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大阪市大『創造都市研究j1 巻創刊号 2006 3 ・論文・ まちづくりとソーシャル・キャピタル 小長谷一之(大阪市立大学大学院・創造都市研究科) 北田暁美(大林組) 牛場智(近鉄百貨庖) Town 1anagementandSocial Capital Theory ISS I¥i 1881-0675 Kazuyuki KONAGAYA (Graduate School for Creative Cities Osaka City U niversity) Akcmi KITADA (Obayashi corporation) Satoshi USHIBA (Kintetsu department store) [目次] はじめに 1.いまなぜソーシャル・キャピタルなのか? n. 主クロ理論の必要性 III. ソーシャル・キャピタルのミクロ理論で重要なこと(1) ーソーシャル・キャピタルの次元議 IV. ソーシャル・キャピタルの主クロ理論で重要なニと (2) ーネットワーク範囲の問題 V. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの例(1) ¥'1.まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの例 (2) ¥11. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの課題 ¥1Jl.ネットワークの生と死 [要約] 社会科学の様々な問題に対する切り口を与えるものとしてソーシャル・キャピタル概念が注目されている が、その実証的研究は、|卦家や地方などマクロな対象に関するものが多かった c まちづくゆなどの都市政策 関連分野でソーシャル・キャピタルを考えるためには、ミクロなレベルでモデルを構築する必要がある。本 論文では、なぜあるまちづくりは成功するのか、まちづくりを成功させるためには何が必要か、という問題 を整理するために、ソーシャル・キャピタルに注Hし、きまざまな事例をもとに検討した。 ソーシャ,!,・キャピタル概念をまちづくりのようなとクロ問題に適用しようとする場合には、 2 つの点が 重要になると考えられる。 ( 1)1 は、ソーシャル・キャピタルを構成する次元を、具体的・明示的に把握することが必要な点である三 まちづくりといったミクロなモデルにおいては、まず第 1 に重要な次元が I y トワークの存在」であり、 2 の次元かそのネットワークの強さを示す「信頼関係J であると考えられる。第 3 次元がもっとも難し いが、日入、意味でのまちづくりの互酬性を作り出す社会経済的システムの仕掛けで、あると考えられ、事例 に応じていくつかの有力な要素が抽出できるが、広い意味での革新 l イノベーショシ)に関係する、アー ト的要素、専門的知識と専門的ネットワーク、経営技術などがあげられると思われる c

まちづくりとソーシャル・キャピタル...大阪市大『創造都市研究j第1巻創刊号 2006年3月 59頁~75頁 ・論文・ まちづくりとソーシャル・キャピタル

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Page 1: まちづくりとソーシャル・キャピタル...大阪市大『創造都市研究j第1巻創刊号 2006年3月 59頁~75頁 ・論文・ まちづくりとソーシャル・キャピタル

大阪市大『創造都市研究j第 1巻創刊号 2006年 3月

59頁~75頁

・ 論 文・

まちづくりとソーシャル・キャピタル

小長谷一之(大阪市立大学大学院・創造都市研究科)

北田暁美(大林組)

牛場智(近鉄百貨庖)

Town恥1anagementand Social Capital Theory

ISSI¥i 1881-0675

Kazuyuki KONAGAYA (Graduate School for Creative Cities‘Osaka City U niversity)

Akcmi KITADA (Obayashi corporation)

Satoshi USHIBA (Kintetsu department store)

[目次]

はじめに

1.いまなぜソーシャル・キャピタルなのか?

n. 主クロ理論の必要性

III. ソーシャル・キャピタルのミクロ理論で重要なこと(1)

ーソーシャル・キャピタルの次元議

IV. ソーシャル・キャピタルの主クロ理論で重要なニと (2)

ーネットワーク範囲の問題

V. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの例(1)

¥'1.まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの例 (2)

¥11. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの課題

¥1Jl.ネットワークの生と死

[要約]

社会科学の様々な問題に対する切り口を与えるものとしてソーシャル・キャピタル概念が注目されている

が、その実証的研究は、|卦家や地方などマクロな対象に関するものが多かったc まちづくゆなどの都市政策

関連分野でソーシャル・キャピタルを考えるためには、ミクロなレベルでモデルを構築する必要がある。本

論文では、なぜあるまちづくりは成功するのか、まちづくりを成功させるためには何が必要か、という問題

を整理するために、ソーシャル・キャピタルに注Hし、きまざまな事例をもとに検討した。

ソーシャ,!,・キャピタル概念をまちづくりのようなとクロ問題に適用しようとする場合には、 2つの点が

重要になると考えられる。

( 1)第1は、ソーシャル・キャピタルを構成する次元を、具体的・明示的に把握することが必要な点である三

まちづくりといったミクロなモデルにおいては、まず第 1に重要な次元が I才、 y トワークの存在」であり、

第2の次元かそのネットワークの強さを示す「信頼関係Jであると考えられる。第 3次元がもっとも難し

いが、日入、意味でのまちづくりの互酬性を作り出す社会経済的システムの仕掛けで、あると考えられ、事例

に応じていくつかの有力な要素が抽出できるが、広い意味での革新 lイノベーショシ)に関係する、アー

ト的要素、専門的知識と専門的ネットワーク、経営技術などがあげられると思われるc

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60 創造都市研究 第 l巻創刊l号 2006年'3JJ

(2)第2!立、才、 7 トワークの範i刑の問題である。あきらかに、まちづくりのような動態的過程の理解におし・

ては、ソーシ γル・キャピタルを「狭義の地元|である対象街区の住民のみに|浪ってしまうのは狭すぎ、

全体的な理解を困難にする 3 ニの問題は、 iJとして形式的な問題ではなく、まちづくは過程の本質にかかわ

る面がある。なぜなら、非常に多くの場介、まちづくりの成功には「革新(イノベーション)Jの妥素が

必要であり、ぞれは多くの場合、外部からのキーパーソシによってもたらされるからである したがって、

4クロな分析では、対象街民とそのほかのキーパーソシから組織された新しいネットワークである「まら

づく:)組織のソーシャル・キャピタルJが重要であり、それが成長し、地元を活性化するものとしてとら

える動態的な視点が必要と考えられる。

[キーワード]

