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Microsoft Word

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Microsoft Word(マイクロソフト・ワード)は、マイクロソフトがWindows、macOS

及び iOS向けに販売している文書作成ソフトウェア。

Microsoft Excelとともに、同社のオフィススイート、Microsoft Officeの中核をなすアプ

リケーションである。一般的にはワード(WordまたはMS-Wordとも)と呼ばれるこ

とが多いが、「ワード」と名称が付く商品名や商標名は他にもある。

来歴

Wordの最初のバージョンを開発したのは、初期のWYSIWYGワープロである Bravoの

開発者であり、ビル・ゲイツの個人的な技術アドバイザーでもあったチャールズ・シ

モニーであり[3]、後に彼が雇ったリチャード・ブロディも開発チームに加わった[4][5]。

1981年にリチャード・ブロディがマイクロソフトに入社、一年後にブロディはWord

のプログラミングを任された(Wordは成功を収めたものの、のちにブロディはマイ

クロソフトを退社し、著述業へ転身した)[4][5]。

1983年 5月、Multi-Tool Wordの名前で Xenix向けに発売された。この最初のWordは、

同社初のグラフィカルユーザインタフェースを採用した製品であり、Microsoft Mouse

という名前のマウス製品が同時発売となった。初期のWindowsは、この初代Wordで

採用されていたインターフェイスを採用しており、このWordを開発する際に構築さ

れた開発ライブラリ名がWindowsと呼ばれていたとされる。翌 84年 1月には

Microsoft Word 1.0 for Macを発表した。

日本市場においてワープロソフトと言えば、MS-DOS時代からジャストシステムの一

太郎が絶対的なシェアを持っており、英語文化圏で開発されたWordは文字数指定や

縦書きといった日本語特有の文化に対応した機能を持っておらず、かつ、Microsoft製

のWindows用の日本語入力ソフトであるMicrosoft IMEは未熟だったため、Wordは苦

戦を強いられていた。また、英語文化圏でもコーレル(当時はノベル社)の

WordPerfectがシェアを 50%以上とっており、現在にあるその地位にはいなかった。

ただ、Mac版は日本語化が遅れたため日本国内ではエルゴソフトの EGWORDに押さ

れていたものの、英語文化圏においてクラリス社のMacWriteや Nisus社の Nisus

Writerと並ぶ人気ワープロソフトであった。

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その後、競合製品の機能を積極的に取り込んだほか、スタイルシートなどのオリジナ

