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MWE2014 WS13-02 誘電体および回路基板に必要なマイクロ波・ミリ波計測技術 Microwave and Millimeter-wave Measurement Techniques for Dielectrics and Circuit Substrates 小林禧夫 Yoshio KOBAYASHI サムテック有限会社 SUMTEC, Inc. 概要 近年、マイクロ波・ミリ波機器の新機種開発期間が短くなり、かつ多品種少量生産時代の到来とともに、従 来のマイクロ波・ミリ波回路の設計と試作期間を短縮させることが急務とされている。このためには、電子 材料定数のより正確な測定値を用いて、最近発達の著しい電磁界計算ソフトおよび回路設計ソフトにより回 路設計の高精度化をはかり、試作による設計変更の行程を減少させることが有効である。また、情報機器の 高ビットレート化の波はミリ波帯における低損失誘電体基板の開発を促している。本 WS ではまず AR1000 基板について正確な材料定数の測定結果を用いれば、 HFSS などの電磁界解析ソフトにより電子回路の高精度 設計が可能となることを示す。さらに材料の高精度測定法の概略を述べ、特に、1 つの共振器の多重モード を用いて 100GHzまでの周波数依存性測定が可能な平衡形円板共振器法(左図)について述べる。最後にシ クロオレフィンポリマー(COP)基板は、その周波数依存性(右図)及び温度依存性の測定結果より、マイクロ 波ミリ波帯にわたる低損失誘電体基板として有望なことを示す。 Abstract Accurate measurement techniques of material are important to develop new dielectric substrates and to design circuits precisely in microwave and millimeter-wave region. A precise design of MSL on an AR1000 substrate was realized by HFSS software using accurate measured results of the substrate. A balanced type circular disk resonator method is reviewed to measure the frequency and temperature dependences of the complex permittivity of dielectric substrates precisely. The measured results of COP substrate showed to be low loss circuit substrates. 2.3励振孔 1.85 同軸コネクタ 1.2励振孔 1.0 同軸コネクタ 平衡形円板共振器 2.45 2.40 2.35 2.30 2.25 2.20 2.15 2.10 r rt , tan t t=0.561±0.002mm t=0.563±0.001mm t=0.564±0.001mm rn , tan n t=0.378±0.002mm 16 12 8 4 0 tan ( x10 -4 ) 120 100 80 60 40 20 0 Frequency (GHz) COP(ZF-16)基板の測定結果

誘電体および回路基板に必要なマイクロ波・ミリ波 …€¦AR1000 積層基板に関する材料定数の周波数依 存性の測定結果を図3 に示す[1]。ここに、

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  • MWE2014 WS13-02

    誘電体および回路基板に必要なマイクロ波・ミリ波計測技術Microwave and Millimeter-wave Measurement Techniques

    for Dielectrics and Circuit Substrates小林禧夫

    Yoshio KOBAYASHI

    サムテック有限会社

    SUMTEC, Inc.

    概要

    近年、マイクロ波・ミリ波機器の新機種開発期間が短くなり、かつ多品種少量生産時代の到来とともに、従

    来のマイクロ波・ミリ波回路の設計と試作期間を短縮させることが急務とされている。このためには、電子

    材料定数のより正確な測定値を用いて、最近発達の著しい電磁界計算ソフトおよび回路設計ソフトにより回

    路設計の高精度化をはかり、試作による設計変更の行程を減少させることが有効である。また、情報機器の

    高ビットレート化の波はミリ波帯における低損失誘電体基板の開発を促している。本 WS ではまず AR1000基板について正確な材料定数の測定結果を用いれば、HFSS などの電磁界解析ソフトにより電子回路の高精度設計が可能となることを示す。さらに材料の高精度測定法の概略を述べ、特に、1 つの共振器の多重モードを用いて 100GHzまでの周波数依存性測定が可能な平衡形円板共振器法(左図)について述べる。最後にシクロオレフィンポリマー(COP)基板は、その周波数依存性(右図)及び温度依存性の測定結果より、マイクロ波ミリ波帯にわたる低損失誘電体基板として有望なことを示す。

    Abstract

    Accurate measurement techniques of material are important to develop new dielectric substrates and to design circuits precisely in microwave and millimeter-wave region. A precise design of MSL on an AR1000 substrate was realized by HFSS software using accurate measured results of the substrate. A balanced type circular disk resonator method is reviewed to measure the frequency and temperature dependences of the complex permittivity of dielectric substrates precisely. The measured results of COP substrate showed to be low loss circuit substrates.

