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昭 和42年11月20目 295 腸内における薬剤耐性腸内細菌について (2)1961年 と1965年 の耐性菌成績の比較 川崎市立衛生試験所 中村 武雄 時枝 正吉 大久保吉雄 北里大学 岡本 正孝 小沢 篤則 安斎 1.ま えがき 常 用 抗 生 剤 ス トレ プ トマ イ シ ン(SM),テ トラ サ イ ク リ ン(TC),ク ロ ラ ム フ エ ニ コ ー ル(CM), サ ル フ ア チ ァ ゾー ル(SA),に 対する耐性赤痢菌 の 頻 度 は年 々増 加 し,最 近全国における耐性赤痢 菌 は70%以 上 に昇 っ て い る状 態 で あ り,特 に最近 流 行 の 主 位 を 占め て い るSonnei菌 に お い て は, 80%以 上が耐性菌であ り,耐 性Sonnei菌 による 集 団赤 痢 が 増 加 して い る1)~2). これ ら常 用 抗生 剤 に対 す る耐 性菌 の 増 加 に 伴 な い,第2次 薬 と して カナ マ イ シ ン(KM),コ リス チ ン(CL),フ ラ ゾ リ ド ン(FZ),ナ リジ ツ クァ シ ツ ド(NA),ア ミノ ベ ンジ ー ル ペ ニ シ リ ン(A P)な どが 用 い られ る よ うに なっ て き たが,こ ら 治 療 薬 の 普 及 に と も な い,す で にFZ3),KM4~6) の耐性赤痢菌の検出が報告されている. 一・方 ,健 康人の耐性大腸菌にっいても多くの報 告 が な され て い る7)-3),ま た 中 村14),木 村15)ら は 大 腸 菌 に っ い て も赤 痢 菌 と同様 にKM耐 性菌の分 布 に っ い て の 報 告 を し て い る. 著 者 ら は,さ き に 健 康 人68名 に っ き,1961年5 月 よ り1年 間にわた り毎 月1回 抗 生 剤SM,TC, CMに つ い て 耐 性 腸 内 細 菌 の 分 離 を 行 な い,夏 に 耐 性 腸 内,細 菌 の 検 出 頻 度 が 高 く,耐 性パター ン はSM,TCの 単 独 耐 性 菌 が 大 部 分 で あ り,3 剤 耐 性 菌 が 少 な い こ と を 報 告 し て き た が12),今 も前 回 と同様 に,健i康 人65名 に っ き1965年5月 り1年 間 に わ た り,毎 月1回 抗 生 剤SM,TC, CM,SA,KMに っいてのの耐性腸内細菌の分 離 を 行 な い,赤 痢 菌 以外 の腸 内細 菌 にお い て も, 4年 間に赤痢菌同様に耐性菌が増加してきている か ど うか を,両 者の成績にっいて比較を行なった 結 果,興 味 あ る 所 見 を 得 た の で こ こ に 報 告 す る. 皿・対象および実験方法 (1)対 象:前 回 と 同 様 にN工 場の給食従事者 65名 に っ い て,1965年5月 よ り1966年4月 まで毎 月1回,抗 生 剤SM,TC,CM,SA,KM耐 性 腸 内 細 菌 の 分 離 を 行 な っ た. (2)実 験 方法:耐 性 腸 内 細 菌 の 検 査 方 法 は, 第1表 に示す通 りで あ る,す なわ ち,グ リセ リン 保 存液 に採 取 した大 便 を,普 通 のMacConkey培 地,お よ びSM,TC,CM,KMの 各25mcg/m1 薬 剤 入MacConkey培 地に塗抹 し,37℃20時 間培 養 後,お の お の の培 地 よ り3個 の 集 落 を と り,こ れ ら をTSI培 地 お よびペ プ トン水 に18時 間培養 し,TSI培 地 よ りは 生 化 学 的 性 状 検 査 と し て, IMVIC,反 応,KCN試 験,リ ジ ン脱 炭 酸 試 験,お よ び 尿 素 分 解 能 を 検 査 し,属 の決定を行な っ た.一 方,ペ プ トン水 か ら は,SM,TC, CM,KMの お の お の25mcg/ml薬 剤 入 ハ ー トイ ン フ イ ジ ヨ ン, 、お よびSA(ス ル フ ア ニ ル ア ミ ド) 100mcg/ml薬 剤 入Mueller-Hinton培

腸内における薬剤耐性腸内細菌について (2)1961年 と1965年 …journal.kansensho.or.jp/kansensho/backnumber/fulltext/41/...ら治療薬の普及にともない,す

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昭和42年11月20目 295

原 著

腸内における薬剤耐性腸内細菌について

(2)1961年 と1965年 の耐性菌成績の比較

川崎市立衛生試験所

中村 武雄 時枝 正吉 大久保吉雄

北里大学

岡本 正孝 小沢 篤則 安斎 博

1.ま え が き

常 用 抗 生 剤 ス トレ プ トマ イ シ ン(SM),テ トラ

サ イ ク リ ン(TC),ク ロラ ム フエ ニ コ ール(CM),

サ ル フ ア チ ァ ゾー ル(SA),に 対 す る耐 性 赤 痢 菌

の 頻 度 は年 々増 加 し,最 近 全 国 に お け る耐 性 赤 痢

菌 は70%以 上 に昇 っ て い る状 態 で あ り,特 に 最 近

流 行 の 主 位 を 占め て い るSonnei菌 に お い ては,

80%以 上 が 耐 性 菌 で あ り,耐 性Sonnei菌 に よ る

集 団赤 痢 が 増 加 して い る1)~2).

