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53 C National Strength and Conditioning Association Japan NSCA JAPAN Volume 25, Number 8, pages 53-59 HIV陽性者およびAIDS患者のための 介入としてのレジスタンストレーニング Resistance Training as an Intervention for People Living with HIV/AIDS Norberto Quiles, EdD, CSCS, RCEP  Alexis Ortiz, PT, PhD, CSCS, FACSM Department of Family, Nutrition and Exercise Sciences, Queens College, CUNY, Queens, New York School of Physical Therapy, Texas Woman’ s University, Houston, Texas 日常生活活動の遂行能力に影響が生 じ、それによって健康関連の生活の質 (HRQoL)が低下する(16)。この全身衰 弱は疲労を増大させ、例えば椅子から 立ち上がる、歩く、階段を上るなどの、 通常なら容易と思われる活動を困難に し、ひいては身体活動全般の減少をも たらす(3,16,30)。しかし、研究が示唆 するところによると、レジスタンスト レーニング(RT)は、除脂肪体重の増 加、筋力向上、および糖代謝と脂質代 謝の改善に効果的な療法となる可能性 があるほか、潜在的には骨密度の向上 効果も期待できる(5,25,26,34,36,43)。加 えて、これらの生理学的パラメータの 改善は、入院その他の長期的な治療に つながる健康状態の悪化を防ぐことが 明らかになっている(30)。 レジスタンストレーニングがHIV陽 性者およびAIDS患者に及ぼす効果 HIV陽性者およびAIDS患者は、健康 状態を悪化させたり、何らかの重大な 有害事象を経験したりすることなく、 要約 抗レトロウイルス薬の進歩によ り、HIV陽 性 者 お よ びAIDS患 者 は 余命を延ばしているが、現在では、 それら薬剤の副作用、および病気 の進行によるほかの合併症を経験 するようになっている。筋量の減少 は、これらの人々が経験する主な合 併症のひとつであり、日常生活活動 や社会参加の能力を低下させる可 能性がある。レジスタンストレーニ ングは、筋量減少の影響を相殺し、 HIV陽性者およびAIDS患者の健康 を増進する上で、安全かつ効果的な 方法であることが明らかになって いる。したがって、エクササイズ専 門職は、こういった対象者の生活の 質を向上させるのに適した職種で ある。 序論 米国でHIV(ヒト免疫不全ウイルス) 感染とともに生きる人は 120 万人に 上り、また毎年新たに 4 万人が陽性の 診断を受けている(8,9)。治療が進歩 しているとはいえ、診断後の死亡率 は 1,000 人当たり最大 30.8 人に達する (8,9)。また、HIV陽性者およびAIDS(後 天性免疫不全症候群)患者は、心血管 代謝機能不全、日和見感染症、骨量の 減少、および筋量の減少など、ほかの 全身合併症も経験する(3,27,29,39,40)。 なかでも筋量の減少(筋消耗)は、HIV 陽性者およびAIDS患者に多発する合 併症である(3)。消耗症候群は、下痢 や長期的な衰弱、発熱といった関連症 状を伴い、意図せず体重が 10%以上減 少することと定義される(3,16)。HIV およびAIDSに関連する消耗症候群で 特に問題となるのは、日和見感染症 のリスクが上昇し、免疫系が抑制さ れ、ひいては死亡率が高まることであ る(3,16,41)。除脂肪体重の減少を呈し ている人は、全身が衰弱することで Key Words 【慢性疾患:chronic disease、エクササイズ:exercise、免疫不全:immunodeficiency、筋消耗:muscle wasting、 筋力向上:strengthening】

HIV陽性者およびAIDS患者のための 介入としてのレジスタン …RT介 入は 16 週間、週 3 回実施され、強度 70 ~90%13 RMの低強度、中強度、およ

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53C National Strength and Conditioning Association Japan

C NSCA JAPANVolume 25, Number 8, pages 53-59

HIV陽性者およびAIDS患者のための介入としてのレジスタンストレーニングResistance Training as an Intervention for People Living with HIV/AIDS