    2.3励振孔 1.85 同軸コネクタ

    1.2励振孔1.0 同軸コネクタ

    図 平衡形円板共振器

    2.45

    2.40

    2.35

    2.30

    2.25

    2.20

    2.15

    2.10

    r rt, tant t=0.561±0.002mmt=0.563±0.001mmt=0.564±0.001mm

    rn, tann t=0.378±0.002mm

    16

    12

    8

    4

    0

    tan (

    x10-

    4 )

    120100806040200

    Frequency (GHz)

    図 COP(ZF-16)基板の測定結果

  • 1. まえがき

    近年、マイクロ波・ミリ波機器の新機種開発期間

    が短くなり、かつ多品種少量生産時代の到来ととも

    に、従来のマイクロ波・ミリ波回路の設計と試作期

    間を短縮させることが急務とされている。このため

    には、電子材料定数のより正確な測定値を用いて、

    最近発達の著しい電磁界計算ソフトおよび回路設計

    ソフトを用いて回路設計の高精度化をはかり、試作

    による設計変更の行程を減少させることが有効であ

    る。また、情報機器の高ビットレート化の波はミリ

    波帯における低損失誘電体基板の開発を促している。 従来よりマイクロ波平面回路の構成には、種々の

    銅張り誘電体積層基板よく用いられてきた。その構

    造を図1に示す。これは有機樹脂(比誘電率r=2~4)を含浸させたガラス(r=6.3)クロスを適当な厚さに積層して、その両面を電界銅箔ではさみ、熱圧着に

    より硬化させて構成される。したがって、垂直方向の

    複素比誘電率(rn, tann)は面方向の複素比誘電率(rt, tant)と値が異なり、異方性をもつ。また、ガラスクロスと接する銅箔裏面は接着強度を強めるために厚

    さ 2~5m 面粗しされている。マイクロ波帯では表皮効果により電流は導体表面を数ミクロンの厚さし

    か流れないので、基板と接する面の界面比導電率rb

    は、銅箔表面の比導電率rf よりも実効的に低い値と

    なり、しかも周波数依存性をもつことがわかってき

    た。

    図1 銅張り誘電体積層基板の構造

    一方、マイクロ波平面回路の構成には、従来図 2(a)に示すマイクロストリップ線路(MSL)構造が用いられてきた。しかし、ミリ波帯になると、ネットワー

    クアナライザの同軸線とマイクロストリップ線との

    変換が困難になり、マイクロプローバーによるミリ

    波測定が容易な図 2(b)に示すコプレーナー線路構造

    がよく使われるようになった。電界は誘電率に作用

    するので、マイクロストリップ構造ではrn が支配的

    となり、コプレーナー構造ではrtが支配的となる。

    また、平行線路間の結合や図 2(c)に示すディファレンスラインの設計の際にも、rtの役割が重要となる。

    (a) マイクロストリップ線路 (b)コプレーナー線路

    (b) ディファレンシャルライン

    (c)

