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コーポレートレスポンシビリティ から生みだされる企業価値 あなたの会社の報告データは 信頼を得るに値するものだろうか? February 2011 はじめに 今日では、従来の財務的な結 果に加えて、企業の環境や社 会的活動のパフォーマンスの 重要性が高まってきている。 企業はかつてない量の情報 を開示し、コーポレートレスポ ンシビリティとしての目標とコ ミットメントの達 成に向 けて 取り組んでいる。  こうした取り組みに対し、より 強固な運用上のガイドライン を工夫することで、さらなる企 業価値を生み出す可能性が ある。

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コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企業価値あなたの会社の報告データは信頼を得るに値するものだろうか?

February 2011

はじめに今日では、従来の財務的な結果に加えて、企業の環境や社会的活動のパフォーマンスの重要性が高まってきている。

企業はかつてない量の情報を開示し、コーポレートレスポンシビリティとしての目標とコミットメントの達成に向けて取り組んでいる。 

こうした取り組みに対し、より強固な運用上のガイドラインを工夫することで、さらなる企業価値を生み出す可能性がある。

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2 コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企画価値

2011年

ステークホルダーはコーポレートレスポンシビリティについても投資に値する情報を求めている。財務報告と同様に、企業の達成目標に関して、結果を調査し、データを分析し、その意思決定を行うためにはガイドラインが必要となる。

「地域社会、政府、NGOは企業行動に対してより高いスタンダードを求めてきた。同時に、大半の顧客からは、私たちの評判が彼ら自身の評判を左右していると言われます」とCargillの会長兼CEO、Gregory  Page氏は語る。そしてこのことはCargillに限ったことではない。

しかし、ステークホルダーはコーポレートレスポンシビリティ(企業責任)への取り組みを十分に信用しているのだろうか。あるいは、さして関心を示していないのだろうか?認識と活動成果のギャップは失望感を抱かせる可能性があり、サステナビリティ(持続可能性)とコーポレートレスポンシビリティが、ブランド構築、市場の拡大、コストの抑制、顧客獲得といった企業戦略の重要な部分となる場合、それは特に顕著となる。 

コミュニケーションの問題としてこれを捉える前に、コーポレートレスポンシビリティにかかわる報告が財務報告と同様に厳密かつ信用に値するものであるかどうか検討する必要がある。洗練されたアナリスト、投資家、規制当局および顧客は、測定できないものや信用できないものについては見落としがちだ。

米国企業の取締役の3分の1以上が、コーポレートレスポンシビリティに関連する問題は役員会で審議する必要があるとしている。

2000年

図A: レポート数の増加

コーポレートレスポンシビリティまたはサステナビリティに関する報告書の発行数(グローバルサンプル)

出典: CorporateRegister.com (copyright 2011)

823

4,579

その結果、たとえば良好な労働安全記録や、温室効果ガスの排出量の管理、あるいは企業が活動する地域社会における主要な貢献といった、事業の成功に直結する指標を用いることで、企業は自社の活動に関するより広く、より深い見方を世間に提供することになる。米国企業はまた、より多くの情報を企業のWebサイトに載せ、毎年寄せられる投資家、NGOおよび顧客からの多くの細目にわたる要請に対応している。

企業は目的に適合した情報を開示するだけで、投資適格銘柄であることを示せる。しかし、多くの企業は、環境や社会的な取り組みに関しては、結果の調査、データの分析、そして意思決定をするといった初歩的な仕組みしか導入していない。そのため、これらの取り組みは報告資料の段階で内容の乏しいものになる傾向がある。 

財務および経営の領域に浸透しているガイドラインの活用方法と同時に、これらのスキルやアプローチをコーポレートレスポンシビリティの取り組みに持ち込むことは企業の信頼性を高めることになる。さらに、コストの抑制、リスク管理の改善、利益の創出、従業員満足の向上およびステークホルダーとの関係性の強化により、企業のブランド力を高めることにつながるさまざまな基盤を構築することにもなる。

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3 あなたの会社の報告データは信頼を得るに値するものだろうか?