これ ら常 用 抗生 剤 に対 す る耐 性菌 の 増 加 に 伴 な

い,第2次 薬 と して カナ マ イ シ ン(KM),コ リス

チ ン(CL),フ ラ ゾ リ ドン(FZ),ナ リジ ツ クァ

シ ツ ド(NA),ア ミノ ベ ンジ ー ル ペ ニ シ リ ン(A

P)な どが 用 い られ る よ うに なっ て き たが,こ れ

ら 治療 薬 の 普 及 に と もな い,す で にFZ3),KM4~6)

の 耐 性 赤 痢 菌 の検 出 が 報 告 され て い る.

一・方,健 康 人 の 耐 性 大 腸 菌 に っ い て も多 くの報

告 が な され て い る7)-3),ま た 中村14),木 村15)ら は

大 腸 菌 に っ い て も赤 痢 菌 と同様 にKM耐 性 菌 の分

布 にっ い て の報 告 を して い る.

著 者 らは,さ き に健 康 人68名 にっ き,1961年5

月 よ り1年 間 に わ た り毎 月1回 抗 生 剤SM,TC,

CMに つ い て 耐 性 腸 内細 菌 の 分 離 を 行 な い,夏 季

に 耐 性 腸 内,細 菌 の 検 出 頻 度 が 高 く,耐 性 パ タ ー

ンはSM,TCの 単 独 耐 性菌 が 大部 分 で あ り,3

剤 耐 性 菌 が 少 な い こ とを報 告 して きた が12),今 回

も前 回 と同様 に,健i康 人65名 に っ き1965年5月 よ

り1年 間 に わ た り,毎 月1回 抗 生 剤SM,TC,

CM,SA,KMに っ い て の の耐 性 腸 内細 菌 の分

離 を行 な い,赤 痢 菌 以外 の腸 内細 菌 にお い て も,

4年 間 に赤 痢 菌 同様 に耐 性 菌 が 増 加 して きて い る

か ど うか を,両 者 の成 績 にっ い て比 較 を 行 な っ た

結 果,興 味 あ る所 見 を 得 た ので こ こに 報 告 す る.

皿・ 対 象 お よ び実 験 方 法

(1)対 象:前 回 と同 様 にN工 場 の給 食 従 事 者

65名 に っ い て,1965年5月 よ り1966年4月 ま で毎

月1回,抗 生 剤SM,TC,CM,SA,KM耐

性 腸 内 細 菌 の 分離 を行 な っ た.

(2)実 験 方法:耐 性 腸 内細 菌 の検 査 方 法 は,

第1表 に示 す 通 りで あ る,す なわ ち,グ リセ リ ン

保 存液 に採 取 した大 便 を,普 通 のMacConkey培

地,お よびSM,TC,CM,KMの 各25mcg/m1

薬 剤 入MacConkey培 地 に塗 抹 し,37℃20時 間培

養 後,お の お の の培 地 よ り3個 の 集 落 を と り,こ

れ らをTSI培 地 お よび ペ プ トン水 に18時 間 培 養

し,TSI培 地 よ りは生 化 学 的 性 状 検 査 と して,

IMVIC,反 応,KCN試 験,リ ジ ン脱 炭 酸 試

験,お よび尿 素 分 解 能 を 検 査 し,属 の決 定 を 行 な

っ た.一 方,ペ プ トン水 か らは,SM,TC,

CM,KMの お の おの25mcg/ml薬 剤 入 ハ ー トイ

ンフ イ ジ ヨ ン,、お よびSA(ス ル フ ア ニ ル ア ミ ド)

100mcg/ml薬 剤 入Mueller-Hinton培 地 に 劃線

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296 日本伝染病学会雑誌 第41巻 第8号

表1耐 性菌 の検査方法

培 養 を行 な い,再 び25mcg/ml耐 性 度 検 査 を 行 な

っ た.耐 性 菌 につ い て は,さ らにSM, TC, C

M,KMそ れ ぞ れ100mcg/ml薬 剤 入 ハ ー トイ ン

フ イ ジ ヨ ン平 板 培 地 に 劃 線 培 養 し,100mcg/ml

耐 性 度検 査 を行 な っ た.

m・ 実 験 成 績

(1)月 別 に お け るMacConkey培 地 に お け

る65名 よ りの,SM,TC,CM,KMそ れ ぞれ

100mcg/ml以 上 いず れ か に耐 性 を示 し た耐 性 腸

内細 菌 の検 出状 況 は,第1図 に 示 す とお り で あ

る.