ルの機能も追加して高機能化を推し進めた(このWordオリジナルの機能は逆に競合

製品に取り込まれている)。また、日本語独自機能はマイクロソフト(日本法人)が

主体として開発するようになり、日本語処理を強化していった。

競合他社への情報提供の時間差を利用して自社製 OSであるWindows 95の発売と同時

に対応バージョンのWord 95を発売し、Excelの人気をテコにバンドルしたセットで

PCメーカーにプリインストール販売戦略を推進することでシェアを高めていった。

その結果、ライバルのWordPerfectのシェアが当時 50%あったものが、コーレル売却

時には 10%になったため、当時のWordPerfectの開発元であったノベル社はMicrosoft

を独占禁止法違反でユタ州連邦地方裁判所に提訴している。ノベル社の主張は、同社

が「WordPerfect」と「Quattro Pro」を所有していた期間にMicrosoft社がオフィス向

けアプリケーション市場の競争を排除する行為によってノベル社に損害を与えたとい

うものである。現在、シェアはWordが圧倒的に優勢となっている。

また、日本国内においても、Microsoft Officeのバンドル・プリインストールの際は

Wordと Excelをセットで販売する方針を強化し、一太郎と Excelといった組み合わせ

を認めない、と行った手法が横行した。これには 1998年 11月に公正取引委員会より

抱き合わせ販売にあたるとして排除措置命令が出された。98年当時にはすでに

「Word 97」の日本語版としての「Word 98」が発売されるほどにまで製品基盤が強化

されており、この戦略が定着したものとなっていた。この時、この戦略をなぞる形で

「Personal business Edition」が発売されている。

Windows用ではWord95、97、98、2000、2002、2003、2007、2010、2013を経て、

2015年現在「Word 2016」が最新版である。なお、Word 98は当時評判の悪かった日

本語処理の向上、およびライバル製品(一太郎)の存在する日本市場上の戦略により

投入された、欧米では発売されていない独自のバージョンである。またWord 98は大

韓民国においても朝鮮語版が発売されている(発売の背景は不明)。

Microsoftが DOS版、Macintosh版、Windows版のバージョンが異なっていた物を統一

する事にした際、ローカライズの時間差からWord for Windowsの Ver. 2.0の日本語版

が Ver. 5.0として登場したため、Ver. 1.2Aから Ver. 5.0へのジャンプとなった(英語版

は Ver. 2.0から Ver. 6.0とジャンプした)。

Word 2003以前の数式エディタは、他の Officeアプリケーションと同様にMicrosoft数

式エディタ (Microsoft Equation Editor; MEE) を使用する。これはデザインサイエンス社

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のMathTypeの機能限定版であり、色付けや数式番号機能が使えない。Word 2007以降

では従来のMEE 3.0のデータを編集することも可能だったが、セキュリティ上の理由

から 2018年 1月に機能削除された[6]。削除に伴いMEE 3.0表示用のフォントが削除さ

れ過去に作成したMEE 3.0の数式が表示ができない状況は発生したが、2018年 4月に

「MT Extra」フォントを無償公開し対応した[7]。

Word 2007以降の数式エディタは、マイクロソフト製の新しい数式エディタおよび独

自のマークアップ言語 (Office Math Markup Language; OMML) が導入された[8]。これは

TeXのような打ち込みで記述が可能で、高度な数式が簡単に記述できるようになった

が、日本語版では入力した英字が既定では斜体にならないというバグがある。これは

2008年 5月現在修正されていない。この新しい数式エディタはWord 2007でのみ使用

可能で、PowerPoint/Excel2007では使えない(画像ファイルになる)。PowerPoint/Exc

el 2010以降ではWord同等の機能が利用できるようになっている。

2009年 8月、米国のテキサス州東部地区連邦地方裁判所がカナダの企業 i4iによる特

許侵害の訴えを認め、米国内でのMicrosoft Wordの販売・輸入を禁止する判決を下し

た[9]。侵害が認められたのは XMLを用いたテキストの整形に関する特許。

互換性

基本的に上位互換で、新しいバージョンでは古いバージョンで作成したファイルを開

くことができる。新しいバージョンで作成したファイルを古いバージョンで開いた

場合、新しい機能を使って作成された部分は編集できないなどの制限があるほか、見

た目も違う場合がある。単純なテキストの場合は、ほとんどの場合は問題ない。同じ

内部バージョンでも、OSが違うとフォーマットが崩れる場合がある(例:内部バー

ジョンが同じ 12の、Word 2007で作成したファイルをWord 2008で開いた場合など)。

印刷した際のフォーマットが重要な場合は、PDFなどで出力する必要がある。

PDF出力

Word 2007から標準で PDF 形式のファイルを書き出せるようになった。ただし、機能

は Adobe Acrobatなどと比較して限定されたもので、複雑な図形などを使うと出力が

おかしくなる。なお、macOSはもともと OS自体が PDF作成機能を持っている。

拡張子 .doc

詳細は「DOC (ファイル フォーマット)」を参照

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Microsoft Wordが DOS版の頃から使っている拡張子「.doc」は、古くから別のフォー