多くの企業がコーポレートレスポンシビリティを推進しているのはなぜか?企業の目標は、企業活動における環境や地域社会へのマイナスの影響を抑えながらも、長期保有株主を増やし社会的な価値の拡大を図ることだ。

今日、企業が取り組んでいるサステナビリティにかかわる挑戦は何か?経済的、社会的、そして環境に関する要因は常に、企業に多次元的にリスクを評価することを求め、ビジネスに影響を与えている。すなわち次のようなことを考えなければならない。•  デジタル通信の広範な利用により、企業の評判を徹底的に監視する必要が生じている。

•  世界の金融市場およびビジネスネットワークはお互いにつながっており、時に予想外の影響がある。

•  人口の増加や経済の発展は新たな市場を開発すると同時に、天然資源に負担をかける可能性がある。

• 気候変動、エネルギー需給、および天然資源の利用に関する国や地方自治体の懸念は、事業運営や計画に影響を与える。 

サステナビリティにかかわる活動の目標は何か?この課題に関する動向に対応しながらも、収益を生み出し、収益性を高め、他社より優位に立つことが企業の目標に含まれている。これらの目標は具体的かつ測定可能な結果と密接に結びついている。

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4 コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企画価値

これらの目標の具体例とは?企業は、リスクと機会の評価に基づいて、企業独自の目標を設定する。その内容には一般的に次のようなものが含まれる:• 企業とそのサプライチェーンを通じての水使用量や廃棄物、あるいは温室効果ガスの排出量の削減

• 環境問題、社会問題に対応する製品やサービスのための研究開発への資金提供

• 環境配慮製品に関する収益目標の設定• エネルギー効率向上によるコスト削減• 多くの人材に対する教育

なぜ私たちは、より厳密な手順に頭を悩ます必要があるのか?厳密なデータ収集、計算および検証には、以下のような利点が含まれる:• ビジネス上のあらゆる段階におけるリスクと機会の評価の向上•  リソースの配分と適切な目標の設定にかかわる能力• ベースラインの設定が正確であるという信用 •  主要なステークホルダーに対して信頼関係を強化し価値を向上させる手腕

•  適時にかつ一貫性のある形での情報提供についての改善 •  誤りや訂正の減少• 情報操作の機会の減少

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5 あなたの会社の報告データは信頼を得るに値するものだろうか?

関心が高まるにつれ監視が強まる企業のCEOたちは、サステナビリティに関する課題(食糧生産から希少資源、温室効果ガスの排出といったものまで)に対する規制への関心は、企業活動に対する公の監視が強まると予想される理由の、ほんの一部に過ぎないと語っている。 

CEOたちはまた、投資家や顧客、従業員、競合他社、そのほかの市場関係者といったステークホルダーを注視している。そのステークホルダーには、変革を訴える非営利団体や業界を主導しようと多額の投資を行う他業種の企業といった存在までも含んでいる。昨年、目を引くような活動がいくつかあった。 

第一に、投資家が企業との関わりを決める上で、開示資料を用いるようになってきた。2010年の議決権行使期間に、活動的な株主たちは、さまざまな業種の80を超えるアメリカの企業を対象に、サステナビリティに関するリスクと機会が潜在的にビジネスへ与える影響について企業がどのように管理しているか、より適切に開示するよう決議したii  。

第二に、かつてないほど、企業の透明性が高まっている中で、企業は投資家の関心を勝ち得るため、企業のビジネ

ス価値に影響する非財務指標を用いるようになってきた。先進的な企業は、決算上の収益とコーポレートレスポンシビリティの履行の両方に関心を持っている投資家に対して、膨大な情報を集めた一般的なサステナビリティの指標を含めることで自社の差別化を図っている。 

投資家が環境、社会、ガバナンス(ESG)についての情報をより評価しやすくする目的で、Bloombergは現在これらに関する100を超える指標(二酸化炭素同等物対EBITDA比率や売上高対水使用量比率など)を、投資アナリストに対して財務情報と同じ受信端末に提供している。また、別の取り組みとしては、Google  Financeは上場企業の二酸化炭素排出量の開示に対しての格付けをCarbon DisclosureProject(CDP)から取得して発信している。CDPは、500を超える国際的機関投資家(運用資産合計64兆ドル)からの要求で、これらの格付けを企業に対して付与しているiii  。

