4
SDGs6 2015644 89200? S D G ? ? ? SDGSDGsS D G s 3

って何?S D G s の目標 6は、 2015確保することをめざしています。 国連のリポートによると、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: って何?S D G s の目標 6は、 2015確保することをめざしています。 国連のリポートによると、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

SDGsの目標6は、

すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

確保することをめざしています。国連のリポートによると、

2015年時点で、世界の人口のおよそ6割である44億人が

安全に管理されたトイレを利用できず、

約8億9200万人は屋外排泄を続けています。

私たちが普段何気なく利用している安全な水とトイレは、

世界ではまだ十分に普及していません。

なぜトイレ?

わたしたちにできる

SDGsの

取り組みは?

わたしたちと

どう関係

するの?

何を

めざして

いるの?

最近よく目にするようになった「S

エスディージーズ

DGs」。

国連で採択された全世界共通の目ゴ

ール標

で、

国際的に注目されています。

これからのグローバル社会で働くには

必須の知識と言っても過言ではない

「SDGs」のことを知り、

ステップアップを図りましょう。

特集

「SDGs

って何?

3

Page 2: って何?S D G s の目標 6は、 2015確保することをめざしています。 国連のリポートによると、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

検討期

1992

環境と開発に関する国連会議(地球サミット)「リオ宣言」「アジェンダ21」ほか採択。持続可能な開発の概念を発展

2000

国連ミレニアム・サミット採択された「国連ミレニアム宣言」とこれまでの国際開発目標を統合し、MDGs(ミレニアム開発目標)を策定

「SDGs」(エスディージーズ)は、どんな考え方に基づいて定められたのか。

SDGsの原則と採択にいたるまでの経緯、

そして私たちはどう向き合えばいいのか、国連広報センターの根本かおる所長に伺いました。

「SDGs

」って何?

SDGsについて知ろう

特集

「持続可能な開発」の歴史

形成期

実践期

Q.1「SDGs」の概要を

教えてください。

持続可能な開発目標

(Sustainable D

e

v

e

l

o p - m

ent Goals

)の頭文字

を取ったものです。「エスディ

ージーズ」と読みます。2

0

15年9月の国連サミットで

採択された、30年までに達成

をめざす世界共通の目標です。

17の目標があり、それを具体

化した169のターゲットで

構成されています。達成度を

測るためにおよそ230のイ

ンディケーター(指標)があ

り、国連本部で統計データを

集め、分析して、毎年リポー

トにまとめています。

AQ.2

SDGsはどうして

必要なの?

SDGsの前身とし

て、01〜15年の15年

間で達成をめざした

MDGs(ミレニアム開発目

標)がありました。主に途上

国の社会開発が目標で、世界

の貧困人口が大きく減少する

など一定の効果を上げました。

 

一方で、21世紀に入り、こ

れまでにはなかった様々な課

題が顕著になってきました。

例えば、地球温暖化などの気

候変動や各国内での格差の広

がりなど、私たちの生活にも

多くの影響が出ています。こ

れらの地球規模の課題への対

応を迫られる中で、MDGs

の次の15年を担う新たな目標

づくりが始まりました。先進

国も含めた全世界共通の課題

とするとともに、個々の課題

が他の課題と密接に関連しあ

う不可分性が意識されていま

す。

A

A Q.4

起こし、大手清涼飲料水メー

カーにリフィルのできる自販

機の開発を提案しに行くなど、

活動を発展させています。

に関わる身近なものなのだと、

積極的に伝える必要性を感じ

ています。

 

SDGsは、普段の取り組

みを位置づける地図とも捉え

られます。例えばマイボトル

を持つ、地産地消を心がける、

食材を使い切るなどもSDG

アクションです。個々の力は

小さくても、みんなが取り組

めば大きな力になります。

SDGsは日本では

まだあまり知られて

いませんよね。

認知度はおしなべて

男性で高くなってい

ます(図表2)。「S

D

Gs経営」「ESG投資」など

の言葉が示すように、ビジネ

スの文脈でSDGsに触れる

という人が中心なのが原因と

考えています。暮らしと密接

 