まちづくり、ソーシャル・キャピタル、ネットワーク、信頼、第 3次元

[Abstract]

Although ‘social capilal' concept is no¥¥' often discl:ssed and cxpccted lo give new insighl inlo many problems in

many fields 01" social sciences. ilS empirical sludies m日inlyfOCllscd 011 ll1acro Icvel subjeじIssuch as nalions‘ ~lal凸叩d

pro、'inじes.Thll~ ll1icro level Illodels are needed to deal with llrban policyほ Icnccssuじhas IOwn re¥'ilali.lalIon. Thi~

papcr lried toαJI1slruCl social capilal micro Jllodels in oJ'der 10 understand‘Why did thc !own managcmenl wnrk' or

'How to O1ake an lo¥¥'n man辻!!ementwork' ba~ed on sOlJle cases,

Following two points are important for叩じialcapilalωnじeplto apply 10 IOwn management practices.

(1) Firstly. it is Ill1poJ1ant 10 specify di01ensions composing social capilal explicitly. In IOwn mana,!!Cmenl tield且tirsl

dimension 01' ,{){:ial capilal is Lhe exislence of network, and second dimcnsion is lmsl. The lhird dimension is 01051

difficuh to dclinc and some so口ofsoじ10・cconomicI11cchani只111to producc rcciprocity which rclatcd to broad concepl

of innovations: a門司メpccialtyoutfits and managemenl skills.

(2) Second problem is how to define the eXlenl of nel仇'urks.lt is obviollぉIyincon、'enienl10 reslrICl the cxtcnt to thc

na汀owdistrict cOl1cerned. becallse II呂uallyIhe slIccess 01' town m<lnagernenl uepenus on the key memhcrs whoじomc

froll1 other areas outside the dislricl concerned, Thlls in lown manaιemenl proじesses.Ihe soじialcapital of town Jllはn←

agcmcnt group it:ちclfincluding of both Ihe dislricl members anu outsidcrs is import品nt.which evol¥"es to giveιootl

cffects 10 thc district it只clL

[Keywords]

Town 1'vlanagcmcnt. Social Capital. Network. Trusl‘Third ()imension

はじめに

本論文では、あるまちづくりがなぜ成功するのか、という問題を研究するにあたって、近年都市政策・都

市計両分野で注目されるようになってきたソーシヤル・キャピタル概念のよクロな問題への適用とf聖論上の

課題をほり上げるー

そもそも、ソーシャル・キャピタルに関する研北は、(ハニファンの社会教育論やジエイコブスの都市社

会論などをそのルーツとすると Lふう解釈があるが、)これまで、の実際の実証研究では、パットナムのイタリ

ア南北問題の説明やOECD・世界銀行による経消開発効果の説明など、マクロな国や地域を対象とするむの

が主流であったr

そうした意味で、まちづくりのプロセスを説明するような、ソーシャル・キャピタルのよクロな理論の構

築はこれからの課題であるとレえる μ

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小長谷一之・北田暁美・牛I易・智「まちづくりとソーシャル・キャピタルj 61

しかし、つレ最近ではあるが、都市f',¥l連研究分好でも、ソーシャル・キャヒタルへの注目の高まりがみら

れるようじなってきた。たとえば、日本建築学会福 [2005] は、中心市街地活性化が必要な理fRのーっとし

てソーシャル・キャピタルに言及(矢作弘担当の第2章}しており、者fi市計幽ーの長新の包括的教科書である

高見沢主婦 [2α)6]では、 1草分をまるまるすっIJt"ふてソーシャル・キャピタルを取 1)卜げるようになった 3 こ

うした変化には、これまでハードな大規模土木事業が中心であった郎市整備の分野でも、環境・住民といっ

fニソフトな側自のウェイ卜が噌加しつつあることを示すものであるとt",える。

ところが、 日己の高見沢編 [2006]でもわカ。るように、その議論ではソーシャル・キャピタルという名称

はあげてし 6るが、必ずしも経済学、社会学、政治学などのこれまでの研究の成果にl直接結び‘つレておらず、

これからの問題が多く残されている。

{.::1iiお文では、ソーシャル・キャヒタルの社会科学的研究の成果をふまえた上で、「なぜ、あるまちづくり

が機能するのか(=¥Vhydid the to¥¥'n management work) ? Jおよび、その応用と Lての Iあるまちづくみを

成功させるにはどうすればよいか(= How 10 makc an town managcmcnt work) ? JとL寸問題を具体的実証

事例の中で考えていくことにしたい。

I.いまなぜソーシャル・キャピタル なのか?

ソーシャル・キャピタルには広L、概念からj灯、概念まで幅広い定義が存在する。代表的研究苦のー人であ

るパットナムの定義によれば、「協調的行動を谷易にするよとにより社会の効率を改善しうる信頼、規範、

ネットワークのような社会的組織の特徴J[Putn叩 1et.lll. 1993. p.167、Putnam1995, p.67]のニとである。

ニうした概念が注目されるようになった背景には、

1) (致治)Putnam el.lll. [1993]のように、国や地域の!笥で民主主義やガパナンスが有効に機能しているか

どうカでなぜitが生じるのか? というよとに閲する説明や、

2) (経済)世界銀行、 OECDのように、各国の経済的パフォーマンスの差に関する説明(同じような開発

がおよなわれても各国に経済的パフォーマンスの差が生じるのはなぜか? 生産性の仲びをすべての要素

の伸びで説明し、ぞれでも説明できない残差(全要素生産性)などが一つの指標)、

3) (社会)ある社会では犯罪や暴力がとt.じやすく他ではそうでないことの説明、

など、羽化の社会科学において難問と¥,われているさまざまな課題に、説明の糸Uを提供するのではないカ・

という期待があるからである:

ソーシャル・キャピタルに類似した概念の歴史は実は大変古く、 20世紀に人ってからでも、 1916年のハニ

ファンの地域社会教育論や、 1960年代から蛤まるジ五イコプスの郁市近隣社会論[.1acobs1961]などにまで

さかのぼるといわれている rPutnum el.lll. 1993] 0 しかし、ソーシャル・キャピタルという概念を現千Eの経

法・政治学の分野の研究苅Tiに持ち込んだ、主役者のー人lままぎれもなくパットナムである。

イタリア南北問題をソーシヤル・キャピタルの差で説明しようとした前述のPutnamet・a{. [1993]や、も

ともと仕会的活動に熱心だ‘ったアメリカ社会が、急速にソーシヤル・キャピタルを失ってし・くとことを I独

りでポーリングする (RowlingAlone) Iアメリカ人の増加によって象徴的にとらえ分析したPUlnam[1995]

が大きなさっかけになり、ぞれが1990年代後半以降の研究の増加につながったのである。

これらのことから、ソーシャル・キャピタルは地域・昔I;mの問題を説明し、解決するにも有効であると考

えられるが、わが国ではその導入は政治学・経済学分野から柏まったため、その具体的適用例はあまりな

、-

L山 lかえると、これまでは、ソーシャル・キャピタルの研究、特に経済的研究において、

(E命題)なぜ、ある経i斉は成功し、なぜある経済は成功しないのか?

と"'うところが課題であったといえる(この側商の研究に関しては、 1990年代初頭までの経済のパフォーマ

ンスの違L を、高信頼性社会(日本、 ドイツなど)と低信頼性社会 (rp岡、イタリアなど)との聞の差で説

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62 創造都市研究 第 1巻創刊号 2006年3月

明したFukuyama[1995Jの信頼論などがある)。

ここでは、それを主クロな地域振興問題に変換し、

(T命題)なぜ、ある「まちづくりJは成功し、なぜある「まちづくり」は成功しなし。のか?

という点に着目するミクロ理論の構築を日指すことになる。

II. ミクロ理論の必要性

まちづくり・地域振興のみならず、ソーシャル・キャピタルを、之クロな問題に適用しようとする場合に

は、

1 )具体的な人間集団・地域について、ソーシャル・キャピタルを具休的・操作的に定義できなければなら

ない、

2 )そのソーシャル・キャピタルを、ある程度具イ4的に、明示的にiUlj定できなければならない、

ということになる。"¥1,ゆ e えると、まちづくりに限らず、 之クロ問題では、この 2点が欠かすニとができな

いし、逆に、この点における知見が培えれば、之クロ問題一般についての応用が利くということになるc

ζの点が重要なのは、現在、ソーシヤル・キャピタルの経済的研究の多くは、マクロ実正jEのレベルにとど

まっているからである。

(説明変数)マクロ的なソーシャル・キャピタル指慌で明示的に測定できそうなもの(ボラシティア同体

の数やアンケート結果など)と、

(目的変数)マクロ的な経済指標(経済成長率なとずのパフォーマンス)

との間の回帰などの統計・的手法を使って説明することが多いからである (OECDやWorldBank) (

しかしながら、単純相闘が因果関係を意味しない、説明変数.1=1的変数の両者に関係するかくれた変数の

存在の可能性を否定できないなど、マクロ的集計分析には一定の限界がある。やはり、具体的な対象に関す

る Lクロモデルを組み立てていく必要があるのである。

ill. ソーシャル・キャピタルのミクロ理論で重要なこと (1)

ーソーシャル・キャピタルの次元論

そこで、ソーシャル・キャピタルのミクロモデルであるが、筆者らは、ソーシャル・キャピタルの ξ クロ

理論にとって重要なのは、 Iソーシヤル・キャピタルの次元論jであると考えている。ぞれは、必ずしも定

量的な形ではなくとも、ソーシャル・キャピタルをなんらかの形で評価・測定するためには、その中に内在

する次元 (dimension) を特定する必要があるからである。逆に、こうした次疋を特定できれば、ミクロ理

論が大きく進展する可能性があることは期待できる。

ょのことは、パットナム白身も、「…われわれはソーシヤル・キャピタルの諸次元を分類しなければなら

ない。ソーシ Tル・キャピタルは、言葉のうえではまったく逆に思われるかもしれないが、明らかに 1次元

的な概念ではなL。どのようなタイプの組織やネットワークが、互醐性、集団行為のジレンマの解決、社会

的アイデンテイテイの拡張といった意味でのソーシヤル・キャピタルを、最も実効的に具現化する(あるい

は生み出す)であろうか。本章ではとくに団体活動の脅度に注目してきた口… [Putname/.al. 1993,第6阜、

坂本訳JJと指摘している通りである。

ぞれでは、具体的にはどのように定式化できるのだろうか。

1 .ネットワークの量と質(強さと深さ)

その手f1トカ 1)のーっと考えられるのが、ノリスの議論である (NOITi只 [2002])。

ノリスのモデルは、 2j[:言論である。

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小長谷一之・北田暁美・午場智「まちづくりとソーシャル・キャピタルJ

表 1:ソーシャル・キャピタルによる社会の類型化

文化的次元

(社会的信頼)

出典:Norris [2002], p.153.

