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【提 言】 アジアから見る日本のデジタル革命戦略 ~「10年後」では遅い、「5年後」を見据え今から意識改革を~ 2018 年(平成 30 年)4月 一般社団法人 関西経済同友会 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会 2017-T-10

~「 年後」では遅い、「5年後」を見据え今から意 …...(GO-JEK) インド ネシア 配車 アプリ 「オジェック(Ojek)」と呼ばれるバイクタクシーの配車を

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【提 言】

アジアから見る日本のデジタル革命戦略

~「10 年後」では遅い、「5年後」を見据え今から意識改革を~

2018年(平成 30年)4月

一般社団法人 関西経済同友会

デジタル革命委員会

アジアのデジタル革命分科会

2017-T-10

目 次

はじめに ............................................................................. 1

Ⅰ.現状認識:アジアのデジタル革命の動向 ............................................. 2

1.現状認識

2.アジアのデジタル革命の先進事例

Ⅱ.分析:5つの切り口から見る先進地域との比較 ....................................... 7

1.シンガポール

2.中国・深セン

3.日本

Ⅲ.総括:アジアのデジタル革命の評価と日本の立ち位置 ................................. 14

1.アジアのデジタル革命の評価

2.世界の中での日本の立ち位置

3.総括

Ⅳ.提言:我々がなすべきこと ......................................................... 15

1.先進地域の勢いを取り入れる

2.イニシアチブを握ることが可能な成長分野に力点をおく

3.スピーディーな政策運営を

本質的な課題解決に向けた意識改革による関西×デジタル革命=「関西モデル」の創出を

おわりに ................................................................................ 18

平成 29 年度 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会 活動状況 .................... 19

平成 29 年 11月 19-24日 シンガポール・深セン・香港視察 視察先概要 ......................... 20

平成 29 年度 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会 名簿 ........................ 22

1

はじめに

近年、スマートフォンの開発に見られるような ICT(Information and Communication

Technology、情報通信技術)の飛躍的向上により、我々のビジネスや暮らしは短期間で大き

く変貌し、その凄まじい変化は「デジタル革命」と表現されている。

アジアの国々ではこの潮流に乗ったビジネスや生活手段が次々と生み出されており、「ア

ジアのデジタル革命」と呼ばれることも多い。他方、日本では、「Society 5.0」に代表され

るような目指すべき絵姿は描かれつつも、官民双方においてスピーディーな取組みが為さ

れているとは言い難い。このまま手をこまねいていると、シリコンバレーなど最先端を走る

地域のみならず、これまで我が国がリードしてきた(と思い込んでいた)アジアの国々に対

してでさえ、向こう数年もかからずに追いつけないほどの差が開いてしまうのではないだ

ろうか。

かかる危機感のもと、当分科会は「アジアのデジタル革命」に焦点を当て、まずはその実

態に触れ、背景を探りつつ、日本ひいては関西企業が生き残るために取るべき方策を提言と

してまとめた。

本提言は、講演会や現地視察などの活動で得た情報に基づくものであるが、情勢が日々

刻々と変化することもあり、最新の動向を全て網羅できている訳ではない。しかし、アジア

のデジタル革命の片鱗を少しでも伝え、新たな気づきを提供することができれば幸いであ

る。

2

出所:CB Insights ホームページより作成(2018 年3月 20 日時点)

Ⅰ.現状認識:アジアのデジタル革命の動向

1.現状認識

「デジタル革命」という言葉には様々な要素が含まれており、明確な定義が存在しないが、

本提言においては、「人工知能(AI)、IoT、ロボティクスなどの最先端技術をはじめとした

ICT の利活用により、既存の手法がより生産性の高いものへ代替されたり、新しいビジネス

や生活手段が創出されること」としたい。

この分野はこれまで、シリコンバレーを擁する米国がイノベーションの旗手を担い続け

てきた。かたや日本に目を向けると、デジタル革命の重要性は従前から叫ばれ、官民双方に

おいて注力され続けているものの、長らくグローバル市場でのイニシアチブ獲得競争に悪

戦苦闘している。

日本が苦戦を強いられる一方、アジアの国々では、多くのユニコーン企業1の成長に見ら

れるように、一部の地域や分野においてデジタル革命によるイノベーションのうねりが生

じている(図表1)。

図表1 アジアのユニコーン企業(抜粋、金額は 10億 USD)

