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バックアンカーAF工法 設計・施工マニュアル 2018.4

バックアンカーAF工法 設計・施工マニュアル - LIXIL...2 ①適用条件 概要 「バックアンカーAF工法」は、専用モルタルと専用くし目コテを使い高いくし目を引くことで、不陸調整モルタル

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バックアンカーAF工法

設計・施工マニュアル

2018.4

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INDEX

① 適用条件

■ 概要 ・・・ 2

■ 適用タイル ・・・ 2

■ 適用部位 ・・・ 2

■ 仕上げ代 ・・・ 2

② 材料・部品

■ 一覧表 ・・・ 3

■ 外観 ・・・ 3

③ 施工

■ 工事の工程 ・・・ 4

■ 安全に関するご注意 ・・・ 4

■ 工事を始める前に ・・・ 5

■ タイルの張り方 ・・・ 7

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① 適用条件

■概要

「バックアンカーAF工法」は、専用モルタルと専用くし目コテを使い高いくし目を引くことで、不陸調整モルタル

下地を作製することなく、下地コンクリートに直接張り付ける施工法です。

そのため、工期が大幅に短縮できます。

■適用タイル

・形状 : 300~600㎜角

・裏あし : あり

・タイル厚 : 11㎜厚以上では、必ず、P.12「施工のポイント②」をご確認ください

・その他 : 適用タイル一覧は、弊社総合カタログをご覧ください

■適用部位

屋内床・屋外床

■仕上げ代(コンクリート下地-タイル仕上げ間距離)

仕上げ代が以下の範囲になるように、設計します。

部位 モルタル張り代 タイル厚 仕上り代

屋内床 10~20㎜ 10㎜ 20~30㎜

15㎜ 25~35㎜

屋外床 10㎜ 10㎜ 20㎜

15㎜ 25㎜

タイル厚10㎜を想定した屋内床のイメージ

適用タイル

20~30

AFホイップモルタル

・仕上げ代 : 20~30㎜

・モルタル張り代 : 10~20㎜

仕上げ代

モルタル張り代タイル厚

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② 材料・部品

■一覧表

バックアンカーAF工法では、必ず以下の部材をお使いください。

部品名 品番 仕様 入数 モルタル使用量の目安 (※3)

AFホイップモルタル (※1)

AF-MT25 セメント・骨材

軽量骨材・添加剤

25kg/袋 張り代10㎜

・・・17~21kg/㎡

張り代15㎜

・・・24~29kg/㎡

張り代20㎜

・・・29~35kg/㎡

AFくし目コテ600 (※2)

AF-KS600 L580×w68×h150 (※4)

1セット/箱 -

AFくし目コテ400 (※2)

AF-KS400 L380×w68×h150 (※4)

1セット/箱 -

AFくし目コテ300 (※2)

AF-KS300 L280×w68×h150 (※4)

1セット/箱 -

※1) 有効期限を守ってお使いください。

※2) タイル形状に応じて使い分けてください。

※3) コンクリート下地の精度によって、モルタルの張り代が10㎜未満、

20㎜超となる場合があります。

※4) くし目コテの L ・ w ・ h 寸法は、右図の位置を示します。

■外観

AFホイップモルタル

AFくし目コテ600 AFくし目コテ400 AFくし目コテ300

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③ 施工

■工事の工程

工事を

始める前に

1.工事打合せ

2.事前確認

タイルの

張り方

3.コンクリート下地の清掃・吸水調整材塗布

4.AFくし目コテの高さセット

5.水糸引き通し

6.AFホイップモルタルの混練

7.AFホイップモルタルの塗布

8.くし目引き

9.タイル裏面へのモルタル擦り塗り

10.タイル張り

11.清掃・養生

12.目地詰め・清掃

■安全に関するご注意

安全のため必ずお守りください。

電動工具や刃物を使用の際は、各工具の取扱い説明書に従い、安全に作業を行ってください。

施工マニュアルの指示どおりに施工してください。所定の性能が得られないだけでなく、剥離や割れに至

る場合があります。

! 警告

! 注意

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■工事を始める前に

1.工事打合せ

事前に、以下の項目について建設会社様と打ち合わせが必要になります。

必ず、コンクリート下地を打設する前に打ち合わせを行ってください。

■ 仕上げ代の決定

・タイル仕上げ代から何㎜下がりでコンクリート下地を作製するかを決定します。

□屋内床・・・タイル厚10㎜の場合、20~30㎜下がりとします。

(タイル厚10㎜+モルタル張り代10~20㎜)

□屋外床・・・タイル厚10㎜の場合、20㎜下がりとします。

(タイル厚10㎜+モルタル張り代10㎜)