構造的次元(連帯的活動)

豊かなソーシャル・キャピタル

iit合型

6:3

1 )第 1の次元は、構造的次元とよばれ、社会的ネットワークであり、公式的ネットワークと非公式的ネッ

トワークにわけられる。実証的には、ほとんどの場合、 PTAのような公式的ネットワークが測定の対象に

なる口

2 )第 2の次元は、文化的次元と呼ばれ、社会的信頼の次元を示す。

ζの両者仁よって、特徴づけられるのであるが、あきらかに後者の方が定義もi制定も燥しい。

ところで、冒頭のようにパットナム自身も、信頼、規範、ネットワークと述べているが、ニこでは、パッ

トナムそのものではなく、ノリスの考え方も含めて、まちづくりというミクロモデルに適用できるように考

えることいしたL、

2. ソーシャル・キャピタルの第 1次元=ネットワークの存在(ネットワークの量的側面)

ネットワークの存在は、理論的にも明快な概念であり、また実際のフィールド調査でも社会的ネットワー

ク図として表現でき、操作的にも明確な慨念である。

それゆえ、われわれは、ミクロ理論では、「ネットワーク(の量的側面)Jは、第 1に竜要なソーシャル・

キャピタルの要素であると考えたいロ

ネットワークがなければソーシャル・キャピタルはあり{号なかし、より大きく強いネットワークがソーシ

ャル・キャピタルの基礎になることは縫かである切

ただし、ただネットワークがあればよいというものではない+

現在は、 Putnam[2000] におけるネットワーク類型論

1 }接合型 (bridging) ネットワーク=水平型で開放的なネットワーク

2 )結束型 (bonding) ネットワーク=桑直的で閉鎖的なネヅトワーク

においてもわかるように、ソーシャル・キャピタルにとって望ましいネットワークと望ましくないネットワ

ークの区別が重要になってきた。

このことも、ミクロ理論においては、ソーシャル・キャピタルにおけるネットワークを量と質の観点でま

ず 2分類するノリス的枠組みか手掛かりになることがわかるであろう。

また、ミクロ理論いおいて対象となる多くの社会では、なんらかのレベルのネットワークは、まず存在し

ていることがほとんどである(ネットワークが存雀しな~ .ような極度に分断化された社会は、そもそもソー

シャル・キャピタルがほとんど存在していなしサコ

そこで、まずソーシャル・キャピタルの第 1条件として、ネットワークは存在しているのだと仮定して、

そのネットワークの質によってソーシヤル・キャピタルの強弱を~・えるという枠組みがよいということにな

る。

まちづくりの分野では、直田 [2005]の千里ニュータウンの研究のように、ネットワーク図を利附するも

のも現れるようになってきた。しかし、そこでは、ネットワークは、まちづくり組織について考え、その地

域の他の条í'i'との差違があまり認識されていな ~)o 本論文では次節でその点を検討する。

3. ソーシャル・キャピタルの第 2次元=信頼(ネットワークの質・強度)

ソーシャル・キャピタルの質的側面のうち、もっとも特定しやすく、アンケート(クロスセクション型、

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2006'.ド3月第 1巻百IJ刊号創造都rh"fiJl究aゆ口。

ノfネル型.'ずれにおいても)でもある程度容易ドil!lJ';i::できるのが f1許制|と忠われるハ

アスレイナーの信頼論 [Us)aner2002] と, .う議論が

あり、

1 )特定の相手1':11"する「特定化信頼j、および、

2 )未知lの人間一殺に対して普通的に信頼をおく「普遍化f計百j、

があり、後者の方が望ましL・とされてし』る。

この信頼の買は、パットナムの抜ー合型と結束型にやや汁|ιしてL込るところがある↓ ソーシャル・キャピタ

ルのネットワークの質からレうと‘~合j~~ ネットワークと普遍化信頼の方が、結束!l;9 ネットワー?と特定化

より高度-なものであり、したがってソーシャル・キャピタルもより高Lーとみる立坊が-般的

ソーシャ}~ .キャピタルにおける信頼1.:11,I,Jしては、

{言領仁対して、

であるぺ

ソーシャル・キャピタルの第 3の次元

パットナムのソーシャル・キャピタルの定義において段後まで残されたもの、たとえば‘Putnamの「規範J

などは、実は社会科学にお¥, .て、ソーシャル・キャピタルの第 1次y己、第 2:欠孟としたネットワークや信頼

:ょ比べれば、もっとも難しし概念とI"える。

一二のニとは、ノリスの 2 元誌ともそれほど~.,)百しな ~'o ノリスのソーシャル・キャピタルの 2 つの次元の

定義のうち、構造的次元はネットワークの量にほぼ刈応するが、文化的次元ははたして狭義の信頼のみとい

ってよ¥;,のか疑問が残る z したがって、ソーシャル・キ T ピタルの要議のうち、ネットワーク(第 1次元)

とその強さとしての信頼(第 2 次元)以外は、残された要素、残茶 (tf~ 1次元と第2次元によっても説明で

きなかった残り)を第 3の次元として、「その他すべてJ安泰といえるが、実はそこがもっとも殺しL 部分

4.

である r

これまでに指摘されてきた、第 3 の残された次J~ として、もっとも明快なのは「正酬性|ではなL カ‘と思

われるとこれを、まちづくりのミクロ理論に当てはめると、地域の構成員が長期的(短期的ではなL、)には

なんらかの形でお互い恵みをうけるようなメカニズムであるといってよい。

すなわち、ミクロなモデルとしては、

[まちづくりにおける成功要因]

与[ソーシャル・キャピタル|

=民ヅトワーク

a=f!i':・2次元、

3=第 3次元、

とし 4う枠組みになる注10

しかし実際には、第 3次元、すなわち、そのような f地域のf1:倒けjは、

考えられるc これだけでは、ただ「その他すべてjといっているに等しい+

この第3の要素は具体的にどのようなものなのか? を地域の成功事例iをもとに解明することが課題であ

(第 I次示)+α+al

信頼(ネットワークの質・強度)

広い烹味でのまちづくりの可酬件を作り出す社会訴済的システムの什掛け

さまざまな形態で会現されると

るー

(2) ソーシャル・キャピタルのミクロ理論で重要なことN.

