12
FUJITSU. 64, 6, p. 702-713 11, 2013702 あらまし スマートシティ,環境未来都市の実現に向けた各種のプロジェクトが日本国内および 世界各地で進められている。これまでのエネルギー,建物,交通など個々の検討に加え, 今後は,これらの成果を更に発展させ,都市が持つエネルギー,建物,交通,環境,医療, 農林水産業などの異なる分野の異なる課題を横断的に解決することが求められる。この 中で,ICTは資源・エネルギー・情報・人・モノの流れをモニタリング,見える化,分析, 最適化する有効なツールとして期待されている。 本稿では,都市の持つ複雑な課題をICTにより横断的に解決し,更に都市・町・村の広 域の連携により全体最適を図る新たな捉え方として,「Sustainable City Network」を紹 介する。更に,環境・エネルギー問題について,分析した結果と具体的な事例を示すと ともに,この視点を広げ,交通・運輸,医療,農業などを含む多様な課題に対する具体 的な事例を紹介する。 Abstract Various projects for the achievement of a smart city or an environmental futuristic city are being advanced in Japan and all parts of the world. Recently, organizations have been required to cross-functionally solve different problems in different elds like energy, buildings, trafc, the environment, medical treatment and the industries of agriculture, forestry and shery. Information and communications technology (ICT) is expected to be an effective tool for monitoring, visualizing, analyzing and optimizing ows of resources, energy, information, persons and goods. Here, we introduce Sustainable City Network as a new approach to solving various problems with ICT and achieve optimization by having cooperation in large areas in and between cities, towns, and villages. In this paper, we describe the results of a study and case studies on environmental elds. In addition, we introduce results of efforts to expand this new approach from environment problems to areas such as trafc, transportation, medical treatment, and agriculture. 朽網道徳   竹野 実   井岡紘子    ICT が創る環境未来都市の新たな捉え方 Sustainable City Network New Approach for Environmental Future City Created by ICT: Sustainable City Network

ICTが創る環境未来都市の新たな捉え …...FUJITSU. 64, 6( 11, 2013) 703 ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~Sustainable City Network ~ シティのプロジェクトを見ると,スマートシティ

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FUJITSU. 64, 6, p. 702-713 (11, 2013)702

あ ら ま し

スマートシティ,環境未来都市の実現に向けた各種のプロジェクトが日本国内および

世界各地で進められている。これまでのエネルギー,建物,交通など個々の検討に加え,

今後は,これらの成果を更に発展させ,都市が持つエネルギー,建物,交通,環境,医療,

農林水産業などの異なる分野の異なる課題を横断的に解決することが求められる。この

中で,ICTは資源・エネルギー・情報・人・モノの流れをモニタリング,見える化,分析,最適化する有効なツールとして期待されている。

本稿では,都市の持つ複雑な課題をICTにより横断的に解決し,更に都市・町・村の広域の連携により全体最適を図る新たな捉え方として,「Sustainable City Network」を紹介する。更に,環境・エネルギー問題について,分析した結果と具体的な事例を示すと

ともに,この視点を広げ,交通・運輸,医療,農業などを含む多様な課題に対する具体

的な事例を紹介する。

Abstract

Various projects for the achievement of a smart city or an environmental futuristic city are being advanced in Japan and all parts of the world. Recently, organizations have been required to cross-functionally solve different problems in different fields like energy, buildings, traffic, the environment, medical treatment and the industries of agriculture, forestry and fishery. Information and communications technology (ICT) is expected to be an effective tool for monitoring, visualizing, analyzing and optimizing flows of resources, energy, information, persons and goods. Here, we introduce Sustainable City Network as a new approach to solving various problems with ICT and achieve optimization by having cooperation in large areas in and between cities, towns, and villages. In this paper, we describe the results of a study and case studies on environmental fields. In addition, we introduce results of efforts to expand this new approach from environment problems to areas such as traffic, transportation, medical treatment, and agriculture.

