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1 コンクリートについて考える 遠賀川河川事務所 第1回建設技術講習会 講習1

コンクリートについて考える · 2012. 5. 24. · 735 (24.7 ) 12 626 上部:構成比率(%)、下部:生産量(千トン) 品種別:普通ポルトランドセメントが全体のおおよそ7割

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コンクリートについて考える

遠賀川河川事務所 第1回建設技術講習会 講習1

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5mmが境界

粗骨材全容積の40%

細骨材全容積の30%

セメント全容積の10%

水+空気

全容積の20%

コンクリートの構成(各材料が占めるおおよその容積)

コンクリートの基本

粗骨材

細骨材

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3

0

500

1000

1500

2000

2500

単位

量(kg

/m3)

質量

空気

細骨材

粗骨材

セメント0

200

400

600

800

1000

容積

(L)

容積

空気

細骨材

粗骨材

セメント

コンクリートの構成

コンクリートの基本

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コンクリートは,セメント,水,細骨材,粗骨材および適切な混和材(剤)を適当な

割合で混合し,練り混ぜたもの。(全容積の3%~6%程度の微細気泡混入)

コンクリートの要求性能(流動性,強度,耐久性など)は,使用材料の選定を含め

て,配(調)合設計(計画)で盛り込まれる。

コンクリートは,練混ぜ直後から2時間程度までは流動性を保持しており,その状

態のコンクリートをフレッシュコンクリート(まだ固まらないコンクリート)という。

生コンが対象

フレッシュコンクリートは時間の経過とともに流動性を失い,凝結過程を経て次第

に硬化が進んでいく。固まったコンクリートを硬化コンクリートという。また,硬化コン

クリートが所定の性能を発揮するためには,養生が重要となる。

コンクリートは,多くの優れた長所とともに,不具合現象の原因となる材料分離,水

和熱,乾燥収縮などの短所を併せもっている。

コンクリートの基本

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コンクリートを取り巻く諸問題

コンクリート構造物の性能確保が注目されている

1980年代 「コンクリート構造物神話の崩壊」

いわゆる ”コンクリートクライシス”

山陽新幹線や建築構造物の早期劣化

1988年 締固め不要のハイパフォーマンスコンクリート(自己充填コンクリート)の開発

1995年 阪神・淡路大震災(橋脚や建築物の倒壊)

1999年 山陽新幹線トンネルのコンクリート片崩落

2003年 阪神地区での生コンの加水問題

2005年 構造計算書偽造問題

2008年 溶融スラグ偽装混入問題2012年

29年前

17年前

13年前

コンクリートを取り巻く現状

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道路橋梁

河川管理施設(水門など)

下水道管きょ

港湾岸壁

約8%

約11%

約3%

約5%

約25%

約25%

約7%

約19%

約51%

約51%

約22%

約48%

2009年度 2019年度 2029年度2012年度 7年後 17年後

建設後50年以上が経過する社会資本の割合(高齢化する社会資本)※平成21年度 国土交通白書より引用

コンクリートを取り巻く現状

今後,維持管理費・更新費の増大が見込まれる

定期的な点検・診断によって,致命的欠陥が発現する前に対策を講じる

ライフサイクルコストの縮減

新設する構造物には,耐久性に優れた構造物が望まれている

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計画供用期間の級 計画供用期間 耐久設計基準強度(N/mm2)

短期供用級 おおよそ30年 18標準供用級 おおよそ65年 24長期供用級 おおよそ100年 30超長期供用級 おおよそ200年 36

2節 構造体および部材の要求性能

2.4 耐久性

d.計画供用期間の級

建築の例ですが・・・建築工事標準仕様書JASS5 鉄筋コンクリート工事 -2009-

※建築工事標準仕様書 JASS5 2009 より抜粋

コンクリートを取り巻く現状

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長所:耐久性に優れている

耐火性に優れている

現場で任意の形状を作製できる

鋼構造に比較して,工費が安価

である

短所:引張応力,乾燥収縮,温度変化

などにより,ひびわれが生じ易

く,構造物の欠陥になり易い

単位質量が大きくなる

構造設計上(外力)は,圧縮部分はコンクリートが負担し,引張側は鉄筋が負

担する。つまり,引張側のコンクリートはある程度のひび割れを許容している

ひび割れを分散させ,有害なひび割れにしないことが肝要(ひび割れの制御)

