をもたらすのに大事な役割を果たLている

と考えられる.

 第4図は,ある年の梅雨期における850mb面上の潜

熱の輸送をベクトル的に表わした図である.日本を取り

巻く極東域で大量の潜熱の北向き輸送が行われている.

 結局,日本を取り囲む極東域は,準定常的な季節風に

よっても,移動性じょう乱(高低気圧)によっても,南

から北へ熱を運ぶ太いパイプとなっている.暑い湿った

夏と寒い乾燥した冬,低気圧の多発地帯で特徴づけられ

る極東域の気候(東岸気候)の別の姿ともいえよう.

 これに対して大陸西岸に位置するヨー・ッパ各地で

は,日本に比べて涼しい爽やかな夏,暖かい湿った冬を

経験する.この地方の熱輸送パイブは,極束に比べて細

寒天気”26。6.

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大気大循環と日本の天気

第1表 日本とヨー・ッパの気温の比較

地 名

札  幌

東  京

鹿児島ロソドソ

パ   リ

ロ   ー  マ

緯 度

43。03/

35041/

31。34

51。28/

48。56/

41。52ノ

1 月(。C)

一5.1

 4.1

 6.7

 4.2

 3.1

 8.1

7(8)月(。C)

(21.7)

(26.7)

(27.3)

17.6

19.0

24.5

較差(。C)

26.8

22.6

20.6

13.4

15.9

16.4

年平均(QC)

7.8

15.0

17.0

10.5

10.9

16.1

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第2表 日本とヨー・ッパの雨量

地 名          年間雨量(mm)

鹿

ノミ

 児

ン  ド

1,141

1,503

4,158

2,433

 594

 585

 653

い.

 第1表,第2表は,日本とヨーロッパ各地の気温と雨

量の比較表である.夏暑く冬寒いという日本の特徴がよ

くでているし,同緯度におけるヨー・ッパと日本の年平

均気温を比べると,日本の方が6~8。C低い.月平均気

温の最高値は,ヨー・ッパ(のみならず世界各地)では

7月にみられるが,日本では8月に現われる.日本では

7月は梅雨のため日照りが少ないことに因るらしい.そ

の証拠に,沖縄では7月に最高値をとる.年間雨量はヨ

ー・ッパの主要都市で600mm前後になるのに,日本

の主要都市ではそれの2~3倍となっている.尾鷲は日

本一の多雨地であるが,そこでは4,000mmを越えて

いる.

 3・ヒマラヤの影響

 日本および極東域の気候のもう一つの決定要因とし

て,ヒマラヤがある(チベット高原と言った方が適切か

もLれないが,慣習に従ってここでは単にヒマラヤと言う).

 ヒマラヤが極東の大循環にどのように影響するかをみ

るには,ヒマラヤを取り去ったときの循環と比べてみる

のがよい.これを可能にしたのが数値実験である.いろい

1979年6月

第5図 冬の北半球の地上気圧分布(真鍋ら).上:

観測,中:Mモデル,下:NMモデル

ろな研究者がこの数値実験に取り組んでいるが,ここで

は,米国NOAA付属のGFDL(地球流体力学実験所)

の真鍋・Terpstraの研究を引用しよう.真鍋らはr大

気大循環に及ぼす山岳の影響」に関して大変わかり易い

結果を導いている.また,本誌第25巻9号所載の中村一

の解説にも詳しく紹介されているので興味ある方はその

方も御覧いただきたい.

33

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354

大気大循環と日本の天気

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第6図

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302

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200mb面の東西風成分の分布(真鍋ら).

上:観測,中:Mモデル,下:NMモデル.

 5.↑.シベリア高気圧

 真鍋らの実験では,1月の条件を与えて山あリモデル

(Mモデル)と山なしモデル(NMモデル)の循環を求

めている.第5図には,両者の地上気圧配置を実測値と

一緒に配列した.ユーラシア大陸東部に発達するシベリ

ア高気圧に着目すると,NMモデルではそれは30。N付

近に中心をもつ.しかしMモデルでは45。N付近とな

34

って,これは実測値と良く一致する.高気圧の強さも

Mモデルの方がNMモデルよりも強く,この方も実測

値と一致する.この理由として二つのことが考えられ

る.(1)冬の放射冷却によって貯えられた寒気の南方へ

の流出をヒマラヤが妨げること (2)偏西風がヒマラヤ

を越える際山の北方を迂回して通るため,ヒマラヤとそ

の北部に高圧部が形成される などである.偏西風がヒ

マラヤを迂回する様子については,中村の解説に詳しい.