● 朽網道徳   ● 竹野 実   ● 井岡紘子   

ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方~ Sustainable City Network~

New Approach for Environmental Future City Created by ICT: Sustainable City Network

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FUJITSU. 64, 6 (11, 2013) 703

ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

シティのプロジェクトを見ると,スマートシティプロジェクトが国内外で提案・運用されている件数は,世界400か所,国内24か所が知られている。しかし,ICTの役割や活用を明確にしたものは少ない。開発の形態として,都市開発型が151か所,電力に関するスマートグリッド型が150か所,再生可能エネルギー導入型が120か所,次世代交通システム型が103か所,一方,IT開発型は27か所と少ない。(8)

ICTは,これからのスマートシティに新たなソリューションを提供し,これまでのスマートシティのプロジェクトや技術の効果を更に飛躍させ,複数の課題や複数のインフラ(エネルギー,交通・運輸,環境,医療,教育,雇用,産業など)を効果的につなぎ,効率的に都市・町・村の課題を解決する可能性を持っている。本稿では,それらの可能性について,「Sustainable

City Network」という新しい捉え方に基づき紹介する。環境・エネルギーの分野について分析した結果および具体的なソリューションの事例を示すとともに,この視点を更に広げ,交通・運輸,医療,農業など多様な課題に対する事例と将来展望について紹介する。

ICTが創るSustainable City Network

ICT導入は,持続可能な社会実現のための問題を解決することであり,環境関連では,エネルギー問題だけでなく,気候変動問題,資源枯渇の問題,生物多様性の問題など,多様な環境問題を解決することを目的とする。これら問題解決のためには,各種課題(人の意識,マネジメント,インフラ,産業分野,製品・技術)を多層課題とし,それを連携させ同時に解決する多層課題解決型の捉え方が必要となる。ここで必要となるICTの特徴は,情報だけでなく各種の物理的な「ネットワーク」への作用である。資源・エネルギー・人やモノの移動・環境情報や各種情報の流れを動脈・静脈のように捉え,ICTによりこの流れを見える化し,制御することで複雑な課題の解決を実現する考え方がベースである。また,人口が集中する都市だけではなく,都市と連動する周囲の町や農村,漁村の持続可能性(Sustainability)にも配慮したサステナブルタウン(Sustainable Town)やサステナブルビレッジ

ICTが創るSustainable City Network

ま え が き

私たちの社会を世界規模で見ると,人口増加,地球温暖化,食料や水の確保,生物多様性の保全,資源の枯渇など地球規模の課題が山積している。(1),(2)

これらの課題を解決していくためには,これまでのような,一つの課題に対して一つの対策を1企業が打っていくというようなやり方では,基本的な解決につながらないと考えられる。色々な業種が知恵と技術を持ち寄り,社会の共通の課題という認識に立って,原因となる根本的な因子を取り除いていく必要がある。地球規模の問題は,各国ごとの問題として認識され,更に各国ごとの問題は,都市・町・村といった広域の人間の生活の場の問題として認識される。この一つひとつの都市・町・村の課題は,更にそこで働き,生活している人間のライフスタイル,モノの作り方,移動の仕方,モノやエネルギーの消費の仕方に依存する。これらの一人ひとりのスタイルが改善されることなくして,最終的な地球規模の課題の解決にはつながらない。しかし,これら一人ひとりのスタイルの改善は,ほかの多くの人間とバラバラではなく整合が取れる必要がある。そこでは,共通の政策の実施が可能な最小の単位として,都市・町・村が挙げられる。現在,検討されている環境未来都市,スマートシティ,サステナブルシティ,環境配慮型都市,スマートコミュニティは,この単位での色々な議論が最も有効な検討の単位という考えに基づいている。(3)-(5) 富士通は,ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティという考えに基づいた「スマートシティ」のコンセプトを掲げ,関連するICTソリューションを提供している。(6),(7)

ICTの本質は,時間や距離を超越することから,プロセスの効率を向上し,資源の消費を抑え,新たな価値を提供する力を持っている。そのため,スマートシティにおいても多くの課題解決に貢献することが期待されている。しかし,現在国内外で多く企画され,実施されているスマートシティのプロジェクトは,二つの特徴がある。一つは,対象が都市にフォーカスされていること,もう一つは,電力・エネルギー,建物,交通などの個々の分野にフォーカスされていることである。これまでの,国内外のスマート

ま え が き

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

する。● Sustainable City Networkの構成

Sustainable City Networkにおける都市・町・村の課題の捉え方の概念を図-1に示す。都市・町・村における課題や課題に関する分野は,図のように,複数の階層で捉えることができる。図は,一つの都市(町や村でも同様)を表したものであるが,都市の環境に与える課題として,環境・資源・エネルギーなどがあり,一方で都市は,それぞれ特徴のある活動を行っている。都市の持つ価値は,環境(環境品質),社会,経済などで記述することができる。それらを支える,あるいは影響を与えるものとして,人の意識,見える化,マネジメント,更に生活の基盤(住まい,水・食料,仕事,衣料,移動など)があり,更に人が使用する携帯端末やIT機器などの各種技術,建物,交通・運輸,環境・資源・エネルギー,廃棄物などのインフラが支える。これらの活動要素は,都市としての価値を生むと同時に,地球環境にある意味で負荷を与えている。