ーネットワーク範囲の問題

まちづくりのミクロモデルで考えられるソーシヤル・キャピタルのネットワークの範聞には、

メソスケールとしての地域(都市全体や白治体)

2 )まちづくりの対象としての街区

1 )

の 2つが考えられる=

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小lHi-一之・北田暁美・牛場智「まちづくりとソーシヤル・キャピタルj 65

このようなネットワーク範PHの問題が出てくる理由は、非常に小さな街区コ ξュニテイのみで考えると、

まちづくり活動がその'1'で完結しないよとが多いからである。

まちづくりい決定的役川を果たすキーパーソンは、ほとんどの場台、メソスケールとしての地域.nr;市内

部の出身者・である。しかし、彼らはメソスケールとしての地域の出身者ではあっても、まちづくりのII'{接の

梶台である小街I.{の市くカ。らの11:民であるとは|反らないことが一般的である。

また、まちづくりのiUit二直接かかわるのは fまちづくり組織のソーシャル・キャピタルjである。まち

づくり組織いは、・li然iJj区以外の人間が入ってくる。街区の人間とそれを応提する外の人1111のI,llj.j'i-をいっし

ょにしてネットワークを~・えなければならないのである。この税点に立つのが直凹 [2005] のネットワーク

図である。

それどころか、まちづくりに必要な「革新(イノベーシヨシ )Jという側面を導入するのはほとんどの場

合、当該街[;{の人間ではなく、ある程度外部の人間である。それは、既存のコミュニティが停滞段階にある

ところに「革新{イノベーシヨシ)Jをもってくることからも明らかであろうの

このようなニとを考・えると、まちづくりのソーシャル・キャピタルを考える場合には、対象街区のみの範

囲でソーシヤル・キャピタルのネットワークを考えるのは、ほとんどのI易合、狭すぎるということがわかる宅

街区の人間と、 fiiJじ初iT!il付の出身ではあるが、街区の外部のキーパーソンを含めたネットワークが良好に機

能しているかどうか、が,ft:裂であ:)、そのためには「まちづくり組織のソーシャル・キャピタルJをまず考

えなければならないのである。

それを以ドのようないくつかの事例をもとに検討してみよう。

V. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの伊~ (1)

1 .キ-/'¥ーソンとNPO

空掘I街Ij!ii!jの1ft]"1芸 N'I~プロジェクトであるからほ i) 倶楽部[立、大阪のまちづくりの成功例のーっとして釘

名である[たとえばIJ、lHi-2005a]。この地域は、秀吉大隈減の南の娠に当たり、 1--地の勾配があり、かつ戦

災を免れたという偶然がかさなり、大阪でも診しく古い長屋物件が多数残っているとよころであった。

ニのからlii} f日来泌プロジェクトのキーパーソン(j:建築家の大波緩雅ー氏である。氏がプロジェクトを構

想するようになった契機の・つがNPO法人街尿集団での参加であったっニのグループI'iH~{立、阪神淡路大渓

災を嬰機として、住築家やデイベロッパ一関係者カ'1996年5月に組織したもので、主たるifdiめは、月 l回の

ベースで行われてきたまちづくみや環境に関する研究会 (2005年末までに118岡を数える)と、コンサルテ

ィング・ワークショップ事業である (NPO法人としての認証は2001年8月)。

2.商庖街との出会い

ニの街l宗管i同が外l二ll.'rて出動した紋初の例が、 1998年度におよなったボランテイア16b)Jの「空剥尚庖街ま

ちおこし活性化j前fめであった。一二れは、小学校廃校の跡地(1立J1の来初の;¥1向日i街にifliした、現在の空桜

桃谷公園)を公|申|に転換するときの工事の仮設の墜に絵を描こうというワークショップであったc

大ill_ìiif.氏は、もともと・n寺市大阪で仕事をしていた建築家であったが、設計事務所を常収で Il~1 <ζとにな

ったc 主主初のオフィスが I'~I 1の囚の筒所で、その後、 Eの箇所の第 2次オフィス(.:移似し、そのときにニの

商附街の請が持ち卜.がったのである。

跡地を利IIJする1ンJIの1111、i邸前iおに面している墜(巴!の印象が寂しいということで、地元のAi樹脂街が、

療のオーナーであるl!iに,i'r'有lをもらい、墜に絵を描くワークショップを開催することになったものである。

この話を街陸集i!JIでまとめたのが元.fI!!.~μの ;\li氏で、l\[i氏は地元出身で固に自宅を持ち、義Jlllの父税が固に

自舗をもっA商),liIEIのメンバーであったc いわば、初期!のまちづくり組織の中で地疋のコミュニテイ側のメ

ンバーとして抗初の結びつきを作ったのがMi氏であった?