■ コンクリート下地の精度

・コンクリート表面の仕上り精度は、「JASS 5 鉄筋コンクリート工事/スラブ上面のコンクリートの仕上

げの規定」に準じ、仕上げ精度クラスB(6.4㎜/3m)としてください。

「JASS 5 鉄筋コンクリート工事」 抜粋

仕上げ方法 特記のない場合の運用箇所 仕上げの精度

スクラッチ仕上げ セメント系材料の下地となるコンクリートの表面 クラスC

木こて仕上げ 屋根下地、防水層下地、砂敷きテラゾー下地のコンクリートの表面 クラスB

金こて仕上げ 直接歩行する床、床仕上げの下地となるコンクリートの表面 クラスA

ほうき目仕上げ ガレージの床、斜路の床のコンクリートの表面 クラスB

ノンスリップ仕上げ 屋外の階段・踊り場、屋内外の歩行者用斜路のコンクリートの表面 クラスB

クラスA : 3mの定規で測って3.2㎜の平面度

クラスB : 3mの定規で測って6.4㎜の平面度

クラスC : 0.6mの定規で測って6.4㎜の平面度

■ コンクリート下地の清掃・脆弱層の除去

・コンクリート下地の表面を清掃します。

・レイタンスは、サンダー等を使い必ず取り除いてください。

■ 伸縮目地の配置

・伸縮目地は3mピッチ程度で配置し、囲まれた面積は10㎡以内としてください。

■ 割付け・納まり検討

・小さな切り物は面精度が出し難くなりますので、加工の少ない納まりをお奨めします。

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2.工事確認

事前に下記の事項について確認を行い、不具合箇所は建設会社様に修正を依頼してください。

■ 仕上げ代の確認

・仕上げ代が指定通りであることを確認します。

■ コンクリート下地の精度チェック

・下地精度が6.4㎜/3mに納まっていることを確認します。

■ コンクリート下地の表面チェック

・コンクリート下地の表面が清掃されていることを確認します。

・レイタンスが取り除かれていることを確認します。

■ 作業者の役割分担

・バックアンカーAF工法は、4~5人の組作業が基本となります。

工事の工程 「5.水糸引き通し ~ 11.清掃」(P.4) を、同時進行で作業します。

そこで、各作業者のおおよその役割分担を決めておくことが施工効率の向上につながります。

以下はその一例です。現場に適した役割を決め、工事をスタートすることをお奨めします。

< 役割分担(例) >

作業者A・・・モルタルの混練

作業者B・・・手元(タイル・モルタルの運搬等)

作業者C・・・モルタル塗布(下地へのしごき塗り・くし目引き等)

作業者D・・・タイル張り(タイル裏面へのモルタル擦り塗り・仕上がり調整・清掃等)

作業者 A 作業者B 作業者C 作業者D

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■タイルの張り方

3.コンクリート下地の清掃・吸水調整材塗布

・コンクリート下地が清掃されていることを確認したのち、吸水

調整材を塗布します。

刷毛等でムラなく塗布し、乾燥させます。

4.AFくし目コテの高さセット

・AFくし目コテには、両端部に目盛りが刻印されています。

モルタルの張り代に合わせて高さ調整材の位置を決めます。

タイル厚 仕上げ代 モルタル張り代

(目盛りの位置)

10㎜ 20㎜ 10

25㎜ 15

30㎜ 20

15㎜ 25㎜ 10

30㎜ 15

35㎜ 20

・位置決めののち、ナットを手締めします。

5.水糸引き通し

・狙いの仕上げ代に合わせて、一列ずつ水糸を引き通します。

施工のポイント

施工中にナットが緩むと、狙いのモルタル高さになり

ません。必ず、ナットが緩まないようにしっかりと締め

てください。

例) 張り代が20㎜の場合、20の

目盛りに合わせる

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6.AFホイップモルタルの混練

・モルタルミキサーに、AF ホイップモルタルと水を投入し練り混

ぜます。水は、モルタル1袋に対し5.3L を基本とします。

まず5.0L程度で練り始め、固さをみながら必要に応じて

徐々に加水していきます。

・モルタルが良く混ざったらバケツ等に取り出し、さらに高速ハ

ンドミキサーを使って練り混ぜます。

施工のポイント②

最後に、必ず高速ハンドミキサーを使って練り混ぜ

てください。

高速ハンドミキサーは、1000回転以上のものを使

用してください。

高速ハンドミキサーでの練混は、モルタル1袋に対し

1分以上を目安にしてください。

練る量が1~2袋程度であれば、高速ハンドミキサー

だけで練ることも可能です。

ただし、このときも必ず最後には1000回転以上の

高速ハンドミキサーをご使用ください。

(モルタルミキサー)