では、アジアで一体どのようなデジタル革命が進行しているのか。次節では、アジアの先

進事例の中から、日本には無い、もしくは日本より進んでいるものを特にピックアップし、

紹介していきたい。

1 企業価値が 10億ドル以上と評価される、非上場のベンチャー企業を指す。

№ 社名 総額 分野 № 社名 総額 分野

1 Didi Chuxing 56.0 On-Demand 1 Traveloka 2.0 Traveltech

2 Xiaomi 46.0 Hardware 2 Go-Jek 1.8 On-Demand

3 Meituan Dianping 30.0 eCommerce/Marketplace

4 Lu.com 18.5 Fintech

5 Toutiao 11.0 Digital Media № 社名 総額 分野

6 DJI Innovations 10.0 Hardware 1 Coupang 5.0 eCommerce/Marketplace

7 Lianjia 5.8 eCommerce/Marketplace 2 Yello Mobile 4.0 Mobile Software & Services

8 EasyHome 5.7 Retail 3 L&P Cosmetic 1.8 Beauty & grooming

9 Ele.me 5.5 On-Demand

10 United Imaging Healthcare 5.0 Healthcare

11 NIO 5.0 Autotech № 社名 総額 分野

12 Meizu Technology 4.6 Hardware 1 GrabTaxi 6.0 On-Demand

13 Kuaishou 3.0 Social

14 Maoyan Weiying 3.0 eCommerce/Marketplace

15 Mobike 3.0 On-Demand № 社名 総額 分野

… 1 メルカリ 1.0 eCommerce/Marketplace

中国 インドネシア

韓国

シンガポール

日本

3

撮影:日本経済研究所

図表2 中国 電子決済を行うユーザー

図表3 道路を埋めるシェアサイクル。アプリと GPSで駐輪位置を把握する

撮影:日本経済研究所

2.アジアのデジタル革命の先進事例

(1)電子決済

中国では、スマートフォンで QRコードを読み取ることで自動的に決済を行う電子決済が

あらゆる場面で利用されている(図表2)。日本銀行のレポートによると、携帯電話やスマ

ートフォンを用いた電子決済の利用率が日本で 6.0%であるのに対し、中国で行われた調査

では 98.3%のユーザーが過去3ヶ月の間に利用した経験があると回答した2。

中国の電子決済インフラを支配するのは、テンセント(Tencent)の「ウィーチャットペ

イ」と、アリババ・グループ(Alibaba)の「アリペイ」である。これら2社は、決済サー

ビスの提供のみに留まらず、膨大な顧客の決済情報をビッグデータとして吸い上げ、自社の

他のビジネスにも活用している。

(2)シェアリング・エコノミー

シェアリング・エコノミーは、「個人等が保有する活用可能な資産等を、インターネット

上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」

と定義されており3、シェアされる対象物は車、自転車、空き部屋など多岐にわたる。

アジアにおいても、近年のスマートフォンやインターネットの普及も相まって、各国の社

会情勢を反映した新たなサービスが次々に登場している(図表3、4)。

2 日本銀行 2017年6月 決済システムレポート「モバイル決済の現状と課題」 3 総務省 『平成 29年版 情報通信白書』

4

出所:各種公表資料より作成

図表4 アジアのシェアリング・エコノミーの事例

出所:DJI ホームページ

図表5 DJIの民生用ドローン「SPARK」

(3)ドローン

2010年代に入り、「ドローン」と呼ばれる無人航空機が注目を集めるようになった。その

中で、2006 年に設立された中国・深セン4の DJI(大疆創新科技)は続々と新商品をリリー

スし、民生用ドローン分野でトップシェアを握っている(図表5)。

DJIのドローンで特筆すべきは、ハードウェアに搭載された高度なソフトウェア技術であ

る。空中での位置制御技術、カメラのブレ防止技術、衝突防止技術などの機能をソフトウェ

アにより実現し、空撮・防災分野などの新市場を開拓している。

4 「セン」は土へんに川

社名 所在地 サービス 概要

グラブ

(Grab)

シンガ

ポール

ライド

シェア

一般人ドライバーと移動したいユーザーを、アプリを使っ

てマッチングさせるサービス。アジア版ウーバー(Uber)と

も呼ばれる。

モバイク

(Mobike) 中国

シェア

サイクル

QR コードをスマホで読み取ることにより、いつでも・どこ

でも自転車をレンタルできるサービス。同業に、中国のオッ

フォ(ofo)、シンガポールのオーバイク(oBike)など。

ゴジェック

(GO-JEK)

インド

ネシア

配車

アプリ

「オジェック(Ojek)」と呼ばれるバイクタクシーの配車を

アプリで行えるほか、オジェックドライバーによる宅配や

買い物代行などの複合サービスを提供。

カルーセル

(Carousell)

シンガ

ポール

フリマ

アプリ

アプリを通じて自由に商品の出品・購入ができるサービス。

2012 年にサービスを開始。シンガポール版メルカリとも呼

ばれる。

5

出所:ジェトロセンサー 2017 年3月号 「アジアの EC」より作成

図表6 アジア主要国の EC売上規模(10億 USD)

(4)自動運転

シンガポールでは、経済開発庁や陸上交通庁が、限られた土地と人的資源を効率化させる

輸送解決策の核として、自動運転技術の開発を推進している。こうした公的サポートの下、

米国・マサチューセッツ工科大学発ベンチャー企業のヌートノミー(nuTonomy)は、世界で

初めて公道での自動運転の実証実験を開始し、早期の商用化を狙っている。

(5)EC(Electric Commerce、電子商取引)

EC は、インターネットを通じてショッピングやオークションを行う商取引の形態全般を

指す。ECの国別市場規模は中国が世界一であり、中国国内ではアリババ系列の ECサイトで

あるタオバオ(淘宝網)が、大きなシェアを握っている。

近年は東南アジアでも、デジタル普及率向上や人口増加を背景に EC市場の急拡大が見込

まれており(図表6)、シンガポールのラザダ(Lazada)など、新たなプラットフォーム企

業が登場している。

(6)フィンテック

ブロックチェーンなどの最先端技術の登場により、金融と ICT を組み合わせた新サービ

スが続々と考案されている。

中国をはじめとしたアジアの新興国では、P2P レンディング(金融機関を仲介せず、イ

ンターネットを介して個人間(peer to peer)で資金の貸し借りができるサービス)やマイ

クロファイナンス(主に貧困層向けに少額の融資を行うサービス)のような、金融に関する

法規制が異なる日本では普及していない金融形態が次々に生まれている。

中国の大手 P2P レンディングサイトである Lufax(陸金所)は、主にスマートフォンを

通して融資の申込みが可能なサービスであり、数千万人を超える利用者のビッグデータを

分析することで、リスク量の計算やサービス提案などを行っている。

8.6

4.8

9.2

3.0

8.5

3.0

7.2

2.96.5

2.25.9

2015年 2020年(予測)

