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JIS 意見受付 JIS Z 2343-1 原案作成委員会 この JIS は日本非破壊検査協会規則「JIS 原案作成に関する規則」に基づき関係者に JIS の制定前の意 見提出期間を設けるために掲載するものです。 意見は規格原案決定の際の参考として取り扱いさせていただきます。 掲載されている JIS についての意見提出は下記メールアドレスまでお願いいたします。 意見受付締切日:2015 12 21 日(月) 意見提出先:Email: [email protected]

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JIS 意見受付

JIS Z 2343-1

原案作成委員会

この JIS は日本非破壊検査協会規則「JIS 原案作成に関する規則」に基づき関係者に JIS の制定前の意

見提出期間を設けるために掲載するものです。

意見は規格原案決定の際の参考として取り扱いさせていただきます。

掲載されている JIS についての意見提出は下記メールアドレスまでお願いいたします。

意見受付締切日:2015 年 12 月 21 日(月)

意見提出先:Email: [email protected]

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日本工業規格(案) JIS Z 2343-1:0000

非破壊試験-浸透探傷試験-

第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び

浸透指示模様の分類

Non-destructive testing-Penetrant testing-Part1:General principles-Method

for liquid penetrant testing and classification of the penetrant indication

序文

この規格は,2013 年に第 2 版として発行された ISO 3452-1:2013 を基とし,技術的内容及び対応国際規

格の構成を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応 ISO規格には規定されていない部分(浸

透指示模様及びきずの分類,表示など)については,従来の日本工業規格を変更せずに追加して規定して

いる。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所及び附属書 JA は,対応国際規格にない事項で

ある。

1 適用範囲

この規格は,製造中,供用中の材料及び製品(以下,試験体という。)の表面に開口しているきず,

例えば,き裂,重なり,しわ,ポロシティ及び融合不良を検出するために用いる浸透探傷試験方法(以

下,試験という。)並びにきずによる浸透探傷指示模様の分類方法について規定する。試験は主とし

て金属材料に適用されるが,探傷試験用材料に侵されず,あまり多孔質(ポーラス)でなければ他の

材料にも適用できる。適用材料の例としては,鋳造品,鍛造品,溶接部,セラミックスなどがある。

この規格にはプロセス管理試験が含まれる。

この規格は,合格基準のために用いることを意図したものではなく,また,特殊な試験方法に対する個々

の試験システムの妥当性又は試験装置に対する要求事項に関する情報を提供するものでもない。

注記 使用される浸透探傷試験用の製品(以下,探傷剤という。)の基本的な性質を判断し監視する方

法は,JIS Z 2343-2 及び JIS Z 2343-3 に規定する。

注記 この規格で用いられている技術用語の“きず”の意味には,合格又は不合格に関する評価は含

まないものとする。

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 3452-1:2013,Non-destructive testing-Penetrant testing-Part1:General principles (MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,“修正している”こ

とを示す。

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2 引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その 新版(追補を含む。)を適用する。

JIS Z 2300 非破壊試験用語

注記 対応国際規格:ISO 12706:2000, Non-destructive testing-Terminology-Terms used in penetrant

testing (MOD)

JIS Z 2305 非破壊試験技術者の資格及び認証

注記 対応国際規格:ISO 9712:2012, Non-destructive testing-Qualification and certification of personnel

(MOD)

JIS Z 2323 非破壊試験-浸透探傷試験及び磁粉探傷試験-観察条件

注記 対応国際規格: ISO 3059, Non-destructive testing-Penetrant testing and magnetic particle

testing-Viewing conditions (IDT)

JIS Z 2343-2 非破壊試験―浸透探傷試験―第 2 部:浸透探傷剤の試験

注記 対応国際規格:ISO 3452-2, Non-destructive testing-Penetrant testing-Part2:Testing of penetrant

materials(IDT)

JIS Z 2343-3 非破壊試験―浸透探傷試験―第 3 部:対比試験片

注記 対応国際規格:ISO 3452-3:2013, Non-destructive testing-Penetrant testing-Part3:Reference test

blocks (MOD)

JIS Z 2343-4 非破壊試験―浸透探傷試験―第 4 部 :装置

注記 対応国際規格:ISO 3452-4, Non-destructive testing-Penetrant testing-Part4:Equipment (IDT)

JIS Z 2343-5 非破壊試験-浸透探傷試験-第 5 部:50℃を超える温度での浸透探傷試験

注記 対応国際規格:ISO 3452-5, Non-destructive testing-Penetrant testing-Part 5:Penetrant testing at

temperature higher than 50℃ (IDT)

JIS Z 2343-6 非破壊試験-浸透探傷試験-第 6 部:10℃より低い温度での浸透探傷試験

注記 対応国際規格:ISO 3452-6, Non-destructive testing-Penetrant testing-Part 6:Penetrant testing at

temperature lower than 10℃ (IDT)

JIS G 0431 鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与

注記 対応国際規格:ISO/FDIS 11484.2:2008 Steel products –Employer’s qualification system for

non-destructive testing(NDT) personnel(MOD)

3 用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 2300 によるほか,次による。

3.1

ワイプオフ法

試験によって得られた指示模様がきずに起因するものか,疑似指示によるものかの判断に役立つ情報を

得るため,指示模様を除去した後,その部分に再度速乾式現像剤を薄く塗布する方法。

4 安全上の予防借置

探傷剤は,引火性又は揮発性の材料を用いているので,ときには有害となるため,何らかの予防措置を

行わなければならない。

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Z 2343-1:0000

これらの探傷剤は,皮膚又は粘膜に対して長期間にわたる接触又は繰返し接触することを避けなければ

ならない。試験区域は,労働安全衛生法及び消防法などの法的規制に従って適正に換気しなければならな

い。また,熱源,火花及び火炎から離れた場所に設置しなければならない。

探傷剤と装置は,注意して用いなければならない。また,常に探傷剤製造業者によって提供された使用

説明書に従わなければならない。

紫外線照射灯(以下,ブラックライトという。)を用いる場合は,遮へいされてない紫外線が試験員の眼

に直接届かないよう注意しなければならない。紫外線透過フィルタがブラックライトの構成部品の一部で

あるなしに関係なく,紫外線透過フィルタは常に良好な状態に維持しなければならない。

ブラックライトについては,健康上及び安全上に関しての法的規制を受ける。

5 一般事項

5.1 一般

一般事項を次に示す。

a) 試験方法の選定試験を実施するに当たっては,あらかじめ試験体に予測されるきずの種類,大きさ,

試験体の用途,表面粗さ,寸法,数量,探傷剤の性質などを考慮して,表 1 の分類のうちから適用す

る探傷剤を選定し同時に箇条 8の要領を基にして,操作の細目を定めておくものとする。

b) 試験は熟練者で適切な教育を受け,かつ資格をもつ技術者が実施しなければならない。可能であれば,

雇用者又は雇用者の委任者が指名した有能な技術者,又は試験を担当する検査会社の監督のもとで実

施しなければならない。適切な資格を有していることを示すために,技術者は JIS Z 2305 又は JIS G

0431 と同等の資格システムで認証又は資格付けされた技術者が望ましい。技術者の作業許可は手順書

に則り雇用者により発行されなければならない。別段の合意がない限り,試験(NDI)は雇用者が

認めた有能で資格をもち監督のできる技術者(レベル 3 又は同等の者)によって認可されなければな

らない。

c) 探傷剤を組み合わせて試験を行う場合は,製造業者が推奨する組合せで使用する。それ以外の組み合

わせで試験を行う場合は,その組合せが適用可能であることを確認してから使用しなければならない。

d) 特に受渡当事者間で合意されていない場合は,一般に染色浸透探傷試験の後に蛍光浸透探傷試験を適

用してはならない。

5.2 方法の説明

浸透探傷試験に先立って,試験面は清浄に,かつ,乾燥していなければならない。次に浸透液を試験体

に適用し,表面に開口したきずに浸透させる。浸透時間経過後,余剰の浸透液を表面から除去し現像剤を

適用する。現像剤はきずに浸透し残留した浸透液を吸収し,可視的に明りょうに強調されたきずによる浸

透指示模様を示す。

他の非破壊試験が必要な場合で,受渡当事者間に合意がなければ,開口きずを汚染させないために,

初に浸透探傷試験を行わなければならない。もしも浸透探傷試験が他の非破壊試験の後に行われる場合は,

試験表面は浸透液適用前に汚染物を取り除くための処理を十分に行わなければならない。

5.3 試験順序

一般的に試験は次の順序で行う。

a) 準備及び前処理(8.2 参照)

b) 浸透液の適用(8.4 参照)

c) 余剰浸透液の除去(8.5 参照)

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d) 現像剤の適用(8.6 参照)

e) 観察(8.7 参照)

f) 記録(8.7.4 参照)

g) 後処理及び防せい措置(8.8 参照)

