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論理回路実験
岡山大学工学部 情報系学科
2019年度
情報工学実験 A (ハードウェア)
2
3
0. 準備 0.1 実験器具および測定装置
a. デジタルオシロスコープ :DS-5102B(周波数帯域:DC~25MHz, 2CH)
b. デジタル回路設計支援ツール:Xilinx Vivado(VHDLプログラミング)
c. ブレッドボード :SRH-53(ポイント数:2420)
d. USB給電ケーブル :USB-A-2.54mmピッチ端子(入出力:DC5V)
e. 電子部品 :集積回路,抵抗器
各種電子部品 ブレッドボード USB給電ケーブル
デジタルオシロスコープ
デジタル回路設計支援ツール
4
ジャンプワイヤに
より接続
0.2 電気回路製作基板 (1) 5V直流電源
USB給電ケーブルの入力側 USB-Aコネクタをパソコンの USBポートへ接続する.
USB 給電ケーブルの出力側にある 5 本並んだ端子を,最も左側のブレッドボード上
部の F列に下図の通り差し込む.
5本並んだ端子の内,赤い端子と黒い端子を,ブレッドボード上の任意の赤いライン
と黒いラインに,ジャンプワイヤを用いてそれぞれ接続すると,ブレッドボードに 5V
電源が供給され Power LEDが点灯する.
注意:ボード上に金属製のものを置かないこと.
2.54mmピッチ出力端子:
5本並んだ端子を,最も左側のブレッド
ボード上部の F列へ差し込む.
F列
USB-Aコネクタ:
パソコンの USBポートへ接続
5
(2) ブレッドボードの仕組み ボード上の多数の穴は配線用の接続端子である.
ボード上の赤または青色の横ラインと縦ラインに隣接する穴は,内部で接続されてい
るのでどこに差し込んでも電位は同じである.また,行番号の左右にある連続した 5つ
の穴も内部で接続されている.
配線用端子 電源用端子
配線用電線
内部で接続
6
グランド(0V)端子(青ラインに隣接する穴はすべて 0V)
(3) ブレッドボード上の直流 5V端子 ブレッドボード上に引かれた赤または青色のラインに沿って設けられた圧着端子は,
電線により全て互いに接続済みである.
従って,各ラインに隣接する穴にジャンプワイヤを差し込むことで,赤ラインから
5V,および,青ラインから 0V (グランド)を得ることができる.
直流 5V端子(赤ラインに隣接する穴はすべて 5V)
7
0.3 標準デジタル集積回路 74シリーズ標準デジタル集積回路の中で HCタイプと呼ばれるものは,Pおよび Nチ
ャネルMOSFETを組み合わせた CMOS構造で回路が組み立てられている.
ICピン配置
インバータ:74HC04
NORゲート:74HC02NANDゲート:74HC00
2 Input AND:74HC08 2 Input OR:74HC32
2 Input XOR:74HC86
Dフリップフロップ:74HC74
14 ピ ン
14
端子 1 7
8
8
1. オシロスコープの使用法 (1) 各種波形発生回路からの波形測定 1. 各種波形発生回路を下図の向きのまま,ブレッドボード上の座標 J, Aの適当な位置に差し込む.
2. 各種波形発生回路の 0V端子と 5V端子をそれぞれ,ブレッドボードのグランド端子と 5V端子へジャンプワイヤで接続する. i. 正弦波の測定 1. デジタルオシロスコープを用いて,各種波形発生回路の正弦波(出力)端子[緑色のチェック端子]から出力される正弦波を観測し,その周期と振幅を測定する.このとき,プローブの“みの虫クリップ”は,ジャンプワイヤを用いて適当なグランド端子へ接続しておく(以下同様). 2. 測定された周期から周波数を求める. 3. USBメモリへ,波形を CSV形式で記録する. ii. 三角波の測定 1. デジタルオシロスコープを用いて,各種波形発生回路の三角波(出力)端子[黄色のチェック端子]から出力される三角波を観測し,その周期と振幅を測定する. 2. 測定された周期から周波数を求める. 3. USBメモリへ,波形を CSV形式で記録する. iii. 矩形波の測定 1. デジタルオシロスコープを用いて,各種波形発生回路の矩形波(出力)端子[青色のチェック端子]から出力される矩形波を観測し,その周期と振幅を測定する. このとき,波形が画面内に収まる様,VERTICALシステム内右下にある VOLTS/DIV
5V端子へ
0V端子(グランド)へ
三角波(出力)
座標 J 座標 A
矩形波(出力)
正弦波(出力)
9
ノブを回して電圧感度を適宜調節すること. 2. 測定された周期から周波数を求める. 3. USBメモリへ,波形を CSV形式で記録する.