    図 2 マイクロ波配線の構成例 しかるに、従来のマイクロ波・ミリ波平面回路の

    設計の多くは、基板メーカーから提供される比誘電

    率と誘電正接の公称値(多くは 1MHz におけるrn, tann の測定値)を用いて設計されており、その設計値をもとに試作を行うと、当然その測定結果は設

    計値と合わない事例が多々生じる。この結果、現状

    では経験による回路パターンの調整と試作による検

    証を繰り返して設計値に合わせ込むプロセスを取ら

    れていた。 本講演では、材料定数を正確に評価し、HFSS な

    どの電磁界計算ソフトを用いることにより電子回路

    の高精度設計が可能であることを述べる。また誘電

    体基板材料の電気的特性の評価方法の概略を説明し、

    シクロオレフィンポリマー(COP)のマイクロ波・ミリ波帯にわたる測定結果について述べる。 2. AR1000 基板を用いた MSL の伝搬定数の

    高精度設計

    最近、材料定数の正確な値を用いて電磁界シミュ

    レータにより平面回路設計すれば、高精度設計が可

    能となることが実証された[1],[2]。ここではガラスクロス・セラミック・PTFE 系積層基板 AR1000基板を用いて、50ΩMSL の高精度設計例につ

    rt

    rn

    地導体

    線路導体

    誘電体基板rt

    電界 磁界 rnrt

    銅箔

    樹脂含浸ガラスクロス

    }

    rnrt

    接着面は面粗し

    表面抵抗Rsf(表面比導電率σrf)

    界面抵抗Rsb

    (界面比導電率σrb)

  • いて述べる。 AR1000 積層基板に関する材料定数の周波数依

    存性の測定結果を図 3 に示す[1]。ここに、rt, tantは面方向の比誘電率および誘電正接、rn, tann は基板の垂直方向の比誘電率および誘電正接、rf(Cu)は基板上の銅箔表面の表面比導電率、rb(Cu)は基板と銅箔との境界における界面比導電率である。基

    図 3 AR1000 の材料定数の測定結果 板厚さ t=0.64mm, 銅箔厚さ tc=0.018mm の AR1000基板を用いて、図4に示す 50ΩMSLを設計した[1]。これらの測定値の周波数依存性を考慮し、電磁界解

    析ソフト HFSS によりこの MSL の減衰定数α(dB/cm)及び実効比誘電率εeff を計算した。これらの計算結果及び測定結果を図 5 に示す。なお同図には、比較のため公称値r=9,7、tan=0.003 を用いた場合

    Dielectric laminate substrate

    rt , tant

    rn , tann rb

    h

    tcWMSL

    L

    Line conductor

    Ground conductor

    rf

    tc

    図4 銅張誘電体積層基板を用いた MSL の構造

    図 5 AR1000 基板を用いた 50ΩMSL のα及びεeff

    の計算結果及び測定結果 の計算結果を三角印で示す。材料の測定結果を用 いて計算したα及びεeff の計算結果は測定結果とよ

    く一致した。公称値を用いた場合、αは 30%、εeffは 4%それぞれ低くなった。

    αは、誘電体損による減衰定数αd、導体損によ

    るものαc、放射損によるものαrの和として与えら

    れる。測定ではこれら項を分離して評価することは

    難しいが、材料定数の測定結果及び HFSS を用いて図 6 の手順で計算すれば、これらの分離評価は可能である。

    dd

    c

    tann=tant=0

    rf=rb=∞

    dtdt

    cf

    cb

    (tant=0)

    (tann=0)

    (rb= rf)

    c- cf )

    Due toconductor loss

    Due to tannDue todielectric loss dndn

    Due to tant

    Due to rf

    Due to rb

    Due toradiation loss

    r

    rf=rb=∞tann=tant=0

    =r+d+c

    cf

    cb 図 6 伝送損失の分離評価

    この MSL に金めっきを施した場合のαへの影響

    について次に述べよう。1GHz以下の周波数帯では、基板表面を保護するために、金めっき(実際には厚

    12.0

    11.0

    10.0

    9.0

    r rn=9.7rt=11.6

    5.04.03.02.01.0

    tan (x

    10-3

    )

    201612840

    tann =1.02x10-14x f +0.0022

    tant =0.0025

    100

    80

    60

    40

    20

    r (%

    )

    201612840Frequency (GHz)

    rf(Cu)=52927000(S/m)

    rb(Cu)=19x1010 xf -0.4036 (S/m)

    0.50

    0.40

    0.30

    0.20

    0.10

    0.00

    (d

    B/cm

    )