Norberto Quiles, 1 EdD, CSCS, RCEP  Alexis Ortiz, 2 PT, PhD, CSCS, FACSM1Department of Family, Nutrition and Exercise Sciences, Queens College, CUNY, Queens, New York2School of Physical Therapy, Texas Woman’s University, Houston, Texas

日常生活活動の遂行能力に影響が生じ、それによって健康関連の生活の質

(HRQoL)が低下する(16)。この全身衰弱は疲労を増大させ、例えば椅子から立ち上がる、歩く、階段を上るなどの、通常なら容易と思われる活動を困難にし、ひいては身体活動全般の減少をもたらす(3,16,30)。しかし、研究が示唆するところによると、レジスタンストレーニング(RT)は、除脂肪体重の増加、筋力向上、および糖代謝と脂質代謝の改善に効果的な療法となる可能性があるほか、潜在的には骨密度の向上効果も期待できる(5,25,26,34,36,43)。加えて、これらの生理学的パラメータの改善は、入院その他の長期的な治療につながる健康状態の悪化を防ぐことが明らかになっている(30)。

レジスタンストレーニングがHIV陽性者およびAIDS患者に及ぼす効果 HIV陽性者およびAIDS患者は、健康状態を悪化させたり、何らかの重大な有害事象を経験したりすることなく、

要約 抗レトロウイルス薬の進歩により、HIV陽性者およびAIDS患者は余命を延ばしているが、現在では、それら薬剤の副作用、および病気の進行によるほかの合併症を経験するようになっている。筋量の減少は、これらの人々が経験する主な合併症のひとつであり、日常生活活動や社会参加の能力を低下させる可能性がある。レジスタンストレーニングは、筋量減少の影響を相殺し、HIV陽性者およびAIDS患者の健康を増進する上で、安全かつ効果的な方法であることが明らかになっている。したがって、エクササイズ専門職は、こういった対象者の生活の質を向上させるのに適した職種である。

序論 米国でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染とともに生きる人は 120 万人に上り、また毎年新たに 4 万人が陽性の診断を受けている(8,9)。治療が進歩しているとはいえ、診断後の死亡率は 1,000 人当たり最大 30.8 人に達する

(8,9)。また、HIV陽性者およびAIDS(後天性免疫不全症候群)患者は、心血管代謝機能不全、日和見感染症、骨量の減少、および筋量の減少など、ほかの全身合併症も経験する(3,27,29,39,40)。なかでも筋量の減少(筋消耗)は、HIV陽性者およびAIDS患者に多発する合併症である(3)。消耗症候群は、下痢や長期的な衰弱、発熱といった関連症状を伴い、意図せず体重が 10%以上減少することと定義される(3,16)。HIVおよびAIDSに関連する消耗症候群で特に問題となるのは、日和見感染症のリスクが上昇し、免疫系が抑制され、ひいては死亡率が高まることである(3,16,41)。除脂肪体重の減少を呈している人は、全身が衰弱することで

Key Words【慢性疾患:chronic disease、エクササイズ:exercise、免疫不全:immunodeficiency、筋消耗:muscle wasting、筋力向上:strengthening】

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を呈しているHIV陽性者では約 60%、筋量減少を呈していないHIV陽性者では約 44%と、両群とも筋力が有意に向上した。さらには介入後、筋量減少を呈しているHIV陽性者では約 5.3%、筋量減少を呈していないHIV陽性者では約 2.3%と、除脂肪体重の有意な増加もみられた(34)。 また別の研究では、RTのみ、RTとテストステロン摂取、およびRTとプラセボ摂取、それぞれがHIV陽性男性の群に及ぼす効果を調査した(5)。RT介入は 16 週間、週 3 回実施され、強度 70~ 90% 1 RMの低強度、中強度、および高強度のトレーニング日で構成された。研究の結果、RTおよびテストステロン摂取群とRTのみの群では、除脂肪体重と筋力が同程度に増加し、RTのみ実施した場合でも、RTとテストステロンを併用した場合と変わらない効果を得られることが示唆された。実際、RTのみの群は、除脂肪体重が 2 kg増加し、筋力が 22 ~ 23%向上している(5)。さらに、除脂肪体重の増加は、筋量減少の経験を有するHIV陽性男性における身体機能のわずかな改善(HRQoLの質問票によって評価)にも関連づけられている(5)。なお、この介入を実施中の有害事象は報告されておらず、高強度のレジスタンスエクササイズ(最大 90% 1 RM)に対しても、HIV陽性者が十分な耐性を有している可能性が考えられる。 HIV陽性女性を対象に、16 週間の家庭で行なう筋力トレーニングを介入に用いた研究では、膝、足首、肩、および肘周辺の筋群の筋力が有意に向上し、加えて筋断面積が増加した(13)。同研究のレジスタンスエクササイズプログラムでは、週 3 回のトレーニングを最初の 2 週間は 60% 1 RM強度、次の 2 週間は 70% 1 RM強度、残りの期

