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平成26年11月18日 野田市議会議長 鈴木 有 様 環境経済委員会 委員長 中村 利久 1 視察先及び調査事項 (1)青森県青森市 ・地球温暖化防止活動推進センターについて ・多目的交流広場(パサージュ広場)について (2)秋田県能代市 ・再生可能エネルギービジョンについて (3)岩手県盛岡市 ・盛岡ブランド推進計画について 2 視察期間 平成26年10月 7日(火)~10月9日(木) 3 視察報告 (1)青森県青森市 ・地球温暖化防止活動推進センターについて ・多目的交流広場(パサージュ広場)について ◇ 青森市の概要 青森県の県都で前に陸奥湾、背後に八甲田連峰を配する自然豊かな都 市で、人口は29万9千人、市域面積824.8㎢の中核都市。産業は工業 系が少なく、県都として流通、商業、そして行政都市といえる。名だた る豪雪地帯で除雪費用は当初予算で約18億円を計上しており、中でも 豪雪だった平成23年度は34.5億円、24年度は41.5億円もかかってい る。この除雪対策と郊外にまちが広がっていることも踏まえて、青森市 は平成11年、まちづくりマスタープランにコンパクトシティ構想を取 り入れ、中心市街地を中心にして住み分ける努力を重ねてコンパクトシ ティの優等生と評されている。 (別紙1)

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平成26年11月18日

野田市議会議長 鈴木 有 様

環境経済委員会

委員長 中村 利久

行 政 視 察 報 告 書

1 視察先及び調査事項

(1)青森県青森市 ・地球温暖化防止活動推進センターについて

・多目的交流広場(パサージュ広場)について

(2)秋田県能代市 ・再生可能エネルギービジョンについて

(3)岩手県盛岡市 ・盛岡ブランド推進計画について

2 視察期間

平成26年10月7日(火)~10月9日(木)

3 視察報告

(1)青森県青森市

・地球温暖化防止活動推進センターについて

・多目的交流広場(パサージュ広場)について

◇ 青森市の概要

青森県の県都で前に陸奥湾、背後に八甲田連峰を配する自然豊かな都

市で、人口は 29万 9千人、市域面積 824.8㎢の中核都市。産業は工業

系が少なく、県都として流通、商業、そして行政都市といえる。名だた

る豪雪地帯で除雪費用は当初予算で約 18億円を計上しており、中でも

豪雪だった平成23年度は34.5億円、24年度は41.5億円もかかってい

る。この除雪対策と郊外にまちが広がっていることも踏まえて、青森市

は平成 11年、まちづくりマスタープランにコンパクトシティ構想を取

り入れ、中心市街地を中心にして住み分ける努力を重ねてコンパクトシ

ティの優等生と評されている。

(別紙1)

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今回の視察目的に後述する多目的交流広場(パサージュ広場)を入れて

いるのはこのようなまちづくりに学ぶこともあった。

◇ 調査事項の概要

(地球温暖化防止活動推進センターについて)

青森市の二酸化炭素の排出量は 90%が民生家庭、民生業務、運輸部門

が占めている。このことから温室効果ガスの排出抑制のためには家庭や事

業所の省エネ、公共交通機関の利用促進が重要として、青森市地球温暖化

対策実行計画(区域施策編)を平成 23年 3月に策定している。その概要

は基準年を2005年度(平成17年度)として基準年度比を中期目標として

2020年度(平成32年度)で25%削減、長期目標を2050年度(平成62年

度)として 80%削減としている。5年後の 2010年度(平成 23年度)は

9.3%減少させている。ただ、時期的にリーマンショックなどの不景気局

面に入っていることの影響も考慮しなければならないだろう。

それでは野田市はどうなっているのかというと全公共施設では平成 28

年度に平成 23年度比 6%削減という目標はあるが、青森市のような自治

体の計画は未定である。

なお、青森市地球温暖化対策実行計画の柱は以下のとおり。

①エネルギー創造・利用促進プロジェクト ― 太陽光発電

②エコライフ推進プロジェクト ― 家庭の省エネ

③エコオフィス推進プロジェクト ― 事業所の省エネ

④エコ交通推進プロジェクト ― 公共交通機関利用促進、CO2低排出

車普及促進、ノーマイカーデー設定、時差出勤奨励

⑤地球エネルギーネットワーク推進プロジェクト ― スマートグリッド、

森林保全(青い森セントラルパーク)、モデルタウン

⑥エコル(環境保全キャラクター)の100グラムダイエットプロジェクト

― 1人100gのごみダイエット・ガイドブック作成

*2016年度新清掃工場稼働予定

⑦市の率先導入プロジェクト ― 太陽光発電、クリーンエネルギー自動

車購入

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続いて視察目的の地球温暖化防止活動推進センターについてであるが、