コンクリートの長所と短所

コンクリートの基本

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いまさらですが・・・鉄筋コンクリートの成立理由

① コンクリートと鉄筋の付着が確保されること

② コンクリート中に埋め込まれた鋼材が,コンクリートに被覆されることによっ

て,錆を生ぜず,十分な耐久性を確保できること

③ コンクリートと鋼材の温度膨張係数がほぼ等しい(10×10-6/℃) ので,温

度変化によって2次応力を生ずることなく,変形が自由にできること

pH12≦の強アルカリ性

不動態皮膜

コンクリートの基本

相性の良い材料

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コンクリートのひび割れ・・・収縮ひび割れ発生のメカニズム

自由収縮

部材が拘束状態にあれば,部材内に引張応力が

発生。

部材に発生した引張応力がある基準値を超

えるとひび割れが発生する。

コンクリートの基本

簡単ですが・・・

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例えば,部材長10mの場合コンクリートの乾燥収縮ひずみ:800×10-6(μ)乾燥収縮量 : 8mm

> コンクリートの伸び能力:1~200×10-6 (μ)コンクリートの伸び能力:2mm

10m

∴ 部材を引っ張った場合,2mm伸びた段階(相当の応力発生)でひび割れが発生する

10m-8mm=9.992m

コンクリートのひび割れ・・・収縮ひび割れ発生のメカニズム

コンクリートの基本

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・高炉スラグ・フライアッシュ・シリカ

コンクリートの使用材料・・・セメント

セメントの構成

※セメントの常識より抜粋

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コンクリートの使用材料・・・セメント

各ポルトランドセメント中のクリンカー構成化合物の含有量※セメントの常識より抜粋

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セメント JIS

ポルトランドセメント

普通ポルトランドセメント

JIS R 5201

早強ポルトランドセメント

超早強ポルトランドセメント

中庸熱ポルトランドセメント

低熱ポルトランドセメント

耐硫酸塩ポルトランドセメント

高炉セメント A種(5<,≦30) B種(30<,≦60), C種(60<≦70) JIS R 5211シリカセメント A種,B種,C種 JIS R 5212

フライアッシュセメント A種,B種,C種 JIS R 5213エコセメント 普通 (高強度コンクリートは除く) JIS R 5214

レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)に規定されているセメント

コンクリートの使用材料・・・セメント

コンクリートの使用材料・・・セメント

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セメントの品種別生産高

2010年

ポルトランドセメント

普通 早強 中庸熱 低熱 耐硫酸塩 その他 計

(68.3)34 942

(5.3)2 725

(1.4)715

(0.3)151

(0.0)2

(0.0)3

(75.3)38 538

混合セメント

高炉 シリカ フライアッシュ その他 計

(23.0)11 742

(0.0)0

(0.3)149

(1.4)735

(24.7 )12 626

上部:構成比率(%)、下部:生産量(千トン)

品種別:普通ポルトランドセメントが全体のおおよそ7割需要別:生コン71.4%、二次製品12.8%

コンクリートの使用材料・・・セメント

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細骨材 粗骨材 JIS

砂(自然作用によって岩石からできた細骨材)

砂利(自然作用によって岩石からできた粗骨材)

JIS A 5308の附属書A

砕砂 砕石 JIS A 5005

スラグ細骨材 スラグ粗骨材

高炉スラグ細骨材 高炉スラグ粗骨材 JIS A 5011-1

フェロニッケルスラグ細骨材 - JIS A 5011-2

銅スラグ細骨材 - JIS A 5011-3

電気炉酸化スラグ骨材 電気炉酸化スラグ粗骨材 JIS A 5011-4

人工軽量細骨材 人工軽量粗骨材 JIS A 5002

再生細骨材H 再生粗骨材H JIS A 5021

・溶融スラグ骨材は,使用できないことになっている。・再生骨材M,Lについては,それらを使用したコンクリートの性能について,規定されている。・“九州地区における土木コンクリート構造物設計・施工指針(案)”には,細骨材として,フライアッシュ,しらす,まさ土も規定されている

レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)に規定されているコンクリート用骨材

コンクリートの使用材料・・・骨材

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海砂のみ

海砂+人工砂

海砂+人工砂

人工砂(加工砂,砕砂)

人工砂山砂+砕砂

海砂+人工砂

コンクリートの使用材料・・・骨材

1978年度~2006年度に,採取禁止となった

西日本で使用されている細骨材

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0%

50%

100%

1967

1973

1976

1979

1982

1985

1988

1991

1994

1997

2000

2003

2006

2009

その他

砕石

河川

コンクリートの使用材料・・・骨材

骨材供給構成比の推移

砂・砂利は減少

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コンクリートの使用材料・・・骨材

砕 石 川砂利

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20

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009

(千

m3)

九州

四国

中国

近畿

コンクリートの使用材料・・・骨材

県別海砂採取量の推移

海砂も減少しかし,九州では依存度が大きい

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混和材料 JISフライアッシュ Ⅰ種,Ⅱ種,Ⅲ種,Ⅳ種

※九州地区における土木コンクリート構造物設計・施工指針(案)では,Ⅰ種およびⅡ種を標準としている。

JIS A 6201

膨張材 エトリンガイト系,水酸化カルシウム系 JIS A 6202化学混和剤 AE剤,高性能減水剤,硬化促進剤,減水剤(標準形・

遅延形・促進形),AE減水剤(標準形・遅延形・促進形) ,高性能AE減水剤(標準形・遅延形),流動化剤(標準形・遅延形)

JIS A 6204

防せい剤 JIS A 6205高炉スラグ微粉末 4000,6000,8000 (比表面積の違い) JIS A 6206

シリカヒューム 粉体,粒体,スラリー JIS A 6207

上記以外の混和材料 防水材,石灰石微粉末 -

付着モルタル安定剤 JIS A 5308の附属書D

レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)に規定されている混和材料

コンクリートの使用材料・・・混和材料

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210

185179

172

150

160

170

180

190

200

210

220

プレーン AE減水剤 AE減水剤

高機能タイプ

高性能AE減水剤

単位

水量

(kg

/m3 ) 12%減水 15%減水 18%減水

コンクリート用化学混和剤の種類と減水率の例※コンクリート用化学緩和剤協会のホームページより引用

コンクリートの使用材料・・・混和材料

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0

200

400

600

800

1000

容積

(L)

容積

コンクリート中の水の役割

① セメントを水和させる役割

② 作業に適する軟らかさのコンクリートを得る役割(ワーカービリティーの確保)

セメントの水和に必要な水量:W/Cで40%(セメントと化学的に結合25%+ゲル水として吸着15%)

例えば)

セメント量:300kg 水量:120kg

水和に必要な水量 < 施工性能を確保するための水量

① ②

コンクリートの配(調)合

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0

200

400

600

800

1000

容積

(L)

容積

コンクリート中の骨材の役割

① 材料コストの低減セメントペーストに対して安価な充填材(経済性)

② 硬化したコンクリートの体積変化(収縮)を軽減する

セメントペースト・モルタル・コンクリートの比較

③ コンクリートに,荷重の作用,すりへり,水の浸透,気象作用,等に抵抗するために必要な性質をもたせる

セメントペースト モルタル コンクリート

100% 25% 20~12%1 1/4 1/5~1/8

コンクリートの配(調)合

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特 性 不具合現象

単位水量の影響

スランプ(コンシステシー) 流動性不足,充填不良

材料分離抵抗性 ブリーディング,沈降,豆板(ジャンカ)