安全にRTを実施できることが証明されている(13,14,18,20)。RTを取り上げた先行研究のうち、一般的な安全性の尺度である免疫学的パラメータ(CD 4 T細胞数およびウイルス量)を評価したものは、これら変数の悪化を報告していない(13,14,18,20,21)。 一部の研究において、成人のHIV陽性者は筋力の低下を経験することが多く(16,28,37)、またこの筋力低下は、HIV感染症の進行に伴う除脂肪組織の減少が一因になっていると報告されている(16)。加えて、HIV陽性者でCD 4 T細胞数が 200 /mm3以下の場合、筋力低下とCD 4 T細胞数の低値には関連性がみられ、このことは、免疫系の健康状態の悪化が、この患者集団における等速性筋力の低下に関連している可能性を示唆している(33)。そのほか、MRI(磁気共鳴画像法)によって測定した骨格筋量の増加は、CD 4 T細胞数の増加に関連している( p<0.001 )と報告している研究もある(41)。 レジスタンスエクササイズは、タンパク質の合成を促進することで筋量の増加をもたらすものであり(16)、レジスタンスエクササイズがこの集団に及ぼす効果について、いくつかの研究が行なわれている(1,13,42)。研究の結果、RTは、HIV陽性者およびAIDS患者の筋力と除脂肪体重を増加させることが明らかになっている

(5,6,23,25,26,34,35,38,41–43)。ある研究は、HIV陽性で筋量減少を呈している男性と、同じくHIV陽性で筋量減少を呈していない男女を対象に、8 週間のレジスタンスエクササイズプログラムが及ぼす効果を調査した(34)。週 3 回のレジスタンスエクササイズプログラムにおいて、被験者は各エクササイズを 3 セットずつ、75 ~ 80% 1 RMの強度で実施した。研究の結果、筋量減少

間は 80% 1 RM強度で実施した。このほかにも、同じくHIV陽性女性を対象に、RTが及ぼす効果を調査した研究がある(1)。同研究に参加した女性は、14 週間、週 3 回の筋力向上プログラムを医療機関において実施した。筋力向上エクササイズは、マルチステーションマシーンのサーキットを使用し、上肢と下肢の筋群を対象とするものであった。このレジスタンスエクササイズプログラムは、1 週目は 50% 1 RM強度、2 週目からは 75% 1 RM強度で実施された。その結果、被験者女性の体脂肪は 2.5 kgと有意に減少し、除脂肪体重は 0.6 kg増加した。この研究の重要な点は、被験者のHRQoLを評価していることである。筋力向上プログラムの介入後、HRQoLにおける身体活動、主観的健康感、および活力のスコアも有意に改善した。 また、サーキットトレーニングも、HIV陽 性 者 お よ びAIDS患 者 の 筋 力と除脂肪体重の増加に効果的であることが明らかになっている(15,22)。Dudgeonら( 2012 年)は、30 分間の 60~ 75%最大心拍数(HRmax)で行なう有酸素性エクササイズプログラムとサーキット形式のRTプログラムを組み合わせて週 2 回実施させたところ、6 週間という短期間であったにもかかわらず、HIV陽性者およびAIDS患者の筋力が 14 ~ 28%向上し、除脂肪体重が 0.8 kg増加した(15)。同様にGarciaら(22)は、20 週間の有酸素性およびサーキットの複合トレーニングプログラムを実施したところ、HIV陽性者およびAIDS患者の除脂肪体重が 1.8 kg増加し、筋力も向上した。同研究では、30 分間の 60 ~ 75%最大酸素摂取量で行なう有酸素性エクササイズと、各エクササイズを 12 ~ 15 レップで行なうサーキットトレーニングプロ