これは地球温暖化対策を推進する一般財団法人及びNPO法人等を地域地

球温暖化防止活動推進センターに指定することができる地球温暖化対策の

推進に関する法律に基づき、「青森市地球温暖化防止活動推進センター」

を指定し、環境教育や地球温暖化防止普及啓発活動を委託しているもので

ある。

その概要は指定期間として平成23年7月から平成28年3月とし、以下

のような事業を行っている。

①体験型学習を組み入れたエコライフセミナーの開催(年6回程度で、平

日の昼間は高齢者、土・日の啓発イベントでは親子連れの参加)

②小中学校、寿大学、市民団体の要請で出前授業を開催

③子ども対象の気象台見学や浄水場見学の開催

④大人向けにはグリーンカーテンやあまり布の活用講習開催

⑤活動主体はボランティアのエコサポーター

⑥財源的には国と県から3,500万円の補助金

今後の課題は地球温暖化防止センターの認知度の向上と環境講座の参加

者増と講座内容の充実だという。

(多目的交流広場(パサージュ広場)について)

1 経緯と目的:

平成 11年に駅前通りに面し、駅の至近距離にある旧自治会館売却に伴

い、中心市街地を更地にしない方針から市が敷地894平方メートルを3億

9,030万円で購入し、整備費 9,758万円をかけて広場整備を行った。また、

仮店舗建設など総事業費約1億5千万をかけ、翌年度に飲食や物販ができ

る都市公園として開設した商業ベンチャー支援施設である。

2 運営委託:

商工会議所が音頭を取り、地元の商業者有志が出資して商業ベンチャ―

支援事業運営の受け皿となる(有)PMO(出資金600万円)がつくられた。

市は(有)PMOに平成 25年度は年間 330万円を支払い、パサージュ広

場の管理や経営などのアドバイスを委託している。他に市のコストとして

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光熱費や償却費で年間619万円だという。

出店料は家賃として周辺相場が1万円超/月・坪であるが、6千円から

7千円とし、他に共益費10,800円/月・店とごみ処理代がかかる。

3 出店状況:

新規開店のためのインキュベーターとしての役割を持ち、店舗経営のノ

ウハウを学び、周辺より安い家賃で経営でき資金確保や顧客をつかむ。店

舗数は9店で、原則3年間の出店期間となっている。昨年度の9店舗の売

り上げは 9,800万円であった。現在飲食系 8店舗(居酒屋 2、ラーメン 2、

寿司 1、焼き肉 1、カクテルバー1、南国風料理 1)、サービス系が 1店舗

(エステマッサージ)である。

また、イベント広場において食イベントを開催しており、通常時の 150

%、300名程度が利用している。

なお、出店条件として 18歳以上の個人で将来中心市街地での開業意欲

のあるものとなっている。ただし、商業支援推進のため必要と認められた

場合は法人も可能となっている。

青森市はウォーカブルタウンと位置付けており、パサージュ広場のさら

なるにぎわいを図り、リニューアルをするとともに平成 19年に整備され

た隣接の民間商業施設と連携を図って一層のにぎわい創出の努力を進めて

いる。

◇ 視察時の状況

①視察時間 午後1時30分~午後3時10分

②視察会場 議会棟4階 第4委員会室

③応対者職氏名 議会事務局事務局長 金澤保氏、

議会事務局総務課 主事 石戸谷浩弥氏

④説明者職氏名 環境部環境政策課地球温暖化対策チーム

チームリーダー主幹 山﨑真治氏、主査 富岡幸氏

経済部商店街振興課商店街振興チーム主幹

富岡俊一氏、主事 山ノ内幸申氏

◇ 所 見

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① 視察の目的

(地球温暖化防止活動推進センターについて)

気候変動が大きくなり、野田市でも局地的豪雨や連続した竜巻被害に見

舞われている。京都議定書等に見るまでもなく生態系や地球を持続可能に

するには地球温暖化対策は避けて通れず、温室効果ガスの排出削減は行政

としてリーダーシップをとらなくてはならない喫緊の課題となっているこ

とから、その取り組みについて学ぶため。

(多目的交流広場(パサージュ広場)について)