広い視野を身に付けるため

の学びにも、SDGsは適し

ています。実際に、都内の高

校生が学ぶうちに自ら行動を

国連広報センター所長。テレビ朝日を経て、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、国連世界食糧計画広報官、国連UNHCR協会事務局長などを歴任。フリージャーナリストを経て13年8月より現職。

根本かおる(ねもと・かおる)

1980

「世界自然資源保全戦略」発表国際的な公式文書ではじめて持続可能な開発の概念が示される

1987

環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)報告書「われら共有の未来」で持続可能な開発を提言

1972

国連人間環境会議「人間環境宣言」(ストックホルム宣言)採択。環境問題の議論が国際的規模ではじまる

図表1

出典:Stockholm Resilience Centrehttp://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06-14-how-food-connects-all-the-sdgs.html

illustrated byJohan Rockstorm andPavan Sukhdev

17目標の関係性

Q.5学生や若者にメッセ

ージをお願いします。

現代は、SNSの発

達などで一人ひとり

の持つ力が大きくな

っています。誰かが決めた結

果を受け取るだけではなく、

自ら情報を集め、考え、物事

の決定過程に主体的に関わっ

てもらいたいです。SDGs

は「誰も置き去りにしない」

が原則の世界目標です。めざ

す社会に向けて、SDGsを

上手に使って、どんどん行動

を起こしてください。

A してきました。同時に、関心

のある誰もが参加できるよう

オンライン調査を実施し、世

界中から延べ1千万人以上が

参加しました。これは、これ

までの国連にはない画期的な

ことです。SDGsは、政府

や国連の代表のみならず、世

界中の人が関わって決められ

たという意味で、「世界目標」

と言えるのです。

Q.3A通常、国連での方針

などの策定は、加盟

国政府や国連の代表、

SDGsはどのよう

に決められたの?

様々な分野の専門家などを中

心に議論を進め、合意を図り

ます。SDGsは、この過程

を国連で初めてオープンにし

たのです。約3年間をかけて、

様々な立場からの意見を集約

男性女性

35.0%

30.0%

25.0%

20.0%

15.0%

10.0%

5.0%

0.0%

図表2「SDGs」という言葉を知っている ※電通「SDGsに関する生活者調査」

2002

持続可能な開発に関する世界サミット(ヨハネスブルク・サミット)ESD(持続可能な開発のための教育の10年)を提案

2012

持続可能な開発会議(リオ+20)MDGsの後継としてSDGs策定を確認

2016

日本政府が全閣僚参加の「SD Gs推進本部」を設置

2030 目標到達

2015

国連持続可能な開発サミットSDGsを含む持続可能な開発のための2030年アジェンダを採択

UN Photo/Cia

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上

17の目標を3層に分類し総合的に捉える図表「SDGsウェディングケーキモデル」。「経済」は「社会」に、「社会」は「環境」に支えられて成り立つ。(書籍『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』より提供)

14.8%

平均

Action!

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰

められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がな

いように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続

可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、

気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべて

の人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェン

ダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。

 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番

にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考え

るべきでしょう。

 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、

全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社

会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっ

ています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。

 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が

発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、

持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなり

ません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力

が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえない

でしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しか

ったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

発展できるでしょうか? そのことをこの図は端的に示しているのです。

 そしてさらによく見てほしいのは、持続可能な社会を実現する目標を

支えているのが、環境に関する目標だということです。つまり、気候変

動が緩和され、それに適応すること(目標13)や、水の循環が維持され、

誰もがきれいで安全な水にアクセスできること(もちろん人間以外の生

きものもです!)(目標6)、そして海洋資源(目標14)と陸上の生物多様

性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持

続可能になるのです。

 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはず

です。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。

そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。

つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあ

っていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だ

からこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目

標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系の

こうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあ

ります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続すること

を一番基盤で支える重要な資本なのです。

SDGsを下から支える自然資本

足立直樹 ●サステナブル・ビジネス・プロデューサー

SDGsを読み解く視点 ⑦ 生物と生態系

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

45

Page 3: って何?S D G s の目標 6は、 2015確保することをめざしています。 国連のリポートによると、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

case1「SDGs」は、17の大きな目標と、目標を達成するための具体的な169のターゲットから成り立っています。その中から3つの目標を取り上げて具体的に見ていきましょう。

SDGsにはどんな目標があるの?