(Sustainable Village)もネットワークの中に取り込むことが重要である。多層課題とICTとの関係を位置付け,そして,広範囲のつながりの中に,ICTの技術,プロダクト,ソリューション,サービスを関連付けることが重要である。また,スマートシティ実現の課題は,環境関連の課題だけではなく,交通・運輸,医療,産業,農林水産業,建物,家庭など多くの分野にまたがり,個々の都市・町・村により検討すべき重要な課題も異なる。

Sustainable City Networkは,エネルギーの創・省・蓄エネに加えて,資源,廃棄物,環境経営,そして交通,医療,教育,産業,農林水産業などを包括的に考慮し,更にネットワークの活用による多層課題の解決,地域間の課題解決,広域の全体最適化を目的とした考え方である。スマートシティ実現の課題は,環境,交通・運輸,医療,産業,農林水産業,建物,家庭など多くの分野にまたがるが,ここでは,環境および環境に関する項目を中心に,Sustainable City Networkの構成を説明

図-1 都市・町・村の捉え方(複数課題+複数階層)

家電機器,IT機器

建物・家・オフィス・工場・データセンター

交通・運輸・輸送・配送

環境・資源・食料・エネルギー・廃棄物

サービス(医療・行政・消防・情報通信)

人の意識・見える化・マネジメント生活の基盤(住まい,水・食料,衣料,移動,サービス)

都市・町・村・コミュニティ(地域の持つ価値,特徴,豊かさ)

環境・資源・エネルギー問題(気候変動,資源循環,生物多様性) 出力入力

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

都市としての価値をより高くし,負荷をより低く抑えることが現在要求されているが,これらに対して,ICTの貢献を検討する上で,考え方の基本となるのは,以下の3点である。(1) 複数課題,複数分野,広域における全体最適の考慮

(2) 資源,モノ,廃棄物などのマテリアルのバランスやマテリアルの流れ(動脈と静脈)の考慮

(3) 流れるものとして,エネルギー,資源(鉱物,レアメタル,自然資源,水・食料,リサイクル資源),廃棄物,情報,人,モノなどの考慮

三つのネットワークレベル

ICTが創るSustainable City Networkにおいて,気候変動,エネルギー問題,生物多様性などの各課題や建設,交通,エネルギー,業務,家庭,産業などの各分野での連携ネットワークが重要である。ここでは,三つのネットワークレベル(レベル1,レベル2,レベル3)を考える必要がある。● レベル1:階層内ネットワークでの最適化レベル1は,階層内ネットワーク(一つの階層における課題解決のためのネットワーク)であり,各課題,各分野に定義された階層の中における,資源・エネルギー・移動・環境情報などのネットワークを示す。ここでは,一つの階層における課題を解決するための最適化を目的とする。エネルギーのスマート化,交通のスマート化などが例として挙げられる。エネルギー階層内および交通・運輸階層内の連携ネットワークの例を図-2に示す。

三つのネットワークレベル

例えば,エネルギーインフラでは,複数のエネルギーの最適な利用が重要であり,このエネルギーのネットワークでは,ICTがモニタリング,見える化,分析,コントロール,最適化を実施する。エネルギーに関しては,これまで,事業所や工場などでエネルギーマネジメントシステムであるBEMS(Building Energy Management System)やFEMS(Factory Energy Management System)が導入され,エネルギーの無駄の削減に貢献してきている。また同様に家庭でのエネルギーの無駄削減のために,HEMS(Home Energy Management System)が導入されている。これらは,導入普及が進み,また各事業所や各家庭間での連携,最適制御を行うことにより,都市・町・村の内部レベルでの全体最適が可能となる。具体的なソリューションとしては,HEMS,BEMS,スマートグリッド(スマートネットワークソリューション,エネルギーマネジメント),スマートセンシングプラットフォーム,エネルギー遠隔監視システム,分散型小規模エネルギー網(マイクログリッド)などが挙げられる。また,交通・運輸階層内の連携の具体的なソリューションとしては,物流管理システム,CO2排出量算出システム,エコ&セイフティ・ドライブ評価システム,車載ステーション(デジタルタコグラフ),配車支援システム,IP無線タクシー配車システム,運行管理・配車支援システムなどが挙げられる。● レベル2:階層間ネットワークでの最適化レベル2は,階層間ネットワーク(複数の課題や