先にも述べたがコンパクトシティの中心となる中心市街地の活性化で先

進市であり、新規出店者の経験を積むパサージュ広場事業と空き店舗率の

改善などの実績(平成 22年度 16.4%を平成 25年度 13.3%と改善)を持

つ青森市に学び、野田市にも生かすことを目的とした。

② 市政との関連性(視察地選択の理由等)

(地球温暖化防止活動推進センターについて)

野田市も公共施設の温室効果ガス削減目標と学校の屋根貸しによる太陽

光発電事業、民間による太陽光発電施設の飛躍的な伸長がある。ただ、青

森市のような民間やまちづくりも含めた総合的な計画は持っていないため、

その先進市である青森市に学ぶことになった。

(多目的交流広場(パサージュ広場)について)

野田市もこれまで中心商店街の空き店舗を活用するなど新規出店者の育

成を図ってきた経緯がある。青森市のような仕組みが可能かどうか調査す

ることは野田市にとっても有益であると考えた。ただ、現在も県都として

商業サービスや流通の中心都市の青森市と、かつてしょうゆ醸造業で働く

労働者数が多かったが、現在激減している野田市とは状況(集客や購買力)

が大きく異なる。しかし、意欲とそれに基づく特徴を発揮して商業を行お

うとする経営者・経営体をどう育成するのかは共通した課題である。

③ 市政の課題等に対し参考になった点等

(地球温暖化防止活動推進センターについて)

まず、青森市が民間を含めた市全体の地球温暖化対策実行計画を策定し

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ているということ、その啓発団体として地球温暖化防止活動推進センター

を持ち、まだまだ全体化しているとは言えないがその端緒についていると

いうことは謙虚に学ばなくてはと思う。

ただ、県都として県と直結しながら行えるということや、中核市という

点で野田市とは異なることは頭に置かなくてはならない。国連の気候変動

に関する政府間パネル(IPCC)が温室効果ガスの排出量を 2050年の時点

で最大で7割削減(4割から 7割)し、今世紀末までにゼロにする必要が

あるとの報告書を発表しており、それによるとこのまま有効な対策をとら

なければ 21世紀末には地球の平均気温が 3.7度から 4.8度上昇するとい

う。実効性のある計画策定とその実施は簡単ではないが野田市でもその取

り組みは避けて通れない。

(多目的交流広場(パサージュ広場)について)

パサージュ広場での経験をもとに中心市街地・他で開業する割合が56

%ということは高く評価できる。なお、青森市の場合、中心市街地の空き

店舗で路面店として店舗展開する場合、家賃補助12か月1/4、改装費1/4

(上限50万円)がある。

視察後の委員会での協議では、野田市でも連続立体交差事業が終われば

公共分の立体交差下の用地があるのでそれを利用できないかという意見が

出る反面、中心市街地に投資しても市民全体の利益となるのか疑問だとの

意見や、後継者不足もあり中心市街地だけで考えても前に進まないとの意

見が出された。また、外部資本を入れるだけでは地力がつかないとの声も

出た。しかし、まちの顔として、また、まちのコミュニティー形成の面か

らも商業者や商店街の存在は大きく、集客力や波及力のある中心市街地は

不可欠であり、バランスを考えながらも政策的投資は必要ではないか。

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(2)秋田県能代市

・再生可能エネルギービジョンについて

◇ 能代市の概要

能代市は秋田県北西部に位置する面積 426.74k㎡、人口 57,163人の市

となっている。地勢的には奥羽山脈に源を発する米代川が 中央を東西に

流れ日本海に注いでおり、下流部には能代平野が広がり大部分は農地とし

て活用されている。また日本海に接する西部には、砂丘が連なり、冬は北

西の強い季節風が吹くため江戸時代から防風林として松林が植栽され、「

風の松原」として日本の自然100選にも選ばれている。

産業としては、平成18年に隣接の二ツ井町を合併し市域の26.4%を山林

が占めることから「秋田杉」を産出する木材産業が有名であります。

また、教育、スポーツにも注力し、能代工業高校のバスケット部が全国

大会で 58回の優勝を果たしたことから「バスケの街づくり事業」も推進

し、スポーツを通じて街の活性化を図っている。

今後の課題としては、地場産業である木材産業の衰退等から若者の流出

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による人口減少に対処するためにも、地域の活性化が図れるような産業の

