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再エネ⼤量導⼊の課題とBeyond2030の電⼒NWに向けて
平成30年7⽉21⽇資源エネルギー庁電⼒基盤整備課
曳野 潔
1.2030年エネルギーミックスに向けた取組2.中⼩⽔⼒の現状と取組3.系統制約の克服に向けた取組
10,650億kWh程度省エネ+再エネ
で約4割
エネルギーミックスにおける電⼒需要・電源構成
徹底した省エネ1,961億kWh程度(対策前⽐▲17%)
電力9808億kWh程度
電⼒需要 電源構成
(総発電電⼒量)
12,780億kWh程度
(総発電電⼒量)
2030年度 2030年度2013年度(実績)
経済成⻑1.7%/年
電力9666億kWh
⽯油 2%程度
⽯炭22%程度
LNG22%程度
原⼦⼒18〜17%程度
再エネ19〜20%程度
省エネ17%程度
再エネ22〜24%程度
原⼦⼒22〜20%程度
LNG27%程度
⽯炭26%程度
⽯油 3%程度
(送配電ロス等)
⽔⼒ 8.8〜9.2%程度
太陽光 7.0%程度
⾵⼒ 1.7%程度
バイオマス3.7〜4.6%程度
地熱 1.0〜1.1%程度
ベースロード⽐率:56%程度
2
2016年度
2010年度
0%
25%
50%
2010 2020 2030
2
3
4
2010 2020 2030
経済成⻑1.7%/年2010年度
2030年度2016年度
徹底した省エネ
2013年度(ミックス策定時)
5
10
15
2010 2020 2030
2010年度
2016年度
2030年度
05
1015
2010 2020 2030
2030年度
2016年度2010年度
0%
15%
30%
2010 2020 2030
2030年度
2016年度
2010年度
※2016年度は「2018年度までの⽇本の経済・エネルギー需給⾒通し」(⽇本エネルギー経済研究所)を基に推計した値※2030年度の電⼒コストは系統安定化費⽤0.1兆円を含む 出所)総合エネルギー統計等を基に資源エネルギー庁作成
取組指標
成果指標
震災前(2010年度)
震災後(2013年度)
⾜下(2016年度:推計)
ミックス(2030年度) 進捗状況
①ゼロエミ電源⽐率
36%再エネ10%原⼦⼒26%
12%再エネ11%原⼦⼒1%
17%再エネ15%原⼦⼒2%
44%再エネ22~24%原⼦⼒22~20%
②省エネ(原油換算の
最終エネルギー消費)
3.8億kl産業・業務:2.4家 庭:0.6運 輸:0.8
3.6億kl産業・業務:2.3家 庭:0.5運 輸:0.8
3.5億kl産業・業務:2.2家 庭:0.5運 輸:0.8
3.3億kl産業・業務:2.3家 庭:0.4運 輸:0.6
③CO2排出量(エネルギー起源) 11.3億トン 12.4億トン 11.4億トン 9.3億トン
④電⼒コスト(燃料費+FIT買取費)
5.0兆円燃料費:5.0兆円(原油価格84$/bbl)
FIT買取:0兆円
9.8兆円燃料費:9.2兆円(原油価格110$/bbl)数量要因+1.6兆円価格要因+2.7兆円
FIT買取:0.6兆円
6.2兆円燃料費:4.2兆円(原油価格48$/bbl)数量要因▲0.9兆円価格要因▲4.1兆円
FIT買取:2.0兆円
9.2~9.5兆円燃料費:5.3兆円(原油価格128$/bbl)
FIT買取:3.7~4.0兆円
⑤エネルギー⾃給率
(1次エネルギー全体)20% 6% 8% 24%
30年エネルギーミックスの進捗 〜着実に進展。他⽅で道半ば〜
3
再エネ・原⼦⼒・化⽯燃料に並ぶ第4のエネルギー源に
①産業・業務部⾨の深掘りー企業間連携による省エネ
②貨物輸送の効率化ー荷主・輸送事業者の連携強化ーEV・PHV/ FCVの普及加速
③業務・家庭部⾨の深掘りー機器間連携による省エネー住宅・ビルのゼロ・エネルギー化
④⽔素の更なる利活⽤ー⽔素基本戦略の着実な実施
⑤低炭素な熱供給の普及ー熱の⾯的利⽤等
2030年を⽬途としたエネルギー源ごとの対策