図-2 階層内の連携ネットワークの例

水力火力

太陽光風力地熱地中熱

原子力

ICTによるエネルギー供給の最適化  ・スマートグリッド  (スマートネットワークソリューション,エネルギーマネジメント) ・スマートセンシングプラットフォーム ・エネルギー遠隔監視システム ・分散型小規模エネルギー網(マイクログリッド)

(a)エネルギー階層内の連携

自家用車鉄道

トラックタクシートラム

公共バス

(b)交通・運輸階層内の連携

ICTによる交通・運輸の最適化 ・物流管理システムLOMOS ・CO2排出量算出システム(LOMOS-EC) ・ドライブ評価システムTRIAS/TR-E&S ・車載ステーション(デジタコ) ・配車支援システム(LOMOS-SP) ・IP無線タクシー配車システム ・運行管理・配車支援システム(ITS-LOGISTICS)

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

レベル3のSustainable City Networkの構成を図-4に示す。レベル3は都市と都市の連携,都市とその周りの町との連携,都市と農村,漁村との連携,あるいは町と町との連携,村と村との連携といった複数の都市・町・村のつながりを考慮し,課題の解決,全体の最適化を目的とする。例えば,都市Aを中心に,都市Bとの連携(資源・エネルギー・廃棄物・環境情報のやり取り)をICTで実現し,各都市内だけではなく全体最適を実現する。都市とは異なる価値を持つ町Cとのネットワークでは,資源・エネルギー・廃棄物のやり取りだけではなく,インターネットによる仕事のやり取りやショッピングを実現し,都市Aと町Cの間の移動に伴う環境負荷の削減を実施するとともに,町Cの雇用の促進などを実現する。一方で,都市Aと農業・畜産業・林業・漁業などの産業で成り立っている村Dとのネットワークでは,食物資源,森林資源,廃棄物のやり取りの最適化をICTで実現し,無駄のない資源の活用,環境負荷(CO2,廃棄物)の低減や生物多様性の保全などを実現する。更に,都市Aとデータセンターなどの立地に適した町Eとのネットワークでは,町Eが持つデータセンターを都市Aの企業が活用することで,広域の環境負荷(電力)の低減を実現する。また,都市・町・村のAからEを含む全体の広域ネットワークでは,全体の環境負荷低減に加えて,各都市,各町,各村の価値(産業,雇用,自然資源など)を共有するとともに,災害や緊急時にネットワークによる相互補完を実施し広域の持続可能性を確保することが可

複数の分野の階層にまたがるネットワーク)であり,異なる課題階層の連携をとることにより,複数の課題の解決および全体としての最適化を目的とするものである。「建物(工場・家庭,ビル)階層」と「交通・運輸階層」と「エネルギー階層」との連携ネットワークの事例を図-3に示す。電力供給側では,再生可能エネルギーとこれまでの火力,水力などのエネルギーとの最適化をICTで実現し,更に需要側では,工場・家庭・交通などの電力需要の最適化をICTで実現するものであり,プラグインハイブリッドや電気自動車の夜間蓄電や工場から出る廃棄物の発電への利用など多くの取組み事例が挙げられる。具体的なソリューションとしては,ビル管理システム,施設管理システム,建物総合管理システム,工場電力ダッシュボード,HEMS・CEMS(Community Energy Management System),水素ステーション集中管理システム,電気自動車給電ステーション,交通エコポイントシステム,自動車による位置情報活用システムなどが挙げられる。また,大気,河川,海洋の環境汚染モニタリングと情報公開のための,環境情報管理システムなども環境とマネジメントの階層の連携の例と言える。● レベル3:都市・町・村間ネットワークでの最

適化レベル3は,都市間ネットワーク(都市と都市,都市と地域などにまたがるネットワーク)であり,各都市・地域・市町村間にまたがる資源・エネルギー・移動・環境情報などのネットワークを示す。

図-3 建物,交通・運輸,エネルギー階層間の連携ネットワーク

交通・運輸

エネルギー

建物

ICTによる交通・運輸/建物・エネルギーの最適化 ・ビル管理システム(Futuric)  ・施設管理システム(EDRAS) ・建物総合管理システム(Patina) ・工場電力ダッシュボード  ・HEMS・CEMS  ・水素ステーション集中管理システム ・電気自動車給電ステーション