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グラムを週 3 回実施した(22)。以上の研究結果から、RT単独でも、RTがサーキットトレーニング形式であっても、または有酸素性エクササイズとの組み合わせであっても、HIV陽性者およびAIDS患者の除脂肪体重を増加させ、筋量減少の影響を相殺させる効果が得られると考えられる。 また一部の研究は、RTを単独で実施しても、HIV陽性者およびAIDS患者における血中の脂質代謝と糖代謝、また潜在的には骨代謝を向上させる効果が期待できることを示唆している(6,7,23,25,37,42)。Lindegaardら(25)は、脂肪異栄養症を呈しているHIV陽性者およびAIDS患者を対象に、16 週間のRT介入を強度 50 ~ 80% 1 RMで実施したところ、TG(血清トリグリセリド)、HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)、インスリンによるグルコースの取り込み、および筋力が有意に改善した(25)。また、Britoら(6)は近年、HIV陽性者およびAIDS患者を対象に、24 週間、週 3 回のレジスタンスエクササイズプログラムを 80% 1 RM強度で実施したところ、空腹時血糖値が有意に低下したと報告している。実際、RTを開始して遅くとも 12 週間後には、血中脂質の値に変化を期待することができる(6)。同じく近年の研究で、Zanettiら(43)は、12 週間の期分けされた非線形RTプログラムを実施したところ、HIV陽性者およびAIDS患者の血清TG、HDL-C、およびLDL-C(低密度リポタンパク質コレステロール)が改善したと報告している。脂質と糖の障害は、HIVとそれに対する抗レトロウイルス療法(ART)によって引き起こされると考えられ、心臓血管系疾患の発症リスクを一層高めるおそれがあるため、HIV陽性者およびAIDS患者においては、これら

の障害を管理することが重要である(27,40)。 RTがHIV陽性者およびAIDS患者の骨代謝に及ぼす効果については、まだあまり研究が進んでいない。Santosら

(36)は近年、12 週間、週 3 回のRT介入が、脂肪異栄養症を呈しているHIV陽性者およびAIDS患者の骨密度に及ぼす効果について報告している。RTプログラムを 70 ~ 80% 1 RM強度で実施したところ、腰椎( 3.28%)、大腿骨頸部( 8.45%)、および橈骨( 5.41%)の骨密度が上昇した(36)。HIVの進行と一部のART薬(プロテアーゼ阻害薬および核酸系逆転写酵素阻害薬)の使用が、骨密度の低下(29)と機能的障害

(19)を引き起こし、骨粗鬆症性骨折のリスクを高める(4)可能性があるとのエビデンスが蓄積しつつあることから、これはこの集団において重要な研究結果である。表 1 に、抗レトロウイルス薬とその副作用の一覧を示した。

留意事項 HIVは慢性感染症のため、相対的禁忌であると考えられることから、HIV陽性者がレジスタンスエクササイズプログラムを開始する前には、主治医に相談して、エクササイズを実施するリスクと利点を分析しなくてはならない

(2)。事前に健康診断を実施して、ほかの慢性疾患を有していないか、エクササイズプログラム参加の支障となりうる徴候や症状がないか確認する必要がある。また、HIV陽性者およびAIDS患者には、脂質異常症、高血糖値、および非活動的な生活習慣が広くみられるため、心臓血管系疾患の危険因子も評価すべきである(32)。そのほか、この集団には心機能障害が広くみられるため、エクササイズプログラムの開始前に血圧と安静時心電図も測定するとよ