*デジタルオシロスコープの主な部分の名称
*デジタルオシロスコープの基本操作 ◎ 単一の交流波形の観測 オシロスコープの前面パネルに設置されたツマミやスイッチなどを次の手順で操作することで基本的な取り扱いを理解する. 1.オシロスコープの電源スイッチを入れる.
(CH1キーと AUTOキーが,それぞれ緑色と赤色に点灯する) 2. 工場出荷設定の呼出 オシロスコープ前面右上部にある SAVE/RECALL キーを押して,画面右に
Save/Recl.メニューを表示する.F1 キーを押してポップアップメニューが表示されたら,FUNCTIONノブを回して Factoryを選択後,FUNCTIONノブを押して確定する.続いて,F3キーを押して Recallを実行する.
FUNCTIONキー
上から F1,…,F5
VERTICALシステム
FUNCTIONノブ
HORIZONTALシステムTRIGGERシステム
10
3. CH1の設定 CH1キーを 1回押す.画面右に表示される CH1メニューを,5つ
の FUNCTIONキー(F1~F5)と FUNCTIONノブにより右表の通り設定する. このとき,FUNCTIONキーを押して現れるポップアップメニュー
に丸い矢印が表示されたら,FUNCTIONノブを回転させて項目を選
択の後,FUNCTIONノブを押して項目を確定する.
表最下部の Dig. Filterを OFFにするには,F5キーを押して表示
される Filter メニュー内において,F1 キーを押して OFF を設定す
れば良い.F5キーを押すと CH1メニューへ戻る.
4. CH2の設定
CH2キーを 1回押して,画面右に CH2メニューを表示する.
ここでもう 1回,CH2キーを押して,CH2の波形表示を停止する.
5. OFFSET(上下移動)の設定
VERTICALシステム内右上にあるOFFSETノブ(左側に上下方向の矢印あり)を回し
て,CH1の波形表示(今はただの直線)を画面中央へ移動する.
以下,6. , 7.の設定値は各種波形発生回路からの正弦波,三角波を測定する場合であ
り,矩形波を測定する場合には,設定値を適宜変更すること.
6. VOLTS/DIV(電圧感度)の設定
VERTICALシステム内右下にある VOLTS/DIVノブ(丸い矢印と下側に V, mVの表
示あり)を回して,画面左下に黄色い文字で 500mVと表示させる.
(500mV/DIV,すなわち,画面上の縦 1マスが 500mV = 0.500ボルトになる.)
7. TIME/DIV(掃引時間)の設定
HORIZONTALシステム内下にある TIME/DIVノブ(丸い矢印と下側に s, nsの表示
あり)を回して,画面右下に白い文字で 200.0usと表示させる.uはμ (マイクロ)の意味.
( 200.0 s/DIVμ ,すなわち,画面上の横 1マスが200.0 s 0.2000mμ = 秒になる.)
CH1 Coupling
AC BWL 20M
OFF Probe
1× Invert
Off Dig. Filter
OFF
0.500V 0.2000ms
11
8. プローブの設定と接続
プローブ(入力接続端子)の胴体にある黄色いスライドスイ
ッチが×1 に選択されていることを確認する.(プローブ減
衰比の設定)
オシロスコープの CH1の入力 BNC端子へ,プローブの
BNC 端子を接続する.プローブ先端部を手前に引っ張ると現れる,カギ型のピンを測
定箇所へ引っ掛けて接続する.みの虫クリップはジャンプワイヤによりグランド端子へ
接続する.
9. TRIGGER(掃引タイミング)の設定
TRIGGERシステム内上部中央にある,NORMALキーを押す.
続いて,TRIGGERシステム内右下にある,MENUキーを押して
表示される Triggerメニューを,FUNCTIONキーと FUNCTIONノ
ブにより右表の通り設定する.
表最下部の Coupling Holdoff を設定するには,F4 キーを押して
Set Up メニューを表示する.Set Up メニュー内の Coupling や
Holdoff時間は通常,デフォルト値(DCとここでは 100ns)にしておけ
ば良い.
10. TRIGGER LEVEL(トリガレベル)の設定
TRIGGERシステム内にある FIND LEVELノブを回し,観測している波と同期を取
り,波形の表示を安定させる.
11. TRIGGER DELAY(トリガ遅延時間)の設定
HORIZONTAL システム内上部にある DELAY ノブを回し,波形の左右方向の位置
を設定する.
12. 波形と目盛の明るさの調整
DISPLAY キーを押して表示される Display メニュー内において,1 ページ目の
Intensityと 2ページ目の Brightnessにより,波形と目盛の明るさを調整する.
13. メニューの消去
FUNCTIONキーの上にあるMENU ON/OFFキーを押して,画面右に表示されたメ
ニューを消去する.
14. 信号の測定
次の要領で,信号の振幅と周期を測定する.