    20181614121086420Frequency (GHz)

    d+c+r(Calculated by measuerd values)d+c+r(Calculated by nominal values)Measured

    7.6

    7.4

    7.2

    7.0

    6.8

    6.6 e

    ff

    20181614121086420Frequency(GHz)

    calculated resultswith measured valueswith nominal valuesmeasured results

  • さ 3μmの Ni めっき膜上に数Å程度の金薄膜をフラッシュさせる)を施すことが多い。この金めっき層

    の表面比導電率σrf(Ni+Au)の周波数依存性の測定結果を図 7 に示す。3GHz以上ではσrf(Ni+Au)は10%以下であり面粗し銅箔の 30%よりも低い結果となった[1]。これらの測定結果を用いて HFSS により、図 8 に示す 50ΩMSL のαを計算した結果を図 9に示す。Ni の表皮深さは 4GHz 以上では 2μm と

    図 7 AR1000 基板の銅箔表面に施された

    金めっきの表面導電率の測定結果

    Ni(3m)+Au(数Å)

    Cu(18m)

    Cu(18m)

    Dielectric substrate

    図 8 金めっき保護膜 MSL の断面図

    図 9 材料定数の測定結果の周波数依存性を

    考慮したの計算結果 計算されるので、電流の大部分は 3μm の厚さを持つ Ni 内部を流れる。これより、αは金めっきにより 25%増加することがわかる。tanδが 10-4

    オーダーの低損失基板の場合、金めっきの影響は

    さらに 10 倍大きくなることが予想される。

    3 マイクロ波・ミリ波誘電体材料の測定法

    これまで種々の共振器法を用いた電子材料定数の高

    精度測定法が開発された[3]-[8]。これらの共振器法では、特定の共振モードの共振周波数 f0 と無負荷 Q, Qu の測定値より誘電体基板のrn, tann 及びrt, tantが求められ、また温度依存性の測定が可能である。

    これらの測定法の総説は文献[3]-[8]を参照されたい。一部の測定法では表1にまとめるように標準化がお

    こなわれている。

    ここでは、誘電体基板のrn, tann の測定に有望な

    平衡形円板共振器について述べる。

    マイクロ波帯におけるrn, tann の測定には、従来マイクロストリップ構造の半波長共振器やリング共

    振器が用いられてきた。しかし、これらの構造では

    細い線路に流れる電流が線路の両端に集中するため

    に、導体損がエッチング技術の影響を受ける弱点が

    あり、導体損を正確に評価することが難しく、結局

    tann の正確な測定ができない欠点がある。またrnの測定値は線路両端の外側に広がる面方向の電界成

    分によるrt の影響を受けるので、測定結果は線路幅

    に依存する。

    これらの難点は、図 10 に示すストリップ励振平衡形円板共振器の TM010 モードを用いる測定法により克服された。この共振器の TMnm0 モードの低次の電磁界分布を図 4 に示す。TM010 モードは、製作円板が正円でなくても、また面内異方性があってもモー

    ド分離を起こさないので、面内比誘電率の平均値を

    測定することができる。電界エネルギーは広い面積

    の円板内に蓄えられるので、rn測定に及ぼすrtの影

    響は線路構造の場合に比べてはるかに小さい。さら

    に円板周辺部にはみ出す電界による縁端効果はモー

    100

    80

    60

    40

    20

    0

    r (

    %)

    201612840Frequency (GHz)

    rf(Cu)

    rb

    (Cu)

    rf(Ni+Au)

    0.40

    0.35

    0.30

    0.25

    0.20

    0.15

    0.10

    0.05

    0.00

    (d

    B/c

    m)

    201612840Frequency (GHz)