圧縮強度 強度不足

乾燥収縮量 ひび割れ

耐久性 早期劣化,遮水不良

硬化コンクリートの品質は,所要の施工性能が確保される範囲内において,単位水量を少なくするほど向上する

コンクリートの品質と単位水量

コンクリートの配(調)合

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国土交通省

「レディーミクストコンクリートの品質確保について」

2003年10月2日 通達

粗骨材の最大寸法20,25mm 175kg/m3

粗骨材の最大寸法40mm 165kg/m3

コンクリート標準示方書 -2007- 175kg/m3

建築工事標準仕様書

(JASS 5) -2009-185kg/m3

土木構造物

建築構造物

単位水量の上限値

コンクリートの配(調)合

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コンクリートと水との関係コンクリートを製造する際には,水はできるだけ少ない方が良い。しかし,コンクリートを打ち込んだ後は,水は必要な量と時間が大切になる。 養生

コンクリートの配(調)合

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① 十分な水和反応を促すことにより,強度,耐久性,水密性,耐摩耗性といった性能を発揮させる

② 初期の乾燥収縮を緩和する

日平均気温 普通ポルトランドセメント 混合セメントB種 早強ポルトランドセメント

15℃以上 5日 7日 3日

10℃以上 7日 9日 4日

5℃以上 9日 12日 5日

湿潤養生期間の標準 ※[2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

湿潤養生の期間 ※JASS 5 -2009-より抜粋

計画供用期間の級 普通ポルトランドセメント 早強ポルトランドセメント 中庸熱・低熱ポルトランドセメント,高炉セメントB種,フライアッシュセメント

短期および標準 5日以上 3日以上 7日以上

長期および超長期 7日以上 5日以上 10日以上

コンクリートは,水を与えて養生することが極めて重要

コンクリートの配(調)合

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コンクリートのスランプ

スランプフロー

30cm

スランプ

フレッシュコンクリートの性能

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30

単位水量

単位粉体量(材料分離抵抗性の指標)

単位水量の上限値

ワーカービリティー確保に必要な単位水量の下限 ワーカビリティー確保に必要な

単位粉体量の下限

水和熱制御や収縮量抑制から定まる単位セメント量の上限

この領域から配合を選定

ひび割れが少なく,耐久性や水密性に優れたコンクリート構造物を構築するためには,運搬,打込み,締固め等の作業に適する範囲内で,できるだけ単位水量を少なくし,

材料分離の少ないコンクリートを使用することが基本である。

フレッシュコンクリートの性能

良好な充てん性およびポンプ圧送性の確保する観点から270kg/m3以上(Gmax20~25mm)250kg/m3以上(Gmax40mm)より望ましくは,300kg/m3以上

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31

部材の種類,鉄筋量や鉄筋間隔等に基づき,定める

打込みの最小スランプに,荷卸し箇所から打込みまでの現場内運搬によるスランプの低下,さらに荷卸し箇所におけるスランプ管理幅(許容差)を加えた値

荷卸しの目標スランプに,現場プラントあるいはレディーミクストコンクリート工場から工事現場までの場外運搬によりスランプが低下する分を加えた値

荷卸しから打込みまでの製造のばらつきや現場内の運搬におけるスランプが低下する分を見込む

工場から現場荷卸しまでの運搬においてスランプが低下する分を見込む

打込みの最小スランプ

荷卸しの目標スランプ

練上りの目標スランプ

手順1

手順2

手順3

各段階のスランプの設定フロー※ [2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

:スランプ設定の流れ

:コンクリートの移動

フレッシュコンクリートの性能

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練上り 荷卸し 打込み

打込みの最小スランプ

荷卸し箇所の目標スランプ

練上りの目標スランプ 現場までの運搬に

伴うスランプの低下

荷卸し箇所のスランプの許容差

現場内での運搬に伴うスランプの低下

設定スランプ

製造から打込みまでの時間・空間的移動

荷卸し箇所のスランプの正規分布曲線

スランプ8cm~18cmの範囲であれば,2.5cm

レディーミクストコンクリートであれば,荷卸し箇所のスランプを保証

次ページで詳しく

フレッシュコンクリートの性能

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製造 運搬

荷卸し

現場/打ち込み現場内運搬練混ぜから荷卸しまで(JIS A 5308 の規定)≦1.5時間

練混ぜから打込み終了まで(土木・建築工事の規定)≦1.5時間(外気温25℃超える)≦2.0時間(外気温25℃以下)

