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山梨医大誌13(2),4!~52,1998 リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES) 山梨医科大学解剖学講座第2教室 録:機能的電気刺激(FES)は,電気刺激を用いて生体の失われた機能を再建する新しい治療 法である。特に,脳卒中や脊髄損傷の中枢性運動麻痺の動作を再建する運動系F£Sは,近年のコ ンピューターテクノロジーの進歩により急速に発展し,国内3大学の高度先進医療に取り上げられ るなど,リハビリテーションの蟻差な手段になりつつある。脊髄損傷では,四肢麻痺上肢の把持動 作や対麻痺の起立動作の再建が実用的な段階に達している。対麻痺の歩行再建については,種々の 装具とFESを組み合わせたHybrid FESが,臨床応用の段階に入っている。また,不全麻痺の随意 運動を改善する治療的電気版激(丁覧S)は,機能がプラトーに達している慢性期脳卒中片麻痺の歩 行速度を改善させることが明らかになり,さらに筋萎縮性側索硬化症の筋萎縮を遅らせる効果があ ることも分かってきた。今後は,心臓ペースメーカーのような完全埋め込み型装置の登場が予想さ れている。 キーワード 機能的電気刺激,治療的電気刺激,四肢麻痺,対麻痺,片麻痺 1.はじめに 脳卒中や脊髄損傷による中枢性運動麻痺に対 しては根本的な治療法がなく,大多数の患者が リハビリテーションの対象となっている。この ような疾患では,中枢からの連絡が途絶えた末 梢神経および被支配筋は,生理学的な興奮性を 持っているにもかかわらず,その機能を遂行す ることができない。そこで,中枢神経を経由せ ず,直接末梢神経を電気的に興奮させて筋収縮 を得る方法が考えられた。これが運動系の機能 的電気刺激(functional electrical stimula. tion:FES)である。この分野は,コンピュー ターテクノロジーの進歩とともに急速に研究が 進み,1995年8月,Vlenna(Austrla)で, 日・米・欧の研究者が中心となり,国際FES 学会(Iintema£ional Functional Electrlcal Stlm一 〒409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東lllO 受付:1998年3月11日 受理:1998年3月18日 ulation Soclety:IFESS)が設立された。 国内でも臨床的な応用が進み,現在では東北大 学,秋田大学,大分医科大学において高度先進 医療として治療が行われている。 本稿では,リハビリテーションにおける運動 系FESの臨床応用を中心に,他の分野のFES も含めて解説する。 瓦.FESの研究領域 基本的には,生体の失われた機能を再建する ために電気刺激を利用する治療法は,広い意味 ですべてFESということができる。現在すで に治療や研究が行われている領域を,表1にま とめた。 感覚系FESの中の聴覚補綴は,すでに人工 内耳という形で具現化し1),現在は保険診療が 認められている。これは,まず内耳の蝸牛に多 チャンネルの電極を埋め込み,蝸牛神経を周波 数帯域に応じて電気刺激できる状態にする。次

リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)...山梨医大誌13(2),4!~52,1998 リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)

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Page 1: リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)...山梨医大誌13(2),4!~52,1998 リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)

山梨医大誌13(2),4!~52,1998

リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)

  市 江 雅 芳

山梨医科大学解剖学講座第2教室

抄 録:機能的電気刺激(FES)は,電気刺激を用いて生体の失われた機能を再建する新しい治療

法である。特に,脳卒中や脊髄損傷の中枢性運動麻痺の動作を再建する運動系F£Sは,近年のコ

ンピューターテクノロジーの進歩により急速に発展し,国内3大学の高度先進医療に取り上げられ

るなど,リハビリテーションの蟻差な手段になりつつある。脊髄損傷では,四肢麻痺上肢の把持動

作や対麻痺の起立動作の再建が実用的な段階に達している。対麻痺の歩行再建については,種々の

装具とFESを組み合わせたHybrid FESが,臨床応用の段階に入っている。また,不全麻痺の随意

運動を改善する治療的電気版激(丁覧S)は,機能がプラトーに達している慢性期脳卒中片麻痺の歩

行速度を改善させることが明らかになり,さらに筋萎縮性側索硬化症の筋萎縮を遅らせる効果があ

ることも分かってきた。今後は,心臓ペースメーカーのような完全埋め込み型装置の登場が予想さ

れている。

キーワード 機能的電気刺激,治療的電気刺激,四肢麻痺,対麻痺,片麻痺

1.はじめに

 脳卒中や脊髄損傷による中枢性運動麻痺に対

しては根本的な治療法がなく,大多数の患者が

リハビリテーションの対象となっている。この

ような疾患では,中枢からの連絡が途絶えた末

梢神経および被支配筋は,生理学的な興奮性を

持っているにもかかわらず,その機能を遂行す

ることができない。そこで,中枢神経を経由せ

ず,直接末梢神経を電気的に興奮させて筋収縮

を得る方法が考えられた。これが運動系の機能

的電気刺激(functional electrical stimula.