創出に力を入れている。

◇ 調査事項の概要

市のあるべき姿の将来像としてエネルギーで活力をつくり、エネルギー

を自給できる「エネルギーのまち」を目指し、各種再生可能エネルギーの

推進を行っています。具体的には次の分野の活動となります。

1 風力発電

能代市の日本海に面して安定した風力を得られる利点から、海岸線及び

洋上にエネルコン社製(ドイツ)の大型風車設備を設置し、その風力で得

られた電力を大型の蓄電池に備蓄する方向で計画を推進しています。

既に 28基の風車を設置し、今後地域電力会社を設立後、さらに大型の

発電風力設備を設置する計画となっています。

また将来は、この風車設備のメンテナンス部品等の製造を能代市内の

地元企業や誘致企業にて行い、市の産業の活性化を図る計画です。

2 太陽光発電

市内の未使用地にメガソーラーパネルを設置したり、屋根借り事業で

太陽光パネルの設置場所の確保を推進しています。

また公共施設の屋上に太陽光発電パネルを設置し、災害時の電力確保

も推進しています。

3 その他

農業用水路を活用した小水力発電や木質バイオマスを利用した発電等

も活用しながら再生可能エネルギーの導入拡大を目指しています。

今後の課題については、この再生可能エネルギービジョンを市民に浸透

させるための教育・勉強会の開催や風車等の発電装置を設置する際の市民

参画型の資金調達の方法を検討することが課題となっています。

またそれに連動した事業資金に関する支援・助成制度を構築することも

検討課題となっています。

◇ 視察時の状況

①視察時間 午後1時25分~午後2時50分

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②視察会場 能代市役所二ツ井町庁舎 3階 会議室

③応対者職氏名 議長 後藤健氏、議会事務局事務局長 佐藤喜美氏、

議会事務局書記 大郷司真一氏

④説明者職氏名 環境産業部次長兼商工港湾課長 野呂田成功氏、

産業政策室主査 三熊隆幸氏

◇ 所 見

① 視察の目的

再生可能エネルギーの先進都市である能代市の「再生可能エネルギー

ビジョン」についての説明・意見交換を通じて、その中から野田市で活

用できるものを抽出して提案することが目的です。

② 市政との関連性(視察地選択の理由等)

野田市総合計画の基本目標にも記載されているように、「自然環境と

調和するうるおいのある都市」を目指し、更なる循環型社会の実現を

推進するために、東日本大震災を起因とする再生可能エネルギーへの関心

の高まり等を踏まえて、太陽光発電等の再生可能エネルギーの利活用に、

現在野田市は施策として取り組んでいます。

この施策を今後より発展させていくために、再生可能エネルギーの先進

都市である能代市を視察先として選定しました。

③ 市政の課題等に対し参考になった点等

能代市のメーンの施策として推進している風力発電は、その立地条件

から野田市地域に設置することは困難であると思われますが、発電した電

力を大型の蓄電池に備蓄していく方向性は、発生が予測不可能な災害時の

緊急電力として大いに参考となり活用できる点であります。

またこの再生可能エネルギー事業を、市民・地元企業からの出資を募り

官民連携で推進する計画は、能代市に限ったことではなく、どの地域

でも、市民が行政と連携して行う地域活性化活動の一つの道標として

参考になると思います。

あわせて、公共施設への太陽光発電設備設置の拡大や、農業用水を利用

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しての小規模発電の推進等についても、野田市でも検討項目として挙げら

れると思います。

(3)岩手県盛岡市

・盛岡ブランド推進計画について

◇ 盛岡市の概要

盛岡市のまちづくりは、南部家 26代信直公の 1597(慶長 2)年の盛岡城

築城から始まったと言われています。明治維新後、1871(明治 4)年の廃

藩置県により盛岡県、翌年に岩手県となり、県庁が盛岡に置かれました。

その後、1889(明治 22)年に市制が敷かれ盛岡市が誕生しました。北上平

野の北部に位置し、岩手山などの山並みに囲まれ、市街地には幾筋もの川

が流れています。東北新幹線と秋田新幹線、東北縦貫自動車道、国道など

が通る北東北の玄関口として栄え、人口が 295,326人、面積 886.47k㎡の

中核市となっています。

各方面からの交通網に恵まれ、歴史・文化・食などの資源を生かした観

光客誘致の促進と「盛岡ブランド」の確立に力を入れています。観光では

石川啄木や原敬の記念館があり、7月のさんさ踊り、特産として南部鉄器

を初め、盛岡三大麺として冷麺・わんこそば・じゃじゃ麺が有名である。

◇ 調査事項の概要

盛岡市長を最高責任者としたブランド推進体制のもと、推進計画は、観

光分野・地場産業分野・文化暮らしの分野の分野別に基本的な指針のもと

に事業展開が行われています。ブランド推進には市民・民間団体・行政の

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意識の共有と市民との協働による事業推進が不可欠であるとし、行政から