なお,冬期ヒマラヤの蔭(約140。E)には対流圏全層に

準定常的トラフが存在するが,これもMモデルでは実

際と同程度の強さで作られた.

 3,2.ジ』,二,ノト・、ストリーム

 極東域のL空で西風が強いということは,第2次大戦

中すでに米軍によっても日本軍によっても知られていた

らしい.その後,高層観測網の発達に伴って中緯度のほ

ぼ200mbの高さに強い西風帯のあることが確かめら

れ,それはジェット・ストリームと名ずけられた.ジェ

ット・ストリームは極東域で特に強く(最大65m/s),

北米東部で2番口に強い(45m/s)(第6図上).真鍋ら

の数値実験によれば,これら特に強いジェット・ストリ

ームはヒマラヤと・ッキー山脈に因るという.NMモデ

ルでは余り強い風は得られないが,Mモデルだと実測

に近い風速と広がりが得られた(第6図中,下).

 なぜヒマラヤの蔭で西風が強くなるかというと,不明

の点が多いが,おそらくヒマラヤを分流して迂回した流

れが山蔭で合流する際,トラフの深まりによって横収束

を起こすためと考えられる.

 ヒマラヤの蔭のジェット・ストリームは,冬期最も南

に偏してほぼ30。Nくらいにあるが,春から夏にかけて

北上し,梅雨期には日本付近では35。Nと55。N付近に

2本存在する.しかし,夏には日本上空のものが消えて

高緯度のものだけが残るようになるという.これらの季

節変化がヒマラヤとどのように関係しているのかまだ明

らかでない.

 3.3.低気圧の多発域

 低気圧がヒマラヤや・ッキーの山蔭(東側)に多発す

るということは,Petterssen(1956)によって指摘され

ていた.真鍋らの数値実験は,これも山の影響であるこ

とを明らかにした.NMモデルでは低気圧発生域は中・

高緯度帯に系統なく分布するが,Mモデルでは極東域

と北米東部に集中して分布する(第7図).

 なぜヒマラヤの蔭に低気圧が発生し易いかについて,

次のように言われている.一つは,ヒマラヤの蔭に深い

寒天気”26,6

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大気大循環と日本の天気 355

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第7図 低気圧の発生と移動(真鍋ら).左:Mモデル,右:NMモデル.黒丸は発生地点,実線は経路を示す.

トラフが作られ,南西のジェット・ストリームがその南

縁を走ることが大事であるということ.すなわち,上空

の西風の強化に伴って対流圏に南北の強い温度傾度(傾

圧場という)が誘導され,低気圧が発生し易くなるとい

うのである.もう一一つ,ヒマラヤによって強化されたシ

ベリア高気圧から吹き出した寒気が東支那海上で黒潮に

よって下から暖められることが大事であるという説もあ

る.

 われわれに身近かな現象として,物体の蔭に逆向きの

渦が交互に作られ,下流に流されていくカルマン渦とい

うのがある.川に立てられた棒の蔭や電線の風下に見た

り聞いたりでぎる.ヒマラヤの蔭に低気圧と高気圧が交

互にでき東へ移動していく様子がカルマン渦に似ている

と思うのは偏見に過ぎようか.

 秋から冬,春にかけて偏西風はヒマラヤにまともにぶ

つかるのであるが,その時期,極東域では低気圧と高気

圧が交互にできて,頻ぱんに日本を通過して東方へ去っ

ていく.これが極東域における熱輸送に大ぎく貢献して

いることは,前に述べたとおりである.