中国 インドネシア シンガポール タイ ベトナム マレーシア フィリピン

24.7

364.0 757.4

6

撮影:日本経済研究所

図表7 メイカームーブメント。「メイカーフェア深セン 2017」にて

(7)ビッグデータ活用

IoT の進展やコンピュータの計算能力向上に伴う AI の技術革新により、ビッグデータ活

用は各国や企業が取り組む最優先テーマのひとつとなっている。

中国やシンガポールでは、民間企業が収集したビッグデータの管理に政府が大きく関与

し、データ流通のプラットフォームの役割を担うことで、各社の研究開発や新ビジネスの創

出に寄与している。

(8)メイカームーブメント

3D プリンタに代表されるデジタル工作機械の出現や、クラウドファンディングの普及、

オンラインを主な活動の場とした支援コミュニティの多様化を背景に、ハードウェアビジ

ネスのハードルが下がり、誰でも作りたいものを自由に作ることができる「メイカームーブ

メント」と呼ばれる動きが拡大しつつある。

その中心地のひとつが、中国・深センである。この都市には「世界の工場」と称される製

造業サプライチェーンの集積があり、その活用を目的に、シリコンバレーをはじめ世界中か

らハードウェアの製造依頼が集中している。アクセラレータ5の存在なども後押しし、プロ

トタイプ製造から量産化までハードウェアビジネスのあらゆる工程をスピーディーに達成

できる深センは、「ハードウェアベンチャーの聖地」と呼ばれている(図表7)。

このほかにもアジアのデジタル革命の事例は枚挙に暇が無く、その凄まじいスピードに

より、アジアは一昔前と全く異なる姿へと変貌を遂げている。

それではなぜ、これらアジアの国々においてデジタル革命が進展しうるのか。次章では我

が国とアジアの先進地域との比較分析を行うことで、その理由を明らかにしていきたい。

5 設立間もないベンチャー企業に対し、資金・ネットワークなど様々なリソースを提供し、事業の成長を

支援する組織のこと。

7

図表8 比較分析のための5つの切り口

Ⅱ.分析:5つの切り口から見る先進地域との比較

本章では、アジアにおけるデジタル革命先進地域と目されるシンガポールと中国・深セン

を採り上げ、日本と比較して分析を行うことで、デジタル革命の実現に必要と考えられる各

要素を明らかにしていきたい。

なお、分析にあたっては、以下の5つの切り口によって各地域の持つ特徴を分類した(図

表8)。

切り口 摘要

(1) 社会背景 国家の特徴(地理的、政治的、歴史的など)

国民性、文化、社会慣習

(2) 社会課題 デジタル革命によって解決されうる、その国が有する課題

(3) 政府の支援・政策 政府による各種支援・政策(規制への対応、教育など)

政府のリーダーシップ

(4) 技術 デジタル革命に利活用される技術

技術に対する考え方

(5) ビジネス ビジネスモデル、ビジネス環境(市場、支援者など)

ビジネスの担い手(大企業、ベンチャー企業など)