tion:FES)である。この分野は,コンピュー

ターテクノロジーの進歩とともに急速に研究が

進み,1995年8月,Vlenna(Austrla)で,

日・米・欧の研究者が中心となり,国際FES

学会(Iintema£ional Functional Electrlcal Stlm一

〒409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東lllO

受付:1998年3月11日受理:1998年3月18日

ulation Soclety:IFESS)が設立された。日本

国内でも臨床的な応用が進み,現在では東北大

学,秋田大学,大分医科大学において高度先進

医療として治療が行われている。

 本稿では,リハビリテーションにおける運動

系FESの臨床応用を中心に,他の分野のFES

も含めて解説する。

瓦.FESの研究領域

 基本的には,生体の失われた機能を再建する

ために電気刺激を利用する治療法は,広い意味

ですべてFESということができる。現在すで

に治療や研究が行われている領域を,表1にま

とめた。

 感覚系FESの中の聴覚補綴は,すでに人工

内耳という形で具現化し1),現在は保険診療が

認められている。これは,まず内耳の蝸牛に多

チャンネルの電極を埋め込み,蝸牛神経を周波

数帯域に応じて電気刺激できる状態にする。次

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42 市 江 雅 芳

に,マイクロフォンを通した音を周波数分析し,

各周波数帯域ごとに分析結果に基づいた強度で

電気刺激する。これで,倍音の情報が蝸牛神経

に伝わるため音色を含めた音の認識が可能にな

るわけである。現時点では,電極数の制限から

必ずしも正確な音の情報を伝達することはでき

ないが,今後の発展が期待されている。視覚補

綴は,大脳皮質視覚野にマトリックス状の電極

を配置し,ビデオカメラで撮影された文字など

の映像を電気刺激で認識させようというもので

ある2)◎アルファベットを光として認識できる

段階まで研究は進んだが,その後の研究報告は

ない。

 循環・呼吸・消化・泌尿生殖といった生命維

持のための植物機能系FESでは,心臓ペースメ

ーカーが代表的な存在である。呼吸ペースメー

カーは,自発呼吸が障害された患者の横隔神経

を電気刺激し,横隔膜の収縮で吸気を行わせる

ものである3)。泌尿生殖器の領域では,尿失禁

などの神経因性膀胱の治療に電気刺激が試みら

れている。仙骨部を電気刺激する方法,肛門に

プラグ型の電極を入れる方法,深会陰横筋へ経

皮的埋め込み電極を留置する方法などがある4>。

 近年.世界各国で精力的に研究が行われてい

る分野が運動系F£S,すなわち,電気刺激によ

る麻痺土下肢の運動機能再建である。これは,

脳卒中や脊髄損傷などの中枢性運動麻痺におい

て,末梢のmotor unitが電気刺激に対する反

応性を:有していることを利用するものである。

コンピューターを用いて多関節の筋を同時に制

御し,複雑な上肢の動作や,起立・歩行動作を

作り上げている。

 さらに,骨格筋電気刺激の特殊な応用例とし

て,心筋の収縮力を補うcardlomyoplasty 5)と肛

門括約筋の機能を補うgraclbplasty6)がある。

前者は,拡張型心筋症でポンプ機能が損なわれ

た心臓に広背筋を巻き付け,これを電気的にペ

ーシングすることで心臓のポンプ機能を補助す

るものである。後者は,肛門括約筋の収縮力が

低下し便失禁を呈しているとき,薄筋を肛門部

に移行して電気刺激し,括約筋の代用にしょう

というものである。どちらも,電気刺激に反応

する筋を他の部位から移行し,FESによるコン

トロールで本来の機能を代行させるものであ

る。

 このように,FESは生体の失われた機能を電

気刺激を用いて再獲得しようというものであ

り,欧米では「neural prosthesis:神経補綴」

とも呼ばれている。

斑.運動系FεSの原理

 A.基本原理

 運動麻痺は,中枢の1次運動ニューロンと末

梢の2次運動ニューロンのどちらが傷害されて

も生じる。末梢神経損傷で2次運動ニューロン

が傷害されると,その支配領域にある筋は脱神

経状態となり,いずれ萎縮し最終的には変性し

て結合組織に置き換えられてしまう。一方,脳

卒中や脊髄損傷で,中枢の1次運動ニューロン

が傷害された場合は,末梢の2次運動ニューロ

ンは生きているため,その支配領域の筋は,廃

用性の萎縮は生じても変性に陥ることはない。

この2次運動ニューロンは興奮性を維持してい

るため,電気刺激で発火させることは容易であ

り,神経近傍に電極を留置した場合,1ボルト

程度の電圧で筋収縮を生じさせることが可能で

