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16 産総研 TODAY 2014-11 Patent Information のページ では、産総研所有の特許で技 術移転可能な案件をもとに紹 介しています。産総研の保有 する特許等のなかにご興味の ある技術がありましたら、知 的財産部技術移転室までご遠 慮なくご相談下さい。 知的財産部技術移転室 〒 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 つくば中央第 2 TEL :029-862-6158 FAX:029-862-6159 E-mail: 国際公開番号 WO2014/069350 (国際公開日:2014.5.8) 研究ユニット: 先進製造プロセス研究部門 レーザー援用インクジェット法 低抵抗配線を可能とする工業用インクジェット 適用分野: エレクトロニクス実装分野 装飾分野 服飾分野 目的と効果 この発明は、フレキシブルな材質や表面の粗 さが異なったり、大きな段差があったりするさま ざまな形態の基材上に、微細で低抵抗な微細配 線、機能材料の微細パターンを高速かつオンデマ ンドに形成できるインクジェット技術です。これま での技術ではインクジェットで描画するとインク材 が乾燥するまでに濡れ広がり描画線幅が太くなり ますが、この発明では、レーザー照射により着弾 したインク材を適度に乾燥させ、線幅はインク液 滴とほぼ同等、線の厚みは数十~百倍程度に厚く すること(高アスペクト比化)ができます。 技術の概要 この 発 明は、 レーザー 援 用インクジェット法 (LIJ)と呼ばれ、図 1 に示すように基板上をレー ザー光であらかじめ局所加熱することで、着弾し たインク液滴のレオロジーを制御、インクの濡れ 広がりを精密制御することで、図 2 に示すように、 レーザーを照射しない時に比べ、約 250 倍もの 高アスペクト比で、 10 µm 前後までの線幅でスムー ズな表面をもった微細描画パターンを形成できま す。さらに、表面の荒れた基材にも微細な線幅 のパターンが形成できるので、アンカー効果で従 来技術より密着力を向上できます。また、吐出イ ンクも金属材料に限らず、無機材料や有機材料で も線幅を狭め厚みを増す効果が得られます。 発明者からのメッセージ この発明は、微細・高アスペクト比をもつ導体 パターンの形成やバンプ形成で、プリンテッドエ レクトロニクスデバイスの開発や 3 次元的なエレク トロニクス実装技術の開発に役立つと考えられま す。また、従来印刷法で形成された線幅 30 µm 以下の微細配線パターンなどの修復(リペア)に よる生産歩留まりの向上にも、かなり実用的な効 果が期待できます。 図 2 従来インクジェッ ト法と本手法の配線断 面の比較 ガラス基板 レーザースポット インク液滴 インクジェットノズル インクジェットヘッド 描画方向 描画配線 レーザービーム レーザーヘッド レーザー照射によりアスペクト比が 250 倍以上改善 レーザー照射有り レーザー照射無し 配線厚(µm) 配線幅(µm) 線厚:0.8 µm 線幅:230 µm 230 µm 0.8 µm 300 250 200 150 100 50 0 0 2 4 6 8 10 12 配線厚(µm) 配線幅(µm) 線厚:10 µm 線幅:5~10 µm 10 µm 300 250 200 150 100 50 0 0 2 4 6 8 10 12 焼結前には必ず ネックができる。 10 µm 図 1 レーザー援用インクジェット法(LIJ)の装置構成

レーザー援用インクジェット法...(LIJ)と呼ばれ、図1に示すように基板上をレー ザー光であらかじめ局所加熱することで、着弾し たインク液滴のレオロジーを制御、インクの濡れ

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16 産総研 TODAY 2014-11

Patent Information のページでは、産総研所有の特許で技術移転可能な案件をもとに紹介しています。産総研の保有する特許等のなかにご興味のある技術がありましたら、知的財産部技術移転室までご遠慮なくご相談下さい。

知的財産部技術移転室〒 305-8568つくば市梅園 1-1-1つくば中央第 2TEL:029-862-6158FAX:029-862-6159E-mail:

国際公開番号WO2014/069350(国際公開日:2014.5.8)

研究ユニット:

先進製造プロセス研究部門

レーザー援用インクジェット法低抵抗配線を可能とする工業用インクジェット

適用分野:●エレクトロニクス実装分野●装飾分野●服飾分野

目的と効果この発明は、フレキシブルな材質や表面の粗

さが異なったり、大きな段差があったりするさまざまな形態の基材上に、微細で低抵抗な微細配線、機能材料の微細パターンを高速かつオンデマンドに形成できるインクジェット技術です。これまでの技術ではインクジェットで描画するとインク材が乾燥するまでに濡れ広がり描画線幅が太くなりますが、この発明では、レーザー照射により着弾したインク材を適度に乾燥させ、線幅はインク液滴とほぼ同等、線の厚みは数十~百倍程度に厚くすること(高アスペクト比化)ができます。

技術の概要この発明は、レーザー援用インクジェット法

(LIJ)と呼ばれ、図 1 に示すように基板上をレーザー光であらかじめ局所加熱することで、着弾したインク液滴のレオロジーを制御、インクの濡れ広がりを精密制御することで、図 2 に示すように、

レーザーを照射しない時に比べ、約 250 倍もの高アスペクト比で、10 µm前後までの線幅でスムーズな表面をもった微細描画パターンを形成できます。さらに、表面の荒れた基材にも微細な線幅のパターンが形成できるので、アンカー効果で従来技術より密着力を向上できます。また、吐出インクも金属材料に限らず、無機材料や有機材料でも線幅を狭め厚みを増す効果が得られます。

発明者からのメッセージこの発明は、微細・高アスペクト比をもつ導体

パターンの形成やバンプ形成で、プリンテッドエレクトロニクスデバイスの開発や3 次元的なエレクトロニクス実装技術の開発に役立つと考えられます。また、従来印刷法で形成された線幅 30 µm以下の微細配線パターンなどの修復(リペア)による生産歩留まりの向上にも、かなり実用的な効果が期待できます。

図2 従来インクジェット法と本手法の配線断面の比較

ガラス基板

レーザースポット

インク液滴

インクジェットノズル

インクジェットヘッド

描画方向

描画配線

レーザービーム

レーザーヘッド

レーザー照射によりアスペクト比が250倍以上改善

レーザー照射有りレーザー照射無し

配線厚(µm)

配線幅(µm)

線厚:0.8 µm線幅:230 µm

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配線厚(µm)

配線幅(µm)

線厚:10 µm線幅:5~10 µm

10 µm

3002502001501005000

2

4

6

8

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焼結前には必ずネックができる。

10 µm

図1 レーザー援用インクジェット法(LIJ)の装置構成