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

ギーの最適供給をICTネットワークで実現する。エネルギーの需要側では,ビルや工場のエネルギー使用の最適化のためにBEMS,FEMSなどのエネルギーマネジメントシステムが活用される。各家庭では,HEMSにより,家電のエネルギー使用の最適化や家庭での太陽光パネル導入を可能とする。また,需要側では,交通・運輸の分野において,再生可能エネルギーの活用やプラグインハイブリッド車,電気自動車,燃料電池車の普及が始まり,今後これらを含んだ需要側と供給側の最適化のために,ICTネットワークによるエネルギー発電量やリアルタイムでの需要の把握と見える化が重要となる。● 交通・運輸/建物/人の意識/マネジメントの連携

図-6は,位置情報活用システム「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL」をベースにした購買情報,道路渋滞情報,建設・工事情報,気象情報,災害情報,交通情報を運転者に提供することで,高い価値の交通サービスを提供するものである。(9) このシステムは,交通の情報と建設・

能になる。このような広域の連携ネットワークの構築に資する具体的なソリューションとして,メガソーラーシステム,広域エネルギーマネジメントシステム,上下水道事業支援サービス,広域ペーパーリサイクルシステム,食・農クラウド,全国生態系調査システム(GPS携帯フォトシステム),広域医療連携ネットワークなどが挙げられる。

Sustainable City Networkの事例

ここでは,環境・エネルギー分野における各レベルのSustainable City Networkを実現するための富士通の具体的なソリューション事例を紹介する。更に,交通,医療,農業の事例についても検討した具体的な事例を紹介する。● 都市などにおけるエネルギー階層の連携

図-5は,ICTにより高効率・低炭素の電力網を実現するスマートグリッドシステムの事例である。エネルギーを供給する側は,火力,水力などの従来の電力と太陽光や風力などの再生可能エネル

Sustainable City Networkの事例

図-4 都市・町・村間の連携ネットワーク

都市A

町C

都市B

村D

【動脈・静脈】食料資源エネルギー廃棄物環境情報

【動脈・静脈】食料資源エネルギー廃棄物環境情報

・メガソーラーシステム・広域エネルギーマネジメントシステム・上下水道事業支援サービス・広域ペーパーリサイクルシステム・食・農クラウド(Akisai)・全国生態系調査システム(GPS携帯フォトシステム)・広域医療連携ネットワーク

・圃場管理システム・衛星リモートセンシング・農業分野見える化サービス・森林業支援システム(GIS山間王)・食・農クラウド(Akisai)・稲・野菜・果樹の育成モニタリング・マルチセンシングネットワーク

・大気常時監視システム・広域環境監視システム ・環境常時モニタシステム・環境測定,調査,分析サービス

町E

・データセンターサービス・テレワーク・オンラインショッピング

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

リューションである。また,CO2削減量を企業・学校など,所属別に集計・公開することにより,地域全体の運動としての活動に役立てることも可能である。● 環境モニタリング(水,廃棄物,大気汚染など)

と分析,情報公開の連携図-7は,水,廃棄物,大気汚染などの環境モニタリングと分析,情報公開を連携させた環境情報管理システム「e-FEINS」の事例である。環境情報管理システムは,自治体の複数の拠点での大気,河川,海洋などの環境汚染状況を24時間,365日モニタリングし,結果を収集,分析し,情報を市民などに公開するシステムである。(11) 複数の工業団地において開発と環境を両立させるためのプロジェクトでも活用されており,大気,水,土壌,騒音,臭気,化学物質,廃棄物,CO2排出量などのパフォー

道路の情報などと運転手の意識など複数分野の情報を連携させ全体として最適化するものであり,今後このような要求は更に増えていくと思われる。また,車載ステーション(デジタルタコグラフ)(10)

を活用したトラックなどの輸配送システムは,各トラックの運転の履歴を運転手にフィードバックすることにより,エコドライブの意識を持たせ,結果としてCO2排出量の削減に有効である。また,GPSと連携した動態管理システム「LOMOS」は,輸配送の効率化に寄与し,全体としてCO2削減につながる。更に,交通エコポイントシステムは,バスや路面電車などの公共交通機関の利用促進のために,公共交通の利用とエコポイントにより住民の物流やショッピング利用を連携させたもので,CO2削減量の見える化により,人の環境貢献意識向上と地域公共交通の利用促進を推進する有効なソ