ある。FESではこの現象を利用し,必要な筋ひ

とつひとつに電極を留置し,各筋に対する電気

刺激をコンピューターで統御することで,多数

の筋を同時に動かし目的とする動作を再建する

ものである(図1)。したがって,末梢神経の

障害による麻痺には適応がなく,中枢神経の障

害による運動麻痺が適応となる。

 B.電極

 現在,運動系のFESに使用されている電極

には3つのタイプがある。ひとつは,歴史的に

初期より用いられてきた表面電極である。ゴム

製の電極を導電性のよい粘着剤などを用いて皮

膚に貼り付けるもので,装着は簡便であるが,

下肢の比較的大きな表層の筋や腓骨神経などの

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1次運動需ユーロン

脊髄員傷

2次運動ニューロン

リハビリテーションにおける機能的電気刺激

残存機能

制御スイッチ

FES system

43

電極

  % こくミこ

図1 運動系FESの作用原理   運動系FESの原理を脊髄損傷を例に示す。  脳の中心前回から脊髄を下降してくる1次運  動ニューロンは損傷部位で途絶し,本来接続   していた脊髄前角細胞には脳からの信号は届

  かない。しかし,この前角細胞から発する末  梢の2次運動ニューロンは生きているため,  電気刺激により支配筋を収縮させることがで   きる。FΣSでは,損傷部位より上の残存機能

   を用いて,患者自身が制御スイッチを操作し,

  麻痺筋に電気刺激を与え動作をコントロール  する。

表層を走る運動神経の電気刺激にしか向かな

い。使用するたびに貼り替えるため,日常的な

使用では電気刺激の安定性に欠ける。2番目は,

現在臨床的に多く用いられている経皮的埋め込

み電極(貫皮電極)である。ワイヤー型の電極

を,ガイド針を用いて目的とする麻痺筋の

motor pointに埋め込む7)。深い部位の筋や手

内筋のような小さな筋も,個別に電気刺激する

ことができ,上肢のF£S制御では欠かすこと

ができない。電極が常に皮膚を貫いた状態にな・

るため,医師による管理が必要である。3番目

は,完全埋め込み型の電極である。これは,心

臓ペースメーカーのように,刺激装置(受信機)

も含めて完全に体内に埋め込むものである。基

本的構造は経皮的埋め込み電極に準じる。

 C.FESシステム

 FES用の電気刺激装置に求められる機能は,

研究段階では,刺激周波数・パルス幅・パルス

波形・変調方式などの刺激パラメーターが調節

できることと,パルス列の強弱のプリセット

(刺激パターン)・外部スイッチによる制御

(closed bop制御も含む)などのプログラミン

グが可能なことである。臨床応用段階では,患

者の限られた残存機能で麻痺肢の動作をコント

ロールしなければならないため,man-machlne

interfaceとして優れていることが重要である。

 現在日本で手に入る電気刺激装置は,表面電

極を用いた2チャンネル程度のものと,経皮的

埋め込み電極を用いた30チャンネルのシステ

ムがある。前者の大半は低周波治療用であり,

単純なonっffの刺激出力を持つ。後者は国内3

大学の高度先進医療に使われているものであ

る。このシステムは,刺激データを作成するた

めのシステムコントローラーと,患者が日常的

に使用するポータブル刺激装置より構成されて

おり(図2),複雑な刺激動作を簡単にプログ

ラムすることが可能である鋤。

 前述の完全埋め込み型F£Sシステムは,米

国ではすでに8チャンネルの上肢用のものが開

発されlo),オーストリアでは16チャンネルの

下肢用のものが試みられている11)。本邦でも上

肢下肢兼用のシステムが開発中である。心臓ペ

ースメーカーのように,患者自身がシステムの

メンテナンスにあまり気を配らなくて済むこと

から,将来的にはこの方式が主流になると考え

られている。

V.運動麻痺に対するF優Sの現況

 現在,FESの研究は世界各国で行われている。

しかしながら,基礎的研究の殺階であったり,

一部の限られた患者に対して治療が行われてい

るケースがほとんどであり,臨床的な治療法と

して精力的に取り組まれているのは,日本と米

国だけである。ここでは,臨床的なFESのアプ

ローチについて,前述の経皮的埋め込み電極式

FESシステムを用いた筆者の経験を中心に12・13>,

各国の研究状況も含めて,脊髄損傷と脳血管障

害に分けて述べる。

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44 市 江雅 芳

川2 ポータブルFESシステム   システムコントローラー(中央):医療機関に設置しておくホストコンビュー  ターである。刺激データの作成や刺激強度の調整に用いられる。