す なわ ち,実 線 は1961年,点 線 は1965年 の耐 性

菌 の検 出 人 員 を現 す.1961年 に お い て は,5月,

6月 に は耐 性 菌 は検 出 され ず, 7月6.7%, 8月

1.6%, 9月4.5%, 10月7.2%, 11月 6.3%,

12月, 1月3.3% ,2月 は 検 出 されず, 3月3.2

%,4月 は 検 出 されず, 1年 間 の平 均 は3.1%の

検 出率 で あっ た. 1965年 に お い て は,5月7.7

%,6月20.0%,7月15.4%, 8月14.9%, 9月

6.6%, 10月9.5%, 11月9.8%, 12月12.7%,

1月11.7%, 2月4.9%, 3月8.1%, 4月5.1

%で あ っ て,1年 間 の平 均 は10.4%で あっ た.前

回 に 比 較 す る と,MacConkey培 地 を 用 いた 場 合

第1図 月別 に お け るMacConkey培 地 よ りの

SM.TC.CM.KM各 々100mcg/

ml以 上 耐 性 菌 検 出率(人 員)

に は 約3倍 の 高頻 度 に 耐 性菌 の 検 出 率 が 認 め られ

た.ま た各 月 に お いて も平 均 して 前 回 よ り高 頻 度

に検 出 され た.

(2)月 別 に お け るMacConkey培 地 よ りの,

SM,TC,CM,KMの そ れ ぞ れ100mcg/ml

以 上 の いず れ か に耐 性 を示 した 耐 性 腸 内細 菌 株 の

検 出率 は,第2図 に 示 す とお りで あ る.す なわ

ち,実 線 は1961年,点 線 は1965年 に お け る耐 性 菌

株 の 検 出 率 を 現 す.1961年 に お い て は,5月,6

第2図 月 別 に お け るMacConkey培 地 よ りの

SM. TC. CM.KM各 々100mcg/

ml以 上 の耐 性 菌 検 出 率

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昭和42年11月20日 297

月 は 検 出 され ず, 7月2.7%, 8月0.4%, 9月

2.7%, 10月6.1%, 11月4.8%, 12月1.4%,

1月2.8%,2月 は検 出 され ず, 3月1.9%, 4

月 は 検 出 され ず,1年 間 の平 均 は1.9%で あ っ

た.1965年 に お いて は,5月4.6%, 6月10.8

%, 7月7.7%, 8月6.6%, 9月3.0%, 10月

5.3%, 11月6.7%, 12月9.6%, 1月7.3%,

2月3.8%, 3月4.4%, 4月2.8%の 検 出頻 度

で あ っ て,1年 間 平 均6.1%で あ り,前 回 よ り約

3倍 の 検 出 率 で あ つ た.

(3)MacConkey培 地 よ り分 離 した100mcg/

ml以 上 の 耐 性菌 菌 株 の パ タ ー ンは 第2表 に示 す

とお りで あ る.す な わ ち,白 線 は1961年,黒 線 は

1965年 の 耐 性菌 株 検 出 率 を 現 す.1961年 に お け る

検 査 株 数2,764株,こ の うちSM単 独 耐 性菌25株

(0.9%),TC単 独 耐 性 菌 は12株(0.4%),SM,

TC,CM耐 性 菌 は53株(1.9%)で あ っ て,感

受 性菌 は2,711株(98.1%)で あ つ た.1965年 に

お け る検 査菌 株 数 は2,262株,こ の うちSM耐 性

菌 は29株 (1.3%), TC耐 性 菌 が52株(2.3%),

KM耐 性菌2株 (0.1%), SM,TC2剤 耐 性菌

が46株(2.0%), SM, TC,CM耐 性菌 が8株

(0.4%)で あ り,SAに 対 して は す べ て 耐 性 を

第2表MacConkey培 地 よ り分離 した100

mcg/ml以 上 の 耐性 菌 株 パ ター ン

示 した.従 っ てMacConkey培 地 よ りの耐 性 菌

に お い て は,特 に1961年 よ り1965年 に お い てTC

単 独 耐 性 菌,お よびSM,TC2剤 耐 性 菌 が 高 頻

度 に検 出 され た.

(4)1961年 に お け るSM,TC,CM薬 剤 入

MacConkey培 地 を 用 い て の100mcg/ml以 上 の

耐 性 菌 検 出人 員 の状 況 は 第3図 に示 す とお りで あ

る.

第3表1961年 にお け るSM.TC.CM薬 剤 入

MacConkey培 地 よ り100mcg/ml以 上 耐

性 菌 検 出率(人 員)

す な わ ち,実 線 はSM耐 性 菌 の 検 出 人 員 を 現 す

も の で あ っ て,5月7.5%, 6月10.0%, 7月

36.6%, 8月39.0%, 9月30.8%, 10月21.5%,

11月24.6%, 12月18.3%, 1月15.0%, 2月5.0

%, 3月7.9%, 4月17.2%で あ り, 7, 8, 9

月 の 夏 季 に 高 頻 度 に 検 出 さ れ た.ま た 点 線 はTC

耐 性 菌 検 出 人 員 を 現 す も の で あ っ て, 5月11.9

%, 6月23.3%, 7月23.3%, 8月48.4%, 9月

30.8%, 10月16.9%,11月21.3%, 12月13.3%,

1月10.0%, 2月6.7%,3月7.9%, 4月15.5

%で あ り, 7, 8, 9月 の 夏 季 に 特 に 高 頻 度 に 検

出 さ れ た.ま たA印 は,CM耐 性 菌 の 検 出 人 員 を

現 す も の で あ っ て, 5月4.8%, 6月5.0%,

7月1.7%, 8, 月4.7%, 9月3.1%, 10月4.6

%, 11月8.2%, 12月1.7%, 1月6.7%, 2月

3.3%, 3月3.2%, 4月10.3%で あ り,月 別 に

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298 日本伝染病学会雑誌 第41巻 第8号

お け る差 は み られ な か っ た.