図-5 エネルギー階層の連携事例

図-6 交通・運輸/建設/人の意識/マネジメントの連携事例

ICTネットワーク

BEMS,FEMS

HEMS

交通・運輸

ICTネットワーク

メガソーラー 風力発電

発電所 電力コントロールセンター

需要と供給の最適化

自動マネジメント

購買情報購買情報

道路渋滞情報道路渋滞情報

建設・工事情報建設・工事情報

気象情報気象情報

災害情報災害情報

交通情報交通情報

台風上陸から60分後のタクシーの運行状況

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

化することも可能である。このシステムは,センサー,モニタリングと連携することで,水・大気・土壌の管理,廃棄物の管理,エネルギー管理,パフォーマンスの集計,分析を可能にする。そして,複数の事業所の活動に情報をフィードバックし,全体としての最適化を実現することも可能である。廃棄物管理の一つの事例として,オフィスなどから出される使用済み資料の廃棄,再利用を捉えた場合,富士通グループが実施しているペーパーリサイクルシステムが挙げられる。(13) これまで事業所ごとにバラバラで回収,処理されていたオフィ

マンスデータを計測,モニタ,分析,情報公開するシステムとしても期待されている。● 環境情報と経営との連携

図-8は,環境情報の見える化と経営を連携させることが可能となる「環境経営ダッシュボード」の事例である。(12) このソリューションを導入することにより,エネルギー・水・大気・土壌・廃棄物などの環境パフォーマンスの情報と環境経営(人の意識,マネジメント)を広域で連携させることができる。グローバルに分散する拠点,ビル,工場,店舗,施設,データセンターの環境情報を見える

図-7 環境モニタリング(水,廃棄物,大気汚染など)と分析・情報公開の連携

図-8 環境情報と経営の連携

環境 モニタ 分析 情報公開

大気

センシング

土壌

SOx

NOx COD

VOC

CO2

NH4+

臭気

騒音

化学物質

廃棄物

CO2

環境経営情報カテゴリー

水,大気,土壌管理

廃棄物管理

コンプライアンス

環境会計

エネルギー,節電 研究開発オフィスものづくりデータセンター

化学物質管理 エネルギーマネジメント

パフォーマンス集計

環境教育

マイクログリッド

スマートコンセント

などISO14001運用 グリーン“ものづくり”プラクティス

事業所の活動

環境経営ダッシュボード

サイト

ビル/BEMS

フロア

機器

工場/FEMS

施設運用

社外

店舗/SEMS

(一次データ)

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

トワークの取組みが期待される。● 農業・漁業における都市・町・村の連携

図-10は,都市や町や農村を農業で結ぶ広域ネットワークの例である。圃

場管理システム,農業分野見える化サービス「F&AGRIPACK」,食・農クラウドAkisaiを導入することにより,農業生産者と消費者は,経営や生産の見える化により情報が共有され,農業生産者,JA,物流業者,市場は,顧客,物流,生産情報の見える化により連携される。(16)-(18) 更に,倉庫業者,外食,小売,消費者がトレーサビリティによりつながり,全体最適にICTが活用される。これにより生産者から物流,小売り,消費者まで,これまで見えなかった各種の情報が見えるようになることで,生産の効率化,物流の効率化をはじめ消費者の安心感や価格の低下などの最適化が可能となる。農産物,海産物の最適な生産と最適な流通,そして最適な消費は,豊かな生活と環境負荷の低減を両立させるために必要であり,自然の生態系から人間が得ている食料や木材資源の持続可能な利用が期待される。

今後の展望

上述のレベル1,レベル2,レベル3の連携ネットワークから成るSustainable City Networkの考え方を実際の都市・町・村に当てはめていく場合,最初にやるべきことは,各都市・町・村の真の課

今後の展望

スなどから排出される使用済み資料を全国11地区ごとに,企業が連携して効率良く回収し,更にリサイクル処理も地区内で効率的に処理することにより,地区内の環境負荷を低減する。更に,各地区がほかの地区と連携することで,全国規模でペーパーリサイクル処理を効率的に実施する。これを実現するためには,ICTによる情報の収集と管理が必須となる。● 医療分野における広域ネットワークでの連携

図-9は,医療分野における広域医療ネットワーク「HumanBridge EHR」の事例である。(14) 各個別の病院において,電子カルテシステム「FUJITSUヘルスケアソリューション HOPE EGMAIN-NX」により診療情報を統合した院内ネットワークは,診察の効率化および環境負荷低減に欠かせないソリューションである。(15) 電子カルテシステムでは,300病床の規模の病院への導入により,約30%のCO2削減に貢献する試算例もある。この病院内電子カルテソリューションを更に地域に展開し,一つの中核病院を中心にした地域の診療所,介護施設,リハビリ施設を連携した中核ネットワークを構築することにより,広い範囲での情報共有と効率化,更に環境負荷の低減が可能となる。今後,ハブ型の広域ネットワークにより,これらの院内電子カルテネットワーク,地域ネットワークを連携させる複数の中核病院を連携する広域の医療連携ネッ