 4.日本の気候区分

 世界の気候区分に,ケッペンの気候区分というのがあ

る.これは,植生に基づいて分類したもので,数次にわ

たって修正され,1923年に完成されたものがほとんどそ

のままの形で現在も使われている.福井によって一部修

正されたケッペンの気候区によれば,北海道は“冷帯多

雨気候型”,その他の日本各地は沖縄まで含めて1‘温帯

多雨気候型”に区分される.これはグ・一バルなスヶ一

ルからみた分類であって,季節風交替の激しい日本では

もっと小スケールの気候区分も必要となる.日本の地形

第3表 寒候期・暖候期の曇日数比と気候区

気候区

太 平 洋 型

日 本 海 型

瀬戸内海型

オホーツク海型

西九州型

南西諸島型

地 名

仙  台

東  京

静  岡

尾  鷲

宮  崎

秋  田

高  田

米  子

岡  山

広  島

網  走

長  崎

名  瀬

那  覇

曇日数比(寒/暖)

0.44

0.41

0.33

0.36

0.47

1.50

1.50

1.32

0.59

0.71

O.83

0.82

.31

.27

1979年6月

寒候期:12,1,2月;暖候期:6,7,8月

と季節風の効果を考えるとき,それは夏多雨型と冬多雨

型に分けることができる.第3表は,寒候期(12,1,

2月)と暖候期(6,7,8月)の日本各地の曇日数比

の表である.雨量には局地性があるらしく,雨量比だと

同一区の中でも数値がバラックが,曇日数だと表のよう

にある系統をもって並ぶ.日本列島は,第3表のように

おおよそ六つの気候区に分けられる.その中で,太平洋

型と日本海型は日本の大部分を占める.前者は夏に雨期

35

Page 8: 薔厩謡麿 - 公益社団法人 日本気象学会1979年6月 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ

356 大気大循環と日本の天気

20●

想蛸15●

10●

5●

^_............噛........ 旭川

  ..........._一.,..1960年8月1日~

_..._...............    10月18日

o●● ●・ . ・.・●● .● ・』● ● ● ■・・

8月

o ● ●o ■ ● ・ , ■ ●● 『』●● ●●・   . ・ ●

9月

..10月

第8図 季節の階段型変化の例(木村).

第4表 日本の季節区分(日付はおおよその平均値).

季 節

梅  雨

小季節

早  春

初  夏

梅  雨

盛  夏

秋り ん

があり,後者は冬に雨期があるといってよいだろう.瀬

戸内型,オホーック海型,西九州型,南西諸島型は,そ

れぞれ太平洋型と日本海型の値の中間値をとる.南西諸

島型は,一見日本海型に近く冬多雨型にみえるが,これ

は南西諸島の梅雨が6月にあけるためで,もし暖候期と

して5,6,7月を選ぶとその比はほぽ1となる.この

分類は,植生などを主にして区分した関口の分類などと

大きな差はない.

 5.日本の季節

 前述の如く,日本は大陸東岸と中緯度に位置している

ため季節変化がはっきりしている.しかし,日本列島は

24。Nから45。Nまで南北に長く分布しているので,季

節といっても単一の尺度で測ることはできない.早春と

いえば必ず梅が咲いていて,春といえば桜が咲いていな

ければならないというものではない.桜の開花日は日本

の南端から北端へ推移するのに2か月もかかるし,梅の

開花日となると4か月もかかる.そのため,北海道へい

くと5月半ばころ梅も桜も同時に咲く.そして,その季

節はどうみても春の終わりから初夏の感じである.

 季節というものは,気温の範囲,同一の植物,動物を

尺度として決まるのではなく,日本を取り巻く極東域の

大きな流れで決まるものである.あるいは,その範囲の

気圧配置または流れの体制で決まるといってもよい.し

たがって,北と南で多少の違いはあるが,日本の季節の

推移はほぽ同時に進むと言ってよい.

晩  夏

秋りん

初  冬

初 日

1月1日ころ

2月20日ころ

4月1日ころ

5月17日ころ

36

6月15日ころ(南部)

6月25日ころ(北部)

7月15日ころ

7月20日ころ(南部)

8月2日ころ(北部)

8月23日ころ

9月1日ころ

10月10日ころ

11月20日ころ

(斎藤錬一による)

 季節の推移が階段的に進むというのは,初め松倉秀夫

によって唱えられた.松倉は,1,000mbから700mb

までの平均混合比の日々変化からこのことを見出した.