    Calculated for Ni+AuCalculated for Cud

  • 図10 ストリップライン励振平衡形円板共振器の構造

    図 11 低次 TMnm0 モードの電磁界分布

    ド整合法により正確に計算される。以上の結果、rn

    の高精度測定が実現される。また円板上を流れる電

    流は半径方向成分だけなので円板円周部のエッチン

    グ精度の影響を受けず、また誘電体共振器法により

    導体表面のσを正確に測定可能であるので導体損に

    よる Q 評価が正確にできるため、誘電体損失の高精度測定が可能になった。2006 年この測定法の有効性が認められ、日本電子回路工業会および日本弗素樹

    脂工業会で標準化された[9]。 しかしこの励振方法では、誘電体試料が薄い場合

    にストリップ励振から同軸コネクタへの変換が困難

    になり、また誘電体損が大きい試料の場合、すべて

    のモードが励振されるので隣接モードの影響が無視

    できなくなり、測定が困難になる。この欠点は図 12に示す同軸励振平衡形円板共振器を用いることによ

    り克服された。この励振構造では、図 11 より明らかなように、円板中心部に電界成分が集中する TM010

    r

    tct

    2R

    z2a

    M

    0

    誘電体平板

    励振孔

    同軸励振線

    円形銅箔

    導体平板

    y

    x

    L

    L

    領域1領域2(r=1)

    図 12 同軸励振平衡形円板共振器の構造

    図 13 1.2励振孔平衡形円板共振器(左)および 2.3励振孔平衡形円板共振器(右)の外観

    モードのみが励振され、中心に電界成分をもたない

    他のモードの励振は抑制される。またマルチモード

    TM0m0 (m=1~10)を用いて周波数依存性の測定を 1 個の共振器のみで行うことが可能になった[3]-[7],[10]。1.2同軸励振平衡形円板共振器は 2R= 15mmφの銅箔円板を用いて 12~110GHz測定用に開発された。また 2.3同軸励振平衡形円板共振器は 2R= 30㎜φの銅箔円板を用いて 6~67GHz測定用に開発された。それらの外観写真を図 13に示す。

    4. 基板の測定結果

    シクロオレフィンポリマー 膜は光学的透明

    度が高いので液晶モニター用として利用さられてい

    るが、マイクロ波・ミリ波帯でも低損失材料として

    有望である 。1.2同軸励振共振器に COP 基板(ZF-16, t=0.378mm)をセットしたときの周波数応答波形を図 14に示す[12]。m=1~8までの TM0m0モードのみがきれいに励振されている。この結果より求めたrn,

    tann の測定結果を図 15 に示す。同図には空洞共振器法および遮断円筒導波管法で測定したrt, tantの測定結果も比較のため示される。これより COP 基板は異方性のない材料であることが分かった。さら

    図 基板の周波数応答波形

    -100

    -80

    -60

    -40

    -20

    0

    I.L (d

    B)

    10080604020Frequency(GHz)

    2R=14.998mm

    010020 030

    040 050060 070

    080

  • 図 15 COP基板 ZF-16 の測定結果

    (a)

    (b)

    図 16 COP基板 ZF-16 のrn, tann の温度依存性 の測定結果

    にφ共振器のモードを用いて測定した温度

    依存性の測定結果を図に示す。この結果 COP 基板は PTFE 基板と同等の低損失特性を持ちながら、23℃付近にある構造異方性に起因する比誘電率の変曲点

    を持つ PTFE に比べて変曲点をもたない電気的に優れ

    た特性をもつ材料であることが判明した。しかし、この材

    料にはガラス転移温度が低い欠点がある。 5.まとめ

    マイクロ波・ミリ波帯において、新材料開発や高精度

    回路設計のために、正確な材料評価が重要な役割を

    果たすことを示した。

    参考文献

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    関する材料定数の測定結果を用いたマイクロストリップ線

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    の 周 波 数 依 存 性 測 定 ,” 信 学 論 (C), Vol.

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    実 装 学 会 超 高 速 高 周 波 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 実 装

    研 究 会 , 平 成 18年 度 第 3回 公 開 研 究 会 論 文 集 ,

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    [13] 金子彰吾、小林禧夫、馬哲旺、“平衡形円板共振器を用いた有機基板の複素誘電率の温度依存性測定、”2011 信学ソ大会、C-2-76、Sept. 2011

    2.45

    2.40

    2.35

    2.30

    2.25

    2.20

    2.15

    2.10

    r rt, tant t=0.561±0.002mmt=0.563±0.001mmt=0.564±0.001mm

    rn, tann t=0.378±0.002mm

    16

    12

    8

    4

    0

    tan (

    x10-

    4 )

    120100806040200

    Frequency (GHz)

    7.98

    7.97

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