い(2)。HIV陽性者およびAIDS患者の筋力トレーニングへの参加許可に関して、基準となるガイドラインは存在しないが、ストレングス&コンディショニング(以下S&C)専門職は、保健サービスの提供者として、HIV陽性者およびAIDS患者のHRQoLにプラスの影響を及ぼしうる多くの職種のひとつである。提供するサービスが非専門的なリハビリテーションの性質を帯びていることから、S&C専門職は、理学療法士や作業療法士など、ほかの専門的なリハビリテーション提供者への照会を要する身体機能の障害に通じていて、それに気付くことができなくてはならない。 フィットネス専門職はまた、エクササイズに参加するHIV陽性者およびAIDS患者の現在の免疫状態を把握していなくてはならない。この集団の免疫状態は主に、ウイルスの影響を受ける主要な免疫系細胞であるCD 4 陽性T細胞の細胞数によって評価される。健康な非感染者の成人の場合、CD 4 陽性T細胞数は 500 ~ 1,600 /mm3である。これに対し、HIV感染症が進行してAIDSを発症すると、重篤な免疫抑制状態(<200 /mm3)に陥るため、日和見感染および死亡のリスクが高まる(39)。運動介入のデータを見る限り、レジスタンスエクササイズはHIV陽性者およびAIDS患者の免疫系の機能に悪影響を及ぼさない(31)。それでも、参加者のCD 4 陽性T細胞数が 200 /mm3を下回っている場合、重篤な免疫抑制が生じていると考えられるため、処方するレジスタンスエクササイズの強度と量に注意する必要がある。 また、HIV陽性者およびAIDS患者が経験するいくつかの合併症は、追加の注意事項と、レジスタンスエクササイズ処方の修正を必要とする場合があ

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る。HIV陽性者およびAIDS患者においては、糖尿病の有病率が上昇するとみられ(24)、糖尿病を有する参加者にエクササイズを処方する際は、追加の注意事項が必要となる。コントロール不良の糖尿病はエクササイズが禁忌となることから、糖尿病の診断を受けている参加者は、エクササイズ前後の血糖値をモニタリングして低血糖イベントを予防しなくてはならない。

 現在の勧告では、血糖値が 250 ~300 mg/dl以上、かつケトン体が陽性の場合には、エクササイズを延期すべきであるとされている。しかし、血糖値が 250 ~ 300 mg/dl以上であっても、本人のその日の気分が良ければ、注意しながらエクササイズを実施することができる(11)。また、インスリンまたは血糖降下薬を投与している参加者で、血糖値が 100 mg/dlを下回ってい

る場合には、エクササイズ中の低血糖を予防するため、エクササイズ前に単純糖質の軽食を摂取する(10,11)。またフィットネス専門職も、異常発汗、震え、脱力、不安感、錯乱など、エクササイズ中の低血糖に伴う一般的な徴候や症状を把握しておく。さらには、エクササイズ中の低血糖イベントに備えて、ブドウ糖タブレットなどの吸収の早い糖質を用意しておく(10)。なお、

表 1 HIV / AIDSの治療に用いられる抗レトロウイルス薬

種類(頭文字) 作用機序 一般名(商品名) 起こりうる副作用

プロテアーゼ阻害薬(PI)

プロテアーゼ酵素を阻害することで、HIVウイルスの成熟と増殖を抑える

チプラナビル(Aptivus /アプティバス)、インジナビル(Crixivan /クリキシバン)、ダルナビル(Prezista /プリジスタ)、ロピナビル+リトナビル(Kaletra /カレトラ)、サキナビル(Invirase /インビラーゼ)、ホスアンプレナビルカルシウム(Lexiva /レクシヴァ)、アタザナビル(Reyataz /レイアタッツ)、ネルフィナビル(Viracept /ビラセプト)

高脂血症、インスリン抵抗性、肝毒性、胃腸の副作用、皮膚発疹、腎石症、心臓血管系疾患のリスク上昇

非核酸系逆転写酵素阻害薬

(NNRTI)

ウイルスRNAとウイルスDNAの転写に必要な酵素である逆転写酵素に結合し、その活動を変化させる

リルピビリン(Edurant /エジュラント)、エトラビリン(Intelence /インテレンス)、デラビルジン(Rescriptor /レスクリプター)、エファビレンツ(Sustiva /サスティバ[Stocrin /ストックリン])、ネビラピン(Viramune /ビラミューン)

脂質異常症、肝毒性、インスリン抵抗性、発疹、精神神経系の副作用

核酸系逆転写酵素阻害薬

(NRTI)