コンクリートの運搬

フレッシュコンクリートの性能

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34

コンクリートの種類

粗骨材の最大寸法

mm

スランプ又はスランプフロー

cm

呼び強度

18 21 24 27 30 33 36 40 42 45 50 55 60 曲げ4.5

普通コンクリート

20,25 8,10,12,15,18 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - - -

21 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - - -

40 5,8,10,12,15 ○ ○ ○ ○ ○ - - - - - - - - -

軽量コンクリート

15 8,10,12,15,18,21 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - - - - -

舗装コンクリート

20,25,40

2.5,6.5- - - - - - - - - - - - - ○

高強度コンクリート

20,25 10,15,18 - - - - - - - - - - ○ - - -

50,60 - - - - - - - - - - ○ ○ ○ -

レディーミクストコンクリートは,区分毎に,粗骨材の最大寸法,スランプ又はスランプフロー,呼び強度を組み合わせて決められている

5cm(40mmのみ),8cm,10cm,12cm,15cm,18cm(20,25mmのみ),21cm(20,25mmのみ) この中から選定

フレッシュコンクリートの性能

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コンクリートの施工性能 ※[2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

締固め作業高さの定義

フレッシュコンクリートの性能

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コンクリートの施工性能 ※[2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

最小スランプの目安

鋼材量

(kg/m3)

鋼材の最小あき(mm)

コンクリートの投入間隔

締固め作業高さ

0.5m未満 0.5m以上~1.5m未満

3m以下

100~150 100~150

任意の箇所から投入可能

5 7 -

2~3m - - 10

3~4m - - 12

スラブ部材における打込みの最小スランプの目安(cm)

柱部材における打込みの最小スランプの目安(cm)

かぶり近傍の有効換算鋼材

鋼材の最小あき

締固め作業高さ

3.0m未満 3.0m以上~5.0m未満

5m以上

700kg/m3未満50mm以上 5 7 12

50mm未満 7 9 15

700kg/m3以上50mm以上 7 9 1550mm未満 9 12 15

フレッシュコンクリートの性能

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鋼材の最小あき 締固め作業高さ

0.5m未満 0.5m以上~1.5m未満

1.5m以上

150mm以上 5 6 8

100mm以上~150mm未満 6 8 10

80mm以上~100mm未満 8 10 12

60mm以上~80mm未満 10 12 14

60mm未満 12 14 16

鋼材量鋼材の最小あ

締固め作業高さ

3.0m未満 3.0m以上~5.0m未満

5m以上

200kg/m3未満100mm以上 8 10 15100mm未満 10 12 15

200kg/m3以上~

350kg/m3未満

100mm以上 10 12 15

100mm未満 12 12 15

350kg/m3以上 - 15 15 15

はり部材における打込みの最小スランプの目安(cm)

壁部材における打込みの最小スランプの目安(cm)

フレッシュコンクリートの性能

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施工条件 スランプの低下量

ポンプ圧送距離

(水平換算距離)

最小スランプが

12cm未満の場合

最小スランプが

12cm以上の場合

150m未満

(バケット運搬を含む)- -

150m以上300m未満 1cm -

300m以上500m未満 2cm~3cm 1cm

500m以上 既往の実績または試験施工の結果に基づき設定する

場内運搬としてポンプ圧送を行う場合のスランプ低下の目安※[2007年制定] コンクリート標準示方書[施工編:施工標準]より抜粋

フレッシュコンクリートの性能

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コンクリートの強度といえば

硬化コンクリートの性能

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コンクリートの圧縮強度試験

100mm200m

m

100mm200m

m

-圧縮強度30N/mm2のコンクリート-φ100mmの供試体の破壊強度 235.65kN・・・ 市バス(10t/台 2.3台分)