主⼒電源に
①発電コスト低減ー国際⽔準を⽬指す②事業環境を改善
ー規制のリバランスー⻑期安定的な電源へ
③系統制約解消へー「新・系統利⽤ルール」の創設
④調整⼒を確保ー広域的・柔軟な調整ー発・送・⼩の役割分担整備ーカーボンフリー調整⼒の開発
再エネ省エネ等 原⼦⼒ ⽕⼒・資源⽕⼒の低炭素化・
資源セキュリティの強化
①⾼度化法・省エネ法の整備ー⾮化⽯価値取引市場を創設等
②クリーンなガス利⽤へのシフトーコジェネの更なる⾼効率化等
③資源獲得⼒強化ーEV普及に備えた鉱物資源確保ー国際資源マーケットの育成・活⽤等
④有事・将来への強靱性強化ー燃料供給インフラの次世代化ー天然ガスサプライチェーンの強化等
⑤国内資源・技術の有効活⽤ー⼤規模地熱発電の開発促進ー国産資源開発等
横断的課題(システム改⾰・グローバル展開・イノベーション)⾃由化の下での経済性(競争の促進)と公益性(低炭素化等の実現)の両⽴、海外展開促進、AI/IoT利⽤等
2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応の⽅向性
依存度低減、安全最優先の再稼働、重要電源
①更なる安全性向上-⾃主的安全性向上のための「新組織」の設⽴と⾏政等によるサポート強化
②防災対策・事故後対応強化-新たな地域共⽣の在り⽅の検討
③核燃料サイクル・バックエンド対策-国内事業者間連携・体制強化と国際連携
④状況変化に即した⽴地地域対応-短期から⻑期までの柔軟かつ効果的な⽀援
⑤対話・広報の取組強化-データに基づく政策情報提供と対話活動の充実
⑥技術・⼈材・産業の維持・強化-安全を⽀える⼈材と知の維持へ
●2030年のエネルギーミックスへ向けた対応は着実に進展しているが、道半ば。●引き続き、3E+Sの基本に沿って、2030年のエネルギーミックスの確実な実現へ向け、エネルギー源ごとの対
策等を深掘りし、着実に推進していく。
4
4)⽔⼒⽔⼒発電は、渇⽔の問題を除き、安定供給性に優れたエネルギー源としての役割を果たし
ており、引き続き重要な役割を担うものである。このうち、⼀般⽔⼒(流れ込み式)については、運転コストが低く、ベースロード電源として、
また、揚⽔式については、発電量の調整が容易であり、ピーク電源としての役割を担っている。⼀般⽔⼒については、これまでも相当程度進めてきた⼤規模⽔⼒の開発に加え、現在、
発電利⽤されていない既存ダムへの発電設備の設置や、既に発電利⽤されている既存ダムの発電設備のリプレースなどによる出⼒増強等、既存ダムについても関係者間で連携をして有効利⽤を促進する。また、未開発地点が多い中⼩⽔⼒についても、⾼コスト構造等の事業環境の課題を踏ま
えつつ、地域の分散型エネルギー需給構造の基礎を担うエネルギー源としても活⽤していくことが期待される。
エネルギー基本計画(平成30年7⽉3⽇ 閣議決定)[抜粋]
⽔⼒発電の位置付け
5
1.2030年エネルギーミックスに向けた取組2.中⼩⽔⼒の現状と取組3. 系統制約の克服に向けた取組
<コスト低減に向けた取組>
⼩⽔⼒発電については、下記の課題を克服し、地元の治⽔⽬的などと合わせた地域密着での事業実施、既設導⽔路を活⽤した再投資(リプレース)など緩やかにFITからの⾃⽴化を図り、地域資源等と合わせた多⾯的な推進を⽬指していくべきではないか。
※⽔⾞の⽻根⾞の部分で、コア部品の⼀つである。
最新ランナ(※)と従来ランナの効率⽐較
<課題> <現時点から⾏うべき対応>
コスト低下に向けた道筋をどのように明確化していくか
開発リスク・開発コストが高い中、新規地点の開拓をどのように進めていくか。
・流量等の立地調査や地元理解の促進等について支援を実施し、開発リスクを低減し、地域密着での事業実施を促進
需要地から離れた適地(高い系統接続費用)での系統接続をどのように行っていくか ・系統制約の克服
・設備更新時期の水力発電への最新設備導入による高効率化・既設導水路を活用した再投資(リプレース)など緩やかにFITからの自立化