ジェンダー平等を実現しよう

働きがいも経済成長も

ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る。

すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する。

【ターゲット例】●性的な暴力や虐待など公私におけるあらゆる女性差別の撤廃●未成年者の結婚・強制結婚など有害な慣行の撤廃●家族内における責任分担を通じた、無報酬の育児・介護や家事労働の評価●政治・経済・公共分野での意思決定における完全な女性の参加とリーダーシップ機会の確保●土地や財産など経済的資源に対する平等なアクセスの確保●目標達成に向けた政策と拘束力のある法律制定の推進 など

【ターゲット例】●一人あたりの経済成長率の持続(途上国は年7%以上)●雇用創出、起業、生産性向上、技術革新を促す政策の実施による中小企業の成長の奨励●良質な教育・訓練機会の提供●完全で生産的な雇用とディーセント・ワーク、同一労働同一賃金の達成●強制労働の根絶、人身売買・児童就労の撲滅●労働者の権利保護と安全・安心な労働環境の促進   など

【ターゲット例】●虐待、拷問などを含めあらゆる暴力の撲滅●違法な資金・武器取引の大幅な減少、組織犯罪の根絶●意見表明の自由の保障と自らの生活にかかわる決定への参加、情報への公共アクセスの確保●グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加拡大●持続可能な開発のための非差別的な法規・政策の推進 など

平和と公正をすべての人に

持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する。

SDGsを進めるために、

私たちにはどんなことができるでしょうか。

日本で活動している団体の取り組みとともに

私たちが今すぐにできる

具体的な行動を紹介します。

今日からSDGsに取り組んでみませんか。

「SDGs

」って何?

わたしたちにできる

SDGs

の取り組みは?

特集

 

日本では、年間約634万

トンの食品ロスがあります。

これは日本人1人当たりでお

茶碗1杯分の食べ物が毎日捨

てられている計算です。フー

ドバンクは、まだ安全に食べ

られるにもかかわらず廃棄さ

れる食品を個人や企業から寄

贈してもらい、要支援者や福

祉施設に提供する仕組みです。

 

生活困窮者への直接支援が

一般的ですが、「フードバンク

ふじのくに」は食品を支援団

体に届ける間接支援型で、フ

ードバンクを地域の仕組みに

することをめざしています。

具体的には、労働者福祉協議

会(労福協)や連合静岡、生協、

NPOなど県内の様々な団体

と共に活動しています。考え

方の違いから、設立趣意書を

作るのに半年以上議論を重ね

ましたが、そのおかげでゴー

ルを共有でき、今では年間60

トンを超える取り扱い量です。

 

先日、県の労福協窓口に食

料を求める人が訪れたそうで

す。担当者はすぐに地域の社

会福祉協議会に連絡し、希望

者が食料を受け取れるよう手

続きを進めてくれました。こ

れまでフードバンク事務局が

担ってきた役割を地域の人が

自然と行ってくれ、活動が根

付いてきたと実感しました。

 

この他にも県内ではスーパ

ーマーケットや自治体だけで

なく、地域のお寺にまで食品

寄贈を呼びかけるチラシや回

収ボックスが置かれています。

 

地域の団体・企業・行政・

個人を巻き込み、得意分野で

関わってもらうことで、活動

が広がってきました。無理せず、

負担のない範囲で助け合うの

を当たり前にしていくことが

大事だと思っています。

 

みなさんにも自分の興味や

感性を大切に、「助け合い」の

一歩を踏み出してもらいたい。

そんな社会こそ、SDGsの

掲げる「持続可能性」に繋が

るのではないでしょうか。

「もったいない」から

「ありがとう」へ

―フードバンクふじのくに

鈴木和樹(すずき・かずき)

