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IVI 計測器ドライバ・プログラミング・ガイド ©2012 KIKUSUI ELECTRONICS CORP. All Rights Reserved. Page 1/12 IVI 計測器ドライバ プログラミング・ガイド (VEE ) July 2012 Revision 2.0 1- 概要 1-1 IVI-COM ドライバの推奨 Agilent VEE Ver7 から IVI-COM のサポートが追加されています。本ガイドブックでは IVI-COM 計測器ドライバを使用する事を推奨します。 Notes: 本ガイドブックでは、IVI-COM KikusuiPwx 計測器ドライバ(KIKUSUI PWX シリーズ直流電源)を使用する 例を示します。他社メーカー及び他機種用の IVI 計測器ドライバでも、ほぼ同様の手順で使用できます。 本ガイドブックでは、VEE Pro 9.3 での IVI-COM ドライバの使い方を説明します。 2- アプリケーションの作成 VEE Pro を起動すると、Main というタイトルの空のワークスペースが作成されます。(新規に空のワ ークスペースを作る場合は、File | New メニューを選択します。) 2-1 計測器の追加 最初にすべき事は制御したい計測器を VEE Pro 環境に追加する事です。画面右上にある Instrument Manager ペインに注目します。もしこれが表示されていない場合は、I/O | Instrument Manager メニューからそれを表示します。 Figure 2-1 Instrument Manager

IVI 計測器ドライバ プログラミング・ガイド (VEE 編に対して"*IDN?"クエリなどを発行して機種情報を問い合わせます。 Resetに trueを指定した場

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IVI 計測器ドライバ・プログラミング・ガイド

©2012 KIKUSUI ELECTRONICS CORP. All Rights Reserved. Page 1/12

IVI計測器ドライバ

プログラミング・ガイド

(VEE編) July 2012 Revision 2.0

1- 概要

1-1 IVI-COM ドライバの推奨

Agilent VEEは Ver7から IVI-COMのサポートが追加されています。本ガイドブックでは IVI-COM

計測器ドライバを使用する事を推奨します。

Notes:

本ガイドブックでは、IVI-COM KikusuiPwx計測器ドライバ(KIKUSUI PWXシリーズ直流電源)を使用する

例を示します。他社メーカー及び他機種用の IVI計測器ドライバでも、ほぼ同様の手順で使用できます。

本ガイドブックでは、VEE Pro 9.3での IVI-COM ドライバの使い方を説明します。

2- アプリケーションの作成

VEE Proを起動すると、Mainというタイトルの空のワークスペースが作成されます。(新規に空のワ

ークスペースを作る場合は、File | New メニューを選択します。)

2-1 計測器の追加

最初にすべき事は制御したい計測器を VEE Pro環境に追加する事です。画面右上にある

Instrument Managerペインに注目します。もしこれが表示されていない場合は、I/O |

Instrument Manager メニューからそれを表示します。

Figure 2-1 Instrument Manager

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計測器を追加する手順は複数あり、計測器の検索が既に行なわれている場合とそうでない場合と

で少し異なります。この例題では IPアドレス 192.168.1.5を持つ計測器(Kikusui PWXシリーズ直

流電源)が LANで接続されていると仮定します。

Notes:

VEE環境で計測器制御を行なう場合、Agilent IO Libraries Suiteに付属の Connection Expertユーティ

リティで、事前に計測器を検索しておく事を推奨します。VEEの計測器検索機能は Agilent IO Libraries と

連携しているからです。

Agilent Connection Expertで検索済みの場合

Connection Expertで目的の計測器が既に検索されている場合は、Instrument Managerペインの

上で右クリックし、コンテキスト・メニューから Find Instrument...を選択して Identify

Instrumentダイアログを表示します。

Figure 2-2 Identify Instrumentダイアログ

そこに表示されている VISAアドレスを確認し、OKをクリックします。引き続き*IDN?クエリを送るか

訊いてくるので OKをクリックします。

Figure 2-3 Identify Instrumentダイアログ

機種 IDの照会が完了すると、Instrument Manager上の計測器リストが更新されます。PWXシリ

ーズ直流電源の場合は VXI-11、HiSLIP、SCPI-RAWの 3種の LAN計測器プロトコルをサポートし

ていますが、VEE上ではこれらの内 VXI-11と HiSLIPの VISAアドレスが追加されます。

Instrument Manager上で目的の計測器を 1個 (この例では HiSLIPの VISAアドレス) 選択し、右

クリックして Instrument Properties...メニューを選択します。

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Figure 2-4 Instrument Manager