<地域共⽣の中⼩⽔⼒発電>
地域NPOが⽔⼒発電の導⼊と合わせて、農産加⼯所を再開。地域の農作物を利⽤した加⼯製品を開発
⽯徹⽩発電所(岐⾩県郡上市) ⼟湯温泉東鴉川⽔⼒発電所(福島県福島市)
地域の企業が中⼼となり、発電会社を設⽴、地域のエネルギーを活⽤した発電事業を⾏うとともに、発電設備を⾒学する観光客向けツアーを開催
既存ダムが担う治水機能との調和をどのように図っていくか
・地元の治水目的などと合わせて地域密着で事業実施
中⼩⽔⼒の将来像とそれに向けた対応
7
○ エネルギーミックス達成に向け、 197万kW〜281万kWの⽔⼒導⼊増のため、⼤規模⽔⼒(3万kW以上)、中⼩規模⽔⼒(3万kW未満:FIT対象)ともに、未開発案件の積極的な開発が必要。
・ 類型①:現在進⾏中の案件⼜は現状でも有望な案件。・ 類型②:既存発電所の設備更新による出⼒増加、未利⽤落差の活⽤拡⼤等。・ 類型③:⾃然公園法や地元調整等、障害があるが解決可能とされる地点の開発。
類型① 類型② 類型③
⼤規模⽔⼒(導⼊期待量) +19万kW +45万kW +3万kW〜+15万kW
中⼩規模⽔⼒(導⼊期待量) +16万kW +49万kW +65万kW〜+136万kW
現状:4,650万kW(847億kWh)
(①のみ)+35万kW
(+15億kWh)
(①+②)+129万kW
(+57億kWh)
(①+②+③)+197万kW〜281万kW
(+92億kWh〜134億kWh)
2030年までの⽔⼒発電の導⼊⾒込量
エネルギーミックスの達成 8
369
1,227
523
336
206
21
13
3
0 500 1000 1500 2000
第5次発電⽔⼒調査で判明した未開発地点2,811地点、1,301万kWのうち、平成28年3⽉末時点で未開発は、約2,700地点、約1,200万kW。
河川における⼀般⽔⼒では、3万kW未満を中⼼に多くの未開発地点がある。 安定した信頼性の⾼い電源で、分散型電源としてのポテンシャルも⾼いが、奥地化・⼩規模化・⾼コストが課題。
【河川における包蔵水力(一般水力) 】
出典:資源エネルギー庁「包蔵⽔⼒調査」(平成28年3⽉末時点)
■未開発■工事中■既開発
出力ベース 地点ベース
100,000kW以上
50,000kW~100,000kW
30,000kW~50,000kW
10,000kW~30,000kW
5,000kW~10,000kW
3,000kW~5,000kW
1,000kW~3,000kW
1,000kW未満
(kW)
240,630
2,256,000
1,961,900
2,257,000
3,267,900
801,900
782,100
378,000
02,000,0004,000,0006,000,0008,000,00010,000,000
⼀般⽔⼒発電のポテンシャルと課題
9
○運⽤の⾒直しによって年平均⽔位を1m上げると、発電⽔量は⼀定だが、有効落差が⼤きくなり出⼒及び発電電⼒量が増加。
○かさ上げで平均⽔位を1m増と、運⽤の⾒直しで平均⽔位を1m増で得られる効果は同等。
1m
○運⽤の⾒直し:現在の洪⽔予測の前提となるデータ量と解析能⼒を⾼度化する必要有り。○かさ上げ :多額の増強費⽤がかかる。
新たな⽔没地域に対する地域同意が必要。ダムの形式は重⼒式コンクリートダムに限定。(他のダム形式にアーチ式、フィル式有り)
効果
課題
⽔没
満⽔時の⽔圧に耐えるためダム全体の増強が必要
貯⽔量を増やしても発電⽔量は⼀定
貯⽔量が増えれば有効落差が増加
運⽤の⾒直し:洪⽔調節容量を利⽤ かさ上げ:ダムの⾼さを上げ、貯⽔量増同等の効果
○出⼒(kW) =9.8×発電⽔量×有効落差×発電効率○発電電⼒量(kWh)=出⼒×時間
前提
1m100m
有効落差101m
発電所
導⽔管
⾒直し後 ⾒直し前
取⽔⼝ 100m
有効落差101m
1m
洪⽔調節容量
発電所
導⽔管
取⽔⼝
洪⽔調節容量
利⽔容量
運⽤の⾒直しとかさ上げの効果と課題
10