のちに,木村耕三は湿球温度を使って同じ現象を詳しく

解析した.これらの諸量は,気温などと比べて一気団内

での保存性が良く,気団分析によく使われるものであ

る.このような保存量の日々変化図をみると,それはあ

る期間決まったレベルのまわりを変動し,ある日を境に

つぎのレベルヘ移る(第8図参照).その様子を階段的

と呼んだのである.季節の階段的変化はかなり広い範囲

に亘って一斉に起こることが多い.季節に関するこのよ

うな事実が季節分類の根拠になっている。

 日本の季節は,第4表に示すように,六つの季節に分

けることができる.春夏秋冬のほかに梅雨と秋りんの二

つの雨期を加えた六つである.各季節をさらに11の小季

節に分けると,いっそう実感と合った分類ができる.第

4表は斎藤錬一による分類である.季節の初日は年々変

わるのだが,表中の日付けは平均的な日である.

 6.四季の天気

 6.1.冬の天気

 気圧配置は,ほとんど西高東低のいわゆる冬型であ

る.本州および北海道では北西季節風が卓越し,日本海

、天気”26.6.

Page 9: 薔厩謡麿 - 公益社団法人 日本気象学会1979年6月 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ

大気大循環と日本の天気 357

第9図 冬型の気圧配置の際の衛星写真.

側は曇または雪であるが太平洋側では晴天が続く.この

天気の違いは,中部日本で特に顕著である.しかし,南

西諸島では北ないし北東風となって一般に風が強く,曇

天が続く.上の特徴は,気象衛星写真から一目瞭然であ

る(第9図).北陸など日本海側で大雪が降るのは,こ

の季節になってからが多い.

 冬型の気圧配置は持続性が強いが,ほぽ一週問の周期

で消長を繰り返す.すなわち,季節風の吹出しの収ま

ったころ台湾あたりに低気圧が発生し,日本列島南岸沿

いに東進する.日本海側の天気は低気圧の東進中はおだ

やかであるが,太平洋側ではこの低気圧で雨や雪が降る

ことがある.通り過ぎると再び季節風が吹き出す.三寒

四温というのはこの頃の天気に名づけられたものであ

る.

 6.2.春の天気

 2月下旬ころからシベリア高気圧の持続性が弱まり,

中国大陸から移動性高気圧が去来するようになる.気温

はぐんぐん高くなるが,とぎどき気圧配置は西高東低に

戻り季節風が吹いて寒い日もあるが,たいてい1日で終

わる.“暑さ寒さも彼岸まで”と言うように上のような

天気は3月下旬まで続く.この時期が早春である.

 4月に入ると,冬の季節風は吹ぎやみ,移動性高気圧

と低気圧が交互に日本を通る.太平洋側は早春よりも天

気が悪くなり,“なたね梅雨”などと呼ばれるようなと

1979年6月

きもあるが,日本海側は反対に急に天気が良くなる.約

4日周期が卓越し,天気は3日続いて1日雨というふう

な変化をする(第10図).

 5月中旬頃から,天気の周期性がはっきりしなくな

る.この頃になると,移動性高気圧が帯状になって日本

付近に停滞し,長いとぎには1週間も晴天が続くことが

ある.日本各地ともおだやかな新緑の季節で,ときには

夏のような暑さを感ずる日もある.初夏と呼ぶにふさわ

しい季節である.しかし,沖縄では梅雨の最中である.

沖縄の梅雨は6月下旬まで続く.

 6.3.梅雨の天気

 6月中旬頃になると,梅雨型気圧配置となって南から

の季節風期に入る.そして,日本列島中西部を中心に梅

雨が始まる.梅雨は南寄りの季節風が直接当たる場所,

すなわち,九州・四国・近畿・東海地方などでとくに顕

著である.これらの場所では連日じめじめしたウットウ

しい日が続ぎ,この期間の降水量は年問雨量の1/3にも

達する.これに比して,山蔭,北陸,東北,北海道では

梅雨期の降水量が少ない.北海道には梅雨がないとさえ

いわれる.