図-9 都市・町・村の広域医療ネットワーク

STAR型ネットワーク

広域医療連携ネットワーク(HumanBridge EHR)

リハビリ病院

診療所

介護施設

中核病院

医療向け文書管理システム(Medoc)医療事務システム(HOPE SX-R)医療情報分析システム(MedicalCabinet R)電子カルテシステム(HOPE)

中核病院

中核病院

中核病院

都市

都市

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

る位置付けが必要である。ICTは,これまで以上に多種多様のデータの収集,リアルタイムでの見える化と多角的な分析,複雑な連携制御,高速情報処理,身近なヒューマンインターフェース,グローバルな情報共有を可能にしている。現在から,将来にわたり,各都市や各町や各村の本来あるべき姿のデザインやSustainable City Networkを実現するための大きな力になることは間違いないと考える。そして,世界における日本の役割もこのような姿の実現の延長上で議論されるべきものであろう。

む  す  び

これからの都市・町・村の在り方に関する一つの考え方として,Sustainable City Networkを紹介した。更に,具体的な事例として,環境・エネルギー分野における複雑な課題に対応するソリューションを紹介するとともに,更に交通,医療,農業の事例についても紹介した。これまでのエネルギー,交通,建物といった一つの課題に注目したスマートシティの検討結果を更に効果あるものにするために,都市が持つ複数の課題や複数の分野を包括的に検討し,全体最適を図ることを目的とした捉え方である。更に,都市の持つ異なる特徴(価値)と発生する環境負荷を考慮し,都市と都市の連携的ネットワークを考えることや都市とは異なる特徴を持つ地方の町や農村・漁村・林業村と都市と

む  す  び

題を明確にすることである。本来の主役である住民と自治体を中心として,各都市・町・村が持つ課題を十分に分析した上での対応が必要であり,これらの課題には,人口減少,廃棄物問題,CO2削減,エネルギー供給,再生可能エネルギーの活用,雇用の促進,農業活性化,過疎化の問題,少子高齢化,環境汚染,生態系の破壊などが挙げられる。これらの問題は,一つの都市,一つの町,一つの村では解決できないことは容易に想像できる。

Sustainable City Networkの考え方について,本稿では三つの基本的なレベルを紹介した。環境未来都市,スマートシティの検討は,レベル1の検討から始まり,現在レベル2の検討が色々な観点で始まったところである。このレベル2の異なる課題や異なる分野でのICTによる連携,モニタリング,見える化,分析,最適化,最適制御は,効率的なICTシステムの導入や効率的な共通のプラットフォームの構築において,最も重要である。しかし,中長期的な観点で見た場合,各都市・町・村が将来どのような自らの姿を描くかという点において,レベル3の検討がより重要である。目の前の課題だけではなく,将来の各都市のあるべき姿を描くには,それぞれが関係するほかの都市・町・村との連携や自らの特徴・価値の位置付けを明確にする必要がある。各都市・町・村の立地,自然,産業,歴史などの特徴を踏まえた上での連携,全体におけ

図-10 都市・町・村の広域農業ネットワーク

倉庫業者

消費者外食

小売

農業生産者

JA

物流業者市場

農村

都市

・圃場管理システム・農業分野見える化サービス(F&AGRIPACK)・食・農クラウド(Akisai)・稲・野菜・果樹の育成モニタリング

農業経営

生産の見える化

配送計画需要予測

販売管理

トレーサビリティトレーサビリティ環境配慮

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

(4) Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(CASBEE).

http://www.ibec.or.jp/CASBEE/english/overviewE.htm(5) European smart cities. http://www.smart-cities.eu/(6) 富士通:富士通グループ社会・環境報告書2012.p.9. http://img.jp.fujitsu.com/downloads/jp/jcsr/csr/ reports/2012/fujitsureport201201.pdf(7) 玉井久嗣:富士通のスマートシティへの取組み.