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66 創造都市研究 第l巻昔IJ刊号 2006年 3月

3.説明会からの組織立ち上げ

このワークショッププロジェクトが契機となり、六71主羅氏は、空き屋となった長麿吃:!}の紹介や、物件

としての説明会、まちのマップ作り、まちあるきワーキンググループなどの活動に来り出すようになる。

この長屋物件の説明会を行ったのが、凶古11の固にある「心裸」である。当初、六j皮羅氏と、地元不動産業

者-と心裸オーナーO氏の 3名が中心になり説明会を主宰、 2001年 4月に第 l回を聞き、 1固に 5軒程度のペ

ースで説明をおこなっていった。供給領IJの物件は I-_記地元不動産業者が伯報を提供し、テナント候補の方は、

ホームページによる紹介とメールという手段で集め約10組以上が参加した。

この説明会活動をきっかけとしてあっまった約40名の人々が中心となって「からはり倶楽部Jを立ち上げ

ることになるつこの約40名が、「まちづくり組織Jの初則メンバーといえるが、その構成は、 NPO法人街麿

集団の関係者としては、代表の六波緩氏の{也、からほり倶楽部現理事のY氏とI¥1a氏があり、それに地元の

人や他地域の人々であったc

長屋再生の第 1号物件としては、地域jヒ阿部の長掘通 1)沿いの固にある物件のグラブイックデザイン事務

所へのリノベーションが決まった。

これに続く物件としては、仮設壁プロジェクトのあった空堀桃谷公l討に面し、臨庖街から北に人った匝に

ある鉄骨 4階建てのクリーニングのプレス工場跡の話が入ってきた。六j皮羅グループの活動を聞いたA商庖

街の方で、商陪街内の物件は直ぐ出せないが、いわば実験としてその近くの物件を斡旋してきたのである u

この物件は、六j皮羅氏の友人がテナントとなりフランス料理屋となった。これか現在の右-名な Iカーらはり亭J

であるの

4. rまちアートjのイベントの企画

最初参加した不動産業者やO氏がー且離れ、六rl.ll縫氏にも転機が訪れる。長屋物件をただ紹介するだけで

は不動産業と同じでありまちづくりではなし、。地域を変えること、それはコミュニティの意識を変えること

に他ならないといえる。長尽を残したいという意識が尚まることによって長原に入居させるという気が起こ

るのである。当初、地元の長屋のオーナーlこ説明をしても「こんなポロボロの家に入る者がいるのか?Jと

疑心暗鬼の人が多かったとし寸。つまり、この段階で街の良さに住民自身が気づいていなかったということ

であり、それに、住民自身がどう気づいていくか? がポイントであった。

この問題を解決したのが、当時からほり倶楽部の理事であったA氏であった。このように新しいアイデア

を持ち込こんだA氏は、地元ではなくからほりの集会に飛び込みで参加したサラリーマンである一 A氏が注

目したのは「風の盆Jで有名な宮山県八尾(やつお)の「坂のまちアート inゃっぉ」というイベントであっ

た。これは、まちの辻、路地、家の壁等にアートを置いて鑑賞してもらうもので、 A氏がリーダーシッブを

とり、初期メンバー約40名でニの「まちアート」イベントを見学に出かけたところ、大変而白いものである

ことがわかった。ゃっおの町の人間にヒアリングしたとニろ、自分の町と|町屋[~誇りをもち白位する者、イ

ベント紹介のピデオを見ていけと勧める者などばかりで、結局、そういう気持ちを起こさせることが大事で

あるということに気づいたという。このように、 Isfの人間自身が変わってきていることが重要ということで

あったc 町の人の意識を高めるため、アートという媒体を石畳の上に置き、このl可は良いとアーテイストが

来て言ってくれることが大きいということである。

2001年秋に、これをモデルとした「からほりまちアートjを企画する。第 1回Ijで金曜前夜祭に25∞人が

参加した。二れはプレの準備祭のつもりだったが、大変多くの参加に驚き、 2002年の第2回日は、土日とし

て、その結果、 l万2000人が参加した。

このから iまりまちアートのプロジェクトでは、人間のネットワークの進化も大変重要な側面をもってい

る。

このプロジェクトを成功させるためには、アートを背く地元の長尾側の了承・理解と、アートを展示する

アーテイスト側の参加・協力の 2方向にネットワークを伸ばすことが必要不可欠である→

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1_- -巴Lω長堀通り

図 1:からほり倶楽部関連地図

{Aoii :第 1固からほりA:六波羅氏第 1~欠オフィス 処町J

'--"まちアート作品展示場所B:六波羅氏第 2次オフィス

C: l壁面アート場所 COI 第 3固からほり

D:M氏宅 まちアート作品展示場所

E:M氏の蕨理の父 (A商庖街メンパー)

F:説明会開催地(心裸)G:第 1号物件(グラフィックデザイン事務所)

H:第2号物件(からlまり事)

1 :楓ギャラリー

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68 創造都市研究 第1巻t!IJ刊号 2006年 3月

まず前者の地充長屋とのネヅトワークであるが、 3つある地元尚応街 t川のうち、第 1回目は、仮設壁プ

ロジェクトカら親しかったA蕗底街がもっとも績陸的ドサポートをしてくれたが、あとは同覧程度で、勝手

に、という!長じだ、ったという c そのため、地元の長時に外部の人聞がl白J長L、くわけにもいかず、地元の青年

同にいっしーにまわってくれるように和んだ哨SFO

生111)合いの食堂は当日あけてくれたが、聞けた応は満員になった。このように、成功するようになると、

長屋の交渉でも理事長も~ ,っしょにまわってくれるようになった。また、当日も、定休日でもあけたり、お

A与をだすようになったのである。

国 1中、 rA+数字Jが、 2001年第 1liJI展ぷサイトであり、 rc+数字Jが、 2003年第 31副展ぷサイトであ

るc 地元の長屋方面の人間的ネットワークは、最初はAii街応街のある京都が中心であったが、その後、全体

に1よがり、より濃密になっていく様一子がわかる。

二大にf走者のアーテイストとのネットワークであるか、地元の回にある楓ギャラリーと、京都造形大や大抵

1主jくの講師をしている N先生という芸術系のWtJlj家の 2つのルートでアーテイストを集めたという九場所の

選定=長麿{則との相性も重要なので、アーテイストにまず地域を自由にまわってもらい、どこに出宿してみ

たいカを第 3希望まで出してもらって、交渉したほどである。家の表だけでなく玄関も貸すことがあった5

ニの「まちアートJプロジェクトの成功の鍵は、自己表現を 1"1指す若手アーテイストの協)Jが良好だったこ

と、アーテイストのネットワークが広報の効果をifEめたことなどにある什

もともと地元は、戦災にあわなかっただけあって、甘からの古いコミュニテイが残っており‘ 7tj変緩氏ーも

最初は「よそものJであるご氏によれば、 r50iドすんでいても新米ですじ町会のパス旅行でも、「誰々が・番

J!,-¥" Jとl-う話ばかり」と¥,-う。

しかし空堀倶楽部の活動により、町内会もだいぶ変わってきてし込るという r いろいろな人が空堀倶楽部の

町屋リノベーション拠点 l討を訪ねてくるようになっているという。古く強いコえユニティは、 I一日.味方

につけると強い(六波緩談)JとLゐうよとである叶1hlo

ニのようなプロセスをまとめると図 2のようになる。キーパーソンの六波綴氏と地元を中心とした新たな

まちづくり組織のネ γ トワークが形成され、そのネ y トワークがより大きく、張氏、深くなっていく様子が

読み取れる。

vr. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの伊~ (2)