1. シンガポール

1965 年にマレーシアから分離独立を果たして以降、事実上の一党独裁による強いリーダ

ーシップの下で柔軟かつ機動的な政策運営が奏功しており、2016 年の1人当たり GDP は

53.0 千 USDと、日本の 38.9千 USDを上回る水準となっている6。

1990年代から現在にかけて、デジタル分野を重点領域のひとつと定め、ICT を活用した住

みやすい街づくりを目指す「スマート・ネーション構想」の推進や、自動運転など最先端技

術の実証実験が可能な場の整備に注力している。

(1)社会背景

人口約 560万人・面積は東京 23区よりやや大きい程度という規模でありながら、シンガ

ポールはその地政学的重要性から、古くよりヒト・モノ・カネ・情報のハブ機能を果たして

きた。

加えて、中華系・マレー系などからなる多民族国家であること、英語を公用語としている

ことなどの要因によって、オープンマインドかつグローバルな国民性が育まれており、イノ

ベーション創出に重要な役割を果たしている。

6 IMF「World Economic Outlook Database, October 2017」

8

撮影:日本政策投資銀行

図表9 (左)研究機関が集積する One North地区

(右)政府運営のインキュベーション施設。ベンチャー企業数百社が入居。

(2)社会課題

急速に発展を遂げたシンガポールは、1980 年代頃から徐々に成長率鈍化という課題に直

面する。非資源国家であることもあり、付加価値の高い次世代産業の育成が課題とされてい

る。また、交通渋滞や低い食料自給率といった、狭い国土から生じる問題も抱えている。

(3)政府の支援・政策

政府のリーダーシップが様々な場面で見られるシンガポールであるが、成長産業育成へ

の関与にはとりわけ積極的である。柔軟かつスピーディーな政策運営により、企業と研究機

関との連携支援や、ベンチャー企業の創出に政府が主導的な役割を果たしている(図表9)。

また、研究者を対象とした1人当たり数千万円にものぼる手厚い奨学金制度に代表される

ように、人材育成や高度人材の誘致にも尽力している。

(4)技術

シンガポールでは、国家機関であるシンガポール科学技術研究庁(A*STAR:Agency for

Science, Technology and Research)が研究開発を主導し、One Northと呼ばれる地区にア

ジア有数の研究開発クラスターを形成している。日本企業含め、国内外問わず様々な規模の

企業と提携し、基礎研究から商業化にいたるまで一気通貫型の支援を提供している。A*STAR

の支援などにより、ビッグデータの活用や創薬開発など、ICT、バイオテクノロジー分野を

中心に、企業が、商業化に向けた技術の実証に取り組みやすい研究開発環境が整っている。

(5)ビジネス

シンガポールは東南アジア地域におけるハブ国家であり、拡大する東南アジア市場への

窓口の役割を果たしている。そのビジネスモデルの特徴は、ラザダにとってのアマゾンや、

グラブにとってのウーバーのように、主に米国の既成ビジネスをベンチマークとし、現地事

情に合わせてローカライズしたものが成功を収めている場合が多い。

そのほか、世界中からリスクマネーや高度人材が集中していることや、スピード感あるグ

ローバル展開を強みとしていることが、シンガポールにおけるビジネスの特徴として挙げ

られる。

9

出所:各種公表資料より作成

図表 10 深セン市の概要

以上、シンガポールにおけるデジタル革命実現の要因は、政府が強力なリーダーシップを

発揮していることが大きい。裏を返せば、イノベーション創出は政策次第ともいえるため、

その成果の持続可能性についてはやや疑念が残る。

2.中国・深セン

深セン市は、中国南部の広東省に位置する都市であり、「中国のシリコンバレー」として、

近年注目を浴びている。

1970 年代まで人口数万人ほどの漁村であった深センは、当時の総書記である鄧小平の改

革開放路線の下、1980 年に経済特区に指定された。これを契機に、安価な労働力を求めた

外資系製造業が相次いで製造拠点を設置し、隣接する香港が欧米とのビジネスの窓口の役

割を果たしたことも相まって、凄まじいスピードであらゆる経営資源の投下が集中した。そ

の結果、今や人口は 1,000 万人を超え、北京・上海・広州に次ぐ中国第4の都市にまで発展

を遂げた(図表 10)。

その中で、テンセント、DJI、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)、BYD(比亜迪)