ほかの自発的な取り組みとして、資産残高22兆ドルに相当するUNPRI:国連責任投資原則のようなものもある。その構想では、投資の主流が、より責任投資の慣行を採用するよう提唱しており、最終的には資金をどう配分するかを変えていこうとしているiv。アメリカ政府の資産25兆ドルのうち、おおむね12%は何らかの形でコーポレー

トレスポンシビリティとサステナビリティをテーマとした投資にあてられており、この投資テーマは成長を続けているv。 

第三に、大口の顧客から開始された持続可能なサプライチェーンの構想が多くの企業に浸透してきている。Kaiser  Permanente、Pacific  Gas and Electric(PG&E)、Procter &Gamble、Walmartといった企業は、この1年で仕入先に対しサステナビリティプログラムを提示している。これは、年間5,000億ドルの商品やサービスを購入しているGeneral ServicesAdministration(GSA)のような政府機関でも同じだvi。このプログラムの目的は、エネルギー消費、温室効果ガスの排出、廃棄物、リサイクルに特に焦点を当てることで、サプライチェーンにおけるリスクとコストの両方を引き下げることである。 

最後に、サステナビリティとコーポレートレスポンシビリティに関する格付け、表彰、認証制度が拡大することで、その実績を明確にするための需要を生み出す。コンサルタント会社であるSustainAbilityは、2000年には21だけだった格付けが、2010年には108だったと報告しているvii。    

目的に適合した情報を開示することだけが、投資適格銘柄だと示すことができる。

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6 コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企画価値

図B: 米国におけるビジネスに影響を与えるサステナビリティへの取り組みviii

2009年2月

2009年米国再生再投資法による830億ドルにのぼる予算はクリーン技術と税計画に焦点が当てられている

米国環境保護庁(EPA)は、温室効果ガスの排出を公衆衛生と安全を害するものとみなし、大規模な温室効果ガスの排出主体を報告義務の対象化

米国証券取引委員会は、気候変動に関連する企業の報告や法整備に関する解釈指針を提供

Bloombergは、ESGデータを保有するNew Energy Financeを戦略的に買収

S&P100指数の対象企業のうち、93の企業は少なくともいくつかのサステナビリティに関する情報をWebサイト上で 提供

Walmartが2015年度までに2,000万トンの温室効果ガスを自社のサプライチェーンから削減することを発表

IBM社は90カ国以上の28,000の仕入先に対し、エネルギー使用、温室効果ガス排出、廃棄物、リサイクルを監視するデータ管理システムを導入することを要請

米国環境保護庁(EPA)と運輸省による自動車・トラックに対するより厳しい燃費基準の設定

大型トラックとバスも当該基準を準用

Procter&Gambleが水利用、廃棄物、エネルギー利用、温室効果ガス排出量について取引先による

調査プログラムを開始

GEは2015年までに100億ドル以上をエコイマジネーション分野への研究開発へ投資することを計画;2009年にはエコイマジネーション分野からの年間収入は180億ドル

PG&Eが自社のサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出に対して監査を開始

56の連邦政府関係機関で、温室効果ガスを排出するエネルギー、水および廃棄物の削減の概要を計画

Exelonが2015年までにクリーンエネルギーに対して50億ドルの投資を計画

米共通役務庁(GSA)がサスティナビリティサプライヤープログラムを開始。GSAは毎年5000億ドル以上の商品やサービスを購入

全米で5790万個のスマートメーターの設置

GM Chevy Volt、日産 LEAFの米国市場での販売開始

サステナビリティの課題への意識の高まりを反映した最近の米国における取り組み

温室効果ガスの規制について米国の20州が賛成、17州が反対米国議会が機能しない限り、各州は独自に規制を続ける見込み

米国環境保護庁(EPA)による温室効果ガス排出の固定汚染源に対する

新設または大幅な改修の許可制の開始

カリフォルニア州が国家最大規模の温室効果ガス排出のキャップアンドトレード(排出権取引)計画を承認

米国の議決権行使期間に、95の株主総会で気候変動のリスクと機会についてより適切に開示するよう決議

2011年2月

米下院で包括的なエネルギーと気候変動にかかわる法案が通過、しかし当法案は上院において不支持

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7 あなたの会社の報告データは信頼を得るに値するものだろうか?