(高速ハンドミキサー)

施工のポイント①

使い切る分量だけモルタルを練ってください。

長時間練り置きしたモルタルを使うと、剥離の原因に

なります。

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7.AFホイップモルタルの塗布

・タイル幅に合わせて、コンクリート下地にしごき塗りをします。

・しごき塗りと同時に、すでに張り終えたタイルの側面にもモル

タルを詰めます。

・しごき塗りののち時間を置かず、直ちにAFくし目コテの手前

にモルタルを補充していきます。

・AFくし目コテを置き、モルタルが充填されるように平コテで掻

き集めます。

施工のポイント③

AFくし目コテを通して光が見える場合はモルタル

が不足しています。

両端は特にモルタルが不足しやすくなるため、十分

に掻き集めてください。

施工のポイント①

モルタルは、必ずコテ圧をかけて擦ってください。

しごき塗りだけを先行しないでください。くし目引き・タイ

ル張りを続けて行うようにしてください。

施工のポイント②

タイル端部の割れ防止のため、必ずモルタルを詰め

てください。

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8.くし目引き

・モルタルをしごき塗りしたのち、直ちにAFくし目コテを引き進

めます。

施工のポイント②

AFくし目コテは、上下方向に小さく揺らしながら

引き進めます。

くし目コテは必ず上下方向に揺らしてください。左右方向に揺らすと、作業者によるバラツキが

大きく、モルタルの山が低くなる恐れがあります。

コンクリート下地の凹凸が大きい箇所は、AFくし目コテの高さを変更してから引き進めます。

(上下方向の軌跡) (左右方向の軌跡)

施工のポイント①

くし目引きだけを先行せず、タイル張りまで続けて

行うようにしてください。

施工のポイント③

くし目コテを引くスピードは、速すぎると山が途切れやすくなり、遅すぎると山が潰れやすくなりま

す。以下のスピードを目安に引き進めることをお奨めします。

・モルタル張り代10㎜ : 6~12秒/m

・モルタル張り代20㎜ : 12~18秒/m

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・モルタルが不足している箇所には、必ず補充が必要です。

・すでに張り終えたタイルとの取り合い部分【 a 】、モルタルの山が途切れた箇所【 b 】には、モルタルを補

充します。

施工のポイント④

AFくし目コテは、常に下地に対して直角になる

ようにします。

斜めに大きく寝かすと、モルタルの山の高さ

が低くなります。

くし

目高

さの

施工のポイント⑤

モルタルが途切れたままタイル張りを行うと、空隙になります。

タイルの割れ防止のため、必ず不足箇所にはモルタルを補充してください。

【 a 】

【 b 】

【 a 】

【 b 】

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9.タイル裏面へのモルタル擦り塗り

・タイル裏面にモルタルを擦り塗りします。

10.タイル張り

・所定の位置にタイルを置き、水平器等を使い隣り合うタイルとの

段差を確認しながら、水糸の位置まで押し沈めます。

最後に、ゴムトンやハンマーの柄等で軽く叩きながら微調整をし、

隣り合うタイルと同面に仕上げます。

・適宜タイルを剥がして付着状況を確認します。

施工のポイント②

タイル厚が11㎜以上の場合は、タイルの自重による沈み込みを防止するため、タイル1枚につ

き端部の4ヶ所に、軽く丸めたアルミホイルを置きます。

アルミホイルは直径10~15㎜程度の円柱状とし、モルタルの山から5㎜程度突出する高さにし

ます。

その上からタイルを置き、アルミホイルとモルタルをいっしょに潰すようにして高さを調整します。

施工のポイント

擦り塗りは、くし目引きののち直ちに行ってください。

モルタルは、必ずコテ圧をかけて擦ってください。

必ず、タイル端部まで確実に擦り塗りしてください。

擦り塗りがないと、端部の割れの恐れがあります。

施工のポイント①

くし目引き・タイル裏面へのモルタル擦り擦りののち、直ちにタイルを張ってください。

適用タイル(11㎜厚以上)

沈み込み防止材(アルミホイル)

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11.清掃・養生

・タイルを1列張り終えるごとに、清掃します。

12.目地詰め・清掃

・夏場は翌日以降、冬場は中1日以上空けてから目地詰めを行

います。

施工のポイント

施工直後はタイルに乗れないため、まとめて清掃す

ることはできません。

必ず1列ごとに清掃してください。

施工のポイント

屋外床を施工する場合、タイル張りから目地詰めま

での間に雨が降る恐れのある時は、工事を延期して

ください。