   ポータブル刺激装置(右):患者が病室や自宅で使用する刺激装置である。シ  ステムコントローラーで作成されたデータが書き込まれた後,各患者に渡される。

 A.脊髄損傷

 脊髄損傷は,日本では交通事故,米国では銃

撃による傷害が多く,患者の平均年齢は比較的

若い。脊髄の髄節がどこまで保たれているかに

より,残存機能に大きな違いが生じ,動作再建

のアプローチも異なる。リハビリテーション医

学においては,機能の保たれている最下端の脊

髄髄節の位’置で障害の程度を表現してい・る。

FESでは,基本的に横隔神経が保たれており自

力呼吸が可能な第四頸髄の園圃が保たれてい

る,C4四肢麻痺以下が治療の対象となる。起

立制御はC8以下が対象である。表2に,機能

レベルと再建動作の関係をまとめた。

 脊髄の損傷は,上下に幅を持った3次元構造

をしているため,脳から下降し損傷部位より下

位の髄節に至っている1次運動ニューロンが途

絶されるだけでなく,損傷された髄節内の前角

細胞までもが傷害を受ける。したがって,その

前角細胞によって構成される末梢の2次運動ニ

ューロンと支配筋(motor unit)は電気刺激に

対する反応性を失う。この部位をdead band

とよび,通常,残存している髄節の直下に相当

する(図3)。dead bandの広さは,筋萎縮の

程度を診察するだけでは判定できず,髄節ごと

に電気刺激を行い,筋の収縮をみて判断する。

FESにまる動作再建は,2次運動ニューロンの

反応性が保たれていることが必要条件であるた

め,再建部位の筋が属する髄節が,損傷された

髄節より離れている場合は問題ない。dead

bandが再建動作の主要動作筋の髄節に及んで

いる場合は,FESによる動作再建が困難なこと

もあり,このようなケースでは,筋移行などの

機能再建外科的アプローチとFESを組み合わ

せる必要もある。

 1.頸髄損傷C4完全四肢麻痺

 人工呼吸器なしで生存可能な,最も重度の障

害である。上肢の機能は肩の挙上程度しか残さ

れていないため,FESでは手指・手関節・肘関

節の制御が必要である。現状では,肩関節の制

御が難しいため,BFO(balanced forearm

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リハビリテーションにおける機能的電気刺激 45

表1.機能的電気刺激(FES)の研究領域

感覚系のFES

・聴覚補綴(蝸牛神経電気刺激=人工内耳)

・視覚補綴(大脳皮質視覚野電気刺激)

・皮膚感覚代行(皮膚固有受容器電気刺激)

植物機能系のFES

・心臓ペースメーカー

・呼吸ペースメーカー(横隔神経電気刺激)

・泌尿生殖機能再建(排尿障害、射精障害の改善)

運動系のFES

・麻痺上肢の動作再建

・麻痺下肢の動作再建

・体幹の姿勢制御

機能代行のFES・cardiomyoplasty(広背筋による心臓ペーシング)

・graclloplasty(薄筋による肛門括約筋の代行)

表2 脊髄損傷の機能レベルとFESによる再建動作

部位  機能レベル 再 建 動 作 備考

C4

把持動作(手関節含む)と肘の屈伸

 ・手指の屈曲、伸展

 ・母指の屈曲、伸展、外転、晶晶、対立

 ・手関節の屈曲、伸展

 ・前腕の回内、回外

 ・肘関節の屈曲、伸展

肩関節には

BFOを使用

上肢 C5

把持動作(手関節を含む)

 ・手指の屈曲、伸展

 ・母指の屈曲、伸展、外転、内転、対立

  手関節の屈曲、伸展

 ・前腕の回内

 ・肘関節の伸展(重力に抗して行うとき)

実用的

C6

把持動作(手指のみ)

 ・手指の屈曲、伸展

 ・母指の屈曲、伸展、外転、内高、対立 ・手関節の屈曲(重力に抗して行うとき)