活動目標はデータの信頼性を重視すべきだ。なぜならデータの誤りは年を経て積み重なり、企業が目標に到達することを不可能にするかもしれないからだ。

新たな注目のワード:厳密さ大半の企業は、ステークホルダーが懸念している環境および社会問題に効果的に対応するため、必要な機能をいまだ構築している段階だ。彼らは基本的な表計算ソフト、Eメールあるいは手作りの報告システムを用いてデータを集計し、指標を計算している。

ビジネスにおける財務および経営の分野で構築されたシステム、プロセスおよび内部統制の仕組みだけでは、サステナビリティの枠組みのもとステークホルダーに報告される指標の多くが欠けている傾向がある。 

これらの基本原理を見落とすことは、価値ある情報が使用できないばかりかデータの誤りを招き、さらに効果的な意思決定を行うための取り組みを後退させてしまう。次に挙げた例は、レポーティングプログラムが本来の働きをしないいくつかの一般的な兆候である。 

• 必要なデータが古い、あるいは利用できない。過去のデータは便利ではあるが、去年起きたことは必ずしも今日何が起きているかを示すものではない。たとえば、ある大手銀行では、ほぼ1年かけてデータを収集し、企業のサステナビリティに関する指標に対する見解を作成している。このことは、ステークホルダーに重要な指標を提示するのを1年遅れにしてしまい、また、必要とされる情報の管理

上、企業の柔軟さに大幅な制限を加えてしまう。財務会計および情報技術(IT)の機能からの視点や外部のベンチマークの視点をもとに、この企業はどうすれば非効率性やヒューマンエラーを減らせるかを模索するのと同様に、どうすればデータ集計や計算に必要なプロセスを自動化させてよりタイムリーに情報を作成することが出できるかを模索しているのだ。また、企業は標準化や内部的な検証の手法を視野に入れながら、従業員が同種のデータを収集するのに異なるプロセスを踏んでいる場合を特定するのだ。

• 重要な指標データに毎年修正が発生する。修正報告は、企業が最初にレポート作成に臨んだ場合には一般的なものだ。しかしそれは継続されるべきものではない。データの誤りは年を経て積み重なり、企業が目標に到達することを不可能にする場合があるため、活動目標はデータの信頼性を重視すべきだ。ある大手ITサービス企業における2009年の評価では、電力、天然ガスおよびディーゼル燃料に関する相当量の温室効果ガス排出量が、算定値に含まれていなかったことが判明した。この会社は自身で修正報告することができたが、それでも前年の温室効果ガスの排出量を8%修正し、排出削減目標に関する進捗についての公式声明を修正しなければならなかった。

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8 コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企画価値

もしサステナビリティに関するデータが年次報告書に統合された場合、投資家は財務データと同等の信頼性を有していると期待するであろう。

• データの信頼性が評価されていない。2010年度にCarbon DisclosureProjectへ寄せられた回答によると、さまざまな産業において800の企業のうちほぼ半数の企業が5%の誤差の範囲内で温室効果ガスの排出量を報告することができ、かつその主張は文書により補完されるとしている。しかし、回答企業のうち4分の1弱は、報告データの不確実性の

レートレスポンシビリティ報告の主要な指標を、標準的な財務報告とともに年次報告書に追加したいと考えた。しかし、別の幹部はこれに対してもっともな反論をしたのだ。「もし年次報告書に非財務情報を統合した場合に、投資家は非財務情報にも財務情報と同等の情報の品質を担保していると期待してしまうだろう」と。信頼性の欠如から、この取り組みは保留になった。 

範囲をどのように評価したかについて何ら情報も開示しないか、あるいはそもそもデータの不確実性について全く評価していない。 

• 企業の幹部が年次報告書に示されるサステナビリティの指標について、十分な確信を持っていない。Fortune500の企業のある幹部は、ステークホルダーに財務と非財務のより統合した情報を提供することに関心を示していた。彼らはコーポ

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9 あなたの会社の報告データは信頼を得るに値するものだろうか?