認定NPO法人フードバンクふじのくに事務局次長

集まった支援物資を支援先に届けるためのトラックに積み込む。ボランティアも多数活躍。

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰

められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がな

いように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続

可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、

気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべて

の人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェン

ダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。

 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番

にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考え

るべきでしょう。

 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、

全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社

会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっ

ています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。

 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が

発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、

持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなり

ません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力

が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえない

でしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しか

ったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

発展できるでしょうか? そのことをこの図は端的に示しているのです。

 そしてさらによく見てほしいのは、持続可能な社会を実現する目標を

支えているのが、環境に関する目標だということです。つまり、気候変

動が緩和され、それに適応すること(目標13)や、水の循環が維持され、

誰もがきれいで安全な水にアクセスできること(もちろん人間以外の生

きものもです!)(目標6)、そして海洋資源(目標14)と陸上の生物多様

性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持

続可能になるのです。

 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはず

です。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。

そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。

つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあ

っていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だ

からこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目

標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系の

こうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあ

ります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続すること

を一番基盤で支える重要な資本なのです。

SDGsを下から支える自然資本

足立直樹 ●サステナブル・ビジネス・プロデューサー

SDGsを読み解く視点 ⑦ 生物と生態系

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰

められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がな

いように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続

可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、

気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべて

の人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェン

ダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。

 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番

にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考え

るべきでしょう。

 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、

全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社

会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっ

ています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。

 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が

発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、

持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなり

ません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力

が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえない

でしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しか

ったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

発展できるでしょうか? そのことをこの図は端的に示しているのです。

 そしてさらによく見てほしいのは、持続可能な社会を実現する目標を

支えているのが、環境に関する目標だということです。つまり、気候変

動が緩和され、それに適応すること(目標13)や、水の循環が維持され、

誰もがきれいで安全な水にアクセスできること(もちろん人間以外の生

きものもです!)(目標6)、そして海洋資源(目標14)と陸上の生物多様

性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持

続可能になるのです。

 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはず

です。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。

そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。

つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあ

っていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だ

からこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目

標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系の

こうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあ

ります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続すること

を一番基盤で支える重要な資本なのです。

SDGsを下から支える自然資本

足立直樹 ●サステナブル・ビジネス・プロデューサー

SDGsを読み解く視点 ⑦ 生物と生態系

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰

められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がな

いように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続

可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、

気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべて

の人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェン

ダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。

 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番

にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考え

るべきでしょう。

 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、

全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社

会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっ

ています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。

 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が

発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、

持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなり

ません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力

が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえない

でしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しか

ったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

発展できるでしょうか? そのことをこの図は端的に示しているのです。

 そしてさらによく見てほしいのは、持続可能な社会を実現する目標を

支えているのが、環境に関する目標だということです。つまり、気候変

動が緩和され、それに適応すること(目標13)や、水の循環が維持され、

誰もがきれいで安全な水にアクセスできること(もちろん人間以外の生

きものもです!)(目標6)、そして海洋資源(目標14)と陸上の生物多様

性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持

続可能になるのです。

 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはず

です。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。

そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。

つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあ

っていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だ

からこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目

標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系の

こうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあ

ります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続すること

を一番基盤で支える重要な資本なのです。

SDGsを下から支える自然資本

足立直樹 ●サステナブル・ビジネス・プロデューサー

SDGsを読み解く視点 ⑦ 生物と生態系

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰

められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がな

いように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続

可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、

気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべて

の人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェン

ダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。

 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番

にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考え

るべきでしょう。

 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、

全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社

会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっ

ています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。

 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が

発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、

持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなり

ません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力

が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえない

でしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しか

ったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

発展できるでしょうか? そのことをこの図は端的に示しているのです。

 そしてさらによく見てほしいのは、持続可能な社会を実現する目標を

支えているのが、環境に関する目標だということです。つまり、気候変

動が緩和され、それに適応すること(目標13)や、水の循環が維持され、

誰もがきれいで安全な水にアクセスできること(もちろん人間以外の生

きものもです!)(目標6)、そして海洋資源(目標14)と陸上の生物多様

性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持

続可能になるのです。

 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはず

です。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。

そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。

つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあ

っていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だ

からこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目

標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系の

こうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあ

ります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続すること

を一番基盤で支える重要な資本なのです。

SDGsを下から支える自然資本

足立直樹 ●サステナブル・ビジネス・プロデューサー

SDGsを読み解く視点 ⑦ 生物と生態系

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

*1

労働者福祉に関わる事業団体で構成する勤

労者福祉活動の組織

*2連合(700万人の働く仲間で組織する労働

組合のナショナルセンター)の地方組織

*2

*1

67

Page 4: って何?S D G s の目標 6は、 2015確保することをめざしています。 国連のリポートによると、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を