附属書 A(規定)を参照しなければならない。

5.4 装置

試験を実施するための装置は,試験体の数量,寸法及び形状によって決まる。

装置に関する要求事項については,JIS Z 2343-4 を参照する。

5.5 有効性

試験の有効性は,次による。

a) 探傷剤と試験装置の種類

b) 表面仕上げと表面条件

c) 試験体と予想されるきずの種類

d) 試験体表面の温度

e) 浸透時間と現像時間

f) 観察条件

適切な試験条件で実施されていることを確認するため,プロセス管理試験を行わなければならない。附

属書 B を参照しなければならない。

6 探傷剤の組合せ,感度及び分類

6.1 探傷剤の組合せ

探傷剤の組合せを表 1 に示す。組合せは浸透液,余剰浸透液除去剤(方法 A は除く。)及び現像剤で構

成される。溶剤除去性浸透探傷試験において形式試験が JIS Z 2343-2 に基づく場合は,浸透液と除去剤は

同一製造業者の製品でなければならない。認定された探傷剤の組合せだけを使用しなければならない。

6.2 探傷剤の分類

探傷剤の分類は,表 1 による。

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Z 2343-1:0000

表 1―探傷剤

浸透液 余剰浸透液の除去剤 現像剤

タイプ 呼称 方法 呼称 フォーム 呼称

Ⅰ 蛍光浸透液 A 水 a 乾式

染色浸透液

B 後乳化

油べ-ス乳化剤

b 水溶性湿式

Ⅲ 二元性浸透液

(蛍光浸透液と

染色浸透液の両

者を含有)

C 有機溶剤(除去剤)

-クラス1 ハロゲン化

-クラス2 非ハロゲン化

-クラス3 特殊用途用

c 水懸濁性湿式

D 後乳化

水ベ-ス乳化剤

d 有機溶剤ベ-ス(タイプⅠ

用速乾式)

E 水及び有機溶剤 e 有機溶剤ベ-ス(タイプⅡ

及びタイプⅢ用速乾式)

f 特殊用途用

特別な用途については,引火性,硫黄,ハロゲン,ナトリウム含有量及び他の汚染物に関する特別要求事項を満

たす探傷剤を使用する必要がある(JIS Z 2343-2を参照)。

6.3 感度

探傷剤の組合せによる感度レベルは,JIS Z 2343-3 に規定する対比試験片を用いて決定し,また,承認

された探傷剤の組合せの試験で使用した試験で感度レベルを評価する。

6.4 探傷剤の組合せの呼称

試験に使用する推奨された探傷剤の組合せは,浸透液のタイプ,余剰浸透液の除去剤による方法及び現

像剤のフォーム並びに JIS Z 2343-3 に規定するタイプ 1 対比試験片を用いて実施した試験で得られる感度

レベルを示す数字から構成される呼称が与えられる。

例えば,JIS Z 2343-1 及び JIS Z 2343-2 を適用した蛍光浸透液(I),余剰浸透液除去剤としての水(A),

及び乾式現像剤(a)及びシステム感度レベル 2 で構成する推奨された探傷剤の組合せと試験方法の呼称は,

次による。

探傷剤組合せ:JIS Z 2343-2, IAa レベル 2

7 探傷剤と試験体の適合性

7.1 一般事項

探傷剤は試験体及び試験体が計画されている使用目的に適合したものでなければならない。

7.2 探傷剤の適合性

探傷剤は,お互いに適合できるものでなければならない。

探傷剤が減少した場合の追加は,ロットは異なってもよいが,同じ探傷剤で同じ製造業者でなければな

らない。

7.3 試験体への探傷剤の適合性

探傷剤及び試験体の適合性は,次による。

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a) ほとんどの場合,探傷剤と試験体の適合性は,JIS Z 2343-2 に規定する腐食試験の結果によって使用

前に確認できる。

b) 探傷剤は,幾つかの非金属の化学的又は物理的性質に悪影響を及ぼすことがあるため,このような材

料から製造された部品又は組立品を試験する場合は,事前に適合性を確かめておかなければならない。

c) 探傷剤が燃料,潤滑油,流体などに混入する可能性のある場合は,それが有害な影響を及ぼさないこ

とを確かめておく。

d) 過酸化物ロケット燃料,爆発物保持物(これらは爆発性推進薬,起爆材料,花火材料などをもつすべ

ての品目を含む。),酸素装置又は原子力機器への適用に関しては,探傷剤の適合性は特別の配慮を必

要とする。

8 試験手順

8.1 試験手順書

全ての試験は承認された試験手順書に基づいて行わなければならない。試験手順は該当する製品の作業

手順に規定又は含まれていてもよい。

8.2 準備及び前処理

8.2.1 一般事項

試験体がスケール,さび,油脂,グリス,塗料などで汚染されている場合は,機械的又は化学的方法若

しくはこれらの方法を組み合わせて,除去しなければならない。

試験面に残存物がなく,浸透液がどのようなきずにも浸透できるものであることを前処理によって確か

めておかなければならない。前処理を行う範囲は,試験面が隣接する領域から汚染物による影響を受けな

い十分な広さとしなければならない。

8.2.2 機械的前処理

スケール,スラグ,さびなどは,ブラシ,磨き,研磨,ブラスト,高水圧ブラストなどのような適切な

方法を用いて除去しなければならない。これらの方法は表面から汚染物を除去できるが,通常,きずの内

部に入っている汚染物まで除去できない。すべての方法,特にショットブラストの注意として,塑性変形

又は研磨材料の詰りによってきず開口部が覆い隠されないことを確かめなければならない。もしも必要な

らば,きずを開口させるために引き続きエッチング処理を実施し,その後で適切なすすぎと乾燥とを行わ

なければならない。

8.2.3 化学的前処理

グリス,油脂,塗料又はエッチング剤のような残存物を除去するために,適切な化学的洗浄剤を用いて

化学的前処理を実施しなければならない。

化学的前処理剤の残査は,浸透液と反応し検出感度を著しく低下させることがある。特に酸及びクロム

酸塩は,蛍光浸透液の蛍光輝度と染色浸透液の色調を著しく低下させることがある。このことから,使用

した化学的洗浄剤は,水すすぎを含む適切な洗浄方法を用いて試験面から除去しなければならない。

8.2.4 乾燥

前処理の 終段階として,水又は有機溶剤がきず内に残存しないように試験体を完全に乾燥しなければ

ならない。

8.3 温度

探傷剤,試験面及び周囲の温度は 8.2.4 の乾燥を除いて,10~50 ℃の範囲でなければならない。急激な

温度変化は結露の原因となる可能性があり,試験の妨げとなるので避けなければならない。

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Z 2343-1:0000

10 ℃未満又は 50 ℃を超える温度での試験は,JIS Z 2343-5 又は JIS Z 2343-6 に基づいて実施しなけれ

ばならない。

8.4 浸透液の適用

8.4.1 適用方法

浸透液は,試験体にスプレ法,はけぬり法,注ぎかけ法,一部分の浸せき法又は全浸せき法によって適

用できる。

浸透時間中は,試験面が完全にぬれていることを保証するために注意を払わなければならない。

8.4.2 浸透時間

適切な浸透時間は,浸透液の性質,適用温度,試験体及び検出すべききずの種類によって左右される。

浸透時間は,5~60 分の範囲とし,要求感度レベルに対して製造業者の推奨浸透時間より短くしてはな

らない。浸透時間は試験手順書に記録されなければならない。

8.5 余剰浸透液の除去

8.5.1 一般事項

除去剤の適用ではきず内部に浸透液が残っているようにしなければならない。

8.5.2 水

余剰浸透液は水スプレによる洗浄,水中への浸漬又は湿した布による拭き取りによって除去しなければ

ならない。スプレなどによる機械的作用の影響が 小となるように注意を払わなければならない。

8.5.3 有機溶剤

一般的に, 初に清潔な糸くずのでない布(又は紙)を用いて余剰浸透液を除去しなければならない。

次に除去剤で少し湿らせた清潔な糸くずのでない布(又は紙)によって除去処理を実施しなければならな

い。

これ以外の除去方法の場合は,受渡当事者間で承認がなされていなければならない。特に除去剤を試験

面に直接吹き付ける場合は注意する。

8.5.4 乳化剤

8.5.4.1 水ベース(水希釈性)乳化剤

試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤の適用によって浸透液に水洗性をもた

せなければならない。乳化剤の適用に先立ち,水によって試験面から大部分の余剰浸透液を除去する。こ

のことは,続いて適用される水ベース乳化剤が均一に作用することになる。

浸せき法又は泡立て装置を用いて乳化剤を適用しなければならない。使用者は,探傷剤製造業者の使用

説明書に従った予備試験を実施し,乳化剤の濃度と乳化時間を決めなければならない。決められた乳化時

間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した後,8.5.2 の規定に基づき 終洗浄を実施しな

ければならない。

8.5.4.2 油ベース乳化剤

試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤の適用によって浸透液に水洗性をもた

せなければならない。適用方法は浸せき法又は注ぎかけ法による。使用者は,探傷剤製造業者の使用説明

書に従った予備試験を実施し乳化時間を決めなければならない。

この乳化時間は,次の洗浄工程において試験面から余剰浸透液を十分除去できることを可能にできる時

間としなければならない。決められた乳化時間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した

後直ちに 8.5.2 の規定に基づき洗浄を実施しなければならない。

8.5.5 水及び有機溶剤

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余剰の水洗性浸透液は, 初,水で除去しなければならない(8.5.2 参照)。次に糸くずのでない清潔な

