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アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」

2025年までにアフリカに明かりと電力を供給するという変革をもたらすパートナーシップ

The New Deal on Energy for Africa


日本語版は、あくまでも便宜的な利用を目的として、正文の英語版より和訳しています。適宜、英語版を参照して頂くようお願いいたします。

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Dr. Akinwumi Adesinaアキンウミ・アデシナアフリカ開発銀行グループ総裁

2016年は、2025年までにアフリカに明かりと電力を供給するという変革をもたらすパートナーシップ、「アフリカのエネルギー普及のための新政策『ニューディール』」にとって、画期的な成果のあった年でした。

これまでの進展を喜ばしく思います。各国政府首脳、アフリカ開発銀行とアフリカ開発基金の総務会・理事会とその顧問の皆様におかれましては、「アフリカのエネルギー普及のための新政策『ニューディール』」へ素晴らしいサポートを賜り、心より感謝申し上げます。

アフリカ開発銀行の職員、各パートナー機関や世界中のステークホルダーの皆様にも、「アフリカのエネルギー普及のための新政策『ニューディール』」の共同開発と共同実施への献身とコミットメントにお礼を申し上げます。

我々は、2016～2020年に120億米ドルの投資を行うことにコミットしました。また、この期間におけるアフリカのエネルギープロジェクトへの協調資金供給として、450億～500億米ドルの調達を見込んでいます。

明確な計画が策定され、我々の各国首脳が政治的意思を約束しました。今我々に必要なのは、アフリカにおけるエネルギーサービスへのユニバーサルアクセスの促進に必要な資金を呼びこむ融資可能（バンカブル）なプロジェクトを、著しく増やすべく協働することです。エネルギーへのユニバーサルアクセスが実現すれば、持続可能な開発目標（SDGs）と国連気候変動枠組条約第21回締約国会議（COP21）が、アフリカで現実のものとなるでしょう。

共に立ち上がり、投資し、力を尽くし、アフリカの電化を実現しましょう。

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アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」とは何か

アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」とは、2025年までにアフリカでエネルギーへのユニバーサルアクセスを達成するという意欲的な目標を掲げる、パートナーシップ主導の取り組みです。

アフリカ開発銀行はこの目標を達成するため、政府、民間セクター、二国間・多国間のエネルギーセクターイニシアティブと連携し、「アフリカのエネルギーのための変革をもたらすパートナーシップ」の確立に取り組んできました。これは、アフリカのエネルギーセクターにおける革新的な資金調達のための、官民パートナーシップのプラットフォームです。

アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」は、アフリカにおけるエネルギーへのユニバーサルアクセス実現という目標に向けて現在推進されている他のあらゆる取り組みの統合に資するもので、以下5つの基本原則に焦点を当てています：

•アフリカのエネルギー課題に対する解決意欲を高めること•「アフリカのエネルギーのための変革をもたらすパートナーシップ」を確立すること•アフリカのエネルギーセクターへの革新的な資金調達のために国内・国際資本を動員すること•アフリカ各国政府のエネルギー政策・規制・セクターガバナンスの強化を支援すること•アフリカ開発銀行によるエネルギーへの投資と気候変動ファイナンスを増やすこと

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なぜ「ニューディール」か

アフリカでは、6億4,500万人以上もの人々に電気へのアクセスがありません。サブサハラアフリカの一人当たりの消費電力は他のどの大陸よりも低く、年間で181キロワット時（kWh）と推定さ

れます。これは、欧州の6,500kWhや米国の1万3千kWhに比べ、著しく低い水準です。

エネルギーセクターのボトルネックと電力不足により、アフリカのGDPの2～4%が毎年失われていると推定され、経済成長、雇用創出、投資を妨げています。タンザニアやガーナの企業は停電により売上額の15%を失い、南アフリカでは近年、発電容量の深刻な制約と頻繁な「負荷制限」が経済成長の足かせとなっています。

調理用の薪の使用に伴う室内空気汚染により、毎年推定60万人のアフリカの人々（主に女性や子供たち）が命を落としています。小学校の90%以上に電気がなく子供たちの学力不振を招いているほか、電力不足から救命設備・サービスが使用できない病院が多いのも現状です。

一方で、アフリカはエネルギー資源の宝庫です。潜在的に10テラワット（TW）＊を優に超える太陽光発電能力、350ギガワット（GW）の水力発電能力、110GWの風力発電能力、さらに15GWの地熱発電能力を備えており、これには、発電コストが割安な石炭やガスの数字は含まれていません。この再生可能エネルギーの膨大な潜在性を解放し、従来型エネルギーと組み合わせなければ、家庭や企業へ電力供給し、アフリカ大陸の電化を実現することはできません。

エネルギーは経済活性化のエンジン

多数のプログラムやプロジェクトが進行し、またその数は増えているものの、融資可能（バンカブル）なプロジェクトへの十分かつ革新的で適切な資金調達や、適切な政策と規制環境、価格インセンティブ、そして協調体制が欠けているため、エネルギー生産・供給の規模と速度が厳しく制限されています。こうした背景から、アフリカ開発銀行は「アフリカのエネルギー普及のための新政策『ニューディール』」を立ち上げたのです。