(5)1965年 に お け る, SM, TC, CM, K

M薬 剤 入MacConkey培 地 よ りの100mcg/ml以

上 の耐 性 菌 の 検 出人 員 の状 況 は,第4図 に 示 す と

お りで あ る.す なわ ち,実 線 はSM耐 性 菌 の検 出

率 を現 す もの で あ っ て,5月40.0%, 6月69.2

%, 7月78.5%, 8月82.1%, 9月58.2%,10月

57.1%, 11月39.3%, 12月36.5%, 1月20.0%,

2月11.5%, 3月17.7%, 4月17.7%で あ り,

前 回 と同様 に7,8月 の夏 季 に特 に 多 く検 出 され

た.従 っ て前 回 よ りは約2倍 の頻 度 に耐 性 菌 が 検

出 され た.

第4図1965年 に お け るSM.TC.CM薬 剤 入

MacConkey培 地 よ り100mcg/ml以 上 耐

性菌 検 出率(人 員)

ま た 点 線 はTC耐 性 菌 検 出 率 を 現 す も の で あ っ

て,5月38.5%, 6月76.9%, 7月78.5%, 8月

70.196, 9月56.7%, 10月41.2%, 11月28.6%,

12月27.0%, 1月26.7%, 2月26.2%, 3月27.4

%, 4月25.0%で あ っ て,前 回 と 同 様 に7,8月

の 夏 季 に 高 頻 度 に 検 出 さ れ た.な お 前 回 よ りは2

倍 の 頻 度 に 耐 性 菌 が 検 出 さ れ た.ま たA印 はCM

耐 性 菌 の 検 出 人 員 を 現 す も の で あ っ っ て,5月

9.2%, 6月16.9%, 7月20.0%38月23.9%,

9月9.0%, 10月15.9%, 11月3.3%, 12月3.2

%, 1月0%, 2月4.9%, 3月4.8%, 4月

5.0%で あ り,前 回 に比 較 して,6, 7, 8月 の

夏 季 に特 に4倍 もの 高頻 度 に検 出 され た 点 に お い

て異 っ て い る.ま た他 の 月 に お い て は 差 は み られ

な か つ た.口 印 はKM耐 性菌 検 出 人 員 を 現 す もの

で あ つ て,5月12.3%, 6月43.1%, 7月9.2

%, 8月5.9%, 9月7.5%, 10月6.396, 11月

0%,12月4.8%,1月5.0%P,2月0%,3月

3.2%,4月8.3%,で あ っ て,5,6,月 に お

い て 高 頻 度 に 検 出 され た 以 外5%前 後 の 検 出人 員

で あ っ た.

こ こで 興 味 あ る点 と して,SM,TC耐 性 菌 に

お いて は 前 回 と同様 に7,8月 の夏 季 に 高 率 で あ

っ て,特 に1965年 に お い て は,2倍 に増 加 して い

る こ と,ま たCM耐 性 菌 に お い て も,前 回 に お い

て は,月 別 の差 はみ られ な かっ た が,今 回 の検 査

に お い て は7,8月 の夏 季 に お い て4倍 の頻 度 で

検 出 され た 点 に お い て注 目され た.

(6)薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分 離 した,

耐 性 菌 菌 株 の 耐 性 パ タ ー ンは,第3表 に 示 す とお

りで あ る.す な わ ち,白 線 は1961年,黒 線 は1965

年 にお け る耐 性 菌 のパ タ ー ンを現 す.

第3表 薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分 離 した

100mcg/ml以 上 の耐 性 菌 の パ タ ー ン

1961年 に お け る25mcg/ml以 上 の耐 性 菌 は943

株,こ の うち100mcg/ml以 上 の耐 性 菌 は628株

(66.6%),1965年 に お い て は,3,736株 の う ち

100mcg/ml以 上 の 耐 性 菌 は1988株(53.2)%で あ

っ た.こ れ らの耐 性 パ タ ー ンに つ い て は,前 回 は

SM単 独 耐 性 菌222株(23.4%),TC単 独 耐 性 菌

246株(26.2%)で あ っ て,今 回 はSM耐 性 菌

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昭和42年11月20日 299

321株(8.6%),TC耐 性 菌425株(11.4%)で

あ りは るか に 前 回 の 検 査 に お い て単 独 耐 性菌 の 検

出 率 が 高 か っ た.