硬化コンクリートの性能

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Ⅰ) 水セメント比説Fc=A/B

x

Fc:コンクリートの圧縮強度A,B:セメントの品質などによる定数

X=W/C:水セメント比

Ⅱ) ☆セメント水比説Fc=A+B(C/W)

A,B:実験によって決まる定数

Ⅲ) セメント空隙比説Fc=A+B(c/v)

c:セメントの絶対容積v:単位水量の容積とコンクリート1m

3中の空気の

容積との和A,B:定数

コンクリート強度の考え方

硬化コンクリートの性能

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152025303540455055

1.50 1.70 1.90 2.10 2.30

C/W

圧縮強度(N

/mm

2 )Fc=41.1×C/W-41.7

コンクリートの目標強度に必要なW/C(例)

1.83

54.6%

C/W=(35+41.1)/41.7

1.54 1.67 1.82 2.00 2.22

65% 60% 55% 50% 45%W/C

圧縮強度35N/mm2に必要なC/Wを求める

この式は,生コン工場によって違う

硬化コンクリートの性能

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レディーミクストコンクリートの品質(強度)

条件1. 1回の試験結果は,購入者が指定した呼び強度の強度値の85%以上でなければならない。

m=0.85SL+3σ

条件2. 3回の試験結果の平均値は,購入者が指定した呼び強度以上でなければならない。

m=SL+3σ / 3 または SL+1.73σ (3/ 3 1.73σ)

m: 配合強度(N/mm2)SL: 呼び強度の強度値(N/mm2)σ: 標準偏差(N/mm2)

硬化コンクリートの性能

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m-σ m+σm

m-2σ m+2σ

m-3σ m+3σ

15.87%1/6

2.28%1/43

0.13%1/741

99.87%

正規分布について

硬化コンクリートの性能

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SL(呼び強度)

18N/mm2

0.85×SL(呼び強度の85%)

15.3N/mm2

m(配合強度)

15.3N/mm2+3×2.5N/mm2=22.8N/mm2

SL:18N/mm2

1σ:2.5N/mm2とすると,

条件1. 1回の試験結果は,購入者が指定した呼び強度の強度値の85%以上でなければならない。

硬化コンクリートの性能

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SL(呼び強度)

18N/mm2m

(配合強度)18N/mm2+3×2.5N/mm2/ 3=22.3N/mm2

SL:18N/mm2

1σ:2.5N/mm2とすると,

条件2. 3回の試験結果の平均値は,購入者が指定した呼び強度以上でなければならない。

3σ/ 3=1.73σ

硬化コンクリートの性能

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1回のコンクリート強度試験とは

1回 2回 3回

任意の1運搬車から採取した試料で作った3個の供試体の試験値の平均値

3回の試験結果の平均値とは,9個の供試体の試験値の平均値になる

硬化コンクリートの性能

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国土交通省

「土木コンクリート構造物の品質確保について」

2001年3月29日 通達

一般の環境条件の場合

鉄筋コンクリート 55% 以下

無筋コンクリート 60% 以下

水セメント比の最大値(土木構造物)

呼び強度標準偏差 配合強度 配合強度に相当する

W/C

18N/mm2 2.5N/mm2 22.8N/mm2 63.7% 60%以上

21N/mm2 3.0N/mm2 26.9N/mm2 59.9% 60%以下

24N/mm2 3.5N/mm2 30.9N/mm2 56.6% 55%以上

27N/mm2 3.7N/mm2 34.1N/mm2 54.2% 55%以下

[計算例] 60%以下,55%以下を満足するJIS相当品は・・・・

生コン工場によって違う P42の強度式を使うと

硬化コンクリートの性能

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国土交通省 九州地方整備局における配合に関する規定値

鉄筋コンクリート 55% 以下

無筋コンクリート 60% 以下

水セメント比の最大値(土木構造物)