布又は紙にでふきとる。このときに,糸くずのでない清潔な布又は紙で有機溶剤を軽く湿めらせて用いる

ことができる。

8.5.6 余剰浸透液の除去確認

余剰浸透液除去処理中は,試験面に残留している浸透液の程度を確認しなければならない。蛍光浸透液

については,A 領域紫外線照射の下で実施しなければならない。試験面における 小 A 領域紫外線の放射

照度は 1 W/m2(100 μW/cm2)未満であってはならない。試験面における照度は 100 lx を超えてはなら

ない。

染色浸透液に対しては試験面での白色光の照度は 350 lx 以上でなければならない。

適切な資格所有者が承認した場合を除いて通常,過剰なバックグラウンドになった場合は前処理から再

度処理しなければならない。

8.5.7 乾燥

余分な水を速やかに乾燥させるため,試験体から水滴及び水たまりを除去しなければならない。

湿式現像剤を用いる場合を除いて,余剰浸透液を除去した後,次の方法の一つを用いて可能なかぎり速

やかに試験面を乾燥させなければならない。

a) 清潔で乾いた糸くずのでない布又は紙でふく。

b) 温水中に浸せき後室温で乾燥

c) 高温での乾燥

d) 強制的空気循環

e) 上記 a)~d)の方法の組合せ

圧縮空気を用いる場合は,その空気は水分及び油脂を含んでおらず,試験面での圧力を可能な限り低く

保持できるよう注意を払わなければならない。

熱風循環システム(例 乾燥器)を使用する場合,空気の温度は 70 ℃を超えてはならない。乾燥時間

は試験面温度が 50 ℃を超えないように設定しなければならない。

きずに浸透している浸透液が乾燥しない方法で,試験面の乾燥を実施しなければならない。

特別に認められている場合を除いて,乾燥中の試験面温度は 50 ℃を超えてはならない。

8.6 現像剤の適用

8.6.1 一般事項

現像剤は,均質な状態に維持し試験面に一様に適用しなければならない。

現像剤の適用は余剰浸透液の除去後できるだけ速やかに実施しなければならない。

水洗性浸透液に湿式現像剤を適用する場合,過剰に浸透液がきず内部から除去されないように注意しな

ければならない。

8.6.2 乾式現像剤

乾式現像剤は,蛍光浸透探傷法に限り適用してよい。乾式現像剤は次の方法の一つによって試験面に均

一に適用しなければならない。

適用方法:散布法,静電噴霧法,粉末塗布ノズル法又は流動床法若しくは浸せき法

試験面は,現像剤で薄く覆われ,また,現像剤が局部的に密集することを避けなければならない。

過剰な現像剤は現像時間経過後,観察前に指示模様をみださないような方法で除去しなければならな

い。

8.6.3 水懸濁性現像剤

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Z 2343-1:0000

現像剤を薄く均一に適用するためには,かくはんされた懸濁液中に浸せきするか承認された手順書に従

って適正な装置で吹き付ける。現像剤の浸せき時間と温度は製造業者の使用説明書に従った予備試験を通

じ使用者が決めなければならない。 適の結果を確保するために,浸せき時間は可能な限り短くしなけれ

ばならない。

試験体は,蒸発又は熱風循環式乾燥器の使用によって乾燥させなければならない。

8.6.4 速乾式現像剤

現像剤は,スプレ法によって均一な塗膜ができるように適用しなければならない。スプレ法は,現像剤

が試験面を軽く湿らせ薄く均一な層を形成できるものでなければならない。

8.6.5 水溶性現像剤

現像剤を薄く均一に適用するためには,かくはんされた懸濁液中に浸せきするか,承認された試験手順

書に従って適切な装置で吹き付けによって実施されなければならない。現像剤の浸せき時間と温度は,製

造業者の使用説明書に従った予備試験を通じ使用者が決めなければならない。 適の結果を確保するため

に,浸せき時間は可能な限り短くしなければならない。

試験体は,蒸発又は熱風循環式乾燥器の使用によって乾燥させなければならない。

8.6.6 特殊用途用(例:はく離可能な現像剤)

記録する必要のある浸透指示模様を検出した場合は,はく離可能な現像剤を用いて記録することができ

る。その手順は次による。

a) 清潔で乾いた糸くずのでない布又は紙で現像剤をぬぐう。

b) 同じ浸透液を適切な方法で適用する。その後の処理は,現像剤の適用まで 初に用いた方法と全く同

様の方法で行う。

c) 余剰浸透液の除去及び試験面の乾燥後,製造業者の推奨するはく離現像剤を適用する。

d) 現像時間が経過した後,現像剤の皮膜を注意深く引きはがす。試験面に直接接触した塗膜面上に浸透

指示模様が現われる。

8.6.7 現像時間

現像時間は,10~30 分の間とすることが望ましい。受渡当事者間で,更に長い時間を決めてもよい。現

像時間の開始は,次による。

a) 乾式現像剤が適用された場合は,適用直後とする。

b) 湿式及び速乾式現像剤が適用された場合は,乾燥直後とする。

注記 ASTME1417 では,受渡当事者間で合意があった場合に,鋳造アルミニウム合金及び鋳造マグ

ネシウム合金の製造中の試験にはタイプⅠ浸透液では無現像法でもよいとの記載がある。この

場合,現像剤は適用しないで観察前に乾燥後,10 分以上待たなければならない。また,2時間

を超えてはならず,2 時間を超えた場合には前処理からやり直さなければならない。

8.7 観察

8.7.1 観察条件

8.7.1.1 一般事項

観察条件は JIS Z 2323 によらなければならない。

8.7.1.2 蛍光浸透探傷試験法

検査場所での試験員の眼を暗順応させるために要する必要な時間は,通常,少なくとも 1 分間としなけ

ればならない。

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A 領域紫外線を使用することが有用な場合もあり得る。

試験面での A 領域紫外線放射照度は 10 W/m2(1000 μW/cm2)以上でなければならない。A 領域紫外線

灯及び周囲からの照度の合計は 20 lx 以下でなければならない。

8.7.1.3 染色浸透探傷試験法

観察では試験面における照度は 500 lx 以上でなければならない。

8.7.2 一般事項

浸透探傷試験法の指示模様はきずの形状及び寸法について限られた情報を提供する場合がある。現像剤

適用直後,又は現像剤が乾燥後,ただちに 初の評価を行うと有利になる場合がある。これは指示模様の

解釈を容易に行うことになる。

終検査の観察は,現像時間の経過後に実施しなければならない。

拡大鏡のような観察補助具を使用することができる。

ワイプオフ法(8.7.3 参照)による評価は指示模様解釈の手助けとなるかもしれない。

8.7.3 ワイプオフ法

本技法はきずの性状の評価を手助けするために用いられ, 初の指示模様の除去と引き続き行われる現

像処理により構成される。本技法は不十分な除去処理のような不適切な試験手順を修正するために使用す

るものではない。正確な手順は受渡当事者間での合意事項としてもよい。又は該当する合否基準として規

定してもよい。

特に受渡当事者間で合意されている場合を除いて,本技法を繰り返し実施してはいけない。

指示模様が再現しなかった場合,本技法は指示模様が疑似指示模様であると解釈される唯一の証拠とは

ならない。(例えば,水滴跡又は表面汚染)本技法は 初の指示模様の解釈が正しいことを実証するため,

又は立会検査員が再現像時間のなかで指示模様が変化することによって有用な追加情報を得るために使用

される。

手順は次による。

a) 糸くずの出ない小形の綿棒を用いて,指示模様のある付近の表面の探傷剤を拭きとる。(1 回だけ)