実用的

C6トランスファー補助

股関節の伸展・膝関節の伸展

実用的

下肢対麻痺

起立

・股関節の伸展、外転、内転

・膝関節の伸展

 (立位完成時は大腿直筋への刺激中止〉

・足関節の底屈、背屈

実用的

歩行

・股関節の屈曲、伸展、外転、内転

 膝関節の屈曲、伸展

 足関節の底屈、背屈

研究段階

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46 市 江 雅 芳

cBA

損傷部位

dead band/髭

随意収縮可能

……………0……………嘗…… ?痺(電気刺激に反応しない)

麻痺(電気刺激に反応する)

図3 脊髄損傷のdead band   脊髄損傷では,損傷部位が3次元的構造をとるため,損傷部位の前角細胞も傷害される。

  A:損傷部位より上の髄節であり,随意性が保たれている。残存機能としてFESのスイッチ操作に    利用される。   B:前角細胞が傷害され,被支配筋は脱神経状態になる。電気刺激に対する反応性を失う。脊髄の    損傷部位を,dead balldという。

   C:損傷部位より下の髄節であり,1次運動ニューロンからの連絡は途絶え随意性が失われる。前    角細胞は傷害を受けていないため電気刺激に対する反応性を持っている。FESの制御対象となる。

orthosis)やarm slingなどで上肢を支持してい

る。毘S装置の制御スイッチを操作する残存機

能が,肩の挙上と頭部の動き・呼吸・音声など

と非常に限られている。

 イスラエルのNathanは,小さな表面電極を

用いて動作再建を行っている14>。表面電極とし

ては限界とも思える非常に巧緻な動作制御を行

っているが,毎回電極を張り替えなければなら

ず,日常的な使用には向かない。実用的には他

の電極の方式に移行する必要がある。

 我々は,経皮的埋め込み電極を用い,30チ

ャンネルの出力で肘関節・手関節・手指の制御

を行っている。患者は2本のノズルを備えた呼

吸制御スイッチを使用し,コンピューターに制

御命令を伝える。現在再建されている動作は,

cy董indrical grasp ●key grip . parallel exten-

sion graspの3つの把持動作と,肘関節の動き

を連動させたものであり,これまでに,食事や

整容などの動作が実現している。

 2。頸髄損傷C5完全四肢麻痺

 この障害レベルでは,肘関節の屈曲と肩関節

の外転などの随意性が残されており,さらに重

力を利用して肘を伸展させることもできる。し

たがって,前腕の位置を随意的にコントロール

できるため,FESによる制御は手指と手関節の

みでよい。

 我々は,スプーンやフォークを把持する,示

指のみ伸展させてワープロのキーボードを操作

する,ハンドルを握って電動車椅子を運転する

といった,患者の要望に応じた日常生活行為

(actlvities of daily hving:ADL)動作を再建し

ている(図4)。C4四肢麻痺に比べると残存機

能が多いため制御スイッチの選択肢も広く,卓

上型スイッチの他,電動車椅子のアームレスト

に取り付ける押しボタン式スイッチなど,患者

の生活場面に応じた制御スイッチを開発するこ

Page 7: リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)...山梨医大誌13(2),4!~52,1998 リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)