などの有力企業が次々に誕生したほか、近年ではメイカームーブメントに代表される新た

な動きもダイナミックに進行しつつある。

(1)社会背景

比類ないスピードで発展を遂げた深センは、生産年齢人口率(15-65歳)83%、非戸籍人

口 69%と、極めて特徴的な人口構成となっている7。成功を目指して中国全土から集まった

若者たちは、昼夜を問わず新たなビジネスに取り組んでおり、チャレンジ精神、ハングリー

精神に非常に富んでいる。

7 日本総合研究所「起業ブームに沸く中国において ITものづくりで進化する深セン」

上海

北京

香港

深セン

10

出所:リブライト・パートナーズ 講演資料より作成

図表 11 「リープフロッグ」現象

また、デジタル革命が推し進められる重要な要素として注目したいのが、「リープフロッ

グ」と呼ばれる現象である。直訳すると「蛙跳び」であり、先進国が何十年もかけて辿って

きた発展の過程を跳び越え、新興国がいきなり最新の技術を導入することをいう。

かつて中国は店舗網や金融インフラの整備の面で立ち後れていたが、そこに「EC」「フィ

ンテック」といったテクノロジーを活用した新たなビジネスが先進国より流入した結果、こ

れらが今や先進国以上に社会に浸透している(図表 11)。

(2)社会課題

「世界の工場」として発展した深センは、人件費の高騰などを背景として、高付加価値産

業構造へのシフトという課題を抱えている。

そのほか、スマートフォンによる電子決済が急速に普及していることは、中国の他地域と

同様、紙幣に対する信用度が低いとの問題を表しているといえよう。

(3)政府の支援・政策

先述の通り、今日の深センの発展は、経済特区に指定されたことが最大の要因といえる。

また中国では、グーグルやフェイスブックへのアクセスが遮断されているように、国内企

業の保護と外資企業への規制といった政策が強く見られ、これがテンセントやアリババの

ような巨大企業に資源が集中する原動力となっている。

そのほか深セン市政府は近時の政策として、ICT・エネルギーなどハイテク産業の育成を

推進する方針を前面に打ち出しており、ハイテク企業認定による税制の優遇や、研究開発施

設の設置推進、高度人材の誘致など、各種の支援策を設けている。

銀行

クレジットカード 電子決済 現金

E C 実店舗 店舗の無い

国・地域

新興国の

発展段階

先進国の

発展段階

SKIP

11

撮影:日本政策投資銀行、日本経済研究所

図表 12 華強北の高層ビル「賽格広場」と電気街の様子

(4)技術

深センが製造業の歴史的集積による圧倒的なサプライチェーンを強みとしていることは

先述の通りだが、その代表といえるものが、華強北地区にある世界最大の電気街である。

秋葉原の 30倍の規模ともいわれるこのエリアには高層ビルがひしめき合い、内部では製

造業に関連する商談や購買が活発に行われており、巨大コミュニティの様相を呈している。

「数時間あればものづくりに必要なパーツが全て揃う」ともいわれるスピード感が、深セン

の競争力の源泉となっている(図表 12)。

一方、弱みも存在する。深センは「山塞」と呼ばれる模倣文化を持ち、先進国から持ち込

まれた製品を模造することで技術を吸収してきたが、サプライチェーンの川上に近づくほ

ど部品や材料の品質にばらつきが多いことは、未だに事実である。

ただし、この負の側面に関しても、「方案公司(デザインハウス)」と呼ばれる企業が必要

な部品の仕入先・価格・担当者などを明記したリストを元請け企業に提示することで、適切

なサプライヤーの峻別を支援しており、玉石混交といえる深センビジネスにおけるガイド

の役割を担うことで対応されている。また、そもそも、長期保証不要もしくは一定の品質が

あれば事足りる分野、例えば商品サイクルの短い電子機器のような製品などでは、最高品質

の製品を安定して製造できるまでの技術は不要であることから、深センの技術力はある程

度通用しているともいわれている。

(5)ビジネス

深センのビジネス環境としては、後背に控える国内巨大市場の存在が大きい。また深セン

には、華強北を中心にハードウェアビジネスを支えるコミュニティがあらゆる場所に存在

しており、一種のエコシステムを形成している。このエコシステムの活用を目的に、世界中

からリスクマネーや高度人材が集まっている。

そのほか、中国は ICTを社会実装するスピードが格段に早く、このことが深セン企業の技

術力向上に重要な役割を担っている。例えば、AI による顔認証が可能な監視カメラネット

ワーク「天網」にはファーウェイの技術が用いられており、今や中国全土で数万台の監視カ

メラが稼働しているといわれる。

12

以上、深センにおけるデジタル革命は、政府による推進政策の存在もさることながら、野

心溢れる若者社会が作り出す熱量がその主役を担っている。また、歴史的なサプライチェー

ンの集積や支援コミュニティなど、デジタル革命を推進するエコシステムの存在も大きい。

その一方で、一部の分野を除けば、未だに品質の弱さを抱えていることは指摘しておきたい。

3.日本

それでは本章の締めくくりとして、日本の特徴を見ていきたい。

(1)社会背景

日本は戦後の荒廃から、一時は世界2位の経済大国となるまでに躍進した。しかしその成

功体験は、失敗を恐れチャレンジを避ける保守的な国民性を生んではいないだろうか。更に

は、この保守的傾向に、年功序列、自前主義、新しいものを採用する際に実績を過度に重ん

じる姿勢、100 点を目指す完璧主義的な側面など、「日本的」なビジネス慣行が重なり、ス

ピーディーな行動の阻害や過剰品質といった負の側面を招いていると考えられる。

また、日本人が現金主義であることも特徴として挙げられる。これは、紙幣の高い信用、

街中で現金引き出しを可能とする ATMの設置など、日本政府・企業が金融インフラ普及を推

進してきた成果である一方、現金を便利に利用できるが故に、現金運搬・管理コストの低減、

訪日外国人客の消費促進、電子決済データの活用といったキャッシュレス社会のメリット

を享受できない要因となっている。

そのほか、日本の国民性として英語力の低さも長年にわたり論じられている。国際教育機

関である EF Education First の調査によると、日本の英語力は 80カ国中 37 位であり、ア

ジアでもシンガポール・マレーシア・フィリピンなどを下回っている8。現状、英語力の低

さにより、英語で発信される最新情報へのアクセスや海外との素早いコミュニケーション

に後れを取っていると言わざるをえない。

(2)社会課題

日本社会は総じて恵まれており、存在する社会課題は見えにくくなっている。

例えば、アジアの新興国では、衣食住の確保やインフラ整備などの課題が見えやすく山積

しているのに対し、日本ではこうした課題は既に概ね解決されており、少子高齢化対策や防

災など、世界に先駆けて高度化・複雑化した社会課題に直面しているといえる。

(3)政府の支援・政策

2000年代以降、「官から民へ」の動きが徐々に進んだ。賛否は別として、アジアの先進地

域において政府の強力な統率に基づく推進策が重要な役割を果たしていることと比較する

と、対照的である。

8 EF EPI(英語能力指数)2017

13

出所:各種公表資料より作成

図表 13 新ビジネスとその普及を阻む規制の例

また、日本は政府が規制緩和に非常に慎重な姿勢をとっていることも特徴として挙げら

れ、デジタル革命を通じた新ビジネスの実現に際し、規制が障壁となっている事例が多々存

在している(図表 13)。

新ビジネス 普及を阻む規制の例

ドローン 航空法、自治体条例

ライドシェア 道路運送法(白タク規制)

ビッグデータ流通 個人情報保護法

フィンテック 金融商品取引法、貸金業法

(4)技術

従前より日本の強みとされてきたものづくりについては、依然として世界から期待が寄

せられている。素材や金型成形などの分野に見られるように、日本独自の「すり合わせ」を

はじめとするものづくりの蓄積があり、アジア諸国が一朝一夕に追いつけないレベルを有

するとも評される。ただし、その反面、長年培った職人技や最先端技術にこだわるあまり、

時として過度な技術偏重に陥りがちな側面があることは否めない。

また、ハードウェアとソフトウェアの融合の重要性への認識不足も指摘されている。例え

ば DJIのドローンは、ハードウェア(ドローン筐体)とソフトウェア(制御システムなど)