○AIやビッグデータ、IoTを活⽤し、ダムに流⼊する⾬⽔や雪解け⽔などをリアルタイムで計測・予測することで流⼊量予測を⾼度化し、洪⽔調節容量の⼀部を発電に利⽤することで発電量増加を図る。
○治⽔⽬的の多⽬的ダムを所管する国交省とも連携し、必要となるデータの洗い出しや全国のダムへの適⽤を可能とする標準化・システム構築によって、運⽤の⾒直しにつなげていく。
○発電事業者等が所有する発電専⽤ダムでも⼀定の空容量確保が義務付けられているが、ダム運⽤の⾼度化により発電⽤に活⽤できる可能性あり。
○本取組に係る実証事業を今年度から実施。
検討の⽅向性
発電量増加
発電量増加
発電量増加
<実証事業のイメージ>
発電事業者が管理するダムでの発電は、同⼀⽔系の下流のダムでの発電にも影響を与える。⼀連の発電所の発電量を最⼤化するために、ダムへの雪解け⽔などの流⼊予測を⾼度化したうえで、⽔系全体として最適なダム運⽤を実現するシステムを構築することを検討。他のダムへの横展開も図る。
発電専⽤ダムでの取組を検討中
⽔系全体として発電量を最⼤化
有効落差を最適化
運⽤の⾒直しに向けた更なる取組の検討
11
○ 平成26年度から平成29年度まで国⼟交通省が所管する治⽔、多⽬的ダムのポテンシャル調査を実施。(数値は調査時点のもの)
国⼟交通省・⽔資源機構 管理122ダム
25
6
10
106発電所設置済み
道府県 管理435ダム
94
167
149
発電所なし
拡⼤余地あり(未利⽤の河川維持放流、利⽔放流あり)
発電未利⽤
⿂道放流等発電利⽤困難
国⼟交通省・⽔資源機構管理ダムでは4地点、地⽅公共団体管理ダムでは10地点で開発計画あり(検討中のものを含む)。
管理者100kW以上のポテンシャル有※1
左記のうち経済性あり開発計画有※2
開発計画無
国⼟交通省⽔資源機構 6 / 16 4 1
地⽅公共団体 66 / 261 10 8
合計 72 / 277 14 9
※1 経済性未考慮のポテンシャル。※2 開発中、開発検討中を含む。
未利⽤流量無し
未利⽤落差の開発の状況とポテンシャル
12
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0.0 0.1 1.0 10.0 100.0 1,000.0 10,000.0
堤高
(m)
流域面積(km2)
事業用発電所
管理用発電所
ポテンシャル100kW以上
ポテンシャル100kW未満
→既開発地点
既開発地点の分布境界
→未開発地点
(264地点)
平成27年度及び平成28年度のポテンシャル算出結果〇ポテンシャルの⼤⼩に影響する主な要因
1 有効落差・提⾼、取⽔位、放⽔位。
2 ⽔量・流域⾯積、⾬量等、河川流況。・地形、地質。・利⽔量の多寡。
提⾼、流域⾯積ともに⼤きいがポテンシャルが⼩さい地点は、発電所設置済み地点のうち拡⼤余地があるとされた地点。
(261地点)
(参考)道府県管理ダムのポテンシャル算出結果
13
(出典)新エネルギー財団 平成29年度⽔⼒発電の導⼊促進のための事業費補助⾦(⽔⼒発電事業性評価等⽀援事業)のうち⽔⼒発電の開発・導⼊のための賦存量調査事業
図上での計画、現地踏査を実施し、発電ポテンシャルを把握。
流量調査、地質調査、測量等の事業化に向けての調査。
○発電計画の概略設計及び事業性の評価を行うための必要な調査。
○既存ダムの発電ポテンシャル調査○水力技術情報調査○人材育成
○河川法、⾃然公園法、環境影響評価法等の各種法規制の許可を受けて、発電所を建設。
⽔⾞更新の時期にあわせて、流れ解析等の最新の技術を適⽤することで、増出⼒が⾒込める。
事業化決定
40年程度
<建設><調査><計画策定><地点選定> <開発同意> <更新>
開発プロセスに応じた⽔⼒開発促進の⽀援措置
○長期にわたる調査に対するコスト負担の低減措置。
○地域との共生を図るため、水力発電に対する地域理解を促進。
<運転>概略設計等により最適規模、経済性を評価。
余水路
ダム取水口
沈砂池 水路
水槽
鉄管路
発電所
放水路
数年〜10年程度数年〜10年程度数年