下記のような Instrument Propertiesダイアログが表示されます。

Figure 2-5 Instrument Properties

ここでは、NameにmySupply とタイプして下さい。VISA Addressは既に正しいものが表示され

ているのでそのままにします。そして Advanced...ボタンをクリックします。Advanced

Instrument Propertyダイアログが表示されるので、IVI-COM Driver タブを選択します。

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Figure 2-6 Advanced Instrument Properties

目的の計測器が既に Connection Expertで検索済みの場合は、正しい IVI-COM計測器ドライバの

名前が IVI-COM Driver/Session Nameに既に表示されています。KikusuiPwx計測器ドライバ

の場合は kipwxが正しい設定です。(選択状態が正しくない場合には kipwxを選択してくださ

い。) 確認を終えたら OKボタンでダイアログを閉じます。Instrument Propertiesに戻るので OKで

それも閉じます。

Instrument Manager上の計測器がmySupply という名前になりました。

Agilent Connection Expertで検索をしていない場合

この場合には Instrument Manager上で右クリックして、Add Instrument...を選択します。すると

Add Interface/Deviceダイアログが表示されます。

Figure 2-7 Add Interface/Device

デフォルトでは GPIBが選択されていますが、ここでは LANに接続された計測器を扱うので TCPIP

を選択して OKをクリックします。すると前述の Instrument Propertiesダイアログが表示される

ので、以降の手順は基本的に同じです。但し、計測器が未検索状態なので VISA Addressに

TCPIP::192.168.1.5::hislip0::INSTR とタイプする必要があります。また Advanced Instrument

Propertiesでの IVI-COM計測器ドライバの設定が行われていないので、Advanced...ボタンをク

リックしてこれも確認する必要があります。

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2-2 IVI-COM ドライバ・オブジェクトの作成

Instrument Manager上で右クリックし、Create IVI-COM Driver Object メニューを選択します。

そして Mainとタイトルされた VEEワークスペース上の好きな場所をクリックすると、計測器を制御す

るためのスクリプト・ウインドウが表示されます。

Figure 2-8 Script Window

ここで<Double-Click to Add Operation>と書かれた部分をダブルクリックします。すると

Select an Operationダイアログが表示されます。

Figure 2-9 Select an Operation

ここではドライバ・オブジェクトのインスタンスを作る必要があるため、CreateInstance を選択して

OKをクリックします。すると Edit "CreateInstance"ダイアログに切り替わります。

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Figure 2-10 Edit "CreateInstance"

CreateInstanceの場合は特に指定すべき条件が無いのでそのまま OKをクリックします。

これでオブジェクトを作成するコードが追加されました。

Figure 2-11 Script Window

2-3 IVI ドライバ・セッションのオープン

<Double-Click to Add Operation>と書かれた部分をダブルクリックします。Select an

Operationダイアログが表示されるので、今度は Initializeを選択します。

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Figure 2-12 Select an Operation

更に OKをクリックして Edit "Initialize"ダイアログに切り替えます。

Figure 2-13 Edit "Initialize"

ResourceNameには既に正しい VISAアドレスが設定されているはずです。IdQuery と Reset

はデフォルト値の Trueのままにします。OptionStringには QueryInstrStatus=TRUE とタイプ

して下さい。

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ここで、Initialize メソッドのパラメータについて説明しましょう。全ての IVI-COM計測器ドライ

バは、IVI仕様書で定義された Initialize メソッドを持っています。このメソッドには、以下のよう

なパラメータがあります。

Table 2-1 Initialize メソッドのパラメータ

パラメータ タイプ 説明

ResourceName string VISA リソース名の文字列。計測器が接続されている I/Oイ

ンターフェース、アドレスなどによって決定される。例えば、

"TCPIP::192.168.1.5::INSTR"の例では、IPアドレス

192.168.1.5を持つ LAN接続の計測器で VXI-11インター

フェースを使用する事を意味する。

IdQuery Boolean true を指定した場合、計測器に対して IDクエリを行う。

Reset Boolean true を指定した場合、計測器の設定をリセットする。

OptionString string RangeCheck Cache Simulate QueryInstrStatus RecordCoercions Interchange Check