b) 探傷剤が完全に除去されていることを確認するため,観察条件で拭き取った箇所を確認する。

c) 速乾式現像剤の薄い膜を作るため,現像剤を適用する。受渡当事者間で合意されていなければ速乾式

現像剤は適用後ただちに乾燥するような距離で適用しなければならない。

d) 現像剤適用後,ただちに該当箇所を観察する。

e) 一定間隔及び 10 分後に観察する。

8.7.4 記録

記録は,適切な方法によって行う。例えば,筆記説明,スケッチ又は写真。

8.8 後洗浄及び保護処理

8.8.1 後洗浄

探傷剤が試験体に対し後の加工工程又は稼動条件に影響を与える場合は, 終検査後に後処理を行う必

要がある。

8.8.2 保護処理

必要のある場合には,適切な防食処理をしなければならない。

8.9 再試験

浸透指示模様の評価が不明確で再試験が必要な場合には,前処理からすべての試験手順を繰り返さなけ

ればならない。

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11

Z 2343-1:0000

必要ならば,より好ましい試験条件を選定しなければならない。きず内部に残っている浸透液を完全に

取り除くことができない場合には,前回と異なった種類の浸透液又は異った製造業者の浸透液は,用いて

はならない。

9 試験報告書及び様式

9.1 試験報告書

試験報告書には,この規格に関連する次の事項が含まなければならない。

a) 試験体の情報

1) 名称

2) 寸法

3) 材質

4) 表面状態

5) 工程上の段階

b) 試験の適用範囲

c) ロット番号,製造業者名及びその製品名並びに 6.4 で規定した探傷剤の分類の名称

d) 試験手順書番号

e) 手順書からの逸脱(もしあれば)

f) 試験結果(検出されたきずの説明)

g) 試験場所,試験年月日,試験員の氏名

h) 試験監督者の氏名,認定証明書及び署名

9.2 試験報告書の様式

試験報告に用いることのできる様式の割り付けを附属書 C(参考)に示す。このデータは,適宜試験体

の種類によって修正すべきであるが,附属書 C には試験結果の評価に重要な方法に関するすべての詳細及

び試験体に関する追加の情報を含んでいる。もしも他の様式を使用するならば,9.1 a)~h)に記載したすべ

ての事項を含まなければならない。

もしも試験手順書が 9.1a)~d)に述べた事項を含み 8.1 の要求事項を充足し,かつ,適切な方法で e)~h)

の事項が文書化されているならば,試験報告書は省略してもよい。

10 浸透指示模様及びきずの分類

10.1 浸透指示模様の分類の手順

浸透指示模様の分類は,次の手順によって行う。

a) 浸透指示模様の分類は,箇条 8 に示した方法によって浸透指示模様を検出し,指示模様が疑似指示で

ないことを確認してから行う。

b) 浸透指示模様の分類は,補修又は手直しを必要とするものについては,補修又は手直しの前後で行う

ものとする。

10.2 指示模様の分類

浸透指示模様は,形状及び存在の状態から,次のように分類する。

なお,浸透指示模様からの情報では,割れ,線状又は円形状の分類ができない場合は,10.3 による。

a) 独立浸透指示模様 独立して存在する個々の浸透指示模様は,次の 3 種類に分類する。

1) 割れによる浸透指示模様:8.6 によって割れであることが確認されたきず指示模様。

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2) 線状浸透指示模様:割れによらない浸透指示模様のうち,その長さが幅の 3 倍以上のもの。

3) 円形状浸透指示模様:割れによらない浸透指示模様のうち,線状浸透指示模様以外のもの。

b) 連続浸透指示模様 複数個の指示模様がほぼ同一直線上に連なって存在し,その相互の距離が 2 mm

以下の浸透指示模様。浸透指示模様の指示の長さは,特に指定がない場合,浸透指示模様の個々の長

さ及び相互の距離を加え合わせた値とする。

c) 分散浸透指示模様 一定の面積内に,複数個の浸透指示模様が分散して存在する浸透指示模様。

10.3 きずの分類の手順

きずの分類は,次の手順によって行う。

a) きずの分類は,浸透指示模様を 10.2 によって分類した後に行う。

b) きずは,指示模様を取り除いて試験体表面に現れたきずを観察し,寸法を測定して記録する。この場

合,きずが認めにくい場合には,拡大鏡,エッチングなど適切な方法を用いる。

10.4 きずの分類

きずは,形状及び存在の状態から,次のように分類する。

a) 独立したきず 独立して存在するきずは,次の 3 種類に分類する。

1) 割れ 割れと認められたもの。

2) 線状のきず 割れ以外のきずで,その長さが幅の 3 倍以上のもの。

3) 円形状のきず 割れ以外のきずで,線状きずでないもの。

b) 連続したきず 割れ,線状きず及び円形状きずが,ほぼ同一直線上に存在し,その相互の距離と個々

の長さとの関係から,一つの連続したきずと認められるもの。きずの長さは,特に指定がない場合は,

きずの個々の長さ及び相互の距離を加え合わせた値とする。

c) 分類したきず 定められた面積の中に存在する 1 個以上のきず。分散したきずは,きずの種類,個数又

は個々の長さの合計値によって評価する。

11 表示

表示は,次による。

試験を実施し,合格した試験体で表示を要するものについては,次によって表示を行う。表示は,その

後の取扱いによって消失又は変色のおそれがない方法を選択しなければならない。

a) 全数検査の場合 全数検査の場合は次による。

1) 刻印,腐食又は着色(えび茶)によって,試験体に P の記号を表示する。

2) 試験体に P の表示を行うことが困難な場合には,えび茶に着色して表示する。

3) 上記の表示ができない場合は,試験記録に記載した方法による。

b) 抜取検査の場合 合格したロットのすべての試験体に,a)に準じて○P の記号又は着色(黄色に限る。)

によって表示する。

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Z 2343-1:0000

附属書 A

(規程) 浸透探傷試験の主要工程

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであって,規定の一部である。

水洗により余剰浸透液の除去

余剰探傷剤除去の確認

現像時間の保持

観察

後洗浄及び必要に応じて保護処理

乾燥

有機溶剤ベ-ス

現像剤の適用

乾燥

水洗により乳化剤及び浸透液を除去

水ベ-ス乳化剤の適用

及び乳化時間の保持

水懸濁性湿式現像剤

の適用

乾燥

準備及び前洗浄

水及び有機溶剤 水洗

乾燥

後乳化性浸透液の適用及び浸透時間の保持

溶剤により

余剰浸透液の除去

水洗性浸透液の適用及び浸透時間の保持 溶剤除去性浸透液の適用

及び浸透時間の保持

方法 B 及び D 方法 A 及び E 方法 C

方法 A 方法 E 方法 D 方法 B

フォ-ム a

乾燥

水溶性湿式現像剤の

適用

乾式現像剤の適用

フォ-ム b フォ-ム c フォ-ム d 及び e

油ベース乳化剤の

適用及び乳化処理

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附属書 B

(規程) プロセス管理試験

B.1 一般事項

附属書 B は試験の実施を監視するために行うプロセス管理試験について述べる。

浸透探傷試験のプロセスの正常性を維持するために,探傷試験全体及び探傷システムの個々の処理工程はそ

れらが要求されている基準を満足していることを保証するために定期的に確認しなければならない。この要求

事項は探傷剤が再利用される探傷システムに適用される。エアゾ-ル又はチキソトロピタイプの浸透液は繰り

返し使用されることはなく,1 回の検査にだけ使用するので JIS Z 2305 に規定するレベル 3 などの判断により

試験の項目の削減又は削除をしてもよい。

表 B.1 は実施すべき点検試験とそれらの頻度について示している。JIS Z 2305 に規定するレベル 3 又は同

等の資格のある試験員は,特定の探傷法に,どの点検試験が適しているかを判断する責任がある。正しい

探傷操作状態を保証するために,必要ならばこの点検試験はもっと頻繁に行ってもよいし,また,追加の

試験を行ってもよい。

試験は表 B.1 に基づいて,適切な資格をもつ試験員,例えば,JIS Z 2305 に規定するレベル 2 によって

実施され,記録されなければならない。

注記 チキソトロピタイプとは,振とうするだけで液化し放置すると再固化するゲルの性質をいう。

B.2 記録

プロセス管理試験結果の記録は別々に各探傷プラントごとに保管されなけれならない。本規定からの逸

脱が発見された場合には責任者に報告し,必要な是正処置を取らなければならない。

次の情報は記録に含まれていなければならない。

a) 会社名及び試験場所

b) 探傷システムの識別番号

c) 日付

d) シフト

e) 氏名及び資格

f) 署名

B.3 管理試験

B.3.1 探傷剤の量(詰替え式スプレシステムを含む)