このよヴな例は、 iたして特殊なものではなL、。

既に北問 [2005Jによって調べられている京都三条あオ 1)プ口ジ‘エクト(1記13)や泉北アートプロジェク

ト(図 4)では、「スーパーパイザーJrプロデユーサーJr事務同相当Jr渉外Jr地元Jr広調u rボラシテ

ィアJrアーテイスト」などが、「成功するまちづくり組織のネットワークJにとって重要な存存ーであること

が指摘されている二

また午場 [2005]によって調べられている福島商応街プロジL クト(凶 5)では、地元キーパーソンであ

るK野氏と¥,.うプロデユーサーが占Hiiflrliという外部の専門家と結びついたネットワークを形成し、中津商白

街プロジェクト(図 6)では、対尾氏という71f楽プロデューサーか地元|削占街側のキーパーソンと組んで地

域へネットワークを伸ばす形となっている。

まちづくりの対象街区の人間とキーパーソンからなる「まちづくり組織Jのネ 7 トワークが、信頼を得る

ことによって新しいソーシャル・キャピタルを形成し、それが成功することによって、地域のソーシーγル・

キャピタルも高まっていくとレうよとである。

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小長谷ー之.;1ヒ回日史実・午場智「まらづくみとソーシャル・キャピタルj Qd

tり

(1 )商庖街壁画プロジェクト・説明会時

【地元街区のコミュニティ】

• • • • • • • • • ・

地元商庖街 F元不動産鯖

長墨オーナー

(2) からほりまちアート時

【地元街区のコミュニティ】

地元アート鎚点

「楓ギャラリー」

長屋オーナー

図 2: :からほり倶楽部プロジェクトのネットワーク

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70 創造都市研究 第l巻創刊号. 200s年 3月

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地元ブレーン

図 3:京都三条あかりプロジェクトにおけるまちづくりのネットワーク

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地元プレーン

図4:泉北アートプロジェクトにおけるまちづくりのネットワーク

(IlH~ : .ltH1 [2ω(3] )

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小長谷一之・北田暁美・"工場干¥'rまちづくりとソーシヤル・キャピタル」 71

福島の J て:τ戸 f

ネットワーク〆 γ【旧青年団】

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図 5:福島商庖衝におけるまちづくりのネットワーク

¥11¥典:牛場 [2∞6]}

中津のネットワーク

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図 6:中津商庖衝におけるまちづくりのネットワーク

(/1',典:牛場 [2α16]1

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72 創造自|川ili}f究 第1巻創]=fJ}:!・ 200f3年 3月

VII. まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルの課題

1 .ネットワークの範囲の問題

上記のように、あきらかに、まちづく I}のような動態的過伐のJIIlflJlfoにおいては、ミクロな状況におけるソ

ーシャル・キャピタルを「狭義の地y乙Jである付象街l互のft!(のみに限ってしまうのは扶すぎ、全体的な.fi1I

解を凶撃にする。

この問題[立、決して形式的な定義の問題ではなく、まちづくり過杭の本質にかかわる而がある。なぜなら、

非常に多くの場合、まちづくりの成功には r~革新(イノベーシヨン )J の要素が必要であり、それは多くの

場合、外部カ・らのキーパーソンによってもたらされるカ ιらである。

したがって、まちづくりにおけるソーシャル・キャピタルのえクロな分析では、「まちづくり街区のソー

シャル・キャピタルjとともに「まちづくり組織のソーシャル・キャピタル」も主裂であり、それは、対象

街区とそのほかのキーパーソンから組織された新しいネットワークといえる。

まちづくり組織は、既存の地域コミュニテイに接続・立脚しながら成長するが、そのことが、逆にフ fー

ドパックされて、既存の{商宿街やOIfI)'J会などの)組織や地域コミュニチィを活性化し、全体としてのソー

シャル・キャピタルを増加させる。ょのことは、ソーシャル・キャピタルのマクロレベルにおいて.これま

で、ソーシャル・キャピタルの自己強化性、出騎性、好循J.%'!'I"I:などと言われてきた性質のえクロ的{立置づけ

をあたえるものとJfえられるー

まちづくりの成功を説明するには、まちづくり組織のソーシャル・キャピタルがf(要であり、それが、

「ネットワーク形成j→「信頼構築jー「第 3次元の展開JとL寸要素を経て成長するものとしてとらえる

動態的な視点がif(要と考えられる。

2.ソーシャル・キャピタルの第 3次元について

ニうした事例で;ムソーシャル・キャピタルの第 l次元であるネ y トワークが形成され、第 2次元である

信頼も獲得きれているつしたがって、問題提起した、

[まちづくりいお.tる成功要因の公式]

王子[ソーシヤル・キャピタル]

= [ネットワーク(第 1次元)+α +i~ I

α= 却~ 2次元、信頼(ネットワークの質・強度)

,1 =第3次元、広い怠味でのまちづくり互訓性を11:り11¥すH会経済的システムの仕掛け 'ii.i'

における第 3の次元はなにか、とし hうよとであるが、北岡 [2005]は、ニの第 3次元をアートがもっ完IJ果、

外部性であるとし、牛場 [2005]は、 I尚殉碕附ilιν1,¥川i

ネツトワ一クを(r仰Iヰ中!ドI{ぱます効果であるとしているo まιづくりにおしもでこうした要素はいずれも重要なものと忠

われる。

具体的な形態l止、まちづくりの現場によっていろいろあり{与るが、 L寸サLの場合も、第3次元Jは、丘、い

意味でのなんらカ・の筆新(イノベーション)に関わる要素であると思われる。

iIIII.ネットワークの生と死

長後に、地峨コミュニティとまちづくり組織との問係を、ネットワークのライフサイクルという視点から

考えて結びとした~ '0

図7は、縦軸にソーシャル・キャピタルの第 1次元であるネ Y トワークの量(下ほど大きい)を取り、憐

倒にソーシャル・キャピタルの第 2次元である信頼の量 (Ii:.(iと'大き L、)をとった 2次元空間上で、ネット

ワークの分類を行ったものである。当然、イj1-0から左 fにrnJかつて斜め方向にソーシャル・キャピタルの量

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小長谷一之・北旧暁美・午場智「まちづくりとソーシヤル・キャピタル」 73