⽔⼒発電の開発プロセス
開発は利害関係者の同意が必要。・利⽔事業者・漁業関係者・関係⾃治体等
○設備更新時の出力増加等に資する調査・工事を支援。
○更なる高効率化等の技術開発を促進するため実証事業を支援。
⽔⼒発電の導⼊促進のための事業費補助⾦⽔⼒発電の
導⼊促進のための事業費補助⾦
固定価格買取制度
① ⽔⼒発電事業性評価等⽀援事業② 地域理解促進等関連事業
④ ⽔⼒発電実証モデル事業
③ ⽔⼒発電設備更新等事業
○ 開発の段階ごとに、それぞれ、以下のように⽀援措置を講じている。
⽔⼒発電開発プロセスにおける⽀援措置
14
事業イメージ
(参考)⽔⼒発電の導⼊促進のための事業費補助⾦平成30年度予算額 21.0億円(21.0億円)
事業の内容事業⽬的・概要⽔⼒発電は、事業の開始前に河川流況の⻑期にわたる調査が必
要であり、開発初期における事業者の⼤きな負担となっているとともに、開発にあたっては、地域の理解を得ることが不可⽋です。そのため、流量調査等を⽀援するとともに、地域住⺠等の⽔⼒発電への理解促進を図ります。
また、既存の⽔⼒発電所は、運転開始から40年を超えるものが全体の約半数を占めています。このため、既存発電所について、⽔⼒発電の出⼒及び電⼒量の増加を促進するため最新技術を⽤いた設備への更新や改造等を⽀援するとともに、更なる⾼効率化やコスト低減を促進するための技術実証を⽀援します。
成果⽬標
本事業を通じて、ベースロード電源である⽔⼒発電について、平成32年までに10万kWの事業化を推進します。また、既存発電所出⼒の15万kWの増加を図ります。
③⽔⼒発電設備更新等事業
解析結果等に基づく効率向上
④⽔⼒発電実証モデル事業
事業化に必要な流量調査、測量等の実施および地⽅公共団体による地域の有望地点の調査、公表等を⽀援します。あわせて⽔⼒発電の技術者育成、技術情報の収集を実施します。(補助率:1/2(地⽅公共団体は定額)、委託)
資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課03-3501-4031
最新解析技術等による評価
流量調査・測量作業
①⽔⼒発電事業性評価等⽀援事業
⽔⼒発電の⾼効率化やコスト低減に資する発電設備の製作、実証を⽀援します。(補助率:2/3)
②地域理解促進等関連事業開発阻害要因の克服を図るため、地域住⺠等の⽔⼒発電への理解を促進する事業を補助します。(補助率:定額)
既設設備の増出⼒⼜は増電⼒量の可能性調査と更新⼯事等を⽀援します。(補助率:2/3(調査)、1/3(⼯事等))
低落差でも安定して発電可能な⽔⾞の開発事例
補助(定額)
⺠間団体等
補助(2/3,1/2,1/3,定額)
⺠間事業者・地⽅公共団体等国
条件(対象者、対象⾏為、補助率等)
15
10
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
平成30年度
平成31年度
⽔⼒
⽔⼒(既設導⽔路活⽤型)※
24円(1,000kW以上30,000kW未満)
29円(200kW以上1,000kW未満)
34円(200kW未満)
20円(5,000kW以上30,000kW未満)
24円9⽉末まで
14円(1,000kW以上30,000kW未満)
21円(200kW以上1,000kW未満)
25円(200kW未満)
21円(200kW以上1,000kW未満)
25円(200kW未満)
12円(5,000kW以上30,000kW未満)
15円(1,000kW以上5,000kW未満)
※既に設置している導⽔路を活⽤して、電気設備と⽔圧鉄管を更新するもの。
27円(1,000kW以上5,000kW未満)
29円(200kW以上1,000kW未満)
34円(200kW未満)
16
(参考)固定価格買取制度 調達価格(1kWh当たり)
1.2030年エネルギーミックスに向けた取組2.中⼩⽔⼒の現状と取組3.系統制約の克服に向けた取組
発電コスト
系統制約
調整⼒
事業環境整備