リハビリテーションにおける機能的電気刺激 47

図4 C5完全四肢麻痺のFESによる上肢動作再建  (a):cylhldrical graspにてスプーンを把持。

  (b>:示指のみ伸展させ他の指を屈曲させたstick illdex patter11で,ワープロのキ

    ーボードを操作。

とができる。

 Nathanは,制御部位を減らすために手関節

を固定し,手指のFESだけを行う簡便な装置

を開発している。これは「Handmaster」とい

い,cock up splintの内部に5つの表面電極を

装備し,手指の把持動作を患者自身が簡単にコ

ントロールできる15)。

 3.腰髄損傷C6完全四肢麻痺

 通常の状態でも,随意的に手関節の背屈がで

きるため,dynamic tenodesis actionと呼ばれ

る受動的な手指の屈曲で,紙などの軽いものは

把持することができる。そこで,FESを導入す

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48 市 江雅芳

る目的は,手指の屈筋を電気刺激し,AD:L上

実用的なレベルの把持能力(握力)を身につけ

ることにある。我々の経験では,母指と手指の

屈筋を制御することで,母指と他の指との間で

しっかりと筆記具を握ることができ,十分な筆

圧が得られた結果,製図などの仕事に実際に用

いることができた。

 米国Case Western Reserve大学のPeckham

らは,C5・C6四肢麻痺患者の上肢機能再建を,

経皮的埋め込み電極によるFESで行っていた16>

が,近年,8チャンネルの完全埋め込み型の

FES装置を開発し,臨床的に試みている10)。チ

ャンネル数が少ないため,手指の屈筋腱を縫縮

させることにより,通常は3~4チャンネル必

要なこの部位の電極を1チャンネルで済ませる

などの工夫をしている。したがって,再建動作

は限られ,巧緻な動作を作ることは難しい。

 カナダAlberta大学のProchazkaらは,手掌

から前腕部を包む手袋の内部に3つの表面電極

を取り付け,簡単な把持動作の再建を行う「Bionlc Glove」を開発している17>。

 C6四肢麻痺では,体幹が不安定であり手指

の把持力もないことから,現時点ではFESに

よる起立制御の対象とはならない。しかし,起

立でなくトランスファーを容易にするために下

肢筋をFESで制御することは可能である。通

常この障害のレベルでは,push upにより轡部

を浮かせることが困難であり,トランスファー

の際に介助を要する。そこで,殿筋群と大腿四

頭筋の抗重力筋を電気刺激により収縮させ,下

肢で体重の一部を支えることにより,FESでト

ランスファーを自立させることができる。

 4.胸髄損傷による完全対麻痺

 下位の胸髄損傷による完全対麻痺では,体幹

が比較的安定しているため,FESによる起立の

制御が実用的な段階に入っている。T8完全対

麻痺では,台所のシンクに立ち片手を離して家

事を行ったり,車椅子にバーを取り付けること

により車椅子から直接起立することも可能であ

るQ

 現在,多くの研究者が取り組んでいるのは,

脊髄損傷による完全対麻痺の歩行動作再建であ

る。使用する電極の種類,装具を併用するかど

うか,全ての関節を制御するかあるいは屈曲反

射を利用するか,制御技術としてclosed loop

con宅rolを取り入れるかどうかなど,その研究

の内容は多岐にわたっている。

 現在,最も臨床応用として実用的な段階にあ

るのは,米国Louisiana州立大学のSolomonow

らのグループである18)。「Louislana State Uni-

versity reciprocating gait orthosis:LSURGO」

という装具とFESを組み合わせた, Hybrid

FESによる歩行再建を行っている(図5)。

LSURGOは,体幹および股関節の側方動揺を

抑え,足関節と膝関節はロックし,2本のワイ

ヤーで両側の股関節部のヒンジを連結してい

る。この結果,一側の振り出し動作と他側の蹴

り出し動作が連動し,股関節の交互運動が効率

的に行われる。もともと,装具単独の使用で,

体の反動を利用して歩くことを前提として開発

されており,FESを動力源として併用すること

により,患者の負担を少しでも軽くしょうとい

う発想である。電極は両側の大腿前面と後面に

それぞれ双極の表面電極を貼り付け,歩行器に

取り付けたスイッチの操作で,一側の大腿前面

と他側の大腿後面が同時に電気刺激されるよう

になっている。膝関節がロックされているため,

大腿前面の電気刺激による大腿直筋の収縮は股

関節屈曲に働き,大腿後面の電気刺激によるハ

ムストリングス(大腿二頭筋・半膜様筋・半面

様筋)の収縮は股関節伸展に働く。大腿部の2

関節筋の作用をうまく利用した方式である。

LSURGO単独で立位保持ができ, FESは亡国

期のみに用いられていることから,エネルギー

消費が極めて少なく,患者の疲労も少ない。そ

のため,実生活での長時間にわたる歩行が可能

である。

 この方式と対局に位置するのが,米国Case

Westem Reserve大学のMarsolaisらのグループ

である19>。彼らは装具を全く用いず,経皮的埋

め込み電極を用いたFESで,平地歩行や階段

昇降に成功している。股関節・膝関節・足関節

Page 9: リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)...山梨医大誌13(2),4!~52,1998 リハビリテーションにおける機能的電気刺激(FES)

リハビリテーションにおける機能的電気刺激 49

ロ ロに ヂ

奏請「、「戸,     丁」㌧.「

「・~

図5 LSURGOと表面電極刺激によるHybridFES歩行   両側の股関節部を連結する2本のワイヤーが見え  る。患者は,この状態で2時間以上の歩行が可能で  ある。