ま た,今 回KM耐 性菌 は136株(3.6%)で あ

った.2剤 耐 性 菌 に っ い て み る と,前 回 はSM,

TC耐 性 菌 は42株(4.5%),今 回 は796株(21.3

%)と 約5倍 の 検 出 率 を示 し た.こ の こ と は

MacConkey培 地 にお け る検 出率 と同 様 の成 績 で

あっ て,ま たSM,CM耐 性 菌 お よびTC,CM

耐 性 菌bは,前 回 は15株(1.6%),2株(0.2%)

で あつ て,今 回 はSM,CM耐 性 菌 が14株(0.4

%),TC,CM耐 性 菌 が15株(0.4%)と ほ ぼ 同

じ検 出率 で あっ た.な お今 回 はSM,KM耐 性 菌

1株(0.03%),お よびTC,KM耐 性 菌 が4株

(0.1%)検 出 され た.ま た,3剤 耐 性 菌 に っ い て

み る と,SM,TC,CM3剤 耐 性 菌 は,前 回 は

101株(10.7%),今 回 は269株(7.2%)と わ ず

か に 検 出 率 は 少 なか っ た.な お 今 回 はSM,TC,

KM耐 性 菌5株(0.1%),お よびSM,CM,KM

耐 性 菌1株(0.03%)が 検 出 され た,ま たSM,

TC,CM,KM,SA5剤 耐 性 菌 が1株(0.03

%)検 出 され た,し か し この菌 株 の耐 性 伝 達 因 子

に っ い て 調 べ た 結 果 耐 性 伝 達 因 子 は 認 め られ なか

っ た.SAに っ い て は,す べ て の菌 株 が100mc9/

ml以 上 の耐 性 度 を 示 した.

耐 性 パ タ ー ンに っ い てみ る と,前 回 にお け る検

査 と,今 回 の検 査 を比 較 す る と,SM,TCの お

の お の 単 独 耐 性 菌 は,今 回 の検 査 に お い て の検

出 率 は低 かつ た.2剤 以 上 の耐 性 菌 にっ い て は,

前 回 は628株 の うち160株(25.5%)で あっ た

が,今 回 は1988株 中882株(44.4%)で あ っ て

約2倍 の検 出率 を 示 した.こ の 点 に つ い て は,

MacConkey培 地 を用 い て の検 査 に お い て も,前

回 は30.2%で あっ たが,今 回 は60.6%と2倍 の検

出 率 を 示 した.特 に今 回SM,TC2剤 耐 性 菌 が

高 頻 度 に 検 出 され た 点 は興 味 あ る所 見 で あっ た.

(7)薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分 離 した25

mcg/ml以 上 の耐 性 菌 菌 種 は,第4表 に 示 す とお

りで あ る.す なわ ち,E.Coliに お い て は,今 回

は前 回 よ り14%検 出率 が 高 く,Citrobacterに お い

表4薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分 離 し た25

mcg/ml以 上 の耐 性 菌 種1961年

1965年

KM薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分 離 した25mcg/

ml以 上 の耐 性 菌 種

て は前 回 の1/3の検 出 率 で あ り,ま たEnterobacter

に お いて は 差 は み られ な か つ た.な お,MacCon-

key培 地 よ り分 離 した耐 性菌 株 の菌 種 は,E.Coli

85%,Citrobacter10%,Enterobacter5%前

後 の検 出率 で あ っ て,前 回 との差 は み られ な かつ

た.こ の こ とは 著 者 らが 集 落 の選 択 に 当 り 主 に

E.Coliを 指標 と して選 択 したた め で あ ろ う.従

つ て,MacConkey培 地,薬 剤 入MacConkey培

地 共 にE.Coliの 検 出 率 の 高 い 成 績 を得 た も の

で あ る.ま たKM薬 剤 入MacConkey培 地 よ り分

離 した25mcg/ml以 上 の 耐 性 菌 種 は,E.Coli15

%,Citrobacter77.8%,Enterobacter7.1、%で あ

っ て,KM耐 性 菌 にお い ては,KM薬 剤 入Mac-

Conkey培 地 お よびMacConkey培 地 いず れ の培

地 を用 い て耐 性 検 査 を 行 なつ て もCitrobacterの

耐 性 菌 が 高 率 に検 出 され た.す な わ ち,CM,T

C,SM耐 性 菌 と異 っ て,KM耐 性菌 は腸 内細 菌

の うち で もCitrobacterが 特 に耐 性 に な り易 い よ

うに思 わ れ る.

(8)KM100mcg/ml耐 性 菌 の 中 に菌 株 保 存

中 に耐 性 度 の 低 下 を 示 す 菌株 が み られ た.第5表

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300 日本伝染病学 会雑誌 第41巻 第8号

表5KM100mcg/ml耐 性菌 の耐性 度変化

KM耐 性菌161株 中耐性度の低下菌株44株(27%)

に示 す とお り,KM耐 性 菌161株 の うち 耐 性 度 の

低 下 を示 した も の は44株(2.7%)で あつ て,す

なわ ち,1ヵ 月菌 株 保 存 後 で 耐 性 度 が50mcgに

低 下 した もの7株,25mcg/mlに 低 下 を 示 した も

の は2株,2ヵ 月 で50mcg/ml低 下 が8株,3カ

月 で50mcg/ml低 下 が6株,4ヵ 月 で50mcg/ml

低 下 が8株,25mcg/ml低 下 が1株,5ヵ 月 で50

mcg/ml低 下 が12株 で あ っ て,5ヵ 月 間 に50mcg/

mlに 耐 性 度 の低 下 を示 した もの は41株(25.5%),

25mcg/m1に 低 下 を示 した もの が3株(1.5%)

で あ つ た.ま たSM,TC,CM耐 性 菌 に お い て

も一 部 検 査 を 行 な っ た が,5%前 後 の耐 性 度 の低

下 が み られ た の み で あ つ て,KM耐 性 菌 の27%よ

りは,は るか に低 い低 下 で あ っ た.