使用する探傷剤の液面は,探傷しなければならない機器に対し十分な量であることを確実にするため,

目視で確認しなければならない。探傷剤が不足している場合は,試験を実施する前に追加の探傷剤を補充

し,攪拌しておく。

B.3.2 システムの性能

この試験は,JIS Z 2343-3 で規定するタイプ 2 又はタイプ 3 対比試験片を用いて実施しなければならな

い。適切な資格所有者,例えば JIS Z 2305 レベル 3 により承認された場合には代替として既知のきずをも

つ試験片を用いてもよい。通常は,検出が必要とされるきずを代表する既知のきずを付与した試験片を利

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Z 2343-1:0000

用することが好ましい。

バックグラウンドのレベルを含むきずを示す方法として適正なレプリカ法,写真法又は他の適正な方法

によって記録を通常使用するものと同じパラメータを用いて作製し,参考用として保管しなければならな

い。この記録は,日常のシステム性能確認と同じ試験によって得られた実用的な結果との比較として用い

なければならない。レプリカタイプの現像剤から得られた指示模様は,基準現像剤を用いて得られたもの

と同じではない。タイプ 2 対比試験片のクロムめっき側の指示模様,タイプ 3 対比試験片の指示模様又は

既知のきずをもつ試験片の指示模様は,同じ探傷剤と同じ操作手順を用いて作製された記録の指示模様と

同数で同じ指示模様を示さなければならない。同様にバックグラウンドのレベルは,記録に示されたもの

と同じ外観を示さなければならない。

B.3.2.1 対比試験片の洗浄

対比試験片又は既知のきずをもつ試験片はシステム条件の変化を捉えるような状態に維持管理していな

ければならない。特に前回の試験で浸透液が除去されている必要がある。溶剤又は除去剤の中に試験片を

保管しておくことが好ましい。

物理的にきずを変更することはしてはならない。

B.3.3 浸透液の外観

浸透液にどのような異常もないことを確認しなければならない(例えば,ミルク状の外観,可視的な汚

染,浸透液の底部又は上部における水の体積)。

B.3.4 洗浄水の外観

再循環水を利用する場合は,洗浄水の不透明性,蛍光性,泡及び着色のないことを確認しなければなら

ない。これらのいずれかがある場合は,再処理システムが有効に機能していないことを示唆している。

B.3.5 洗浄水の温度

洗浄水の温度が規定範囲内にあることを確認しなければならない。

B.3.6 乾燥器の温度

乾燥器内の試験体を置く箇所の温度は,規定範囲内にあることを確認しなければならない。(8.5.7 参照)

B.3.7 試験場所

試験場所は,清潔で整とん(頓)されていなければならない。蛍光浸透探傷システムで処理した機器を

検査する場合は,例えば,検査台上又は検査領域の近くに白紙のような反射面があってはならない。さら

に,検査領域近くに漏えい白色光源があってはならない。

B.3.8 圧縮空気のフィルタ

トラップが汚染されていないことを確認しなければならない。

B.3.9 ブラックライトの A 領域紫外線ランプ

ランプは正しく,良好な状態で作動することを確認しなければならない。フィルタは破損していないこ

とを確認しなければならない。

B.3.10 ブラックライトの A 領域紫外線放射照度

JIS Z 2323 の方法で,ブラックライトの A 領域紫外線放射照度を測定しなければならない。

B.3.11 検査室(蛍光浸透探傷)の可視光の照度

JIS Z 2323 の方法で,検査室内の可視光の 大照度を測定しなければならない。

B.3.12 可視光の照度(染色浸透探傷)

JIS Z 2323 の方法で,作業場所の 小白色光の照度を測定しなければならない。可視光が含まれるなど

のため,照度が変化する場合は試験の頻度を増やさなければならない。

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B.3.13 蛍光光度の強さ

JIS Z 2343-2 の方法で蛍光光度を測定しなければならない。

要求事項:蛍光光度は標準液の 90 %~110 %の範囲になければならない。

B.3.14 染色浸透液のコントラストの強さ

染色浸透液のコントラストの強さは次による。

a) 引火点の高い白灯油,又は他の適正な非揮発性有機溶剤で薄めた 1 %,0.9 %,0.8 %及び 0.7 %基

準浸透液から作製した対比試料を使用する。対比試料を作製するため, 初に 10 %,9 %,8 %及

び 7 %の希釈液を作り,次にそれらを 10 倍に薄める方法が推奨される。これらの作製した対比試料

は,遮光された密閉容器内で保管しなければならない。

b) B.4.14.1 で用いたのと同様の有機溶剤で試験をする浸透液の 1 %溶液を作製する。

c) 試験管を用い,均一な分布の白色光の下で,試験をする浸透液の色調を対比試料と比較する。色調の

類似している対比試料のレベルを記録する。

要求事項:色調は,対比試料の色調の 80 %を超えていなければならない。

B.3.15 探傷剤製造業者による確認

使用中の浸透液から代表的な試料を 1 年に 1 回採取し,再確認のために探傷剤製造業者又は他の適切な

専門研究機関に送らなければならない。これ以外の場合は,浸透液は廃棄し,交換しなければならない。

確認を実施する探傷剤製造業者は,試験に用いている浸透液の物理的,化学的パラメータが新品の浸透

液の基準値と比較した場合,すべて許容範囲内にあることを記載した報告書を発行しなければならない。

報告書は文章だけでなく,実際の数値を示すことが推奨される。

どのパラメータを調べるかを選定するのは,探傷剤製造業者の責任である。

B.3.16 水ベース乳化剤の濃度

試験は,新しく調製した溶液だけについて行い,屈折計を用いて実施する。

試験に用いる屈折計は,新しい水ベース乳化剤で正確に調製した溶液を用いて校正しなければならない。

少なくとも五つの溶液を使用しなければならない。一つの溶液は公称濃度とし,他の二つの溶液は公称濃

度より高いか低いかの濃度でなければならない。数値は,グラフで表示しなければならない。

水ベース乳化剤の濃度を評価するため,新しく調製した製品の試料による数値を読み取り,グラフから

その濃度を決定しなければならない。

試験のすべての部分は,常温で実施しなければならない。この結果は,記録しなければならない。

要求事項:要求値に濃度を調製しなければならない。再調査する前によく攪拌しなければならない。

外観上,何らかの変化が認められた場合には追加の試験を実施しなければならない。

B.3.17 現像剤

B.3.17.1 乾式現像剤の外観

粉末は,水分が無く,ふわふわしていて固まっていないことを確認しなければならない。

B3.17.2 乾式現像剤の蛍光

試験に影響があるような蛍光性のないことを確認するため粉末の試料は,A 領域紫外線を照射して調べ

なければならない。指針として,探傷システムにおいて 10 000 mm2当たり 10 個(例えば,100 mm 直径の

円において 8 個)より多くの蛍光が認められることは望ましくない。

B.3.17.3 水溶性現像剤

B.3.17.3.1 濃度

この試験は,現像剤の濃度を決定するために探傷剤製造業者が作製した検量線図を用いて行う。

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Z 2343-1:0000

a) タンクの液面の高さを確認し水を追加することによってその液面の高さを元の液面の高さに復帰させ

十分かくはんする。

b) タンクから試料を採取し温度を 20 ℃に調整するか又は比重計が校正されたときの温度に調整する。

c) 比重計を用いて試料の密度を測定する。

密度を確認することによって,検量線図から現像剤の濃度を決定できる。

B.3.17.3.2 ぬれ性

タイプ 2 対比試験片の上に現像剤を適用した場合,その全表面が均等に現像剤で覆われることを確認し

なければならない。

B.3.17.3.3 温度

現像剤の温度が規定範囲にあることを確認しなければならない。

B.3.17.3.4 溶液の蛍光性

蛍光性のないことを確認するために溶液の試料に A 領域紫外線を照射して調べなければならない。

B.3.17.4 水懸濁性現像剤

B.3.17.4.1 濃度

この試験は,現像剤の濃度を決定するために探傷剤製造業者が作製した検量線図を用いて行う。

a) タンクの液面の高さを確認し水を追加することによってその液面の高さを元の液面の高さに復帰させ

十分かくはんする。

b) タンクから試料を採取し温度を 20 ℃に調整するか又は比重計が校正されたときの温度に調整する。

c) 比重計を用いて試料の密度を測定する。

密度を確認することによって,検量線図から現像剤の濃度を決定できる。

B.3.17.4.2 温度

現像剤の温度が規定範囲にあることを確認しなければならない。

B.3.17.4.3 懸濁液の蛍光性

粉末が懸濁していることを確認するため,現像剤の槽を十分かくはんしなければならない。蛍光性がな

いことを確認するため,懸濁させた現像剤の試料は A 領域紫外線を照射して調べなければならない。

B.3.18 紫外線強度計の校正

使用する紫外線強度計には,校正結果を示すラベル又は JIS Z 2323 を参照したことを表示しなければな

らない。

強度計を使用する前に,試験員は有効期限又は校正実施日などを確認しなければならない。少なくとも

12 か月ごとに装置を校正しなければならない。

B.3.19 照度計の校正

照度計は,校正結果を示すラベル又は JIS Z 2323 を参照したことを表示しなければならない。

照度計を使用する前に,試験員は有効期限又は校正実施日などを確認しなければならない。少なくとも

12 か月ごとに装置を校正しなければならない。

B.3.20 温度計の校正

温度計は±1 ℃以上の精度で校正されなければならない。

B.3.21 圧力計の校正

すべての圧力計は,適用する処理手順書に記載されている圧力に設定されていることを確認しなければ

ならない。圧力計は,校正の表示があることを確認しなければならない。

B.3.22 試験片の校正

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対比試験片のきずが変化すると試験結果に影響する。それゆえ,対比試験片は安定性を実証するために