は大きくなる c

ニのようにすると、標準的なネットワークの分類と位萱づけができるようになる c

第 l 象 lli~ (右卜ー)は、ネットワークのrt::・信頼いずれも小さく、①析しく生まれたばかりのネットワーク

を点している。

やがて|時間がたつにつれて、信頼がWI し、第 2 象i浪(左上)のi~i ネットワークの成長段階を経て、ネット

ワーク白身の量も増し、第3象|浪(1.:ド)の喜ネ y トワークの成熟・完成段階に人ると与えられるとl 一二の段

階でソーシャル・キャピタルは根大になるつ

とζ ろが多くのネットワークは、 i!j¥,‘コミュニテイにみられるように:'11')老朽化・老齢化していく(第 4象

限の)jへ移動L

パットナムの桜察したイタリア I~j ~I;社会や、結束型ネ y トワークのように、縦的な関係lま濃密で5~il 'が、

:柔軟性を失った社会がニれにあたる c ニのようになると、結果として、日新も下が 1)、ソーシャル・キャピ

タルも fl!;ドする r

なぜ多くのネットワークは、このような老朽化の毘に陥るのだろうか?

その-つのヒント!之、ソーシヤル・キャピタルの第 11:元と第 2次元を1<.現したこのグラフでは現れてL‘

ない、第3次元(広¥"意味でのまらづくりの瓦酬性を作lJ出す社会経済的システムの仕掛け}にあると考え

らtlゐ。

多くのネ yトワークは、ある時!!1j、Jl:l‘窓味での互酪性を作 i)tilす干上会経済的システムの仕掛けを作 i)、

ソーシャル・キャピタルを完成させる。しかし、ニの第3次元は時間とともに変化する外部環境と深い閲係

にあるのが普通であ句、そのままでは、外部環境の変化に柔軟に対J.[::.してレくことができず、可.酬性がjli:卜する。こうして、ネットワークば時代遅れとな旬、信頼性も低下すると与えられる。

ネットワークの量小

(ネットワークの歴史新)

②ネットワークの成長 d漸しいネットワーク

の誕生

信頼大

'見、、、官、、、、信頼小

生再B

、、、、

、、、

⑤ネットワークの死

〆11 A (放置)

③成熟化したネットワーク @老齢化したネットワーク

(古いコミュニティ)

ネットワークの量大

(ネットワークの歴史古)

図 7:ネットワークのライフサイクル(生と死)

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74 創造都市研究 第 1巻創刊号 2ω6年3)]

まちづくりを診える l二で、革新がもたらされる以前の古い商白街コミュニテイも、その多くがこの民に陥

っている段附であるとままえられる。

:I老桁化したネットワークが、その後どのような道をたどるかは、 2つの百I能'1"1:があると考えられる。

そのまま放出すれば (A)、やがて@ネットワークの死に至 1)、村it1:されて、 (1.r,Jiしい別のネットワーク

が芽吹くまで待たなければならない。

、二れを放うのがネットワークの再生プロセス (E) であろう。ソーシャル・キャピタルの新たな第 3次元

(,~ )を情築して、②ネットワークの再成長に至り、ネットワークの死を阿避するのである。

既作のI樹脂街に、(多くの場合外部の)新しし‘アイデアをもったキーパーソンが、新たなまちづくり組織

を形成していくプロセスがこれに相当すると¥;.えるだろう。

[注]

(i主1)ニニでいう rr1:~‘意味でのまちづくりの互酬性を作 1) 出す社会経済的システムの仕掛けJ とは、本文 i二もあるよ

うに、ネ yトワークとその問の信頼に帰着できなレその他すべての要素を含んでいる。したがって、伝統的なソーシ

Tル・キャピタル慨念そのものにすべてを統合できない解釈もありうる。その場合にl止、

α=第2:j:定、 fヨ傾{ネーy トワークの質・強度)

,1 = rll:~ ':~味でのまちづくりの互酬性を作 1) 出す11:会経済的システムの(1:鈴ItJ でソーシャル・キャピ f ル慨念

t.:合まれると与えられる内部要素、

i = rJl戸、怠Rまでのまちづくりの互酬性を作り出す11:会経済的システムの仕掛けJでソーシャル・キャピタル俊念

に含まれない外部要素、

と分解し、

ミク 11なモデルとしては、

[まちづくりにおける成功要閃]

= [ネットリーク(第 1次元)+α+,1+ y]

与[ソーシャル・キャピタル]+y (外部要凶)

ソーシャル・キャピタル=ネットワーク(第 1次元) +α(第2次疋) + ,1 (第 :1次元)

と~ .う枠組みになる。

uヒfH[2飢16]におけるアートなどは y、すなわちソーシャル・キャピデルを外部から活性化する要素と考えるべ

きかもしれなL、ただし、ま;づくり組織の中で、アートがネットワークを活作.化してソーシャル・キャピPルとし

て一体化したような関係伐につレてはJに含めるべきであろう,)

( i主2)からは 1) プロジェクトにおける長屋と、京都、奈良などのいわゆる町民の明確なI王別 l主義し~.と思われるが、プて

i食羅ltのJlli去で、大阪の物件を長屋と呼ぶことにしておく。

(注3)地減には20ほどの町内会があり、大きく桃園地f{連合と桃谷地区連合1':分かれている。

( i主4)日H在日いかつてにまわってよ L・オ了解を得たほどであると¥,.う。

{注 5)現自..から(iり倶楽部のIIIJ尾リノベーション事例となっている拠点の「惣Jr練JI止、いずれも、取り壊す予定の

情報を六i度維グループが聞きつけ、大家さんに飛び込みで救ったもので、から1;1l)lH濃部側が能動的に動いたものだ

った。

(i主6)200S年~~.f.見ぬ: rからばり倶楽部j と休している会日は140名前後あり、執行部であるJ11!~jJは 7 名いるが、「惣J r練」の実際の料1/:¥'運営Iまrt;j皮緩真建築事務所j である D 今後の展開としては、 7 1'1 のうち、'~~!,~に資金;Ui営ド積極的な

4 れが中心になり企業組合「長臨すとつくばんく J を立ち J~. げ、 2006年 1 JJ 1': ~ま記したc

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