FUJITSU,Vol.64,No.6,p.608-615(2013).(8) 日本経済新聞:世界400カ所のスマートシティプロジェクトを分析して見えたこと.2011年11月21日.

http://www.nikkei.com/article/ DGXNASFK17040_X11C11A1000000/(9) 富士通:位置情報を活用した新しいクラウドサービス FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL(スペーシオウル).

http://jp.fujitsu.com/solutions/convergence/service/ spatiowl/(10) 富士通:車載ステーション(デジタコ). http://segroup.fujitsu.com/its/services/logistics/ solution/mbcd/(11) 富士通:e-FEINS. http://jp.fujitsu.com/group/fip/services/environment/ administration/information/atmosphere/(12) 富士通:環境経営ダッシュボード. http://jp.fujitsu.com/solutions/eco/management/ dashboard/(13) 富士通:国内初,全国ペーパーリサイクルシステムを構築~環境負荷低減,セキュリティリスク低減,処

理コスト削減を実現~.

http://pr.fujitsu.com/jp/news/2009/03/17.html (14) 富士通:地域医療ネットワークHumanBridge EHRソリューション.

http://jp.fujitsu.com/solutions/medical/products/ humanbridge/(15) 富士通:病院様向けソリューション. http://jp.fujitsu.com/solutions/medical/hospital_sol/(16) 富士通システムズ・イースト:圃場管理システム. http://jp.fujitsu.com/group/feast/services/packages/ gis/index.html(17) 富士通九州システムズ:F&AGRIPACK経営管理. http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/

の連携ネットワークを検討することが重要であることを示した。そして,これらのネットワークにおける資源・エネルギー・情報・人・モノの流れの見える化,分析,制御,最適化に対して,ICTは重要なツールとなる。見える化におけるモニタリング技術,センシング技術,分析のためのシミュレーション技術,マイニング技術,制御のための各種自動制御技術,最適化のための技術をICTは提供することができる。特に,多種多様の情報を広範囲でモニタリングし,連携させるには,クラウド技術(19)やビッグデータ技術,(20) 高速情報処理技術が必須である。更に,これらICTによる施策の優先順位や効果を検討する上で,ICT導入による都市・町・村の環境負荷低減や価値の向上を定量的に評価する方法の開発が必要となる。(21)

Sustainable City Networkは,関連する1企業でも検討し貢献できるものであるが,本来の目的を達成するためには,産官学の連携,国と自治体の連携やICT業界内だけでなく,交通・運輸,エネルギー,資源,建物,流通,医療など異業種間の連携が必要である。これまで,環境未来都市,スマートシティ,スマートコミュニティ,環境配慮都市,サステナブルシティというテーマが,色々な分野で検討されてきたが,これからは,ここで紹介したSustainable City Networkの考え方を基盤として,これまで以上の異業種間の連携,都市と地域との連携が必要である。富士通グループは,ICTを駆使し,都市・町・村の持つ価値や豊かさの向上と環境負荷の低減が両立する,よりサステナブルな社会の実現と地球環境保全の推進に,引き続き貢献していきたい。(22)

参 考 文 献

(1) 外務省:国連持続可能な開発会議(リオ+20)成果文書.

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/rio_p20/ gaiyo.html(2) 国際連合広報センター:ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs).

http://www.unic.or.jp/mdg/(3) British Standards Institution(BSI):Connected

Liverpool – Building a Smarter City. http://www.connectedliverpool.co.uk/blog/tag/bsi/

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ICTが創る環境未来都市の新たな捉え方 ~ Sustainable City Network ~

(21) 山内崇裕ほか:都市の価値および環境負荷の定量的評価手法~ ICT導入による貢献量~.FUJITSU,Vol.64,No.6,p.714-722(2013).

(22) M. Takeno:The Power of ICT for Sustainable Smart Cities.High Level Segment on Smart Sustainable Cities,3rd ITU Green Standards Week,Madrid,Spain,18 Sept. 2013.

agriculture/f-agripack/keiei-s/(18) 富士通:食・農クラウドAkisai(秋彩). http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/agri/(19) 富士通:クラウド・コンピューティング. http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/(20) 富士通:ビッグデータとは. http://jp.fujitsu.com/solutions/convergence/bigdata/

朽網道徳(くたみ みちのり)

環境本部 所属現在,グリーンICT,スマートシティを中心とした技術検討,戦略企画に従事。

竹野 実(たけの みのる)

環境本部 所属現在,富士通グループの環境経営を統括。

井岡紘子(いおか ひろこ)

環境本部グリーンビジネスイノベーション統括部 所属現在,グリーンソリューションビジネスの推進に従事。

著 者 紹 介