ウイルスRNAとウイルスDNAの転写に必要な酵素である逆転写酵素を阻害する

テノホビル(Viread /ビリアード)、ジドブジン+ラミブジン(Combivir /コンビビル)、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン(Truvada /ツルバダ)、エムトリシタビン(Emtriva/エムトリバ)、ラミブジン(Epivir /エピビル)、ジドブジン(Retrovir/レトロビル)、アバカビル(Ziagen /ザイアジェン)、スタブジン

(Zerit /ゼリット)、ジダノシン(Videx /ヴァイデックス)

頭痛、貧血、好中球減少症、腎機能障害、悪心、嘔吐、膵炎、ミトコンドリア毒性、脂肪組織萎縮症、乳酸アシドーシス、肝脂肪症、骨密度低下、心血管イベントのリスク上昇

融合阻害薬HIVウイルスが免疫系のCD 4 細胞に結合し、侵入するのを阻止する

エンフビルチドまたはT-20 (Fuzeon /フューゼオン)注射部位反応、不眠症、うつ、発疹、脱力、悪心、腹痛、肝毒性

CCR 5 コレセプター拮抗薬

CD 4 細胞表面のCCR 5 タンパク質を阻害する。一部のHIVウイルスは、このタンパク質を利用して細胞に侵入する

マラビロク(Selzentry /シーエルセントリ)発疹、無力症、めまい、歯肉炎、悪心、嘔吐、腹痛、肝毒性

インテグラーゼ阻害薬

ウ イ ル ス 酵 素 イ ン テ グラーゼが宿主のDNAにウイルスを組み込むのを阻止する

ドルテグラビル(Tivicay /テビケイ)、エルビテグラビル(Vitekta /ビテクタ)、ラルテグラビル(Isentress /アイセントレス)

筋衰弱、横紋筋融解症、下痢、脂質異常症、不眠症、うつ

配合剤

NRTI、NNRTI、PI、 お よびインテグラーゼ阻害薬の中から、2 種類以上の薬剤の作用を組み合わせたもの

エルビテグラビル+コビシスタット+エムトリシタビン+テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild /スタリビルド)、エルビテグラビル+コビシスタット+エムトリシタビン+テノホビルアラフェナミド(Genvoya /ゲンボイヤ)、コビシスタット+ダルナビル

(Prezcobix /プレジコビックス)、アタザナビル+コビシスタット(Evotaz /エボタッツ)、エファビレンツ+テノホビル+エムトリシタビン(Atripla /アトリプラ)、リルピビリン+テノホビル+エムトリシタビン(Complera /コムプレラ)

頭痛、下痢、悪心、嘔吐、骨密度低下の可能性、無力症、膨満感

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このトピックに関する詳しい議論については、ほかの文献を参照してほしい

(11,12)。 そのほか、末梢神経障害もHIV陽性者およびAIDS患者に広くみられるが、これは核酸系逆転写酵素阻害薬など一部の抗レトロウイルス薬の使用、および加齢と関連づけられている(17)。末梢神経障害は、四肢の神経の損傷によるしびれ、バランス感覚の喪失、疼痛、および腕や脚の脱力感を特徴とする。末梢神経障害を呈しているHIV陽性者がエクササイズに参加する場合、転倒のおそれがあるため、レジスタンスエクササイズプログラムに修正を施す必要が考えられる。転倒のリスクがあるエクササイズや、実施後に疼痛が悪化するようなエクササイズは、末梢神経障害を呈しているHIV陽性者への処方を控える必要があるかもしれない。また、身体の安定性が求められる伝統的なレジスタンスエクササイズ(スクワットやランジなど)を実施する際は、よりしっかりと監督を行なう必要がある。