の融合により、これまでにない新たな価値を生み出している。日本が後塵を拝している点と

いえよう。

(5)ビジネス

日本は少子高齢化の影響で国内消費市場が伸び悩んでおり、この点はアジア諸国と状況

が大きく異なっている。

また、ヒト・モノ・カネの経営資源が大企業に集中しており、デジタル革命を牽引する新

商品や新ビジネスの市場投入に慎重であることに繋がっている。

そのほか日本のビジネスの特徴として、素材・部品などものづくり分野はグローバルに競

争力を持ち市場展開する一方、ICTサービスは国内市場をターゲットとするものが多く、ガ

ラパゴス化していると指摘されている。

以上、日本におけるデジタル革命については、日本が恵まれた状況に到達してしまい、課

題の見えにくい成熟社会という、変化へのインセンティブが働きにくい環境にあることが

少なからず影響していると考えられる。一方で、ものづくりをはじめ、これまで培ってきた

様々な蓄積が存在する点は、活かすべきポテンシャルとして捉えられよう。

14

Ⅲ.総括:アジアのデジタル革命の評価と日本の立ち位置

前章では、シンガポール、深センと日本を5つの切り口から分析することで、各国の特徴

を浮き彫りにした。これらの議論をもとに、本章で総括を述べたい。

1.アジアのデジタル革命の評価

アジアでは、用いられている技術は必ずしも高度なものとは限らないものの、政府の強い

リーダーシップによるスピーディーな政策運営、チャレンジ精神・ハングリー精神に富む社

会背景、巨大マーケットを見据えたグローバルな企業戦略などにより、日本より進んだデジ

タル革命の先進事例が実現している。

その変化のスピードは凄まじく、今後の動向を引き続き注視すべきであろう。

2.世界の中での日本の立ち位置

日本の現状として、大企業中心のビジネス、先進的取組みの障壁となる各種規制の存在、

保守的な国民性などの要因により、スピード感の大幅な欠如や最先端技術の社会実装の後

れが随所に見られた。

一方、海外からの客観的評価としては、従前からの強みであるものづくりには引き続き大

きな期待が寄せられている。また、少子高齢化対策や防災といった「課題先進国」としての

ポテンシャルに関しても、注目を集めている。

3.総括

これまでの議論を総括すると、まず、ビジネスの競争力の源泉がデジタル革命への順応に

シフトする中、アジア諸国が迅速に対応する一方で日本はその動きに立ち後れており、国際

競争力の低下など経済成長への悪影響が懸念される。

社会背景や抱える社会課題など、アジア各国と日本との種々の違いを考慮すると、いたず

らに不安を煽られる必要はなく、その手法を単純に模倣すべきでもない。ただし、日本に蔓

延する「総じて恵まれた社会」であることへの過度な安心感が「進化するアジアのデジタル

革命からの更なる後れ」に繋がらぬよう、企業・政府各々の立場で、危機感を持って迅速に

対策に取り組むべきである。

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Ⅳ.提言:我々がなすべきこと

終章では、前章で述べた「進化するアジアのデジタル革命への危機感」をベースに、デジ

タル革命戦略として何をすべきかについて以下に記し、提言としたい。

1.先進地域の勢いを取り入れる

日本企業は、アジアの先進地域が持つ特徴・強みを積極的に活用するべきである。

例えば、シンガポールで実践されている自動運転やビッグデータ活用などの実証実験環

境を利用して研究開発を行うことや、深センの圧倒的なスピードを誇るサプライチェーン

を活用したものづくりに挑戦することなどが考えられる。

また、ビジネス環境の活用のみならず、アジアへの進出もしくは日本への誘致など、アジ

アの先進企業や高度人材とのコラボレーションを積極的に進めていくことも求められよう。

2.イニシアチブを握ることが可能な成長分野に力点をおく

日本企業は、自らがイニシアチブを握ることが可能な成長分野を見極め、その分野での取

組みを強化すべきである。

日本企業が得意とする「すり合わせ」を要する分野や、日本人の特徴である「100点を目

指す完璧主義」が活きる分野など、国際競争力を持ちうる強みを見極め、その強みを活かす

にはどのような成長市場をターゲットとすべきか、明確化することが有効ではないだろう

か。具体的には、素材産業、金型産業など、日本の技術力やブランド力に定評のある分野や、

医療・ヘルスケア産業、輸送用機械産業(自動車、航空機、鉄道など)、食品産業など、高

い品質、安心安全が求められる分野が候補として考えられよう。

加えて、「課題先進国」たる日本は、世界に先駆けて直面する様々な課題を有している(少

子高齢化対策、防災など)。これらの新たな課題を ICTの力で解決することができれば、日

本はパイオニアとして、世界に向けソリューションを示すことができるだろう。

3.スピーディーな政策運営を

シンガポールや深センのような先進地域では、政府のスピーディーな政策運営が非常に

大きな役割を担っている。

日本政府には、新ビジネスの障壁となる規制の緩和・見直しや、最先端技術の実証実験が

可能な特区や日本版レギュラトリー・サンドボックスの早期設置・拡大(ドローン活用、ラ

イドシェアなど)、ビッグデータ活用推進に向けた環境整備を迅速に推し進めることを求め

たい。

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また、アジアの先進企業や高度人材が日本を活動の場とできるよう、各種の誘致策を講じ

ることも必要である。その際、国による政策に加え、地域の特徴を踏まえ、条例の制定など

で独自性を発揮できる施策(税制、助成金、規制緩和など)を各自治体が設けることも有効

となろう。

そのほか、シンガポール・中国では、政府が企業や研究機関に対してマッチングなどの実

務的な支援をフットワーク軽く行っており、それが日常業務において大きな助けとなって

いる。政府や自治体に対しては、産学官連携の支援など、日々の行動力を伴ったよりきめ細

かな現場重視型の支援を要望したい。

以上3点を、日本企業や政府が取るべき方策として述べた。しかし、こうした対応に加え

て、最も不可欠なのは、より本質的な課題解決に向けた意識改革ではないだろうか。

例えば、以下のような点が挙げられる。

・リスクを恐れずに果敢にチャレンジし続け、失敗を許容する社会の醸成

デジタル革命のような大きな変化は、必ずリスクを伴う。このことを認識した上で、保

守的な考え方から脱却し、失敗してもチャレンジし続けることを良しとする社会を創り

上げていく必要がある。

・ベンチャー企業など、創造的破壊者を育成するエコシステム形成の促進

デジタル革命という巨大な変化を起こそうとするのであれば、現状を打破することが

できる存在が欠かせない。ベンチャー企業など、このような存在を継続的に育成すべく、

エコシステム形成に向けた社会的な共通認識をより深めるべきである。

・「日本的」なビジネス慣行の発展的解消

年功序列はデジタルネイティブたる若者の活躍を抑圧し、自前主義や実績主義は新し

いものを取り入れる精神を育まない。もちろん日本の商慣習の全てが悪いということで

はなく、良い点は残しつつも、見直すべき点は早急に改善する姿勢が求められる。

・顧客や社会のための価値創造の重視(技術オリエンテッドによる市場投入から脱却する)