...主に企業を対象としている企業

...主に一般消費者を対象としている企業

図C:CEOの戦略変更の計画

CEOは、今後3年間のうちに、戦略を変更する予定だ。なぜなら、彼らは、ステークホルダーが企業環境やコーポレートレスポンシビリティの履行を投資判断に組み込むと予測しているからだ。

戦略を「大きく変更する」または「ある程度変更する」という回答

出典:第14回年世界CEO意識調査, PwC, 2011年

質問:今後3年間で購買行動が潜在的に変化することを受けて、あなたの会社は戦略をどの程度変更しますか?(回答数:一般消費者向け:546社、企業向け:670社、政府向け:176社)

...主に政府を対象としている企業

53%

49%

51%

将来の展望は何か?PwC主催の第14回年次世界CEO意識調査に参加した、ほぼ半数の最高経営者は、ステークホルダーが数年のうちに企業の環境およびコーポレートレスポンシビリティの履行を投資判断の際の考慮材料にするだろうと考えている。(図C)今後3年以内に、CEOは関連するニーズに対応するため戦略を変更するだろうと述べている。

第三者検証やサステナビリティの情報についての保証を含む、外部による評価を活用することで、企業は将来を予見できるようになる。著名な一般消費者向けアパレル会社のCEOは次のように言っている。「世界中でWalmartと

「何かを話している時に人々から訝られると、後で頭が痛くなるんです」-JimStanway氏,Walmart

Targetが、かつてないほど強力になるにつれ、彼らは望む物は何でも手に入るようになった。彼らは私たちの言葉には耳を貸さないでしょうが、第三者認証は必要なのです」実際、WalmartのJim  Stanway氏は自社について、私たちに語ったことがそれを裏付けている。「何かを話している時に人々から訝られると、後で頭が痛くなるんです」

外部格付機関は、サステナビリティに関するデータは検証されるべきだと認識している。最も信頼される2つの組織(サステナビリティの専門家によって決定された)であるDJSI(Dow Jones Sustainability Index)とCDP(the Carbon Disclosure Project)

は、企業のパフォーマンス評価の一部として公認の第三者認証機関による独立した一定水準の検証を求めている。

米国の監査人は、ステークホルダーが信頼できる情報を提供できるよう作成された基準の下で意見を表明することができる。しかし、投資家が意見を探す前に、多くの企業は、保証意見に含まれるもの全てについてどのように準備するかを表したロードマップを事前に十分に計画する。なぜなら、それらのガイドラインは最新のものであるため、コーポレートレスポンシビリティやサステナビリティに関する報告への取り組みは、企業のほかの領域でみられるような、実績ある綿密なプロセスを構築できていないことが多いからだ。

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10 コーポレートレスポンシビリティから生みだされる企画価値

経営上の考慮事項コーポレートレスポンシビリティに関する情報を収集する際、企業は、信頼性の高い情報を作成するためのガイドラインの必要性と、ビジネスニーズの変更に対応する機敏さとのバランスをとる必要がある。いくつかの標準的な質問に対する次の回答はそれをうまくバランスさせる助けにる。 

•  私たちはコーポレートレスポンシビリティのコミットメントや目標がどのように企業価値向上につながるかを示しているか?私たちはこれらの投資に対するリターンを測定し、報告する方法を構築することができるか?

•  私たちの環境や社会活動への取り組みにかかわる計画サイクルは、企業目標、期待そして見通しなどを踏まえて理にかなっているか?

•  意思決定は、実績を管理する正しい指標を持っていると感じているか?

•  異なる部署、あるいはサプライチェーンのパートナー企業からいかに情報を得るための課題をよく理解しているか?またそれは私たちの計画や報告のタイミングにどの程度影響を与えるか?