が全て自由になる結果,単に屈曲・伸展を制御

するだけでなく,関節を安定させるstabilizer

としての筋も制御する必要がある。また,ハム

ストリングス・大腿直筋・腓腹筋などのような

2関節筋は,他の筋との力学的な関係により各

関節への作用が変化してくるため,制御は大変

複雑なものになる。また,股関節の本来の屈筋

である腸腰筋や,体幹の安定化をもたらす広背

筋や腰方形筋なども制御する必要があるため,

制御対象となる筋の数は片側だけでも20以上

となっている。

 オーストリアのVienna大学では, Thomaら

が16チャンネルの完全埋め込み型システムを

開発中であるがll),チャンネル数が少ないた

め,適応が限られる。カナダAlberta大学の

Andrewsらは,足関節を固定する短下肢装具

(ankle foot orthosis:AFO)と表面電極を用

いたFESを組み合わせた, Hybrid FESを試み

ており20>,秋田大学の島田も,同様なシステム

を国産の経皮的埋め込み電極を用いて開発して

いる2DQ

 B.脳血管障害

 脳卒中など脳血管障害による麻痺は基本的に

片麻痺であり,ある程度随意性の残された不全

麻痺がほとんどである。しかし,高次脳機能障

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50 市 江雅芳

害や感覚障害を伴い,痙性により随意運動が妨

げられるため,麻痺の程度は様々である。我々

が実際に治療している症例は,後述の治療的電

気刺激としての場合が多い。

 1.片麻痺上肢

 肩や肘の麻痺が軽度で,手指の随意的な屈曲

が可能であるが伸展ができない場合は,手指の

伸筋群をFESで制御することにより,手指の

openingが可能となり,日常生活にとって有用

である。麻痺がもう少し重く随意性が乏しい場

合でも,痙性が弱く関節可動域の制限があまり

なければ,患肢を挙上して対象物を固定する補

助手レベルの動作を再建できる。しかし,健側

で制御スイッチの操作を行っているため,同時

に両手を動かすことは不可能であり,通常の日

常生活では未だ実用性が低い。したがって,患

肢による単純な固定動作が非常に有益な場合に

適応となる。

 2.片麻痺下肢

 最も長い歴史を持つのが,尖足矯正のF£S

である。麻痺側の踵部にフットスイッチを装着

し,踵が浮くと総腓骨神経に電気刺激が与えら

れ,足関節の背屈が生じる仕組みになっている。

遊画期のdrop footを改善するものであるが,

リハビリテーションにおいては短下肢装具の装

着で十分であるため,これまであまり普及して

いなかった。近年,短下肢装具なみの価格で,

装具より簡単に装着できるサポーター式F£S

システムの開発が行われているほか,健常者の

歩容に近づけるため,完全対麻痺の歩行制御に

準じた,股関節・膝関節・足関節の多関節制御

の歩行制御が試みられている。

V.治療的電気刺激(TES)

 FESによる動作再建を行うには,廃用性萎縮

による筋力低下を改善する必要がある。この目

的のため,通常,電極を埋め込んでから数週間

から数カ月間,自動的な電気刺激トレーニング

が行われる。この電気刺激により,単に筋萎縮

が改善されるだけでなく,拮抗筋の痙性が減少

することが認められた。また,・受動的な関節可

動域訓練で化骨が生じやすい症例でも,電気刺

激による関節運動では,生理的な状態に近いた

めか,化骨は生じていない。このような現象を

積極的に治療として用いているのが治療的電気

刺激(therapeutic electrical stimulatlon:TES)