波形の振幅 = 縦マス数×0.500V (電圧感度) ≒ 2.0×0.500V = 1.0V
波形の周期 = 横マス数×0.2000ms (掃引時間) ≒ 3.6×0.2000ms = 0.72ms
Trigger Type Edge
Source CH1 Slope
Coupling Holdoff
プローブ
グランドへ接続
信号入力
12
◎ USBメモリへの観測波形の保存法 i. メモリ長の設定
メモリに保存されるデータの個数を,デフォルトの 8,000個に設定
する. 1. オシロスコープ前面上部にある ACQUISITIONキーを押す. 2. 画面右に表示される Acquisitionメニューを,FUNCTIONキーと
FUNCTIONノブにより右表の通り設定する.
表最下部の Samplingは,サンプリングレートが 1秒当たり 610 個であることを意味し,設定値を変更することは出来ない.
ii. USBメモリへの CSV形式での保存
1. USB メモリをオシロスコープ前面左下部にある USB ポートへ挿入する. 2. オシロスコープ前面右上部にある SAVE/RECALLキーを押す. 3. 画面右に表示される Save/Recl.メニューを,FUNCTION キーと
FUNCTIONノブにより右表の通り設定する. 4. F4 キー (External: 外部記憶 )を押し,画面右に表示される
Externalメニューを,FUNCTIONキーと FUNCTIONノブにより
右下表の通り設定する.
5. F2キー(New File: 新規ファイル)を押し,画面中央にキーボード
と画面右に New Fileメニューを表示する.
“File Name”と書かれた“File Name登録場所”へ,下のキーボー
ドを用いてファイル名を入力する.
File Name登録場所内およびキーボード内では,FUNCTIONノブ
の回転によりカーソルを移動し,FUNCTIONノブを押すとカーソル
上の文字が選択される.
File Name登録場所とキーボード間のカーソルの移動は,F1キー
と F2キーにより行い,カーソル上の文字の削除は F3キーを押せば
良い.
File Name 登録場所へファイル名を登録し終えたら,F4 キー(Save:保存)を押して,
USBメモリへの保存を実行する. 6. F5 キーを押せば External メニューへ戻り,もう一度 F5 キーを押せば Save/Recl.
メニューまで戻るが,波形表示の更新が停止されているので,TRIGGERシステム内上
AcquisitionMode
Normal
Equ-Time ON
MemDepthNormal
Sampling 1.000MS
Save/Recl. Type CSV
Data DepthMaximum Para Save
OFF
External
Disk Mana.
External Explorer
Files
New File
Delete File
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部中央にある NORMALキーを押して,波形表示の更新を再開する. 7. USBメモリをオシロスコープから引き抜く.(unmount等の操作は不要)
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(2) ブレッドボード上のクロック信号(矩形波)の 2チャンネル同時測定 1. CH1の設定
VERTICAL システム内右下にある VOLTS/DIV(電圧感度)ノブを 2.00V/DIV,HORIZONTALシステム内下にある TIME/DIV(掃引時間)ノブを500.0 s/DIVμ に設定
し,ブレッドボード上の端子 C4から出力される矩形波を CH1により観測する. 更に,VERTICALシステム内右上にある OFFSETノブ(左側に上下方向の矢印あり)
を回して,CH1の波形表示を画面上半分へ移動する.
2. 二本目のプローブの胴体にある黄色いスライドスイッチが×1 に選択されているこ
とを確認した後,オシロスコープのCH2の入力BNC端子へ,二本目のプローブのBNC
端子を接続する.
プローブ先端部を手前に引っ張ると現れるカギ型のピンを,端子 C5に挿したジャン
プワイヤに引っ掛ける.プローブの“みの虫クリップ”は,ジャンプワイヤを用いて適
当なグランド端子へ接続しておく.
3. CH2の設定
CH2キーを 1回押す.画面右に表示される CH2メニューを,5つの FUNCTIONキー(F1~F5)と FUNCTIONノブにより右表の通り設定する.
VERTICAL システム内右下にある VOLTS/DIV(電圧感度)ノブを2.00V/DIVに設定(画面左下に赤い文字で 2.00Vと表示)する. 更に,VERTICALシステム内右上にある OFFSETノブ(左側に上下方向の矢印あり)を回して,CH2の波形表示を画面下半分へ移動する. 4. TRIGGER(掃引タイミング)の設定
異なる周期の信号を同時測定する際は,変化の最も遅い信号(今の
場合は CH2へ接続した C5の出力)に合わせて画面の掃引を行えば,全ての信号の安定
した表示を得ることが出来る.
TRIGGERシステム内上部中央にある,NORMALキーを押す.
続いて,TRIGGERシステム内右下にある,MENUキーを押して
表示される Triggerメニューを,FUNCTIONキーと FUNCTIONノ
ブにより右表の通り設定する.