に関する設定を、デフォルト以外に指定できる。更に、計測

器ドライバが DriverSetup 機能をサポートする場合、そ

の設定を行うことができる。

ResourceName には VISA リソースを指定します。IdQuery に trueを指定した場合は、計測器

に対して"*IDN?"クエリなどを発行して機種情報を問い合わせます。Reset に trueを指定した場

合は、"*RST"コマンドなどを発行して計測器の設定をリセットします。

OptionString には、2つの機能があります。1つは RangeCheck, Cache, Simulate,

QueryInstrStatus, RecordCoercions, Interchange Check,などの IVI定義の動

作を設定します。もう 1 つは、計測器ドライバ毎に独自に定義される DriverSetup を指定します。

OptionString は文字列パラメータなので、これらの設定は下のサンプルのような書式でなけれ

ばなりません。

QueryInstrStatus = TRUE , Cache = TRUE , DriverSetup=12345

(DriverSetup=12345はあくまでも説明上の内容であり、架空のパラメータです。)

設定したい機能の名称及び設定値はケース・インセンシティブ(大文字と小文字の区別なし)です。

設定値は Boolean型なので、TRUE、FALSE、1、0 の何れかが有効です。複数の項目を設定する

場合は、カンマで区切ります。OptionString パラメータで特に設定値を指定しない場合、IVI仕

様書で定義されたデフォルト値が適用されます。IVI仕様書で定義されたデフォルト値は、

RangeCheck と Cache だけが TRUEで、その他は全て FALSEです。

計測器ドライバによっては、DriverSetup パラメータが意味を持つ場合もあります。これは、IVI

仕様書では定義されない項目を Initialize の呼び出し時に指定するもので、利用目的や書式

はドライバ依存です。従って DriverSetup の指定を行う場合、それは OptionString の最後

の項目として指定される必要があります。DriverSetup の指定内容はドライバ毎に異なるので、

ドライバの Readme文書又はオンライン・ヘルプなどを参照してください。

設定を終えたら OKをクリックします。

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Figure 2-14 Script Window

操作を追加したあとも一番下の行には<Double-Click to Add Operation>と表示されているの

で、同様の手順で操作を更に追加していきます。

2-4 電圧・電流・出力の設定

ここでは 20V, 2A, OUTPUT ONの設定を行います。VoltageLevel, CurrentLimit, Enabledの

各プロパティを「操作」として追加していきます。

電圧設定

ここで追加する操作は、ツリー階層の Outputs->Item(Name)->VoltageLevel です。

VoltageLevelはプロパティです。Select an Operationダイアログの下部ボタンが Get/Setの

選択になります。ここでは値を「設定」するので Setをクリックします。

Figure 2-15 Select an Operation

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Figure 2-16 Edit "VoltageLevel"

Edit "VoltageLevel"ダイアログでは 20 を設定します。

電流設定

ここで追加する操作は、ツリー階層の Outputs->Item(Name)->CurrentLimitです。これもプ

ロパティなので Select an Operationダイアログの下部ボタンから Set をクリックします。設定値

として 2を指定します。

Figure 2-17 Edit "CurrentLimit"

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出力設定

ここで追加する操作は、ツリー階層の Outputs->Item(Name)->Enabledです。これもプロパ

ティなので Select an Operationダイアログの下部ボタンから Setをクリックします。設定値として

Trueを指定します。

Figure 2-18 Edit "Enabled"

2-5 IVI ドライバ・セッションのクローズ

最後にドライバ・セッションをクローズします。ここでは Closeを追加します。

2-6 実行

ここまでの状態で、計測器制御プログラムは下記のようになっています。

Figure 2-19 Script Window

Debug | Run/Resume メニューを選択しプログラムを実行して下さい。プログラムに誤りが無く、

また計測器が適切に接続されていれば、電圧 20V、電流 2A、出力 ONの設定が行われます。

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