再試験を実施しなければならない。再試験の方法はレプリカ又は写真付きの未使用対比試験片と比較する

ことによって行ってもよい。(B3.2 参照) 試験片に何らかの変化が認められた場合には適切な資格者,

例えば,JIS Z 2305 のレベル 3 によって適切な是正処置を取らなければならない。

表 B.1-プロセス管理試験

プロセス管理試験 附属書

箇条

頻度 記録

作業期間

の開始時

週ごと 月ごと 年ごと 規定数値 目視による

評価(査印)

システム確認

探傷剤の液面 B.3.1 ○ ○

タイプ 2 又はタイプ 3 対

比試験片を用いたシステ

ムの性能

B.3.2 ○ ○

一般確認

浸透液の外観 B.3.3 ○ ○

洗浄水の外観 B.3.4 ○ ○

洗浄水の温度 B.3.5 ○ ○

乾燥器の温度 B.3.6 ○ ○

試験場所 B.3.7 ○ ○

圧縮空気のフィルタ B.3.8 ○ ○

ブラックライトのランプ B.3.9 ○ ○

ブラックライトの A 領域

紫外線放射照度

B.3.10 ○ ○

検査室(蛍光浸透探傷)の

可視光の照度

B.3.11 ○ ○

可視光の照度(染色浸透

探傷)

B.3.12 ○ ○

浸透液

蛍光光度の強さ B.3.13 ○ ○

染色浸透液のコントラス

トの強さ

B3.14 ○ ○

探傷剤製造業者による確

B.3.15 ○ ○

乳化剤

水ベ-ス乳化剤の濃度 B3.16 ○ ○

現像剤

乾式現像剤の外観 B.3.17.1 ○ ○

乾式現像剤の蛍光 B3.17.2 ○ ○

水溶性現像剤

a)濃度 B.3.17.3.1 ○ ○

b)ぬれ性 B.3.17.3.2 ○ ○

c)温度 B.3.17.3.3 ○ ○

d)溶液の蛍光性 B.3.17.3.4 ○ ○

注記 ○:実施

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Z 2343-1:0000

表 B.1-プロセス管理試験(続き)

管理試験 附属書

箇条

頻度 記録

作業期間

の開始時

週ごと 月ごと 年ごと 規定数値 目視による

評価(査印)

水懸濁性現像剤

a)濃度 B.3.17.4.1 ○ ○

b)温度 B.3.17.4.2 ○ ○

c)懸濁液の蛍光性 B.3.17.4.3 ○ ○

校正

紫外線強度計 B.3.18 ○ ○

照度計 B.4.19 ○ ○

温度計 B.4.20 ○ ○

圧力計 B.4.21 ○ ○

試験片 B.4.22 ○ ○ ○

注記 ○:実施 a) エアゾ-ル缶には適用しない。

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附属書 C

(参考) 試験報告書例

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであって,規定の一部ではない。

試験報告書例

試験報告書

会社名: 参照番号:

部名: 副参照番号:

浸透探傷試験報

告書番号:

何枚目/総ページ: /

プロジェクト: 品名:

指示者: 製造番号:

指示書のオーダー番号: 図面番号:

被験個所: 別の詳細,例えば溶接プラン番号:

寸法: 溶接番号: 試験フォローアッププラン番号:

ユニット番号: シート番号:

材質: 鋳造番号: 部品番号:

表面状態: 型番号:

熱処理条件:

前処理:

試験指示: (例えば仕様書,試験方向,出荷条件)

試験の適用範囲:

浸透探傷システム:

呼称: (追加詳細,例えば JIS Z 2343-2 に従う腐食成分を含有してはならない。)

製造業者名:

製品名称:

浸透液: 製造番号(ロット):

余剰浸透液除去剤: 製造番号(ロット):

現像剤: 製造番号(ロット):

試験要領:

試験温度: 余剰浸透液除去(追加詳細,例えば耐食剤):

前処理: 乳化時間:

乾燥: 乾燥:

浸透時間: 現像時間:

後処理:

試験指示書からの逸脱:

JIS Z 2343-1 からの逸脱:

試験結果: (例えばきず部:位置,種類,分布,寸法,個数の詳細;スケッチ)

試験の場所: 試験の日付: 試験員の氏名:

評価(試験指示書に従った): 合格: 不合格:

所見:

試験監督者氏名: 認証: 日付: 署名:

又は部長/専門家: 日付: 署名:

又は検査会社: 日付: 署名:

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21

Z 2343-1:0000

附属書 JA

(参考)

JIS と対応国際規格との対比表 JIS Z 2343-1:9999 非破壊試験-浸透探傷試験-第 1 部:一般通則:浸透探傷試

験方法及び浸透指示模様の分類

ISO 3452-1:2013,Non-destructive testing-Penetrant testing-Part1:General principles

(I)JIS の規定 (II)国際

規格番号

(III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及

びその内容

(V)JIS と国際規格と

の技術的差異の理由

及び今後の対策 箇条番号

及び題名

内容 箇条

番号

内容 箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

3.用語及び定

3.1 ワイプオフ法 追加 ワイプオフ法を追加した。 技術的差異はない。

5.一般事項 5.1 一般 5.1 JIS とほぼ同じ 追加 試験方法の選定法を追加した。

探傷剤の組合せ法を追加した。

一般に染色浸透探傷試験の後に蛍光浸透探傷

試験は適用してはならないことを追加した。

技術的な差異はない。

8.試験手順 8.6.7 現像時間 8.6.7 JIS とほぼ同じ 追加 無現像法の注記を追加した。 技術的差異はない。

10.浸透指示模

様及びきずの

分類

10.1 浸透指示模様の分

類の手順

追加 浸透指示模様の分類手順を追加した。

10.2 指示模様の分類 追加 指示模様の分類を追加した

10.3 きずの分類の手順 追加 きずの分類の手順を追加した。

10.4 きずの分類 追加 きずの分類を追加した。

11.表示 11.表示 追加 合格した試験体の表示を追加した。

附属書 A

(規程)

浸透探傷試験の主要行

附 属 書

A

JIS とほぼ同じ 追加 無現像法の注記を追加した。 技術的差異はない。

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3452-1:2013,Non-destructive testing-Penetrant testing-Part1:General principles MOD

注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

- 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

- MOD 国際規格を修正している。

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1

解 1

JIS Z 2343-1:0000

非破壊試験-浸透探傷試験-第 1 部:一般通則

解 説

この解説は,規格に規定・記載した事柄を説明するもので,規格の一部ではない。

この解説は,一般財団法人日本規格協会が編集・発行するものであり,これに関する問合せ先は一般社

団法人日本規格協会である。

1 今回の改正までの経緯

浸透探傷試験方法は,金属材料などの表面開口きずの非破壊的検出方法として,古くから油のにじみを

利用した手法などで知られていたが,1950 年代の初期に米国から新しい技術や探傷剤が導入され,我が国

でも産業界で広く用いられるようになった。これに伴い,浸透探傷試験方法の JIS Z 2343 は,蛍光浸透探

傷試験方法として,社団法人日本非破壊検査協会が委託を受けて原案作成を行い 1955 年に制定された。

1978 年,試験技術,試験方法の整備に対応するため,(1)染色浸透探傷試験方法(2)操作方法の詳細

(3)試験技術者(4)対比試験片(5)浸透指示模様の等級分類などを追加するとともに,国際単位系(SI)

への統一を行い,規格の名称も“浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の等級分類”とした。

1982 年,外国規格との整合性を図るため,(1)水ベース乳化剤による試験操作の追加,(2)浸透時間,

乾燥温度などの試験条件を ASTM 規格と整合,(3)水を用いる洗浄処理と除去液を使った除去処理の区別,

(4)B 型対比試験片の追加,及び(5)浸透指示模様の等級分類の変更(強度を意識した種別分類の削除)

などの変更を行った。

1992 年,1982 年以降に開発された探傷剤や試験技術の取り入れ,また試験方法の分類などの充実を図っ

た。さらに ISO 3452:1984 との整合化,制定された JIS Z 2300 との用語の統一を図った。

2001 年,ISO 規格の動きに合わせ,JIS Z 2343 は JIS Z 2343-1(非破壊試験―浸透探傷試験―第 1 部:

一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類),JIS Z 2343-2(非破壊試験―浸透探傷試験―第 2