5. FUNCTIONキーの上にあるMENU ON/OFFキーを押して,画
面右に表示されたメニューを消去する.
CH1と CH2の 2つの信号波形を,互いの関係を保つよう注意してレポートに記述する.
CH2 Coupling
AC BWL 20M
OFF Probe
1× Invert
Off Dig. Filter
OFF
Trigger Type Edge
Source CH2 Slope
Coupling Holdoff
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2. 組み合わせ論理回路 (第 1日目) 2.1 基本的なゲート回路
NOT, AND, OR, XOR, NAND, NORの基本的なゲート回路の動作を調べる.
A f
0
1
A B f
0 0
0 1
1 0
1 1
A B f
0 0
0 1
1 0
1 1
A B f
0 0
0 1
1 0
1 1
A B f
0 0
0 1
1 0
1 1
A B f
0 0
0 1
1 0
1 1
◎実験
1. NOTゲート IC(74HC04)をブレッドボード上の座標 E, Fの適当な位置に差し込む. P. 7の“標準デジタル集積回路”にある ICピン配置を参照. 2. ICの 7番ピン(GND)をブレッドボードのグランド端子へジャンプワイヤで接続する.
また,14番ピン( CCV )をブレッドボードの 5V端子へジャンプワイヤで接続する. 3. ICに含まれる 6個の NOTゲートの内から 1個を選び,その入力を端子 S0~S7のいずれかとジャンプワイヤで接続する.出力は端子 L0~L7のいずれかとジャンプワイヤで接続する. 4. スイッチ(左が 0,右が 1)を動かし入力を変えて,LED(点灯が 1,消灯が 0)により出力を調べる.
f A
NOTゲート
fAB
ANDゲート
fAB
ORゲート
f A
B
XORゲート
fAB
NORゲート
fAB
NANDゲート
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5. ICピックで ICを取り外す. 6. AND(74HC08), OR(74HC32), XOR(74HC86), NAND(74HC00), NOR(74HC02)について,上の 1.~5. の操作を繰り返し,各ゲートの動作を調べる. ※ NOR ゲートについては,入力側と出力側のピン配置が他のゲートとは逆になっていることに注意.
2.2 デコーダ “2進数 00~11を 10進数 0~3へ変換”するデコーダ(復号器)を作成し,その動作
を調べる.
◎実験
1. NOTゲート IC(74HC04)とANDゲート IC(74HC08)をブレッドボード上の座標E, Fの適当な位置に差し込む. 2. 2つの ICの 7番ピン(GND)と 14番ピン( CCV )をそれぞれ,ブレッドボードのグラン
ド端子と 5V端子へジャンプワイヤで接続する. 3. NOTゲート ICに含まれる 6個の NOTゲートの内から 2個を選び,ANDゲート ICに含まれる 4個の ANDゲートと,上の回路図に従って接続する.
入力 0 1,Y Y を端子 S0~S7のいずれかとジャンプワイヤで接続し,出力 0 3Z Z は端子
L0~L7のいずれかとジャンプワイヤで接続する. 4. スイッチ(左が 0,右が 1)を動かし入力を様々に変えて,LED(点灯が 1,消灯が 0)により出力を調べる.
入力Y 入力Yの
10進数の値
出力Z
1Y 0Y 3Z 2Z 1Z 0Z
0 0 0
0 1 1
1 0 2
1 1 3
1Y
0Z
1Z
0Y
2Z
3Z
17
2.3 半加算器(その 1 )
AND, XORゲートによる半加算器を作成し,その動作を調べる.
A B S C
0 0
0 1
1 0
1 1
◎実験
上の回路図に従って AND, XORゲート ICを配置・配線の後,入力 ,A Bと出力 ,S Cの関係を調べる. ※ この回路は実験 2.5で再び使うので,実験後も崩さずそのままにして置くこと.
2.4 半加算器(その 2 )
NAND, NOTゲートによる半加算器を作成し,その動作を調べる.
A B S C
0 0
0 1
1 0
1 1
B S
C
A
B
S
C
A
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◎実験
上の回路図に従って NAND, NOTゲート ICを配置・配線の後,入力 ,A Bと出力 ,S Cの関係を調べる. ※ この回路も実験 2.5で再び使うので,実験後も崩さずそのままにして置くこと.
2.5 半加算器による全加算器の構成
2個の半加算器の縦続接続により全加算器を作成し,その動作を調べる.
iA iB 1iC − iS iC
0 0 0
0 0 1
0 1 0
0 1 1
1 0 0
1 0 1
1 1 0
1 1 1
◎実験
上の回路図に従って,実験 2.3, 2.4で作成した半加算器を接続して全加算器を作成し,
入力 1, ,i i iA B C − と出力 ,i iS C の関係を調べる.
iB
iA
iS
S
HA
C
S
HA
C1iC − iC