 梅雨末期になると,小笠原高気圧の周辺を流れる気流

が時々熱帯から高温・多湿の空気を運んでくる.これが

日本列島にぶつかって集中豪雨をもたらす.第11図は,

日降水量ラソキング20位までの県別発回数を書き入れた

37

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358 大気大循環と日本の天気

4月 !4日 4月 /夕日 4月  /6日 4月 /7日 月 !6》日 月  /  日 ‘2月 ・zo日 月

、4  必κ“,イ,6f82 ∠2丁    7’一頗 227  1燗柵6’  7 ’ 7’’ ”丁 ’7’鮒’ 22丁 ’ ’’” ””      「 ノ

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第10図 移動性高気圧と低気圧の通過を示す気圧の自記紙.3~4日周期が卓越.

            2        φ4

6   1  P 1  , 1

.o〃

1  0

3

第11図 日降水量ランキソグ20位までの県別発生回    数(二宮).

図である.全部日本列島南岸に位置する県である.梅雨

末期になると,北陸・奥羽地方などにも集中豪雨が降っ

て災害をもたらす.

 6.4.夏の天気

 7月中旬ころになると梅雨前線が北海道の方へ北一ヒ

し,九州から本州はほぼ一斉に梅雨が明け夏に入る.こ

の転換は季節変化の中で最も顕著である.7月中はまだ

北海道などで大雨が降ることがあるが8月に入ると北海

道も夏に入り,最高気温が30。Cを越すようになる.梅

雨前線はこの頃になると南にあったときのようにはっぎ

りしない.しかし,平均図上ではアムール河から樺太方

面に前線帯が見られる.この気圧配置は冬のそれと同様

非常に安定で,日本各地は小笠原高気圧の圏内に入り,

暑い晴天が続く.

 最高気温30。C以上の日を真夏日というが,日本各地

の真夏日日数はつぎのとおりである.

  札幌(9日),仙台(17日),東京(47日)

  大阪(68日),鹿児島(69日),那覇(83日)

38

 関東より南の平地ではだいたい.40日以上真夏日が続

ぎ,多湿も加わって不快指数が高い.

 盛夏には内陸部で熱雷が発生する.雷は関東地方内陸

部にとくに多い.ただ暑いだけでなく,寒気が h空に人

り込んで気層が不安定なときとくに多発する.

 小笠原高気圧の勢力がとくに強く,その位置が北偏す

るとぎ,日本各地とくに西日本では降水量が少なく干ば

つになる.反対に小笠原高気圧の勢力が弱く,真夏にな

っても北海道・東北地方がオホーック海高気圧の支配下

にあることがある.このような年には,低温のため北海

道・東北地方で凶冷となる.

 8月下旬になると,北方から前線が再び南下して宗谷

海峡付近に達する.この頃になると日本の天気はやや悪

くなり,暑さもやわらぐ.これが晩夏であって,8月い

っばい続く.

 6.5.秋りんの天気

 8月末の夏の終わりとともに再び雨期が始まる.これ

を秋りんと呼ぶ.学者によっては,梅雨から秋りんまで

が一つの雨期であって,日本など極東域では夏の侵入に

よって雨期が二分されている,と言っている.日本がア

ジア・モンスーン地帯の一部であるという観点からする

と,もっともな説である.

 ところで,秋りんは梅雨とは対照的に日本北部や日本

海側ほど顕著である。また,秋りん期の特微は,台風と

秋雨前線との相互作用が顕著なことである.まず,南方

洋上にある台風は秋雨前線を活発化して日本列島に豪雨

をもたらす(第12図).さらに,北上した台風は秋雨前

線をかかえ込んで温帯低気圧として再生することがあ

る.このような台風は日本列島に大災害をもたらす.戦

後の有名な台風の中でこの季節に襲来したものは数多く

ある.枕崎台風(1945.9.18),カスリン台風(1947.9.

、天気”26.6.

Page 11: 薔厩謡麿 - 公益社団法人 日本気象学会1979年6月 ただし,∂は南風成分,Tは気温,[〃]sと[T]、は それぞれ∂とTの季節平均であり,がとTノはそれ

大気大循環と日本の天気 359

40。

30。

20。

110。 120◎ 130● 140●

第12図 台風と秋りん前線の天気図(1976.9.10).

15),洞爺丸台風(1954・9・26-27),狩野川台風(1958.

9.26-27),伊勢湾台風(1959.9.26-27)など.