部:浸透探傷剤の試験),JIS Z 2343-3(非破壊試験―浸透探傷試験―第 3 部:対比試験片),及び JIS Z 2343-4

(非破壊試験―浸透探傷試験―第 4 部:装置)の 4 部構成となった。この規格は,浸透探傷試験に関する

一般通則として,浸透探傷試験方法を規定する規格(JIS Z 2343-2 ~ 4 の浸透探傷剤の試験,対比試験片,

装置の規定を除く内容)である。しかしながら,JIS Z 2343-1 の基となる ISO 3452-1 は,その時点では最

終制定には至っていなかったので EN 571-1(ISO/DIS 3452-1)を基にして作成し,様式も国際規格様式に

統一した。附属書 A(規定)に浸透探傷試験の主要工程が補足された。浸透指示模様の分類については,

ISO 規格には記載がないが,これまでとおり記載が必要との判断で記載することとなった。

その後,JIS Z 2343 は ISO 規格との関係から JIS Z 2343-5(非破壊試験―浸透探傷試験―第 5 部:50 ℃

を超える温度での浸透探傷試験),JIS Z 2343-6(非破壊試験―浸透探傷試験―第 6 部:10 ℃より低い温度

での浸透探傷試験)の 2 規格が追加され,6 部構成となっている。

2 今回の改正の趣旨

JIS Z 2343-1:2001(非破壊試験―浸透探傷試験―1 部:一般通則-浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の

分類)の基であった EN 571-1(ISO/DIS 3452-1)Non-destructive testing-Penetrant tesing-Part 1:General principles

は,その後,若干の変更があったが,ISO 規格となり,現在は ISO 3452-1:2013 となっている。その中には

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2

Z 2343-1:151108 解説

解 2

JIS Z 2343-1:2001 に記載のない技術,探傷条件なども規定されているため,国際整合性の点からも現在の

規格を改正することが必要となった。

今回の改正は,国際整合性の点から ISO 3452-1:2013 を基にし,できるだけ内容を変更せずに作成した。

ISO 規格には規定されていない浸透指示模様及びきずの分類,表示などは従来どおり残した。また,ISO

規格に規定されていはないが,新たに ASTM E1417 を参考にして無現像法を追加した。

3 審議中に特に問題となった事項

審議中問題となった事項は,次のとおりである。

a) 技術者については JIS Z 2343-2(非破壊試験―浸透探傷試験―第 2 部:浸透探傷剤の試験)でも同様

の項目がある。製品の検査を実施する技術者と探傷剤の性能確認を実施する技術者についての要求事

項は異なるのではないかとの意見が出た。しかし,可能な限り文章を統一したほうがよいとの意見が

出された。

b) 探傷剤の分類の表 1 及び附属書 A の表現が不適切な部分があり,正しい表現に変更することが提案さ

れた。

c) 余剰浸透液の除去方法については,溶剤除去性染色浸透探傷試験に代表される“有機溶剤を少し湿し

たウエスでふき取る方法”と水洗性,後乳化性浸透探傷試験のように水を使う方法に 2 分される。こ

の拭き取り法を“除去処理”,水を用いて洗浄する方法を“洗浄処理”として扱ってきた。洗浄処理は,

水温,水圧を定め水スプレで洗浄するのが一般的である。ISO 3452-1:2013 では,普段用いている“水

スプレ”の記載がなく,また,普段使用しない浸漬法などについても許容している。このことから,ど

のように記載するかが議論となった。

d) 新しく追加されたワイプオフ法については,拭き取り法,再現像法又は類似法であるブリードバック

法などの意見が出された。最もわかりやすい拭き取り法とする方向で検討が進んだが,余剰浸透液の

除去方法に同様の表現があり混乱を避けるため,原文に近いワイプオフ法を採用することとした。

e) ISO 規格にはないが,国内で広く普及している無現像法について,この規格に記載して欲しいとの意

見が多く出され,その記載方法について議論があった。関連規格を調査した結果,ASTM E1417 の 7.5

項に当事者の合意がある場合には,比較的低応力しかかからないアルミニウム鋳造品などに適用でき

るとことを確認したため,注記としてその内容を追加した。

4 規定項目の内容及び/又は主な改正点

従来の JIS Z 2343-1:2001 と改正版である JIS Z 2343-1:##の主な改正点を次に示す。

章 項目 前規格からの改正点

序文 基になる規格を ISO3452-1:2013 に変更した。

1 適用範囲 プロセス管理試験を追加した。(以前は第 2 部に含まれて

いた内容を第 1 部へ移動した。)

2 引用規格 現状に合った規格に変更した。

3 用語及び定義 ワイプオフ法を追加した。

5.5 有効性 プロセス管理試験を追加した。

6.2 探傷剤の分類 除去剤の欄に記載されていた,予備洗浄などの試験手順

を削除した。 速乾式現像剤をタイプⅠ用と,タイプⅡ及びⅢ用の 2 種

類に分けた。

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3

Z 2343-1:151108 解説

解 3

7.2 探傷剤の適合性 探傷剤が減少した場合の追加補充は,同じ探傷剤製造業

者の同じ銘柄とすることを追加した。

8.3 温度 50 ℃を超える温度の探傷は,JIS Z 2343-5 を引用し,

10 ℃未満の温度における探傷は,JIS Z 2343-6 を引用し

た。

8.5.6 余剰浸透液の除去方法 蛍光浸透探傷試験の場合には,紫外線放射照度は 3 W/m2

未満から 1 W/m2未満に変更した。また,明るさは,100 lx未満を追加した。 色調コントラスト(染色浸透探傷試験)の場合には,350 lx 以上を追加した。

8.5.7 乾燥 熱風循環式乾燥器の炉内温度は,70 ℃未満を追加した。

8.6.7 現像時間 注記において,当事者間の合意があればアルミニウム鋳

物部品に無現像法を適用できることを追加した。

8.7.1.2 蛍光浸透探傷試験法 検査場所での検査員に必要な最小暗順応時間を,5 分か

ら 1 分に変更した。

附属書A 浸透探傷試験の主要工程 表現が不適切な部分は,正しい表現に訂正した。

附属書B プロセス管理試験 追加規定した。(JIS Z 2343-2 から JIS Z 2343-1 に移動し

た。)

5 海外規格との関係

この規格は ISO 3452-1:2013 を基としているが,主な相違点は次のとおりである。

章 項目 前規格からの主な相違点

1 適用範囲 供用中の材料及び製品を加えた。

2 引用規格 ISO 規格を,対応する JIS 規格に変更した。

8.6.7 現像時間 注記に,ASTM E1417 に記載のある無現像法を追加し

た。

10 浸透指示模様及びきずの分類 ISO 規格に規定されていない浸透指示模様及びきずの

分類について,従来の規格を踏襲し,追加した。

6 その他の解説事項

a) 適用範囲は製造中の材料及び製品だけでなく,使用中の材料及び製品にも適用されるため,これまで

どおり“供用中の材料及び製品”の用語を追加した。

b) 引用規格は,ISO 規格は全て対応する JIS 規格に書き換えた。

c) 余剰浸透液の除去方法については, JIS Z 2343-1:2001 では,探傷剤の組合せは浸透液,余剰浸透液除

去剤及び現像剤で構成されるとし,探傷剤の分類では,余剰浸透液の除去剤は“方法 A”~“方法 E”

の 5 種類に分類している。このうち“方法 C:溶剤除去”は溶剤を使う方法であり,“方法 A:水”,

“方法 B:後乳化(油ベ-ス乳化剤)”,及び“方法 D:後乳化(水ベ-ス乳化剤)”は水を使う方法で

ある。“方法 E:水及び有機溶剤”は,水洗性浸透液を水で除去した後,布又は紙で拭き取る方法で,

布又は紙に有機溶剤を軽く湿らせて用いることができる。探傷剤の組合せ及び探傷剤の分類は,ISO

3452-1:2013 でも同じ規定である。(3)ISO 3452-1:2013 では 8.5.2 Water において“The excess penetrant

shall be removed by washing (rinsing), immersion or wiping using water. Care shall be taken to minimize the

effect of mechanical action caused by the rinsing method.”と規定しており,一般的に適用されている水

スプレによる洗浄の記述がない。

しかしながら,“rinse”は,“すすぐ”,“ゆすぐ”と“洗い落とす”の意味があり,“washing(rinsing)”

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4

Z 2343-1:151108 解説

解 4

は水スプレで洗浄することを指しているものと考えると ISO 3452-1:2013 の技術的内容を変更してい

ないものとして考えられる。

なお,浸漬法については技術的記載がないので ASTM E165/E165M:12 に記載のある,空気又は機械

的に撹拌している水槽に部品を完全に浸漬する技法などを参考にするとよい。

d) 5.1 a)は,ISO 規格にはないが,試験方法の選択に当たって基本的に必要な内容であるので,前回と同

様に記載した。また 5.1 b)の技術者に必要な資格については,原文では“ISO 9712 又は同等の資格”