ものづくりに代表されるように、日本の技術力は依然として高いクオリティを誇るが、

技術偏重主義に陥らず、顧客や社会が何を求めているかを最優先に考えなければならな

い。

・人材育成の充実(海外に接する機会を増やし先進事例を自分の目で「見る」など)

海外の様々な動向に触れる機会を積極的に増やし自らの目で見て感じることやデザイ

ン思考といったイノベーティブな教育プログラムなどによる人材育成は、意識改革にも

つながる取り組みであり、その重要さをよく認識すべきである。

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最後に、関西における事例を1つ挙げる。

京都を中心に展開されている Makers Boot Camp という取組みである。これは、Darma Tech

Labs というアクセラレータが、優れた技術を持つ京都の中小製造業 50社超が加盟する京都

試作ネットという組織と連携し、国内外のハードウェアスタートアップの量産化試作を支

援するものであり、近時その動きを加速させている。メイカームーブメントにおいて量産化

がハードルとして認識される中、IoT製品などの開発に向き合うデジタル革命を担う企業か

ら、高度な技術・ノウハウを持った日本のものづくり企業に対して強い期待が寄せられてい

る好事例といえよう。

関西は、多様な産業・研究機関の集積やイノベーションを生み出してきた風土、活力ある

アジアとの近さといった強みを有している。また、今後まちづくり構想の具体化が進められ

る夢洲のように、最先端技術の実証、実践の場として適した候補地も抱えている。関西は、

意識改革を他の地域に先駆けて浸透させることで、日本をリードし、デジタル革命の国際競

争に挑戦していくことが可能となるのではないだろうか。

関西が、既存の強みをデジタルの力で伸ばし、「 関西 × デジタル革命 = 関西モ

デル 」として多くの成功事例を生み出し、アジアの先進地域に比肩する地域に成長してい

くことに期待したい。

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おわりに

「進化するアジアのデジタル革命への危機感」、これが調査の出発点であり、講演会の開

催や海外視察、委員会等における議論により、今回その実感を更に強めたことは、活動の成

果と言える。

しかし同時に、先人より培ってきた様々な蓄積が、今なお世界でプレゼンスを発揮してい

ることもわかった。デジタル革命への順応がビジネスの競争力の源泉となっている昨今、我

が国の持つ強みとデジタル革命をいかに融合させることができるかが、勝負の分かれ目と

なってこよう。

そのためには、まず意識改革からである。本提言が読者各位にその契機を提供し、日本・

関西におけるデジタル革命実現に向けた一端を担うことができれば、望外の喜びである。

末筆ながら、本提言の作成にあたり、講演会・視察などを快くお引き受け下さり、貴重な

知見をご提供頂いた皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げたい。

一般社団法人関西経済同友会

デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会

委員長 池田 良直

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4月 9日 提言『アジアから見る日本のデジタル革命戦略

~「10年後」では遅い、「5年後」を見据え今から意識改革を~』を記者発表

3月27日 幹事会にて 提言案『アジアから見る日本のデジタル革命戦略

~「10年後」では遅い、「5年後」を見据えた迅速な意識改革を~』を審議

平成 29年度 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会 活動状況

(役職は実施当時のもの)

平成29年

6月16日 第1回分科会会合 「平成29年度の活動方針案について」

9月22日 第1回講演会

「デジタルで変貌する深圳のものづくり」 講師:(株)日本総合研究所 調査部 上席主任研究員 藤 田 哲 雄 氏

「東南アジア経済社会のデジタル化と日本企業の対応」 講師:(株)日本総合研究所 調査部 上席主任研究員 大 泉 啓一郎 氏

10月18日 第2回講演会・第2回分科会会合

「深センのハードウェア・スタートアップとそのエコシステム」 講師:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所

副主任研究員 木 村 公一朗 氏

11月 1日 第3回講演会 「アジアで進展するデジタル革命の VB事例とその背景

~シンガポールと中国を中心に~」 講師:(株)日本経済研究所 執行役員 国際本部長 清 水 誠 氏

11月19~24日 シンガポール・深セン・香港視察

平成30年

1月30日 第3回分科会会合

「平成29年度提言骨子案について」

2月21日 常任幹事会にて提言骨子案審議 3月 5日 第4回分科会会合

「平成29年度提言案について」

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平成 29年 11月 19-24日 シンガポール・深セン・香港視察 視察先概要

シンガポール

シンガポール科学技術研究庁(A*STAR:Agency for Science, Technology and Research)

概要 2002 年に設立された、シンガポールにおける科学技術研究の監督・支援を行う機関。

バイオ・医薬学、科学・理工学を中心に、より産業界に近い段階の研究を行う。

URL https://www.a-star.edu.sg/

トーマツベンチャーサポート株式会社

概要 日系ベンチャー企業の海外進出支援、日系企業の海外ベンチャー企業との協業支援を

目的に、シリコンバレー、シンガポール、イスラエルなどに拠点を置き活動。

URL https://www2.deloitte.com/jp/ja.html

リブライト・パートナーズ株式会社

概要 シンガポールを拠点に、インドや東南アジアの ICT ベンチャー企業を主な投資対象に

活動を行うベンチャーキャピタル。

URL http://rebrightpartners.com/ja/

株式会社 ABEJA

概要 IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)技術を産業ごとに最適化し、ソリューションとし

て提供する、2012 年創業のベンチャー企業。

URL https://www.abeja.asia/

oBike Asia Pte Ltd

概要 シンガポール発企業として初めてシェアサイクル事業を営む、2017年 1月創業のベン

チャー企業。台湾、韓国、オーストラリア、欧州など 10カ国以上に事業を展開。

URL https://www.o.bike/

Panasonic Factory Solutions Asia Pacific

概要 パナソニックのグループ企業。2013年、シンガポール政府の認可を受けた屋内野菜工

場を設立。IoTなどを駆使した自動栽培システムを通じ、国産野菜を提供する。

URL http://www.pfsap.panasonic.com.sg/

深セン

深セン創新発展研究院(SZIDI:Shenzhen Innovation and Development Institute)