⽇本の課題
• 既存系統と再エネ⽴地ポテンシャルの不⼀致
• 系統需要の構造的減少
• 従来の系統運⽤の下で、増強に要する時間と費⽤が増⼤
• 次世代NW投資が滞るおそれ
• 変動再エネの導⼊拡⼤
• 当⾯は⽕⼒で調整• 将来は蓄電の導⼊により
カーボン・フリー化
• ⻑期安定発電を⽀える環境が未成熟
• 洋上⾵⼒等の⽴地制約
• 欧州の2倍• これまで国⺠負担2兆円/年
で再エネ⽐率+5%(10%→15%)
→今後+1兆円/年で+9%(15%→24%)が必要
今後の対応
国際⽔準を⽬指した徹底的なコストダウン
「新・系統利⽤ルール」の創設
〜ルールに基づく系統の開放へ〜
規制のリバランス⻑期安定電源化
既存系統の「すき間」の更なる活⽤(⽇本版コネクト&マネージ)
• 2018年度から、実態ベースの空容量算定、平時における「緊急枠」の先⾏活⽤
• 混雑時の出⼒制御前提の系統接続は、検討加速化
再エネ⼤量導⼊時代におけるNWコスト改⾰(「発電+NW」コストの最⼩化・次世代投資へ検討開始)
適正な事業実施/地域との共⽣• 運転開始期限を2018年度から全電源に• 太陽光パネル廃棄対策の検討開始• 地熱資源の適正管理等に向けた制度検討
洋上⾵⼒のための海域利⽤ルールの整備(再エネ海域利⽤法案を今通常国会に提出)
広域的・柔軟な調整発・送・⼩の役割分担
調整⼒のカーボン・フリー化
新たな再エネ活⽤モデル/再投資⽀援(2019卒FITの取扱い決定、太陽光評価ガイドの活⽤)
再⽣可能エネルギ
の
主⼒電源化
再エネの⼤量導⼊を⽀える
次世代電⼒ネ
トワ
クの構築 競争⼒ある蓄電池開発・⽔素の活⽤
(コスト⽬標を⽬指した検討・アクションの加速化)
⽕⼒の柔軟性/再エネ⾃⾝の調整機能確保(⾵⼒発電等への適⽤の検討加速化)
市場機能/連系線/新たな調整機能の活⽤(具体的な検討加速)
⼊札制・中⻑期⽬標による価格低減⼤規模太陽光に加え、2018年度以降、
⼊札対象を⼤規模バイオマスや洋上⾵⼒に拡⼤
ゲームチェンジャーとなりうる技術開発
⾃⽴化を促す⽀援制度の在り⽅検討
徹底した情報公開・開⽰
紛争処理システムの構築(関係機関の連携強化)
ペロブスカイト型太陽電池等
海外の先進⼿法の検証
トップランナー⽔準の地域の取組を全国で/よりきめ細かな開⽰
検討の全体像~再エネの主力電源化に向けて~
18
【4】⼿続の迅速化(標準処理期間等)【5】情報の公開・開⽰の徹底
(事業の予⾒性向上)
【2】費⽤負担の⾒直し・平準化【3】コスト削減徹底(接続費⽤のコスト検証、託送制度改⾰)
【1】実際に利⽤されていない送電枠の「すき間」の更なる活⽤(=⽇本版コネクト&マネージ)
「つなげない」(送電線の平均利⽤率が10%未満でもつなげない)
「⾼い」(接続に必要な負担が⼤きすぎる)
「遅い」(接続に要する時間が⻑すぎる)
<発電事業者の声・指摘>
<実態>「送電容量が空いている」のではなく、停電防⽌のため⼀定の余裕が必要• 50%=「上限」(単純2回線)• 「平均」ではなく「ピーク時」で評価
欧州の多くも、⽇本と同様の⼀部特定負担(発電事業者負担)
• モラルハザード防⽌のため、⼤半の国は⼀般負担と特定負担のハイブリッド
増強⼯事や⽤地取得には⼀定の時間が必要
• ドイツでも⼯事の遅れで南北間の送電線が容量不⾜
<対応の⽅向性:「5つの柱」>
再⽣可能エネルギー⼤量導⼊に対応する「新・系統利⽤ルール」の創設送配電事業者との個別ケースごとの対応 → ルールに基づく系統の開放へ
海外のベストプラクティスの積極的な導⼊
資源エネルギー庁 電⼒・ガス取引監視等委員会 電⼒広域的運営推進機関<各機関でルール化+紛争処理システムの構築>
系統制約の克服に向けた対応の全体像
19
空容量の有無を評価する際の考え⽅は以下のとおり。系統の実際の利⽤状況の考え⽅とは異なる。 系統は、平常時に設備容量全てを流すのではなく、「1回線が故障した場合でも、送電できる状態を