硬化コンクリートの性能

※セメントの一部と置換して,高炉スラグ微粉末,フライアッシュおよび膨張材を混和材として用いる場合には,水セメント比の代わりに水結合材比を用いてよい。

例えば)

単位セメント量:300kg/m3 単位水量:165kg/m3 ・・・ W/C 55%単位セメント量を単位混和材量20%で置換した場合単位セメント量:240kg/m3 単位水量:165kg/m3 単位混和材量:60kg/m3

・・・ W/C 68%・・・ W/B 55%

混和材 条 件 JIS高炉スラグ微粉末 置換率60%以下 JIS A 6206

フライアッシュ 置換率20%以下 JIS A 6201 Ⅰ種およびⅡ種

膨張材 置換量20kg/m3以下 JIS A 6202

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コンクリート構造物の温度ひび割れの照査※”九州地区における土木コンクリート構造物設計・施工指針(案) 2.3.2 温度ひび割れの照査“より抜粋

対象構造物

① 広がりのあるスラブ状で,厚さが800~1000mm以上の部材

例) 橋脚のフーチング,各種構造物の底版など

② 下端が拘束された壁状で,厚さが500mm以上の部材

例) ボックスカルバートの側壁,擁壁,橋台の竪壁,壁式橋脚,排水機場など

③ 比較的断面が大きく柱状で,短辺が800~1000mm以上の部材で,施工上水平打継目が設けられる構造物

例) 橋脚の柱部,門柱など

コンクリート構造物の温度ひび割れ

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セメントが水和する際に発生する水和熱が,コンクリート部材内部に蓄積されて,内部と外部に温度差による応力が発生することが原因

セメント水和熱による,コンクリート温度上昇 ※[2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

46.0℃

50.9℃

39.0℃

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

0 5 10材齢(日)

温度上昇量(℃)

普通ポルト

高炉B種

中庸熱ポルト

コンクリート構造物の温度ひび割れ

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コンクリート構造物の温度ひび割れ

a) 内部拘束によるひび割れ

打ち込み後,初期の段階で発生する表面ひび割れ。

表面は外部から冷やされて収縮する

内部は,水和熱による温度上昇によって,膨張する

断熱状態にあれば,表面と内部温度差はかなり高くなる(BB=300kg/m3 約50℃)

表面の収縮を,内部のコンクリートが,はばもうとする

203040506070

0 5 10 15

材齢(日)

温度

(℃

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b) 外部拘束によるひび割れ

新設コンクリートの温度降下時に収縮変形が外部により拘束されることにより発生するひび割れ。部材を貫通するひび割れが多い。

203040506070

0 5 10 15

材齢(日)

温度

(℃)

コンクリート構造物の温度ひび割れ

既設コンクリート等の拘束がない場合 既設コンクリート等の拘束がある場合

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ひび割れ発生の有無の照査

Icr(t)≧γcr

Icr(t) : ひび割れ指数

Icr(t) =ftk(t) /σt(t)

ftk(t) : 材齢t日におけるコンクリートの引張強度

σt(t): 材齢t日におけるコンクリートの最大主引張応力度

γcr : ひび割れ発生確率に関する安全係数。一般に1.0~1.8としてよい。

※[2007年制定]コンクリート標準示方書より抜粋

※ひび割れ指数が,1.0未満の時には,1.0以上となる対策工を立案する

コンクリートの引張強度を高くするか(分子を大きくする),

温度応力を低減させる(分母を小さくする)

コンクリート構造物の温度ひび割れ

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ひび割れ発生確率 安全係数γcr

ひび割れを防止したい場合 5% 1.75以上

ひび割れの発生をできるだけ制限したい場合 25% 1.45以上

ひび割れの発生を許容するが,ひび割れ幅が過大とならないように制限したい場合

85% 1.0以上

標準的なひび割れ発生確率と安全係数γcrの参考値

0102030405060708090

100

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

安全係数(γcr)

ひび割

れ発

生確

率(%)

コンクリート構造物の温度ひび割れ

手引書(案)では,目標とするひびわれ指数を1.0としている

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ご清聴ありがとうございました