である。TESは,完全麻痺肢のFES前トレー

ニングとしての位置づけのほかに,不全麻痺肢

の随意性を改善させるという点で注目されてい

る22>。

 電気刺激装置は基本的にFESと同じものを

使うことができる。リハビリテーションの物理

療法で用いられている低周波治療器も利用でき

る。ただし,この場合は表層の筋しか刺激でき

ず,得られる筋収縮力が小さいため,用途は限

られる。TESを行う上でのポイントは積算の刺

激時間であり,我々は,1回15分間のセッシ

ョンを1日に6回行っている。

 TESの対象疾患は,脳卒中や脊髄損傷などの

中枢神経系に原因がある痙性麻痺疾患や廃怠性

筋萎縮など多岐にわたる。この中で最も対象患

者が多いのは脳卒中による片麻痺である。TRS

の効果は上肢でも下肢でも同じように得ること

ができ,痙性の減弱や随意的な筋力の増加が期

待できる。上肢の場合は,かなり随意性が残さ

れていないと実用的な意味での機能改善は難し

いが,下肢の場合は,随意性の低い患者でも麻

痺側の支持筋力が増すだけで歩行が楽になると

いった治療効果が得られている。筆者の経験で

は,機能がプラトーになっている慢性期の片麻

痺患者おいて,平均20%の歩行速度改善が認

められている謝。

 TESを行うと,直接筋が収縮することにより

筋萎縮や関節拘縮が改善する。また,筋の循環

系に対するポンプ機能が復活するため心肺機能

が改善し,さらには末梢循環が改善することに

より褥瘡の予防にも効果がある。したがって,

不全麻痺肢だけでなく,頸丈損傷による完全四

肢麻痺の下肢などへも,生体機能維持のための

TESが行われている。なお,下肢のESを行

っていると,排尿や排便が改善されるケースが

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リハビリテーションにおける機能的電気刺激 51

かなり認められているが,この効果が血流改善

によるものか自律神経に対する電気刺激の影響

によるものかどうかは,現在のところ確認され

ていない。

 最近,半田らは筋萎縮性側索硬化症患者の上

肢にTESを行い,筋萎縮の進行を遅らせるだ

けでなく,随意的な筋収縮がスムースになるな

どの機能改善があったことを報告している24)。

 TESは導入が容易であり対象となる疾患や患

者の数も多いため,今後リハビリテーションの

有力な治療方法の一つになると思われる。

V【.FESと筋疲労

 FESに関する研究は,電極や装置の開発,刺

激方法や刺激パターン,電気刺激に対する筋の

収縮特性,feedback制御,装具と併用した

Hybirid FES,筋移行とFESの併用,残存機能

を考慮したcontrol strategyといった様々な課

題について,金属工学・電子工学・医用生体工

学・運動学・生理学・解剖学・臨床医学などの

多くの領域で行われている。その中でも,電気

刺激によって生じる筋疲労を低減させること

は,筋疲労により制御時間が制限され,起立・

歩行制御時には転倒の危険が生じるため,特に

重要な課題となっている。

 随意的に筋収縮が行われる場合と,電気刺激

で筋収縮を引き起こす場合とでは,生理学的に

多くの相違点がある。通常,生体では,細い神

経線維により構成される筋疲労に強いmotor

面tが活動しており,必要に応じて太い神経線

維からなる粗大な筋力を生じる易疲労性の

motor疑nitが参加してくる。これをorderly

recruitme蹴という。また,これらのmotor

unitの活動は同期していないため,各筋線維は

数ヘルツの収縮頻度でも,丁半全体としては振

動のない滑らかな筋収縮が行われている。とこ

ろが,外部からの電気刺激によりmotor unit

を発火させると,通常とは逆に,太い神経線維

によって構成される易疲労性のmotor unitが

:最初に興奮してしまう。また,発火したmotor

unitは全て同期してしまうため,生理的な状態

よりも高い周波数で電気刺激を行わないと,振

動のない滑らかな収縮を得ることは難しい。さ

らに,電気刺激に対して筋収縮力は非線形性の

特性を示す。したがって,電気刺激による微細

な筋収縮の制御は非常に困難であり,FESでは

常に中等度以上の筋収縮を生じさせて動作再建

を行っている。以上のような理由から,FESに

よる筋疲労は生理的な状態よりもかなり早く生

じることになる。

 このような問題に対して,Solomonowらは高

周波刺激を併用し,太い神経線維をブロックし

ながら低周波刺激を行い,ブロックを徐々に解

除することでorderly recruitmentに近い筋収縮

の制御を試みている25)。また,Karuらは,電気

刺激の通常のパルスをdoublet, tripletという

細かいパルス列に分割し,パルス列の数を変化

させたときの筋疲労について比較している26)。

その他,低頻度の電気刺激により筋線維そのも

のの疲労抵抗性が変化するといったVrbovaらの

報告27)など,様々なアプローチがなされている

が,いずれも現段階では臨床的に応用できるレ

ベルに達していない。

VK.おわりに

 リハビリテーション医学は今世紀に発達した

新しい学問であるが,FESはさらに短い35年

ほどの歴史しか持たない。しかし,科学技術の

発展,特にコンピューターテクノロジーの進歩

により近年急速に研究が進み,装置の開発と治

療対象の拡大が行われている。今後マイクロマ

シンやマイクロセンサといった超小型化技術の

発展に伴い,これまでのFESでは不可能であ

った微小な組織の電気刺激が可能になると思わ

れる。また,生体の様々な機能が電気的な現象

を介して行われていることを考えると,神経や

筋といった組織レベルだけでなく,細胞レベル

にまでFESの領域が拡がることが予想され,

従来の枠を大きく越えた治療体系を形成するこ

とも考えられる。

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