＊訳注：１TW=1,000GW

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「ニューディール」が目指すもの6億4,500万人以上の人々へエネルギーアクセスを付与し事業者に十分な電力を供給するという

目標の達成に向け、アフリカは以下4項目を実現する必要があります。

•オングリッド発電量を増加させ、2025年までに160GWの新規発電容量を追加すること•オングリッド送電量とグリッド接続を160%増加させ、2025年までに1億3千万件の新規接続を達成すること•オフグリッド発電量を増加させ、2025年までに現在の20倍となる7,500万件の新規接続を達成すること•クリーンな調理エネルギーへのアクセスを1億3千万世帯分増加させること

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「ニューディール」を支える柱とは「ニューディール」は、相互に関連し補強し合う次の5原則に立脚しています。

１. アフリカのエネルギー課題に対する解決意欲を高めること

「ニューディール」ではパートナーに、アフリカのエネルギー課題の解決に向けて、意欲を高め政治的意志と資金支援を動員するよう求めています。これは、2015年9月にニューヨークで行われた国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、また2015年12月にパリで開催された国連気候サミット(COP21)での地球規模の気候変動に関する協定を実施するための前提条件です。

2.「アフリカのエネルギーのための変革をもたらすパートナーシップ」を確立すること

「ニューディール」は、官民パートナーの協調行動と革新的な資金調達のためのプラットフォーム提供を目的とする、パートナーシップ

を通じて実施されています。このパートナーシップは、アフリカのエネルギー潜在力を解放し、最終的に低炭素エネルギー社会への移行を促進するものです。また、アフリカのエネルギー投資における規模の経済の実現に向け、重複する取り組みを減らしリソースを結集することにも役立ちます。

3．アフリカのエネルギーセクターへの革新的な資金調達のために国内・国際資本を動員すること

2025年までにユニバーサルアクセスを実現するためには、革新的なメカニズムによって毎年300～550億米ドルの国内・国際資本を追加動員する必要があります。これは、このセクターへの2015年の投資額225億米ドルを大幅に上回る額です。エネルギーのためのこの規模の資金調達に求められるのは、資金の流れを可能にする条件整備、融資可能（バンカブル）なプロジェクトの開発、公益事業の改革、アフリカ諸国の受け入れ能力の向上に向けた、官民すべてのステークホルダーによる協働です。

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4．アフリカ各国のエネルギー政策・規制・セクターガバナンスの強化を支援すること

「ニューディール」は、アフリカ開発銀行による各国政府・機関の「ソフト」インフラへの投資を足掛かりに、またその投資をさらに拡大することで、エネルギーセクターにおける政策、規制、インセンティブシステム、セクター改革、コーポレートガバナンス、透明性・説明責任の強化を図るものです。

5．アフリカ開発銀行によるエネルギーへの投資と気候変動ファイナンスを増やすこと　アフリカ開発銀行は、過去5年間でエネル

ギーセクターにおよそ60億米ドルを投資して

きましたが、「ニューディール」のもと、融資や保証供与、協調融資やシンジケート融資を行うために投資額を更に引き上げます。2016～2020年には、約120億米ドルの投資を行うほか、エネルギーセクターにおける投資資金として官民から約500億米ドルを動員する見込みです。さらに、2020年までに気候変動ファイナンスを3倍の年間50億米ドル近くまで増額し、気候変動の緩和・適応策として、200億米ドル規模の官民による投資を見込んでいます。

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電力・エネルギー・気候変動・グリーン成長担当副総裁

気候変動とグリーン成長気候・環境ファイナンス気候とグリーン成長

エネルギーパートナーシップ

公共エネルギーイニシアティブ・パートナーシップ

民間セクターとの戦略的関係

エネルギー財務ソリューション・政策・規制

エネルギー政策・規制・統計金融ソリューション

再生可能エネルギーとエネルギー効率再生可能エネルギーエネルギー効率とクリー

ン調理

電力システム開発国家・地域電力システム電力会社

「ニューディール」はどのように機能するのか「ニューディール」実現に向けた組織の刷新：アフリカ開発銀行は2015年に、副総裁職が率いる新部門「電力・エネルギー・気候変動・グリーン成長コンプレックス」を設置しました。そのコンプレックスにはエネルギー、気候変動、グリーン成長の国際的な専門家を配し、「ニューディール」実現を目指しています。これは国際開発金融機関として初の設置で、アフリカのエネルギー改革を牽引するアフリカ開発銀行の位置づけを明確化するものです。この副総裁レベルのコンプレックスの下に、5つの局が設けられています。

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主な歩み１ 2015年9月：アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」を共同策定するため、第一回目のエネルギーステークホルダーハイレベル協議会合（High-LevelConsultativeEnergyStakeholdersMeeting）を開催

２ 2016年1月：アフリカ開発銀行全体の実施戦略や活動についてアドバイスと指導を行う「インクルーシブ&グリーン成長の戦略・政策・実施」担当の総裁付き上級顧問を任命