IV.考 察

健 康 人 に つ い て の,抗 生 剤 耐 性 腸 内 細菌 に っ い

て,1961年68名,1965年65名 に つ い て,そ れ ぞ れ

1年 間 毎 月1回 検 査 を 行 な い,耐 性菌 の 出 現 頻 度

につ いて の比 較 を 行 な っ た 結果,上 述 の ご と き成

績 を 得 た ので これ に っ い て 考 察 す る.

MacConkey培 地 を 用 い て の,耐 性菌 の 出 現頻

度 は,年 間 を通 じて相 当 の変 動 が み られ た.

す なわ ち,SM,TC,CM,KMそ れ ぞ れ

100mcg/ml以 上 の いず れ か に お け る 耐 性 菌 の検

出人 員 の最 も多 い 月 は,前 回 は7月6.7%,10月

7.2%,11月6.3%で あ り,年 間平 均3.1%で あ

っ た.ま た,今 回 は6月20.0%,7月15.4%,8

月14.9%で 特 に 夏季 に 多 く検 出 され た.な お,年

間 平 均10.4%で あ り,前 回 の3倍 の増 加 が み られ

た.夏 季 に 特 に 多 く検 出 され る こ とは,小 張13)ら

に よ る報 告 と 同一 の 成 績 で あ る.

耐 性 菌 の パ タ ー ンに っ い て み る と,今 回 は特 に

TC単 独 耐 性 菌 が 前 回 よ り5倍 の 増 加 が み られ た

こ と,お よびSM,TC2剤 耐 性 菌 が 前 回 は 全 く

み られ な か っ た が,今 回 は 最 も多 く,検 査'菌株 数

2,262株 の うち2%に 耐 性 菌 が 検 出 され た.し か

し,SM,TC,CM,SA耐 性 菌 に お いて は 差

はみ られ な かつ た.し た が っ て,赤 痢 菌 の多 剤 耐

性 菌 とは異 る もの で あ るが,耐 性 菌 の うち2剤 以

上 の耐 性 菌 が増 加 して い る こ とは,赤 痢 の耐 性 パ

タ ー ンに近 づ い て い る こ とを示 す もの で は な い だ

ろ うか.

1961年 のSM,TC,CM25mcg/ml薬 剤 入 の

そ れ ぞれ のMacConkey培 地 を 用 い て耐 性 菌 の 検

査 を行 なつ た 成 績 で は,SM薬 剤 入 培 地 よ り の

100mcg/ml以 上 の耐 性 菌 で特 に 多 く検 出 され た

の は,7月31.6%,8月39.0%,9月30.8%と 夏

季 に特 に 多 く検 出 され,年 間 の平 均 は19.1%で あ

っ た.

今 回 に お い て も夏季 の6月69.2%,7月78.2

%,8月82.1%,9月58.2%と 夏季 に 多 くみ られ

た.年 間 平 均49.2%と 前 回 の2倍 以 上 の 増 加 を示

して い る.TC薬 剤 入MacConkey培 地 に つ い て

も,前 回 は6,7月23.3%,8月48.4%,9'月30.8

%と 夏 季 に 多 く,今 回 も6月76.9%,7月78.5

%,8月70.1%,9月56.7%と 夏季 に 特 に 多 く

検 出 さ れ た.年 間平 均 は前 回 の19.1%に 対 し今 回

は48.1%と2倍 以上 の耐 性 菌 検 出率 で あっ た.ま

た,CM薬 剤 入培 地 を用 い て の場 合 に お い て は,

前 回 は 月 別 に お け る差 は み られ な く,月 平 均4.7

%で あ っ た が,今 回 は6月16.9%,学 月20.0%,

8月23.9%で 夏季 に特 に 多 く検 出 さ れ た 点 は前 回

とは 異 な る もの で あ る.ま た,月 平 均 に お い て も

10.7%と 前 回 の2倍 の 検 出 率 で あ り,CMの 使 用

が 増 加 して い る こ とを示 す もの と思 わ れ る.

SM,TC,CMの 耐 性 菌 に っ き前 回 と比 較 し

て,す べ て が2倍 以 上 に 検 出 率 が 増 加 して お り,

赤 痢 耐 性 菌 の 検 出 率 が,5年 前 は20%前 後 で あっ

た が,現 在 は70%と なっ て お り,3倍 以 上 の増 加

で あ る.大 腸 菌 お よび そ の他 の腸 内細 菌 に お い て

も2倍 以 上 の増 加 を 示 し,赤 痢 菌 同様 に耐 性 菌 の

増 加 が み られ た.