維持する」という原則の下で運⽤されており、これは国際的にも共通の考え⽅。したがって、系統が単純な2回線の場合には、原則1回線分の容量である50%が、平常時に流すことができる最⼤値となる。
潮流については、年間平均値ではなく、系統を流れる電気がピークとなるタイミングを評価する。ループ系統においては、ボトルネックとなる送電線を評価する。
また、現在運転している電源だけでなく、接続契約を締結済みだが、運転開始前の電源も含めて評価する必要がある。
送電線利⽤イメージ
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系統利⽤率の⽇欧⽐較
ピーク期も、域内の系統の利⽤率はどちらも50%以下。
欧州(ドイツ東部)
欧州(ドイツ東部)における系統の利⽤状況。上記は、2017年4⽉30⽇15時頃に、再エネ発電量がドイツ国内の電⼒消費量に占める割合が100%になった時点の系統の利⽤率。出典: http://www.50hertz.com/Netzlast/Karte/index.html(送電会社50Hertz HP)
チェコ
ポーランド
⽇本
線路名(最⼤利⽤率※)
※ 広域機関が公表している年間最⼤潮流実績ベース(分⺟は2回線分容量) 。予約分は含まれない。
出典:東北電⼒HP及び電⼒広域的運営推進機関HPより資源エネルギー庁作成
≦ 5050-70≧ 70データ無し
系統利⽤率(%)
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空容量
接続契約申し込み(1)接続契約申し込み(2)
接続契約申し込み(3)
接続契約申し込み(4)
【先着優先】申込みの量が空容量の範囲内であれば申し込み順に容量を確保
新規接続契約申込み
設備容量運⽤容量
故障が発⽣しても安定して運⽤できるよう限度値を設定している(例:送電線の1回線故障)
空容量が無い系統に、新規に接続希望があった場合には、必要な増強⼯事を⾏う
公平性・透明性を確保する観点から、太陽光や⾵⼒も含めて全電源共通で接続契約申込み順に系統の接続容量を確保するという先着優先ルールとなっている。
新規の接続契約申込み時に系統に空容量があれば容量確保できるが、空容量が無ければ、系統の増強が必要となる。
仮に、空容量が無い系統に、実際に流れている電気が少ないという理由で別の事業者の接続を認める運⽤にすると、既に容量を確保登録している事業者が電源を稼働した時点で系統に制約が⽣じ(=送電できなくなる)、事業者の事業予⾒性に影響が出ることになる。
送配電利⽤ルール(イメージ図)
系統接続における先着優先ルール
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系統制約の克服 具体策
既存系統の最⼤限の活⽤
円滑な事業化のための環境整備
発電事業者のインセンティブ確保
• 「⽇本版コネクト&マネージ」の具体化①想定潮流の合理化【➡2018年4⽉より適⽤】②緊急時⽤の枠の活⽤(N-1電制)
【➡2018年度上期末までに新規電源に先⾏適⽤】③出⼒制御前提の接続(ノンファーム型接続)
• 出⼒制御の予⾒性を⾼めるための情報公開・開⽰の推進(「需要に関する情報」、「送配電に関する情報」、「電源に関する情報」のうち可能なものから
情報公開・開⽰を実⾏)【➡2018年度中に⼀定の具体化】• ⼯事費負担⾦の分割払いが認められる基準の明確化【➡2018年度早期に検討】• ルール整備を補完する仕組の検討【➡2018年度中に⼀定の具体化】
(①事例集の作成・継続的な改定、②相談・紛争処理機能の強化、③情報発信機能の強化)
• 再⽣可能エネルギー電源※に対しても、kW⼀律で課⾦する発電側基本料⾦の導⼊(※住宅⽤太陽光は現状においては適⽤対象外)【➡2020年以降できる限り早期を⽬途に導⼊】
• ⼀般負担上限額をkW⼀律で4.1万円/kWへ【➡決定次第、即施⾏】
再エネ⼤量導⼊と国⺠負担の抑制を両⽴するNWコスト改⾰• 「発電コスト+NWコスト」でみた再エネ導⼊コストの最⼩化(次ページ参照)