３ 2016年1月：ダボスにて開催の世界経済フォーラムにおいて、「ニューディール」の発表と、アフリカ開発銀行、アフリカ各国首脳、著名な有識者・パートナーの支援による「アフリカのエネルギーのための変革をもたらすパートナーシップ」の立ち上げ

４ 2016年5月：120億米ドルを拠出し、更に450億～500億米ドルを集めることを目標とする、ニューディール戦略を理事会が承認

５ 2016年8月：「アフリカ再生可能エネルギーイニシアチブ(AREI)独立遂行ユニット」のヘッドを任命

６ 2016年9月：「ニューディール」を迅速に実施する総裁直属タスクフォースの設置

７ 2016年11月：「ニューディール」実施のための新たな部門「電力・エネルギー・気候変動・グリーン成長コンプレックス」を理事会が設置

８ 2016年11月：「電力・エネルギー・気候変動・グリーン成長コンプレックス」担当副総裁を任命

９ 2016年12月：理事会が、小規模な再生可能エネルギーの独立系発電事業者(IPP)とミニグリッド・オフグリッドソリューションを対象とする5億米ドルのデットファンド「エネルギーインクルージョンのためのファシリティ」を、アフリカ開発銀行からの初期拠出金1億米ドルと共に承認

10 2017年1月：「電力・エネルギー・気候変動・グリーン成長コンプレックス」にて以下の専門活動を率いる5局の局長を採用：

•電力システムの開発•再生可能エネルギーとエネルギー効率•エネルギー金融ソリューション・政策・規制•エネルギーパートナーシップ•気候変動とグリーン成長

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2016年1月～12月各国首脳・政府レベルでの政治的コミットメントを導くための「ハイレベルステークホ

ルダー協議・対話(HighLevelStakeholderConsultationsandDialogue)」の実施

2016 年の主な成果以下を実現するためエネルギーセクターの29事業に総額17億米ドルの拠出を承認：

546 メガワット（MW）の設備容量を追加、うち526 MW は再生可能エネルギーによる

プリペイドメーター 30 万台の設置

1,600 以上の新規雇用の創出

800 名にトレーニングを提供

70 万トンの CO2 排出量を削減

配電線 21,264 km の敷設

送電線 641 km の敷設と関連する変電所の設置

公共照明 7,800 ユニットの設置

新たに 688,950 の世帯・企業に電力へのアクセスを提供

5ヵ国でエネルギーセクター改革のための政策事業が始動

2016年を通じて、アフリカ開発銀行によるエネルギーセクター（官民両方）への投資により、14億米ドルの追加資金が動員されました。これには、アフリカ開発銀行を経由した海外の基金から5,700万米ドル（アフリカ開発銀行管理の信託基金、協調融資、気候変動ファイナンスファシリティなど）や、その他の外部との協調融資13億6千万米ドル（官民の協調融資や受益国見返り資金に加えてエスコムへのシンジケーションによる9億6,500万米ドルなど）が含まれます。

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アフリカ開発銀行は、2020年までのニューディール実行資金として120億米ドルをコミット、また450～500億米ドルの動員を約束しました。さらに、2017年には自己資金から最大で20億米ドルをエネルギーセクターに投資する予定です。その際、民間セクター事業を非常に重視するとともに、レバレッジ効果を利用して追加資金を集める予定です。

アフリカ開発銀行は、新たな革新的資金調達ストラクチャーを検討します。実際に、2017年3月28日に、分散型エネルギーサービス企業や政府の代表者、投資家ら150名を集め、「オフグリッドエネルギー改革」拡大に向けた環境整備・ビジネスモデル・資金調達の改善について議論しました。これは、再生可能エネルギーの分散型テクノロジーを使用して7,500万世帯・企業に入手可能な価格で電力を提

供しようとするもので、2017年には以下に資するプロジェクトの支援に取り組んでいます：

•2GWの発電容量•域内相互接続を含む2,500kmの送電線•1,250kmの配電線•50万台の家庭用ソーラーシステム

また、日本は「日本・アフリカエネルギーイニシアティブ」に基づいて、家庭・学校・病院・産業・クリーン調理のための電気をサポートする様々なエネルギー事業案件に対し、譲許的・非譲許的な支援を合わせ最大60億米ドルの資金提供を行う準備があります。

未来を見据えて


アフリカ開発銀行グループCommunication and External Relations DepartmentRueJosephAnoma01BP1387Abidjan01(Côted’Ivoire)

Tel:+22520264444•Fax:+22520213100www.afdb.orgwww.afdb-org.jp2017年10月

生活の質の向上

地域統合

工業化

食糧増産

アフリカの電化

High 5sアジェンダHigh5s(ハイファイブズ)は、アフリカ開発銀行およびアフリカにとっての5つの最優先分野であり、アフリカの社会経済改革の実現に向けたアフリカ開発銀行の2013～2022年の「10ヵ年戦略」を重点化し、スケールアップするための道筋です。「アフリカの電化」「食糧増産」「工業化」「地域統合」「生活の質の向上」の5つの分野からなり、「10ヵ年戦略」における表裏一体の目的「万人に共有されるインクルーシブな成長」および「グリーン成長への段階的移行」を達成するため策定されたものです。

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