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様式第5 号(第 9 条関係) 【目的】 論文内容の要旨 報告番号 氏名 北候潤也 T h r e - D i m e n s i o n a l K i n e m a t i c An a l y s i s o f t h e D i s t a l R a d i o u l n a r J o i n t i n t h e A x i a l - Loaded E x t e n d e d W r i s t P o s i t i o n . (手関節伸展荷重時の遠位榛尺関節の 3 次元動態解析) 論文内容の要旨 手関節靭帯損傷や骨折などは、転倒時に手関節伸展位で荷重を受け生じるとされるが、伸展荷重時に手 関節の配列がどう変化するかについては明らかで、ない。本研究では、手関節を伸展荷重して CT を撮影し、 非荷重時と比較し、遠位榛骨尺関節(DRU]) の生体内 3 次元運動を解析した。 {方法} 健常手関節のボランティアの利き手 9 上肢を対象とし、手関節を囲内位で伸展させ、 Okg 7kg の荷重を各 々かけ CT 撮影し骨モデ、ルを作成した。 DRU] 4 つの靭帯 p a l m a r s u p e r f i c i a l r a d i o u l n a r l i g a m e n t s ( P S - RU L ), d o r s a l s u p e r f i c i a l r a d i o u l n a r ligaments(DS-RU L ) d o r s a l dep r a d i o u l n a r ligaments(D-RUL) p a l m a r dep r a d i o u l n a r ligaments(PD-RUL) の付着部をマーキングした。 M a r a i の方法に従い骨表面から 0.5mm の距離を離すように各靭帯を仮想し、その靭帯距離を各々計測しその変化量を求めた。また、荷重 前後の榛骨に対する尺骨の偏位量を E u l e r a n g l e 法を用いて 3 軸方向の平行、回転の移動量で計算した。 【結果】 各計測値の非荷重時から荷重時の平均距離の変化は PS-RUL 0 . 4 1mm 増大していた。同様に DS- RUL 0 .15mm 増大し、 DD-RUL 0.17m 増大し、 PD-RUL 0 .39mm 増大していた。荷重前後の尺骨 の偏位量は x y z 軸に対しそれぞれの平均平行移動量は 0 .6mm -0 2mm -O . 4 mm で、あった。尺骨 の回旋は、回外方向へ平均 3 .6 0 で、あった。 【考察および結論} 本実験では、掌側の靭帯長は荷重時により有意に延長し、荷重によって尺骨は榛骨に対して、掌側遠位 尺側へ移動し、 DRU] の掌側が聞大するように回旋していた。この結果は、これまで、の文献で、明らかになっ ている生理的動態とは違い、伸展位荷重で DRU] の掌側靭帯が伸張している可能性がある。したがって、 手関節伸展位での転倒荷重により 、掌側の榛尺靭帯損傷が起こりうると考えた。

論文内容の要旨ginmu.naramed-u.ac.jp/dspace/bitstream/10564/3552/1/01甲...palmar deep radioulnar ligaments(PD-RUL) の付着部をマーキングした。 Marai の方法に従い骨表面から

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Page 1: 論文内容の要旨ginmu.naramed-u.ac.jp/dspace/bitstream/10564/3552/1/01甲...palmar deep radioulnar ligaments(PD-RUL) の付着部をマーキングした。 Marai の方法に従い骨表面から

様式第5号(第 9条関係)

【目的】

論文内容の要旨

報告番号 氏名 北候潤也

Three-Dimensional Kinematic An alysis of the Distal Radioulnar Joint in the Axi al-

Loaded Extended Wrist Position .

(手関節伸展荷重時の遠位榛尺関節の 3 次元動態解析)

論文内容の要旨

手関節靭帯損傷や骨折などは、転倒時に手関節伸展位で荷重を受け生じるとされるが、伸展荷重時に手

関節の配列がどう変化するかについては明らかで、ない。本研究では、手関節を伸展荷重して CT を撮影し、

非荷重時と比較し、遠位榛骨尺関節(DRU]) の生体内 3 次元運動を解析した。

{方法}

健常手関節のボランティアの利き手 9 上肢を対象とし、手関節を囲内位で伸展させ、 Okg 、7kg の荷重を各

々かけ CT 撮影し骨モデ、ルを作成した。 DRU] の 4 つの靭帯 palmar superficial radioulnar ligaments(PS-

RU L) , dorsal superficial radioulnar ligaments(DS-RU L), dorsal deep radioulnar ligaments(DD-RUL) ,

palmar deep radioulnar ligaments(PD-RUL) の付着部をマーキングした。 Marai の方法に従い骨表面から

0.5mm の距離を離すように各靭帯を仮想し、その靭帯距離を各々計測しその変化量を求めた。また、荷重

前後の榛骨に対する尺骨の偏位量を Euler angle 法を用いて 3 軸方向の平行、回転の移動量で計算した。

【結果】各計測値の非荷重時から荷重時の平均距離の変化は PS-RUL は 0.4 1mm 増大していた。同様に DS-

RUL は 0.15mm 増大し、 DD-RUL も0.17mm 増大し、 PD-RUL も0.39mm 増大していた。荷重前後の尺骨

の偏位量は x 軸 y 軸 z 軸に対しそれぞれの平均平行移動量は 0.6mm 、-0 圃2mm 、-O.4 mm で、あった。尺骨

の回旋は、回外方向へ平均 3.60 で、あった。

【考察および結論}

本実験では、掌側の靭帯長は荷重時により有意に延長し、荷重によって尺骨は榛骨に対して、掌側遠位尺側へ移動し、 DRU] の掌側が聞大するように回旋していた。この結果は、これまで、の文献で、明らかになっ

ている生理的動態とは違い、伸展位荷重で DRU] の掌側靭帯が伸張している可能性がある。したがって、

手関節伸展位での転倒荷重により、掌側の榛尺靭帯損傷が起こりうると考えた。