最 近,第2次 薬 と してKMを 使 用 す る機 会 が 多

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昭和42年11月20日 301

くなってきているので,KM薬 剤入培地を用いて

検査 した結果,5月12.3%,6月43.1%と 特に検

出率は高かったのであるが,他 の月は5%前 後の

検出率であ り,11,2月 は全 く検出されな か つ

た.平 均9.7%で あ り,KM耐 性菌にっいては,

すでに木村5)は 昭和38年 に赤痢歯においてSM,

TC,CM,SA,KMの5剤 耐性菌の検出の報

告を し,さ らに木村6)は5剤 耐性赤痢菌について

のR因 子伝達をみとめている.し たがって,今 後

は第2次 薬 としてKMの 使用の増加とともに,K

M耐 性菌の増加を示す ものと思われるが,す でに

大腸菌において10%の 耐性菌がみられたことは注

目される.な お,前 回同様に夏季に耐性菌の検出

頻度が高いことは,夏 季による下痢症などにより

抗生剤の使用機会が多いためか,あ るいは夏季の

飲食物中に耐性大腸菌の混入したものを採取 され

る機会が多いため と思われる.

薬剤入培地 より分離 した耐性菌の耐性パターン

にっいてみると,SM,TC単 独耐性菌において

は,前 回よ り検出率は少なく半分の検出であった

が,SM,TC2剤 耐性菌はMacConkey培 地 と

同様に今回は4倍 の耐性菌検出率で あ つ た.ま

た,CM,TC,SMの3剤 耐性菌においては,

前回よりはわずかに少なかったが,し かし2剤 以

上の耐性菌においては,前 回は628株 のうち2剤

以上耐性菌株は1160株22.5%で あったが,今 回は

1,988株 中882株44.4%で 約2倍 の増加が認めら

れた.し たがって,赤 痢菌 と同様に大腸菌,そ の

他の腸内細菌においても2剤 以上の耐性菌の増加

がみられた.ま た,木 村6)が赤痢保菌者から赤痢

菌,お よび大腸菌のSA,SM,TC,CM,K

Mの5剤 耐性菌にっいての報告を しているが,今

回の検査において,SA,SM,TC,CM,K

Mの パターンを示す5剤 耐性のCitrobacterを 分

離 したが,耐 性伝達因子はみられなかった.こ の

ように,多 剤耐性菌の増加は今後の防疫および治

療面に困難をきたす可能性が考えられる.

検査菌種にっいては,MacConkey培 地,薬 剤

入MacConkey培 地共に前回と同様に,CM,

TC,SM耐 性菌においては,大 腸菌 が75%,

Citrobacter20%,Enterobacter5%前 後 で あっ た.

この こ とは,著 者 らが 検 査 指 標 をE.Coliに お い

て検 査 した た め で あ ろ う.し か し,KM耐 性 菌 に

お い て はMacConkey培 地,薬 剤 入MacConkey

培 地 共 にCitrobacterが 大 部 分 で78%がCitrobacter

で あ っ た点 は,Citrobacterが 特 にKMに 耐 性 に な

りやす い よ うに思 わ れ る.ま たKM耐 性 菌161株

に っ い て菌 株 保 存 中 耐 性 度 に 変 化 が み られ るか を

検 査 した と ころ,6ヵ 月 間 に50mcg/ml,あ るい は

25mcg/ml低 下 に 低 下 す る菌 株 が27%み られ た 点

はSM,TC,CM耐 性 菌 とは異 な り興 味 あ る点

で あ っ た.

V・ 結 論

健 康 入 に っ い て,1961年 と1965年 に お け る耐 性

菌 の検 出頻 度 に つ い て 比 較 を 行 なっ た 結 果,両 者

共 に 夏 季 の6月 ~9月 に 耐 性 菌 検 出 頻 度 が 高 率 で

あつ た.耐 性 菌 の検 出率 は前 回 の3倍 で あ り,耐

性 パ タ ー ンに お い て も前 回 は,SM,TCそ れ ぞ

れ単 独 耐 性 菌 が 多 く検 出 され た が,今 回 は2剤 以

上 の 耐 性菌 が特 に 多 く,前 回 の2倍 以 上 の 検 出 が

み られ た.特 に,SM,TC2剤 耐 性 菌 が 多 く検

出 され た.

また,SM,TC,CM,SA,KM5剤 耐 性

菌 のCitrobacterを1株 分 離 した が,伝 達 因 子 は

有 さな か っ た.

耐 性菌 の菌 種 に っ い て み る と,SM,TC,C

M耐 性 菌 は 大 腸 菌 が75%を 示 め て い る が,KM耐

性 菌 に お い て は78%がCitrobacterで あ っ た.

KM耐 性 菌 の 中 に は6ヵ 月 間 の 菌株 保 存 中,5q

mcg/ml,あ る い は25mcg/ml以 下 に 耐 性 度 の 低 下

す る菌 株 が約27%あ つ た.

本論文は第40回 日本伝染病学 会総 会 および第23回 日

本 公衆衛生学会総会において発表 した.

文 献

1)六 大都市伝染病院薬剤耐性赤痢共同研究班;薬

剤性赤痢菌 の 分布 およ び 治療 に 関す る 研究,

1963年.

2)薬 剤耐性赤痢研 究会;昭 和37年 ~39年 度6大

都市に くおけ る サル フア 剤お よび 抗生剤耐性

赤痢菌の 分布な らびに 年次別推移:日 伝染 会

誌;39(6):234,日 召40.