 6.6.秋から初冬の天気

 小笠原高気圧の後退とともに台風の経路も次第に東方

へ偏し,日本を避けて通るようになる.また,秋雨前線

は日本の南方洋上へ南下し,10月下旬頃になると移動性

高気圧が日本を通るようになる.秋の季節の推移は春と

逆と考えてよく,秋の初期には高気圧が帯状に停滞し易

く,日本各地は晴天が続く.東京オリンピックはちょう

どこのような期間に行なわれたのである.11月に入ると

移動性高気圧と低気圧が交互に去来するが,高気圧の中

ではたいへん穏やかなr小春日和」となる.

 しかし,11月下旬になると西高東低の気圧配置が一時

的に現われるようになり,北海道や日本海側ではしぐれ

たりにわか雪が降ったりする.春の進みに比べると秋の

進みは速く,北日本ではいち早く冬に入る.北西季節風

1979年6月

の吹出しははじめ1日ぐらいであるが,12月中ばを過ぎ

ると2日,3日と増えていき,本格的冬へと近づいていく.

 7.おわりに

 本講は,毎年気象大学校において行なわれているr研

修部普通科」での話を骨子としている.しかし,筆をと

っているうちいくつかあいまいなところが出て来て,第

2,3節は改めて考えたり調べ直したりした.まだ考え

が足りずに独断的なところもあるかもしれないが,これ

は講話の中のアクセントだと思って御容赦いただきた

い.

 四季の天気のところは,どうしても著者の住んでいる

日本中央部を念頭において述べがちであった.とくに,

九州や南西諸島の季節は実感として掴んでいないので迫

力が乏しかったようだ.次の機会にはもっと充実したも

のを書きたいと思う.

39

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360                  大気大循環と日本の天気

 本稿を書くにあたり貴重な御意見をいただいた,近藤

洋輝氏(気象大学校)に感謝する.

           文 献

  いちいち引用はしなかったが,本講を書くに当た

 って次の文献を参考にした.

 朝倉 正,1973:モソスーン期における水蒸気輸送

  と雲分布,気象研究ノート,117,13-22.

 福井英一郎,1964:気候学概論,朝倉書店.

 伊藤 博編,1976:気象1,H,東海大出版.

 糸数昌丈,1972:沖縄の気候,天気,19,231-242.

 駒林 誠,中村和郎,1976:日本の気候,科学,46,

  211-222.

Manabe,S.,T.B.Terpstra,1974:The e飾ct of

 mountains on the general circulation of the

 atmosphere as identi丘ed by numerical experi-

 ments,J.A.s。,31,3-41.

村上多喜雄,1951:梅雨あけの機構,気象集誌,29,

 162-175.

中村 一,1978:数値実験から見た大気大循環に対

 する力学的効果,天気,25,623-648・

二宮洗三,1975:集中豪雨の話,出光書店.

Newell,R.E.,J.w.Kidson,D・G・vincent and

 G.J.Boer,1973:The general circulation of

 the tropical atmosphere,1,II,M.LT.Prcss.

高橋浩一郎,1974:日本の天気,岩波新書.

和達清夫編,1958:日本の気候,東京堂.

吉野正敏,1968:気候学,地人書館.

気象学会および関連学会行事予定

行  事  名

第13回夏季大学「新しい気象学」

一日本の天気特集

日本気象学会関西支部第1回夏季大学「新しい気象学」大阪教室

第16回自然災害科学シンポジウム

昭和54年日本気象学会秋季大会

第17回粉体に関する討論会

第26回風に関するシンポジウム

第6回レーザ・レーダ(ライダー)シンポジウム

第5回リモートセンシングシンポジウム

国際統計気候学会議

開催年月日

昭和54年7月24日~27日

昭和54年8月1日~3日

昭和54年9月23日~24日

昭和54年10月24日~26日

昭和54年10月24日~26日

昭和54年10月30日

昭和54年11月8日~9日

昭和54年11月27日~28日

昭和54年11月29日~       12月1日

主催団体等

日本気象学会

日本気象学会関西支部

日本気象学会

レーザ・レーダ研究会

(社)計測自動制御学会

場 所

気象庁講堂

大阪市立労働会館

日本大学工学部

電気ビル(福岡市)

栃木県商工会館

農業技術研究所講堂

ホテル伊豆高原

機械振興会館

八王子セミナーハウス

40 、天気”26.6.