フィットネス専門職への推奨事項 医学的および薬理学的な治療によって、HIV陽性者の余命が延び続けるのに伴い、この疾患に関連して生じる合

併症や抗レトロウイルス薬の副作用が、HIV陽性者の機能とHRQoLに影響を及ぼす主要な因子となっている

(30)。 本稿では、筋力向上エクササイズがHIV陽性者のための介入となることを裏付けるエビデンスを取り上げた。ほとんどの研究が用いた処方は、60 ~80% 1 RM強度および 8 ~ 15 レップの範囲であった。注目すべきは、90%1 RMという高い強度であっても、波状型の期分けされたプログラムの一部として、HIV陽性者およびAIDS患者に対し安全かつ効果的に使用されていた点である(5)。またレジスタンスエクササイズの量は、エクササイズ 1 種目につき 1 ~ 3 セットであったが、ほとんどの研究は 1 種目につき 2 ~ 3 セットのエクササイズ介入を用いていた。これら介入のトレーニング頻度は週 2 ~4 回で、RT単独または有酸素性エクササイズとの組み合わせで処方された。とはいえ、頻度は週 2 回でも、除脂肪体重と筋力の増大効果を得られることが一貫して証明されている。また、プログラムの実施期間は研究によって大きな差があった( 6 週間~ 2 年)。しかし、一見して健康な人を対象にした研究と同様に、除脂肪体重と筋力の増大は、わずか 6 週間のレジスタンスエク

ササイズで達成しうると考えられる。表 2 に、HIV陽性者およびAIDS患者向けに推奨されるレジスタンスエクササイズ処方をまとめた。 一般的な推奨事項として、エクササイズの強度、頻度、および量は、ゆっくりと段階的に漸進させる。先行研究のエビデンスから、HIV陽性者およびAIDS患者のレジスタンスエクササイズプログラムは、最初のうちは多レップ(例:15 レップ)、低強度(例:60% 1 RM前後)、および各エクササイズ 2 セットのトレーニングを週 2 回、連続しない日に実施する処方から開始したとしても、多くの健康増進効果が期待できる。参加者がエクササイズに慣れてきたら、RTの量と強度を漸進させる。例えば、エクササイズ強度をゆっくりと時間をかけて 80% 1 RMまで上げ、その一方でレップ数は 8 レップまで減らす。また、各エクササイズのセット数は 3 セットまで、RTの頻度は可能性として週 4 回まで増やすことができる。ただしこれまでに、HIV陽性者およびAIDS患者を対象としたレジスタンスエクササイズの異なる量や強度を比較して、どれがこの集団に最も効果的であるかを明らかにした研究はない。

表 2 HIV陽性者向けに推奨されるレジスタンスエクササイズ処方の概要

頻度 強度 種類 レップ数 セット数 休息/回復 漸進

週 2 ~ 4 回中~高強度

( 60 ~ 80% 1 RM)

すべての大筋群を対象としたエクササイズ。多関節エクササイズが推奨される。

8 ~ 15 レップ

エクササイズ 1種目につき 2 ~3 セット

セット間に最低 2 分の休息

強度、頻度、およびセット数は時間をかけて段階的に増加する。

初 心 者 は週 2 回 で 十分な場合も

マシーン、フリーウェイト、エラスティックバンド、メディスンボール、その他それらに代わる器具。

初心者は 1 セットで十分な場合も

疲労を感じている場合は休息時間を延ばす。同一筋群のトレーニングは最低 48 時間の間隔を空ける。

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結論 治療法の進歩によって、HIV陽性者およびAIDS患者の余命は延ばされている。しかし一方で、この集団は複数の合併症を経験しており、それらは病気の進行と相まって、生活の質および日常生活活動の遂行能力を低下させ、また死亡リスクを高める可能性がある。RTは、HIV陽性者およびAIDS患者の除脂肪体重を増加させ、筋量減少の影響を相殺する効果が期待できる。さらにRTは、この集団における筋力、脂質代謝と糖代謝、また潜在的には骨密度の向上にも効果的であると考えられる。一般的なガイドラインとして、HIV陽性者およびAIDS患者は、レジスタンスエクササイズを最低週 2 回実施すると有益な効果が得られる。強度と量については、8 ~ 15 レップを 60 ~80% 1 RM強度で、各エクササイズを 2~ 3 セットずつ行なう処方の有効性が明らかになっている。総じてレジスタンスエクササイズは、この集団が日常生活活動を遂行する能力に有益な効果をもたらすと考えられ、おそらくは早期死亡リスクの低減にも効果が期待できる。◆

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Norberto Quiles:Queens College, CUNY家庭、栄養、運動科学部の准教授。

Alexis Ortiz:Texas Woman's University

(テキサス州ヒューストン)理学療法学部の教授。

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