マットのファイルにも使われていた。ソフトウェアを配布する場合、その説明書を

「readme.doc」等のファイル名でプレーンテキストで付属させるケースが多かった。

また、WordPerfectの文書も同じ拡張子を用いていた。

Windows95が発売され、インターネットが爆発的に普及する時期になると、

Windows95に付属する簡易ワープロソフトと Office 95のMicrosoft Wordが拡張子.doc

を使う事が問題視されるようになった。「拡張子が.docでもWordの文書でなければ

従来のテキストファイルビューアで開き、Wordの文書であればWordで開く」とい

う風変わりな拡張子判定プログラムが出回った程である。この時期からテキストファ

イルでは「.doc」を避けて「.txt」のみを用いるようになった。

2010年現在の最新版であるWord 2010の文書ファイルの拡張子の標準は「.docx」で

あるが、従来のWord 2003までの「.doc」の選択もできる。一方、「.docx」形式で作

成された文書ファイルを、旧バージョンのWord 2003 等で開くことはできないため、

互換パックをMicrosoftのサイトからダウンロードする必要がある。

日本語版の操作性に関する評価

日本そして各国ではシェアこそ高い地位を誇っているが、日本と欧米での書類作成文

化の違いから、Wordの操作性・使い勝手に不満を持つ者も少なくはない。主に以下

の点が批判されている。

罫線が書きにくい(元々欧米で罫線という概念が存在していなかったため)。

表を作成後、枠内の一部分に再び枠を作成する際細かい修正が不可能。若干の隙

間がどうしても空いてしまう。

自由なレイアウト均等割付などに癖がある。

画像の位置における微修正が効かない。

センタリング機能に不具合が散見される。

レイアウト方法がスタイルシートベースの編集方式に偏っているため、スタイル

機能が使いこなせないとレイアウト調整が極めて難しい。

表作成後のバランス修正に癖が強く必要に応じた追加などの変更が簡単にはでき

ない。

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バージョンごとにレイアウトが違って見える場合があり(特に罫線が多い場合な

ど)、別バージョンのWordで見ると、レイアウトが崩れていたり、文字が入り

きらずにページごとに文字欠けが発生したりすることがある。

Word 2003以前では、ルビ機能を呼び出すためのアイコンが、「大文字の Aに、

小文字の abcのルビが振ってある」という、日本語の常識からは乖離したデザイ

ンであった。ただしWord 2007以降では「亜」に「ア」というルビが振ってある

デザインに変更されている。

かつては比較的日本語に配慮したローカライズも行われていたが、2007以降は日

本語の特性を無視した設計となっている傾向が強い。たとえば、ルーラー上でイ

ンデントやタブを文字単位で移動・設定できない(2003以前はグリッドで設定し

ておくことにより可能であった)など。

これらが原因で文筆業者や脚本家はWordを敬遠し、一太郎など他のワープロソフト

を使用したり、テキストエディタとページレイアウトソフトを併用したりしている

場合がある。

また、Wordの代わりに表計算ソフトの Excelを、複雑な罫線を多用する文書の作成に

利用したり、プレゼンテーションソフトの PowerPointを、図表が多い文書やリーフ

レット・パンフレットの作成に利用したりする者もいる(実際にアスキー・ドット

PCの 2007年 8月号では、その特集が組まれている)。

なお、Wordは元々が英文用の文書作成機能に特化した製品であり、その目的から外

れる機能については競合製品に劣る点が多いが、Microsoft Officeには Excel(表・グラ

フ)、Visio(ベクターグラフィックス)、PowerPoint(プレゼンテーション)、

Publisher(ページレイアウト)といった、Wordでは不足する機能を補完するツール

がそろっており、また OLEを利用した相互連携機能も用意されているため、これらを

併用したほうが効率的に仕事ができる場合が多い。

その一方で、オートコレクト機能を利用して一般的な定型文書制作時に行われる挨拶

文や起承転結部分のテンプレートを呼び出して入力を簡略化するツール等も追加され

ている。

容量制限

Microsoft Wordのページ数の限界は 32768ページであり、これ以上増やそうとすると

フリーズしてしまう。

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Word Viewerと後継

Windows版のみであるが閲覧用の単独アプリケーションとしてWord Viewerがマイク

ロソフトから無償で提供されていた。Microsoft Wordで作成された文書の表示・印刷

などに限られる。2017年 11月に更新およびダウンロード提供が終了し、Office Mobile

やOffice Onlineなどへの移行が案内されている[10]。

脚注

1. “Version 1.0 of today’s most popular applications, a visual tour - Pingdom Royal”.

Pingdom (2009年 6月 17日). 2016年 6月 15日閲覧。

2. 「マイクロソフト、「ワード」発売を延期―来月に、年末商戦出遅れ」『日経産

業新聞』1991年 11月 28日、6 面。

3. Guess who's back at Microsoft? Excel, Word creator Charles Simonyi

4. リチャード・ブロディ、森 弘之訳『ミーム―心を操るウイルス』講談社、1998

5. リチャード・ブロディ、大地舜訳『夢をかなえる一番よい方法』PHP 研究所、

2002年、ISBN 4569612628、ISBN-13 978-4569612621

6. 数式エディター 3.0 の機能削除について – Office Support Team Blog JAPAN

7. 樽井秀人 (2018年 4月 20日). “Microsoft、数式フォント「MT Extra」をダウンロー

ドセンターで無償公開”. 窓の杜. インプレス. 2019年 5月 3日閲覧。

8. Editing equations created using Microsoft Equation Editor - Office Support

9. 特許侵害で:Microsoft、米地裁から「Microsoft Word」販売差し止め命令、

ITmedia、2009年 8月 13日

10. Office Viewer 製品の提供終了について – Office Support Team Blog JAPAN