の提案だけでなく、市民や民間団体の自発的なブランドづくり事業に対す

る育成システムの整備や盛岡ブランド事業に関わる人の意識共有が重要で

あるとしています。事業推進の主要プロジェクトとして、古い街並みや建

造物の「まちなか保存活用」、盛岡の自然と親しむ環境と水資源の「もり

おか水の恵み活用」、特産品の確かな品質・確かな技術を高める「盛岡特

産品ブランド認証」、盛岡市に由来の石川啄木や宮沢賢治などの先人を重

要なブランド価値として「先人の文化振興」を中心とした盛岡ブランド推

進事業を進めています。また、市民協働の促進を図る「盛岡ブランド市民

推進会議」の開催や盛岡ブランド推進のための積極的な広報宣伝活動が推

進されています。

市役所において事業の説明を受けた後、今年度オープンし、盛岡ブラン

ドを発信している「もりおか町家物語館」に移動し見学しました。盛岡市

の保存建造物である「浜藤の酒蔵」などを改修した「もりおか町家物語館

」は、地域の情報を収集・発信する新たな中核施設であり、市民と協働で

運営していています。その施設の一部の大正蔵では、大正時代の酒蔵の中

に、昭和 30年代の盛岡をモチーフに賑やかで懐かしい商店街の活気を再

現しており、その商品の一部に特産品ブランド認証を受けた食品が並んで

いる様子も見ることができました。

◇ 視察時の状況

①視察時間 午前10時10分~午後0時00分

②視察会場 市役所3階 会議室、もりおか町家物語館

③応対者職氏名 議会事務局議事総務課長 阿部克視氏、

主査 朴田 勝氏

④説明者職氏名 市長公室 広聴広報課 広報ブランド戦略室室長

高田聡氏、主任 渡邉智裕氏

◇ 所 見

① 視察の目的

都市間競争が激しさを増している現状にあって、「住んでみたいまち」

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「住み続けたいまち」「訪れてみたいまち」となるために、盛岡市が取り

組んでいる「ブランド推進計画」盛岡ブランド推進事業について学び、野

田市の取り組みに参考とするため。

② 市政との関連性(視察地選択の理由等)

野田市においても、野田市農産物ブランド化推進協議会を立ち上げて、

玄米黒酢米や枝豆などの農産物を初め、市内で生産される認定基準を満た

した農産物を野田市ブランドとして認証し、付加価値や販路拡大を図り、

消費者に信頼される安心な農産物の生産の推進を目指しています。農産物

だけでなく、野田ブランドの推進は、恵まれた自然環境や歴史的な建造物

など野田市の魅力を生かした、まちの活性化事業の推進が求められていま

す。盛岡市が取り組んでいる盛岡ブランド推進事業を、そのまま野田市に

当てはめることには無理がありますが、元気なまちづくりを目指して市民

・民間団体・行政が関わり、事業目的を明確にした組織的な取り組みを野

田市が参考にすべきと思います。

③ 市政の課題等に対し参考になった点等

野田市の元気なまちづくりに立った課題として、中心市街地活性化を目

指した商店街の活性化等商業地域の魅力向上と事業創出が求められます。

野田ブランドを目指した大規模な事業化が必要ですが、予算には限りがあ

ります。野田市が推進しているコウノトリが飛び交う安心安全な自然環境

での農産物の生産や魅力ある観光資源など野田市の特徴を生かし、野田ブ

ランドの積極的な推進と戦略的な広報宣伝が課題となっています。盛岡市

では盛岡ブランドを推進するために、推進戦略会議を中心に市民・民間団

体・行政が連携して、首都圏で盛岡ブランドを総合的に宣伝する「盛岡デ

ー」を開催するなど、テレビ・インターネット・新聞・雑誌などを利用し

た積極的な広報宣伝を行い、効果を上げています。また、盛岡ブランド共

通のロゴマークを活用した民間と行政の一体的な広報宣伝体制をとり、効

率化を図っています。野田市として盛岡市のように積極的なブランド化の

推進や広報宣伝を行っていませんので、これから野田ブランド化の事業推

進の取り組みに参考にすべきと思いますが、あくまでも盛岡市を真似する

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のではなく、野田市の特徴を生かした独自のブランド推進を進めることが

重要であります。