概要 2013 年に設立された非政府系のシンクタンク。様々な分野の有識者や民間企業と協働

することにより、政策分析、行政へのレビュー、政策提言活動などを行う。

URL http://www.cxsz.org/

株式会社ジェネシスホールディングス

概要 深センを拠点とし、日本企業向けに小ロットからの EMS(電子機器製造受託サービス)

を提供する企業。代表者は日本人の藤岡 淳一氏。

URL https://www.jenesis.jp/

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大疆創新科技有限公司(DJI)

概要 2006 年に設立した、民生用ドローンで世界最大シェアを握る企業。中国を代表するユ

ニコーン企業(企業価値が 10億 USDを超える非上場ベンチャー企業)である。

URL https://www.dji.com/jp

Trouble Maker International Ltd.

概要 深センを拠点とする、ハードウェア系ベンチャー企業を対象としたアクセラレータ。

プラットフォーム・コミュニティとして、投資家やメイカーなどを結びつけている。

URL https://troublemaker.site/

香港

日本貿易振興機構(ジェトロ) 香港事務所

概要 香港・マカオを管轄地域として、日本企業の輸出支援、対日投資の促進、各種セミナ

ー開催や情報収集などを行う。

URL https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/cn_hongkong/

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平成 29年度 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会 名簿

平成 30年 3月 27日現在(敬称略、順不同)

委員長 池田 良直 (株)日本政策投資銀行 常務執行役員 関西支店長

委員長代行 髙野瀬 励 三菱商事(株) 執行役員関西支社副支社長

副委員長 浅田 信行 (株)大林組 顧問

〃 井垣 貴子 (株)健康都市デザイン研究所 代表取締役社長

〃 井上 浩一 有限責任あずさ監査法人 パートナー

〃 上田 裕 三井物産(株) 関西支社副支社長

〃 上羽 尚登 岩谷産業(株) 取締役副社長

〃 小椋 和平 (株)アーサーバイオ 顧問

〃 澤 志郎 日本交通(株) 代表取締役

〃 白川 基光 ソプラ(株) 代表取締役社長兼CEO

〃 鈴木 規之 (株)アスタリスク 代表取締役社長

〃 長谷川 惠一 学校法人 エール学園 理事長

〃 藤原 敏正 大阪ガス(株) 取締役 常務執行役員

〃 堀 一成 トランスコスモス(株) 顧問

委員 井戸 剛 (株)フジプラス 代表取締役社長

〃 井上 祐二 三菱UFJニコス(株) 常務執行役員

〃 岡村 吉隆 公立大学法人 和歌山県立医科大学 理事長・学長

〃 久保 明彦 (株)プロスパー・コーポレーション 取締役本部長

〃 渋谷 順 (株)スマートバリュー 代表取締役社長

〃 下田 純弘 日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(株) ハイテクグループ 兼 製造グループ アドバイザー

〃 立花 佳枝 日新電機工作(株) 代表取締役社長

〃 田ノ畑 好幸 (株)竹中工務店 常務執行役員

〃 近田 晶彦 日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(株) 西日本支社長 クライアントパートナー統括

〃 利倉 一彰 日光化成(株) 代表取締役社長

〃 中田 充 (株)中田製作所 取締役社長

〃 平岡 憲人 学校法人 清風明育社 専務理事 清風情報工科学院 校長

〃 平野 敏 富士通(株) 西日本営業本部 関西エリア戦略推進部長

〃 広野 郁子 (株)アイ・キューブ 代表取締役

〃 福西 啓八 福西歯科口腔外科 歯科インプラントセンター 理事長・所長

〃 藤本 加代子 社会福祉法人隆生福祉会 理事長

〃 山崎 修一 (株)アウトオフィス 取締役会長

〃 山本 睦男 (株)ドコモCS関西 取締役

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スタッフ 友定 聖二 (株)日本政策投資銀行 関西支店 部長

〃 布施 健 (株)日本政策投資銀行 関西支店企画調査課課長

〃 橋本 正博 (株)日本政策投資銀行 関西支店企画調査課副調査役

〃 浅野 淳二 三菱商事(株) 関西支社業務開発部長代行

〃 三田 好子 三菱商事(株) 業務開発部企画業務チーム

〃 五十嵐 永美梨 大阪ガス(株) 秘書部経営調査室

〃 神薮 真子 (株)健康都市デザイン研究所 設計・都市デザイン室 副室長

〃 北谷 昇子 ソプラ(株) 取締役兼CFO

〃 佐賀 義能 大阪ガス(株) 秘書部経営調査室課長

〃 土井 正彦 トランスコスモス(株) 西日本第2営業本部 本部長代理

〃 萩原 大作 学校法人 エール学園 理事

代表幹事スタッフ 沓掛 一三 丸一鋼管(株) 社長室理事

〃 寺尾 健彦 丸一鋼管(株) 社長室部長

〃 太田 晴規 コクヨ(株) 会長室長

〃 糸口 貴 コクヨ(株) 会長室課長

〃 奥山 由希子 コクヨ(株) 会長室課長

事務局 廣瀬 茂夫 (一社)関西経済同友会 常任幹事・事務局長

〃 與口 修 (一社)関西経済同友会 企画調査部課長

〃 本宮 亜希子 (一社)関西経済同友会 企画調査部係長