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302 日本伝染病学 会雑誌 第41巻 第8号

3) 広 済 幸 男, 杉 山 茂 彦, 橋 本 博, 中 島 邦 夫 , 土 肥

恪 夫, 笠 原 重 俊: 日児 誌, 36: 69, 1962.

4) 篠 川 至, 池 村 謙 吾: 新 潟 県 に お け る耐 性赤 痢 菌

の 推 移, 特 に カナ マ イ シ ソ耐 性 赤 痢 菌 に つ い

て. 日伝染 会 誌; 37 (9): 361, 昭38.

5) 木 村貞 夫, 水 野考 重 , 福 島敏 雄, 山 下三 郎: 昭

和38年 栃 木 県分 離 赤 痢 菌 の菌 型 な ら び に 薬 剤

感 受性 に つ い て. 日伝 染 会誌, 38 (5): 159,

昭39.

6) 木 村 貞 夫 他: 5剤 耐 性 赤 痢 菌, 5剤 耐 性 大 腸 菌

の分 離 に つ い て. 日細 菌 誌, 21 (3): 183, 1966

年.

7) 福 島敏 雄: 薬 剤 耐 性 大 腸 菌 の 分 布 に 関 す る研

究, 日伝染 会 誌, 34 (9): 955, 昭35.

8) 渡 辺 咬 平: 腸 内 細 菌 の 薬 剤 耐 性 獲 得 機 序 に 関

す る 研 究 (第1報); 日伝染 会 誌, 35 (1): 9,

昭36.

9) 三橋 進 ほ か: 腸 内 細 菌 の 薬 剤 耐 性 に 関 す る研

究, 第3報 人 よ り分離 した 多 剤耐 性 大腸 菌 お

よびcitrobacterと 宿主 糞便 中 の含 有率 に つ い

て. 日細 菌 誌, 15 (11): 1120, 1960年.

10) 善 養 寺 浩 ほ か: 腸 内細 菌 の 薬剤 耐 性 に関 す る

研 究,(16) 東 京 都 内居 住 者 か ら 分 離 され た多

剤 耐 性 大 腸 菌 につ い て, 日細 菌 誌, 16 (12):

1015, 1961年.

11) 本 多 忠 衛 ほか: 腸 内細 菌 の 薬 剤 耐 性 に 関 す る

研 究.(10) 薬 剤 耐 性 大 腸 菌 の調 査 に つ い て.

日細 菌 誌, 17 (1): 1, 1961年.

12) 中村 武 雄 ほか: 腸 内 に お け る 薬 剤 耐 性 腸 内 細

菌 に っ い て,(1) 健 康 人 の 薬 剤 耐 性 菌 の 消 長;

日細 菌 誌, 18 (3): 125, 1963年.

13) 小 張 一 峰 ほ か: 日伝染 会 誌, 35 (7): 510, 昭36 .

14) 中村 武雄 ほか: 健 康 者 に お け る カナ マ イ シ ソ

耐 性 腸 内 細 菌 に つ い て, 第12回 神 奈川 県 公衆 衛

生 学 会 誌, 昭 和40年12月.

15) 木 村 貞 夫, 篠 川至 ほ か: カナ マ イ シ ソ 耐性 腸

内 細 菌 の 分 布 お よびR因 子 に よ る カナ マ イ シ

ソ耐 性 の伝 達 に つ い て. 日細 菌 誌, 19 (6): 306 ,

1964年.

On Drug-resistant Enterobacteriaceae

(2) Comparison of the Results Obtained in 1961 and 1965

Takeo NAKAMURA, Masayoshi TOKIEDA and Yoshio OKUBO

Public Health Laboratory, Kawasaki city

Masataka OKAMOTO, Atunori OZAWA and Hiroshi ANZAI

Kitasato University. School of Hygienic Science

The authors tried isolations of drug-resistant bacilli from the feces of 68 healthy persons in 1961 and65 persons in 1965 at monthly intervals during a one-year-period respectively using the MacConkey agars ,each of which contains an antibiotic, i.e. streptomycin (SM), tetracycline (TC), chloramphenicol (CP)or kanamycin (KM) of 25 mcg/ml concentration level at the lowest.

The comparison of these experiments in different two periods leads the authors to the followingconclusions:

1) The number of strains which were viable on the MacConkey agars containing above mentionedantibiotics in as high as 100 mcg/ml concentration level has markedly increased in the course of four

years lapse.2) Common tendency seen in the both experiments is that the incidence of SM-resistant and TC -

resistant bacilli was greater than that of CP-resistant and KM-resistant bacilli .3) In regard to SM and TC resistance, the incidence of single-drug-resistant bacilli to SM or TO

was greater in 1961, whereas, that of duple-drug-resistant bacilli against the both drugs was greater in 1965.4) Triple-drug-resistant enterobacteriaceae against SM, TO, and CP were found in far lower per-

centage compared with the incidence of shigella of such resistant pattern . Seventy five percent of thesestrains were belonging to Escherichia coli.

5) A small number of KM-resistant strains isolated in the experiment in 1965 was mostly citrobacter .These strains, however, were apt to lose the resistance within six months after the isolation .

6) In general, the incidence of drug-resistant enterobacteriaceae was greater in summer than in otherseasons.