インドのコットン生産地で住民と話し合うACEの岩附代表。

 

国、は数者働労童児の界世

(関機働労際

計推の)

、とるよに

で点時年

1億

界世。すで人万

が員全ちたもど子の

1組40人

約、とるすとだスラクの

4人校

学、し働労にめたの活生が

。んせまいてえ通に

 

間仲生学、年

5人

たげ上ち立で

、在現は

労童児ていおに地産生オカカ

まいてし動活てけ向に廃撤働

、らがなし力協と体団地現。す

境環働労の者護保や別差性女

わ合に情実の域地、どな題問

。すまいてしを援支たせ

 

童児。すまいてれわ言と題課

か会社もてし対に在存の働労

うよるれらけ向が目いし厳ら

本日、しかし。たしまりなに

やト

フな価

らけ受を育教で校学、はに景

働労な害有・険危に時、ずれ

在存のちたもど子るす事従に

。すまりあてしと然依が

 

、中たしうこ

タの

8・7

、に「

童児の態形るゆらあにでま年

るす廃撤を働労

でまれこ、でとこたれさ記明

もたきてい描い思がちた分自

まりなと標目の通共界世がの

問働労童児で体全会社。たし

 

で家動活権人のドンイ

チ」

者導主

カイ

功成なさ小、ずれ恐を敗失

うぼ喜を

。たしまし唱提と

社ず必、もい行なさ小なんど

。すまりなと歩一るえ変を会

分自、はにんさ皆い若の本日

ろことるきで、てじ信を力の

。すまい思といたいら

 

うよのどが品商、にどな際る

かに気し少をかのたれら作に

意の体全会社、もでけだるけ

 

をアジア、は)株(ンオイ

に心中

52

え抱を員業従の人万

てしと策政期中、はに年

トフシアジア

、し出ち打を

さ速加を開展業事のへアジア

、は)連労ンオイ(会合連合組働

の員業従と長成な全健の社会

がき生たしと軸基をいがき働

、げ掲てしと念理を現実のい

活てけ向へ現実せ幸の員合組

。すまいてめ進を動

11

らか年

、は「

トフシアジア

、に期を

と員業従く働でンオイの国各

。たしまし始開を動活るす携連

 

14

、連労ンオイ、はに年

、ンセンゼ

)株(ンオイ、ンオニユルバの

4

で間者

定協み

イ。たしまし結締を

客お

、し求追を和平に点原をまさ

貢に会社域地、し重尊を間人

るす献

に現実の念理。すで

、くなはでけだ社会、てけ向

を任責的会社に共も合組働労

本日、下のえ考ういとすた果

、いな少が例事だまはで業企

協。たしまし結締を定協のこ

、はに定

4

とこう合し力協らか場立のれ

。すまいてれさ記明が

 

オイてしとつ一のみ組り取

、は連労ン

14

15

ドンイに年

、し力協と陣営経地現でアシネ

、に象対を員業従全

た分自

すく善でちた分自は場職のちる

場職、てしと動活のめた

ワるめ高をルキス決解題課の

か員業従ていつに題問の場職

因原の題問のそ、め集を声ら

際実、し定策を案善改と析分

従を果結、し議協と陣営経に

とルクイサ決解題課をとこる

。たしまめ進うよるせ回てし

と心中がちた員業従、後のそ

成結を合組働労、年今、りな

が合組働労と業企。たしまし

目すざめ、で場立のれぞれそ

。すまい思とだつ一の果成た

 

持るきでてしと連労ンオイ

たけ向に現実の会社な能可続

。すまきいてけ続も後今を動活

性能可の働労童児―

人法動活利営非定特

 

ACE

にめたの会社な能可続持

とこるきでが合組働労―

 

会合連合組働労

SDGsを

のめたるす践実

case2case3

表紙の人土屋太鳳さん

インドネシアでの経営者を交えたワークショップ。労使が協力して課題解決に取り組む。

岩附由香(いわつき・ゆか)

特定非営利活動法人ACE代表理事

村上哲朗(むらかみ・てつろう)

イオングループ労働組合連合会国際局長

ゴミの分別をしっかりする

洗い物をする時、油ものはキッチンペーパーで先に拭き取る

私はこんなことに取り組んでいます!