•  私たちはプロセスや計算をどの程度自動化すべきだろうか?私たちが遂行するのに適したテクノロジー、たとえばサービスやクラウドコンピューティングといった選択肢はどれだろうか?

•  将来的に、私たちは第三者認証や保証を望むだろうか?その決定は私たちのシステム、プロセスおよび内部統制の整備にどのような影響を与えるのだろうか?

コーポレートレスポンシビリティに関する情報のより厳密な監視が予想されることは、特に規制が間近に差し迫っている産業や、重要なビジネス上の関係が報告されたデータに依存する産業において有益なものとなり得る。しかし、あらゆる業界において、測定とレポート作成にかかわるより多くのガイドラインは、ステークホルダーとの信頼関係の構築と、ビジネス価値の創出を支援することができるのだ。

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i PwC’s Annual Corporate Directors Survey, PwC, 2010.

ii Climate Resolutions Toolkit 2010, Investor Network on Climate Risk, accessed January 11, 2011.

iii PwC is an advisor and global report writer for the Carbon Disclosure Project.

iv Udayan Gupta, Principles of Responsible Investment Gets More Traction, Institutional Investor, January 24, 2011.

v Alyce Lomax, Big Money Back’s Social Responsibility’s Rise, The Motley Fool, November 10, 2010.

vi Obama Administration Officials Unveil GreenGov Supply Chain Partnership with Industry, U.S. General Services Administration, November 16, 2010.

vii Rate the Raters Phase Two: Taking Inventory of the Ratings Universe, SustainAbility, October 2010.

viii Timeline sources are listed in the order they appear:

New Source Review: Regulations and Standards, U.S. Environmental Protection Agency, accessed January 3, 2011.

Gabriel Nelson, It’s red states vs. blue in legal war over EPA rules, Greenwire, October 12, 2010.

California Air Resources Board gives green light to California’s emissions trading program, California Environmental Protection Agency, Air Resources Board, December 16, 2010.

Chevrolet Volts Begin Shipping to Dealerships General Motors Company, December 13, 2010, and Nissan to make history with delivery of world’s first 100% electric Nissan LEAF to California consumer, Nissan Motor Co., Ltd., December 10, 2010.

57.9 Million Smart Meters Currently Planned for Installation in the United States, Pike Research, November 22, 2010.

Obama Administration Officials Unveil GreenGov Supply Chain Partnership with Industry, U.S. General Services Administration, November 16, 2010.

Exelon Plans Nearly $5 Billion Investment in Affordable Clean Energy Projects to Advance Low-Carbon Roadmap, Exelon Corporation, November 16, 2010.

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Des Bell, Sr., V.P. and Chief Procurement Officer, Pacific Gas and Electric, PG&E Supply Chain University, June 29, 2010. See: http://www.climateearth.com/video_2010_06_29.shtml.

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Climate Resolutions Toolkit 2010, Investor Network on Climate Risk, accessed January 11, 2011.

Walmart Announces Goal to Eliminate 20 Million Metric Tons of Greenhouse Gas Emissions from Global Supply Chain, Wal-Mart Stores, Inc., February 25, 2010.

New report shows increase in uptake of GRI reporting in the S&P 100, Global Reporting Initiative, February 2010.

SEC Issues Interpretive Guidance on Disclosure Related to Business or Legal Developments Regarding Climate Change, U.S. Securities and Exchange Commission, January 27, 2010.

Hugh Wheelan, Bloomberg buys New Energy Finance, Responsible Investor, December 10, 2009.

Endangerment and Cause or Contribute Findings for Greenhouse Gases under Section 202(a) of the Clean Air Act, U.S. Environmental Protection Agency, December 7, 2009.

The American Clean Energy and Security Act of 2009, H.R. 2454, 111th Cong. (2009).

The American Recovery and Reinvestment Act of 2009, H.R. 1, 111th Cong. (2009) and PwC analysis.

ix 10Minutes on Trust and Transparency, PwC, 2010.

Endnotes

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本誌はPwC Globalが発行した『Creating value from corporate responsibility』をPwC Japanで翻訳したものです。

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