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コスト低減〇再エネ大量導入を実現する次世代NWへの転換
〇「発電+NW」の合計でみた再エネ導入コストの最小化
1.既存NW等コストの徹底削減
2.次世代投資の確保(系統増強・調整力等)
3.発電側もNWコスト最小化を追求する仕組み
再エネ発電コスト(A) 再エネ発電コスト
(B)
既存NW等コスト
円/kWh
次世代投資(系統増強・調整力等)
大幅に低減自立化
圧縮
次世代型NWへの転換
低減の仕組み
<現在> <将来>
最⼤限抑制
全体として低減
NWコスト
発電コスト
増加分(C)
再エネ導⼊コスト: A(現在) > B+C(将来)
※⽇本版コネクト&マネージ等により、必要となるNW投資量を低減させることも必要
単価 量
最 ⼤ 限 抑 制
コスト= ×
(参考)電力ネットワーク(NW)コスト改革に係る3つの基本方針(概念図)
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再エネ導⼊拡⼤・分散化に応じた電⼒NWの構造改⾰これまで ~2030年 ~2050年
大規模火力・原子力中心のNW形成
再エネを主力電源へ カーボンフリー型
電力システムミックス達成
(再エネ22~24%)
3.分散型NW(次世代型調整力)への投資(蓄電池・水素等)
カーボンフリー電力システムに応じたNWの更新
2.再エネの大量導入に応じた系統増強・調整力確保
NW産業の構造転換①(全国⼤での最適運⽤)
NW産業の構造転換②(多様なプレーヤーが参画)
1.既存NWの最大限活用(コネクト&マネージ)
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NET-ZERO
Beyond 2030のNWシステム( 「分散化」「広域化」)(イメージ)
ZEB ガスコジェネ
TSO送電
← 電気:遠隔地への配電← ガス(LP含む)[他のエネルギーインフラ]← 通信、⽔道[ネットワークインフラ]← 宅配、郵便
バックアップ+
品質維持(アンシラリー)
+ベース提供
DSO配電
⼤型発電所(⽕⼒低炭素化、原⼦⼒)
⽔素
急速EV充電
需要地概念の変容が起こる可能性があるのではないか?
1.Flexibility連系して安定供給
3.Mobility需要の可動性の向上
NET-ZERO
基幹送電線電⼒を⽔素に転換して
エネルギーを貯蔵
メンテの⾼度化
需要地近隣への設置による低ロス化
海外との連携
熱
PVパネル
EV=蓄電池
5.Globality事業の国際的な展開
急速EV充電
ZEH 電動化
【熱の有効活⽤】CO2を排出する⾃家発を利⽤する需要家は現状では賦課⾦の負担が低いが、低炭素化の促進とどうバランスを取るべきか?
コミュニティグリッドオフグリッド、他⾃⽴:地産地消
【エネルギーデータの活⽤】IoTを含む他のビジネスとの連携が可能
になる。
揚⽔・系統蓄電池等調整⼒
電線地中化の推進
4.FunctionalityAI、IoT等のデジタル技術による各機能の⾰新
【デジタル技術】発電、需給予測、グリッド保守管理、電⼒の最適制御等の各機能に、いかなる⾰新をもたらすか?
計量の概念が変容し、商品が多様化するのではないか?
【託送のサービスの変質】分散化(NET-ZEROエネルギー等)の進展で、NWの主な役割が「電気(kWh)を運ぶこと」から、「電⼒品質の維持」や「バックアップが受けられる」ことに変容するのではないか。かかる変化を踏まえ、適切な課⾦体系への移⾏が必要ではないか。
2.Security必要な時に電⼒を使える環境整備
情報セキュリティの確保
⾃然変動再エネ(太陽光、⾵⼒)
充電需要の制御により、NW投資・発電側の投資・運⽤の最適化が図られるのではないか
【ユニバーサルサービスの維持】他の事業と連携が必要になるのではないか?
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