マイボトルを使おう 品

スロ

切限期、し残べ食やり残れ売

れらべ食は来本、どな品食れ

こるれさ棄廃が品食のずはる

様多は因原の失損や棄廃。と

費消、売小、工加、産生、で

。るす生発で階段各の

や物作たれら作で国上途展発

るす引取で格価な正公を品製

いてけ受を取搾な当不らかど

済経の々人の国上途展発る

るす援支を立自な的会社・的

が料材原の品製。味意の鎖連

く届に者費消らかてれさ産生

りがなつの程過の連一のでま

はで国諸米欧、年近。とこの

の造製品商、どなるけ付務義

を任責的会社てし対に程過全

。るいでん進がき動すた果

仕いしら間人るあのいがき働

。とこの事

際国に年

(関機働労

、で会総)OL

21

れさ案提てしと標目の紀世。

た「

ト(

)」

、で語英は

たしとんちき

「」ま

なもと

。意の

Global G

o

a l s

どな

に成達

アな的体具や明表見意たけ向

るす有共で

。るあもき動

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がないように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべての人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェンダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考えるべきでしょう。 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなりません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえないでしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しかったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

様多物生の上陸と)41標目(源資洋海てしそ、)6標目()!すでものもき性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持続可能になるのです。 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはずです。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあっていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だからこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系のこうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続することを一番基盤で支える重要な資本なのです。

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

経済

社会

環境

 よく見かけるSDGsの図では、17個の目標がタイルのように敷き詰められているので、それぞれが独立していて、お互いにあまり関係がないように見えます。しかしよく考えてみれば、例えばすべての人が持続可能でクリーンなエネルギーにアクセスできるようになることは(目標7)、気候変動を緩和すること(目標13)にも直結します。あるいは、すべての人が質の高い教育を受けられるようにする(目標4)ためには、ジェンダー平等を達成すること(目標5)が大きく貢献することは明らかです。 このように相互の関係性を考えてみると、17個の目標は本来、順番にタイルを敷き詰めるようなものではなく、もっとダイナミックに考えるべきでしょう。 実は「環境」「社会」「経済」に分けてこの17個の目標を整理すると、全体像がわかりやすくなります。右の図を見てみてください。環境、社会、経済のグループが、この順番でウェディングケーキのように重なっています。この図を見ると、お互いの関係性がとてもよくわかります。 一番上の経済に関する目標は、途上国においても、ある程度の経済が発展した先進国においても、もちろんぜひ実現したいものです。しかし、持続的な経済発展をするためには、社会がまず持続可能でなくてはなりません。人々が日々の食事にも事欠いているような社会や、戦争や暴力が絶えない社会であったら、経済が順調に発展することなどありえないでしょう。多くの人が健康を病んでいたり、教育を受けることが難しかったり、あるいは女性が力を発揮できない社会。そんな社会は経済的に

様多物生の上陸と)41標目(源資洋海てしそ、)6標目()!すでものもき性と生態系(目標15)が保全されること、それがあって初めて社会も持続可能になるのです。 これは私たちが何を食べて生きているかを考えればすぐにわかるはずです。私たち人間を含む生物は、ほかの生きものを食べて生きています。そしてもちろんすべての生きものが生きていくためには水が必要です。つまり、水中と陸上の多様な生物がお互いにお互いの命と生活を支えあっていて、それが社会を支え、発展させる基盤となっているのです。だからこそ、SDGsの17個の目標の中でも環境にかかわるこの4個の目標は一番下でほかの目標を支えていると言えるのです。生物や生態系のこうした機能に注目して、最近ではそれを「自然資本」と呼ぶこともあります。地球上の生物とそれが形づくる生態系は、地球が持続することを一番基盤で支える重要な資本なのです。

Illustrated byJohan Rockström and

Pavan Sukhdev

134 135

く働で業産な様多種多るす連関に活生民国

合組働労別業産の大最本日るす織組で間仲

世るす進行にめたるけかび呼を対反の働労童児

動運的界

ンオニユ

9 8イラスト:垣生潔志