となっているが,国内の状況に合わせ JIS Z 2305 又は JIS G 0431 と同等の資格に置き換えた。

e) 5.5)に今回の改正でプロセス管理試験(附属書 B)が第 2部から第 1部に移行された。プロセス管理試

験についての基本的事項は,長期間に亘り開放容器などで保管する探傷剤(浸透液,現像液,乳化剤

など)に劣化のないことを定期的に監視し,使用中の探傷剤の劣化を未然に検出し,探傷システム性

能を維持することが要求されている。

これらについては,探傷剤の性能に関することが主体であることから,これらの専門知識をもつ探

傷剤製造業者にお願いすることが望ましい。

今回の改正において,第 2 部から第 1 部に変更された理由としては,管理責任が変わったと理解で

きる。具体的には,探傷剤を規格のとおりに製造し販売することは探傷剤製造業者の責任であるが,

使用中の探傷剤の維持管理責任は,使用者が責任を負うことになる。また,この中には検査機材の校

正,点検なども含まれている。このことは,試験技術者は,探傷するだけでなく検査機材の校正,点

検など探傷条件についての整備も必要であることが明確にされたともいえる。

f) 6.1 の探傷剤の組合せでは,“型式試験が JIS Z 2343-2 に基づく場合は,浸透液と除去剤とは同一製造

業者の製品でなければならない。”としているが,現像剤も含めた探傷剤の組合せは,最適な結果を得

るために同一製造業者の同一グループの製品を組み合わせて使用するのが一般的である。また,認定

された探傷剤だけの組合せだけを使用しなければならないと規定されているが,実証試験を行って性

能確認が証明できれば使用可能である。

g) 8.6.5 水溶性現像剤は水に溶かして使用する現像剤であるが,我が国ではほとんど適用されていない。

一般に湿式現像剤といわれる現像剤は,水懸濁性現像剤である。

h) 8.5.6 余剰浸透液の除去確認では,蛍光浸透液については試験面で紫外線放射照度は 1 W/m2以上,照

度は 100 lx を超えてはならない。また,染色浸透液の場合は,350 lx 以上でなければならないと規定

された。

i) 8.5.7 乾燥では,試験面温度が 50 ℃を超えない設定にする規定の他に,熱風循環式乾燥器での炉内温

度は,70 ℃を超えないことが追加された。70 ℃以下であっても,長時間炉内に放置し,試験体が 50 ℃

を超えることのないように注意が必要となる。

j) 無現像法は,ISO 規格には記載されていないが,国内ではアルミダイキャストなどの探傷に広く使用

されていることから,この規格に情報として何らかの形で記載することが必要と判断したため,8.6.7

の現像時間の箇所に注記として記載することとした。無現像方法は,現像剤を使用しないで表面を乾

燥させるだけで,きずの中に浸透した浸透液を自力現像力によって表面に浸出させるか,又は試験体

を加温して浸透液を表面にあふれさせたりして浸透指示模様を形成させる方法である。現像剤を使用

できない場合や大きな傷だけの検出でよい場合などで利用されている。

なお,米国では ASTM E165 には規定されていないが,ASTM E1417 に記載がある。

k) 8.7.3 ワイプオフ法は,観察・評価時に指示模様がきずに起因するものか,疑似指示によるものかの判

断に役立つ情報を得るために実施する方法で,指示模様を除去した後,その部分に再度速乾式現像剤

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5

Z 2343-1:151108 解説

解 5

を薄く塗布する方法である。ISO 規格には,“Wipe off technique”と記載されており,直訳した表現と

した。類似法としては,指示模様を揮発性の溶剤を筆に軽く含ませて拭き取り,その後に出てくる指

示模様を観察して,評価に活用するブリードバック法などがある。今後は,ワイプオフ法という呼称

が一般的になると思われる。

なお,この方法は蛍光浸透探傷試験に用いられることが多かったが,染色浸透探傷試験にも利用す

ることができる。きずの中の浸透液は一回の現像処理では,完全には吸い出されず,少量の液はきず

内に残留しているので,ワイプオフ法で再度現像剤を薄く塗布すると残っていた液が吸い出されて指

示模様を形成する可能性が高いことによるものである。しかしながら,非常に微細なきずの場合は,

ワイプオフ法では,指示模様が出ない場合があるため,ワイプオフ法で指示模様が再現しなかったと

いう理由だけできずがないとの判断はできない。

l) 10 浸透指示模様及びきずの分類は,ISO 規格には記載されていないが,必要とのことで前回と同じく

記載することとした。

m) JIS Z 2343:1982 には,浸透指示模様の等級分類法が,また,きずの長さなどの測定方法の詳細は解説

に記載されていたが,JIS Z 2343:1992 からは削除されていた。しかしながら,現在でも各方面からき

ずの長さなどの測定方法については,解説に再記載して欲しいとの要望が多かったので,例として記

載することとした。

1) 円形状浸透指示模様の長さの一例 円形状浸透指示模様の長さは,解説図 1 に示すように最も長い

部分の測定長さとする。

解説図 1-独立浸透指示模様の測定長さ

2) 連続浸透指示模様の例 浸透指示模様がほぼ一直線に連なって存在し,その相互の距離が 2 ㎜以下

の場合は,相互の長さ及び距離を含めて連続した一つの浸透指示模様とみなす。ただし,浸透指示

模様のうち,いずれか短い方の長さが 2 ㎜以下の場合には,きず相互の距離が前記の短い方の浸透

指示模様の長さ以上離れていれば,独立した浸透指示模様とみなす。

つながった一つのきずであっても,検出した指示模様がところどころ寸断している場合もある。

ここでは,一つの浸透指示模様と見なす限界条件として隣り合う 2 個の浸透指示模様相互の距離を

考え,その距離が隣り合う浸透指示模様のうち,短い方の長さ又は 2 ㎜のいずれか小さい値以下の

場合に一つの浸透指示模様とみなすことにした。浸透指示模様の求め方は,次のとおりとする。

2.1) l1≧2 ㎜,l2≧2 ㎜,d≦2 ㎜の場合

L= l1+l2≧+d (解説図 2 参照)

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6

Z 2343-1:151108 解説

解 6

解説図 2-連続浸透指示模様の測定長さ(1)

2.2) l1<2 ㎜,l2>2 ㎜,d≦l1の場合

L= l1+l2≧+d (解説図 2 参照)

2.3) l1≦2 ㎜,l2≧2 ㎜,l3≦2 ㎜,l1≧d1,l3≧d2の場合

L= l1+l2+l2+d1+d2(解説図 3 参照)

解説図 3-連続浸透指示様の測定長さ(2)

2.4) l1,l2,l3 がいずれも 2 ㎜を超え, l1>d1>2 ㎜,d2≦2 ㎜の場合

L= l2+l3+d2(解説図 4 参照)

解説図 4-連続浸透指示模様の測定長さ(3)

2.5) l2,l3 がいずれも 2 ㎜を超え, l1<d1≦2 ㎜,2 ㎜,d2≦2 ㎜の場合

L= l2+l3+d2(解説図 4 参照)

2.6) ここでの規定にかかわらず,点状の浸透指示模様が解説図 5 に示すように小さな間隔で断続的に存

在する場合は,連続した浸透指示模様として両端までの全長を測定する。

解説図 5-連続浸透指示模様の測定長さ(4)

2.7) 弧状又は円弧状に連続して存在する場合の個々の浸透指示模様の長さ及び隣接距離の測定は,解説

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7

Z 2343-1:151108 解説

解 7

図 6 及び解説図 7 によるものとする。

解説図 6-連続浸透指示模様の 解説図 7-連続浸透指示模様の

測定長さ(5) 測定長さ(6)

3) 分散浸透指示模様 分散浸透指示模様において,解説図 8 のように L4 4 個,L3 1 個,R1 が 1 個

から成るとき,合計長さの㎜の数字 12 を分子に,個数の数字 6 を分母にし,後に構成を示し,解説

図 8 の下に示すように記すと便利である。

解説図 8-分散浸透指示模様の測定長さ

7 原案作成委員会の構成表

原案作成委員会の構成表を,次に示す。

JIS Z 2343-1(非破壊試験-浸透探傷試験-第 1 部:一般通則)原案作成委員会 構成表

氏名 所属

(委員長) ○ 藤 岡 和 俊 (一財)電子科学研究所

(幹事) ○ 津 村 俊 二 (株)タセト

(委員) 平 塚 洋 一 経産省産業 製造産業局 桑 原 純 夫 (一財)日本規格協会 大 岡 紀 一 (一社)日本溶接協会 脇 部 康 彦 (一社)軽金属溶接協会 八 木 隆 義 (一社)日本鉄鋼連盟 池 上 克 則 (一社)日本非破壊検査工業会 堀 本 稔 (一社)日本ボイラ協会 ○ 相 山 英 明 (一社)北海道機械工業会 ○ 中 野 幹 夫 (一財)日本溶接技術センター ○ 続 木 武 彦 (株)ジャムコ ○ 増 田 隆 秀 マ-クテック(株)

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8

Z 2343-1:151108 解説

解 8

○ 相 澤 栄 三 栄進化学(株) ○ 鈴 木 尚 美 テスコ(株)

(オブザーバ) 徳 岡 優 和 元(一財)日本溶接技術センター 佐 藤 清 士 元栄進化学(株) 槇 健 介 経済産業省 産業技術環境局

(事務局) 山 口 光 輝 一般社団法人日本非破壊検査協会 注記 ○印は,分科会委員を示す。 (執筆者 藤岡 和俊)